人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

欧州で評価高まる日本のオケ~朝日の記事から / グレイス・ケリー出演「ダイヤルMを廻せ」,オードリー・ヘプバーン主演「暗くなるまで待って」を観る~新文芸坐

2017年04月30日 07時47分21秒 | 日記

30日(日).今まで黙ってましたが 今日で4月も終わりです ところで,昨日の朝日朝刊「文化・文芸」欄に「日本のオケ  欧州で高まる評価」という記事が載っていました.超訳すると

「アンサンブルやリズムの正確さは折り紙付きだが,まじめすぎる印象もあった日本のオーケストラの評価が欧州で上がっている 2月末から3月にベルリン,パリ,ロンドン,ウィーンなど欧州7都市で公演したパーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団は,英ガーディアン紙が「鳥肌が立つほどすばらしいアンサンブル」「信じられないほど統率され,切れ味がよく,意味深く,そして表現豊か」と絶賛した 昨年10月に欧州5都市を回ったジョナサン・ノット指揮東京交響楽団はウィーン・フィルの本拠地,楽友協会で演奏したが,チケットは完売し『渡航費用を除き,演奏会では黒字』という

これら海外の評価を待つまでもなく,最近 在京オーケストラの演奏を聴いていると,弦楽器も管・打楽器も演奏レヴェルが上がっていると思います もちろん,指揮者によって演奏内容が違ってくるということは否めませんが,それでも全体的なレヴェルは上がっているのではないかと思います

ということで,わが家に来てから今日で943日目を迎え,友だちを紹介するモコタロです

 

       

          左は白ウサちゃん   右は・・・君 だれだっけ? えっ まっしろ白すけ?  トトロ一族かよ

       

                       

 

昨日,池袋の新文芸坐で「ダイヤルMを廻せ」と「暗くなるまで待って」の2本立てを観ました 「ダイヤルMを廻せ」はアルフレッド・ヒッチコック監督による1954年製作アメリカ映画(カラー,105分)です

若く美しい妻マーゴ(グレイス・ケリー)の不倫を知ったトニー(レイ・ミランド)は彼女の殺害を企てる 自分はマーゴの不倫相手マーク(ロバート・カミングス)とパーティーに出掛け,その間に旧友の悪党レズゲートに妻を殺害させるという陰謀だった しかし,自宅で襲われたマーゴは逆にレズゲートをハサミで刺し殺してしまう 予想外の展開に,焦ったトニーは,マーゴが不倫をネタに脅迫されており,そのためにレズゲートを殺したというシナリオに変更する しかし,老齢の警部の登場によりトニーの目論見は見破られてしまう

 

       

 

この作品は原作者フレデリック・ノットの舞台劇を自ら脚色した映画だけあり,台詞回しが演劇的です 一例を挙げれば,トニーが旧友の悪党レズゲートを自宅に招き,滔々と説得して殺人の実行を決意させるまでを描くシーンでは,トニーのセリフが延々と続きます 屋外のシーンがほとんどないのも演劇的です.それと事件の鍵を握るのが鍵だというのもヒッチコックらしい皮肉です

出演者では何と言ってもマーゴを演じたグレイス・ケリーが輝いています 思わずニヤッとしたのは,トニーが仲間たちと撮った昔の写真を見せるシーンがありますが,ちゃっかりヒッチコックも仲間の一人として映っていたのです ヒッチコックはこういうジョークが好きだったようです

 

                       

 

2本目の「暗くなるまで待って」は,テレンス・ヤング監督による1967年製作のアメリカ映画(カラー,108分)です

夫のサム(エフレム・ジンバリスト・ジュニア)が見知らぬ女性から受け取った人形にはヘロインが隠されていた そのヘロインを取り戻そうとする組織のリーダー,ロート(アラン・アーキン)はマイク(リチャード・クレンナ)とカルリーノ(ジャック・ウェストン)の二人と共にサムのアパートで人形を探すが 見つからない サムの妻スージー(オードリー・ヘップバーン)が盲目であることを知った3人は,人形の行方を突き止めるために一芝居打つことにする しかし,感の鋭いスージーは次第に不信を抱くようになる.最後にスージーはロートに自宅の片隅に追い詰められる

 

       

       

この映画は,ン十年前に一度観たことがあります 新宿だったか飯田橋だったか思い出せませんが,映画が終わってから,ビルの外階段を降りた覚えがあります.今回あらためて観たら,ストーリーはまったく覚えていなかったのですが,唯一覚えていたのは真っ暗な部屋の中で盲目のスージーがマッチを擦って火を点けるシーンです

この映画は何と言ってもスージーを演じたオードリー・ヘプバーンです 盲目であるがゆえに恐怖に襲われながらも 機転で窮地を脱する主婦を熱演しています この時彼女は39歳でしたが,20代の時と違った魅力に溢れています

 

       

       

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渡邉格著「田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』~タルマーリー発,新しい働き方と暮らし」を読む

2017年04月29日 07時50分10秒 | 日記

29日(土).わが家に来てから今日で942日目を迎え,森友学園への国有地売却問題で,学園の籠池泰典理事長が,民進党が開いたヒアリングで2015年5月に結んだ定期借地契約について「(国側との)交渉の経緯は,(阿部首相の妻の)昭恵氏に報告していた」などと発言していた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        次々と新たな証言が出てくるけど 否定するなら昭恵氏は国会で証言すべきでは?

 

                     

 

昨日,夕食に「豚肉の生姜焼き」「生野菜とタコのサラダ」「野菜と椎茸とタケノコのスープ」を作りました 「豚肉~」をはじめ,だんだんと料理のコツがつかめてきたような気がします

 

       

 

                     

 

渡邉格著「田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』~タルマーリー発,新しい働き方と暮らし」(講談社+α文庫)を読み終わりました 渡邉格氏は1971年東京生まれ.フリーターを経て25歳で千葉大学園芸学部入学.農産物卸販売会社で妻・麻里子と出会う.31歳でパン職人になる決意をし修業を始める 2008年に独立し千葉県で「パン屋タルマーリー」を開業.2011年の東日本大震災を機に岡山県真庭市勝山に移転する.その後,地ビール事業に取り組むべく鳥取県八頭群智頭町に移転

 

       

 

この本は朝日だか日経だかの書評欄を読んで,面白そうだと思って購入しました この本のサブタイトルにある「タルマーリー」というのは,著者の渡邉格(いたる)と妻の麻里子から採られています

地方の森と山に囲まれた辺境の地で,天然麹菌を使って発酵させ,1個350円もするパンを売る 週に3日は店を休み,毎年1か月の長期休暇を取る.それでもSNSなどを通じて来客者は後を絶たない そんなことを可能にしたのは渡邉氏の研究熱心さと,「いいものはいい」と思わせる独自のパンを作っているからです

