31日(日).早いもので,7月も今日で終わりです わが家に来てから672日目を迎え,何故か昨日の「土用丑の日」の夕食”うな重”を予想するモコタロです
なんか カバを焼く もとい うなぎのかば焼きの匂いがするんだよね
モコタロに感づかれたとおり 昨日の夕食はうな重でした
閑話休題
昨夕,ミューザ川崎でNHK交響楽団の「ヒーロー&ヒロイン大集合」公演を聴きました これは7月23日から8月11日までミューザ川崎で開かれている「フェスタサマーミューザ」の一環として開かれたコンサートです タイトルの通り テレビ・映画音楽が演奏されました.指揮は広上淳一,ヴァイオリン独奏は服部百音,ピアノ独奏は小林愛美です
ミューザ入口を入ってすぐ左側には26日に急逝したピアニスト・中村紘子の追悼コーナーが設けられていました
彼女はちょうど3か月前の4月30日にミューザ川崎で開催された東響「名曲全集」公演でモーツアルト「ピアノ協奏曲第24番」を弾いたばかりだったそうです あらためて故人の冥福をお祈りいたします
午後4時からの本公演に先立って,3時から同じ会場でN響メンバーによる「室内楽コンサート」が開かれました
最初にホルン四重奏による演奏がありました 首席の福川伸陽以下,勝俣泰,木川博史,上里友二がパイプオルガンのすぐ下にスタンバイし,J.ぺツェル「タワーミュージック」とM.プレトリウス「バロック組曲」を演奏しました.さすがN響のホルン・セクションは優秀です ステージ上ではなく,一段上のパイプオルガン下で演奏したのが音響的には良かったと思います
次いで弦楽四重奏による演奏がありました.第1ヴァイオリン=猶井悠樹,第2ヴァイオリン=宮川奈々,ヴィオラ=中村翔太郎,チェロ=市寛也によってラヴェルの「弦楽四重奏曲」から第1,第2楽章が演奏されました 猶井氏は「この曲を初めて聴いた時は音と共に色が見えました」と解説していましたが,ラヴェルの音楽の本質を表している言葉だと思いました 4人の演奏を聴いて,さすがN響は優秀な人たちが集まっているな,と思いました
さて,本番です.会場は空席を数える方が早いと思えるほど,ほぼ満席状態です コンサートのコンセプトからして子供が多いと予想していたのですが,それはむしろ少数派で,「昔 子どもだった」人たちが数多く集結した感じです
オケがスタンバイします.コンマスはマロ篠崎氏です.チューニングが終わると,ソフトバンク会長の孫正義氏がスマホを持って登場・・??・・失礼しました,指揮者の広上淳一がタクトを持って登場します あまりにも似ているものですから つい間違えてしまいました
さっそく1曲目のジョン・ウィリアム作曲「スーパーマン」から「スーパーマン・マーチ」を勇壮に演奏しました スーパーマンの映画を初めて見た時の興奮が蘇ってきました
ここでナビゲーターのフリー・アナ平井理央が登場,指揮者とオケを紹介し自己紹介をしました そして,2曲目の伊福部昭作曲「SF交響ファンタジー第1番」からゴジラのテーマ音楽他が演奏されました 映画「ゴジラ」は1954年に公開されました.私も父親に連れられて近所の映画館に観に行きましたが,とにかく怖かったのを覚えています 今あらためて「ゴジラ」の音楽を聴くとリズム中心の躍動感あふれる音楽で,怖いと言うよりも勇壮な感じがします
次はバリー・グレイ作曲「サンダーバード」の音楽です 「オープニング」「トレーシー島」「サンダーバード・マーチ」が演奏されました.「サンダーバード」は1965年からイギリスで放映されたテレビ番組で,日本では1966年にNHKが放映しました.私はこの番組を観ていたはずですが,音楽はまったく覚えていませんでした
