人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

広上淳一+N響で「ヒーロー&ヒロイン大集合」コンサートを聴く~フェスタサマーミューザ

2016年07月31日 07時24分55秒 | 日記

31日(日).早いもので,7月も今日で終わりです わが家に来てから672日目を迎え,何故か昨日の「土用丑の日」の夕食”うな重”を予想するモコタロです

 

          

          なんか カバを焼く もとい うなぎのかば焼きの匂いがするんだよね 

 

          

                                 モコタロに感づかれたとおり 昨日の夕食はうな重でした 

 

  閑話休題  

 

昨夕,ミューザ川崎でNHK交響楽団の「ヒーロー&ヒロイン大集合」公演を聴きました これは7月23日から8月11日までミューザ川崎で開かれている「フェスタサマーミューザ」の一環として開かれたコンサートです タイトルの通り テレビ・映画音楽が演奏されました.指揮は広上淳一,ヴァイオリン独奏は服部百音,ピアノ独奏は小林愛美です

ミューザ入口を入ってすぐ左側には26日に急逝したピアニスト・中村紘子の追悼コーナーが設けられていました

 

          

 

彼女はちょうど3か月前の4月30日にミューザ川崎で開催された東響「名曲全集」公演でモーツアルト「ピアノ協奏曲第24番」を弾いたばかりだったそうです あらためて故人の冥福をお祈りいたします

 

          

 

午後4時からの本公演に先立って,3時から同じ会場でN響メンバーによる「室内楽コンサート」が開かれました 

最初にホルン四重奏による演奏がありました 首席の福川伸陽以下,勝俣泰,木川博史,上里友二がパイプオルガンのすぐ下にスタンバイし,J.ぺツェル「タワーミュージック」とM.プレトリウス「バロック組曲」を演奏しました.さすがN響のホルン・セクションは優秀です ステージ上ではなく,一段上のパイプオルガン下で演奏したのが音響的には良かったと思います

次いで弦楽四重奏による演奏がありました.第1ヴァイオリン=猶井悠樹,第2ヴァイオリン=宮川奈々,ヴィオラ=中村翔太郎,チェロ=市寛也によってラヴェルの「弦楽四重奏曲」から第1,第2楽章が演奏されました 猶井氏は「この曲を初めて聴いた時は音と共に色が見えました」と解説していましたが,ラヴェルの音楽の本質を表している言葉だと思いました 4人の演奏を聴いて,さすがN響は優秀な人たちが集まっているな,と思いました

 

          

 

さて,本番です.会場は空席を数える方が早いと思えるほど,ほぼ満席状態です コンサートのコンセプトからして子供が多いと予想していたのですが,それはむしろ少数派で,「昔 子どもだった」人たちが数多く集結した感じです

オケがスタンバイします.コンマスはマロ篠崎氏です.チューニングが終わると,ソフトバンク会長の孫正義氏がスマホを持って登場・・??・・失礼しました,指揮者の広上淳一がタクトを持って登場します あまりにも似ているものですから つい間違えてしまいました

さっそく1曲目のジョン・ウィリアム作曲「スーパーマン」から「スーパーマン・マーチ」を勇壮に演奏しました スーパーマンの映画を初めて見た時の興奮が蘇ってきました

ここでナビゲーターのフリー・アナ平井理央が登場,指揮者とオケを紹介し自己紹介をしました そして,2曲目の伊福部昭作曲「SF交響ファンタジー第1番」からゴジラのテーマ音楽他が演奏されました 映画「ゴジラ」は1954年に公開されました.私も父親に連れられて近所の映画館に観に行きましたが,とにかく怖かったのを覚えています 今あらためて「ゴジラ」の音楽を聴くとリズム中心の躍動感あふれる音楽で,怖いと言うよりも勇壮な感じがします

次はバリー・グレイ作曲「サンダーバード」の音楽です 「オープニング」「トレーシー島」「サンダーバード・マーチ」が演奏されました.「サンダーバード」は1965年からイギリスで放映されたテレビ番組で,日本では1966年にNHKが放映しました.私はこの番組を観ていたはずですが,音楽はまったく覚えていませんでした

次は服部隆之作曲によるNHKで現在放映中の大河ドラマ「真田丸」のテーマ音楽です 私はテレビを観ないのでどういうストーリーか全く分からないのですが,ヴァイオリン独奏を担当する服部百音(もね)さんは作曲者の服部隆之氏のお嬢さんとのことです.1999年生まれの17歳ですが,内外のコンクールで優秀な成績を収めています 現在スイスのザハール・ブロン・アカデミーに在籍し,東京音大付属高校の特別特待奨学生です

指揮者の広上が やおら 六文銭を背中にデザインした法被を着こんで会場の笑いを誘います 真っ赤なドレスの服部百音が登場しますが,よく見ると,衣装の一部に六文銭が描かれていて,これがまた笑いを誘います しかし本人は真面目そのものなので,なおさら受けます 早速 「真田丸」の演奏に入ります 演奏中,二組の六文銭がステージ上で踊っていました.百音さんの演奏は素晴らしく 六文どころか百両の価値がありました

前半最後の曲はワックスマン作曲「カルメン幻想曲」です この曲はワックスマンが1947年に,名ヴァイオリニスト,ヤッシャ・ハイフェッツのために作曲した協奏曲スタイルの作品で,ビゼーの歌劇「カルメン」から前奏曲,間奏曲,アリアなどをメドレーにしたものです

服部百音が再度登場しますが,さすがに六文銭は外しています.17歳とは思えない円熟した演奏で,妖艶なカルメンの世界を描いていました

 

          

 

休憩後の最初は久石譲作曲によるアニメ映画「千と千尋の神隠し」から「あの夏へ」,続いて同じ作曲家による映画「魔女の宅急便」から「海の見える街」です ナビゲーターの平井理央が再度登場

「私は小学校低学年の時に『魔女の宅急便』に夢中になって,ヒロインの魔女キキのマネをして箒にまたがって空を飛ぼうとしましたが,飛べませんでした」(会場・笑)

「失笑,ありがとうございました」(会場・大笑)

平井理央おもろいキャラです

昨年のショパン・コンクールのファイナリスト小林愛美(あいみ)が明るい水色の衣装で登場,ピアノに向かいます 「あの夏へ」をメランコリックに,「海の見える街」を軽快に演奏しました

次は冬木透作曲の交響詩「ウルトラセブン」の音楽です この番組は1967年からテレビ放映されました.再度平井理央が登場,コンマスのマロさんにインタビューします

理央「マロさんはウルトラセブンの大ファンだったそうですが,どういう思い出がありますか?」

マロ「子どものころは夢中でした ウルトラセブンの最終回で 今までと違う曲が流れてきて,何だろう?と思ったのですが,後で分かったのは,シューマンのピアノ協奏曲の冒頭部分だったのです また,別の回(注:第47話『あなたはだぁれ?』 )では なぜか物凄く怖いシーンでヨハン・シュトラウスの『皇帝円舞曲』が使われていました

そしてマロがウルトラセブンのヒーローに,理央がヒロインに成りきってセリフのやり取りをすると,小林愛実+オケがシューマンのピアノ協奏曲の冒頭を演奏したので,聴衆に大いに受けました

そして,「ウルトラセブン」の音楽の演奏に入りました 「テーマ音楽」「ウルトラ警備隊の歌」が演奏されましたが,曲に合わせて「セブン,セブン,セブン~」と一人口ずさんでしまいました.懐かしか~

 

          

 

最後に,1889年ベルリンに完成した新しい劇場のオープンを祝うために作曲されたヨハン・シュトラウスの「皇帝円舞曲」が情緒たっぷりに演奏されました この日唯一の正統派クラシック音楽です.思わず耳を傾けて聴き入りました