渡邉氏の解説によると,「イーストはたくさんいる『野生の酵母』の中から製パンに向いた酵母を選び出して,それだけを増やしたもの.イーストで作ると,純粋培養しているので,味も香りも単調になりがち.天然酵母だと,いろんな性質の違う酵母が働くので,味も香りも広がる.他の菌,例えば乳酸菌なども混ざり込むので,味わいに奥行きが出る」.ただし,「いろいろな菌がいると,その分,発酵の管理が難しくなる.怠け者の菌や腐らせるような菌まで入り込んだり,温度とか湿度とか,まわりの環境の影響を受けやすくなる」とのことです.それでも理想のパンを求めて彼は挑戦するのです

この人が普通のパン屋さんと違うのは,小さなパン屋の修業時代で経験した長時間労働と賃金の問題をマルクス主義経済学を引っ張り出してきて説明しているところです そして店の経営方針として「利潤を出さないこと」を掲げていることです

パンという「商品」と職人という「労働力」とでマルクスの「資本論」をわかり易く解説しているので,「経済は苦手だ」という人にも参考になると思います

この本を読んでから,パン屋さんでちょっと高めのパンを見た時,このパンはそれなりの製法で手間暇かけて作っているから値段が高いのだろうな,と思うようになりました

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藝大モーニングコンサートでショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番」他を聴く / オーケストラ・アンサンブル金沢「パイプオルガンとオーケストラの饗宴」のチケットを取る

2017年04月28日 08時06分06秒 | 日記

28日(金).昨日,上野の東京藝大奏楽堂に行く途中,東京都美術館の裏側にある広場に藝大生製作による彫刻が飾られていました ウサギが山と積まれたこの作品を見て,モコタロの顔とともに名曲「ふるさと」を思い出しました 「ウサギ美味し 菓の山」ってか

 

       

 

ということで,わが家に来てから今日で941日目を迎え,トランプ米政権が 規模と財源問題を先送りした上で 連邦法人税率を35%から15%へと大幅に下げるなど大型税制改革の基本方針を公表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

         財源問題を先送りして消費税率引き上げを2度先送りした安倍政権と似た対応じゃね?

 

                     

 

昨日,夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました 2回目のチャレンジです.もちろん2度揚げしたので美味くできました

 

       

 

                     

 

フェスタサマーミューザ特別参加公演,オーケストラ・アンサンブル金沢の「パイプオルガンとオーケストラの饗宴」のチケットを取りました 7月23日(日)午後3時からミューザ川崎で開かれます.プログラムは①エスケシュによる与えられたテーマによる即興演奏,②シューベルト「交響曲第7番”未完成”」,③サン=サーンス「チェロ協奏曲第1番」,④エスケシュ「オルガン協奏曲」です ③のチェロ独奏はルドヴィート・カンタ,④のオルガン独奏はティエリー・エスケシュ,指揮は音楽監督・井上道義です

 

       

 

                     

 

昨日,上野の東京藝大奏楽堂で2017年度第1回モーニングコンサートを聴きました プログラムは①ヘルテル「ファゴット協奏曲イ短調」(Fg:坪谷陸),②ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調」(Vn:今岡秀輝)で,指揮は高関健です

 

       

 

全自由席です.1階15列25番,右ブロック左通路側を押さえました.楽員がステージに登場し配置に着きます と言っても,弦楽奏者13人とチェンバロ1台だけの小編成です

1曲目はドイツ生まれのヘルテル(1699-1754)作曲「ファゴット協奏曲イ短調」です 第1楽章「アレグロ・コン・スピリト」,第2楽章「グラ―ヴェ」,第3楽章「アレグロ・ディ・モルト」の3楽章から成ります

神奈川県大和市出身の藝大4年生・坪谷陸君が登場,指揮者の脇にスタンバイします 高関のタクトで第1楽章が開始されます.ハイドン風の音楽を聴き取ることが出来ます モーツアルトは1756年生まれなので,モーツアルトの影響はあり得ないので,明らかにハイドンでしょう 「疾風怒濤」という言葉が脳裏に浮かびます.第2楽章,第3楽章もハイドン風に感じます

坪谷君の演奏は軽快で,ファゴットの音色の魅力を存分に引き出していました

 

       

 

休憩なしの後半は,ショスタコーヴィチ「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調」です この曲は,ソ連の巨匠ダヴィット・オイストラフに献呈された技巧的な曲です.第1楽章「ノクターン」,第2楽章「スケルツォ」,第3楽章「パッサカリア」,第4楽章「ブルレスケ」の4つの楽章から成ります

管楽器,ハープ,オルガン,打楽器が加わり,弦楽器が拡大します.よく見ると,オーボエ(2nd)は東響の首席・荒木奏美です 彼女は確か現在 藝大大学院生でもあります

藝大4年生の今岡秀輝君が高関と共に登場し配置に着きます 高関のタクトで第1楽章が開始されます.低弦による不気味な響きに導かれて,独奏ヴァイオリンが抑制された音楽を奏でます 演奏する側も弱音中心なので緊張気味ですが,聴く側も緊張を強いられます 第2楽章は一転,陽気と言えるような明るく砕けた曲想が展開します 技巧的な終結部を弾き切ると,指揮台上の高関が今岡に  のサインを出しました 今岡は大きく頷きます.本人にとっても ここまで会心の出来なのでしょう

第3楽章はティンパ二の打撃で開始され,独奏ヴァイオリンが研ぎ澄まされた演奏を展開します 終結部のカデンツァは緊張感に満ちた素晴らしい演奏でした 続く第4楽章は,それまで鬱積してきた思いが一気に爆発したような激しく情熱的な音楽です 今岡は目くるめく音楽をスピード感溢れた演奏で一気に弾き切りました

演奏が終わるや否やブラボーがかかり,会場一杯の拍手がソリストの今岡君に送られました

若さあふれる気持ちのいい演奏でした この日演奏した二人の若者の 今後の活躍を期待したいと思います

 

       

 

当日,藝大関係のチラシが配布されました.下にご紹介します

1.ショスタコーヴィチの肖像(5月21日) 私はこの日,別のコンサートの予定があり行けません

 

       

 

2.ウィーン音楽演劇大学200周年記念交流演奏会(5月24日) 入場無料で,メンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲」が聴けます 私はこの日も別のコンサートが入っていて行けません

 

       

 

3.藝大第九(6月4日) 年末でない時期の第九もいいかも知れません

 

       

