人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立劇場オペラ研修所「サマー・リサイタル2024」を聴く ~ 素晴らしい演出に支えられて伸び伸びと歌うオペラ研修所第25~第27期生

2024年07月26日 00時03分21秒 | 日記

26日(金)。毎月下旬に宮城県白石市に単身赴任している息子に、地元の小さなスーパーでは売っていない牛肉を送っています 昨日、いつものように池袋西武にある人形町今半に行って地方配送を頼んだろころ、池袋西武がヨドバシカメラ・グループに買収される関係で今月末に閉店になるので配送できないと言われました 仕方ないので、池袋東武の今半から配送してもらいました 池袋西武は8月から大改装工事に入るようです。池袋駅周辺にはすでにビックカメラとヤマダ電機という大型店があり競争しています そんな中、ヨドバシカメラが乗り込んでくるわけですが、個人的にはデパートがヨドバシカメラ中心に模様替えされても構いませんが、地下の食料品売り場は無くさないでほしいと思います

ということで、わが家に来てから今日で3482日目を迎え、ロシアの子どもたちおよそ250人が北朝鮮を訪問し、「友好キャンプ」が始まったと北朝鮮メディアが報じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     北朝鮮と仲良しこよしをやる前に ロシアは誘拐した子供たちをウクライナに返せ!

         

昨日、夕食に「厚揚げとインゲンの煮浸し」「牛バラ焼き肉」「生野菜とアボカドのサラダ」「シメジの味噌汁」を作りました 「厚揚げ~」は新聞の「料理メモ」を見て初めて作りましたが、出汁が濃すぎてしょっぱかったので次回の反省材料にします

     

         

昨夜、新国立劇場(小劇場)で新国立劇場オペラ研修所「サマー・リサイタル2024」を聴きました プログラムは①モーツアルト「魔笛」より、②エメリッヒ・カールマン「伯爵令嬢マリツァ」より、③オットー・ニコライ「ウィンザーの陽気な女房たち」より、④リヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」よりラスト、⑤チャイコフスキー「イオランタ」より、⑥同「エウゲニ・オネーギン」より、⑦カバリェーロ「アフリカの二人」より、⑧ヘギー「スリー・ディセンバーズ」より、⑨アダモ「若草物語」より、⑩ヨハン・シュトラウス2世「こうもり」よりーです 出演は新国立劇場オペラ研修所第25・26・27期生、ピアノ=石野真穂、高田絢子、ヴァイオリン=増田加壽子、指揮=キャスリーン・ケリー、演技指導・演出=タラ・フェアクロスです

自席はC6列13番、センターブロック右通路側です。会場は満席です

     

オーケストラピット内は指揮者のキャスリーン・ケリーが中央に、ピアノの石野真穂と高田絢子が上手と下手に分かれてスタンバイします ヴァイオリンの増田加壽子の位置は下手ですが、歌に応じて舞台に上がって演奏し歌手を支えます ステージ上は奥に四角い柱が左右に立っているだけで、大道具・小道具などは一切ない極めてシンプルな舞台作りとなっています

ステージの上方に横書きによるテロップが流れますが、最初にその場面の「あらすじ」が、歌に入ると「歌詞」が流れるようになっています これはとても親切です

最初はモーツアルト「魔笛」より冒頭のシーンです 出演は第27期生(1年次)の5人です。これは喜劇的な演出が素晴らしかった 3人の侍女が、我こそはとタミーノに言い寄るシーンなど思わず笑ってしまいました

2曲目はエメリッヒ・カールマン「伯爵令嬢マリツァ」よりハンガリーの没落貴族タシロの嘆きの歌です 増田のヴァイオリンに乗せて松浦宗梧(3年次)が熱唱しました

3曲目はオットー・ニコライ「ウィンザーの陽気な女房たち」より青年フェントンと恋人アンナの愛の場面です これも出演者の熱演とともにコメディタッチの演出が冴えていました

4曲目はリヒャルト・シュトラウス「ばらの騎士」よりラストの三重唱、二重唱です 特にオクタヴィアン役の後藤真菜美(2年次)とゾフィー役の冨永春奈(3年次)の二重唱が素晴らしかった

     

後半の1曲目はチャイコフスキー「イオランタ」より、眼の不自由なイオランタが「何かが足りない、何かが欲しい、でもそれが何か分からない」と疑問に涙ぐむアリアの場面です 野口真湖(3年次)が歌いましたが、イオランタの悲しみが伝わってくる素晴らしい歌唱でした この人には人を惹き付ける魅力があり存在感があります

2曲目はチャイコフスキー「エウゲニ・オネーギン」より、オネーギンがタチヤーナに説教する場面です オネーギン役の中尾奎五(2年次)は声が良く通るバリトンで、タチヤーナ役の冨永春菜は美しいソプラノでした

3曲目はカバリェーロ「アフリカの二人」より、テノール歌手ジウッセビー二がアントネッリに 一緒に国に帰ろうと口説く二重唱の場面です    ジウッセビー二役の永尾渓一郎(3年次)とアントネッリ役の谷菜々子(2年次)は、ともに役に成り切って歌っていました

4曲目はヘギー「スリー・ディセンバーズ」より、アメリカを舞台に姉と弟が父や母の思い出を回想する二重唱の場面です 姉ピーを野口真湖が、弟チャーリーを松浦宗梧が歌いましたが、この日の公演でマイベストでした 特に野口真湖はイオランタとは真逆の世界の女性をごく自然に歌い上げ、ここでも存在感を示しました

5曲目はアダモ「若草物語」より、マーチ家の四姉妹の次女ジョーが、それぞれの道を歩む長女メグ、三女ベス、四女エイミーの生き方を受け入れるラストの場面です ジョー役の後藤真菜美(2年次)、メグ役の牧羽裕子(1年次)、べス役の島袋萌香(1年次)、エイミー役の谷菜々子(2年次)の四重唱が美しかった

最後の曲はヨハン・シュトラウス2世「こうもり」よりオルロフスキー公爵邸でのパーティーの場面です 1年次から3年次までが出揃った歌アリ踊りアリの楽しいシーンでした

     

今回は小劇場(約400席)でしたが、中劇場(約1000席)でも良かったのではないかと思います こんなに素晴らしい公演は、小劇場ではもったいないです

最後に、出演された第25期、第26期、第27期の皆さんをはじめ、指揮者のキャスリーン・ケリーさん、ピアニストの石野真穂さんと高田絢子さん、ヴァイオリニストの増田加壽子さん、そして演技指導・演出を担当されたタラ・フェアクロスさんに大きな拍手を送ります

     

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日経・瀬崎編集委員の「配信時代の新たな挑戦 ~ 角野隼人、武道館でピアノリサイタル」の記事を読んで / 齋藤孝著「頭の良さは国語力で決まる」を読む

2024年07月25日 00時01分04秒 | 日記

25日(木)。セキュリティソフト会社のトレンドマイクロから「ウィルスバスターライセンス契約有効期間(3年間)が12月31日で切れる。ついては7月31日までに契約延長すれば有効期間が無料で4か月延長され、2028年4月30日までとなる」という案内が届きました 現在、パソコンとスマホのセキュリティー対策に使用していますが、どうせこの先もずっと使用するので延長することにしました 3年間+4か月で税込み12,640円ですが、コンピュータウィルスに侵食されてパソコンがフリーズする恐怖を考えれば、保険のつもりで支出するのはやむを得ないと思います 下の写真は3年前にインストールしたソフトです

     

ということで、わが家に来てから今日で3481日目を迎え、ロシア外務省は23日、ウクライナ侵攻に対する日本の対ロシア制裁への対抗措置として、トヨタ自動車の豊田章男会長ら13人を無期限で入国禁止にすると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     そうやって次々と自分の首を絞めていくプーチン・ロシアは 救いようのない国だな

         

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「鯖を塩焼き」に、「イカをバター醤油焼き」にして、「生野菜とアボカドのサラダ」、「豚汁」を作りました 鯖とイカは特大でとても美味しかったです

     

         

朝日新聞・吉田純子編集委員による「角野隼人 at 武道館」の記事については22日付ブログでご紹介しましたが、23日の日経夕刊文化欄に同社編集委員・瀬崎久見子さんが「配信時代の新たな挑戦 角野隼人、武道館でピアノリサイタル」という見出しによる記事を書いていました

リード記事には「角野隼人が日本武道館でピアノリサイタルを開いた。クラシック公演としては異例の巨大会場だ。ユーチューブで人気を博す新世代の挑戦。武道館でクラシック音楽は可能なのか?」と書かれています