文字通り満席の会場の拍手を受けて,広上+N響は「ドラゴンクエスト」から「そして伝説へ」を勇壮に演奏し,コンサートの幕を閉じました

最初は天下のN響が映画・テレビのアニメ音楽  と不可思議に思っていましたが,考えてみれば「ゴジラ」のテーマ音楽を初めて演奏したのはN響だったし,放送局のオーケストラなのでテレビ番組のテーマ音楽を演奏するのは当たり前のことなのです

この日のコンサートを聴いて,あらためてN響は管楽器も弦楽器も打楽器も各人のクオリティーが高いな,と思いました

 

          

          

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和田竜著「村上海賊の娘 第一巻,第二巻」他を買う/ピアニスト中村紘子さんの死去を悼む

2016年07月30日 07時56分54秒 | 日記

30日(土).27日にN響年会費を振り込んだら,昨29日にはもう9枚のチケットが送られてきました さすがはNHK(日本 速いのがとりえ 協会)です

話は変わりますが,昨日の朝刊各紙の「中村紘子さん死去」の記事にはビックリしました 2014年に大腸がんが見つかってから,休業と復帰を繰り返していたことは新聞報道で知っていましたが,まさか それほど深刻な状況にあるとは思いもよりませんでした

中村紘子と言えば,中学3年の時に日本音楽コンクールで優勝,米ジュリアード音楽院でロジーナ・レヴィンに学び,65年のショパン国際ピアノコンクールで4位に入賞し最年少賞を受賞するなど”天才少女”の異名を欲しいままにしました(この時の優勝者はマルタ・アルゲリッチ).またチャイコフスキー国際コンクールやショパン・コンクールなど世界的に権威のある数々のコンクールの審査員を務め,89年には国際コンクールの舞台裏を書いた「チャイコフスキー・コンクール」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するなど文才も見せました この作品は私も読みましたが,「この人はピアノを演奏するよりも,文章を書く才能の方が優れているのではないか」と思ったほど素晴らしい文章を書いています

また,NHK教育テレビで放映された「ピアノとともに(ピアノのけいこ)」の講師として子供たちを指導する様子を何度か観ましたが,自ら弾いて手本を見せる時の厳しい眼差しが忘れられません あらためて故人のご冥福をお祈りいたします

というわけで,わが家に来てから671日目を迎え,梅雨が明けて あまりの暑さにセンスに近づくモコタロです

 

          

            ぼくのヒゲはセンサーなんだ どう ぼく センス良くね? 

 

  閑話休題  

 

昨日昼,大学時代の友人で千葉県勝浦市在住のS君ご夫妻と内幸町の飯野ビル地下1階にある和食レストランIで会食しました S君と会うのは昨年12月18日以来7か月ぶりです.奥さまにお目にかかるのは彼らの結婚式の時以来なのでン十年ぶりです.しっかり者の奧さんという印象です

S君が車を運転してきたので,奥さまと私がビール,S君だけノン・アルコール・ビールで乾杯して会席料理をいただきました 驚いたのは,S君が,学生時代に私が彼に宛てて書いた年賀状や,旅先から彼に宛てた絵葉書を何枚か持参して見せてくれたことです 何と物持ちの良い男でしょう その中の1枚には「今,釧路のK君のところに世話になっている.これから摩周湖,屈斜路湖に二人で行く」と書かれていました.思い起こせば,大学4年の夏,学生時代最後の夏休みということで,(別の)K君と私とで,弘前にある同じゼミのS君宅に宿泊し”ねぷた祭り”と青森の”ねぶた祭り”を見学して,その後,K君は東北地方を回って帰京,私は一人 青函連絡船に乗って北海道に渡りました 函館から釧路に出て大学時代の友人K君宅に泊めてもらうことになったのです.その時に書いた絵葉書でした その後,私は釧路を一人で発ち 網走から旭川に戻り稚内に北上して礼文島に渡りました.背中に寝袋を背負って移動し駅に寝泊まりする”蟹族”と呼ばれた約2週間の一人旅でした

話が尽きないので,同じ飯野ビル内の喫茶店に移って話を続けましたが,なぜか,S君はガリ版刷りの大学1年時の”新聞学科”の名簿を持っていました S君自身もなぜ自分が持っているのか思い出せないということでした 名簿を見て,新宿西口公園で開かれていた革マル派の集会を一緒に冷やかしにいった茨城出身のO君,「女子高の先生になるんだ」と言って学芸大を受験して移っていったM君の名前を見て懐かしさが込み上げてきました 彼らは今頃どうしているのだろうか

別れ際に,今度は是非 勝浦に遊びに来てくれと声を掛けてもらったので,スケジュールを調整(とにかく難しいのですが)した上で,いずれ伺うことにしました

 

  も一度,閑話休題  

 

本を4冊買いました.1冊目と2冊目は和田竜著「村上海賊の娘 第一巻,第二巻」(新潮文庫)です ご存知「本屋大賞」を受賞して話題になった作品です

 

          

          

 

3冊目は米澤穂信著「リカーシブル」(新潮文庫)です 米澤穂信の作品はこのブログでも何冊かご紹介しましたね

 

          

 

4冊目は伊坂幸太郎著「死神の浮力」(文春文庫)です 伊坂幸太郎の作品も,文庫化すると必ず買い求めてこのブログでもご紹介してきました

 

          

 

それにしても,前の本が読み終らないのにまた新しい本を買ってしまいました 一番良い方法は書店に行かないことですが,それが出来ないのです こういうのを”活字中毒”と言うのでしょうね

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ボフ佐久間+前田憲男+読売日響でジャズとシャンソンの名曲を聴く~フェスタサマーミューザ

2016年07月29日 07時28分35秒 | 日記

29日(金).わが家に来てから670日目を迎え,本に載っている料理を食べようと狙っている 食いしん坊モコタロです

 

          

               これって ご主人の料理のアンチョコの1冊だな きっと

 

  閑話休題  

 

昨日の夕食は「ステーキ」,「生野菜とワカメとツナのサラダ」,「冷奴」にしました 息子が相変わらず毎日のように深夜の帰宅なので,体力を付けさせて夏を乗り切らせようと思うと,どうしても肉が中心になってしまいます

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,ミューザ川崎で読売日響の「フルオーケストラが奏でる懐かしのジャズ&シャンソン」公演を聴きました これは7月23日から8月11までミューザ川崎で開かれている「フェスタサマーミューザ」の一環として開かれた公演です プログラムの前半はボブ佐久間,萩田光雄の指揮によるグレンミラー・メドレー他,後半は指揮・ピアノ・編曲=前田憲男によるジャズ・コーナー他です

 

          

 

午後3時の開演に先立って,2時20分から同じ会場でボブ佐久間と前田憲男による「プレトーク」がありました ボブ佐久間の経歴を見ると 何と19歳で東京交響楽団にヴァイオリニストとして入団しています.その後ジャズピアニストを経て23歳で作曲家としてデビューを飾ったとのことです 一方,前田憲男は独学でピアノを習得し,高校卒業と同時にプロ入りしたとのことです

赤縁メガネで背の高い(190センチ位ありそう)ボブ佐久間とヨボヨボ歩きの前田の凸凹コンビ(失礼!)がステージに登場します かつてテレビ番組で見た前田も随分歳をとったものだと思いました.佐久間が進行役を務めプレトークが始まりました

佐久間:われわれがアレンジャー(編曲家)としてデビューしたころの70年代は,アレンジャーはゴレンジャーだか何だか訳の分からない存在で,安い賃金でこき使われていました 編曲家ほど,割りの合わない職業はないと思います 当時 日本編曲家協会というのが出来たのですが,会員は十数人しかいませんでした.それが今では200人以上もいます 当時は編曲家になるための学校やコースは無かったので自分で勉強するしかなかったのですが,現在では音楽大学に編曲家コースなども出来ているので,そうしたことが背景にあるのかもしれません ところで前田先生,作曲家と編曲家の違いは何でしょうか?

