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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

下野竜也プレゼンツ「オーケストラ付きレクチャー マーラー『交響曲第1番』徹底大解剖!」のチケットを取る / 有吉佐和子著「青い壺」を読む ~ 45年以上も前の作品が今読まれている理由

2025年06月26日 00時01分06秒 | 日記

26日(木)。昨日午後、豊島健康診査センターで「肺がん検診」を受診してきました 予約制なので待たされることもなく あっという間に終了しました 次は明日の「胃がん検診」です

ということで、わが家に来てから今日で3817日目を迎え、トランプ米大統領が発表したイランとイスラエルの停戦合意初日となった24日、イラン・イスラエルともに勝利宣言し、停戦を受け入れる姿勢を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

どの国も 戦争に勝っても負けても 勝利宣言を出さないと停戦できないからね  国のメンツがあるし

         

昨日、夕食に「鮭のムニエル」「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」「豚汁」を作りました 普段 肉料理が多いので、魚も食べないといけないと思っています

         

8月16日(土)16時からすみだトリフォニーホールで開かれる「下野竜也プレゼンツ  音楽の魅力発見プロジェクト 第12回 マーラー『交響曲第1番』徹底大解剖」のチケットを取りました 企画・司会・指揮=下野竜也、バリトン=宮本益光、管弦楽=新日本フィルです

内容は以下の通りです

第1部:オーケストラとスクリーンによるレクチャー:マーラー歌曲集「さすらう若人の歌」より

第2部:マーラー「交響曲第1番 ニ長調」(全曲演奏)

数年前に「ドヴォルザーク『新世界交響曲』徹底解剖!」のレクチャー・コンサートを聴いて、とても面白く参考になったのと、今回はマーラーということもあってチケットを手配しました

         

有吉佐和子著「青い壺」(文春文庫)を読み終わりました    有吉佐和子は1931年和歌山生まれ。昭和31年に「地唄」で文壇デビュー    紀州を舞台にした「紀の川」「有田川」「日高川」三部作、女流文学賞を受賞した「花岡青洲の妻」、老人介護問題を扱った「恍惚の人」、公害問題を取り上げた「複合汚染」など意欲作を次々と発表し人気作家の地位を確固たるものにする 昭和59年8月死去

本書は昭和52年(1977年)に単行本として刊行され、1980年に文庫化された連作短編集ですが、45年以上も経った今、新聞や雑誌で取り上げられ、売れに売れているといいます いったいどんなところが良くて読まれているのか、それが知りたくて手に取りました

有吉作品は、"差別される側の差別" を扱ったシリアスな作品「緋色」を読んだくらいで、とても熱心な読者とは言えませんが、視点が鋭いと思いました

本書は、無名の陶芸家が生み出した美しい青磁の壺が、売られ、譲られ、盗まれ、スペインにまで行き、日本に戻され、十余年後に作者と再会するまでが13の物語で綴られています

壺は陶芸家の手元を離れ、デパートの売場に展示され、定年退職後の夫婦に引き取られ、会社の役員に譲られ・・・と主人を代えながら世間の中で生きながらえていきます 時に治療費の代償に贈られたり、酒場に置き忘れられたりしながら、遺産相続、病気、母娘や嫁姑の関係、酒場での交流など、様々な人生模様の中に身を置かされます

ひと言でいえば「こんなに面白い本があったのか」というのが正直な感想です 個々のエピソードは時代を反映して古めかしさを感じるところも少なくありませんが、壺を巡る登場人物たちの人生模様は、現代の人びとの日常生活に直結していて、「45年前も、現在も変わらないじゃないか」と思いました

なぜ面白いのか、といえば作者の卓越した文章力に加え、ユーモアとアイロニー(皮肉)の精神だと思います 私が一番面白いと思ったのは 老女のひとり語りを綴った「第7話」です 老女が息子夫婦を相手に戦時中の思い出を語るという内容ですが、まるで老女が目の前で昔話を語っているような錯覚に陥ってしまうほどリアルな語り口なのです (どこにでもいますよね、一人でしゃべり続ける人が) 戦時中の思い出にジョルジュ・ボワイエの食器、ロイヤル・ドルトンのボンチャイナなどという単語がポンポン出てきて、有吉さんは相当家柄の良い家庭のお嬢さんだったんだろうなと想像しました

「累計60万部」が説得力を持つ圧倒的な面白さです 広くお薦めします

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セバスティアン・ヴァイグレ ✕ アウグスティン・ハーデリヒ ✕ 読売日響でチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」、ドヴォルザーク「交響曲第7番」、スメタナ「売られた花嫁」序曲を聴く

2025年06月25日 00時01分43秒 | 日記

25日(水)。わが家に来てから今日で3816日目を迎え、米国がイスラエルに同調する形でイランの核施設空爆に踏み切ったことについて、イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ大統領の燦燦の決断を讃え、「トランプ氏と私はよく『力からの平和』と言う。まず力だ。それから平和だ」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

   

   ウクライナに侵攻したロシアのプーチンと同じ論理だ  力で侵略された側に平和は来るか?