本文を超略すると次の通りです

「観客は女性が圧倒的に多いが、子供から高齢者まで年齢は幅広い 多少の前例はあるが、武道館でのクラシック公演、ましてや一人の演奏会は珍しい クラシックの奏者として活動するが、野外の音楽フェスやジャズの会場にも出る。即興や編曲、作曲の力が際立っている 10月末にソニークラシカルから世界デビューアルバムを出す予定だが、アーティスト発掘部門で角野を見出したアレクサンダー・ブーア氏は『彼は21世紀の新しい音楽家。クラシックに軸足を置きながら、多様な音楽を取り入れて自分の音楽にする。ユーチューブやティックトックなどであらゆる音楽を聴いて、多様な実験ができる ”ストリーミング世代”の音楽家だ』と語る。クラシック公演の可能性が少し、広がった。武道館公演は9月1日にWOWOWで放送、配信予定

角野は音大卒ではなく東大大学院修了で、2021年のショパン・コンクールでセミファイナルまで進んだ実力者なので、ピアノの腕前は世界レヴェルと言えます その上、編曲や作曲のレヴェルも相当高いので、優秀なピアニストの範疇を超えています 角野の演奏はこれまで何度かライブで聴きましたが、クラシック音楽愛好家としては、これからもPAを通した演奏でなく、生音(なまおと)で聴きたいと思います

         

齋藤孝著「頭の良さは国語力で決まる」(だいわ文庫)を読み終わりました 齋藤孝は1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。「声に出して読みたい日本語」で毎日出版文化賞特別賞を受賞   「雑談力が上がる話し方」など著書多数

     

本書は大和書房から2019年12月に刊行された「国語力が身につく教室」を改題し、再編集して文庫化したものです

本書は次の各部・各章から構成されています

はじめに ~ あなたの国語力は大丈夫ですか?

第Ⅰ部「日本語の最重要ポイント」

 第1章「読解力アップの実践法」

 第2章「文章力アップの技法」

 第3章「表現力アップの手法」

第Ⅱ部「会話の最重要ポイント」

 第4章「体面力アップの極意」

 第5章「対話力アップの奥義」

 第6章「主張力アップの秘訣」

第Ⅲ部「生きる構えの最重要ポイント」

 第7章「自己肯定力アップの早道」

 第8章「感情自制力アップの近道」

 第9章「身体感覚アップの王道」

おわりに ~ あらゆる場面で必要とされる2つの『学力』

著者は「はじめに」の中で「最高レヴェルの実用的な言語活動が求められているにもかかわらず、自分の国語力に自信が持てない人が多い   能力的には江戸時代の子どもたちが身に着けたものに劣る国語力であり、それが心配だ 国語力を土台にした言語活動がどれだけしっかりできる人であるのかが、その人の評価を左右している 母語で思考することをしっかり認識するところからすべてがはじまる」と書いています

そして本論に入っていきますが、斎藤メソッドによる102の極意が紹介されているので、ここではブログを書く上で参考になると思われる第Ⅰ部「日本語の最重要ポイント」についてご紹介したいと思います

著者は第Ⅰ部で「国語力の基礎を鍛える3つのポイント」として①読解力、②文章力、③表現力を挙げています その上で、第1章から第3章まででそれぞれのポイントの要点を解説していきます。特に印象に残った箇所を中心にご紹介します

第1章「読解力アップの実践法」では、「優れた100人のアウトプットから知性をいただく」が印象的です 著者は次のように書いています

「読解力をつけるトレーニングとしての読書には、どのくらいの冊数が必要かといえば、目安としては年間に100冊程度です 1か月で約8冊、週にすると2冊になりますが、これは決して多い量ではないと考えます。その理由は、読めば読むほど読書のスピードとレヴェルが上がっていくからです

著者は「100冊の名著を読むことは、100人の偉大な知性を自分の味方につけるということです」と書いていることから、想定しているのは、私が普段読んでいるミステリー小説のような”軟派”な本ではなく、小説なら歴史に残る文豪たちの作品が中心、一般教養なら様々なテーマを扱っている「新書」等ではないかと思います ミステリーにしても新書にしても、100冊にはちょっと驚きます 個人的なことをいえば、今年前半で読んだ本は47冊だったので、後半も同じペースでいけば94冊となり、100冊に達しません しかも、私の場合は読むペースが遅く、いくら読んでもペースが上がらない体たらくなので100冊は困難です 眼が悪いし、それ以上に頭が悪いので、ショーガナイのです それでも最後まで読了する根性だけはあるつもりです

著者は同じ章の中で「文章の最も言いたいことを的確にとらえる能力、すなわち『要約力』こそ読解力の基本です まずは『客観的な要約力』を身に着けるのが大切です」と書いています 齋藤氏の要約力アップの手法は得意の「3色ボールペン活用法」です。本を読む時、赤・青・緑のボールペンを使い、文章に傍線を引いていくという方法です 赤色は「非常に大事」、青色は「まあ大事」、緑色は「面白いと感じた箇所」です これは要約するのに具体的でわかりやすい手法だと思います ところで、私が新聞関係団体の現役時代には、よく会議記録を書かされたものです いかに無駄を排して要点だけをまとめて書くかを先輩から叩き込まれました また、労働組合で書記長と副書記長を務めた際、団交記録や組合ニュースを毎日のように書いているうちに、ある程度「要約力」が身に着いたように思います 「要約力」を身に着けるにはある程度「量をこなす」ことが必要かもしれません

第2章「文章力アップの技法」の中で印象的なのは「読書を通じてたくさんの言葉が自分のものになっていれば、書き言葉に対する基準ができている」「書き言葉を使いこなせると、客観的に捉える視点をもちやすくなる」という文章です これはミステリー小説でも教養書でも通じるのではないかと思います 著者は「読書をしているか、していないかは、会話のなかでその人の話している言葉が、正しい文章になっているかどうかという点に表れます」と指摘しています

また、同じ章の中で著者は「1行目に『ゴールは何か』を書く」と述べています

「自分が一番言いたいことを1行目に書き、そのあとに続く文章は、それはどういうことかを説明することに費やしていきます

これに関連して著者は「新聞で『実用日本語』を自分のものにする」というタイトルで次のように書いています

「物事や意見を伝える手段としての実用に即した日本語を、私は『実用日本語』と呼んでいるが、実用日本語が書かれた媒体の代表が新聞です いわゆる名作文学の多くが『起承転結』という構造をもつのに対して、新聞は、まず結論からはじまります 次に、なぜそうなのかという理由が記され、最後に補足情報で締めくくります。このように、短文で無駄なく、密度の濃い情報を入れ込むのが実用日本語の特徴です 新聞の文章を読む、それについて書く、話すといった訓練は、実用日本語力を高めることになります

過去に「新聞1紙の情報量は新書1冊分に相当する」という文章を読んだ記憶があります それが本当だとすれば、新聞2紙を毎日読んでいる私は 1年間に100冊以上の文章量を読んでいることになりますね、斎藤先生

第3章「表現力アップの手法」で印象に残ったのは「言語能力を高めていくためには、書き言葉を大量に仕入れる必要が絶対にある それは、本を読むことによってはじめて身に着く」ということです これはよく理解できます。「読むべき本を厳選して繰り返し読む方が読解力が身につく」という考え方もあるかもしれませんが、斎藤先生はそういう考え方には組しません。私も同感です 「質は大事だが、同じように量も大事」だということです よく、「勉強は短時間で効率よくやる方がいい」ということを言う人を見かけますが、私はこういう人を信用しません 勉強したくない人の言い訳にしか聞こえません。よほどの天才でない限り「量」は必要なのです

以上、第Ⅰ部の国語力の基礎を鍛える3つのポイント(読解力、文章力、表現力)を中心にご紹介しましたが、まだまだ参考になることがたくさん書かれています 特にブログを書いている人には参考になると思います。お薦めします

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新交響楽団から「第266回演奏会」の入場券届く / 道尾秀介著「N」を読む ~ 6つの物語を読む順番は720通り!

