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クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

映画「ぺコロスの母に会いに行く」を観る~認知症の母と禿の子どもの物語

2014年04月30日 07時00分40秒 | 日記

30日(水)。とうとう4月も今日で終わりです。ゴールデン・ウィーク前半もあっという間に終わりました あとは後半の4連休だけが楽しみです。私は5月3~5日は朝から晩まで東京国際フォーラムを中心に開かれる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(L.F.J)」に通います 3日間で合計19公演聴きますが、L.F.Jに通うのは今年で9年連続になります

昨日は午前中、冬物を片付けました。不要な衣服がいかに多いかに改めて驚き、早速捨てました その割には夏服がいかに少ないかにも驚きました 昨年、夏用のスーツやジャケットを大胆に捨てたのが原因です。夏は上着を着ることがほとんどないので楽なのですが、ちょうど今ごろ着る衣服に困るのです。そんな訳で、池袋に出かけ取りあえずジャケットを1着だけ買ってきました スーツも見ましたが決められませんでした

 

  閑話休題  

 

28日に早稲田松竹で映画「麦子さんと」と「ペコロスの母に会いに行く」を観ました 昨日「麦子さんと」について書いたので今日は「ペコロスの母に会いに行く」について書きます

原作は、長崎在住の漫画家・岡野雄一のエッセイ漫画「ペコロスの母に会いに行く」です。ペコロスというのは小さな玉ねぎのことで雄一の禿頭を差しています

長崎の広告代理店で働くゆういちは認知症の母みつえと長男と3人で暮らしていますが、母親の症状が深刻になりグループホームに預けることになります みつえは先だった夫が目の前にいるようかのように呼びかけたり、生きている息子を幽霊呼ばわりしたりします。だんだん症状が進み、ゆういちのことも一瞬分からなくなりますが、ゆういちが帽子を取って禿頭を見せると「ゆういち」と呼んで息子を認知します 映画では、みつえが結婚後さんざん苦労して、一度はゆういちを道連れに死のうとしたことなどを回想します

「認知症」「介護」といった深刻なテーマを笑いで包み、ゆういちは「ボケるとも、悪か事ばかりじゃなかかもしれん」と悟ります

ゆういち役の岩松了が禿のいい味を出しています。そして主人公みつえを赤木春恵がユーモアたっぷりのボケ役に徹し見事に演じています

 

          

 

映画を観た翌日(昨日)の朝日「天声人語」が、この「ペコロスの母に会いに行く」を取り上げています そのきっかけは、このエッセイの最後に書かれています

「91歳の男性が徘徊中に列車にはねられて亡くなり、ダイヤに遅れが出たから、家族は損害賠償せよ JR東海の請求に対し、名古屋地裁は先週、当時85歳の妻の監督責任を認めた。一審より減額はしたものの、厳しい判決には違いない 負いきれない責任を負わされるなら閉じ込めるしかない。そんな窮地に家族や施設は追い込まれかねない。そうさせない仕組みづくりが急務である

少子高齢化がますます進んでいく日本の現状の中で、老々介護の問題は他人事ではありません

 

          

 

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映画「麦子さんと」を観る~自分たちを捨てた母親が突然帰って来た!

2014年04月29日 07時27分30秒 | 日記

29日(火・祝日)。昨日の朝日と日経の夕刊にジョナサン・ノット指揮東京交響楽団の音楽監督就任披露公演のコンサート評が載っていました 朝日の方は音楽評論家・伊東信宏氏が19日にミューザ川崎で聴いた公演について、日経の方は音楽評論家・江藤光紀氏が20日にサントリーホールで聴いた公演について書いています。プログラムは①武満徹「セレモ二アル」②マーラー「交響曲第9番」で共通しています

会場こそ異なりますが、二人の評論家に共通しているのはマーラーの交響曲第9番の第2楽章と第3楽章の演奏を評価していることです 伊東氏は「特に印象に残るのは第2楽章の無骨なレントラ―の苦さとか、第3楽章ロンド=ブルレスケの乾いた焦燥感など」としている一方、江藤氏は「とりわけ鮮やかな場面展開は出色しており、中間の2楽章は切れ味よく進んだ」としています。ついでに21日付のtoraブログでは、サントリーホールでの公演について、やはり第2楽章と第3楽章の演奏を評価しています

あらためて20日の演奏を振り返ってみると、江藤氏の「ロマン派的な情念の表出ではなく、作品を隈なく理知的に照らし出すこと・・・・はノットの個性であり、戦略でもあるだろう」という指摘が的を射ているように思います

 

  閑話休題  

 

昨日、早稲田松竹で映画「麦子さんと」と「ぺコロスの母に会いに行く」の2本立てを観ました 今日は「麦粉さんと」について書きます

声優を目指す麦子は、口先ばかりで頼りない兄と二人で暮らしています。アルバイトをして専門学校の入学金を稼ごうと書店で働きます そんなある日、自分たちを捨てた母親が突然目の前に現われ、一緒に暮らしたいと言ってきます 兄は母親から毎月15万円の仕送りを受けていたことを麦子に内緒だったことがバレて、言い訳ができなくなります。母親がこれ以上仕送りが出来なくなったことを知って、結局一緒に暮らすことになりますが、兄は外に出て女性と同棲することになります 顔も覚えていない母との生活に麦子は戸惑います。何かと麦子に話かける母親に「あなたのこと、母親だと思っていないから」と冷たい言葉を浴びせてしいます しかし、母親は不治の病に侵されていて帰らぬ人となってしまいます。母の故郷に納骨に行った麦子は、初めて母が町のアイドルだったことを知ります。麦子は母と瓜二つだったことから、大人の間で大人気になります。そこで、初めて母親がどういう青春を送ったのかを知ることになります