前田:作曲家は,コンポーザーとか言われますが,そんな大それた存在じゃなくて,要するにメロディーメーカーです それに対して編曲家は,それを演奏できるようにアレンジするのが仕事です.お茶漬けを食べるのに,毎日同じ味では飽きてしまう.そこで,今日は明太子をのせてみようとか考える それがアレンジャーの仕事です.バッハやモーツアルトの時代には作曲家=編曲家だったのですが,現代では役割分担が明確になってきています

佐久間:編曲の仕事は苦労の割りには実入りが少ない,割りに合わない職業です(これで2回目の発言).本日は3人のアレンジャーが登場しますが,共通するのは3人とも音楽大学を出ていないということです われわれの周りで流れている音楽は,電車の発車通知音をはじめ ほとんどがデジタルです デジタルでなく,今日のコンサートのように生で音楽を聴く機会がもっと増えると 心に余裕ができて良いと思っています.お楽しみください

ボブさん,何とか無難にまとめましたね  good bob  じゃなかった.good job

 

          

 

さて本番です.コンマスは誰か?と予想を立てていると,なんとドイツを拠点に活躍する日下紗矢子が登場しました ポップスなのに日下?と驚きましたが,なぜ彼女が登板したのか,後で分かります 会場は6割程度の入りでしょうか.ちょっと寂しい感じがします

最初はボブ佐久間の指揮による「いい日旅立ち」です この曲は谷村新司の作詞・作曲で,山口百恵が歌い1978年11月にシングル・レコードがリリースされました.今回,ボブ佐久間の編曲により演奏されました なになに,私のカラオケの持ち歌だって? ああ そうですか.

ボブ佐久間が退場し,代わりに萩田光雄が登場します.背の高さが大きく違うので譜面台が代えられます これは指揮者が代わるごとに代えられることになります

2曲目は萩田光雄編曲・指揮による「『異邦人』の旅」です 森田光雄は1979年に久保田早紀が作詞・作曲して歌ってヒットした「異邦人」を編曲したり,あみんの「待つわ」,太田裕美の「木綿のハンカチーフ」,中森明菜の「飾りじゃないのよ涙は」などを編曲しました.一番有名なのは,布施明が歌った「シクラメンのかほり」で日本レコード大賞を受賞していることです 「異邦人」をアレンジした曲がゴージャスに鳴り響きます なになに.これも私のカラオケの持ち歌だって? あっ そう  一人で歌ってれば.

ここでギターの斎藤明子が登場し,指揮者の脇にスタンバイします そして,永六輔と中村八大コンビニによる「遠くへ行きたい」(1962年)をギターとオーケストラで演奏しました コーラングレの懐かしいメロディーが心に沁みわたります

4曲目はタレガがフランスの作曲家アラール〈1815-88〉のヴァイオリン用練習曲をギター曲に編曲した「アラールの華麗なる練習曲」です 斎藤明子の軽快な演奏が心地よく響きます

再度,ボブ佐久間が登場し,グレンミラー・メドレーに移ります グレンミラー(1904-44)はトロンボーン奏者,バンド・リーダーとして活躍しました.スウィング・ジャズ時代にビッグ・バンドによるジャズ音楽を完成させた偉人です 「イン・ザ・ムード」「茶色の小瓶」「真珠の首飾り」がメドレーで演奏され,次いで「ムーンライト・セレナーデ」が演奏されました 「ムーンライト・セレナーデ」におけるクラリネット首席・藤井洋子の演奏はノッテましたね

 

          

 

休憩時間に,前日初めて話をした隣席の高齢男性とオーケストラ談議に花が咲きました 話していると,彼もいくつかのオーケストラの年間会員になっていて,結構コンサート通いをしているようでした 現在 少なくとも東響,読売日響,日本フィルの会員のようで,かつて会員だったのは新日本フィルとN響とのことです.会員になる最大の要素はプログラミングで,難しい曲目が並ぶと会員を辞めるそうです 極めて保守的なリスナーのようです 彼は地元神奈川県に在住で,先日,新日本フィルを振った上岡敏之は湘南中学の出身だと教えてくれました.指揮者の名前が次々とポンポン出てくるので,相当聴き込んでいると思いました

さて,プログラム後半 最初は「前田憲男スペシャル・ジャズコーナー VIVA!!チャイコフスキー」です 指揮とピアノを前田憲男が担当します.1曲目はチャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」をアレンジしたものです グランドピアノが中央に縦に置かれ,前田憲男は客席に背を向ける形で指揮をしながらピアノを弾きます.オケが演奏し,次にピアノが演奏し,という具合に順番に演奏する形だったので,もう少し両者が絡んでもいいのかなと思いました

次いでバレエ音楽「くるみ割り人形」から「花のワルツ」が演奏されました こちらの方がピアノとオケのアンサンブルが心地よく響きました ハープも良い演奏でした.演奏が終わると前田はカーテンコールの後,客席に一礼して引っ込んでしまい,オケを立たせることがありませんでした さすがは大物です.「おれがアレンジしたんだ!どうだ,まいったか」てなもんでしょう 

前田さん,演奏する人がいて初めてアレンジャーの仕事が完結するのだと思いますが,いかがでしょうか?自分のことだけを考えているとエゴレンジャーになってしまいますよ もっとオーケストラの人たちを大切にしましょうね

次いでボブ佐久間が三たび登場,「ロマンティック・シャンソン」のコーナーに移りました 「パリの空の下」「枯葉」「バラ色の人生」「サン・トワ・マミー」がメドレーで演奏されました 日下紗矢子がその場で立ってソロを務めましたが,ヴァイオリンの音色の美しさで聴衆を唸らせました これが,読響の狙いだったのですね 東京フィルは指揮者チョン・ミュンフンで勝負を賭けましたが,読響はコンミス日下紗矢子で勝負を賭けてきました

次いでアメリカのヘンリー・クレイ・ワーク作曲「大きな古時計」,ビリー・ストレイホーン作曲「A列車で行こう」,ルイ・プリマ作曲「シング・シング・シング」が続けて演奏されました とくに後の2曲はビッグ・バンド・ジャズの王道を行く曲で,普段まじめな顔をしてクラシック音楽を演奏している楽員たちもノリノリで演奏していました

演奏後は大きな拍手とブラボーがかかりました ボブ佐久間+読響はアンコールに「アメイジング・グレイス」を演奏し,公演の幕を閉じました

たまにはオーケストラもクラシックを離れてジャズやシャンソンを演奏するのも良いものだと思いますが,聴衆の数が少ないのが残念でした この日一番印象に残っているのはコンミス日下紗矢子がソロを務めたシャンソン・メドレーです.本当に素晴らしい演奏でした

 

          

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チョン・ミュンフン+東京フィルでチャイコフスキー「交響曲第4番」他を聴く~フェスタサマーミューザ

2016年07月28日 07時30分17秒 | 日記

28日(木).NHK交響楽団から年会費(9月以降の9公演)の請求書が届いたので,コンビニ経由で払い込みました それにしても請求に関しては迅速です.さすがはNHK(日本 振り込め早く 今日かい?)だと感嘆しました ということで,わが家に来てから669日目を迎え,缶酎ハイの味見をしようとしているモコタロです

 

          

             缶酎ハイもいろいろ種類があるから迷っちゃうよね おたくビール派?