         

昨日、夕食に「タンドリーチキン」「生野菜とアボカドのサラダ」「エノキダケと人参とウィンナのスープ」を作りました タンドリーチキンは柔らかく焼けて美味しく出来ました

         

昨日、サントリーホールで読売日響「第683回名曲シリーズ」を聴きました プログラムは①スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲、②チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」、③ドヴォルザーク「交響曲第7番 ニ短調 作品70」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=アウグスティン・ハーデリヒ 、指揮=セバスティアン・ヴァイグレ です

会場は満席です この日は多くの若者の姿が目立ちました とても良いことです 因みに私の隣席は女子大生と女子高生の賑やかな2人組でした

オケは14型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び。コンマスは林悠介です

1曲目はスメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲です このオペラはベドルジフ・スメタナ(1824-1884)が1863年から66年にかけて作曲、1870年の改訂を経て、全3幕の現形となりました 物語は、農家の娘マジェンカと恋人イェニークが、妨害や勘違いの末にめでたく結ばれるという喜劇的な内容です    序曲は1863年に作曲されました

ヴァイグレの指揮で演奏に入りますが、弦楽器群が超高速演奏により活気あふれる演奏を展開します オケの実力が試される曲ですが、読響はぬかりありません 爽快な演奏でした

2曲目はチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1878年にわずか1か月で作曲、レオポルド・アウアーに初演を依頼したが、「演奏不能」と拒否されたため、アドルフ・ブロツキーの独奏により1881年12月4日にウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート ~ モデラート・アッサイ」、第2楽章「カンツォネッタ:アンダンテ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァーチッシモ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏のアウグスティン・ハーデリヒは1984年にドイツ人の両親のもとイタリアで生まれ、マスカーニ音楽院とジュリアード音楽院で学んだ 15歳の時に全身の60%にもおよぶ大やけどを負うも、20回を超える手術とリハビリを強靭な精神力で克服した 2006年のインディアナポリス国際コンクールで優勝して以降、世界各国の著名オーケストラと共演を重ねている

ヴァイグレの指揮で演奏に入りますが、ハーデリヒのヴァイオリンは明晰にして”主張”があります 出てくる音からソリストの意思を感じます 特に高音部が筆舌に尽くし難い美しさです 倉田優のフルート、金子亜未のオーボエ、金子平のクラリネットといった木管楽器群がソリストの演奏に華を添えました

満場の拍手とブラボーの嵐に応え、ハーデリヒはフォレスター(ハーデリヒ編)「ワイルド・フィドラーズ・ラグ」をノリノリで演奏、再び大きな拍手に包まれました

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第7番 ニ短調 作品70」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)がロンドンのフィルハーモニー協会からの委嘱により1884年から85年にかけて作曲、1885年4月22日にロンドンで作曲者自身の指揮により初演されました 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「ポコ・アダージョ」、第3楽章「スケルツォ:ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ」の4楽章から成ります

全体を通して聴いた印象は、ボヘミアの森よりも、ドイツの森を思い浮かべるような重心の低い、厚みのある演奏でした 第1楽章や第4楽章ではホルンが大活躍したこともあり、ブラームスの交響曲を聴いているような気分になりました 第3楽章「スケルツォ」だけはドヴォルザークのDNAが内在した独特の音楽で、ボヘミアの民俗色を感じました

ヴァイグレは終始、情熱的な指揮で、読響から色彩感溢れる演奏を引き出し、圧巻のフィナーレを飾りました

この曲は第8番、第9番「新世界より」と並ぶ名曲だと思います ドヴォルザークの交響曲と言うと「新世界交響曲」ばかりが取り上げられがちですが、もっと「第7番」をプログラムに入れてほしいと思います 今回のヴァイグレ ✕ 読響の名演を聴いて つくづくそう思いました

ところで、ドヴォルザークの「交響曲第7番」ということで思い出すことがあります 小澤征爾が新日本フィルを振った公開リハーサルでの出来事ですが、これについては2023年5月1日付のtoraブログに「小澤征爾を笑い飛ばした女性ヴァイオリストの思い出」というタイトルで書きましたので、興味のある方はご覧ください

昨夜のコンサートは、満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されました

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ピンカス・ズーカーマン ✕ 東京フィルでハイドン「ヴァイオリン協奏曲第1番」、モーツアルト「交響曲第41番”ジュピター”」、エルガー「弦楽セレナード」を聴く

2025年06月24日 00時13分15秒 | 日記

24日(火)。8月28日(木)18:30から新国立劇場(中劇場)で開かれる「韓国国立舞踏団・オン・スクリーン」鑑賞の申し込みをしました これは日韓国交正常化60周年記念事業として上映されるものです 上映されるのはダンス公演で①ホドン、②夢遊桃源舞です 入場無料・全席自由ですが、事前の申し込みが必要です 詳細は新国立劇場のホームページをご覧ください

ということで、わが家に来てから今日で3815日目を迎え、バンス米副大統領は22日、米軍によるイランの各施設攻撃を巡り「核開発計画を根絶することに焦点を当てた。イランと戦争をしているのではない。イランの核開発計画と戦っている」と限定的な攻撃であることを強調し、全面衝突を望まない考えを示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

    

    プーチンロシアの「特別軍事作戦」と同じ理屈だな トランプ政権も泥沼に陥るぞ!

         

昨日、夕食に「アスパラの豚肉巻き焼き」「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」「シメジの味噌汁」を作りました 「アスパラ~」の豚肉はバラ肉を使いましたが、何でもOKです

         

昨夜、サントリーホールで東京フィル「第1019回 サントリー定期シリーズ」を聴きました    プログラムは①エルガー「弦楽セレナードホ短調 作品20」、②ハイドン「ヴァイオリン協奏曲第1番 ハ長調」、③モーツアルト「交響曲第41番 ハ長調 K.551 ”ジュピター” 」です    演奏は指揮とヴァイオリン独奏=ピンカス・ズーカーマンです

事前告知通り、開演30分前の18時半からプレコンサートがありました 私の大好きなメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」から第1楽章「アレグロ・モデラート・マ・コン・フォーコ」が、第1ヴァイオリン=ピンカス・ズーカーマン、第2ヴァイオリン=三浦章宏ほかトップ奏者たちの豪華メンバーにより演奏されました 推進力に満ちた演奏を聴きながら、「いつまでも終わらないでくれ」と心の中で叫んでいました