主人公の麦子に堀北真希、その兄に松田龍平、母親・彩子に余貴美子、その幼なじみのミチルに麻生裕未、タクシー運転手に温水洋一が扮しています 堀北真希が、母親の青春時代を知ることを通して、まったくのジコチュー現代っ子から一人の”考える女性”に成長していく過程を自然に演じています 松田龍平は、どうしようもなく頼りないけれど、心の底では優しい兄を見事に演じています 彼を見ていると父親の松田優作を思い出します。「蘇る金狼」は最高でした 

そして、何と言っても母親・彩子役の余貴美子の存在感には凄いものがあります それに麻生裕未がバツイチのミチルを演じていますが、すごく魅力的でした

エンドロールで、母親・彩子が若い時に素人のど自慢大会で歌っていた松田聖子の「赤いスイトピー」が流れます。この歌を聴くときっと「麦子さんと」を思い出すことでしょう

 

          

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ジョナサン・ノット+佐藤卓史+東響でブラームス「ピアノ協奏曲第1番ニ短調」を聴く

2014年04月28日 07時00分24秒 | 日記

28日(月)。昨日、初台の東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団のオペラシティシリーズ第79回演奏会を聴きました プログラムは①ウェーベルン「管弦楽のための5つの小品」、②シューベルト「交響曲第4番ハ短調”悲劇的”」、③ブラームス「ピアノ協奏曲第1番ニ短調」の3曲。指揮は東響の新音楽監督ジョナサン・ノット、③のピアノ独奏は佐藤卓史です (下の写真は26日のミューザ川崎のチラシですが、出演者とプログラムは同じです)

 

          

 

この公演はジョナサン・ノットの東響「オペラシティシリーズ」音楽監督就任披露公演です いつも通り開演5分前に会場内に入ったのですが、1階後方席に空きが目立ちます オペラシティシリーズは割安の料金設定からいつも満席に近かったのにどうしたことでしょうか? 新年度に入って最初のコンサートがこの状態では困ったものです 定期会員が減少したのでしょうか。そういえば、同じ出演者・同じプログラムでミューザ川崎での東響「名曲全集」に、私の代わりに聴きに行かれたAさんからのメールにも「会場が広いせいか、空席が目立ちます」とありました。東響、大丈夫か

 

          

 

オケは「ノット・シフト」を採ります。向かって左奥にコントラバス、その前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置です 場内アナウンスがあり「指揮者の意向により、1曲目のウェーベルンと2曲目のシューベルトは続けて演奏されます」 とのこと

拍手の中、ジョナサン・ノットが登場、ウェーベルン「管弦楽のための5つの小品」を演奏します 6分程度の短い曲ですが、この一連の短い曲が後の作曲界に大きな影響を与えることになります 1911年から13年までの間に作曲されましたが、出版されたのは1923年とのことです。どうもこういう曲を聴くと非常に緊張します

曲が終わると、オケはすぐに次の曲の準備に入ります。シューベルトの「交響曲第4番ハ短調」の第1楽章が運命的な強奏で開始されます この曲はウェーベルンに遡ること約100年前に作曲されました(1816年完成)。しかし、同じウィーンゆかりの2人の作曲家による2つの曲の連続演奏には、なぜか違和感がありません この辺は、ジョナサン・ノットの意図するところでしょう。第1楽章と第4楽章がハ短調で、重く響くのですが、真ん中の2つの楽章は長調で明るく推進力さえ感じさせます この曲をひと言で言えば「ほとばしる青春」とでも表現したらよいでしょうか。後に作曲された”未完成交響曲”や、”ザ・グレイト”とは違った瑞々しい魅力に溢れています

この第2楽章「アンダンテ」があまりにも気持ちがよかったので、いつしかうたた寝をしてしまったようです バサッという音に起こされて、下を見るとチラシ入りの袋が足元に落ちていました。お代官様、お許しくだせえ これ以上の年貢の取り立てはご勘弁を・・・もう二度といたしませんから

休憩時間にスダーン+東響によるシューベルト「交響曲第4番、第7番」のCDを買いました 私がサントリーホールで聴いた演奏のライブ録音だと思います

 

          

 

休憩中にステージ中央に設置されたグランドピアノが偉容を誇っています。ソリストの佐藤卓史はスタインウェイではなく、ドイツの名門ベーゼンドルファ―を弾くようです 佐藤がノットとともに登場。ノットのタクトでブラームス「ピアノ協奏曲第1番ニ短調」第1楽章が力強く開始されます この曲は、ピアノが中々登場しません。長い序奏の後で、おもむろに「お待たせしました、私が真打です」と出てきます

