人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

準・メルクル+新日本フィルでメンデルスゾーン「スコットランド」他を聴く

2016年04月30日 08時45分05秒 | 日記

30日(土)。皆さん、お気づきかもしれませんが、今日で4月も終わりです 2016年の3分の1が過ぎてしまった訳ですね この調子でボケっとしてると あっという間に半年が経ってしまいますよ 目標を持って生きましょうね という訳で、わが家に来てから580日目を迎え、黒猫ちゃんと会話するモコタロです

 

          

               モコ:円高きてるよね~  クロ:何の話?

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホールで新日本フィル第558回定期演奏会を聴きました プログラムは①ドビュッシー「民謡の主題によるスコットランド行進曲」、②ブルッフ「スコットランド幻想曲」、③メンデルスゾーン「交響曲第3番イ短調”スコットランド」です ②のヴァイオリン独奏は新日本フィルのソロ・コンマス豊嶋泰嗣、ハープ独奏は平野花子、指揮は準・メルクルです

 

          

 

どういう意図でスコットランドづくめのコンサートになったのか、スコッチを飲みながら考えましたが、スコッチも分かりませんでした

指揮者の準・メルクルはミュンヘン生まれ、ハノーファー音楽院でヴァイオリン、ピアノ、指揮を学び、その後 名匠セルジュ・チェリビダッケにも学びました 私が一番印象に残っているのは2001年から04年まで新国立劇場で上演されたワーグナーの「ニーベルングの指環」チクルスです 彼がNHK交響楽団を指揮したこの公演は「トウキョウ・リング」と呼ばれ、クラシック界で大きな話題になりました

西江コンマス以下 オケのメンバーが登場し配置に着き、さっそく1曲目のドビュッシー「民謡の主題によるスコットランド行進曲」の演奏に入ります ドビュッシーは一度もスコットランドを訪ねたことがありませんでしたが、最初にピアノ連弾版を作曲、次いでピアノ独奏版、そして管弦楽版へと編曲し、色彩感豊かな作品に仕上げていきました

聴いていると、時にドビュッシーらしい旋律が現れますが、全体的には、作曲者名を伏せて聴いたらドビュッシーの作品だとは分からないのではないかと思います 題名に「行進曲」が付いていますが、聴いていて少しも行進曲らしくない抒情的な曲でした

オケの態勢が変わり、ヴァイオリニスト豊嶋泰嗣を迎えます。いつもはコンマス席に座っていますが、この日はソリストを務め、ブルッフ「スコットランド幻想曲」を演奏します ハープの平野花子さんがオケの中央近くでスタンバイします この人の名前が良いですね。平野花子。平野(へいや)に咲く花。素朴でいい感じです。好きです、こういう名前。本人 美人だし プロフィールに1988年生まれとあるので現在28歳ですね。女性の場合、プロフィールに「〇〇年生まれ」の表示がある人とない人がありますが、境い目はどの辺でしょうか?そんなこと どうでもいいですね。次にいってよろしかったでしょうか

ドビュッシーと同様、ブルッフもスコットランドを実際に訪れることなくこの曲を作曲(1880年)しました ただし、彼の場合はその2年後にスコットランドを訪ねています

序、第1楽章、第2楽章、第3楽章、第4楽章の5つの部分から成ります。全体的にはロマン溢れる抒情的な曲想ですが、とくに第3楽章「アンダンテ・ソステヌート」では、豊嶋泰嗣の独奏ヴァイオリンが「ジョニーがいなくて悩ましい」という愛らしい民謡に基づく主題を変奏していきますが、平野花子さんのハープとのアンサンブルがとても美しく、見事な演奏でした

 

          

 

休憩後はメンデルスゾーン「交響曲第3番イ短調”スコットランド”」です。前の二人と違い、メンデルスゾーンは20歳の時(1829年)、ロンドンのフィルハーモニック協会に招かれて初めてイギリスを訪れ、その際スコットランドも旅行しました この時の経験から 後で作曲されたのが「序曲”フィンガルの洞窟”」と「交響曲第3番”スコットランド”」でした

この曲は4つの楽章から成りますが、楽章間は切れ目なく演奏されます 準・メルクルの指揮は細心にしてダイナミックです 驚いたのは第1楽章「アンダンテ・コン・モト-アレグロ・ポコ・アジタート」の中盤です。ワーグナーの「さまよえるオランダ人」の音楽かと思われるような、うねる様な音楽が聴こえてきました オペラ指揮者 準・メルクルを感じました

また、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェッシモ」は怒涛のような快進撃で、迫力ある管弦楽によって喜びに満ちたスコットランド賛歌を歌い上げました 準・メルクルのテンポ感が素晴らしいと思いました

終演後、準・メルクルが花束を持って登場、4月末日で定年を迎えるチェロの貝原正三氏に”花束贈呈”を行い、会場から大きな拍手を受けました なお、この日は降り番でしたが、同じく4月末日で首席ヴィオラ奏者の木村恵子さんも退職するとのことです お二人とも長い間お疲れ様でした。素晴らしい演奏をありがとうございました

 

          

 

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メンデルスゾーン「ピアノ協奏曲第1番ト短調」他を聴く~東京藝大モーニング・コンサート    

2016年04月29日 08時55分12秒 | 日記

29日(金・祝)。わが家に来てから579日目を迎え、道路を横断する時の注意事項をレクチャーする聡明なモコタロです

 

          

                  道路を横断する時は 右を見て

 

          

                         左を見て

 

          

                車が来ないのを確かめて横断しようね

 

 

          

                         って、ここは道路じゃなかったね もう廊下現象かな???

 

  閑話休題  

 

昨日午前11時から、上野の東京藝大奏楽堂で2016年度第1回目の「モーニング・コンサート」を聴きました プログラムは①J.ウィリアムズ「バストロンボーン協奏曲」、②メンデルスゾーン「ピアノ協奏曲第1番ト短調」です ①のトロンボーン独奏は鈴木崇弘、②のピアノ独奏は横江智至、指揮は高関健、オケは藝大フィルハーモニアです

 

          

 

藝大の「モーニング・コンサート」を聴くのは今回が初めてです 全席自由ですが、チケットに「入場整理番号」が記されていて、その順番に入場するシステムになっています。私のチケットは249番。小雨振る中、30分前に会場に着くように出かけました。会場に着くと もうかなりの人たちが傘をさして順番を待っていました

幸い1階14列24番、センターブロック右通路側席を押さえることができました 会場は6割くらいの入りでしょうか

藝大フィルハーモニアのメンバーが入場し、配置に着きます。このオケは東京藝大に所属するプロのオーケストラで、学生オケではありません

1曲目はJ.ウィリアムズの「バストロンボーン協奏曲」です。J.ウィリアムズって誰?と思ったでしょう。あの「スターウォーズ」の音楽の作曲者ジョン・ウィリアムズだと言えばすぐ分かりますね 1932年ニューヨーク郊外のフラッシングで生まれ、ジュリアード音楽院に入学、ロジーナ・レヴィンに師事したということですから かなり本格的です その後、ジャズに転向し、ロサンジェルスの南カリフォルニア大学ロサンジェルス校の音楽科に入学しました 映画「スターウォーズ」の大成功の後、ボストン・ポップス・オーケストラの音楽監督に就任しました。このオケはボストン管弦楽団のメンバーから構成される演奏団体です。この作品は1985年にボストン・ポップス・オーケストラのテューバ奏者チェスター・シュミッツの為に作曲したもので、ボストン・ポップスの生誕100周年記念作品です