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シューマン「おとぎの絵本」「おとぎ話」他を聴く~主役はシャイなN響首席ヴィオラ奏者:芸劇ブランチコンサート「ヴィオラに恋して」

2017年04月27日 07時47分54秒 | 日記

27日(木).わが家に来てから今日で940日目を迎え,今村雅弘復興相が東日本大震災の被害について「まだ東北でよかった」と被災地軽視と受け取れる自身の発言の責任を取り,安倍首相に辞表を提出した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

           この人つい先日「自主避難者は本人の責任」と失言したね また非難の対象だ

 

                     

 

昨日,夕食に「大根とひき肉の煮物」「生野菜とツナのサラダ」「ウィンナと野菜のスープ」を作りました スープはコンソメ味で,具はキャベツ,エノキダケ,マシュルーム,トマト,ウィンナです スープは 仕事の関係で夜11時半過ぎに帰ってくる娘のリクエストで毎日 作っています(帰宅後はスープだけ飲んで,翌日昼に主食を食べる)が,スープに付き合っている息子と私は さすがに味噌汁を飲みたくなります 今夜から味噌汁とスープの両方を作りたいと思います.ああめんどっちい

 

       

 

                     

 

昨日,池袋の東京芸術劇場コンサートホールで芸劇ブランチコンサート第7回「ヴィオラに恋して」を聴きました プログラムは①エルガー「愛の挨拶」,②シューマン「おとぎの絵本」,③同「おとぎ話」,④同「トロイメライ」,⑤チャイコフスキー「メロディー」,⑥ドビュッシー「夢」です 演奏はヴィオラ=N響首席・佐々木亮,クラリネット=N響首席・伊藤圭,ピアノ=清水和音です

 

       

 

自席は2階最前列の左サイドです.会場は1階席はほぼ満席,2階席も前方はかなり埋まっています 室内楽コンサートでこれだけの動員力は凄いと思います

新年度に当たり,このコンサートに出演するアンサンブルの名前が付きました.「アンサンブル・サンセリテ」という名前です 正確には「アンサンブル・アヴェック・サンセリテ」で,日本語では「真心を込めて」という意味だそうですが,日本語では言いにくいので「アンサンブル・サンセリテ」と短縮形にしたそうです この日の出演は3人だけでしたが,ほかにヴァイオリンの大江馨,藤江扶紀,チェロの富岡廉太郎,コントラバスの西山真二,フルートの竹山愛を加えた8人のメンバーから構成されています

 

       

 

1曲目はエルガーの「愛の挨拶」です 1888年にエルガーが妻キャロラインとの婚約を記念して彼女に贈った曲です.ヴァイオリンやチェロで演奏されるケースが多いのですが,本来はピアノのための小品です 不思議なことに私はピアノで聴いたことがありません 清水和音の伴奏で 佐々木亮によるヴィオラ特有の落ち着いた音色が会場を満たします

2曲目はシューマンの「おとぎの絵本」です 1851年,シューマンが音楽監督を務めていたデュッセルドルフのオーケストラのメンバーとの室内楽演奏会のために書かれた曲です 4つの曲から成りますが,それぞれのタイトルはなく全体で1冊の絵本になっている感じです 哀愁を感じる第1曲,生き生きとした第2曲,前のめり気味の第3曲,歌うような第4曲と,それぞれがヴィオラ特有の中音域が心地よく響きます

次いでクラリネットの伊藤圭が加わり,シューマンの「おとぎ話」が演奏されます 1853年の作曲といいますから,シューマンが投身自殺を図る1年前の作品ということになります.この曲も4つの曲から成りますが,それぞれのタイトルはありません.この曲の方が,同じ「おとぎ」が付く曲でも穏やかさと激しさが同居した複雑な作品です

次いで,「今月の1曲」コーナーということで,清水和音によりシューマンの「トロイメライ」が演奏されました そして,ヴィオラの佐々木亮を迎えて八潮圭子さんによるインタビューが始まりました

八 潮:ヴァイオリンからヴィオラに転向したのはいつ頃ですか?

佐々木:ジュリアード音楽院に留学している時に,『明日,ヴィオラを弾いてみないか』と急に言われて,弾いてみたんですが,楽譜がヴァイオリンと全然違うんですよ 何とかごまかして弾きましたが,その時,ヴィオラの魅力にハマりました(と,まったりした喋り方で話す)

八 潮:佐々木さんはヴァイオリンを弾いていた時から そんなのんびりした話し方だったんですか?

佐々木:いいえ,ヴァイオリンを弾いていた時は もっとギスギスしていました 競争 競争で.でもヴィオラに転向してからゆったりするようになりました

清 水:ヴィオラを弾く人たちはみんないい人です メロディーを弾くヴァイオリンと,チェロなどの低音部に挟まれて,両方に気を使いながら演奏しているので,目立ちたがり屋ではなく,控えめな人が多いです

この会話を聞いていて,N響で演奏している時の佐々木氏の厳しい顔付きからは想像できない別の顔を垣間見たような気がしました

演奏に戻り,チャイコフスキーが1878年にヴァイオリンとピアノのために書いた「なつかしい土地の思い出」の第3曲「メロディー」をヴィオラ版でノスタルジックに演奏,最後に,ドビュッシーの初期の作品「夢」をロマンティックに演奏しコンサートを締めくくりました

休憩なしの1時間のコンサートでチケット代は全席指定2,200円です 演奏曲目はポピュラーなクラシックが中心なので気軽に聴くことができます

 

       

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連休はモーツアルトが弾いたヴァイオリンを聴きに行こう~第一生命 / 鈴木清順監督「暗黒の旅券」「裸女と拳銃」を観る

2017年04月26日 07時54分40秒 | 日記

26日(水).昨日の日経夕刊に「独国立歌劇場 10月に再開」という小さな記事が載っていました 超訳すると

「ベルリン市当局は,改修工事を続けていた名門オペラハウスのベルリン国立歌劇場が10月3日に7年ぶりに再開すると発表した 同歌劇場は1743年に完成.現在はダニエル・バレンボイムが音楽総監督を務めている 改修工事は当初の予定より大幅に長引き,この間,市内の別の劇場で公演が行われてきた

1743年完成ということは 今年は274年後に当たります 「ヨーロッパはストックの文明,日本はフローの文明」と言ったのはどこかの国立大学の教授だったと思いますが,ヨーロッパ諸国の昔からの建築物は頑丈に出来ています その点,日本の場合は「木造家屋」と言うように基本的に木と紙(障子)で出来ていてすぐに取り壊せ,すぐに燃えてしまいます 対照的ですね