佐藤のピアノは力強く、ブラームスの曲想に合っています ある時は協奏曲を、ある時は競争曲を展開します 「ピアノ付交響曲」と言っても良いかも知れません。この曲は、オーケストラを凌ぐほどの迫力ある音量が求められますが、佐藤は十分にその力を備えています 第2楽章「アダージョ」から第3楽章「アレグロ」へは間を置かず、佐藤のピアノが強力に入ってきます。聴衆に緊張の糸を途絶えさせません

終演後は会場一杯のブラボーと拍手 でした。こんなに素晴らしいコンサートに空きが目立つのは本当にもったいないことです 今までの定期会員はどこへ行ってしまったのでしょうか

 

          

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映画「ムード・インディゴ(うたかたの日々)」を観る~「アメリ」のヒロイン、オドレイ・トトゥが出演

2014年04月27日 07時00分32秒 | 日記

27日(日)。昨日の日経夕刊・こころ欄に「管弦楽とヴィオラ~今井信子さんに聞く」という記事が載っていました 日経の記者の問いに今井さんが答える形をとっていますが、ヴィオラの特性・魅力を次のように語っています

「ヴィオラはヴァイオリンに比べ音階が5度低く、形は同じでも約10センチ大きく、弦も太く、重さも重い。弓もやはりやや重い ヴィオラを弾くにはヴァイオリンよりもずっと体力がいるのです。しかし、音色はまろやかで、深みがあって表現力は豊か ヴァイオリンやチェロと比べると人間の肉声に近く、人間の魂を音で奏でるような、心に沁みる演奏ができます わびとかさびとか言う人もいますが、私は音楽の本質となる楽器だと思います

大学で学生を指導していて思うことについて聞かれると

「先入観が強く、音楽の形を気にし、格好ばかりをつけたがる演奏が多い気がします 優等生的に楽譜通り上手に弾いて、先生がどう指導するか待っている。もっと自主性を持って、白紙の状態で自分の好きなように弾いてほしい 聴衆も先入観を持たずに、本能的に耳を開いて、瞬間の音をもっと楽しんでほしいと思います

「優等生的に楽譜通りに上手に弾いて」と批判的に言われていますが、まずそれが基本でしょう それが出来ないで個性も何もないと思います しかし、そこに止まっていてはいけない、というのが今井さんの主張だと思います

それは分かるにしても、例えば、グレン・グールドのように、バッハを弾いても、モーツアルトを弾いても、ベートーヴェンを弾いても、作曲家の姿はまったく浮かび上がらず、何を聴いてもグレン・グールドが前面に押し出されている演奏というのも問題だと思います まあ、程度の問題でしょうけれど

 

  閑話休題  

 

昨日は、ミューザ川崎で東響の名曲全集を聴く予定だったのですが、本日の東響オペラシティ・シリーズと同じプログラムのため、知人にチケットを譲ったのでスケジュールに空きが出来てしまいました 午前中は、アンジェラ・ヒューイットの弾くショパン「ノクターン全集」を聴きながら本や新聞を読んで、身体を休めました。とくに「ノクターン第13番ハ短調」は私のお気に入りの曲なので繰り返し聴きました

 

          

 

しかし、やはり時間がもったいないので、ネットで各映画館の上映プログラムを検索して、久々に飯田橋のギンレイホールに行くことにしました 行く気になったのは13時45分から上映される「ムード・インディゴ(うたかたの日々)」のヒロインのクロエが、あの「アメリ」のヒロインを演じたオドレイ・トトゥだったからです 飛び抜けた美人ではありませんが、ちょっぴりコケティッシュで可愛い女性です

 

          

 

財産に恵まれたコランは独身ということもあり自由気ままな人生を送っています ある日、友人の紹介で参加したパーティーでクロエに出会い、デートを重ねます。そしてお互いに意気投合して結婚します。ところがある日、クロエが睡眠中に口の中に異物が入り込み、不治の病にかかってしまいます 何としても治したいコランは財産を使い果たしたうえ、やったこともない仕事に就いたりして治療費を稼ごうと努力しますが、ついにクロエは息を引き取ります

 

          

 

この映画は、最後を除けばコメディタッチの楽しい映画です 特撮を多用してあり得ないことを実現したりします。幻想的な恋愛ファンタジーと言えなくもないですが、この映画を観ていると、ストーリーは半ばどうでもよく、こうした特撮を楽しんでもらうことを主眼としていると思えるほどです 場面によっては、イギリスBBCのモンティパイソンばりの残酷なシーンが何気なく映し出されたりします 「アメリ」では若かったトトゥもちょっぴり年をとったな、と感慨深いものがありました

映画が終わって、席を立とうとするとき、後ろに座っていた二人組の女性の会話が聞こえてきました

「楽しいけど、結局、何を主張しようとしているのかさっぱり分からないのよね

まさにそういう感じの映画でした

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「春の夜のコンサート」を聴く~東京文化会館「モーニングコンサート番外編」

2014年04月26日 07時00分35秒 | 日記

26日(土)。昨日午後、丸の内消防署関係の2つの団体の総会と合同懇親会が竹橋のホテルで開かれ、出席しました 夕方、上野の東京文化会館小ホールでコンサートがあるので、懇親会ではアルコールは一切飲まず精力的に食べてから現地に向かいました