この曲は第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ・モルト」の3つの楽章から成りますが、全楽章は間を置かず通して演奏されます

ソリストの鈴木崇弘は神奈川県出身で、現在東京藝大4年生です。どでかいバストロンボーンを携えて指揮者の高関健とともに登場、さっそく高関のタクトで第1楽章が開始されます 聴いている限り、バストロンボーンの超絶技巧曲で、相当低い音が求められます。鈴木は難なくクリアして低音の魅力を発揮します 独奏楽器が休みオケだけによるパートでは、時に「スターウォーズ」ばりの宇宙の広がりを感じる音楽が展開します 全曲を通して、フルートが抜群の冴えを見せ、特に第2楽章冒頭部分は聴き惚れてしまいました 鈴木崇弘は高関健の堅実なサポートのもと、素晴らしい演奏を展開しました

 

          

 

オケのメンバーが一旦舞台袖に引き上げ、グランドピアノが中央に移動します。2曲目はメンデルスゾーン「ピアノ協奏曲第1番」です この曲は1831年、メンデルスゾーンが22歳の時の作品です。メンデルスゾーン自身が「この作品こそ、私が最もお気に入りの作品である」と語っていますが、「なぜ日本の音楽市場ではこれほどの名曲を演奏する機会が少ないのだろう?」と不思議なくらいです この曲は第1楽章「モルト・アレグロ・フォーコ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト~モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ」の3つの楽章から成りますが、全曲を通して中断なしで演奏されます

ソリストの横江智至は札幌市出身で、現在藝大4年生です。小柄で まだあどけなさが残る青年が登場しピアノに向かい、高関健のタクトで第1楽章が開始されます この曲は冒頭からドラマティックな曲想で聴く者を惹きつけます 高関健と横江のテンポはスピード感に溢れています。思わず「これぞメンデルスゾーン」と叫びたくなりました。22歳の若さで作られたこの作品は、情熱的で、歌心に満ち、徹底的な明るさと前向きな姿勢で貫かれています 第2楽章の「アンダンテ」は抒情的な好ましい演奏でした。そして第3楽章ではテンポ・アップしてフィナーレに突入します

メンデルスゾーンの作曲した時と同年代の横江がこの曲を弾く意義は十分にあります。こういう曲こそ若い演奏家にどんどん演奏してほしいと思います 等身大の素晴らしいメンデルスゾーンだったと言っておきましょう

 

  最後の、閑話休題  

 

コンサート終了後、奏楽堂入口脇のチケット売り場で、東京藝大主催のコンサート・チケットを2枚買いました 1枚は7月16日(土)午後3時から開かれる「ヴェンツェル・フックスを迎えて~ハルモニームジークの愉しみ」です プログラムは①モーツアルト「セレナード第12番ハ短調”ナハトムジーク”」、②同「セレナード第10番変ロ長調”グラン・パルティータ”」です。出演はクラリネット=ヴェンツェル・フックス(ベルリン・フィル)、山本正治、オーボエ=小畑善昭、ファゴット=岡本正之、ホルン=日高剛です。チケット代は全席自由で2,000円です 【これは まだチラシがありません】

この日は午後6時からサントリーホールで東京交響楽団の定期演奏会があるのでハシゴします 5時に終わり次第、上野から溜池山王に急いで回り 開演に間に合わせます 

 

2枚目は10月16日(日)午後3時から開かれる「ピアノシリーズ2016 ハイドンとモーツアルト第2回」です プログラムは①ハイドン「ピアノ・ソナタ第52番」、②モーツアルト「2台のピアノのためのソナタK448」、③ハイドン「6つのカンツォネッタ」より第25番「人魚の歌」、第112番「グリーン・スリーヴズ」、第218番「遠い日々」、④モーツアルト「ピアノと管楽器のための五重奏曲K452」です 出演は、ピアノ=伊藤恵、青柳晋、江口玲ほか、ヴァイオリン=玉井菜採、クラリネット=山本正治、ホルン=日高剛、ファゴット=岡本正之、オーボエ=小畑善昭、ソプラノ=野々下由香里ほかです。なお、第1回は6月5日(日)午後3時から開かれますが、サントリーホール・チェンバーミュージックガーデンのクァルテット・エクセルシオのベートーヴェン・ツィクルスと重なるので聴きに行けません.

チケット代は全席自由で3,000円(2回セット券は5,000円)です。強くお薦めします

 

          

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「ヴィハン・マルディロシアン ピアノ・リサイタル」を聴く~日経ミューズサロン

2016年04月28日 07時51分34秒 | 日記

28日(木)。わが家に来てから578日目を迎え、オヤツが遅いのでゲージにかじりつくモコタロです

 

          

               オヤツ早くちょうだいよ~ 早くしないとゲージ食べちゃうからね

 

  閑話休題  

 

昨夕、大手町の日経ホールで第447回日経ミューズサロン「ヴィハン・マルディロシアン ピアノ・リサイタル」を聴きました  プログラムは①シューベルト「4つの即興曲 作品90」、②ショパン「3つのノクターン作品9」、③クライスラー「愛の悲しみ」、④同「美しきロスマリン」、⑤同「ウィーン奇想曲」、⑥同「中国の太鼓」、⑦シューベルト「ピアノ・ソナタ第14番イ短調」、⑧ショパン「ポロネーズ第3番”軍隊”」です

 

          

 

当初、クライスラーの曲を演奏するヴァイオリニストとして巨匠イヴリー・ギトリスが予定されていましたが、会場に着いてみると次のような掲示が貼り出されていました

「当初予定しておりましたイヴリー・ギトリス(ヴァイオリン)が体調不良により、前橋汀子が代わりにゲスト出演します。ご了承ください」

そして、場内アナウンスが、希望者にはチケットの払い戻しに応じる旨を知らせています たぶん希望者はいないと思いますが、ギトリス目当てに来た人もいると思われるので 良心的な対応だと思います なお、5月3日に予定されていたギトリスの「ヴァイオリン・リサイタル」は同様の理由で中止になっています

ヴィハン・マルディロシアンはアルメニア生まれ、1993年にパリ音楽院に入学し ジャック・ルヴィエに師事し、ピアノと室内楽で優秀な成績を修めて首席で卒業しました ギトリスからは絶大な信頼を得ていて 世界各国でのリサイタルで共演しているそうです

自席はD列8番、左ブロック右通路側です。日経ホールはテーブル付きの椅子なので、どのくらい人が入っているか非常に分かりにくいのですが、8割くらい入りでしょうか

顔に立派なヒゲを蓄えたマルディロシアンが登場します。ひと目見て、ロシアの某作曲家を思い浮かべてしまい、「まるでロシアン」と心で叫んでしまいました

1曲目のシューベルト「4つの即興曲作品90」は、シューベルトの死の前年に当たりる1827年に作曲されたと言われています どの曲もシューベルトらしい歌心溢れた作品です シューベルトはこうした小品にキラリと光るものが多いですね