ということで,わが家に来てから今日で939日目を迎え,日本・米国・韓国が25日,北朝鮮が朝鮮人民軍の創建85周年の節目を迎え,核実験や弾道ミサイル発射など挑発行動に出るおそれがあるとして警戒態勢を強めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

        警戒を強めるのは日・米・韓だけど  ”来た挑戦”を抑止するのは中国のはずだったね

 

                     

 

昨日,夕食に「ホッケの塩焼き」,「生野菜とワカメとサーモンのサラダ」と「野菜とベーコンのスープ」を作りました この日のスープは,トマト,キャベツ,玉ねぎ,オクラ,マッシュルーム,ベーコンで,中華味スープの素を使っています

 

       

 

                     

 

昨日,池袋の新文芸坐で鈴木清順監督映画「暗黒の旅券」と「裸女と拳銃」の2本立てを観ました  「暗黒の旅券」は1959年製作のモノクロ映画(89分)です

昼下がりの東京駅で,オーロラ座のトロンボーン奏者の伊吹の花嫁・弘美が新婚旅行の直前に突如姿を消した 弘美の足取りを追って疲労のあまり酒を飲んで帰宅した伊吹の前に,弘美の絞殺死体があった 弘美のハンドバッグに麻薬が入っていたことから,警察は弘美が麻薬患者だったと言ったが,伊吹はそんなことはあり得ないとして 誰とも検討のつかない犯人への挑戦を決意する あの日,東京駅に来ると言いながら来なかったマネージァーの森脇とドラムの勝根が伊吹の頭に浮かんだ.一方,弘美には事件の鍵を握る行方の知れない弟がいた

ミステリータッチのこの映画では,喫茶店での会話シーンでショパンのノクターンで一番有名な作品9-2が流れていましたが,この当時のこじゃれた喫茶店のBGMというと,やっぱりショパンだったのかな,と思いました

 

                     

 

2本目の「裸女と拳銃」は1957年製作のモノクロ映画(88分)で,本名の鈴木清太郎名義の最後の作品です

銀座で救いを求められた女にアパートに誘われたカメラマンの槙健策は,そこで50代の男の屍体にぶつかる.逃げようとした時,すでに女は部屋の鍵をかけて立ち去っていた 警察の連行された槙は前夜の女とそっくりの女に会った.彼女は殺された男・石垣の秘書・高垣静といった.槙は記者の須川と共に事件の究明を始める.彼は静に接近し,あの夜の女の脇の下にあった痣の有無を調べて同一人物かどうか確かめようとするが失敗する しかし,二人はいつしか魅かれ合うようになる.果たして女は同一人物なのか?石垣は何のために誰に殺されたのか

 

       

 

「暗黒の旅券」も この「裸女と拳銃」もモノクロ映画です.私にとって鈴木清純監督といえば「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」「夢二」といったカラー映画を思い浮かべます   とくに赤の使い方が強烈な印象を残します

 

       

       

 

                     

 

5月3日(水・祝)から8日(月)まで第一生命保険日比谷本社で「第一生命グループ  プレゼンツ  国際モーツアルテウム財団コレクション展・コンサート」が開かれます 「コレクション展」ではモーツアルトと姉のナンネルが使用していた2つのヴァイオリンや自筆の譜面・手紙などが展示され,「ロビー・コンサート」ではその2つのヴァイオリンによってモーツアルトの曲が演奏されます

5月4日から6日まで 近くの東京国際フォーラムで「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」が開かれるので,その合間に行ってみてはいかがでしょうか

 

       

       

       

       

 

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新日本フィル次期シーズンは「トリフォニー・シリーズ」から「アフタヌーン・シリーズ」へ変更 / 「文春砲~スクープはいかにして生まれるのか?」を読む

2017年04月25日 07時52分47秒 | 日記

25日(火).わが家に来てから今日で938日目を迎え,フランス大統領選の第1回投票で,欧州連合(EU)の統合推進を掲げるエマニュエル・マクロン前経済相と,EU離脱の国民投票を公約とする右翼・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が5月7日の決戦投票に進むことになった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

         米国のトランプ大統領誕生,英国のEU離脱が現実だったから フランスも危なくね?

 

                     

 

昨日,娘が仕事が休みの日だったので夕食はステーキを焼いてサラダとスープを作りました ステーキは皿からはみ出す超特大なので,やっと食べきりました

 

       

 

                     

 

新日本フィルの2017/2018シーズンは,現在の「トリフォニー・シリーズ」から「アフタヌーン・シリーズ」へ変更することにしました

N響,読響,東響の定期演奏会などと日程のダブりがないか慎重にチェックした結果,次期の「トリフォニー・シリーズ」は全8公演のうち4公演が,「サントリーホール・シリーズ」も全8公演のうち3公演が他のオケの定期演奏会他の公演と日程が重なっている一方で,「アフタヌーン・シリーズ」は金曜・土曜のどちらも予定が入っていないことが分かりました 金曜にするか土曜にするかは電話で確認のうえ決めたいと思います

 

       

       

       

       

       

 

N響についてはC定期(金)を継続するつもりですが,現在の席が前過ぎて(9列)通路から3つ目なので,もう少し後方の席で通路に近い席に移りたいと思っています これについては締め切りが先なので,もう少し考えた上で現状維持か座席変更かを決めたいと思います

 

                     

 

週刊文春編集部編「文春砲」(角川新書)を読み終わりました 週刊文春は1959年4月創刊,日本の総合週刊誌の中では老舗の存在です 週刊文春と言えば,80年代にロス疑惑を報じた「疑惑の銃弾」を思い出します

昨年(2016年)は「文春スクープ連発の年」でした スキャンダル処女と言われていたベッキーの不倫報道,安倍内閣の中核・甘利大臣の金銭授受問題,元少年Aの顔写真も載せた直撃記事,舛添東京都知事の公用車利用問題など,社会をアッと言わせるスクープばかりでした

 

       

 

この本は,週刊文春の編集長・新谷学氏と辣腕デスクたちによる「なぜスクープが取れるのか」の解説と,数々のスクープの再現ドキュメントによって,スクープの生の姿を描いています

新谷編集長は何度も「週刊文春はどうしてスクープを取れるのか?」と聞かれたそうですが,そのたびに彼が答えたのは「狙っているからです」というものです もちろん,スクープを取るには長期間にわたる地道な調査活動があるわけです

この本を読んで初めて知ったのは「右トップと左トップ」という言葉です 週刊文春では,新聞広告や中刷り広告において右端の見出しとなる記事を「右トップ」,左端の見出しになる記事を「左トップ」と呼んでいるとのことです.右トップには政治や経済や事件などを扱ったニュースを置き,左トップには芸能関連記事や医療・健康記事などを置くのがオーソドックスなパターンだそうです