東京文化会館の入口に着いてビックリ 何と小ホール入口から文化会館の入口まで九十九折の長蛇の列が出来ていました。こんな長い列を見るのはビートルズの来日公演以来です(見たことないけど)。これを見て入場料金500円の安さの力は強いと思いました。小ホールの定員は650人弱ですが、ほぼ満席の状態でした。何とかR27番という後方ながらセンターブロックの左通路側席を押さえました

この日の公演は「春の夜のコンサート」。これは東京文化会館が主催している「モーニングコンサート」の番外編です プログラムは①エルガー「愛の挨拶」、②クライスラー「愛の喜び」、③同「愛の悲しみ」、④メンデルスゾーン「春の歌」、⑤ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番”春”」より第1楽章、⑥ポッパー「ハンガリー狂詩曲」、⑦ブラームス「ピアノ三重奏曲第1番」より第1楽章、⑧ピアソラ「オブリビオン」、⑨同「リベルタンゴ」です

出演は、ヴァイオリン=第3回東京音楽コンクール弦楽部門第3位・石亀協子、チェロ=元大阪交響楽団首席・鈴木鈴太郎、ピアノ=東京藝大卒・須藤千晴という面々です

 

          

 

石亀協子が濃い藤色の、須藤千晴が水色のドレスで、金子鈴太郎とともに登場します 最初にエルガーの「愛の挨拶」を心を込めて演奏、次いでクライスラーの「愛の喜び」と「愛の悲しみ」を表情豊かに演奏します

次にメンデルスゾーンの「無言歌」から「春の歌」を須藤千晴がピアノ独奏で演奏しました。今の季節に相応しい弾むような曲想です 続いてベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第5番”春”」から第1楽章がヴァイオリンとピアノにより演奏されました。この曲も春らしく穏やかで良い曲です モーツアルトの初期の頃のヴァイオリン・ソナタはヴァイオリン伴奏付のピアノ・ソナタといった感じですが、ベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」はヴァイオリンとピアノが対等に演奏されます。まるでヴァイオリンとピアノの対話を聴いているようです

次のポッパー「ハンガリー狂詩曲」を演奏するに当たって、金子鈴太郎がレクチャーします

「私はハンガリーに留学していた(国立リスト音楽院)のですが、レストランで食事をしていると、ヴァイオリン、コントラバス、チェンバロンのジプシー3人組が目の前にやってきて、悲しい曲をいかにも悲しそうに演奏するのです 実際にはそんなに悲しい出来事があった訳ではないのです。ただ聴いていると、いつまで経っても演奏が終わらないのです (日本円で)200円位のチップをあげると次のテーブルに移って行くのです。学生でお金がない時だったので困りました これから演奏する曲は、楽しい曲想のところはいかにも楽しそうに、悲しい曲想のところはすごく悲しそうに演奏しますので、そのつもりでお聴きください

そしてピアノの伴奏で「ハンガリー狂詩曲」を身振りを大きく演奏しました。小さな曲が大きく聴こえました

さて、いよいよ”本日のメーンイベント”ブラームスの「ピアノ三重奏曲第1番ロ長調」から第1楽章です。これも鈴木鈴太郎が解説します

「この曲には主人公がいます。曲の冒頭にピアノで演奏されるテーマが主人公です ピアノでお願いします」

ピアノが冒頭のやさしいメロディを奏でます いつ聴いても良いですね。私はブラームスの室内楽が大好きですが、一番好きなのがこのピアノ三重奏曲第1番です

「この主人公が旅をします。時には悲しい出来事に出合います」

三人で悲しげなメロディ(冒頭のメロディの変奏)を演奏します

「最後には家に帰ってきてくつろぎます」

三人で第1楽章終盤のメロディ(同じく変奏)を演奏します 解説が終わったところで第1楽章を通して演奏します。これって古典四重奏団がやっている「レクチャ―コンサート」ですね

白熱の演奏の後、ピアソラの「オブリビオン」と「リベルタンゴ」を続けて演奏しました。チェロのヨ―ヨ―マがこの曲を弾いたCDがあります リズム、メロディ、ハーモニーのバランスが素晴らしいタンゴの名曲です 3人はクラシックを忘れてノリノリでタンゴの演奏を楽しんでいます

会場を埋め尽くした聴衆の拍手に気を良くした3人は、アンコールに応えます。鈴木が「それではアンコールにモンティのチャルダーシュを演奏します」とアナウンス() 早速演奏に入ります

うん、いい曲だ・・・・・・ン?なんか変だ。どこかで聴いたようなメロディ・・・・・会場のあちこちから笑い声が・・・・・・こらこら、そこの三人、これ「津軽海峡冬景色」じゃないのよ 鈴木君ならまだ分かるけど、真面目そうに見える須藤さんや石亀さんまで「津軽海峡」弾いちゃってどうすんのよ と思っていたら、やっとチャルダ―シュのメロディが流れてきました。なんだ、やれば出来るじゃないの それにしても速いパッセージで聴かせる楽しい曲ですね

500円ワンコインで約1時間のコンサートでしたが、内容の充実した公演でした 入場料が安ければ会場を埋め尽くすことが出来ることを証明したコンサートだったとも言えるでしょう