さて本番です。1曲目はエルガー「弦楽セレナード ホ短調 作品20」です    この曲はエドワルド・エルガー(1857-1934)が1892年5月完成し、3回目の結婚記念プレゼントとして妻キャロライン・アリスに贈られました ちなみに1888年の婚約の時に贈られたのが「愛のあいさつ」です 音楽の才能がある人はいいですね。プレゼントにお金がかからないし

第1楽章「アレグロ・ピアチェヴォーレ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「アレグレット」の3楽章から成ります

ズーカーマンの指揮で演奏に入りますが、特に印象に残ったのは第2楽章です とても美しく叙情的なメロディで、同じエルガーの「ニムロッド」を思い出しました

2曲目はハイドン「ヴァイオリン協奏曲第1番 ハ長調」です    この曲はフランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)がエステルハージ宮廷楽団の第1ヴァイオリン奏者ルイージ・トマシー二のため、1761年から65年までに作曲したと言われています   第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:プレスト」の3楽章から成ります

チェンバロが中央後方に置かれ、ズーカーマンの弾き振りで第1楽章に入ります ハイドンらしい明快な演奏が展開しますが、終盤のカデンツァは鮮やかでした 野本由紀夫氏の「プログラム・ノート」によると、この日のカデンツァはアメリカの現代作曲家でピアニスト、指揮者でもあるマーク・ネイクルグ(1946~)の作曲によるものとのこと どうりでハイドンが高度化していると思いました 第2楽章は演奏の白眉でした 弦楽器群のピッツィカートに乗せて独奏ヴァイオリンが美しいメロディを奏でていきますが、弱音ながら美しい音色のチェンバロと相まって、「ハイドンってこんなに美しい曲を書いていたのか」と驚かせるのに十分な素晴らしい演奏でした 第3楽章は快速テンポの演奏が繰り広げられ、華やかなフィナーレを飾りました

鳴り止まない拍手とブラボーにカーテンコールが繰り返されました ズーカーマン ✕ 東京フィルは今演奏した第2楽章「アダージョ」をアンコールに演奏、やんやの喝さいを浴びました

プログラム後半はモーツアルト「交響曲第41番 ハ長調 K.551 ”ジュピター” 」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1788年の夏の1か月半の間に「第39番 変ホ長調」、「第40番 ト短調」とともに作曲しました 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」、第3楽章「メヌエット:アレグレット」、第4楽章「フィナーレ:モルト・アレグロ」の4楽章から成ります

ズーカーマンの指揮で第1楽章に入りますが、木管群がよく歌います 演奏を聴いていて感じたのは、音楽の流れの良さと、各楽器間のバランス感覚の良さです 楽員は肩の力を抜いてリラックスして演奏しているように見えます それによって、柔らかく流麗な音楽が出てくるのだと思います このことは全楽章について言えます 第4楽章ではJ.S.バッハの音楽から学んだフーガが推進力に満ちた演奏により展開し、クライマックスを築き上げます

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

鳴り止まない拍手に、ズーカーマンは第1ヴァイオリン奏者のところに赴いて、なにやら商談を始めました

すると、ズーカーマンは女性奏者のヴァイオリンを借りて、ブラームスの「子守歌」を弾き始め、聴衆に向かって「Say!」と叫び、演奏に合わせて歌うように求めました 不意打ちを食らった聴衆は図らずも「聴衆参加型アンコール」に引きずり込まれ、「ねむれ~♬」という歌詞やハミングで合唱を始めました

合唱が終わると、ズーカーマンは日本語で「サヨナ~ラ」と言って、拍手のなか舞台袖に引き上げていきましたとさ めでたしめでたし

         

今日はサントリーホールに読響名曲シリーズを聴きに行きます

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サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン「フィナーレ・コンサート 2025」を聴く ~ 葵トリオ、シューマン・クァルテット、ヘーデンボルク・トリオなど

2025年06月23日 00時03分50秒 | 日記

23日(月)。昨日は早朝から背中に鋭い痛みを感じ、ヤバいと思いました 明らかに腰痛がらみの痛みです 動作をゆっくりと過ごしたら次第に痛みを感じなくなりました しかし、整骨院のA院長に言わせれば、これは「錯覚」で、朝起床時の痛みこそが本当の姿だということです 今日からまた整骨院通いが始まるので、よく診てもらおうと思います

コンサートに出かける前に、東京都議会議員選挙の投票に行ってきました 豊島区は5人が立候補していますが、私が推す政党の候補者がいないので、消去法で1人を選んで投票してきました 選挙は絶対に棄権しないようにしています

話は変わりますが、昨日の朝日新聞朝刊・文化欄に「ベルリン・フィルと『出たとこ勝負』」山田和樹さん  初共演を終えて」という見出しの、吉田純子編集委員によるインタビュー記事が載っていました