新谷編集長は「なにも社会正義を振りかざしているわけではない」と語ります 「自分たちは正義の味方だなんて傲慢な考えは恐れ多い.社会正義の実現に,ささやかながらお役にたてることはあるかもしれませんが,それはあくまでも結果的にそうなっただけで,週刊誌が最初からそんな大それたものを『錦の御旗』に掲げるのはお門違いです 私は宮武外骨(みやたけ がいこつ)という明治のジャーナリストを敬愛していますが,この人のモットーが『過激にして愛嬌あり』.週刊文春もその精神を大事にしたいと思っています」と語ります

宮武外骨の名前は大学時代に「日本新聞史」の授業で習った記憶があります  まさか週刊文春の編集長の口から出るとは思ってもみませんでした

スクープを連発していることが,マスコミ関係者からの情報提供や内部告発だけでなく,一般読者からの情報提供が増えることにつながっているようです  社会的に許されないことは「文春に話を持っていけば取り上げてくれるかもしれない」という大きな期待があるということでしょう それが新たなスクープにつながっていくわけです.そういう意味では「スクープは週刊誌の生命線」と言えるかもしれません

それにしても,なぜ本書は「文春新書」からでなく「角川新書」から出したんだろうか? それも文春らしさということだろうか

私は週刊誌を買ってまで読むことはしません そんな時間はないからです しかし,世紀の大スクープだったら買ってもいいと思っています

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寺岡清高+新交響楽団でベートーヴェン「交響曲第8番」,ツェムリンスキー「人魚姫」他を聴く

2017年04月24日 07時46分20秒 | 日記

24日(月).わが家に来てから今日で937日目を迎え,廊下でリラックスするモコタロです

 

       

    今日はとくにコメントなし 毎日考えるの大変なんだから ・・・・・・ たまには休ませておくれやし

 

                     

 

昨日,池袋の東京芸術劇場コンサートホールで,新交響楽団第237回演奏会を聴きました プログラムは①J.シュトラウス2世:喜歌劇「こうもり」序曲,②ベートーヴェン「交響曲第8番ヘ長調」,③ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」です 指揮は寺岡清高です

 

       

 

自席は3階B列43番,センター右ブロックの左通路側です.会場は9割近く入っているでしょうか.新響の動員力には毎回驚きます

今回のプログラムは,現在 大阪交響楽団常任指揮者を務める ウィーン在住の寺岡清高が選んだウィーンに因んだ3曲です 

オケのメンバーが登場し配置に着きます.コンミスはいつもの堀内真実さん.弦の配置もいつもの通り,左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという配置です

寺岡のタクトで1曲目のヨハン・シュトラウス2世の喜歌劇「こうもり」序曲が開始されます このオペレッタは仮装舞踏会の帰りに友人のアイゼンシュタインがファルケ博士をコウモリ姿の仮装のまま道端に置き去りにしたことから,ファルケ博士が周りの人たちを巻き込んでアイゼンシュタインに復讐するという内容です 序曲はオペレッタのエッセンスなので,この序曲を聴いているだけでワクワクしてきます ウィーン在住の寺岡の面目躍如といったところでしょうか.新響の面々も軽快な演奏に徹します

2曲目はベートーヴェン「交響曲第8番ヘ長調」です  この曲はベートーヴェンの交響曲の中で一番演奏時間が短く,編成も小さく,他の交響曲と比べてドラマティックな展開がないことから,同じ時期に作曲された第7番(のだめカンタービレで有名になった曲)に隠れて地味な存在になっています しかし,聴けば聴くほど味わい深い趣があります

寺岡はキビキビした指揮でテンポよく曲を進めます.オケも軽快そのものです

 

       

 

休憩後はツェムリンスキーの交響詩「人魚姫」です ツェムリンスキーというと,アルマ・シントラ―の作曲の先生ということを思い浮かべます どうやら師弟を越えた関係があったようですが,アルマは結局マーラーを選びました

この曲は,アンデルセンの童話「人魚姫」を基にして作曲しています 第1楽章「海底/人間界の人魚姫,嵐,王子の救出」,第2楽章「人魚姫の憧れ,海の魔女のもとで」,第3楽章「人魚姫の最後」の3つの楽章から成ります

シェーンベルクと同時代の作曲家ということで,私などは警戒して身構えてしまうのですが,実際に聴いてみると非常に聴き易い作品です 「アンデルセン原作  ディズニー制作アニメ『人魚姫』~劇中音楽=ツェムリンスキー作曲」と言っても通用するような,まるで映画音楽を聴いているような気分です

初演はツェムリンスキーの弟子であり義弟でもあったシェーンベルクが交響詩「ペレアスとメリザンド」の初演したのと同じ演奏会で行われましたが,シェーンベルクの方は批評家から厳しい批判を受けたものの 革新的な音楽だったため強い印象を与えたのに対し,ツェムリンスキーの方は批評家の強い関心を引くことが出来なかったと言われています  とは言え,個人的にはシェーンベルクよりもツェムリンスキーの方を支持したいと思います

各楽章で聴かれたコンミスの堀内さんをはじめ首席のソロ演奏はとても良かったと思います  管楽器で特に印象に残ったのは第3楽章における女性ホルン奏者のソロです

 

       

 

なお,次回は7月15日(土)午後6時からです.残念ながら私は当日2つコンサートをハシゴするので行けません.どなたか行ってください

 

       

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沼尻竜典+東京交響楽団でホルスト「惑星」他を聴く~ミューザ川崎での定期演奏会 / 「フェスタサマーミューザ2017」のチケットを取る

2017年04月23日 08時45分34秒 | 日記

23日(日).わが家に来てから今日で936日目を迎え,福岡空港で韓国籍の男4人が計7億円超を国外に持ち出そうとしたとされる事件で,紙幣の帯封が,同じ日に福岡市中央区で奪われた約3億8千万円のものとは異なっていたことが捜査関係者への取材で分かった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

         それじゃあ強奪された3億8千万円はどこに消えた? 高価福岡分からない・・・

 

                     

 

昨日は7月22日から8月11日までミューザ川崎で開かれる「フェスタサマーミューザ2017」のWEB先行発売日だったので11枚チケットを取りました 最初はポピュラー路線のN響と読響は外して個別に取ろうと思ったのですが,オーケストラセット券(9公演)は25%割引と魅力で,ベターな座席もセット券優先だろうと思い,セット券を取りました