なお、東京文化会館は大ホール・小ホールとも今年6月から11月まで施設・設備の改修工事のため休館となるそうです。よい子は会場を間違えて来ないようにしようね

 

          

 

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今年も夏は「フェスタ・サマーミューザ」を聴きに行くぞ!~チケット発売開始=10枚購入

2014年04月25日 07時00分27秒 | 日記

25日(金)。昨日の日経夕刊「らいふプラス~人間発見」は前回に続きライナー・キュッヒル氏(ウィーン・フィル第1コンサートマスター)が指揮者について語っています。一番面白いエピソードはショルティの巻です

「カラヤンが亡くなった後、代わりにオペラを指揮したのはゲオルグ・ショルティ。テンポに厳格でエネルギッシュに振るのが特徴 ウィーン・フィルの変幻自在の演奏方法とはやや異なり、コンサートマスターとして苦労しました レコーディングの最中でした。ショルティは激しく振るので、指揮棒が2つに折れて、半分が彼の手のひらに突き刺さってしまった。それでも中断せずに、自ら折れた指揮棒を手のひらから抜きながら指揮を続けました

もうかなり前ですが、ショルティがロンドン・フィルと来日した際に昭和女子大学人見講堂で聴きました リヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲を振ったように記憶していますが、まさにエネルギッシュな指揮でした はっきり言うと、指揮棒を細かく動かす”せわしない”指揮で、それを見ながら聴いていると、何となく落ち着かなくなりました。その時、ショルティは一度聴けばいいや、と思ったのを覚えています キュッヒル氏が「コンサートマスターとして苦労した」と語っているのは何となく分かるような気がします

 

  閑話休題  

 

7月26日(土)から8月10日(日)までミューザ川崎で開かれる「フェスタ・サマーミューザ」のチケットが発売になりました

 

          

 

昨日が一般向け発売開始日だったので、さっそくいつもの神保町三省堂内の「チケットぴあ」に寄って10枚のチケットを買ってきました 購入したのは以下の10公演です

7月26日(土)午後3時 「オープニング・コンサート」 東京交響楽団 指揮:ユベール・スダーン  ①ベルリオーズ「序曲:ローマの謝肉祭」、②シューマン「チェロ協奏曲」(Vc:ゲリンガス)、③サン=サーンス「交響曲第3番”オルガン付”」

7月27日(日)午後2時 東京シティ・フィル 指揮:宮本文昭  ①ムソルグスキー/ラヴェル「展覧会の絵」、②モーツアルト「フルート協奏曲第2番」(Fl:サラ・ルヴィオン)、③ラヴェル「ボレロ」

7月29日(火)午後3時 読売日響 指揮:ダレル・アン ①チャイコフスキー「眠りの森の美女~ワルツ」、②同「ヴァイオリン協奏曲」(Vn:松山冴花)、③同「交響曲第6番”悲愴”」 

 

          

 

8月2日(土)午後4時 NHK交響楽団 指揮:山下一史 ①ムソルグスキー/ラヴェル「展覧会の絵~プロムナード」、②ドビュッシー「交響詩”海”~風と海の対話」、③サン=サーンス「動物の謝肉祭~白鳥」、④プロコフィエフ「ピーターと狼」、⑤スメタナ「モルダウ」

8月4日(月)午後3時 神奈川フィル 指揮:川瀬賢太郎 ①バーンスタイン「キャンディード序曲」、②アンダーソン「トランペット吹きの休日」、③同「クラリネット・キャンディ」、④同「ワルツィング・キャット」、⑤同「舞踏会の美女」、⑥J.ウィリアムズ「スターウォーズ組曲」

8月5日(火)午後7時 東京フィル 指揮:ダン・エッティンガ- ①モーツアルト「ピアノ協奏曲第20番」(Pf:菊池洋子)、②マーラー「交響曲第5番」

 

 

          

 

8月7日(木)午後7時 日本フィル 指揮:マックス・ポンマー ①C.P.Eバッハ「交響曲ニ長調」、②ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」(Pf:小山実稚恵)、③ブラームス「交響曲第2番」

8月8日(金)午後3時 東京ニューシティ管弦楽団 指揮:曽我大介 ソプラノ:幸田浩子、鈴木慶江 ①スッペ「軽騎兵序曲」、②ジーツィンスキー「ウィーン、わが夢の街」、③J.シュトラウスⅡ「アンネン・ポルカ」、④同「ウィーンの森の物語」、⑤同:ワルツ「春の声」、⑥同「喜歌劇”こうもり”~ハイライト」

8月9日(土)。午後6時半 昭和音楽大学 指揮:齋藤一郎 ①コープランド「エル・サロン・メヒコ」、②ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」、③ベルリオーズ「幻想交響曲」

8月10日(日)。「フィナーレ・コンサート」 東京交響楽団 指揮:井上道義 ①スメタナ「モルダウ」、②J.シュトラウス「美しく碧きドナウ」、③オッフェンバック/ローゼンタール「天国と地獄」~カンカン、ベニスの舟歌、④メンデルスゾーン「フィンガルの洞窟、⑤ドビュッシー「交響詩”海”」

 

          

 

入場料はS席4,000円、A席3,000円、B席2,000円ですが、8/4の神奈川フィルと8/8の東京ニューシティはS席3,000円、A席2,000円で、8/9の昭和音大は全席自由1,000円です