2024年07月24日 00時04分23秒 | 日記

24日(水)。かなり前から腕時計(ソーラー・ウォッチ)の調子が悪く、日付がズレていたり時間が狂ったりしていたので不平を言っていたら、娘が「ハッピー・バースデー・ツゥーユー」と歌いながらスマートウォッチ(スマート・バンド  SB07 Barca)をプレゼントしてくれました 私の本当の誕生日は10月中旬なのですが、人気商品だから売り切れないうちに、と早めに手配してくれたようです 娘は大手生活雑貨店Nに勤務しているので社員割引で購入したと言っていました アプリをスマホにダウンロードしてから実際に使用してみたら、これがなかなかの”優れもの”で、メインの「時計」表示面には時計のほか、歩数計、心拍数、消費カロリーが表示され、別の表示面には血圧や血中酸素なども表示されます 一番驚いたのは、ブログに対するコメントが届くと、時計が振動して知らせ、「メッセージ」にコメントが表示されたことです スマホあってのスマート・バンドだということがよく分かります 娘も同じのを持っていて、充電は1週間に一度程度で良いとのことなのでメンテも楽です もはや毎日の生活に欠かせない必需品になりました 嬉しさの一方、いま一番恐れているのは12月25日=クリスマスの娘の誕生日です なぜか お分かりですね

     

新交響楽団から「第266回演奏会」の入場券が届きました 前回までは紙のチケット(座席指定券)でしたが、今回はQRコード記載の用紙が同封されていました コンサート当日はこの用紙をスタッフに提示するようにと書かれています 今回も当方の希望通り1階センターブロック通路側席を確保してくれました。いつも有難いと思っています

     

ということで、わが家に来てから今日で3480日目を迎え、米大統領選から撤退したバイデン大統領(81)から民主党の大統領候補として支持を受けたカマラ・ハリス副大統領(59)が22日、デラウェア州で選対スタッフに向けて演説し、過去に検察官として対決した犯罪者と重ね合わせ、共和党の大統領候補のトランプ前大統領(78)を「捕食者、詐欺師、ペテン師」と非難した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     英雄気取りのトランプに勝つためには 民主党はハリスを候補者に指名し 結束すべき

  諸般の事情により昨日の夕食作りはお休みしました  

         

道尾秀介著「N」(集英社文庫)を読み終わりました    道尾秀介は1975年東京都生まれ。2004年「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞してデビュー   07年「シャドウ」で本格ミステリ大賞、09年「カラスの親指」で日本推理作家協会賞、10年「龍神の雨」で大藪春彦賞、「光媒の花」で山本周五郎賞、11年「月と蟹」で直木賞を受賞   「きこえる」「いけない」シリーズなど著書多数

本書は「小説すばる」2019年10月号から2021年6月号までに掲載された小説を2021年10月に単行本として刊行、2024年4月に文庫化したものです

巻頭に著者による「本書の読み方」が 概要次のように書かれています

「本書は6つの章で構成されているが、読む順番は自由    本文に入る前に6つの章の冒頭部分だけが書かれているので、読みたいと思う章を選び、そのページに移動してほしい   読んだ後は、また冒頭部分の一覧から次の章を選んでもらいたい 読む人によって色が変わる物語をつくりたいと思った 本書は、章と章の物理的なつながりをなくすため、1章おきに上下逆転させた状態で印刷されている

     

6つの物語は掲載順に次の通りです

「名のない毒液と花」・・・魔法の鼻を持つ犬と共に、教え子の秘密を探る理科教師の物語。

「落ちない魔球と鳥」・・・「死んでくれない」としゃべる鳥の謎を巡る女子高校生の物語。

「笑わない少女の死」・・・定年を迎えた英語教師だけが知る、少女を殺害した真犯人の物語。

「飛べない雄蜂の嘘」・・・殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者の物語。

「消えない硝子の星」・・・ターミナルケアを通じて、生まれて初めて奇蹟を見た看護師の物語。

「眠らない刑事と犬」・・・殺人事件の真相を追究すべく、ペット探偵を尾行する女刑事の物語。

巻末のタカザワケンジ氏の「解説」によると、全6章の順列組み合わせは6 ✕ 5 ✕ 4 ✕ 3 ✕ 2 ✕ 1=720で、720通りあるとのことです    さて、どういう順番で読んでいくかーということですが、ランダムに読んでいくと、読んでいる途中で自分はいったい全体のどれくらいの分量を読んだのかがさっぱり分からなくなります ズボラな私は上記の順番に読むことにしました 何と主体性のない 夢も希望もない選択でしょうか

全体を読み終わって気が付くのは、読む順番によって 書かれていることが 「謎」になったり、単なる「事実」になったりするということです    ある章では重要な登場人物が、別の章では名前のない背景的なものになる   先に読んだ章でその人物の背景(経歴等)を知っていれば「この人はあの章に出てきたあの人物だ」と特定できますが、読んでいなければスルーしてしまうかもしれません

本書は連作短編集ではありませんが、それぞれの章が微妙に絡み合っています それぞれの章で主役級の人物は変わりますが、それぞれの人物が懸命に生きていることが描かれています

ところで本書のタイトル「N」はどういう意味を持っているのだろうか 深く考えるまでもなく、アルファベットの「N」は上下を逆さまにしても「N」になるということから、1章おきに上下逆転させた状態で印刷されている体裁を象徴させているのだと思います

さて、あなただったらどういう順番で読むでしょうか

     

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「第33回Kissポート クラシックコンサート」のチケットを取る ~ 第九、大学祝典序曲 / ガブリエル・ガルシア・マルケス「百年の孤独」、中山七里「嗤う淑女二人」他を買う

2024年07月23日 00時01分31秒 | 日記

23日(火)。新札発行の7月3日から20日目にしてやっと新1万円札と新千円札を入手しました 新札はそれぞれ150年以上にわたり培った偽造防止技術が施されているとのことです 早く津田梅子さんの新5千円札にお目にかかりたい

     

9月3日(火)19時からサントリーホールで開かれる「第33回Kissポート  クラシックコンサート」のチケットを取りました プログラムは①ブラームス「大学祝典序曲」、②ベートーヴェン「交響曲第9番ニ短調”合唱付き”」です 出演は②のソプラノ独唱=森麻季、メゾ・ソプラノ独唱=花房英里子、テノール独唱=福井敬、バリトン独唱=大西宇宙、管弦楽=東京交響楽団、合唱=ミナトシティコーラス、指揮=大友直人です

     

ということで、わが家に来てから今日で3479日目を迎え、22日午前3時37分ごろ、東海道新幹線の上り線路上で、夜間作業中の保守用車両2台が衝突し、いずれも脱線したため復旧作業が長引き、浜松ー名古屋間は始発から運転見合わせが続いた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     シンカンセンの線路上の事故はカンシンセン  脱線せず 安全路線でやってほしいな

         

昨日、夕食に「野菜とひき肉のドライカレー」を作りました ほぼ1年ぶりくらいに作りましたが、なかなか美味しかったです 娘は目玉焼きを乗せて食べていました

     

 

 

         

手元の本が残り少なくなってきたので、昨日 いつも通りジュンク堂書店池袋本店で8冊購入しました

1冊目はガブリエル・ガルシア・マルケス著「百年の孤独」(新潮文庫)です 重い腰を上げて世界的ベストセラーに挑戦です

     

2冊目は中山七里著「嗤う淑女二人」(実業之日本社文庫)です 「嗤う淑女」と「ふたたび嗤う淑女」は当ブログでご紹介しましたが、本作はその第3弾です

     

3冊目は同じく中山七里著「能面検事の奮迅」(光文社文庫)です 当ブログでご紹介した「能面検事」の第2弾です

     

4冊目は浅倉秋成著「俺ではない炎上」(双葉文庫)です 当ブログでは「六人の嘘つきな大学生」をご紹介しました

     

5冊目は結城真一郎著「#真相をお話しします」(新潮文庫)です 5編のミステリー短編集のようです

     

6冊目は佐藤正午著「かなりいいかげんな略歴~エッセイ・コレクションⅠ 1984-1990」(岩波現代文庫)です 小説の名手・佐藤正午の若き日のエッセイらしいです

     

7冊目は山内マリコ著「買い物とわたし~お伊勢丹より愛をこめて~」(文春文庫)です この著者の本は初めてですが、この著者の原作による「あの子は貴族」は映画で観ました

     

最後の8冊目は矢部太郎著「大家さんと僕」(新潮文庫)です お笑い芸人「カラテカ」の一人で漫画家による4コマ漫画です

     

いずれも読み終わり次第、当ブログでご紹介していきます

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ジョナサン・ノット ✕ 東京交響楽団でブルックナー「交響曲第7番」、ラヴェル「クープランの墓」を聴く ~ 第722回定期演奏会 / 吉田純子さんのエッセイを読んで ~ 角野隼人 at 武道館

2024年07月22日 00時03分01秒 | 日記

22日(月)。昨日の朝日新聞朝刊のコラム「日曜に想う」に編集委員の吉田純子さんが「静寂なき時代  芸術家たちの葛藤」という見出しによるエッセイを寄せていました 吉田さんは冒頭、次のように書いています