2曲目のショパン「3つのノクターン作品9」は夜想曲の中でも有名な抒情的な曲です ショパンはアイルランドの作曲家・ピアニストのジョン・フィールドが創出した「ノクターン」に感銘を受け、それに深さを加えて独特の世界を築き上げました ノクターンだけで21曲残しています。作品9の3曲だけでも、1曲1曲が異なる曲想でショパンの天才を感じます マルディロシアンの演奏は抒情的でしたが、第3番の途中で少し乱れたのが残念でした

 

          

 

休憩後の最初はヴァイオリンの前橋汀子を迎えてクライスラーの小品集です マルディロシアンとともに、前橋汀子が鮮やかな赤のドレスで登場します 最初にクライスラーの「愛の悲しみ」を演奏します。引きずるような演奏は彼女の特徴でしょうか。音が非常に美しく響くと思ったら、彼女の使用しているヴァイオリンは1736年製のデル・ジェス・グァルネリウスでした 次いで「美しきロスマリン」「ウィーン奇想曲」「中国の太鼓」を演奏しました 蛇足ですが、ロビーの掲示には上から順に、美しきロスマリン、ウィーン奇想曲、中国の太鼓、ウィーン奇想曲という順に書かれていましたが、上記の順番に演奏しました

二人はカーテンコールの後、エルガーの「愛のあいさつ」を演奏し 会場いっぱいの拍手を受けました

ピアノがセンターに戻され、譜面台が外されて、電子ブック(楽譜)がピアニストの見える位置に設置されます。再びマルディロシアンのソロにより、シューベルト「ピアノ・ソナタ第14番イ短調」の演奏に入ります 3つの楽章から成りますが、第1楽章が一番長く、シューベルト特有の同じメロディーの繰り返しが展開します マルディロシアンの演奏は強弱の対比が鮮やかです。この曲はドイツのウィルヘルム・ケンプのCDで予習し、曲の全体像が頭に入っていたので曲の理解の上で良かったと思います

 

          

 

最後の曲はショパン「ポロネーズ第3番イ長調”軍隊”」です この曲はジョルジュ・サンドとマジョルカ島で過ごした1838年10月に書かれたと言われています 曲全体が軍隊の行進を連想されることから「軍隊」という通称で知られています

マルディロシアンは冒頭からハイ・テンションで、ショパンには珍しい勇壮な音楽をダイナミックに、鮮やかに表出しました

大きな拍手に、たどたどしい日本語で「熊本の人たちに捧げます」と言って、ショパンのノクターン「遺作」をしみじみと演奏しました 熊本の大地震で被害にあった人たちに思いを馳せる、人間的に素晴らしいアーティストだと思います

ギトリスの演奏が聴けなかったのが”唯一の残念”でしたが、3,800円で十分楽しめたので満足です

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「上杉春雄 ピアノリサイタル with 森麻季」を聴く~浜離宮ランチタイムコンサート

2016年04月27日 07時59分07秒 | 日記

27日(水)。昨日、「郵貯銀行」から私のケータイのアドレスに「暗証番号変更再確認のお知らせ」というメールが届きました 内容を見ると、「郵貯銀行の暗証番号の変更手続きが終わったので『郵貯銀行』のアドレスにアクセスして確認してほしい。自分で暗証番号の変更手続きをした場合はこのメールを無視して結構です」というものです 私は最近、郵便局のキャッシュカードの暗証番号を変える手続きをした覚えはないし、相手が勝手に暗証番号を変えられるわけがないので、これは「フィッシング詐欺メール」に違いないと思い、削除しました さらに言えば、メールでは「郵貯銀行」を名乗っていますが、本物の名称は「ゆうちょ銀行」です。念のため、ゆうちょ銀行のキャッシュ・コーナーで残高確認をしてみましたが、当然のこととして現行の暗証番号が生きていました さっそく家族にメールして、同様のメールが来たら無視するように伝えました。しかし、不思議なのは、敵が私の名前とメルアドを知っていることです。どこから漏れているのか、まったく心当たりがありません。不愉快な話です 皆さんも同じようなメールが届いたら十分気を付けてください

ということで、わが家に来てから577日目を迎え、不審なメールを前に 斜に構えるモコタロです

 

          

                                ぼくが斜に構えてるんじゃなくて  スマホのカメラが傾いてるんだべさ

 

  閑話休題  

 

昨日、夕食に「豚肉のスペアリブ」と「生野菜のサラダ」と「卵スープ」を作りました 「スペアリブ」は分厚いので中まで火を通すのに時間がかかりました

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

東京藝大奏楽堂で開かれる「モーニング・コンサート」のチケットを3枚買いました 時間はいずれも午前11時開演で、オーケストラは藝大フィルハーモニアです。ソリストは藝大の学生ですが、指揮者は名の通った人ばかりです それでも入場料金は@1,000円と格安なのがありがたいですね

4月28日(木) ①J.ウィリアムズ「トロンボーン協奏曲」、②メンデルスゾーン「ピアノ協奏曲第1番」

         トロンボーン=鈴木崇弘、ピアノ=横江智至、指揮=高関健。

         これは、滅多に演奏されないメンデルスゾーンの曲が聴きたいために買いました

5月12日(木) ①中島夏樹「PIXEL for  orchestra」、②プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」

         ピアノ=谷口若菜、指揮=現田茂夫。

         これも滅多の演奏されないプロコフィエフのピアノ協奏曲を聴くために買いました

6月16日(木) ①大橋正人「I was  born」、②ブラームス「ピアノ協奏曲第2番」

         ピアノ=横山瑠佳、指揮=山下一史

         これはもちろんブラームスの名曲を聴くためです

 

          

 

  最後の、閑話休題  

 

昨日午前11時半から、築地の浜離宮朝日ホールで「浜離宮ランチタイムコンサート~上杉春雄ピアノ・リサイタル」を聴きました プログラムは①シューマン「子どもの情景」、②ドビュッシー「こどもの領分」より「小さな羊飼い」、③ストラヴィンスキー「ペトルーシュカからの3楽章」より「祭りの日」、④J.S.バッハ「フランス組曲第5番」、⑤ショパン「マズルカ第5番」、⑥アルベニス/ゴドフスキ-「タンゴ」、⑦グノー「歌劇”ロメオとジュリエット”より”私は夢に生きたい”」、⑧ショパン「ノクターン第8番」、⑨モートン・グールド「ブギウギエチュード」、⑩マイアベーア「歌劇”ディノーラ”より”影の歌”」です ⑦と⑩のソプラノ独唱は森麻季です

 

          

 

チケットを買うのが出遅れたので、自席は最後列の端っこです 会場はウィークデーにも関わらず満席。聴衆の年齢層はご想像の通りです コンサート前にプログラムに掲載された上杉春雄氏のプロフィールを読んで ぶったまげました。「北海道大学医学部卒、東大大学院修了。医学博士、日本神経医学会専門医。札幌山の上病院院長」とあります。何と、現役のお医者さんなのですね その彼が、国内外の音楽コンクールで入賞したり、サントリーホール(大)でリサイタルを開いたり、CDを出したりしているのです