 

 

  閑話休題  

 

昨夕,ミューザ川崎で東京フィルの「チョン・ミュンフンの情熱」公演を聴きました これは7月23日から8月11までミューザ川崎で開かれている「フェスタサマーミューザ」の一環として開かれたコンサートです プログラムは①チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」,②同「交響曲第4番ヘ短調」です.①のヴァイオリン独奏は韓国のクララ=ジュミ・カン,指揮は桂冠名誉指揮者のチョン・ミョンフンです

 

          

 

午後7時からの開演に先立って,3時半から同じ会場で公開リハーサルがありました 全自由席です.早めに並んで,2階センターに近い右ブロックの前方の席を押さえました リハーサルにも関わらず会場の半分近くが埋まっています.チョン・ミュンフン人気でしょう すでにオケのメンバーがTシャツにジーンズといったラフな格好で各自のパートの練習に勤しんでいます オケの態勢は左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという並びです

白のポロシャツに黒のズボンといった普段着のチョン・ミュンフンが登場し,指揮台の上に設置された椅子に座ります そのままランニングにでも行けそうな上下黒のウェアを着たクララ=ジュミ・カンが共に登場します チョンの「おはようございます」という日本語でリハーサルが始まりました

プログラム通りチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」の第1楽章から仕上げをするようです.指揮者,オケ,ソリストともに本番よりはリラックスした様子で演奏しますが,ソリストのヴァイオリンが良く会場に響きます この楽章はヴァイオリン独奏によるカデンツァが長いので,かなり短縮しました.しかし,第2楽章以降は通しておさらいしフィナーレに持っていきました.所要時間は40分でした

10分の休憩の後,「交響曲第4番」のリハーサルに入ります.この曲は,第4楽章,第3楽章,第1楽章,第2楽章の順にリハーサルを行いました チョン・ミュンフンは座って指揮しているとはいえ,時に腰を浮かせてメリハリのある音楽作りに努めていました 各楽章とも途中で演奏を止め,簡単な注意を与え,次の楽章に移っていました.所要時間は32分でした

さて,指揮者のチョン・ミョンフンは1953年韓国ソウル生まれ.ジュリアード音楽院他でピアノと指揮法を学び,1974年のチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で第2位に入賞しています その後,ロサンジェルス・フィルでジュリー二のアシスタント,副指揮者を務めました.これまでザールブリュッケン放送響,オペラ座バスティーユ,ローマ・サンタチェチーリア菅,フランス国立放送フィル,ソウル・フィルの音楽監督や首席指揮者を歴任し,現在はシュターツカペレ・ドレスデン首席客員指揮者を務めています

一方,韓国出身のヴァイオリニスト,クララ=ジュミ・カンは2009年ハノーファー国際ヴァイオリンコンクールで第2位を獲得,2010年インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールに優勝するなど,輝かしい経歴の持ち主です

          

          

 

さて本番です.あらためて会場を見渡すと9割以上は埋まっている感じです まさにチョン・ミュンフン効果です さらに,東京フィルがミューザで演奏するのはこのサマーミューザ位しかないからということもあるかも知れません

1曲目のヴァイオリン協奏曲は1878年(作曲者38歳)の初春にたったの1か月で書き上げた傑作です しかし,最初にこの作品を見たヴァイオリニストのレオポルド・アウアーは「演奏困難」と決めつけたため,チャイコフスキーは大いに傷つきました その後,モスクワ音楽院教授のブロツキーが曲に共感し1881年12月にウィーンで初演されました 全3楽章から成りますが,35分程の演奏時間の半分近くを第1楽章が占めます

クララ=ジュミ・カンが空色とこげ茶色を基調としたエレガントな衣装でチョン・ミュンフンとともに登場し,さっそく第1楽章「アレグロ・モデラート」に入ります この楽章の前半にヴァイオリンの長大なカデンツァがありますが,クララ=ジュミ・カンの独奏は集中力に満ちた”泣く子も黙る”素晴らしい演奏でした 第2楽章「カンツォネッタ(アンダンテ)」では,ヴァイオリン,オーケストラともに良く歌います 続けて演奏される第3楽章「フィナーレ(アレグロ・ヴィヴァーチェッシモ)」はヴァイオリンとオケとの息もつかせぬ”競争曲”で,熱狂的な演奏でフィナーレを迎えました 会場一杯のブラボーと拍手がソリストと指揮者+オケを取り囲みました

チョン・ミュンフンは,舞台袖に引き上げていくクララ=ジュミ・カンが指揮台の上に置いていった 顎に当てるハンカチを ひょいと摘み上げ,彼女に持っていってあげました.優しい人ですね 彼女はカン謝したことでしょう

鳴り止まない拍手にクララ=ジュミ・カンはバッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番BWV.1005」から「ラルゴ」をしみじみと演奏,再び大きな拍手を浴びました

 

          

 

休憩時間が終わるころ,自席でプログラムを読んでいると,右隣の高齢男性が「リハーサルは聴きましたか?」と声を掛けてきました いつも隣でムッツリしているので意外に思いましたが,「ええ,聴きました.2階のセンターに近い席で」と答えると,「そうですか.私は聴きませんでした ところで,このフェスタのN響のチケットは即日売り切れだったようですよ.何しろN響がミューザで演奏するのはこの時くらいですからね また日本フィルがやっている『コバケン・ワールド』のチケットなんか何度電話してもなかなか繋がらなくて,やっとのことで1枚買いましたよ」とおっしゃいます.私はそれほどコバケンにはこだわりがないので「日本フィルは渡邉暁雄時代からの歴史がありますからね」とだけ答えておきました.お互いにセット券を買っているようなのでまた次回同じ席になります.変なことは言えません コンサート会場で赤の他人のお客さんから声を掛けられることは滅多にありません.今回は10年に1度のレア・ケースでした

さて後半の開始です.チャイコフスキーの「交響曲第4番ヘ短調」.この曲のヴァイオリン協奏曲とほぼ同じ頃に作曲されました このころチャイコフスキーは,結婚したものの20日で別居し,自殺未遂騒ぎを起こすなど,精神的に不安定な時期にありました そんな彼を精神的・経済的両面で支えたのがナジェージダ・フォン・メック未亡人でした 曲は1878年1月初旬に完成しますが,チャイコフスキーはメック未亡人への手紙の中で,この曲を「私たちの交響曲」と呼んでいます 

チョン・ミュンフンのタクトで第1楽章がブラスのファンファーレで開始されます これは『運命のテーマ』です.この楽章では劇的な音楽が展開しますが,チョン・ミュンフンの指揮を見ていて頭に浮かぶのは「統率力」という言葉です 3.11の原発事故の際にどこかの国の首相が「アンダー・コントロール」という言葉を使いましたが,この演奏における東京フィルはチョン・ミュンフンの「アンダー・コントロール」にありました 例えば,2階席からヴァイオリン・セクションの動きを見ていると,弓の角度や動作が統一されていて”美しい”とさえ感じます

第2楽章はオーボエの悲しげなメロディ―から始まりますが,良い演奏でした この楽章では,チョン・ミュンフンはオケに十分歌わせます 第3楽章は弦楽器のピッツィカートと菅楽器との応酬が楽しく聴けました

そして第4楽章のフィナーレを迎えます.管弦楽総動員で「勝利宣言」が演奏されますが,中盤で第1楽章冒頭に現れた『運命のテーマ』が再度現れます リハーサルで何度かやり直していたフィナーレ部分の畳みかけは圧巻でした

チョン・ミュンフンのタクトが下りるや否や 会場のそこかしこからブラボーがかかり,大きな拍手が会場を満たしました

この日の入場者数は,ミューザをホーム・グランドとしている東京交響楽団の「オープニング・コンサート」を大きく上回っていました これは明らかに「チョン・ミュンフン効果」です 東京フィルはこのフェスタに桂冠名誉指揮者のチョン・ミュンフンを指揮者に立て,大衆受けするチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と交響曲第4番をプログラムに組むことにより,勝負を賭けてきたのだと思います これで,間違いなく東京フィルの株が上がりましたね

 

          

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山本薩夫監督「ペンは偽らず 暴力の街」を観る/斎藤美奈子著「名作うしろ読み」を読む

2016年07月27日 07時22分52秒 | 日記

27日(水).わが家に来てから668日目を迎え,白ウサちゃんが頭に乗ったので見通しがきかなくなり うろたえるモコタロです

 

          

           そこに乗ったら前が見えないよ! 視界不良 四面楚歌 馬耳東風 ポケモンGO

 

  閑話休題  

 