次に毎年楽しみにしている「真夏のバッハ」(8月5日)を取りました.今回は「バッハ・コレギウム・ジャパン」のヴァイオリ二スト,若松夏美,高田あずみが出演するので楽しみです もう1枚は秋山和慶指揮洗足学園音楽大学による「魅せるバレエ」公演です 目で見て耳で聴いて楽しめるコンサートです ショスタコーヴィチ「バレエ組曲」やラヴェル「マ・メール・ロワ」などが生演奏により踊られます

 

       

       

       

       

       

       

 

以上のほか,7月23日の井上道義+オーケストラ・アンサンブル金沢,7月31日のゲルギエフ+PMFオーケストラの公演も,一般発売日を待って取る予定です

 

                     

 

昨夕,東京交響楽団の第649回定期演奏会を聴きました 現在 サントリーホールが全面的な改修工事のため ミューザ川崎に会場が変わっています.交通費が余計にかかるのが困ります 

プログラムは①グバイドゥ―リナ「アッシジの聖フランチェスコによる『太陽の賛歌』」,②ホルスト:組曲「惑星」です 考えてみると,①が「太陽」②が「惑星」なので この日のプログラムは銀河系をテーマにしたと言えるのかも.なお,①のチェロ独奏は堤剛,指揮は現在リューベック歌劇場音楽監督・びわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典です

 

       

 

新年度のミューザの自席は2階RB席です.1階から見ると2階でなく3階に見えるセンターブロックの席です でも,ステージから遠いという印象はありません.かなり良い席といってよいでしょう

1曲目はグバイドゥ―リナ「アッシジの聖フランチェスコによる『太陽の賛歌』~チェロ,室内合唱団と打楽器のための」です グバイドゥ―リナはソ連のタタール共和国出身で ソ連崩壊後,ドイツに移住した女性作曲家です.この曲は,1997年にチェロの巨匠ロストロポーヴィチの古希を祝って献呈した作品です.全体で45分ほどの作品で,①創造主とその創造物(太陽と月)への賛歌,②創造主,すなわち自然の四大元素(大気,水,火,土)の創造主への賛歌,③生への賛歌,④死への賛歌の4部構成になっています

ステージには,大太鼓,マリンバ,ティンパ二などの打楽器奏者3人とチェレスタ奏者1人,センターに沼尻竜典とチェリスト堤剛,そして後方に男女混声コーラスが半円形状に2列でスタンバイします

沼尻竜典の合図で第1部の演奏に入ります 沼尻はタクトを使用しません.冒頭から典型的な「現代音楽」です チェロによる最低音から最高音まで音色を変えて演奏され,それに打楽器が加わりますが,正直言って「この調子で45分演奏するのかな,参ったな」と思っていました.ところが,第3部「生への賛歌」が終わり第4部「死への賛歌」に移る時,堤剛がチェロを脇に置いて,傍らに用意されていたスネアドラムのスティックを持って大太鼓の前に行き,大太鼓を擦って摩訶不思議な音を出したのです 続いてフレクサトーンと呼ばれる楽器を持ってコントラバスの弓で「ヒューイ」という音を立てて演奏します 堤は歩きながら演奏し打楽器奏者の周りを一回りして自席に戻り,再びチェロを手にして”本来の”演奏に戻りました この間,打楽器奏者の女性2人がミュージカル・グラス(グラスハーモニカと思ってください)を,水で濡らした指で淵を擦って演奏する場面があるのですが,拡声装置を使用しないのに たった2つのグラスの淵を擦るだけで効果的な音が音楽として響くことに驚きました

正直に告白しますが,私はこれまで堤剛という人は「演奏は上手い」とは思っても「凄い」とは思いませんでした しかし,この日の演奏を聴いて,チェロの演奏のみならず幅広い音楽表現ができる演奏家として再認識しました だてに桐朋学園大学学長(2004~13年)やサントリーホール館長(2007年~)はやっていないな,と

 

       

 

休憩後はホルストの組曲「惑星」です はっきり言って,ホルストの名前はこの曲と共に後世に残ったと言えるでしょう 全7曲から成りますが,各曲にはタイトル,サブタイトルが付けられています.そうかと言って,ホルスト本人は「標題音楽」ではなく,占星術から人間の属性のイメージを喚起するためのものだとしています

沼尻竜典が再度登場して指揮台に上がります.第1曲「火星:戦いをもたらすもの」が威勢よく開始されます これを聴いて思うのは,ジョン・ウィリアムスが作曲した映画「スターウォーズ」のテーマ音楽は,明らかにこの曲をパクったな,ということです 彼がこの音楽を知らなければ,あの勇壮な「スター・ウォーズ」のテーマは生まれなかったでしょう 沼尻の明快な指揮のもと,管楽器も弦楽器も打楽器も,これ以上ない最強音で「戦い」の音楽を奏でます 生演奏でオーケストラの醍醐味を味わうという意味では,これほど魅力に満ちた作品はないでしょう.東響は迫真の演奏でした

第2曲は「金星:平和をもたらすもの」です.火星とは打って変わって牧歌的な曲想です 中盤でコンマスの水谷晃とチェロ首席の西谷牧人のソロが聴かれますが,二人ともなかなか聴かせてくれました

第3曲は「水星:翼をもつ使者」です.聴くと分かりますが,実質的なスケルツォです 途中,第2ヴァイオリン首席の清水泰明のヴァイオリンの弦が切れたか,演奏の途中で後ろの奏者と楽器を交換し,清水の楽器が列の最後列の奏者まで手渡しされ,修理に回されました こういうアクシデントはたまにあります 「水星」終了後,逆のルートで修理後のヴァイオリンが清水のもとに届けられました

第4曲は「木星:陽気さをもたらすもの」です.この曲は数年前に平原綾香の歌でポピュラーになりました.ご存知の「ジュピター」です 沼尻+東響はスケールの大きな演奏を展開します

第5曲は「土星:老いをもたらすもの」です.終盤でのパイプオルガンの重低音が身体に響きます

第6曲は「天王星:魔術師」です.この曲の最初の部分を聴くとデュカスの「魔法使いの弟子」を思い出します.曲想がよく似ているのです

そして最後の第7曲は「海王星:神秘主義者」です.曲の途中でステージ右サイドのドアが半分開けられ,舞台裏で女声コーラスが歌われます サブタイトルの通り,神秘的な音楽が奏でられます

コーラスが次第に小さくなり,やがて消え去ると,一瞬のしじまのあと,大きな拍手が起こりました この日の聴衆は常識人が揃っていたようです.そこに居合わせた人々が「コンサートの醍醐味は演奏直後の一瞬にある」という鉄則を理解していたということです