「ショパンの吐息は1万人以上の心に届いただろうか 角野隼人さんのピアノを満席の日本武道館で聴く。3年前のショパン・コンクールで脚光を浴びた ユーチューブの登録者は135万人。機材で音響を増幅させると、どうしても自ら奏でている本来の生音がきこえづらくなる 注目に応えるということは、己の壊れやすい心を守る闘いを引き受けることでもあるのだと思い知る

7月14日に開かれた「角野隼人ピアノリサイタル at 日本武道館」には、何と1万3千人の聴衆(観衆?)が集まったといいます 朝日も日経も事前に報道しなかった(ニュースバリューを認めなかった?)ので、公演が終わってから参加者のXへの投稿で知りました ネット上のニュースによると、オープニングはショパン「スケルツォ第1番」、「ワルツ第14番」「木枯らしエチュード」で始まったようです 1万3千人が相手なので当然アンプで音を増幅してスピーカーから流すことになります こういう経験のない私などは「えっ、ショパンをアンプで拡大して流すの」と驚いてしまいます しかし、角野ファンにとっては、同じ会場で本人の演奏姿を見ながら直接演奏を聴くことが最大の目的であり喜びでしょうから、生の音だろうがアンプを通して拡大した音だろうが、どうでも良いのだと思います 宇佐美りんではありませんが「推し、燃ゆ」の世界です 「クラシックの聴き方としてこういうのはどうなのか?  本当に音楽を聴きに来たのか?」と疑問に思う人もいるかもしれません   しかし、何かに熱中できるというのは素晴らしいことだと思います ただ漠然と毎日を過ごす人生なんて寂しいものです

それでは演奏する立場からはどうなのか? というのが吉田さんの問題提起です 彼女は冒頭の文章に続けて次のように書いています

「即興演奏へと解き放たれると、中世の聖歌の断片やショパンの協奏曲の緩徐楽章が見え隠れ    この人らしいまっすぐな内省の跡や無邪気な遊び心に触れるたび、ほっとする

私なりに解釈すると、「ショパンの3曲のようなガチ・クラシックを演奏する時は、本当は機材により増幅した音でなく生の音を聴いてほしいのだが、それでは1万3千人の耳に音が届かないので、仕方なくアンプを使わざるを得ない    しかし、ガチ・クラシックを離れて即興演奏になると、ほとんど角野の自作自演の世界に浸れるので、あえて生の音にこだわる必要もなくなり、演奏する側も聴く側もリラックスできる」ということではないか、と思います

さて、角野隼人の演奏するショパンの吐息は 1万3千人の心に届いたでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で3478日目を迎えバイデン米大統領が11月の大統領選に出馬すること関し、民主党内で撤退すべきだという意見が複数出ていることについて、バイデン氏は「まだまだやり遂げることがある」と訴え、撤退しない考えを表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     数々の言い間違いや 危うい足どりを見ていると 高齢以前の問題で勝てないと思う

         

20日(土)午後3時からの東京シティ・フィルのコンサートの後、午後6時からサントリーホールで東京交響楽団「第722回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ラヴェル「クープランの墓」(管弦楽版)、②ブルックナー「交響曲第7番 ホ長調 WAB107」(ノヴァーク版)です 指揮は東響第3代音楽監督ジョナサン・ノットです

     

オケは12型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります 舞台上手にはハープが1台スタンバイします。コンマスは小林壱成、隣はグレブ・ニキティンというダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はラヴェル「クープランの墓」(管弦楽版)です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1914~17年にピアノ曲として作曲、1919年に管弦楽版に編曲しました 

ラヴェルは、第1次世界大戦で命を落とした友人たちや、同じ時期に世を去った自身の母親を偲ぶため、フランス・バロック界の巨匠フランソワ・クープランの偉業の記念碑(トンボ―)という意味合いを込めて「クープランの墓」というタイトルを付けました 第1曲「前奏曲」、第2曲「フォルラーヌ」、第3曲「メヌエット」、第4曲「リゴードン」の4曲から成ります

ノット得意のラヴェルということで、色彩感溢れる演奏が繰り広げられました 特に荒木良太のオーボエ、竹山愛のフルートが冴え渡っていました 荒木良太は、読響に移った荒木奏美の後任の首席、竹山愛は東京シティ・フィルから移ってきた首席です ともにすっかり新しい環境に慣れている姿が頼もしく感じました

     

プログラム後半はブルックナー「交響曲第7番 ホ長調 WAB107」(ノヴァーク版)です この曲はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1881年から83年にかけて作曲、1884年12月30日にライプツィヒでアルトゥール・ニキシュ指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団により初演されました なぜウィーン・フィルでなかったかと言えば、ブルックナーはウィーン・フィルからイジメのような冷たい仕打ちを受けており反感を覚えていたからです この辺の事情は今年5月26日付toraブログでご紹介した高原英理著「不機嫌な姫とブルックナー団」に詳しく書かれています 興味のある方はご覧ください いずれにしても、この演奏会をもってブルックナーは60歳にして初めて音楽界に認知されるようになったのです

この曲は第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ:極めて荘重に、そして極めて穏やかに」、第3楽章「スケルツォ:極めて速く」、第4楽章「フィナーレ:快速に、しかし速すぎずに」の4楽章から成ります

オケは16型に拡大しフルオーケストラ態勢となります ステージ下手にはワーグナー・テューバとホルンとバス・テューバが並列にスタンバイしているのが特徴的です

ノットの指揮で第1楽章に入ります 演奏は比較的ゆったりしたテンポで進行し、雄大な音楽が構築されていきます ワーグナー・テューバの演奏が素晴らしい ティンパニの連打が強烈です さて、この曲の演奏では次の第2楽章「アダージョ」が白眉でした かなりテンポを落とした演奏で、ワーグナー・テューバとヴィオラによる哀悼を込めた演奏に 弦楽器群による慟哭の演奏が交差します  この楽章は83年2月に死去したワーグナーに対する追悼音楽ですが、ノット ✕ 東響は流麗な音楽作りにより、永遠に続くのではないか・・と思うほど連綿と、深いアダージョを奏でていきました 終結部はオケ総力によるアグレッシブな演奏でクライマックスを築き上げました 第3楽章のスケルツォは一転、高速テンポで演奏に入り、トランペットによるテーマが高らかに奏でられます この楽章ではエネルギーの爆発を感じました 第4楽章は冒頭から軽快な演奏が展開します そして、管楽器が咆哮し、打楽器が炸裂し、弦楽器が渾身の演奏を展開する中 輝かしいフィナーレを飾りました

満場は拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

この日の演奏を振り返ってみると、ノット ✕ 東響は「喪失から再生へ」という流れで演奏したのではないか、と思いました   ワーグナーへの追悼の世界から、ブルックナー自身の評価の確立へと変遷する過程を表現したのではないか、と

     

     

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高関健 ✕ 森麻季 ✕ 藤木大地 ✕ 萩原潤 ✕ 東京シティ・フィルコーア ✕ 東京シティ・フィルでオルフ「カルミナ・ブラーナ」他を聴く / エリーナ・ガランチャ来日公演の日程決まる

2024年07月21日 00時12分56秒 | 日記

21日(日)。「エリーナ・ガランチャ メゾソプラノ リサイタル2025」の日程が決まりました テイト・コーポレーションの公式サイトによると、日程は次の通りとなっています

①2025年6月17日(火)18時30分 東京オペラシティコンサートホール(ピアノ伴奏)

②2025年6月21日(土)18時30分 サントリーホール(新日本フィルによる伴奏)

なお、演奏曲目・チケット代は未定で、チケットは2024年10月にテイトチケットセンター(主催者)先行発売の予定、詳細は随時HPで発表するとしています

     

ということで、わが家に来てから今日で3477日目を迎え、ロシア法務省は19日、ロシアのウクライナ侵攻に反対したなどとして、世界的に著名なロシアのピアニスト、エフゲニー・キーシン氏(52)をスパイとほぼ同義の「外国のエージェント(代理人)」に指定したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     文化を理解しない野蛮国家プーチン・ロシアに チャイコフスキーも嘆いているぜ

         

昨日、15時からティアラこうとう大ホールで東京シティ・フィル「第77回 ティアラこうとう定期演奏会」を、18時半からサントリーホールで東京交響楽団「第722回定期演奏会」聴きました ここではシティ・フィルのコンサートについて書きます

プログラムは①ニールセン「アラジン組曲 作品34」、②オルフ:世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」です 演奏は②のソプラノ独唱=森麻季、カウンターテナー独唱=藤木大地、バリトン独唱=萩原潤、児童合唱=江東少年少女合唱団、①②の合唱=東京シティ・フィルコーア、管弦楽=東京シティ・フィル、指揮=高関健です

     