さて、コンサートを聴くときは、そのような情報は一切頭から排除して、先入観なしで純粋に演奏に集中しなければなりません

主人公・上杉春雄氏が登場し、マイクで前半のプログラムについて解説します 第1部は「メルヘンの世界」と銘打っていますが、子どもの世界は、夢と現実の世界がごっちゃになっていることなどを解説し、シューマン、ドビュッシー、ストラヴィンスキーの演奏曲目について説明を加えます 

そしてシューマン「子どもの情景」の演奏に入ります。第1曲「見知らぬ国から」の冒頭のモティーフが全曲を支配しますが、この曲の演奏を聴いて「これは、まぎれもないプロのピアニストだ」と感じました。それは、曲想がまったく異なるドビュッシーの曲に移っても変わりません

上杉氏はドビュッシーからストラヴィンスキーにかけて間を置かず続けて演奏しましたが、その瞬間、舞台の照明がパッと点いて急に明るくなりました 周到に演出効果を狙っていることが窺がえます。謝肉祭の喧騒が演奏から浮かび上がります。間を置かないことによりドビュッシーとストラヴィンスキーの音楽の対比が鮮やかに表出します 超絶技巧のペトルーシュカを聴いていて、マウリツィオ・ポリー二がCDに入れた衝撃的な演奏を思い出しました

 

          

 

休憩後は第2部「アタマとココロの舞踏会」です。再び、上杉氏がマイクで後半の曲について解説します 後半の演奏曲目は”ダンス”の音楽ですが、「曲を聴くことによりダンスのイメージが頭に描かれ、より感動を覚えることになる」という、神経学会専門医的な解説に 思わず納得しました

後半第1曲目はJ.S.バッハの「フランス組曲第5番」です バッハ(1685-1750)が活躍していた当時はまだピアノは生まれていなかったので、チェンバロで演奏されていたことになります 上杉氏の軽快な演奏を聴きながら、もしバッハが現代に蘇ってピアノによるこの演奏を聴いたらどんな感想を持っただとうか?と思いました。きっと「おお、素晴らしい響きだ」と感嘆するのではないかと思います

次いで、ショパンの「マズルカ第5番」の演奏に入ります ショパンは祖国ポーランドの3つの地方の舞曲を取り入れてマズルカを作曲したということですが、60曲近くも作ったのですね 独特のリズム感があります。上杉氏は間を置かず次のアルベニス作曲ゴドフスキー編曲による「タンゴ」を演奏しました。これもマズルカとの対比が鮮やかです。すべてが計算し尽くされています

今まで暗譜で弾いていた上杉氏が譜面を用意しています そしてピアノを弾き始めると、ステージ左サイドから、淡いピンクのドレスに身を包まれた森麻季が颯爽と登場、グノーの歌劇「ロメオとジュリエット」からジュリエットのアリア「私は夢に生きたい」を歌い始めました 彼女の特徴はビロードのような歌声です。上杉氏の解説の通り、この曲の曲想は”ワルツ”です。森麻季はロメオに出会う前の希望に満ちたジュリエットのアリアをワルツの音楽に乗せて歌い上げました

次いで、再度、上杉氏がソロでショパン「ノクターン第8番」をロマンティックに演奏し、間を置かずにアメリカのモートン・グールドの「ブギウギエチュード」をノリノリで演奏しました この2曲も性格の違う曲の対比が鮮やかでした

最後に再び森麻季を迎え、マイアベーア(1791-1864)の歌劇「ディノーラ」から、羊飼いの少女ディノーラが誰もいない森にやってきて狂乱のうちに歌う「影の歌」を、ビロードのようなコロラトゥーラで見事に歌い上げました

鳴り止まない拍手に、森麻季はプッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」を表情豊かに歌い 大きな拍手を受けました

 

          

 

この「ランチタイムコンサート」は前半30分、休憩15分、後半30分のコンパクトなコンサートですが、チケット代は1回2,900円、3回セット券は8,000円とかなり良心的です この公演を含めて最近、比較的低料金による平日のクラシック・コンサートがめっきり増えてきましたね。有難いことです 

なお、7月以降の「ランチタイムコンサート」は下のチラシの通りです

 

          

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吉松隆著「調性で読み解くクラシック」を読む/映画「風林火山」を観る

2016年04月26日 07時29分14秒 | 日記

26日(火)。わが家に来てから576日目を迎え、久しぶりにマガジン・ラックでくつろぐモコタロです

 

          

             ケーブルテレビの月刊誌がクッション変わりだよ

 

  閑話休題  

 

昨日、夕食に「豚肉とチンゲン菜の重ね煮」と「生野菜サラダ」を作りました あとは「男前豆腐の食べるラー油乗せ」です

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

吉松隆著「調性で読むクラシック」(ヤマハミュージックメディア)を読み終わりました 著者の吉松隆は作曲家で、1953年東京生まれ。1981年に「朱鷺によせる哀歌」でデビューしましたが、それ以降は、いわゆる「現代音楽」の非音楽的な傾向に異を唱え、調性やメロディーを復活させた「新抒情主義」「現代音楽撲滅運動」を提唱し、交響曲、協奏曲、ピアノ曲などを作曲しています NHK-FMのクラシック音楽番組の解説者としても活躍しており、何度か聴いたことがありますが、非常に分かり易い解説でした

 

          

 

この本の大きな特徴は、長年にわたりクラシック音楽を聴きながら、「今更こんな簡単なこと、恥ずかしくて人に訊けないよ」と思うことを、基本の「き」から教えてくれることです 私など、音楽と言えば、小学校から高校までの音楽の授業で習ったことや、社会に出てから1年間フルート教室に通ったくらいで、まったくのド素人と言ってもいいくらいです

著者は、音楽を聴く側が疑問に思っている「なぜクラシック音楽は題名に調号(ハ長調とかニ短調とか)が付いているのか?」、「なぜ長調の曲を聴くと楽しく感じ、短調の曲を聴くと悲しく感じるのか?」という基本的なことから分かり易く説明していき、楽器からみた調性(例えば、ヴァイオリンはト長調、ニ長調、イ長調、ホ長調が最も鳴り易い)の話に入っていきます

私にとって意外だったのは、ピアノ曲では ♯ や ♭ が多いほど演奏が難しいと思っていたら、逆だという事実です 彼は解説します

「白鍵だけを弾くより黒鍵を含む調の方が弾きやすい これは人間の手の指の並びが『弧』を描いているためで、例えば親指と小指で白鍵を弾いた場合、人差し指、中指、薬指は自然に黒鍵の上に乗る。全部白鍵で弾く、という方が逆に弾きにくいのである このことから、こと鍵盤楽器に限っては、黒鍵の多い(♯♭の多い)調の方が技巧を聴かせやすい、という不思議な現象が起きる。事実、シューベルトやショパンやリストなど近代ピアノを駆使した作曲家ほど、♯♭だらけの曲を書いている これは『難しくするため』ではなく、逆に『弾きやすくするため』なのである

そして、それぞれの調性の特徴と代表的な名曲について述べていきます

「ハ長調」 明るく真っ白なイメージで開放的。モーツアルト「ピアノ・ソナタK545」第1楽章。

「ニ長調」 神を連想させる、祝祭的な響き。ベートーヴェン、チャイコフスキー、ブラームスの各ヴァイオリン協奏曲。

「ヘ長調」 ホルンが活躍、牧歌的な雰囲気を持つ。ベートーヴェン「交響曲第6番”田園”」。

「変ロ長調」 明るく軽やか、管楽器がよく鳴る。モーツアルト「ファゴット協奏曲」。

「ホ短調」 愁いのある響きで、センチメンタルを誘う。メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」。