すでに4月12日から「ミューザ川崎友の会」向けに先行発売が、18日からはWeb会員の優先発売があったため、すべてS席の1階席のセンターブロックを取ったものの、通路側席はほとんど取れず、通路から2つか3つ入った席しか取れませんでした

本当は7月30日(水)午後7時からの東京都交響楽団の公演(インバル指揮。ワーグナー「ジークフリート牧歌」、ブルックナー「交響曲第7番」)も聴きたいのですが、すでに新日本フィルの室内楽シリーズの予定が入っているので諦めました ちなみにインバル+都響の入場料はS席6,000円、A席4,000円、B席3,000円となっています

なお、多くの公演で「公開リハーサル」や指揮者による「プレトーク」があり、その日のチケットを持っていれば入場できることになっています 8月4日(月)と8日(金)は真昼間のコンサートなので休暇をとるしかありません。今年も”熱い”夏になりそうです

 

          

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東響の「カルミナブラーナ」、ミンコフスキ+都響のビゼー、アリス・沙良・オットのベートーヴェン

2014年04月24日 07時00分17秒 | 日記

24日(木)。昨日は咳が出る中、会議を3つこなしました トドメは夕方、大手町の日本工業倶楽部で開かれたビル関係団体の懇親会です。面識のない人たちの中、やっと近くのビルのK氏を発見、ウーロン茶を飲み、寿司、おでん、焼鳥、焼きそばなどを食べながら、しばし歓談しました 風邪が悪化しないうちにと、1時間ほど滞在して会場を出ました。電車の中で、会場に忘れ物をしてきたのを思い出しましたが、どうでもいい物だったので放っておきました

 

  閑話休題  

 

昨日の日経夕刊「らいふプラス 人間発見」にウィーン・フィル第1コンサートマスターのライナー・キュッヒル氏が登場しています 指揮者カール・ベーム、リッカルド・ムーティ、ヘルベルト・フォン・カラヤン、クラウディオ・アバドたちとの演奏を振り返っています

興味深かったのは最近亡くなったクラウディオ・アバドとの思い出を語った最後の部分です

「75年にモーツアルトのヴァイオリン協奏曲第1番で私のソロで共演したのが最初。リハーサルよりも本番に強い指揮者でしたね リハーサルはうまいのに、本番がつまらない指揮者が多いのですが、逆でした。ナポリ出身のムーティが南イタリア的だとしたら、ミラノ出身のアバドは北イタリア的な音楽作りの違いがありました

キュッヒル氏は「リハーサルはうまいのに、本番がつまらない」指揮者の名前を挙げていませんが、誰なんでしょうね?興味があります また、南イタリア的と北イタリア的というのはどう違うのでしょうか。個人的には、ウィーン・フィルではありませんが、アバドがベルリン・フィルを振ったブラームス「交響曲第2番ニ長調」の演奏(1971年録音)こそ”北イタリア的”と言うのが相応しい演奏だと思います

 

          

 

  も一度、閑話休題  

 

チケットを3枚買いました 1枚目は7月31日(木)午後7時からサントリーホールで開かれる第23回Kissポートクラシックコンサートです プログラムは①ドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調」、②オルフ「カルミナ・ブラーナ」で、演奏は大友直人指揮東京交響楽団、①のチェロ独奏は上野通明、②の独唱はソプラノ=幸田浩子、テノール=高橋淳、バリトン=須藤慎吾です。これはプログラムが魅力です。このコンサートは港区の関係団体が主催している公演なので入場料がS席3,700円、A席2,800円と格安になっています。とくに「カルミナ・ブラーナ」はナマで聴いてこそ楽しめる迫力十分の音楽です。お薦めします

 

          

 

2枚目は8月3日(日)午後2時から東京芸術劇場で開かれる東京都交響楽団の「作曲家の肖像~ビゼー」コンサートです プログラムは、ビゼーの①交響曲「ローマ」、②「アルルの女」組曲第1番、③「アルルの女」組曲第2番。指揮はマルク・ミンコフスキです。これはミンコフスキの音楽解釈が興味津々です

 

          

 

3枚目は9月3日(水)午後7時から東京芸術劇場で開かれる読売日本交響楽団のコンサートです プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番」、②リヒャルト・シュトラウス「アルプス交響曲」です。指揮はコルネリウス・マイスター、①のピアノ独奏はアリス=沙良・オットです これは素足でピアノを弾くアリス・沙良・オットのベートーヴェンの第1番に興味があります

 

          

 

いずれのコンサートも公演翌日にはブログにアップします

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ジェフリー・アーチャー著「裁きの鐘は(下)」を読む~波乱万丈の一代記

2014年04月23日 07時00分34秒 | 日記

23日(水)。風を足しました。もとい、風邪をひきました 一昨日から咳が出るので、昨日当ビル地下のNクリニックで診てもらったところ、喉が赤くなっており風邪の初期症状とのことでした W薬局で薬をもらってきました。昨夕はX部長と久しぶりに飲むことになっていたのですが、100万円札入りの財布を落とした時のように落胆するX部長をしり目にまっすぐ帰ってきました というのは、今日、午前中に社内会議が、午後には全テナントを対象とした防災会議が、夕方にはビル業界の年次総会+懇親会があるので休むわけにはいかないからです。お願い、誰か代わって 男はつらいよ