完売御礼が出ている通り、会場は文字通り満席です

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置 オケの後方には女声合唱がスタンバイします コンマスは戸澤哲夫です

1曲目はニールセン「アラジン組曲 作品34」です この曲はカール・ニールセン(1865-1931)がデンマークの戯曲作家アダム・エーレンシュレーヤーの同名の戯曲のために1918年から19年にかけて作曲、1919年2月にコペンハーゲンで初演されました 1940年に全体から次の7曲が抜粋されました 第1曲「祝祭行進曲」、第2曲「アラジンの夢と朝霧の踊り」、第3曲「ヒンズーの踊り」、第4曲「中国の踊り」、第5曲「イスパハンの市場」、第6曲「囚人の踊り」、第7曲「黒人の踊り」です

この曲は、プレトークの通り、高関氏は昨年10月のN響定期公演でヘルベルト・ブロムシュテットの代役で4曲を指揮しています その時は合唱が入らなかったので、今回は完全バージョンとのことです

高関の指揮で演奏に入りますが、第1曲「祝祭行進曲」は勇壮な音楽です 第2曲「アラジンの夢と朝霧の踊り」は後半で木管楽器群の活躍が目立ちました 面白かったのは第5曲「イスパハンの市場」です オケが4つのパートに分かれて演奏を仕掛け合い、合唱が加わって進行していくので油断できません 全パートが揃った時はまさにカオスです 最後の第7曲「黒人の踊り」は合唱も加わり異国情緒豊かな音楽が熱狂的に演奏されます 初めて聴く曲でしたが、後半の「カルミナ・ブラーナ」との組み合わせが絶妙だと思いました

     

プログラム後半はオルフ:世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」です この曲はカール・オルフ(1895-1982)が19世紀末に南ドイツのベネディクトボイエルン派修道院で発見された10~13世紀の放浪僧、吟遊詩人らの詩を集めた写本をもとに1935年から36年にかけて作曲、1937年7月8日にフランクフルト歌劇場で初演されました

この作品は次のように構成されています

冒頭部「運命の女神フォルトゥナ、世界の女帝よ」:第1曲、第2曲

第1部「はじめての春」:第3曲~第10曲

第2部「酒場にて」:第11曲~第14曲

第3部「愛の宮廷」:第15曲~第23曲

冒頭部「ブランツィフロールよ、ヘレナよ」:第24曲、第25曲

指揮台の正面にピアノが2台縦に並べられ、下手にチェレスタがスタンバイします オケの後方には男女混声合唱が所せましと並びます

藤木大地と萩原潤が入場し、コーラスのセンター手前にスタンバイし、高関の指揮で演奏に入ります 第1曲「おお、フォルトナよ」がオーケストラの力強い演奏に乗せて混声合唱で歌われますが、この合唱が大迫力で素晴らしかった この曲に限らず、東京シティ・フィルコーアの合唱は力強く頼もしさがありました 第1部の後、チューニングがありました 第2部に入ると、藤木大地が第12曲「私はかつて湖に住んでいた」をカウンターテナーで歌いますが、焼き鳥にされた白鳥の嘆きを”お涙頂戴”的に哀れっぽく歌い上げシニカルな笑いを誘いました 続く第13曲「私は悦楽郷の大修道院院長さまだ」を萩原潤が歌いますが、いかにも権威を振りかざすのに行儀が悪い聖職者のように、威張り散らして歌ったので、思わずクスリと笑ってしまいました さすがはオペラ歌手だと思います 第2部が酔っ払いのどんちゃん騒ぎで終了すると、ステージ上手から森麻季と児童合唱団が入場し、コントラバスの後方辺りでスタンバイします さっそく森麻季の出番ですが、いつもの通り、透明感のある美しいソプラノで息の長いアリアを歌い上げました 特に第23曲「この上なく素敵なあなた」のソロは素晴らしかった 児童合唱との掛け合いによるアリアも良かったです そして、最後に冒頭部の「おお、フォルトナよ」の旋律が戻ってきます オケと合唱が混然一体となった大迫力の演奏がもたらす高揚感を何に例えれば良いだろうか 「カルミナ・ブラーナ」への長い旅から戻ってきたような錯覚に陥ります 類まれな統率力と集中力で全体を束ねた高関健をはじめ、ソリストも合唱もオーケストラも、文句なしの素晴らしい演奏を繰り広げました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

この時、時計の針は17時03分を指していました 普段は最後まで見届けてから席を立つのですが、この日はそうも言ってられません 18時にはサントリーホールで東響定期演奏会が開演するので、それに間に合わせなくてはなりません カーテンコール中でしたが、会場を後にして地下鉄 住吉駅に向かいました 東響定期の模様は次のブログにアップします

     

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エリアス・グランディ ✕ マリー=アンジュ・グッチ ✕ 読売日響でショパン「ピアノ協奏曲第1番」、ブラームス「交響曲第4番」他を聴く / コバケンの半生~朝日の「人生の贈りもの」連載終わる

2024年07月20日 00時04分40秒 | 日記

20日(土)。朝日新聞朝刊文化欄に連載の「語る~人生の贈りもの 指揮者・小林研一郎」が昨日の第14回で完結しました 小林研一郎は1940年福島県生まれ。東京藝大の作曲家と指揮科を卒業後、74年にブダペスト国際指揮者コンクールで第1位 ”炎のコバケン”の愛称で国内外のオーケストラと共演を重ねています

野城千穂さんによるインタビューを超略すると以下の通りです

「『炎のコバケン』というキャッチフレーズは1980年代、公演の宣伝文句として書かれたのが始まりだと思う 父・正毅は高校教師、母・喜代子は小学校教師だった。4歳の時、父がピアノで弾いた『月の砂漠』に感動し、10歳の時、ラジオから流れてきた『第九』を聴いて涙が止まらず、作曲科になりたいと誓った ピアノを東京音楽学校卒の若松紀志子先生に、作曲を石桁真礼生先生に師事した 初めて自作曲を先生に見せた時、『ショパンが風邪を引いたみたいな曲だね』と言われたのを覚えている その後、東京藝大作曲科に首席で合格したが、当時多くの学生と教師の関心の的は現代音楽、とりわけ前衛音楽にあった 絶望し作曲を諦めて指揮者になることを決意する 1966年に東京藝大指揮科に入学し、日本フィル常任指揮者・渡辺暁雄に師事する。68年に渡辺が退任し、首席指揮者に就いたのが小澤征爾だった 小澤は渡辺と共に64年の日本フィルの北米公演を成功させたが、後に経営母体の契約打ち切りなどを機に新日本フィルの創設に加わり、日本フィルから離れた 渡辺の次に師事したのは山田一雄だった。大変厳しく、『どうして君はそんなにばかなんだ』と何度も言われた 山田が小澤の振るストラヴィンスキー『春の祭典』をみて『小澤は天才だね』と言った タイプの違う3人の体の動き方、手の伸び方を見て学んだ 1974年の第1回ブダペスト国際指揮者コンクールの募集要項を見つけたのは締め切りの3日ほど後だった 指導していた合唱団の関係者を通じて主催者に数回掛け合い、何とか参加が認められた オペラや交響曲など数十の課題曲を頭に叩き込んだ 1次予選はくじ引きで引いた2曲を演奏するが、1曲目はベートーヴェン『交響曲第1番』第2楽章だった 引いた瞬間、『僕の人生は終わった』と思った シンプルな曲の作りだが、シンプルを生かすことは指揮者にとって大変難しい 2曲目はロッシーニ『セヴィリアの理髪師』序曲だった。この曲は作曲家・神津善行先生の好意でコンサートで振ったことがあった くじで引いた順に演奏する決まりだったが、賭けに出た。指揮台に立つと『セヴィリア』と叫んだ。戸惑う楽員や制止しようと近づいてくるスタッフが見えたが、構わず指揮棒を振り下ろした 演奏が終わるとオーケストラは拍手や足踏みで褒めたたえてくれた ベートーヴェンはあまりうまくいかなかったと思うが、第1次予選を通過した 第2次予選はドヴォルザーク『交響曲第9番』第4楽章だった。ハンガリー語も、英語も、ドイツ語もろくに話せないが、音楽の共通語はイタリア語だ。腕を大きく広げて『グランディオーソ(壮大に)』と言うとすごくいい音が出た 2位に大きく点差をつけてのトップ通過だった 第3次予選もトップ通過。本選ではベートーヴェン『交響曲第6番』などを指揮して1位に輝いた その後、ヨーロッパ各地の楽団に招かれ指揮を採った ハンガリーでの人気は特に高く、ハンガリー国立交響楽団では1987年から約10年、常任指揮者や音楽監督を務めた 1985年に京都市交響楽団の常任指揮者に就任した。ホールと練習場があまりにも酷い環境だったので、新たなホールと練習場の建設を市や地元紙の記者に訴えた その後、新練習場が完成、新ホールの建設計画も発表された 日本フィルとは88年から2007年にかけて首席指揮者、常任指揮者、音楽監督と肩書を変えながら長く関わった 1996年にチェコ・フィルの常任指揮者に就任した。2002年、『プラハの春』音楽祭の開幕コンサートでスメタナの連作交響詩『わが祖国』を日本人として初めて指揮した 97年にチェコ・フィルと録音した時、ファゴット奏者が『この曲は僕たちのバイブルだ。僕たちの演奏を尊重してほしい』と抗議してきた これに対し『僕にとっては世界の名曲。バイブルの感覚は分かりませんから、今回は辞めます』と言いホテルに帰った 夜に楽員の代表が訪ねてきて『さっきは悪かった』と言うので和解し、翌日には自分の頼みを聞いてもらえるようになった 井上道義君は今年で引退だと言っているそうだ。3か月もすればまた戻りたいと言うだろう 自分も還暦の頃に本気でやめようと思ったけれど、無理だった お願いされたコンサートは、引き受けたくなってしまう性格かもしれない。 指揮法を教えるというのは非常に特殊だ。言われた通りに指揮棒を振ったところで、音が出るわけじゃない 後姿を見て盗むのが指揮者だ。それが出来る素晴らしい弟子に恵まれた。弟子には松尾葉子、藤岡幸夫、山田和樹、三ツ橋敬子らがいる 山田和樹は最初、自分のコピーのようだった。最初はそれでよい。自分で色々と試しながら最終的に自らの指揮法を探すしかない。ウィーンでも、オランダでも、ハンガリーでも、コンサートで後ろを振り返ると客席に彼が座っている 小林を盗もうとしている。彼はさらに伸びると確信している 今年末、ベートーヴェンの交響曲全9曲を連続で指揮する。自身15回目の挑戦だ