「ニ短調」 ドラマティックで、『人生』を感じさせる。ベートーヴェン「第9交響曲」。

「ト短調」 暗い響きだが、ダイナミックな曲が多い。モーツアルト「交響曲第40番」。

「ハ短調」 光の『ハ長調』と鮮やかな対比をなす影の短調。

最初にも書きましたが、この本は音楽の基礎について非常に分かり易く書かれており、クラシック音楽鑑賞の最適のテキストです クラシック音楽が好きな人で、「今更こんなこと 恥ずかしくて訊けないよな」と思っている人に強くお薦めします

 

  最後の、閑話休題  

 

昨日、池袋の新文芸坐で「風林火山」を観ました これは井上靖の小説『風林火山』を稲垣浩監督が1969年に映画化したものです

タイトルの『風林火山』とは、甲斐の戦国大名・武田信玄の旗指物(軍旗)に記された「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」(はやきこと風の如く、しずかなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し)のことを意味します

映画は、武田軍の名参謀・山本勘助の生涯を、主人公に三船敏郎、武田信玄に中村錦之助、上杉謙信に石原裕次郎、由布姫に佐久間良子など、当時の豪華キャストで描いた165分のカラー大作です

 

          

 

敵将の娘・由布姫への秘めた慕情を絡ませながら、信玄の参謀としての山本勘助の能力の高さを描きます 勘助の戦略によって、すべての戦いで勝ち抜く訳ですが、「川中島の合戦」では上杉謙信の率いる軍から裏をかかれ、自らの命を落とします

映画を観ていて思ったのは、あまりにも山本勘助が立派に描かれていて、ご主人の武田信玄がいかにも”若造”に描かれていることです 三船プロ製作なので仕方ないでしょうが また、馬に乗って戦う武将は恵まれているけれど、いわゆる”足軽”と呼ばれる人たちは大変だったろうな、ということです 何しろ、槍一本で相手の陣営に突っ込んでいく訳ですから。もう一つ、この時代にはまだ”鉄砲”という武器がなかったのだな、ということです

それにしても、つくづく戦国時代に生まれなくて良かったと思います

 

          

          

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ジョナサン・ノット+東響でブラームス「ドイツ・レクイエム」他を聴く

2016年04月25日 07時34分45秒 | 日記

25日(月)。わが家に来てから575日目を迎え、月曜日から上昇志向を見せるモコタロです

 

          

            上昇志向じゃなくて アゴを出しているだけだよ

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団の第639回定期演奏会を聴きました プログラムは①シェーンベルク「ワルシャワの生き残り」、②ベルク「ルル」組曲、③ブラームス「ドイツ・レクイエム」です ①③のバス・バリトン&語りはクレシミル・ストラジャナッツ、②③のソプラノ独唱はチェン・レイス、合唱は東響コーラス、指揮は音楽監督のジョナサン・ノットです

 

          

 

1曲目はシェーンベルク「ワルシャワの生き残り」です この曲はナレーターと男声合唱と管弦楽によって演奏されます。P席は使わないので、約60人の男声合唱はオケのすぐ後ろにスタンバイします コンマスは水谷晃。語り手のバス・バリトン、クロアチア出身のクレシミル・ストラジャナッツがノットとともに登場します かなり背丈が高くガッチリした体形です

この曲は、シェーンベルク自身の実体験とナチスのユダヤ人迫害に関する直接的・間接的な報告に基づいて作曲されました 生き残った者が、一人称の英語で回想していきます

曲の冒頭、不穏な音楽が会場を満たしていきます。語られる内容の一部は次のようなものです

「そこに私はほとんど意識を失って倒れていた。あたりはとても静かになっていた。-恐怖と苦痛ーそれから私は聞いた。軍曹が叫ぶのを、『数えろ!』。彼らは数え始めた。ゆっくりと不規則に。一、二、三、四。『気をつけろ』軍曹は再び叫んだ、『速くやれ!最初からやり直し!』ー分以内に俺は知りたい。何人をガス室送りにするのかを!『シェマーイスロエル(聞け、イスラエルよ)』と」

最後に、死を前にした、名もなき囚われの群衆たち(男声合唱)が、ヘブライ語で「聞け、イスラエルよ!」というユダヤ教の祈りを唱えます 私はプログラムで歌詞を読んでいるときは、もっと穏やかな曲だと思っていたのですが、実際に祈りの歌を聴くとかなり力強いので予想外でした

管楽器を中心に規模が拡大し、2曲目のベルク「ルル」組曲に入ります これは師シェーンベルクの60歳の誕生日のためにまとめられた作品です。魔性の女ルルが数々の男たちを巻き込んで破滅していく、世紀末を象徴するかのような不条理劇です

歌劇「ルル」については今年1月にMETライブビューイングで一度観ているので、ストーリーはある程度頭に入っています

ソプラノのチェン・レイスがワイン・レッドの鮮やかな衣装で登場、指揮者の脇にスタンバイします 彼女はウィーン国立歌劇場をはじめ世界の歌劇場で活躍している実力者です

この組曲は第1曲「ロンド」、第2曲「オスティナート」、第3曲「ルルの歌」、第4曲「変奏曲」、第5曲「アダージョ・ソステヌート」の5曲から成ります 第3曲「ルルの歌」で、レイスの美声が本領を発揮します。本当に美しい声で、力強く輝くソプラノです それに相当の美人です 第5曲「アダージョ・ソステヌート」でも、ルルを慕うゲシュヴィッツ嬢による「ルル、私の天使・・・」を優しく感情豊かに歌い上げました

チェン・レイスはオペラでは『ばらの騎士』のゾフィー、『セビリヤの理髪師』のロジーナ、『フィガロの結婚』のスザンナなどをレパートリーとしているようですが、一度、彼女のソプラノでオペラを聴いたみたいと思いました 『フィガロの結婚』では、スザンナも良いけれど、伯爵夫人の方が合っているような気がします

 

          

 

プログラム後半はブラームスの「ドイツレクイエム」です 男女混声コーラスが入場しオケの後方にスタンバイします。左サイドにソプラノ、中央にバス・バリトン、そしてテノール、右サイドにアルトという配置で総勢150人ほどです。この曲でもP席が使えないので、オケの後方に並びますが、相当窮屈そうです

ストラジャナッツとともにソプラノのチェン・レイスが黒のステージ衣装に着替えて登場します 歌うのが「レクイエム」ですから当然 衣装は黒ですね

この曲は、恩人シューマンが1856年に死去して間もなく作曲に取り掛かりましたが、1865年の母親の死を経て、1868年に完成しました 「ドイツ・レクイエム」という名称は、歌詞がラテン語でなく、聖書のドイツ語訳からブラームスが自由に選び出したことによります。7つの曲から成りますが、第1曲、第2曲、第4曲、第7曲が合唱によって歌われ、第3曲と第6曲にバリトンが加わり、第5曲にソプラノが加わります