昨日,夕食に「豚ロースの生姜焼き」,「カマスの塩焼き」,「生野菜とサーモンのサラダ」を作りました カマスは先日,大学時代のS君が送ってくれた新鮮な魚です

 

          

 

  も一度,閑話休題  

 

池袋の新文芸坐で1950年 モノクロ映画 山本薩夫監督「ペンは偽らず 暴力の街」を観ました この映画は朝日新聞浦和支局のルポが原作となっています 不正と暴力が支配する街に立ち向かう新聞記者,町民たちの勇気ある闘いを,実際に事件のあった本庄町でロケを行い,暴力団から妨害を受ける中で撮影されたといいます

織物で有名な東条町でヤミ取引が横行しているにも関わらず,警察や検察が動かないことを大東新聞の北記者が記事に書く すると,検事や警察署長の居る目の前で,町会副議長で警察後援会長の大西に殴打されてしまう 検察が腰を上げない中,大東新聞の佐川支局長は真相を探るため支局の記者全員を引き連れて町内の旅館に立てこもり本拠を据えることにした 暴力団によって怯えていた町はしだいに反暴力の意識が高まり,青年団体や婦人団体も立ち上がる

 

          

 

「ペンは剣よりも強し」と言われますが,非業な暴力団を相手に真実を追求することがいかに困難なことか,この映画を観ていると分かります 記者が町民に暴力団による被害はないかと訊くと,最初は”後が怖い”からと口をつぐんでしまいます そこを何とか突き崩すのが記者の手腕になりますが,いつの時代も報道する者には真実を追求する高い志とと強い意志が必要だということでしょう

 

          

 

   最後の,閑話休題  

 

齊藤美奈子著「名作うしろ読み」(中公文庫)を読み終りました 斎藤美奈子は1956年新潟県生まれ.児童書等の編集者を経て,1994年に文芸評論「妊娠小説」でデビューしました 2002年に「文章読本さん江」で第1回小林秀雄賞を受賞し話題になりました

この本は誰でも知っている名作の冒頭部分ではなく,最後の一文を紹介し,作品全体を振り返った作品です 本の世界に「ある視点」部門があれば部門賞獲得が確実な傑作です

 

          

 

たとえば,川端康成の「雪国」の最初の一文は「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」ですが,それでは最後の一文は?と訊かれてすぐに答えられる人はほとんどいないのではないかと思います 正解は「さあと音を立てて天の河が島村のなかへ落ちるようであった」です

冒頭の一文を読むと,読者は「冬枯れの関東平野から一面の銀世界へ」と想像するかもしれないが,それは間違いで,「国境を~」に続く文章は「夜の底が白くなった」であり,夜だからトンネルの中も外も同じような漆黒の闇.しかし,かすかな雪明りで車窓の下の方だけがほの白く浮かび上がっている.これはそういう光景で,付け加えると『雪国』には雪国らしい雪の描写は驚くほど少ない,と指摘しています

この本は古今東西の132冊の名作を,

1 「青春の群像」・・・・夏目漱石「坊っちゃん」,司馬遼太郎「竜馬が行く」他

2 「女子の選択」・・・・谷崎潤一郎「細雪」,林扶美子「放浪記」他

3 「男子の生き方」・・・田山花袋「蒲団」,菊池寛「恩讐の彼方に」他

4 「不思議な物語」・・・芥川龍之介「藪の中」,セルバンテス「ドン・キホーテ」他

5 「子どもの時間」・・・山本有三「路傍の石」,リンドグレーン「長くつ下のピッピ」他

6 「風土の研究」・・・・太宰治「富獄百景」,国木田独歩「武蔵野」他

7 「家族の行方」・・・・向田邦子「あ・うん」,パール・バック「大地」他

の7つの分野に分けて取り上げ,鋭い分析を加えています

著者は最後に「名作のエンディングについて」という,いわばこの本の”まとめ”を書いています 小見出しだけご紹介すると「閉じた結末,開かれた結末」,「風景が『いい仕事』をする終わり方」,「人が『もうひと仕事』する終わり方」,「語り手がしゃしゃり出る終わり方」,「フィニッシュをどう決めるか」です 名作のエンディングにはどんな形があるのか,それは読んでのお楽しみです

読み終って感心したのは,132冊もの名作を読むばかりでなく,最後の一文から,作品全体を説き起こす筆者の読書力と評論力です

さて ここで問題です.次の一文はある名作のエンディングです.それは誰の何という作品でしょうか?

①「会食があるんだ.すこし遅くなってから行く,あの・・・・・・」

②「勇者は,ひどく赤面した」

どうでしょうか.お分かりになりますか?

 

正解は①フランソワーズ・サガン「ブラームスはお好き」,②太宰治「走れメロス」です もっと内容を知りたい方は書店でお買い求めください 本体価格680円です

 

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上岡敏之+新日本フィルでラヴェル「ボレロ」他を聴く~フェスタサマーミューザ/山本薩夫「真空地帯」を観る

2016年07月26日 09時04分19秒 | 日記

26日(火).わが家に来てから667日目を迎え,空中浮遊する白ウサちゃんに驚くモコタロです

 

          

            き きみぃ いつから空中に浮かべるようになったんだい?

 

  閑話休題  

 

現在,池袋の新文芸坐では「映画と共に闘い続けた独立プロの二人の巨匠~今井正・山本薩夫」の特集をやっています 昨日,山本薩夫監督による1952年 白黒映画「真空地帯」を観ました

 

          

 

この映画は山本監督が軍隊の初年兵時代に受けた人間性を奪い去った訓練を基に,皇軍の実態を描いた作品です この映画を観ていると,軍隊というところが先輩・後輩の上下関係がいかに厳しく,上官の命令が絶対的であったかが分かります.上官が下の兵隊を殴るシーンが何度も出てきますが,現在の映画と違って,本気で殴っているのが分かります 山本監督がいかに軍隊のリアリズムを描こうとしたかが身に迫ってきます 戦争は悲惨だと主張するよりも,こういう映画を観せた方が早いのではないかと思います

 

          

           

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夕,ミューザ川崎で新日本フィルの「シェフ上岡敏之のスペイン・ラプソディー」公演を聴きました これはフェスタサマーミューザの一環として開かれた公演です.プログラムは①シャブリエ「狂詩曲”スペイン”」,②ビゼー「アルルの女 第一組曲」,③リムスキー・コルサコフ「スペイン奇想曲」,④ラヴェル「スペイン狂詩曲」,⑤同「ボレロ」です 指揮は9月から音楽監督に就任する上岡敏之です

 

          

 

本公演に先立って,6時20分からミニコンサートが開かれました ステージに登場したのは新日本フィルの首席フルート奏者・白尾彰,コンマスのチェ・ムンス,首席ヴィオラ奏者・井上典子,チェロの植木昭雄(首席客員?)の4人です.いったい何を演奏するのかと耳を傾けているとお馴染みのメロディーが流れてきました モーツアルト「フルート四重奏曲第1番K.285」です.この演奏が軽快で爽やかで素晴らしかった さすがは首席クラスによる演奏だな,と納得です

 

          

 

自席は前回と同じ2階斜め右ブロックです.会場は7割方埋まっている感じでしょうか オケのメンバーが配置に着きます.弦は左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという編成です.ハープが左サイドに,ホルンは右サイドにスタンバイします.コンマスはチェ・ムンス.新しく首席として入団した金子亜未のオーボエによってチューニングが行われ,指揮者を待ちます

上岡敏之が入場し指揮台に上がります.彼の場合は必ずタクトを使用しますが,譜面台がありません.すべて暗譜で指揮するようです

1曲目はフランスの作曲家エマニュエル・シャブリエ(1841-94)の狂詩曲「スペイン」です シャブリエは法学部で学び内務省に勤務するという変わった経歴の持ち主です ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の上演を観て作曲家になる決心をしたと言いますから,ワーグナーの毒は,もとい,影響力は凄いものだと思います