波乱万丈の半生を送ってきた今年84歳のコバケンさんはまだまだ元気です

年末の「ベートーヴェンの交響曲全9曲連続演奏会」の概要は下のチラシの通りです

     

ということで、わが家に来てから今日で3476日目を迎え、米国のトランプ前大統領が18日夜、共和党の全国大会で大統領候補の指名受諾演説に臨み、冒頭「米国の半分のためではなく、米国全体のために大統領選に立候補する」と表明し、分断を煽るのではなく、国をまとめ上げる指導者として自身をアピールした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     生死を分けた銃撃を受けて トランプは変わったのか 変わらなかったのか それが謎

         

昨日、夕食に千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君が送ってくれた「赤尾鯛」を煮つけ、「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「大根の味噌汁」を作りました 赤尾鯛はいつも煮過ぎて崩れてしまうので今回は気をつけました 大振りで食べ応えがありました

     

         

昨夜、サントリーホールで読売日響「第674回名曲シリーズ」を聴きました プログラムは①ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲、②ショパン「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11」、③ブラームス「交響曲第4番 ホ短調 作品98」です 演奏は②のピアノ独奏=マリー=アンジュ・グッチ、指揮=エリアス・グランディです

指揮者エリアス・グランディはドイツ人と日本人の両親のもとミュンヘンに生まれる バーゼル、ミュンヘン、ベルリンの各地で指揮とチェロ、音楽理論を学ぶ ベルリン・コーミッシェ・オーパー管弦楽団のチェリストを経て、指揮者としてのキャリアをスタート。2015年、ショルティ国際指揮者コンクールで第2位となり注目を集める 2012年から16年までダルムスタット市立劇場の第1指揮者(カペルマイスター)を務め、15年から23年までハイデルベルク市立劇場の音楽総監督を務めた 25年4月、札幌交響楽団の首席指揮者に就任する予定

     

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び。コンマスは日下紗矢子、その隣は林悠介というダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲です    このオペラはカール・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826)が1817年から21年にかけて作曲した作品です イタリア・オペラが隆盛の中、ドイツ語によるオペラとして画期的な作品と言われています 「序曲」は本編のストーリーを凝縮したドラマティックな作品です

グランディの指揮で演奏に入ります 冒頭で弦楽器の演奏の後、4本のホルンが有名なテーマを奏でますが、松坂隼率いるホルン・セクションの演奏が素晴らしかった 演奏はゆったりしたテンポで進行しますが、中盤で徐々にテンポを上げます。その箇所の中館壮志のクラリネットの演奏が冴えていました グランディは大きな振りでスケールの大きな演奏を展開しました

     

2曲目はショパン「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11」です この曲はフレデリック・ショパン(1810-1849)が1830年に作曲、同年10月11日にワルシャワで初演されました 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「ロマンツェ:ラルゲット」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります なお、出版順が逆になったため第1番となりましたが、作曲順からいうと2番目の作品です

ピアノ独奏のマリー=アンジュ・グッチは1997年アルバニア生まれの27歳 パリ国立高等音楽院を最優秀で卒業、同音楽院の博士課程とソルボンヌ大学の修士課程で音楽学と分析の研鑽を積む パリ管、ベルリン・コンツェルトハウス管、BBC響、モントリオール響などと共演し好評を博す

ピアノがステージ中央に配置され、ピアニストの両手の動き写すビデオカメラが設置されます コンチェルトのため弦楽器は12型に縮小します

満場の拍手の中、白と黒を基調とするシックなステージ衣装、眼鏡がトレードマークのグッチが登場し、グランディの指揮で第1楽章に入ります

オーケストラによる長めの序奏に続いて、グッチのピアノが力強く入ってきます グッチのピアノは一音一音がクリアでとても美しく響きます リリカルな演奏というのはこういう演奏をいうのでしょう 第2楽章は指示通り、ロマンティシズムの極致を行く演奏が繰り広げられます 聴きながら思ったのは、グッチの演奏は本能的な直観で弾いているように見えるアルゲリッチとは対極にある知的なアプローチによる演奏だということです 第3楽章は一転、活気に満ちた歯切れの良い演奏が展開し、リズミカルな演奏により華麗なフィナーレを飾りました

満場の拍手にカーテンコールが繰り返され、グッチはラヴェル「左手のための協奏曲」のカデンツァを、まるで両手で弾いているかのように鮮やかに演奏し、再び大きな拍手を浴びました

     

     

プログラム後半はブラームス「交響曲第4番 ホ短調 作品98」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1884年から85年にかけて作曲、1885年10月25日にマイニンゲンで初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・モデラート」、第3楽章「アレグロ・ジョコーソ」、第4楽章「アレグロ・エネルジコ・エ・パッショナート」の4楽章から成ります

弦楽器は16型に拡大し、グランディの指揮で第1楽章に入ります 冒頭のため息のようなテーマの演奏は絶妙でした その後、ゆったりしたテンポで演奏が進みますが、中盤からテンポアップしていきます。チェロとホルンが素晴らしい

第1楽章が終わったところで、ティンパニの周辺で何事かがあったらしく、スタッフが出てきて何やら作業をしていました 楽器を移動していたように見えましたが、よくわかりません グランディも手持無沙汰の様子で、日下コンマスに「なんでっしゃろ?」と訊き、日下が「大したことおまへんやろ」と答えているように見えました(あくまでも個人の感想です)。後で X を見ていたら「ティンパニの皮が破けてびっくり」という投稿がありました   ブラームスの第4番はティンパニの皮が破けるほど力がいるのか? これがホントの力演か? 第2楽章ではホルンが冴えていました グランディはチェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンの各セクションにたっぷり歌わせていました この楽章はブラームスの渋い魅力が詰まっています 第3楽章冒頭の高速テンポの演奏には驚きました 何の迷いもなく突っ走っていく感じでした 第4楽章はパッサカリアのテーマが繰り返し登場しますが、巨大な建築物を造り上げていくように重厚感に満ちています 倉田優のフルートが素晴らしい 速めのテンポで疾走するフィナーレは圧巻でした

この曲はブラームスが52歳の時に作曲した”最後の交響曲”ですが、全体を聴き終わって感じた印象は、晩年の寂寥感を感じさせるというよりも、40代くらいの壮年期の前向きの姿勢を感じさせる演奏だったように思います

     

     

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「クラシックに知識は必要か」という議論を巡って ~ 音楽情報誌『ぶらあぼ』連載の城戸孝吉氏のコラム「気分はカプリッチョ」から / ホリー・ジャクソン「受験生には謎解きは向かない」を読む