ストラジャナッツはバス・バリトンでも軽い方のバリトンで声に伸びがあります ソプラノのチェン・レイスはこの曲でも美しい歌声を聴かせてくれました 世界には私の知らない素晴らしい歌手がまだまだたくさん存在するのだということを思わざるを得ません

蛇足ですが、彼女は10月1日、2日のサントリーホール30周年記念ガラ・コンサートにも出演しますが、そのチラシではヘン・ライスと標記されています。スペルは同じ Chen Reiss なので同一人物なのは間違いありません。日本語でどう標記するかの問題ですが、統一してほしいですね

 

          

 

「ドイツ・レクイエム」に戻ります。曲全体を俯瞰すると、第1曲の冒頭は「悲しみを負うものは幸いである」で始まり、最後の第7曲の冒頭は「主のもとで死を迎える人たちは幸いである」で始まることで統一感を持たせています

私はこの曲を聴くにあたって、NAXOSのCDで予習してきました この1週間ほど毎日繰り返し聴いてきたので、全体像を把握したうえで本番に臨むことができたのは良かったと思います

 

          

 

ソリストの二人の健闘はもちろんのこと、大健闘だったのは70分にも及ぶ大曲を歌い切った東響コーラスの面々です 安定感のある力強いコーラスは感動的でした ジョナサン・ノットの指揮のもと 熱演を繰り広げた東京交響楽団のメンバーにもブラボーを送ります

 

          

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「フェスタ サマーミューザ」のチケットを手配/青柳いづみこ「ドビュッシーとの散歩」を読む

2016年04月24日 08時50分43秒 | 日記

24日(日)。昨日は4月に入って3度目の コンサートも映画もない平穏な一日でした 今年は、昨日までコンサートに55回、映画を77本、本を19冊読みましたが、ブログではコンサートと映画の紹介に追われて、読書の感想をアップする機会が減っていることに内心忸怩たる思いがあります 読み終わっているのにブログにアップしていない本が7冊溜まっています。もう 溜まったものではありません 今日からペースを上げていきたいと思います 

話は変わりますが、昨日いつもGパンのポケットに入れている万歩計が見当たりません 洗濯したジャージを干そうとすると、何とズボンのポケットからひょっこり出てきました 万歩計、洗濯しちゃったみたい 洗濯機の中で歩数を稼いでいた訳ですね 万歩計君、目の回るような忙しさだったと思います。どうやら私のセンタク・ミスだったようです ということで、わが家に来てから574日目を迎え、明日に希望を見い出すモコタロです

 

          

           生きていれば そのうちいいこともあるさ オヤツの大盛りとか

 

  閑話休題  

 

昨日、夕食に「豚丼」と「生野菜のサラダ」を作りました 「豚丼」は珍しく大学に登校しないで 家にいた息子のリクエストです。告白すると、すき焼きのタレで焼きました

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

今年も「フェスタ サマーミューザ」の熱い季節がやってきます これは7月23日(土)から8月11日(木)まで、ミューザ川崎で開かれるオーケストラを中心とする音楽祭です

 

          

 

4月22日(金)はWeb会員先行発売日だったので、「オーケストラ10公演セット券」を手配しました S席45,000円が33,750円に割引されます 残念ながら、1階席の良い席はミューザ川崎の友の会・会員が先行発売で押さえてしまっていて、2階席しか取れませんでした

ラインアップは下のチラシの通りですが、オーケストラ10公演とは、東響(7/23オープニングと8/11フィナーレの2回)、新日本フィル(7/25)、東京フィル(7/27)、読売日響(7/28)、NHK響(7/30)、東京都響(7/31)、神奈川フィル(8/5)、日本フィル(8/7)、東京シティ・フィル(8/10)です

プログラムを見ると、各オーケストラの この音楽祭に臨むスタンスが分かります

定期演奏会の延長線上で手堅くプログラムを組んでいるのは東京交響楽団、新日本フィル、東京フィル、東京都響、神奈川フィル、日本フィル、東京シティ・フィルの7オーケストラで、このうち音楽監督や首席指揮者クラスを指揮者に迎えるのは東響(ジョナサン・ノット、秋山和慶)、新日本フィル(上岡敏之)、東京フィル(チョン・ミュンフン)、神奈川フィル(川瀬賢太郎)、東京シティ・フィル(飯守泰次郎)の5オーケストラです

一方、ポピュラー路線を採るのは読売日響(ジャズのスタンダード・ナンバー)とNHK響(映画音楽ほか)の2オーケストラです 公共放送や大新聞社をバックに経営基盤が安定しているという点で共通しているのは面白いですね

 

          

 

          

 

          

 

また、8月6日(土)の「真夏のバッハ」のチケットも手配しました これは松居直美のパイプオルガンと森麻季のソプラノによるコンサートです パイプオルガンだけだったらチケットを買うのに迷ったでしょうが、森麻季のソプラノも聴けるので買うことにしました

 

  またまた、閑話休題  

 

”読書”のペースアップの第1弾です 青柳いづみこ著「ドビュッシーとの散歩」(中公文庫)を読み終わりました 著者はピアニストで文筆家。安川加壽子とピエール・バルビゼに師事。フランス国立マルセイユ音楽院を首席で卒業。今やドビュッシー音楽の演奏・解釈の権威的存在です

 

          

 

この本はドビユッシーのピアノ作品のうち40曲を選び、豊富な知識を背景にそれらの魅力を 散歩するように気軽に語ったエッセイ集です

青柳さんが、一番初めに登場させるのは次のお馴染みの曲です

 亜麻色の長い髪を 風が優しくつつむ~

 乙女は胸に 白い花束を~

そう、1968年にヴィレッジ・シンガーズが歌ってヒットし、2002年に島谷ひとみがリバイバルでヒットさせた「亜麻色の乙女」です この曲をとっかかりに、ドビュッシーの「前奏曲集第1巻」第8曲の「亜麻色の髪の乙女」の解説に入っていきます この曲の元になったのは、高踏派の詩人ルコント・ド・リールの同名の詩で、ドビュッシーは20歳ごろ、この詩に基づく歌曲を書き、ヴァ二エ夫人という、年上の恋人だった歌姫に捧げているとのことです

青柳さんによると、ドビュッシーは相当の髪フェチだったようです サンソン・フランソワの先生だったイヴォンヌ・ルフェビュールがドビュッシーの前で彼のピアノ曲を弾いたあと 感想を求めると、「ごめんなさい。あなたの髪があまりに美しくてピアノを聴いていませんでした」と告白したというエピソードがあるそうです

このような形で、「沈める寺」「水の精」「西風の見たもの」「月の光」など、ドビュッシーのピアノ曲にまつわる事実やエピソードを紹介していきます。そしてドビュッシーを演奏する喜びを語ります

はっきり言って、この人は文章が非常にうまいです ピアノを弾ける人はもちろんのこと、弾けなくてもピアノ曲に興味のある人は興味深い話題に思わず引き込まれていきます とくに、ドビュッシーを弾く人にとって、この本は演奏のバイブル的な存在になるのではないかと思うほど、いちいち説得力があります 音楽が好きな人にお薦めします

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花房晴美「室内楽シリーズ~パリ・音楽のアトリエ 第11集 Chic & Shock」を聴く