シャブリエはこの曲の作曲の前年に,数か月間スペインに滞在し,アンダルシア地方の歌や踊りに接しており,その時の印象を音で描いたのが狂詩曲「スペイン」です

上岡のタクトで演奏に入ります.冒頭から南国的で華やかな世界が繰り広げられます 上岡の指揮ぶりを見ていていつも感じるのは,「しなやか」で「リラックス」しているということです 「まあ,気軽にいきましょうや」と言わんばかりのリラックスしたタクトさばきですが,いざ決めるめきところはビシッと決めます いわばメリハリのある指揮と言ったら良いのでしょうか.鮮やかなフィナーレに1曲目からブラボーがかかりました

2曲目はビゼーの「アルルの女」第1組曲です.ジョルジュ・ビゼー(1838-75)もフランスの作曲家ですが,スペインを旅したわけでも スペインに因む音楽を書いているわけではありません.彼がセビリアを舞台とした「カルメン」を書いたことから,カルメン繋がりで選曲したのでしょう

この曲は第1曲「前奏曲」,第2曲「メヌエット」,第3曲「アダージェット」,第4曲「カリヨン」の4つの曲から構成されています 上岡のタクトで軽快に第1曲が終わると,2階中央辺りから「チャリラ~ン」というケータイの着信音が流れてきました.はっきり言って,あの音はステージ上の演奏者にも聞こえたと思います まだ居ますね川崎にも,こういう非常識人間が 事前のアナウンスもロクに聞いていないのでしょう.せっかくの「アルルの女」が「アレレの女」になってしまいます 在京オケの定期演奏会ではほとんどこういう現象は見られなくなりましたが,音楽祭のようなコンサートではまだまだ,夏場の幽霊のように出没するようですね.困ったものです

曲は第2曲,第3曲を経て第4曲「カリヨン」に移ります.「カリヨン」というのは鐘のことです 教会の鐘が一斉に鳴ってお祭りの開幕を告げているかのような賑やかで楽しい音楽が展開します

3曲目はロシアの作曲家ニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844-1908)の「スペイン奇想曲」です 彼は軍人一家の生まれとあって海軍兵学校に入り海軍士官になりましたが,軍に籍を置いたまま作曲活動を続けました 軍艦でスペインを訪れたかどうかは定かではありませんが,この曲は,スペイン各地の民謡や舞曲を素材として作曲されています.「朝の歌(アルボラーダ)」「変奏曲」「朝の歌」「シェーナとジプシーの歌」「アストゥリア地方のファンダンゴ」の5つの部分から成り,続けて演奏されます

「朝の歌」の冒頭からスペイン情緒あふれるメロディーが力強く演奏されます この曲では全体を通してコーラングレ(イングリッシュホルン)の森明子,フルートの白尾彰,クラリネットの若手(誰だ!?)が素晴らしい演奏を展開していました フィナーレのクライマックスは鮮やかでした

 

          

 

休憩後,再びオケのメンバーが配置に着きますが,この時初めて,首席ヴィオラの篠崎友美が一番後ろの奧の席にスタンバイしているのに気が付きました 最初からあの席に居たのか,それとも遅刻でもしたのか.この日のヴィオラのトップはプレコンサートで弾いた井上典子と入団2年目のフォアシュピーラー脇屋冴子です.先日のジョナサン・ノット+東響の時の人員配置を思い出してしまいました

第1曲はラヴェルの「スペイン狂詩曲」です もちろんラヴェル(1857-1937)もフランスの作曲家ですが,ラヴェルの母親はスペインの一部バスクの出身だったことから,ラヴェルはバスクの血が流れていることに誇りをもっていたと言われています

この曲は第1曲「夜への前奏曲」,第2曲「マラゲーニャ」,第3曲「ハバネラ」,第4曲「祭り」から成ります 第1曲「夜への前奏曲」は,音が出ているのか出ていないのか分からないほどの弱音で開始されます.聴いている側も緊張します しかし第2曲以降になると,管弦楽による爆発がみられたり起伏に富んだ演奏が続きます.ここで感じたのは,上岡の指揮は最弱音と最強音の幅が極めて広いということです.オーディオ用語で言えば「ダイナミックレンジが広い」演奏ということになります

最後の曲はラヴェルの名曲「ボレロ」です 小太鼓奏者が舞台中央にスタンバイします.この曲は不思議な曲です.冒頭から小太鼓が一貫してボレロのリズムを叩き続ける中,楽器を変えながらまったく同じメロディーが奏でられていき,全曲がひとつの大きなクレッシェンドを形作っていくのです そして最後の2小節でどんでん返しがあって曲が閉じられます

上岡のタクトは最弱音を要求します.ヴィオラとチェロのピッツィカートと小太鼓の刻むリズムにのってフルートがメイン・メロディーを奏でます そしてクラリネットが受け継ぎ,次にファゴット・・・・という具合に そして演奏する楽器がどんどん増えていきます.最初は小さな動きだった上岡の振りが次第に大きな動きになっていきます 終盤にかけて,オケを煽り立てます そして最後のどんでん返しで曲を閉じます

会場一杯の拍手とブラボーが指揮者と演奏者を取り囲みます 上岡はソリストたちを一人一人立たせて称賛します

上岡+新日本フィルはビゼーの「アルルの女」第2組曲から第4曲「ファランドール」を息もつかせぬスピードで演奏し拍手喝さいを浴びました

この日の公演は,9月から音楽監督に就任する上岡敏之の指揮ぶりを強く印象付けるコンサートだったと思います

 

          

          

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NHK交響楽団年間会員の申し込みをする~9月からC1会員に

2016年07月25日 07時49分18秒 | 日記

25日(月).昨日は約2週間ぶりにコンサートも映画もない日曜日を過ごしました ということで,わが家に来てから666日目の記念すべき ぞろ目 を迎え,ご主人の新たな散財のもとになるパンフレットを齧るモコタロです

 

          

           ご主人は 性懲りもなく また新しい会員になるみたいだよ 

 

  閑話休題  

 

昨日,WEBチケットN響を通じて,NHK交響楽団の年間会員の申し込みをしました N響はA,B,Cの3つのプログラムがあり,それぞれ2日間ずつ公演が組まれています.Aプロ(土・日.HHKホール),Bプロ(水・木.サントリーホール),Cプロ(金・土.NHKホール)です

9月以降はすでにコンサートの予定がビッシリ入っているので各プログラムの公演日程を確かめて,ダブルブッキングにならないように注意しました その結果,空いているのは金曜日の夜しかないということが分かったので,必然的にCプロを選ぶことになりました プログラムもパーヴォ・ヤルヴィ指揮によるプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第2番」,ラフマニノフ「交響曲第3番」をはじめ,魅力があるので問題ありません

次に,秋季シーズン会員(9~11月=全3回)にしようか,年間会員(9~11月,12~2月,4~6月=全9回)にしようか迷ったのですが,どうせ継続するだろうとの見込みのもと年間会員にしました S席で1階9列目の左ブロックのセンターに近い席です.通路側席は取れないので若干奧に入った席ですが,仕方ありません 後は会費の振込用紙が届くのを待って振り込み手続きをするだけです

 

          

 

N響の会員になるのは十数年ぶりです 前の時はロシアの愛すべき巨匠スヴェトラーノフ(故人)などが活躍していました 今回 久しぶりに会員になろうと思ったのは,パーヴォ・ヤルヴィの首席指揮者就任が大きな要因になっています

N響の年間会員になることによって,9月以降の会員登録団体・コースは次の9つになります

NHK交響楽団(NHKホール),読売日響(サントリーホール),新日本フィル(すみだトリフォニーホール),東京交響楽団(サントリーホール,東京オペラシティコンサートホール),東京フィル(文京シビックホール),バッハ・コレギウム・ジャパン(東京オペラシティ),新国立オペラ(新国立劇場),読響アンサンブル(よみうり大手町ホール)

請求書の到着が怖い今日この頃です

 

          

 

 

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ジョナサン・ノット+東響でベートーヴェン「交響曲第6番」他を聴く~フェスタサマーミューザ始まる

2016年07月24日 08時58分58秒 | 日記

24日(日).わが家に来てから665日目を迎え,昨日の夕刊で再びテロのニュースを見て驚きを隠せないモコタロです

 

          

           今度はドイツだって? 日本は本当に大丈夫なのかな?