沼尻竜典の指揮は明快そのもので,東響も熱演を繰り広げたので,わざわざ川崎まで出かけて行って聴いた甲斐がありました    

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ファビオ・ルイージ+ベアトリーチェ・ラナ+N響でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番」,ブラームス「交響曲第4番」を聴く / クァルテット・エクセルシオのチケットを取る

2017年04月22日 08時49分25秒 | 日記

22日(土).昨日の朝日朝刊にN自動車の広告企画が載っていて,イルミナート・フィルの首席指揮者・西本智美が登場していました 彼女は他のオケへの客演も多いので,そのことについて次のように述べています

「オーケストラの音楽監督や舞台の芸術監督の場合は 例えるなら中長期的なオーガナイザーといえるでしょうが,コンサートでの客演の指揮者は短期のプロジェクトリーダーのような立場   招かれてそこに立つ時は,メンバー各自と話す機会もなく 限られた時間内で仕上げていきます.特に若い時は葛藤もあり,『無我夢中』と『五里霧中』の狭間にいるようでした

あらためて,そうなんだろうな  と思うと同時に,「『無我夢中』と『五里霧中』の狭間にいる」という表現はどこかで ”使えるな” と思いました 

ということで,わが家に来てから今日で935日目を迎え,麻生太郎財務相とムニューシン米財務長官が会談し,為替の問題については財務相間で進める方針を確認した というニュースを見て,訪米前に麻生氏が安倍首相から受けてきた秘密指令を想像するモコタロです

 

       

                 安倍首相:為替の問題は上手くカワセ 麻生財務相:あっそう 

 

                     

 

昨日,夕食に「肉豆腐」と「生野菜とタコのサラダ」を作りました 「肉豆腐」は豚バラ肉を使いましたが美味しいです

 

       

 

                     

 

ミリオンコンサート協会から やっと「クァルテット・エクセルシオ」の公演チケットが届きました かなり前に電話で申し込んでいたのですが,問い合わせに「まだチラシが出来ていないのでチケットが送付出来ない」と言っていました.それからかなり経って やっとの到着です 協会と名前が付いていますが,家内製手工業的な組織なのでしょうか 小さいながらも頑張っている組織なのかも知れません

 

       

 

今回取ったチケットは①7月8日(土)の第32回東京定期演奏会,②10月19日(木)の弦楽四重奏の旅,③11月12日(日)の第33回東京定期演奏会の3枚です   忘れないうちにチケット代を振り込まねば

 

       

       

 

                     

 

昨夕,NHKホールでN響第1859回定期演奏会を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番ハ長調」,②ブラームス「交響曲第4番ホ短調」です ①のピアノ独奏は,2011年のモントリオール国際音楽コンクールで優勝,2013年の第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで第2位のイタリア人ピアニスト,ベアトリーチェ・ラナ,指揮はチューリヒ歌劇場音楽総監督,メトロポリタン歌劇場首席指揮者のファビオ・ルイージです

オケの面々が登場し配置に着きます いつも不思議に思うのは,他のオケの定期公演ではコンマスが出てくると拍手が送られるのですが,N響の場合はまったく拍手が起きません この日のコンマスは”マロ”でお馴染みの篠崎史紀ですが,例外ではありません 理由の一つはN響のコンマスは楽員が入場するときに途中から一緒に出てくるので,聴衆がコンマスに気が付かないということがあると思います ただ,今年4月からN響のゲスト・コンサートマスターに就任した元ウィーン・フィルのコンマス,ライナー・キュッヒル氏が同じように登場したら聴衆はどう反応するでしょうか? 彼は先日の「東京・春・音楽祭」のワーグナー「神々の黄昏」でN響のコンマスを務めていますが,次回の登場は6月中旬のトン・コープマンが指揮するモーツアルト・プログラム公演だそうです N響コンマスのジンクスを破ることが出来るのか,興味深々です

ベアトリーチェ・ラナが濃緑のラメ入り衣装で登場,会場に微笑みかけてピアノに向かいます 一緒に登場したルイージはニコリともしません.ベートーヴェン・モードです

ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第1番」は,「交響曲第1番」とともにベートーヴェン自身のピアノ独奏によって初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」,第2楽章「ラルゴ」,第3楽章「ロンド:アレグロ」の3つの楽章から成ります

ラナは終始 理知的な演奏を展開します 彼女の本領が発揮されたのは第2楽章「ラルゴ」だったように思います 彼女の弾く一音一音が粒だっていて説得力を持って迫ってきます.一方,バックを務めるルイ―ジ+N響は第3楽章で水を得た魚のように生き生きと演奏します

ラナはアンコールにバッハの「パルティータ第1番」から「ジーグ」を演奏し,聴衆から大きな拍手を浴びました

 

       

 

休憩時間にロビーに出ると,いつものように男子トイレは長蛇の列.逆に女子トイレはスカスカ.男としては水に流せない大問題です

プログラム後半はブラームス「交響曲第4番ホ短調」です ブラームス最後の交響曲ですが,友人や指揮者のハンス・フォン・ビューローに当てた手紙を見る限り,彼はこの曲が広く聴衆の理解を得られないと思い込んでいたようです この曲を聴けば分かりますが,ひと言でいえば「メランコリー」です しかし,1885年10月にマイニンゲン大公の宮廷楽団でブラームスが指揮して初演した時は,大成功を納めたと言われています 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」,第2楽章「アンダンテ・モデラート」,第3楽章「アレグロ・ジョコーソ」,第4楽章「アレグロ・エネルジコ・エ・パッショナート」の4楽章から成ります

ルイージは,やはりニコリともせず指揮台に向かいます.すっかりブラームス・モードです

第1楽章の冒頭は,ため息のような曲想から開始されますが,ここでルイージは弦楽器の自主性を待って音の出を待っていたように思います 弦楽器を中心とする音楽の大きなウネリを感じます.第2楽章では,主にホルン,オーボエ,ファゴット,フルートが活躍しますが,弦楽器の分厚い底力が圧倒的です.第3楽章は実質的にスケルツォですが,ここでルイージが弾けます.「N響はこんなもんじゃないだろう」と言わんばかりにオケを煽り立てます.ルイージの挑発にN響の面々は必死で応えます

極め付きは,第3楽章から間断なく演奏された第4楽章です 第1楽章の「アレグロ・エネルジコ・エ・パッショナート」の指示通り,エネルギッシュかつ情熱的にオケを煽り立てます ルイージはヤワなイタリア人ではありません オケに対し全力出し切った演奏を求めます これに対し,N響の面々は必死の形相で全力で熱演を展開します すごい演奏でした