山田氏が選んだ曲目はドイツ系ではなく、イタリア(レスピーギ「ローマの噴水」)、日本(武満徹「ウォーター・ドリーミング」)、フランス(サン=サーンス「交響曲第3番」)でしたが、選曲に当たっては2010年からベルリン・フィルの第1コンサートマスターを務める親友の樫本大進氏のアドヴァイスがあったとのことなどが語られています このインタビューで一番印象に残ったのは、山田氏が、ベルリン・フィルを振った経験のある故・岩城宏之氏から聞いた逸話です 岩城氏は、ベルリン・フィル芸術監督時代のカラヤンが、『ドライブ(運転)じゃなくキャリー(運ぶこと)だ』とよく言っていたと語っていたそうです 山田氏は、それが初めて腹に落ちた 『自分がコントロールするんじゃないんだな、と ある意味、オケって車じゃなく、お馬さんのようなものかもしれない 馬自身に強烈な意思がある。それを尊重しつつ、のっかるわけです。行き先は示すけど、強制するわけじゃない。完全に対等で、100人全員と常に1対1。指揮者の合図なんかなくてもこのオケは大丈夫っていう、この感覚こそが、カラヤンに培われた伝統だったのだと思い知りました』と語る

「言うは易く行うは難し」ですが、実力があるからこそ、こういうことが言えるのだろうと思います さらに言えば、オーケストラも相当優秀な楽団員が揃っていることが不可欠ではないかと思います

ということで、わが家に来てから今日で3814日目を迎え、米国のトランプ大統領は21日夜、ホワイトハウスで演説し、「米軍は、イランの核開発能力の破壊と、世界最大のテロ支援国家がもたらす核の脅威の阻止のため、イランの3つの主要な核施設に対し、大規模な精密な攻撃を行った」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

    

    トランプはイラク戦争での失敗に学んでいないようだ  政治は博打ではない

         

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」でサントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン「フィナーレ・コンサート 2025」を聴きました

プログラムは以下の通りです

①シューマン「弦楽四重奏曲第1番 イ短調 作品41-1」より第1楽章「アンダンテ・エスプレッシーヴォ ~ アレグロ」

②バルトーク「ピアノ五重奏曲 ハ長調」より第1楽章「アンダンテ ~ アレグロ」

③ワーグナー(ヴィルへルミ、クライスラー編曲:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第3幕「ヴァルターの歌 ”朝はバラ色に輝いて”」

④クライスラー「ウィーン風小行進曲」

⑤クライスラー「シンコペーション」

⑥アイルランド民謡(クライスラー編曲)「ロンドンデリーの歌」

⑦シューベルト「弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956」より第2楽章「アダージョ」

⑧芥川也寸志「弦楽のための三楽章(トリプティーク)」

⑨アルベニス(キャンバーン編曲):組曲「スペインの歌」作品232より第4楽章「コルドバ」

⑩ラヴェル(ソーニエール編曲):組曲「鏡」より第4曲「道化師の朝の歌」

⑪細川俊夫「レテ(忘却)の水」

⑫シュルホフ「弦楽四重奏のための5つの小品」 より第1曲「ウィンナ・ワルツ風に」、第2曲「セレナーデ風に」

⑬チャイコフスキー「弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 作品11」より第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」

⑭シュルホフ「弦楽四重奏のための5つの小品」より第3曲「チェコ風に」、第4曲「タンゴ・ミロンガ風に」、第5曲「タランテラ風に」

自席はC8列12番、センターブロック最後列右通路側です。会場は満席です

1曲目はシューマン「弦楽四重奏曲第1番 イ短調 作品41-1」より第1楽章「アンダンテ・エスプレッシーヴォ ~ アレグロ」です この曲はロベルト・シューマン(1810-1856)が1841年に作曲、1843年にライプツィヒで初演されました

演奏はカルテット風雅ですが、この曲の第3楽章と第4楽章を14日の「フェロー演奏会Ⅰ」で演奏しています 第1楽章の冒頭は第1ヴァイオリン ⇒ 第2ヴァイオリン ⇒ ヴィオラ ⇒ チェロへとテーマがフーガで展開します カルテット風雅はフーガにこだわってこの曲を選曲したのではないかと想像します 第3楽章、第4楽章ともどもロマン溢れる演奏でした

2曲目はバルトーク「ピアノ五重奏曲 ハ長調」より第1楽章「アンダンテ ~ アレグロ」です この曲はベーラ・バルトーク(1881-1945)が1903年から04年にかけて作曲しました 演奏はヴァイオリン=渡辺玲子、高麗愛子(クァルテット・イーリス)、ヴィオラ=鈴木双葉(同)、チェロ=宮之原陽太(同)、ピアノ=秋元孝介(葵トリオ)です

冒頭から渡辺の濃厚なヴァイオリンが演奏を支配します 秋元のピアノも雄弁です どちらかと言うと、バルトークというよりも後期ロマン派のフランスの作曲家の作品のような印象を受けました

3曲目はワーグナー(ヴィルへルミ、クライスラー編曲):楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第3幕「ヴァルターの歌 ”朝はバラ色に輝いて”」です この曲はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が1862年から67年にかけて作曲、1868年にミュンヘンで初演されました

演奏はこの曲から「ロンドンデリーの歌」までヘーデンボルク・トリオ(日系の3兄弟)です

新国立オペラの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のヴァルターの歌を思い出しながら聴きました とくにチェロがいい音色で良く歌っているのが印象的でした

4曲目からの3曲はフリッツ・クライスラー(1875-1962)の作曲、編曲による作品です 「ウィーン風小行進曲」、「シンコペーション」、「アイルランド民謡(クライスラー編曲)『ロンドンデリーの歌』」が続けて演奏されました ヴァイオリンとチェロがウィーン・フィルのメンバーであることからか、独特のアクセントにより楽しい演奏が繰り広げられました

プログラム前半最後の曲はシューベルト「弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956」より第2楽章「アダージョ」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1828年に完成したものの、初演はシューベルトの死後の1850年でした 弦楽四重奏曲にチェロが追加された珍しい編成の作品です 演奏はヴァイオリン=原田幸一郎、池田菊衛、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=毛利伯郎、堤剛です アカデミーの講師陣の演奏です。原田、池田、磯村の3人は一世を風靡した名門「東京クァルテット」のメンバーです これはひと言「円熟の極み」です 冒頭の第1ヴァイオリンとチェロのピッツィカートとの対話が印象的でした