2024年07月19日 00時01分18秒 | 日記

19日(金)。昨日、関東・甲信地方の梅雨が明けました 明けましておめでとうございますなんて悠長なこと言ってる場合の暑さじゃありません 来週はもっと暑くなるという予報が出ています 趣味に熱中するのはいいけど、夏の熱中症には気をつけましょう

さて、クラシック音楽情報誌『ぶらあぼ』に連載のレコード会社勤務・城戸孝吉氏のコラム「気分はカプリッチョ」の8月号のテーマは「『クラシックに知識は必要か』という議論を巡って」というタイトルでした 超略すると次の通りです

「SNSで時々炎上するテーマとして、『クラシックに知識は必要か』という問いがある 最近読んだ投稿は、『音楽を前情報なしで感性だけで聴いても、もちろんオーケー。しかし、作品の背景を知ると鑑賞に奥行きが生まれ、体験が豊かになる』という至極まっとうな意見だった ところがコメント欄を見ると、意外に反論が多いのである これはおそらく、そのような聴き方をしていない人々が、自分を否定されているような気もちになるからだろう それはよくわかる。とりわけビギナーは壁を作られているようで、面白くないに違いない しかし問題は、それに対する反論が、『知識はいらない。感じるままに聴けばいい』という論調になりがちなことである 元々の投稿は、『感じるままに聴いてはいけない』と言っているわけではない。『知識があれば、聴くことがより楽しくなる』と提案しているのである その際『知識』とは、知ったかぶりするためのウンチクではなく、作品理解を助ける情報や学識を指している 『知ることによってもっと面白くなりますよ!』というのが趣旨だろう。『知識は不要である。感性で聴くだけでいい』というやや攻撃的な論調がメインとなり、そこに『教養を前提とすることは排他的である』というポリティカル・コレクトネスが重なると、知識の立場は俄然悪くなってしまう 情報を集めることがスノビズム扱いされ、理解を育むことが推奨されなくなったら、クラシックは確実に面白くなくなるだろう 知ることを恐れる必要はまったくない。今知識を持っている人も、何かのきっかけで情報を集め始めたのであって、最初は無知だったのである

最近X(旧Twitter)を見ていたら、城所氏が指摘しているのと同じような投稿を見かけました 最初の投稿を大雑把に要約すると「クラシック音楽を理解するためには多少勉強することが必要である その努力をしてはじめてクラシックを聴く楽しさを味わうことができる」という内容でした。これに対し、「そんな”上から目線”のようなことを言ってるから、”クラシックは敷居が高い”と言われて敬遠されるのだ」という反論が寄せられていました これを見て私は「何か勘違いしているんじゃないかな」と思いました 私は城所氏が書いている『知識があれば、聴くことがより楽しくなりますよ』という主張に共感を覚えます 私がコンサートの感想をブログアップする際に心がけているのは、演奏曲目の最低限の知識(作曲年や楽章構成など)やオーケストラの編成(対抗配置など)を紹介することによって、そのコンサートを聴かなかった人にも どういうコンサートなのかがある程度分かるようにすること、そして、何より「ライブのコンサートって面白い」という雰囲気が読者に少しでも伝わるように書くことです その一方で、マナー違反行為については遠慮なく批判します 「演奏中のケータイ着信音」や「フラブラ(フライング・ブラボー)」などがその最たるものです コンサートは一人で聴いているわけではありません せっかくの良い雰囲気をぶち壊すような行為は演奏者や他の聴衆を不愉快にさせ、コンサートを台無しにします 私は「誰もが生演奏を楽しめるように、それぞれが最低限のマナーは守るべきである」という観点から批判します

ということで、わが家に来てから今日で3475日目を迎え、アメリカ大統領選の2つの世論調査で、いずれもバイデン大統領とトランプ前大統領の支持率は銃撃事件の前と後で大きな変化がないことが分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     新型コロナ罹患のバイデンを尻目に ケガしても元気なトランプが目立つのが気になる

         

昨日、夕食に「肉じゃが」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「シメジの味噌汁」を作りました 肉じゃがは先日のビーフシチューで余った牛肉を使いました

     

         

ホリー・ジャクソン「受験生には謎解きは向かない」(創元推理文庫)を読み終わりました ホリー・ジャクソンはイギリス・バッキンガムシャー生まれ。ノッティンガム大学で言語学と文芸創作を学び、英語の文学修士号を取得 2019年に刊行したデビュー作「自由研究には向かない殺人」は英米でベストセラーとなり、2020年のブリティッシュ・ブックアワードのリルドレンズ・ブック・オブ・ザ・イヤーを受賞した 本書は「自由研究には向かない殺人」の前日譚に当たる作品で、続編に「優等生は探偵に向かない」「卒業生には向かない真実」がある

高校生のピップにある招待状が届いた 試験が終わった週末、友人宅で架空の殺人の犯人当てゲームが開催されるという 舞台は1924年、孤島に建つ大富豪の館という設定で、参加者は同級生とその兄の7人。開始早々、館の主の刺殺死体が発見される 当初は乗り気ではなかったピップだが、次第にゲームにのめり込んでいく

     

この作品はピップの視点からゲームの進行がリアルタイムで描かれていくので、読む側も謎解きの楽しさを味わいながら読み進めることができます ピップのブックレット(それぞれの参加者の役割や、その都度どう行動すべきかの指示が書かれている)の内容や、その場で得られる情報、それを見たピップがどう思ったかなどはすべて読者に明かされるので、読者も彼女と同じように犯人は誰か推理することが出来るようになっています 参加者はブックレットに書かれた指示に従わなければなりませんが、その最後を見ないと(それは禁じられている)、自分が犯人かどうかも分からないというのがミソです

ゲームのラストで、ピップが理路整然と理由を説明して「この人物が犯人だ」と主張します 参加者は「さすがはピップ」と称賛しますが、ゲームの仕掛け人で探偵役のジェイミーは「それは間違いだ。この人が犯人だ」と、複数の参加者が怪しいと指摘した人物の名前を挙げます これに対し、ピップはいくつか矛盾を指摘しますが、ジェイミーは真犯人は変わらないと答えます ピップは「所詮ゲームだし、楽しかったから」として反論を止めます しかし彼女は納得していません。「でも間違っていた。間違うのは大嫌いだ」と独白します

この小説が他のミステリーと違うのは、必ずしも探偵役が正しいとは限らないということを示していることです

気軽に読めるミステリーとしてお薦めします

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芸劇ブランチコンサート「第31回名曲リサイタル・サロン ~ 『ピアノ・トランスクリプションの魔法』山中惇史」を聴く ~ J.S.バッハ「シャコンヌ」「ラルゴ」、ヘンデル「パッサカリア」ほか

2024年07月18日 00時01分29秒 | 日記

18日(木)。昨日午後、ほぼ1年ぶりに行きつけの歯科医に行き歯石を取ってもらいました ついでにすべての歯の状態をチェックしてもらいましたが、虫歯はないが、一部欠けているところがあるとのことで来週もう一度受診することになりました これを歯医者復活戦といいます

ということで、わが家に来てから今日で3474日目を迎え、ロシアの独立系ニュースサイト「ザ・ベル」は16日、ロシアのウクライナ侵攻後、65万人以上が国外に脱出し、帰国していないと伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     多くの優秀な人材が 野蛮で非人道的なロシアに 早めに見切りをつけて脱出しただよ

         

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「アジを塩焼き」にして、「生野菜サラダ」「豚汁」「冷奴」を作り、「マグロの切り落とし&いくら」と一緒に食べました アジは大振りですが 決して大味ではなく 肉厚でソフトで とても美味しかったです

     

         

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで芸劇ブランチコンサート「第31回名曲リサイタル・サロン 『ピアノ・トランスクリプションの魔法』~ 山中惇史」公演を聴きました プログラムは①ヘンデル(山中惇史編)「アフェットゥオーソ」、②同「パッサカリア  ト短調」、③J.S.バッハ(山中惇史編)「ラルゴ(無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番より)」、④同(ブゾーニ編)「シャコンヌ」、⑤ショパン(バックハウス編)「ロマンス(ピアノ協奏曲第1番より)」、⑥山中惇史「わらべうたによるパラフレーズ」です ピアノ独奏は山中惇史です

山中惇史は東京藝大作曲科を経て同大学音楽研究科修士課程作曲科修了。後に同大学器楽専攻ピアノ科卒業。第26回奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門第1位   作曲家・編曲家・ピアニストとして多方面に活躍している

     

8日ぶりのコンサートです 1周間以上ライブ・コンサートを聴かないと、禁断症状で手が震えてきます(お前はアル中か)。この日も平日午前のコンサートにも関わらず多くの聴衆が集まりました