2016年04月23日 08時56分34秒 | 日記

23日(土)。わが家に来てから573日目を迎えリビングから出ようかどうか迷っているモコタロです

 

          

 

  閑話休題  

 

昨夕、上野の東京文化会館小ホールで「花房晴美 室内楽シリーズ パリ・音楽のアトリエ 第11集 Chic & Shock」を聴きました プログラムは①エリック・サティ「グノシエンヌ第1番、第4番」、②同「幻想・ワルツ」、③イーゴリ・ストラヴィンスキー「タンゴ」、④サティ「スポーツと気晴らし」、⑤同「猫のシャンソン」、「いいとも、ショショット」、「優しく」、「あなたがほしい」(④⑤バリトン=坂下忠弘)、⑥ストラヴィンスキー「春の祭典」(2台ピアノ版)です 出演はピアノ=花房晴美、花房真美、朗読=幸田弘子、バリトン=坂下忠弘です

 

          

 

全席自由のため開場30分前の6時に並びました。すでに20数人が列を作っていましたが、結局 センターブロック 前から6列目の通路側席を確保しました 周りを見渡して見て分かることは、このコンサートの客層は高齢女性の花房晴美ファンが多いのではないか、ということです ヒロインのピアノ演奏はもちろんのこと、彼女の身に付けるファッションにも興味深々の目を向けるマダム連です 宝塚のズカ・ジェンヌみたいな乗りでしょうか リピーターが多いのではないかと想像します。主催者にとってこれ程ありがたい人たちはいないでしょう

さて、前半はピアノ独奏とバリトン独唱によるエリック・サティを中心とするプログラムです

 

          

 

花房晴美が 白を基調とした黒の模様の入ったエレガントなステージ・ドレスで登場、グランド・ピアノに向かいます エリック・サティの「グノシェンヌ」の第1番、第4番、「幻想・ワルツ」を続けて演奏します 彼女の演奏で聴くサティは”フランスの香り”を感じます

次にストラヴィンスキーの「タンゴ」をリズム感豊かに演奏します

再度、花房晴美が登場しピアノに向かうと、後からナレーターの幸田弘子が山高帽にステッキ姿で登場します 譜面台に向かおうとする時、ステッキが引っ掛かり、山高帽が落ちてしまいました 「慣れないものを被るから」と言って笑いを誘っていました。脱帽です

出し物はエリック・サティの「スポーツと気晴らし」です。この曲は12のピアノ小曲から成りますが、最初に曲を解説する幸田のナレーションがあり、次いで曲を演奏するスタイルで進行されます サティは皮肉屋で タイトルも風変わりなものが少なくありません。第1曲は「食欲が失せるコラール」、第19曲は「恋の火遊び」です

「舞台朗読」という新しい分野を確立した功績として1981年、82年、84年と続けて芸術祭優秀賞を受賞するなど、数多くの受賞歴を持つ幸田弘子のナレーションは堂々たるもので、姿勢もシャキッとしていました

次に、花房とともにバリトンの坂下忠弘(二期会所属)が胸にキラキラ輝く宝石を着けて登場し、エリック・サティの「歌詞のない3つの歌曲」から「ランブイエ」「鳥たち」の2曲歌います これは、まさに歌詞がないので 坂下は「あ~あ~」とスキャットのようにメロディーを歌います

坂下は次に 歌詞のある歌「猫のシャンソン」「いいともショット」「優しく」「君が欲しい」をフランス語で歌いました 私が分かるのは「君が欲しい」だけですが、「猫のシャンソン」と「いいともショット」は実に楽しい曲でした

気をよくした坂下はアンコールにフォーレの歌曲「夢の後に」を歌いました。それにつけてもフランス語は美しいですね

 

          

 

プログラム後半は、2台のピアノによるストラヴィンスキーの「春の祭典」です

花房姉妹が鮮やかな赤のステージ衣装で登場し、会場の女性陣からため息が漏れます ここで思ったのは、「花房晴美は、今回のタイトル『Chic &  Shock』を、プログラム前半と後半のステージ衣装の色で表現しようとしたのではないか シックな黒白とショックな赤で」ということです

向かって左サイドのファーストに晴美、右サイドのセカンドに真美がスタンバイします。いつも管弦楽で聴いている耳にはピアノだけによる「春の祭典」は新鮮に聴こえます ピアノはもちろん”鍵盤楽器”ですが、二人の演奏を聴いていると、ピアノはハンマーでピアノ線を叩いて音を出す”打楽器”であることを認識させられます

演奏中の花房晴美の右腕を見ていると、細い腕にも関わらず、筋肉が逞しく動きが俊敏であることに気が付きます 相当の力が働いているのでしょう。二人は暴力的なまでのバーバリズムの極致「春の祭典」を精緻に かつ大胆に演奏しました

ところでこの曲は、ディアギレフのバレエ団がニジンスキーの振付でバレエを上演する目的で、ピエール・モントゥの指揮により、1913年5月29日、パリのシャンゼリゼ劇場で初演されましたが、”これまで聴いたことのない野蛮な”作品に対し、賛成派と反対派が殴り合いの喧嘩を始めるほど大混乱に陥ったと言われています もし、自分が その時の聴衆の一人としてその場に居合わせていたら、「春の祭典」に対してどういう反応を示しただろうか?と考えると、多分 近くにある物を投げつけていたかも知れません 今でこそ、CDが普及して何度でも繰り返し聴いて、何の違和感も感じませんが、当時はそんな恵まれた環境にはなかったはずです

そんなことを考えているうち、最後の音が鳴り終わり、大きな拍手が起きました 二人はアンコールに、何の曲か分かりませんが、スコット・ジョプリンの”ラグ・タイム”風のリズミカルな曲をノリノリで演奏し、さらに大きな拍手を受けました

その後、花房晴美だけが登場し、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」を演奏し、コンサートの幕を閉じました

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ゲルギエフ+PMFオケのチケットをゲット/映画「マイ・ファニー・レディ」を観る

2016年04月22日 07時21分38秒 | 日記

22日(金)。わが家に来てから572日目を迎え、何かを勘違いしているモコタロです

 

          

              あ~ぁ いい湯だなぁ ドリフが懐かしいなぁ

 

  閑話休題  

 

昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜とワカメのサラダ」を作りました 食べている途中に 写真を撮るのを忘れていることに気が付き、慌てて写メをしたので、サラダが半分状態です

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

8月9日(火)午後7時からサントリーホールで開かれるワレリー・ゲルギエフ指揮PMFオーケストラのチケットを手配しました  プログラムは①メンデルスゾーン「交響曲第4番イ長調”イタリア”」、②ショスタコーヴィチ「交響曲第8番ハ短調」です 昨日は同ホール・メンバーズ・クラブの先行発売日だったので、朝10時に会員サイトにアクセスしました。当初A席を押さえるつもりでいたのですが、直前に、ゲルギエフの指揮ぶりを正面から見てみたいと思い、急きょP席に方針変更して予約を入れました

P席が取れたことは取れたのですが、急に予定を変更し 焦って座席をクリックしたので、同じP席でも後方の席になってしまいました 原因は座席配置図を上下逆さまに見ていたからです。てっきり、配置図の上の方がパイプオルガン側で下の方がステージ側だと思い込んでいたのですが、実際は逆でした。せっかく早めに手配して前方の席を押さえたと思ったのにドジを踏みました アフター・フェスティバル(後の祭り)です。私の場合、時々このような失態をしでかしますが、人間 このような失敗を繰り返して大人になっていくんだな、と思います。って あんたは子供か

