人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「音大崩壊」~ 朝日新聞 書評欄から / カンテミール・バラーゴフ監督「戦争と女の顔」を観る ~ 原案は「戦争は女の顔をしていない」:新宿武蔵野館 / オリビア・ニュートン・ジョン死す

2022年08月10日 07時07分56秒 | 日記

10日(水)。6日付の朝日朝刊「書評欄」で、大内孝夫著「音大崩壊 音楽教育を救う たった2つのアプローチ」(ヤマハミュージック  エンタテインメント  ホールディングス)が取り上げられていました     一橋大学教授・労働経済学の神林龍氏による書評の概要は以下の通りです

「銀行出身のコンサルタントが音楽大学の現状を分析し、対応策を提案したビジネス書である     少子化のあおりを受けて大学進学者は毎年63万人程度で頭打ちだが、女子の数は増えている ところが、音大への女子進学者は減少の一途を辿り、名門といわれる首都圏私大でも定員割れを起こしている 著者は、所得の減少や女性の就業率の上昇によって、高価で、余暇と補完的だった音楽技能の相対的価値が低下したことが要因と示唆しているが、この説明は、スポーツや美術など諸芸にも当てはまる 音楽だけが苦境に立たされる理由の一端は、筆者によれば、現在の音大が、旧態依然とした古典楽器中心の、音楽専門職の育成に特化していることにある 本書が紹介する対応策は、新しい領域や複合的なコースの開拓などが中心だ 結局、音楽教育の本来の役割は社会の礎たる教養の涵養にあるという考え方こそが、音大再興の鍵なのである

私が思うに、女子を中心とする音大進学者の減少の一番の要因は、高い授業料を払って学んで卒業しても、学んだ知識を生かせる就職先がほとんどないということではないか、と思います そこで著者は、社会の多様なニーズに応えられるように「新しい領域や複合的なコースの開拓」を提言しているのだと思います しかし、音大側がその方向に舵を切ったとしても、卒業後にプロの演奏家になったり、希望する職業に就くには才能と努力に加えてコネとチャンスが必要かもしれません 音大を含めた芸術系大学はどこに向かっていくのでしょうか

いうことで、わが家に来てから今日で2768日目を迎え、トランプ前米大統領の所有する南部フロリダ州のマールアラーゴがFBIの家宅捜査を受けたことに関し、トランプ氏は8日、「FBI捜査官によって包囲を受けて急襲され、占領されている。こんなことは、これまで(歴代の)米大統領にはなかった」と訴えたが、FBI元幹部はCNNで「捜査令状の取得には何らかの連邦法に違反していると疑うに足る証拠が必要だ」と指摘した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     国立公文書館から機密文書を勝手に持ち出すなんて 大統領がやることじゃないだろ

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました 本来は隔週金曜日のローテで作っていますが、今週はコンサートの関係で繰り”揚げ”ました ビールはもちろんサッポロCLASSICです

 

     

 

         

 

新聞各紙によると、英国生まれ豪州育ち、「そよ風の誘惑」などのヒット曲で知られるオリビア・ニュートン・ジョンさんが8日朝、米カリフォルニア州で亡くなりました(享年73歳)。長らく乳がんと闘っていたとのことです

オリビア・ニュートン・ジョンといえば忘れられない思い出があります    大学の新聞学科を卒業して新聞関係団体の国際部に採用されて3年目のことでした 当時、日本とアメリカの新聞界で、お互いの国のコミュニケーション・ギャップを解消することを目的に「日米記者交換計画」というプロジェクトがあり、その年に約10名の米国記者団が来日し、私がその計画を担当することになりました 東京都内でセッションを開いた後、政府外郭団体の旅行社の担当者とともに記者団一行に同行して広島で原爆記念館を見学したり、大阪で大相撲を見学して高見山にインタビューしたり、司馬遼太郎さんの話を聞いたりと、観光を兼ねた取材活動をして東京に戻りました 最後の日に、銀座のレストランで彼らの歓送会を開いたのですが、その時、視察団の代表から「この2週間、つきっきりでお世話いただきありがとう」と、オリビア・ニュートン・ジョンの「Let  me be there」とヘレン・レディの「I  Am Woman」のLPレコードをプレゼントしてくれたのです 夜もろくに眠れない緊張続きのツアーだっただけに、その時は感激して涙が出そうでした それ以来、オリビア・ニュートン・ジョンという名前に接するたびに視察団一行の顔を思い浮かべました あらためて、オリビア・ニュートン・ジョンさんのご冥福をお祈りいたします

 

     

     

 

         

 

昨日、新宿武蔵野館でカンテミール・バラーゴフ監督による2019年製作ロシア映画「戦争と女の顔」(137分)を観ました

第二次世界大戦に女性兵士として従軍したイーヤ(ビクトリア・ミロ̪シ二チェンコ)は、終戦直後の1945年に荒廃したレニングラードの傷病軍人が収容された病院で、PTSDを抱えながら看護師として働いていた しかし、ある日、PTSDによる発作のせいで面倒をみていた子どもパーシュカを窒息死させてしまう そこにパーシュカの実の母親で戦友でもあるマーシャ(バシリサ・ペレリギナ)が戦地から帰還してくる。彼女もまた、イーヤと同じように心に大きな傷を抱えていた パーシュカの死を告白するイーヤをマーシャは責めないが、爆弾の破片を腹に受け、もはや子どもが産めない身体のマーシャはどうしても子どもが欲しかった そこで自分に代わってイーヤに子どもを産んでほしいと考え、病院のニコライ・イワノヴィッチ院長(アンドレイ・バイコフ)を巻き込んである計画を立てる

 

     

 

本作はベラルーシのノーベル賞作家スベトラーナ・アレクシエービッチによるノンフィクション「戦争は女の顔をしていない」を原案に、第二次世界大戦後のソ連(現ロシア)で生きる2人の女性の運命を描いた意欲作です 原作は独ソ戦に参加した女性兵士の証言を集めた本ですが、ソ連軍は女性を組織的に戦争に参戦させた点で、世界史にも稀な例となっています そのため、戦地では様々な出来事があったことは容易に想像が付きます

本作では戦場における惨劇は語られることがなく、2人の女性が精神的に受けたPTSDに焦点が当てられます イーヤは臆病でいつもびくびくしながら生きているし、マーシャはイーヤを許しながらも残酷な態度を取って自己嫌悪に陥ったりします 攻撃的なマーシャと従順なイーヤの関係性が、子どもの死によって一層強くなったと言えるかもしれません それでも何とか和解し、かすかな希望を見い出そうとするラストシーンに観衆は救われます

監督のカンテミール・バラーゴフは30歳そこそこの若いロシア人ですが、ロシアのウクライナ侵攻の直前に本作を撮りました この映画の特徴は、戦争の場面は一切映らないのに、戦争の残虐性を浮かび上がらせているところだと思います

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