プログラム後半の1曲目は芥川也寸志「弦楽のための三楽章(トリプティーク)」です この曲は芥川也寸志(1925-1989)がN響の常任指揮者だったクルト・ヴェスの依頼により1953年に作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「子守歌:アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります 「トリプティーク」は、もともとキリスト教の祭壇を飾る3面から成る宗教画を意味しますが、それを「アレグロ ~ 子守歌 ~ プレスト」の3つの楽章に置き換えたものです

演奏はチェンバーミュージック・アカデミー・アンサンブル(指揮者なし)です    メンバーは、リーダー=岸本萌乃香(読響次席・ほのカルテット)、サブ=吉江美桜(トリオ・フィデーリス)で、左から第1ヴァイオリン(5)、第2ヴァイオリン(4)、チェロ(3)、ヴィオラ(3)、その奥にコントラバス(1)という並びです

第1楽章の冒頭から集中力に満ちたアグレッシブな演奏が展開します 第2楽章は低弦のピッツィカートに乗せてヴァイオリンがメロディーを奏でますが、とても美しいアンサンブルが会場に響き渡ります 第3楽章は再び情熱的な演奏が繰り広げられ、圧巻のフィナーレを飾りました 個人的には本公演で一番良かったと思います

2曲目はアルベニス(キャンバーン編曲):組曲「スペインの歌」作品232より第4楽章「コルドバ」です この曲はイサーク・アルベニス(1860-1909)が1896年に作曲しました 演奏はハープ=吉野直子、マリー=ピエール・ラングルメです

前半の緩やかなテンポの演奏と、後半の快速テンポの演奏との対比が鮮やかで、2台のハープの美しい音色が会場に響き渡りました

3曲目はラヴェル(ソーニエール編曲):組曲「鏡」より第4曲「道化師の朝の歌」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1905年に作曲した作品です

吉野直子とマリー=ピエール・ラングルメによるハープ・デュオは目くるめく曲想の変化を鮮やかな演奏でクリアし、名人芸が光りました

4曲目は細川俊夫「レテ(忘却)の水」です この曲は細川俊夫(1955~)が2015年に作曲、2016年にフォーレ四重奏団によって世界初演されました 演奏は葵トリオ(Vn:小川響子、Vc:伊東裕、P:秋本孝介)、ヴィオラ=森智明(カルテット・ルーチェ)です

弦楽の最弱音の演奏から始まり、徐々に音が大きくなっていき、ピアノも加わります ”静”と”動”でいえば”静”を基本とする繊細な作品です 3人は緻密なアンサンブルによりニュアンス豊かな演奏を展開しました

実はフォーレ四重奏団によるこの曲の演奏は一度聴いています 会場はみなとみらいホール(小)でした。なぜ覚えているかというと、終演後、細川夫妻とエレベーターで乗り合わせたからです

5曲目はシュルホフ「弦楽四重奏のための5つの小品」 より第1曲「ウィンナ・ワルツ風に」、第2曲「セレナーデ風に」です この曲はチェコの作曲家エルヴィン・シュルホフ(1894-1942)が1923年に作曲した作品です 演奏は真ん中にチャイコフスキーを挟んでシュルホフの第3曲 ~ 第5曲までシューマン・クァルテットが演奏します

一般的にイメージする「ウィンナ・ワルツ」や「セレナーデ」とは異なり、どちらかといえば鋭角的なメリハリの利いた演奏が展開します 第1ヴァイオリンが中心となってリードしていくというスタイルではなく、4人が対等に主役を張って演奏を繰り広げている印象です

シュルホフに挟まれた形の作品は、チャイコフスキー「弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 作品11」より第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1871年に作曲、同年モスクワで初演されました

シュルホフの鋭角的な演奏から一転し、美しいメロディーが紡がれていきます こういう曲を聴くと、やはりチャイコフスキーは屈指のメロディーメイカーだと思います

続いてシュルホフ「弦楽四重奏のための5つの小品」より第3曲「チェコ風に」、第4曲「タンゴ・ミロンガ風に」、第5曲「タランテラ風に」が演奏されます

第3曲「チェコ風に」は まるで「バルトーク風(ハンガリー)に」のように聴こえました    第4曲は思ったほど「タンゴ」が前面に出ていないように思いました   第5曲は、流石に高速テンポによるアグレッシブな演奏はタランテラ風だと納得しました

これをもって今年のサントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデンも閉幕です 今年も若い演奏家たちの活躍が目立ちました 来年も楽しみにしたいと思います

         

今日はサントリーホールに東京フィル「第1019回 サントリー定期シリーズ」を聴きに行きます 18時半から「プレコンサート」があるので、早めに会場入りしたいと思います

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サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン「ENJOY!室内楽アカデミー・フェロー演奏会Ⅱ」を聴く ~ 出演グループから将来の「葵トリオ」、「クァルテット・インテグラ」は出るか?