 

  閑話休題  

 

ジェフリー・アーチャー著「裁きの鐘は(下)」(新潮文庫)を読み終わりました この作品は「クリフトン」シリーズ第3部の後半です

「校則破りの常習犯だったセバスチャンは志望校への推薦を得るべく改心したかに見えたが、友人ブルーノの罪をかぶったことをブルーノの父親ドン・ペドロ・マルティネスに気に入られ、国際的な犯罪に巻き込まれてしまう 息子を救いたい一心で、政府の要請のもと、ハリーはブエノスアイレスに飛ぶ。マルティネス父はセバスチャンが犯罪の真相を知ったのではないかと思い、自動車事故に見せかけて彼を殺すことを企む ところが予想外のハプニングが起きて息子ブルーノがハリーとともに犠牲になりそうになるが、手の打ちようがない セバスチャンとブルーノの運命はいかに・・・・・・・」

まさに波乱万丈のクリフトン一家の一代記(二代記?)です 読み始めたら止まらない面白さ。この続きはどうなるのか、一刻も早く読みたい気持ちを押さえられません

 

          

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テオ・アンゲロプロス「旅芸人の記録」を観る~3時間50分休憩なしの記録

2014年04月22日 07時00分35秒 | 日記

22日(火)。昨日の朝日夕刊・文化欄に、今年の夏「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」でヴェルディのオペラ「ファルスタッフ」の指揮を執るファビオ・ルイジのインタビューが載っていました このインタビューを担当しているのは文化部記者(?)K氏ですが、次のように書いています

「ルイジが首席指揮者を務めるニューヨークのメトロポリタン歌劇場は、オペラ作品を映画館で上映する取り組みで、クラシックのすそ野を広げている

ピーター・ゲルブ総裁によるメトロポリタン歌劇場のこの試みは『METライブビューイング』と呼ばれ、日本でも今年ヴェルディ「ファルスタッフ」を皮切りにドヴォルザーク「ルサルカ」、マスネ「ウェルテル」などのオペラが、新宿ピカデリー、東銀座「東劇」などで上映されています

新聞記事は、限られたスペースの中で必要最小限の要素を紹介しなければならないということは、よく理解できます しかし、ここまで書いて、なぜはっきりと「METライブビューイング」と書かなかったのか、物足りなさを感じます 「新聞記事で特定の企業・組織のPRにつながるようなことは書かない」という鉄則でもあるのでしょうか?もっと心を広く持って「よりクラシックのすそ野を広げよう」という意識があればきっと書いていたはず、と思うのは私だけでしょうか

 

  閑話休題  

 

昨日、池袋に行ったついでに新文芸坐でギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督映画「旅芸人の記録」を観ました 公開は1975年9月ですが、日本での公開は1979年8月でした。全編ギリシャ語で上映時間3時間50分という超長編大作です その長さから、これまで敬遠してきたと言えるかも知れません。物語は

「1952年11月、旅芸人一座がエギオンに到着する。一座は発足当時と大分変っている。彼らは1939年秋への回想に入っていく・・・・ギリシャ南部の小さな町に旅芸人の一座がやってくる。一座の出し物は牧歌劇「羊飼いの少女ゴルフォ」。座長はアガメムノンとその妻クリュタイムネストラ、長女エレクトラ、次女クリュソテミス、ほかに数名の劇団員と子供たちから構成されている 団員の一人アイギストスは、クリュタイムネストラと不倫関係にあり、彼は反左翼思想のため、左翼のシンパだった団員の看板スター、ピュラデスを警察に密告し逮捕させる 第2次世界大戦が始まると、ギリシャに侵攻してきたドイツ軍の兵士に、座長の息子オレステスが対独ゲリラに参加していると密告する。座長のアガメムノンはオレステスの身代わりになって銃殺され、アイギストスが座長になる 1945年、劇団に戻ってきたオレステスは、父親の復讐を果たすため劇中、アイギストスと母親を射殺する。芝居でなく本当の射殺だということを知らない観客は拍手喝さいをおくる。彼はその後、再度ゲリラになって山にこもるが、1949年に逮捕され処刑される。1952年秋、次女クリュソテミスの息子がオレステスが演じるはずだったタソス役でデビューしようとしていた

3時間50分ぶっ通しで1939年から1952年までのギリシャの近代政治史を観ることになりますが、相当つらいものがあります 飛び込みで映画館に入って、いきなり観たものだから、ストーリーが良く理解できません それに、1939年から1952年に飛んだと思ったら1940年に戻り、再び1952年に飛び、最後は振り出しに戻って1939年秋のシーンで終わるのです。ついていけません また、人名の呼び方が難しくよく覚えられません

それでも、印象に残るシーンがいくつかあります。真っ白な雪の中に一羽のニワトリが鳴いています それを見つけた一座が「コーコッコ・・・・」と鳴きまねをしながら近づいていき、捕まえるシーン これは貴重な食料になるのですね。もう一つは、海辺でクリュソテミスと米兵の結婚披露宴が開かれている時、青年になった息子がテーブルクロスを引きはがして砂浜を引きずって行くシーン。彼はアメリカ人と結婚する母親が許せないのですね 