 

  閑話休題  

 

今年もフェスタサマーミューザの季節がやってきました.JR川崎駅すぐ前のミューザ川崎に,昨日 7月23日から8月11日まで首都圏で活躍する10のオーケストラが終結し 熱い演奏を展開します 昨日そのオープニング・コンサートが開かれました

 

          

 

開演に先立って,午後2時からコンサート会場前の「歓喜の広場」でオープニング・ファンファーレが,音楽監督ジョナサン・ノット指揮 東響金管アンサンブルにより高らかに奏でられました

 

          

 

午後3時からの公演プログラムは①ヴィラ=ロボス「ニューヨーク・スカイライン・メロディ」,②アイヴズ「ニューイングランドの3つの場所」,③ベートーヴェン「交響曲第6番”田園”」です.指揮はサマーミューザ初登場のジョナサン・ノットです

 

          

 

ミューザ川崎には毎年夏に来ているので,ほぼ1年ぶりです ステージを客席が囲むワインヤード方式の会場は8割方埋まっている感じでしょうか 自席は2階斜め右サイドの席ですが,セット券を買ったので これから同じ席で聴くことになります 同じワインヤード方式でも,サントリーホールは1階席の座席が多いのに対し,ミューザ川崎は極めて少なく,その代わり2階席の座席が圧倒的に多いのが対照的です

オケのメンバーが登場し配置に着きます.コンマスは水谷晃です 弦楽器の配置はヴァイオリン・セクションを左右に分ける対向配置を採りますが,おやっ?と思ったのは,一部人員配置がいつもと変わっているのです 第1ヴァイオリンではフォアシュピーラーの田尻氏が後方に移り,その代わり後方の奏者が前方に移動しています.第2ヴァイオリンは首席の清水氏が後方に移り,その代わり後方の奏者が前方に移動しています.チェロも同様です これについては,ノット氏の考えが反映しているようです

ノットが登場,ブラジルの作曲家エイトル・ヴィラ=ロボス(1887ー1959)の「ニューヨーク・スカイライン・メロディ」の演奏に入ります この曲は最初1939年にピアノ曲として生まれ,後にオーケストラ用に編曲されました.3分ほどの短い曲なので あっという間に終わってしまいました 

2曲目はアメリカの作曲家チャールズ・アイヴズ(1874-1954)による「ニューイングランドの3つの場所」です この曲はかつてイギリスから移民が大西洋を渡ってアメリカへ入植したニューイングランド地域(アメリカ合衆国の北東部)を題材として,南北戦争などにまつわる歴史的な事実や人物などを盛り込んで描いた曲です

第1曲「ボストン・コモンにおけるセント・ゴーデンズ(ショー大佐と黒人連隊)」は,南北戦争における軍人ショー大佐と黒人歩兵隊に対する賛美を描いたものです.威厳のある曲想が続きます

第2曲「コネチカット州レディング,パットナム将軍の野営地」は,アメリカ独立戦争の英雄の一人,パットナム将軍を題材とし,行進曲風の勇壮な音楽が流れます

第3曲「ストックブリッジのフーサトニック川」は,マサチューセッツ州~コネチカット州を流れるフーサトニック川にインスピレーションを得て作曲されたもので,厳かなメロディーが奏でられます

終盤で,演奏が終わったと勘違いした一部の聴衆がフライングの拍手を始めたのが残念でした 慌てなくてもいいのに

 

          

 

休憩後は,ベートーヴェン「交響曲第6番ヘ長調”田園”」です 弦楽器の人員配置は通常の態勢に戻ります.首席やフォアシュピーラーはコンマスの隣にスタンバイします

交響曲は4つの楽章から構成されるのが普通だったのに,この曲は5つの楽章から成り,後半の3つの楽章が続けて演奏されるなど,従来の交響曲の常識を破る作品として,第5番ハ短調”運命”と同じコンサートで初演されました 1808年,ベートーヴェン37歳の時でした

ノットが登場,第1楽章が開始されます.先の定期演奏会でノットが振った「第5番ハ短調」が過去に私の聴いた同曲の演奏で最高の名演だったので,否が応でも期待が高まります

この曲は木管楽器が耳に心地よく響く作品ですが,オーボエ首席の荒絵理子,フルートの甲藤さち,クラリネットの吉野亜希菜,ファゴットの福士マリ子の演奏は軽快で特筆に値する素晴らしい演奏でした 金管ではホルンのジョナサン・ハミルが冴えていました

第1楽章が終わったところで,2階席後方から拍手が起こりましたが,これは定期演奏会ではあり得ない現象です 「ジス・イズ・マイ・ファースト・コンサート」という方が少なからずいらっしゃったのでしょう.演奏前に,プログラムを読んで,少なくとも この曲は5つの楽章から構成されているということを学習しておいてほしいと思います.それが演奏者に対する最低限の礼儀だと思います

第2楽章でもクラリネットの吉野をはじめとする木管楽器群の活躍が目覚ましく,弦楽器も気持ちよさそうに演奏していました 第3楽章から第5楽章までの一連の演奏は,ノットのタクトによりメリハリの効いた音楽が展開し,喜びに満ちたフィナーレを迎えました

この日のコンサートは,サマーフェスタのオープニングに相応しい,明るく爽やかな演奏でした

 

          

          

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グアテマラ映画「火の山のマリア」を観る/2人の「鉄の女」の好きな音楽は?

2016年07月23日 08時57分38秒 | 日記

23日(土).マンション管理組合の新理事長が決まったので,昨日午後,管理事務所で理事長業務の引き継ぎをしました 理事長印・会計印,管理事務所や理事会用ロッカーの鍵,管理業務報告書・各種点検報告書・見積書・工事完了報告書などを収録した2冊のファイルを,説明しながら新理事長のNさんに手渡しました.聞いたところでは,理事長選出の第1回理事会は2時間以上話し合っても決まらず,結局くじ引きでNさんが”当たりくじ”を引いたとのことでした 「99歳の親の介護があるので大変なんです.宝くじに当たったことさえないのに,今回くじに当たってしまって,まさかと思いました」と嘆いておられました.私からは「理事の任期は2年ですが,理事長は1年ごとに互選なので,1年だけ理事長をやって,その時点でまたくじ引きをやって新しい理事長を選んだらどうですか?」とアドヴァイスをしておきました 管理組合の理事長は 文句ばかり言われ,やることが多い割にはまったくのボランティア(無報酬)なので,引き受け手がいないのです どこのマンションでも同じような悩みを抱えていると思いますが,誰かがやらないと管理会社の思うがままになってしまいます

ということで,わが家に来てから664日目を迎え,来週の東京都知事選で誰が選ばれるか予想しているモコタロです

 

          

           誰が選ばれようが オヤツが食べられれば それでいいのさ!

 

  閑話休題  

 

昨日の朝日朝刊は「英独『鉄の女』どう交渉」の見出しで,ドイツのメルケル首相と英国のメイ首相の2人の『鉄の女』を比較していました あだ名はメイが「氷の女王」,メルケルが「ムッティ(お母さん)」といった具合 一番面白いと思ったのは好きな音楽です.メイが「ABBA『ダンシング・クイーン』」なのに対し,メルケルは「ワーグナー『ニーベルングの指環・4部作』」を挙げています メイはABBAのダンシング・クイーンで「踊り明かすまで離さない」かもしれないし,メルケルは「4日間ワーグナー漬けにして離さない」かも知れません メイはメルケルに勝てるのか?と疑問に思って,メイのコメントを今一度よく見ると,「エルガー『威風堂々』」も挙げていました これで互角の戦いになるか・・・・

おやっ? メルケル,メイ,オランドの3大巨頭と,もう一人がポケモンGOで遊んでいますよ

オランド:この辺にはポケモン一匹もおらんど

メルケル:わたし,ピカチュウもう諦めるける

メ イ :メイ・アイ・ヘルプ・ユー?