2025年06月22日 00時07分55秒 | 日記

22日(日)。わが家に来てから今日で3813日目を迎え、トランプ米大統領は20日、イランが求めるイスラエルによる攻撃停止について「現時点で止めるのは非常に難しい。イスラエルは優勢で、イランは劣勢だ」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

   

   イスラエルの攻撃より止めるのが難しいのは イエスマンに囲まれたトランプの暴走だ

         

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」でサントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン「ENJOY!室内楽アカデミー・フェロー演奏会Ⅱ」を聴きました 出演者はサントリーホール室内楽アカデミー・フェロー(研修生)で、14日の「フェロー演奏会Ⅰ」と同じメンバーです 各グループのメンバー紹介と演奏の感想は15日付toraブログに書きましたので、興味のある方はご覧ください

今回のプログラムと出演者は次の通りです

①ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 作品18-3」より第1楽章「アレグロ」、第4楽章「プレスト」 =クァルテット・イーリス。

②ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第6番 変ロ長調 作品18-6」より第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第4楽章「ラ・マリンコニア:アダージョ ~ アレグレット・クアジ・アレグロ」 = カルテット風雅

③シューマン「弦楽四重奏曲第3番 イ長調 作品41-3」より第1楽章「アンダンテ・エスプレッシーヴォ ~ アレグロ・モルト・モデラート」、第3楽章「アダージョ・モルト」 = カルテット・シュトゥルム

④ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調 作品97 ”大公”」より第1楽章「アレグロ・モデラート」 = トリオ・フィデーリス

⑤ラヴェル「弦楽四重奏曲 ヘ長調」より第1楽章「アレグロ・モデラート:とても甘美に」、第2楽章「いくぶん活気をもって、とてもリズミカルに」 = カルテット・ルーチェ

⑥ブラームス「弦楽四重奏曲第2番 イ短調 作品51-2」より第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・ノン・アッサイ」 = カルテット・プリマヴェーラ

     

自席はC6列12番、センターブロック右通路側で、昨日と同じ席です この日も、若い演奏家たちのパフォーマンスを聴くため、多くの聴衆が集まりました

1曲目はクァルテット・イーリスによるベートーヴェン「弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 作品18-3」より第1楽章「アレグロ」、第4楽章「プレスト」 です この曲は「第3番」ですが、これは6曲から成る「作品18」のうちの出版順であり、作曲順には一番最初に作られました

4人の演奏は初夏の朝に相応しく爽やかで、第4楽章はベートーヴェンの意欲を感じさせる”実質第1番”の疾走感が素晴らしかったです

2曲目はカルテット風雅によるベートーヴェン「弦楽四重奏曲第6番 変ロ長調 作品18-6」より第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第4楽章「ラ・マリンコニア:アダージョ ~ アレグレット・クアジ・アレグロ」です

第1楽章の弾むような軽快な演奏が素晴らしい 第2楽章では序奏部でのシリアスな演奏と後半の明朗な演奏による「明と暗」対比が素晴らしく、実質5番目に作曲された作品の魅力が横溢していました

3曲目はカルテット・シュトゥルムによるシューマン「弦楽四重奏曲第3番 イ長調 作品41-3」より第1楽章「アンダンテ・エスプレッシーヴォ ~ アレグロ・モルト・モデラート」、第3楽章「アダージョ・モルト」です

第1楽章、第3楽章ともロマン溢れる演奏で、シューマンの室内楽の魅力がよく伝わってきました

プログラム後半の1曲目は トリオ・フィデーリスによるベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調 作品97 ”大公”」より第1楽章「アレグロ・モデラート」です

前回、シューマン「ピアノ三重奏曲第3番」を聴いた時にも思ったのですが、これはプロの演奏です チェロの佐山裕樹は新日本フィルの首席奏者であるし、他の2人も普段から演奏活動を展開しているようです まさに「大公」に相応しい堂々たる演奏で、3つの楽器がよく鳴っていました

2曲目はカルテット・ルーチェによるラヴェル「弦楽四重奏曲 ヘ長調」より第1楽章「アレグロ・モデラート:とても甘美に」、第2楽章「いくぶん活気をもって、とてもリズミカルに」 です

第1楽章ではラヴェル特有の浮遊感がよく出ていました。また、第2楽章では冒頭のピッツィカートが印象的で、終始カラフルな演奏が展開しました

最後の曲はカルテット・プリマヴェーラによるブラームス「弦楽四重奏曲第2番 イ短調 作品51-2」より第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・ノン・アッサイ」です

第1楽章はブラームス特有の「ほのかな情熱」を感じさせる演奏が印象的でした 第4楽章では4つの楽器が交差し、アグレッシブな演奏に寄り極上のアンサンブルを奏でました

この日出演の各グループはいずれも素晴らしく、将来が楽しみです

さて、「サントリーホール室内楽アカデミー」は、2010年10月に開講しました フェロー(受講生)たちは国内外の第一線で活躍するファカルティ(講師)による月2回のワークショップで、演奏技術やアンサンブルにおけるコミュニケーションの取り方まで幅広く学んでいます これまでに、葵トリオ(2018年ミュンヘン国際音楽コンクール第1位)、クァルテット・インテグラ(2022年ミュンヘン国際音楽コンクール第2位)、ほのカルテット(2023年大阪国際室内楽コンクール第2位)、タレイア・クァルテットなどを輩出してきました 現在、東京フィルのコンサートマスターを務めている依田真宣もアカデミー・フェローでした ピアノ・トリオを組んで演奏したのを2年続けて聴きましたが、まさか東京フィルのコンマスに就任するとは思ってもみませんでした この日の出演グループの中から、世界的に活躍するアーティストが出てくるか・・・とにかく、若い演奏家の皆さんには目標を設定して、チャレンジ精神で世界を目指してほしいと思います

  (大ホールでは「エリーナ・ガランチャ  メゾソプラノ リサイタル」が開かれるようです)

         

今日はサントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデンの「フィナーレ」コンサートです

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サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン「プレシャス1pm Vol.2」でレスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア、ラヴェル「クープランの墓」他を聴く