それにしても映画のタイトルが「旅芸人の記録」であることから、全編を通して歩くシーンが多い映画です。トランクを下げ黙々と歩きます。彼らは過去を引きずりながら現在を生きるギリシャそのものを表しているように見えます

個人的には、もう一度観ないと理解できないと思いました。もしこの映画をご覧になる時は、事前にストーリーを理解したうえでご覧いただくようお薦めします

 

          

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ジョナサン・ノット+東響でマーラー「交響曲第9番」を聴く~成功した新音楽監督の船出

2014年04月21日 07時00分24秒 | 日記

21日(月)。昨日、サントリーホールで東京交響楽団の第619回定期演奏会を聴きました。同楽団の新音楽監督ジョナサン・ノットの就任記念コンサートです プログラムは①武満徹「セレモ二アル」、②マーラー「交響曲第9番」です。①の笙独奏は宮田まゆみです

 

          

 

開演に当たり「指揮者の意向により休憩がありません」のアナウンスが入ります 1曲目の武満徹「セレモ二アル」はサイトウ・キネン・フェスティバル松本の第1回オープニング作品として委嘱・初演されたもので、雅楽の楽器である笙(しょう)による序奏と後奏をもつオーケストラのための小典礼楽です

コンマス・水谷晃のもとチューニングが行われソリストと指揮者を待ちます。オケは向かって左手奥にコントラバス、その前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンと並ぶ対向配置を採ります

笙を手にした”白装束”の宮田まゆみが指揮者ノットとともに登場し、厳粛な雰囲気の中、笙のピアニッシモの音が会場の隅々まで沁み渡っていきます ここで”ピアニッシモ”と書きましたが、笙は楽器の特性から大きな音が出せないので、実際にはフォルテで吹いているのかも知れません。どこで息継ぎをしているのだろうと不思議に思うほど音が絶えません。独特のブレス法があるのでしょう。途中からオーケストラが流れを引き継ぎ静かな音楽を奏で、最後に再び笙のピアニッシモによって曲を閉じます 東洋と西洋が融合するような曲想です

拍手の中、カーテンコールが何度かあり、休憩なしで次の曲が始まります。管楽器、弦楽器とも追加されステージが狭く見えるほどに拡大します 指揮者の譜面台が外されました。ノットは暗譜で指揮をするようです

 

          

 

再びジョナサン・ノットが登場、マーラーの第9交響曲が開始されます。第1楽章「アンダンテ・コモド」はチェロとホルンとハープとで「光」が表現されます。次いで、やさしく深い音楽が続きます

ノットの指揮は、壮年期のカラヤンを思い出させます。各楽器への指示は鋭く、しなやかな両手でオーケストラを完全にコントロールします それが顕著だったのは第2楽章「レントラーのテンポで、ややぎこちなく粗野に」と第3楽章「ロンド・ブルレスケ」です 両楽章とも速いパッセージが続く箇所が少なくないのですが、ノットはこれでもか、といったスピードをオケに求めます 自ら自家用ジェット機を操縦して世界を飛び回って演奏活動を展開したカラヤンのスピード感に通じるところがあります。「これが現代のマーラーだ」とでも言うかのような指揮振りです

(家に帰ってからカラヤン+ベルリン・フィルの1982年のライブCDを聴いてみて、これが誤解だったことが分かります。何と、ノット+東響の方が速いのです よく考えてみれば82年と言えば30年以上前の演奏です。その後、我々を取り巻く生活環境はより一層スピード感が増しています。それを反映するかのようなノットのテンポです ついでに言えば、カラヤンとノットとの大きな違いは、カラヤンは目を閉じて指揮するのに対して、ノットは両目をしっかりと開けて指揮をします

 

          

 

しかし、間を置かずに入った第4楽章「アダージョ」では、弦楽器を中心に、第3楽章までにもがき苦しんできた人生を浄化し、この世に別れを告げる音楽を綿々と響かせます

この曲は1909年~1910年に作曲されましたが、マーラーは自分の耳で聴くことが出来ないまま死去しました 初演は彼の弟子ブルーノ・ワルター+ウィーン・フィルによって1912年6月26日にウィーンで初演されましたが、ワルターはこの曲を「別れ」の音楽だと言っています

弦楽器のピアニッシモが終わりを告げ、会場にしじまが訪れて約20秒、ノットのタクトが下ろされ、パラパラという拍手が徐々に拡大し会場全体を包み込みます 静かな感動に「ブラボー」は聴かれません。2度目のカーテンコールで初めて「ブラボー」の声が聴こえてきました。「ノー・ブラの某さん」の声もありました。やっぱり来てましたね、あなた

この日の演奏を振り返ってみると、ノットは本当のところ「セレモ二アル」と「第9交響曲」を間断なく続けて演奏したかったのではないか、と思いました もちろん、1曲目のソリスト宮田まゆみさんへの配慮があるので、そうはいかないことは分かっていますが、ノットの周到なプログラミングから2つの曲の一貫性を考えるとそう思わざるを得ません

この日のコンサートは新音楽監督ジョナサン・ノットの船出として大成功を納めたと思います

 

          

         

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