何回カーテンコールがあったでしょうか,思い出せません 終始 集中力に満ちた演奏に「ルイージは凄い」とあらためて思いました

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新国立オペラでモーツアルト「フィガロの結婚」を聴く~逞しくなった中村恵理 / モーツアルト「ラウダーテ・ドミヌム」他の2枚組CDを買う

2017年04月21日 08時03分27秒 | 日記

21日(金).わが家に来てから今日で934日目を迎え,ティラーソン米国防長官がワシントンの国務省内で記者会見し,北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定することを検討していると明らかにした というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

                    海外のテロを支援するばかりか 側近を千人単位で処刑して平気でいる独裁者らしい

 

                     

 

昨日,夕食に「ハッシュドビーフ」と「生野菜とアボガドのサラダ」を作りました 8人前作ったのにあっという間に鍋が空になりました

 

       

 

 

                     

 

昨日,新宿タワーレコードでモーツアルト「ヴェスペレK.339,K.321」他収録の2枚組CDを買いました 先日観た映画「ムーンライト」で使われていたK.339の第5曲「ラウダーテ・ドミヌム」の美しいメロディーが忘れられず,K.339の全6曲を聴いてみたいと思ったのです このCDには「ヴェスペレK.339」,「同K.321」の他,「シュパウル・ミサK.258」,「聖母のためのリタニアK.195」,「聖体の祝日のためのリタニアK.243」が収録されています 演奏はソプラノ=マーガレット・マーシャル,アカデミー室内管弦楽団ほかです.まだ聴いていませんが,ゆっくり楽しみたいと思います

 

       

        

 

                     

 

昨夕,初台の新国立劇場でモーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」を聴きました 出演は,アルマヴィーヴァ伯爵=ピエトロ・スパニョーリ,伯爵夫人=アガ・ミコライ,フィガロ=アダム・パルカ,スザンナ=中村恵理,ケルビーノ=ヤナ・クルコヴァ,マルチェリーナ=竹本節子,バルトロ=久保田真澄,バジリオ=小山陽二郎,バルバリーナ=吉原圭子ほか.管弦楽=東京フィル,合唱=新国立劇場合唱団,指揮=コンスタンティン・トリンクス,演出=アンドレアス・ホモキです

 

       

 

私がホモキの演出でこのオペラを観るのは2003年,2005年,2007年,2010年,2013年に次いで今回が6度目です シンプルな舞台は好ましいのですが,6回ともなると正直言って もうそろそろ新しいプロダクションで観たいな,と思います

拍手の中,ドイツ生まれのトリンクスがオーケストラ・ピットの指揮台に上がり,軽快な序曲が開始されます この曲に限らず,モーツアルトの序曲はオペラ全体のエッセンスを包含しており,この曲のサブ・テーマの「ラ・フォル・ジュルネ(狂おしき1日)」を見事に表現しています そう,正味3時間のこのオペラはたったの1日の出来事を現しているのです

このオぺラの主役は誰か?というと,タイトルが「フィガロの結婚」だからフィガロだろうという見方が多いと思いますが,モーツアルティアンにはそれぞれの主役があると思います 私の場合は,ほぼ全編で出演しながらソロのアリアらしいアリアがほとんどないスザンナです つまり,第1幕では フィガロとの二重唱,マルチェリーナとの二重唱,第2幕ではケルビーノとの二重唱,第3幕では伯爵との二重唱,伯爵夫人との二重唱と,二重唱あるいはそれ以上の重唱はあるのですが,はっきりソロらしいソロが歌われのは4幕「邸内の夜」の場面のレチタティーボとアリアぐらいしかないのです それでも,スザンナがこのオペラの中心にいることは明白です

したがって,私が今回の公演で一番注目していたのはスザンナを歌う中村恵理です 彼女は2007年の新国立オペラ「フィガロの結婚」でスザンナを歌っています.つまり今回は新国立オペラで10年ぶりのスザンナです この間,彼女はどこで何をしていたかと言うと,2008年から英国ロイヤルオペラに在籍し,2009年には天下のアンナ・ネトレプコの代役として「カプレーティとモンテッキ家」のジュリエット役に主演して成功を収め,2010年から16年までバイエルン州立歌劇場と専属歌手契約を結び「フィガロの結婚」スザンナ,「魔笛」パミーナなどに出演,その後,ベルリン・ドイツ・オペラ,ウィーン国立歌劇場など世界的な歌劇場に出演しています

10年ぶりに中村恵理のスザンナ見て聴いて思ったのは,「ずいぶん逞しくなったな」ということです.あれから10年の年月が経ったわけですから,彼女も歳を重ねたわけですが,さすがに若々しさはないものの,何ものにも動じない落ち着きが出て来たように思います 唯一のソロとも言える第4幕のアリアをはじめ,他の出場人物との二重唱などでも,よく通るソプラノで,歌う部分だけでなくレチタティーボ(セリフのように語る部分)も,演技も自然です この10年間の成長を感じさせるパフォーマンスでした

印象に残った歌手ということで言えば,ケルビーノを歌ったスロヴァキア生まれのヤナ・クルコヴァです 第1幕のアリア「自分が自分で分からない」は,上がってしまったのか,少々先走って前のめり気味に歌い,トリンクスが合わせるのが大変そうでしたが,いかにも自分自身が制御できない少年の心の動きを表していて良かったと思います また,第2幕のアリア「恋とはどんなものかしら」は,恋に恋する少年の心理を見事に歌い上げていました

アルマヴィーヴァ伯爵を歌ったピエトロ・スパニョーリはイタリア出身のバリトンですが,いかにも初夜権を復活させてスザンナをモノにしようという意欲満々の貴族を見事に歌い演じました

伯爵夫人を歌ったアガ・ミコライはポーランド生まれのソプラノですが,高音から低音まで安定した歌声で聴衆を魅了しました 新国立オペラでは「ドン・ジョバンニ」のドンナ・エルヴィーラやドンナ・アンナなどを歌っています

フィガロを歌ったアダム・パルカはポーランド出身のバスですが,声量もあり演技も抜群でした

 

       

 

さて,今回の公演で一番印象に残ったのはコンスタンティン・トリンクス指揮東京フィルの演奏です 序曲を聴いた時は強い印象は残らなかったのですが,第1幕に入り,フィガロとスザンナの二重唱に移った瞬間から「何とソフトで優しい音楽作りをするのだろうか」と思いました.考えてみると,モーツアルトの「フィガロの結婚」は,終わってみれば「誰もかれも許してしまう,悪人は誰もいない」という結論でフィナーレを迎えています トリンクス+東京フィルによる演奏は,まさにそうしたモーツアルトの「人間賛歌」を体現したかのような 優しく慈愛に満ちた演奏だったように思います

 

       

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