次は服部隆之作曲によるNHKで現在放映中の大河ドラマ「真田丸」のテーマ音楽です 私はテレビを観ないのでどういうストーリーか全く分からないのですが,ヴァイオリン独奏を担当する服部百音(もね)さんは作曲者の服部隆之氏のお嬢さんとのことです.1999年生まれの17歳ですが,内外のコンクールで優秀な成績を収めています 現在スイスのザハール・ブロン・アカデミーに在籍し,東京音大付属高校の特別特待奨学生です
指揮者の広上が やおら 六文銭を背中にデザインした法被を着こんで会場の笑いを誘います 真っ赤なドレスの服部百音が登場しますが,よく見ると,衣装の一部に六文銭が描かれていて,これがまた笑いを誘います しかし本人は真面目そのものなので,なおさら受けます 早速 「真田丸」の演奏に入ります 演奏中,二組の六文銭がステージ上で踊っていました.百音さんの演奏は素晴らしく 六文どころか百両の価値がありました
前半最後の曲はワックスマン作曲「カルメン幻想曲」です この曲はワックスマンが1947年に,名ヴァイオリニスト,ヤッシャ・ハイフェッツのために作曲した協奏曲スタイルの作品で,ビゼーの歌劇「カルメン」から前奏曲,間奏曲,アリアなどをメドレーにしたものです
服部百音が再度登場しますが,さすがに六文銭は外しています.17歳とは思えない円熟した演奏で,妖艶なカルメンの世界を描いていました
休憩後の最初は久石譲作曲によるアニメ映画「千と千尋の神隠し」から「あの夏へ」,続いて同じ作曲家による映画「魔女の宅急便」から「海の見える街」です ナビゲーターの平井理央が再度登場
「私は小学校低学年の時に『魔女の宅急便』に夢中になって,ヒロインの魔女キキのマネをして箒にまたがって空を飛ぼうとしましたが,飛べませんでした」(会場・笑)
「失笑,ありがとうございました」(会場・大笑)
平井理央おもろいキャラです
昨年のショパン・コンクールのファイナリスト小林愛美(あいみ)が明るい水色の衣装で登場,ピアノに向かいます 「あの夏へ」をメランコリックに,「海の見える街」を軽快に演奏しました
次は冬木透作曲の交響詩「ウルトラセブン」の音楽です この番組は1967年からテレビ放映されました.再度平井理央が登場,コンマスのマロさんにインタビューします
理央「マロさんはウルトラセブンの大ファンだったそうですが,どういう思い出がありますか?」
マロ「子どものころは夢中でした ウルトラセブンの最終回で 今までと違う曲が流れてきて,何だろう?と思ったのですが,後で分かったのは,シューマンのピアノ協奏曲の冒頭部分だったのです また,別の回(注:第47話『あなたはだぁれ?』 )では なぜか物凄く怖いシーンでヨハン・シュトラウスの『皇帝円舞曲』が使われていました」
そしてマロがウルトラセブンのヒーローに,理央がヒロインに成りきってセリフのやり取りをすると,小林愛実+オケがシューマンのピアノ協奏曲の冒頭を演奏したので,聴衆に大いに受けました
そして,「ウルトラセブン」の音楽の演奏に入りました 「テーマ音楽」「ウルトラ警備隊の歌」が演奏されましたが,曲に合わせて「セブン,セブン,セブン~」と一人口ずさんでしまいました.懐かしか~
最後に,1889年ベルリンに完成した新しい劇場のオープンを祝うために作曲されたヨハン・シュトラウスの「皇帝円舞曲」が情緒たっぷりに演奏されました この日唯一の正統派クラシック音楽です.思わず耳を傾けて聴き入りました
文字通り満席の会場の拍手を受けて,広上+N響は「ドラゴンクエスト」から「そして伝説へ」を勇壮に演奏し,コンサートの幕を閉じました
最初は天下のN響が映画・テレビのアニメ音楽 と不可思議に思っていましたが,考えてみれば「ゴジラ」のテーマ音楽を初めて演奏したのはN響だったし,放送局のオーケストラなのでテレビ番組のテーマ音楽を演奏するのは当たり前のことなのです
この日のコンサートを聴いて,あらためてN響は管楽器も弦楽器も打楽器も各人のクオリティーが高いな,と思いました