2025年06月21日 00時16分19秒 | 日記

21日(土)。わが家に来てから今日で3812日目を迎え、イスラエルのネタニヤフ首相は19日、焦点となっているイラン中部フォルドゥの核関連施設について、米国が参戦しなかった場合にはイスラエル軍が単独で攻撃し破壊を試みる可能性を示唆した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

ネタニヤフは  次々と敵を作って攻撃を仕掛けないと  自分の政治生命が危うくなるから 必死だよな

         

昨日、隔週金曜日のローテにより「鶏のから揚げ」と「舞茸の味噌汁」を作りました 今回もめんつゆを作って大根おろしと一緒に乗せて食べましたが、とても美味しかったです

         

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」でサントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン「プレシャス1pm Vol.2  華やぎ合う2台ハープ」を聴きました プログラムは①ナデルマン「2台のハープのための幻想的二重奏曲 作品78」、②ラヴェル(チャループカ編曲):組曲「クープランの墓」、③カリアー「クロスフェイド」、④レスピーギ(チャループカ編曲)「リュートのための古風な舞曲とアリア」より「”オルランド伯爵”による小舞踏曲」「シチリアーナ」「ガリアルダ」、⑤ダマーズ「2台のハープのためのソナチネ」です 演奏はハープ=吉野直子、マリー=ピエール・ラングルメです

     

吉野直子はロンドン生まれ。第9回イスラエル国際ハープコンクールで最年少の17歳で優勝 国内外のオーケストラとの共演、室内楽で活躍する

マリー=ピエール・ラングルメはフランス・グルノーブル生まれ。17歳でニース・オペラ座管弦楽団のハープ奏者、その後メトロポリタン歌劇場管弦楽団副首席奏者を務めた 1992年イスラエル国際ハープコンクールで優勝し、翌年からベルリン・フィルの首席奏者を務めている

自席はC6列12番、センターブロック右通路側です。会場は満席です

冒頭、吉野がプログラム記載の順番を一部変えて演奏する旨の説明をしました マリー=ピエール・ラングルメが向かって左、吉野直子が右にスタンバイして演奏に入りました

1曲目はナデルマン「2台のハープのための幻想的二重奏曲 作品78」です この曲はパリ音楽院のハープ科の創設に貢献したフランソワ・ジョゼフ・ナデルマン(1781-1835)が1825年に出版した小品です 第1楽章「アダージョ」、第2楽章「ロンドレット:アレグレット・マ・ノン・トロッポ」の2楽章から成ります

第1楽章はメロディが美しい曲で、優雅なハープにピッタリだと思いました 第2楽章は心が弾む楽しい曲でした

2曲目はラヴェル(チャループカ編曲):組曲「クープランの墓」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1917年に完成しました 元々はピアノ独奏曲ですが、全6曲のうち4曲が管弦楽曲に編曲されました 第1曲「前奏曲:活気をもって」、第2曲「フォルラーヌ:アレグレット」、第3曲「メヌエット:アレグロ・モデラート」、第4曲「リゴドン:いくぶん活気をもって」から成ります

二人の掛け合いは素晴らしく、元々2台のハープのために作曲された曲であるかのように、美しい音色が響きました

3曲目はカリアー「クロスフェイド」です この曲はセバスチャン・カリアー(1959~)が2005年にマリー=ピエール・ラングルメの委嘱により作曲した作品で、初演は吉野直子とのデュオで行われました

演奏に当たり、吉野が「本当は2台のハープを遠く離して演奏するのですが、会場の関係でこのくらい(5メートル位?)離して演奏します 2台のハープはそれぞれ波状の音型を奏で、大きなアーチ状の起伏を描くように演奏します。演出として会場を暗くします」と説明し、演奏に入りました

2人のハーピストの音の交歓はミニマルミュージックのようにも聴こえました

4曲目はレスピーギ(チャループカ編曲)「リュートのための古風な舞曲とアリア」より①「”オルランド伯爵”による小舞踏曲」②「シチリアーナ」③「ガリアルダ」です この曲はオットリーノ・レスピーギ(1879-1936)が1917年と31年に編んだ組曲から選ばれています

「シチリアーナ」はNHK-FMのクラシック音楽番組のテーマとして使用されていたので、懐かしく聴きました 穏やかでとても良い曲です 他の2曲を含めて、ハープのデュオで聴くとまた格別の魅力があります

最後の曲はダマーズ「2台のハープのためのソナチネ」です この曲はジャン=ミシェル・ダマーズ(1928-2013)が作曲した新古典派風の作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

これはとても聴きやすい曲でした 2台のハープの掛け合いが素晴らしく、第3楽章の超絶技巧による高速演奏には舌を巻きました

会場いっぱいの拍手に2人は、レクオーナ:スペイン組曲「アンダルシア」より第6曲「マラゲーニャ」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれてコンサートを締めくくりました    休憩なしの充実した75分でした

         

今日もサントリーホール「ブルーローズ」で、「ENJOY!室内楽アカデミー・フェロー演奏会 Ⅱ」を聴きます

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フォーレ四重奏団のチケットを5枚取る ~ トッパンホール25周年記念スペシャルウィーク / 村上春樹著「街とその不確かな壁」(上巻・下巻)を読む ~ 登場するクラシック音楽を中心に紐解きます

2025年06月20日 00時06分53秒 | 日記

20日(金)。10月上旬にトッパンホールで開かれる「トッパンホール25周年記念スペシャルウィーク ~ フォーレ四重奏団とともに」のセット券(2種類)を取りました

1.室内楽セット券(3公演)は以下の通りです

①2日(木)19時=モーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番 K.493」、同「弦楽五重奏曲 ト短調 K.516」、シューベルト「ピアノ五重奏曲 イ長調 ”鱒”」