1曲目はヘンデル(山中惇史編)「アフェットゥオーソ」です この曲はジョージ・フレデリック・ヘンデル(1685-1759)が1750年頃に作曲した「ヴァイオリン・ソナタ第4番 ニ長調」の第1楽章です。「アフェットゥオーソ」とは「愛情を込めて」という意味のイタリア語です

山中は落ち着いた趣でゆったりと、曲を慈しむように演奏しました

2曲目はヘンデル「パッサカリア  ト短調」です この曲は「ハープシコード組曲第7番 ト短調」の第6楽章です

山中は一転、歯切れの良い推進力に満ちた演奏を展開しました

ここでナビゲーター八塩圭子さんによるインタビューに移りました    山中氏はこの日のプログラミングについて「ヘンデルにしてもバッハにしても、オリジナルがピアノである作品は一つもありません 元々チェンバロやヴァイオリンで弾かれた曲を、ピアノで弾くからこそ良さが分かる演奏を目指したいと思います ヘンデルについては、昨年まで全く興味がなく、『ハレルヤ・コーラス』や『水上の音楽』くらいしか知りませんでした しかし、今年1月にピアノの師匠であるアンヌ・ケフェレックさんのヘンデルのCDアルバムを聴いて、興味を持つようになりました」と語りました 彼がケフェレックに師事していたとは全く知りませんでした

     

3曲目はJ.S.バッハ(山中惇史編)「ラルゴ」です この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が1720年に作曲した「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調」の第3楽章です

山中は詩情豊かに演奏、聴衆を魅了しました

4曲目はJ.S.バッハ(ブゾーニ編)「シャコンヌ」です この曲は「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調」の第5楽章をフェルッチョ・ブゾーニがピアノ用に編曲したものです インタビューで山中氏はこの曲について「何でこんなに素晴らしい曲が作曲出来るのだろう、と信じられないほどの作品です 練習で弾きながら感動してしまいます でも本番ではそうはいかないので感情をコントロールして弾いています この曲は自分にとって、あるかないかで全く世界観が変わってしまうほどの大切な曲です」と語っていました

山中はもともとこの曲がピアノのために作曲されたかのように、緩急・強弱を完璧にコントロールし、時に静かにつぶやき、時に熱い高まりを表出しながらバッハの深い世界を表現しました ただただ見事な演奏でした

5曲目はショパン(バックハウス編)「ロマンス」です この曲はフレデリック・ショパン(1810-1849)が1830年に作曲した「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11」の第2楽章をドイツのピアニスト、バックハウスが編曲したものです

山中のゆったりしたテンポによる演奏は、ショパンのリリシズムとロマンティシズムの極致を行くもので、一音一音の粒立ちがとても美しく響きました

     

最後の曲は山中惇史「わらべうたによるパラフレーズ」です この曲はこの日のために当初6分程度の作品として作曲し始めたのが、作曲の過程で10分程度に伸びたとのことです 本人は「『ある夏の夜の物語』というイメージで作曲した」と語っていました

ショパンまでは暗譜で演奏しましたが、この曲は iPad の電子楽譜を使用します

曲は「かごめかごめ」「あんたがたどこさ」「うしろの正面だーれ」などの童謡のメロディーが多様に変化しながら高音部から低音部まで散りばめられ、郷愁を誘いました

満場の拍手に山中はアンコールにショパン「子犬のワルツ・パラフレーズ」を鮮やかに演奏、大きな拍手の中コンサートを締めくくりました 山中惇史はピアニストとして一流だと思います また作曲家・編曲家としても相当の実力の持ち主だと感じたコンサートでした

     

本日toraブログのトータル閲覧数が890万 P V を、トータル訪問者数が290万 I P を超えました    これもひとえに普段からご訪問下さっている読者の皆さまのお陰と感謝しております  これからも1日も休むことなくド根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

【忘備録】

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米澤穂信著「黒牢城」を読む ~ 織田信長に叛旗を翻した荒木村重と人質に取った黒田官兵衛を巡る戦国時代ミステリー:ある意味ミステリーを超えた作品

2024年07月17日 00時01分27秒 | 日記

17日(水)。わが家に来てから今日で3473日目を迎え、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」が使用するデジタルウォレットから15万ドルを超える暗号資産(仮想通貨)がカンボジアの大手決済会社に送られていたことがブロックチェーン(分散型台帳)データで分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     北朝鮮は 他国から盗んだ暗号資産を資金洗浄して 核・ミサイル開発を進めている

         

昨日、夕食に「豚バラ茄子炒め」「生野菜のサラダ」「冷奴」「舞茸の味噌汁」を作りました 「豚バラ茄子炒め」は初めて作りましたが、とても美味しかったです

     

         

米澤穂信著「黒牢城」(角川文庫)を読み終わりました 米澤穂信は1978年岐阜県生まれ。2001年「氷菓」で第5回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー 11年「折れた竜骨」で第64回日本推理作家協会賞、14年「満願」で第27回山本周五郎賞を受賞 21年「黒牢城」で第166回直木賞と山田風太郎賞、第22回本格ミステリ大賞を受賞。著書多数

時は「本能寺の変」より4年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立てこもった荒木村重は、反逆の機会をうかがっていた そんな折、黒田官兵衛が織田側の使者として単身で城に乗り込んできた 村重は官兵衛をその場で殺さず地下牢に監禁する。そんな折、城内では不可解な難事件が4件立て続けに起こり、村重は「このままでは兵や民の疑念を晴らすことはできない」と、事件を解決するために動くが、なかなか解決の糸口が見つからない 村重は地下牢に幽閉した”知将”の誉れ高い官兵衛に知恵を貸してほしいと頼むと、彼は事件のヒントめいたことを口にする 事件の裏には何が隠されているのか、黒幕は誰か・・・

     

本書は2021年6月にKADOKAWAから刊行された単行本を2024年6月に文庫化したものです

この小説は「戦国時代ミステリー」とでも呼ぶべき作品です 時代小説特有の「言い回し」をはじめ、地名、人名などが「漢字」でふんだんに出てくるので、現代の小説を読む時のようにスムーズには読めません 本作は本文だけで512ページある超大作で、私は全編読むのに約10時間かかりました 難儀であったな、褒めて使わす しかし「次はどうなるのか」というワクワク感が半端なく、読む手が止まらず ほとんど一気読みしました

第1章「雪夜灯籠」で ほぼ密室状態で人質が殺された事件、第2章「花影手柄」で相手の大将の首が別の首と挿げ替えられた事件、第4章「落日孤影」で罪人が処刑される前に鉄砲で撃たれた事件・・・この3つの事件の影の黒幕は同一人物で、村重に極めて近い人物だったことには驚きました その人物は、なぜそれらの事件を主導したかと問われ、「仏の罰を民に知らしめるため」だったと告白します つまり、「悪事を働けば必ず天罰が下されることを城内の者に知らしめるためだった」と告白したのです

荒木村重は織田側の使者・黒田官兵衛を殺さなかったし、織田の元に帰すこともしませんでした 彼は官兵衛だけではなく、他の人質についても殺しませんでした それは元重の哲学によるものでした

「村重は信長の逆を為すことを決めていた すべて、それであった。なぜ付け城に入っていた織田の目付を生かして返したのか。信長なら殺すからである なぜ高山右近の人質を生かし、阿部自念を生かそうとしたのか。信長なら殺すからである。なぜに黒田官兵衛を生かしておくのか。それは、信長ならば殺すからであった

巻末の「解説」をドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントライン氏が書いていますが、この小説の価値・魅力を次のように書いています

「蓄積されたエネルギーが最大の劇的効果をもって炸裂するのが有岡城内で展開するクライマックス場面であり、ここで本作はミステリでありながら、ある意味ミステリを超越していく

上記の場面に限らず、この小説は「ある意味ミステリを超越している」と思います

オノオノ方、是非にと推薦申し上げるゆえ 覚悟して読破されよ

さて、これで12日(金)から5日間連続で毎日1冊ずつ、前日に読んだ本を翌日朝にブログアップしてきたことになりますが、とくに後半の2冊=彬子女王「赤と青のガウン」(約400ページ)と米澤穂信「黒牢城」(約520ページ)が困難を極めました とにかく読むだけで8時間なり10時間がかかってしまいます これがコンサートや映画だったら、鑑賞時間はせいぜい2時間程度でしょう ブログを書く時間を含めて考えたら、コンサートや映画の方がはるかに”楽”です しかし、現状は 腰痛悪化防止のため、映画鑑賞を控えるようにしている関係で、その分読書が多くなる傾向にあります 腰痛が治るまでは仕方ありません

ということで、今日は8日ぶりにコンサートに出かけます

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