トランプ:気がメイるなぁ おれが どこにいるかトランプで占ってやるぜ

一 同 :あんた まだ大統領になったわけじゃないでしょうが ボケモン GO OUT

欧州諸国のトップは,「アメリカ第一」の共和党 大統領候補には厳しいようです

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夕,久しぶりにカレーライスを作りました わが家ではカレールーを2種類混ぜて作っています.今回はS社のGカレーとH社のBカレーの中辛を使いました.お宅ではどうですか?

 

          

 

  最後の,閑話休題  

 

池袋の新文芸坐でハイロ・ブスタマンテ監督「火の山のマリア」を観ました これは2015年グアテマラ・フランス合作映画(93分)です

 

          

 

17歳のマヤ族の少女マリアは,農業を営む貧しい両親のもとに生まれ育った.作物が出来なければ借地を追い出されてしまうため,両親は地主のイグナシオにマリアを嫁がせようとしていた しかし,マリアはコーヒー農園で働く青年ぺぺに思いを寄せていた その頃,農場はヘビの被害に悩まされており農薬も効かず困っていた.やがて,マリアはぺぺの子どもを身ごもっていることが発覚する 母親は最初は堕胎するよう説得するが,出来ないことが分かると今度は生むように言う.やがてマリアは女児を出産するが,赤ん坊は死んだと言われ葬式が行われる.しかし,納得できないマリアが墓を掘り返すと,棺の中からはレンガ1枚が出て来ただけだった 誰かに誘拐されたのか? 母親はマリアのために どこかで生きている赤ん坊を探すべく奔走する

グアテマラというと中央アメリカのコーヒーの産地であることぐらいしか思い浮かびません まして,この映画がベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞したというニュースには,グアテマラと映画というのがなかなか結びつきませんでした 映画の中で,ぺぺがアメリカに憧れて国を出る話をするシーンがありますが,彼は「あの山を越えればアメリカだ.途中にメキシコがあるけどね」と言います.これを観たわれわれは,産業としては農業くらいしかない貧しいグアテマラに住むマヤ族から見れば,「アメリカ」は豊かさを象徴するキーワードなのだろうと察することが出来ます

この映画を観て,存在感が抜群だと思ったのはマリアの母親フアナを演じたマリア・テロンです 家庭を支える頼もしい肝っ玉母さんぶりを発揮しています この映画の主人公はフアナではないかと思えるほどしっかり者を演じています

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アイスランド映画「ひつじ村の兄弟」を観る/「米原万里ベストエッセイⅠ,Ⅱ」他を買う

2016年07月22日 07時51分01秒 | 日記

22日(金)。わが家に来てから663日目を迎え,食後の運動に遊んでもらっているモコタロです

 

             

              てやんでぇ おいらが遊んでやってるんだい!

 

  閑話休題  

 

昨夕,池袋のNキッチンでNさん,ゆえさんと私の3人で飲みました Nさんとゆえさんは共にtoraブログの読者ですが お互いに面識がないので,一度お会いしてお話ししてみたら面白いのではないかということで,私が声をかけて集まっていただいたのです

Nさんは,アメリカ在住の時に当ブログにコメントを下さった方で,帰国後,ご実家が不動産を管理し,私が現役でビル管理の仕事をしていた関係でお会いして話をするようになった女性です.在米中はフィラデルフィア管弦楽団の定期会員だったとのことで,現在はN響と読響の定期会員です  一方,ゆえさんは 私が現役時代に同じビルの中で仕事上のお付き合いがあった人で,現在マスコミ関係団体の機関誌の取材・編集に携わっています  ドヴォルザークと指揮者のヤンソンスが大好きな女性です

地ビールを飲み地方の特産物をいただきながら,話は主にNさんが中心となって,定期会員だったフィラデルフィア管弦楽団の歴代の指揮者(サヴァリッシュ,エッシェンバッハ,デュトワ)そして現在のヤニック=ネゼ・セガンに至るまでの活動状況,アメリカにおける音楽教育の現状や課題から,都内における不動産開発の現況,セイジ・オザワ松本フェスティバル(旧・サイトウ・キネン松本フェスティバル)にゆえさんが1泊で行くという話,お茶やお能(ゆえさんのカバー範囲)の話,わが家で飼っているネザーランドドワーフ(モコタロのこと)のオヤツの話に至るまで,多岐にわたる話題で盛り上がりました 残念ながら私の頭の中はポケモンGOならぬボケモンGO OUTなので詳細を思い出すことが出来ません 6時半に始まった「三人の会」は,気が付いたら 軽く10時を回っていました 楽しい時間ってあっという間に過ぎていきますね 「また飲みましょう」ということで解散しました

帰りは,いつも歩いている明治通りを,帰る方向が同じということで,ゆえさんと話をしながら西巣鴨の交差点まで歩きました これで昨日は12,800歩を達成です 彼女はそこから地下鉄に乗って帰途につきました 

楽しいことって自分から動かないと なかなか めぐり合わないですよね 楽しいことは何回あっても良いものです

 

          

             この写真センスゼロの撮り方 何とかならないの? スカスカじゃん!

 

  も一度,閑話休題  

 

本を4冊買いました 1冊目と2冊目は「米原万里ベスト エッセイ Ⅰ,Ⅱ」(角川文庫)です 今,ほとんど米原万里にはまってます

 

          

 

          

          

3冊目は,またしても米原万里著「オリガ・モリソヴナの反語法」(集英社文庫)です この本は,内幸町のNPCビルのテナントT社のSさんのお薦め本です.やっと手に入れました

 

          

 

4冊目は伊福部昭著「音楽入門」(角川文庫)です 伊福部昭といえばご存知「ゴジラ」の音楽を作った人です

 

          

 

  最後の,閑話休題  

 

昨日,池袋の新文芸坐でグリームル・ハゥコーナルソン監督「ひつじ村の兄弟」を観ました  これはアイスランド辺境のとある村を舞台に,不仲の兄弟と羊の絆を描いた2015年アイスランド・デンマーク合作映画(93分)です

 

          

          

アイスランドの人里離れた村で,隣同士で住む老いた兄弟キディーとグミ―は,先祖代々から受け継がれてきた羊の世話に人生を費やしてきた 共に独身の兄弟は,この40年間まったく口もきかないほどの不仲が続いていた ある日,兄のキディーの羊が伝染病に侵されていることが発覚し,村のすべての羊が保健所から殺処分を命じられる.弟のグミ―は自分で育てた羊は自分で処分するとして銃で撃ち殺す しかし,保健所にはすべて殺したと思わせて地下室に8頭だけ隠して飼っていた それが,羊の鳴き声で保健所にばれてしまう.グミ―は絶滅の危機にある優良な羊の血統を守るため思い切ってキディーに助けを求める.二人は8頭の羊を逃がすためスノーバイクで山に向かう.しかし,夜暗い中で大吹雪に遭いグミ―は倒れ込んでしまう さて二人の運命は・・・・

この映画を観ていて可笑しいと思ったのは,さすがに40年も口をきかない二人なので どうやって通信しているのだろうと思ったら,犬に手紙を加えさせて隣の家に届けさせるという手段を取っているのです また,お酒を飲み過ぎて倒れていた兄キディーをショベルカーで救い上げてそのまま街の病院まで運んで,入口にドサっと落として帰ってきてしまうところも笑ってしまいました

羊の殺処分という重いテーマの映画なのですが,このようにユーモアも忘れない可笑しな映画でもあります この映画はカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門グランプリを受賞していますが,ある視点ってそういうところかも知れません

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