 

         

          

 

  最後の、閑話休題  

 

昨日、神楽坂のギンレイホールでピーター・ボグダノヴィッチ監督の「マイ・ファニー・レディ」を観ました 2014年、アメリカ映画です

 

          

 

かつてコールガールをしていたハリウッドスターのイジーは、顧客として出会った演出家のアーノルドから「二度とこの職業に就かないと誓うなら、君の将来のために3万ドル(300万円)をプレゼントする」という信じられないような申し出を受けて人生が一変した過去の日々を振り返る

イジーは、アーノルドの妻デルタが主演する舞台のオーディションを受けるが、その演出家が偶然にも顧客のアーノルドだった 物語はこの二人を巡って、デルタに思いを寄せるスター俳優、イジーに一目ぼれする脚本家、その恋人で自己チューのセラピストなどがドタバタ喜劇を繰り広げる 実は、アーノルドはイジーだけでなく、他の何人かの女性にも大金を与えていたことが判明、本人はそれを内緒にしていたのに妻デルタにばれてしまう 果たして舞台は無事に初日を迎えることが出来るのか

 

          

 

何といっても、ヒロインのイジーを演じたイモージェン・プーツがチャーミングです アーノルドを演じたオーウェン・ウィルソンのあらゆる場面での慌てふためきぶりが何とも可笑しいし、人の言うことをまったく聞かず 相手を罵倒するセラピストを演じたジェニファー・アニストンの演技も傑作です 

理屈抜きで楽しめるアメリカン・コメディーです

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新国立オペラ、ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」を観る~ヴェントレにブラボー!

2016年04月21日 07時50分37秒 | 日記

21日(木)。4月から無職になって 社会的にも家庭的にも何の貢献もしていない娘に、「週に2~3回程度は夕食を作ったらどう?」と提案したら 受諾したので、めでたく私の料理の回数が減ります ということで、わが家に来てから571日目を迎え、オヤツよりも気になる存在に注意を向けるモコタロです

 

          

             あれは何だ? バットマン  スーパーマンか?

 

  閑話休題  

 

昨日、初台の新国立劇場でウンベルト・ジョルダーノの歌劇「アンドレア・シェニエ」を観ました  キャストはシェニエにカルロ・ヴェントレ、マッダレーナにマリア・ホセ・シーリ、ジェラールにヴィットリオ・ヴィテッリ、ルーシェに上江隼人、ぺルシに清水華澄、マデロンに竹本節子ほか、指揮はヤデル・ビニャミー二、管弦楽は東京フィル、演出はフィリップ・アルローです

 

          

 

時はフランス革命前夜。詩人シェニエとコワニー伯爵令嬢マッダレーナは運命的な出会いをする 時は過ぎてその5年後、マッダレーナは零落し、革命政府に批判的なシェニエはお尋ね者になっている かつてはコワニー伯爵家の従僕だったが、今や革命政府の高官となったジェラールも、かねてからマッダレーナに好意を寄せていた。ジェラールはシェニエを捕らえるが、マッダレーナの嘆願に心打たれ、シェニエの弁護に回るが死刑の判決が下る マッダレーナは別の死刑囚の身代わりとなり、シェニエと二人で断頭台に向かう

 

          

 

私はプルミエ(初日)会員ですが、今回の公演は東響定期公演と重なったため 新国立オペラの方を振替制度を利用して昨日に振り替えたのです そのため1階11列12番と、いつもより格段に良い席が割り当てられラッキーでした

私がフィリップ・アルローの演出でこのオペラを観るのは2005年11月、2010年11月に次いで、今回が3回目です 2回目の公演ではマッダレーナを大ファンのノルマ・ファンティー二が歌いました

冒頭の幕開けのシーンは、舞台正面に斜めに亀裂が入っており、それが左右に開いていくと、壁から椅子まですべて斜めに傾いています アルローの演出は、このオペラの背景にあるフランス革命直前の不安定さを表しているようです

第1幕は、コワニー伯爵家の宴会の準備の模様が描かれ、伯爵夫人の後に、ヒロインのマッダレーナが侍女のベルシを伴って登場し、詩人シェニエら招待客を迎えるのですが、今回の演出では、マッダレーナが余りにも軽薄ではしゃぎ過ぎのオキャンのように描かれていて、違和感がありました これでは、シェニエが夢中になるのに相応しい女性とは言えないのではないか、と思ってしまいます シェニエの真面目さに対して余りにも落差があり過ぎるように思います。もちろん、これはマッダレーナ役のマリア・ホセ・シーリのせいでも、侍女ベルシ役の清水華澄のせいでもなく、演出のせいです 「マッダレーナをノルマ・ファンティー二が歌った2010年の公演の時も今回のような演出だっただろうか? いや、何の違和感も感じなかったはず」と一人首を捻ってしまいました。もちろん、第2幕以降は”シリアスなヒロイン”マッダレーナに変身するので、それ以降は何の違和感もなく観られたのですが

 

          

 

一番印象に残ったのは、やはり主人公シェニエを演じたカルロ・ヴェントレです。ウルグアイ出身のテノールですが、力強く輝くテノールです とくに第4幕で、シェニエが 面会に来たルーシェに辞世の詩を詠み聞かせる「5月のある美しい一日のように」は、聴衆に息をさせないほどの輝きをもった迫力に満ちた歌声でした

また、昨年の新国立オペラ「トスカ」でタイトルロールを歌ったマッダレーナ役のマリア・ホセ・シーリもウルグアイ出身で、世界中のオペラハウスで歌っているソプラノです 今回も期待通りの美しくも力のあるソプラノを聴かせてくれました とくに第3幕で、ジェラールに愛を告白されたマッダレーナが、シェニエの命と引き換えに自分を差し出すと答え、「母を殺され、家も焼かれて悲惨な境遇になった私は愛によって生きる希望を得た」と歌う「亡くなった母を」は感動的でした この曲はマリア・カラスの「オペラ・アリア集」のCDに入っていて、何度も繰り返し聴いている大好きな曲です

第4幕の終盤、看守に名前を呼ばれたシェニエとマッダレーナが声を揃えて歌う「さあ、共に死のう!」は、ヴェントレとシーリの息がピッタリと合い、力強くフィナーレを迎えました

ジェラールを歌ったヴィットリオ・ヴィテッリはイタリア出身で、新国立オペラでは「イル・トロヴァトーレ」のルーナ伯爵などを歌っているバリトンですが、声に力があり、演技力もあります

日本人歌手も頑張っていましたが、一人だけ挙げると、第3幕で「戦死した息子の代わりに15歳の孫を差し出します」という「息子は死にました」を歌ったマデロン役の竹本節子です 歌も切実だったし、本音は手放したくないけれど大義のため仕方なく差し出す、という老女の揺れる心を身体全体で表現していました

最後に、今回が新国立オペラ初登場の指揮者、イタリア出身のヤデル・ビニャミー二は、東京フィルとともに歌手に寄り添い 感動的にジョルダーノのオペラを歌い上げていました

 

          

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