②4日(土)18時=メンデルスゾーン「ピアノ四重奏曲第2番 ヘ短調 作品2」、ブラームス「ヴィオラ・ソナタ第2番 変ホ長調 作品120-2」、シューマン「ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44」

③7日(火)19時=シューベルト「弦楽三重奏曲第1番 変ロ長調 D.471」、同「アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D.821」、シェーンベルク「清められた夜 作品4」

2.歌曲セット券(2公演)は以下の通りです 演奏はソプラノ=アネッテ・ダッシュ、弦楽四重奏=フォーレ四重奏団。

①5日(日)18時=ブラームス「ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調 作品60」、マーラーの歌曲集。

②8日(水)19時=カールマン「チャールダッシュの女王」より、コルンゴルト「死の都」より、ドビュッシー「月の光」ほか。

上記のうち10月4日(土)は15時から江東区で東京シティ・フィル「ティアラこうとう定期演奏会」があるので、終演後、地下鉄+徒歩でトッパンホールに向かうことになります 夕食を取る時間がない どころか、ギリギリ間に合うかどうかです

ということで、わが家に来てから今日で3811日目を迎え、トランプ米大統領は18日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を「ばか(stupid)」と呼び、「私はFRBにいくべきかもしれない。FRBに自分自身を任命してもいいのだろうか。私は彼らよりもはるかに良い仕事をするだろう」と語り、改めて利下げを要求した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

トランプの根拠のない自信はどこからくるのか? 自分は世界の王様と本気で思ってんじゃね?

         

昨日、夕食に「豚の冷しゃぶ」「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」「キュウリとミニトマトの冷やし汁」を作りました 「豚の冷しゃぶ」は、いつもはゴマダレを上からかけて食べるのですが、今回はタレに付けて食べました 最近、私が夜にコンサートがある日は 自分の夕食は自分で作る と娘が言い出したので、助かっています

         

村上春樹著「街とその不確かな壁」(上巻・下巻)を読み終わりました 村上春樹は1949年京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1979年「風の歌を聴け」(群像新人文学賞)でデビュー  「海辺のカフカ」「1Q84」「ねじまき鳥クロニクル」など著書多数。国内外の文学賞を多数受賞しているが、ノーベル文学賞の受賞は今のところない

17歳の夏の夕暮れ、”ぼく”は16歳の”きみ”から高さ8メートルの「壁」に囲まれた「街」の話を聞く ”きみ”が説明するには、今ここに存在するのは自分の”影”に過ぎず、本当の彼女はその「壁」に囲まれた「街」の中にいるという ”きみ”(の影)はその後まもなく死に、”ぼく”は”きみ”から聞いた話を頼りに、切り離された自分の”影”と別れ「街」に入る そこで”ぼく”は本のない図書館に収められた「古い夢」を調べる「夢読み」の仕事に就くことになる ”ぼく”は図書館の司書として働いている本当の”きみ”に出会い、次第に親しくなっていくが、お互いに”影”を失っているため、どうしても心を通わせることができないことに気が付く やがて「古い夢」を開放することに成功し、その底知れない悲しみを知った”ぼく”は、”影”を取り戻して「街」を出ることを決心し、壁の外の現実世界に回帰する(以上第1部)

「高い壁に囲まれた街」の記憶を残したまま、”私”は現実世界で40代になっている 影も付いている。脳裏に焼き付いている街や勤めていた図書館での様子のイメージを持ち続けたまま生きることに限界を感じた”私”は、長年勤務した書籍取次会社を早期退職する ”私”はツテを辿って福島県の雪深い町にある図書館に勤め始める。図書館ではスカートを履く元館長の子易(こやす)氏、司書の添田さん、コーヒーショップの女性店員、図書館に通うイエローサブマリンのヨットパーカー着る少年らと出会う 実は子易氏はすでに死んでいる幽霊で、”私”と添田さんにしか見えない。”私”は彼から生きる上でのアドヴァイスを受ける イエローサブマリンの少年は他人の誕生日の曜日を瞬時に言い当てることができるサヴァン症候群で、「『街』は疫病を防ぐために築かれた」と説明し、「街」を地図に再現して驚かせる そしてある日、突然失踪する(以上第2部)。

”街”に残っていた”私”は「影」のないイエローサブマリンの少年に出会い、図書館での「夢読み」の仕事を託すことにする ”私”と少年は一体化し、それによって”私”は「街」から現世へ帰還し「影」を持つ 一方、少年は「壁」の中の「街」に残り「夢読み」の仕事を続ける(以上第3部)

村上春樹の小説特有の”現世とあちら側の世界を行き来する”「パラレル・ワールド」の物語ですね

村上春樹の小説と言えば、クラシックやジャズが出てくるという特徴があります クラシックに関して言えば、「海辺のカフカ」におけるシューベルト「ピアノ・ソナタ第17番ニ長調D.850」しかり、「1Q84」におけるヤナーチェク「シンフォニエッタ」しかりです

本作でも作曲家の名前やクラシック音楽がいくつか登場します この作品で登場するのは「第2部」以降です

①「私の記憶によればサヴァン症候群には、一度耳にした音楽を、それがどれほど複雑な曲であっても、そのまま一音も違えず正確に再現できる ー 演奏したり写譜したりできる ー 人々も含まれていた。アマデウス・モーツァルトもその一人だったと言われている」(第2巻105 ~ 106ページ)

⇒ これはモーツアルト(1756-1791)が1770年4月11日に、父親レオポルトと共にヴァチカンのシスティーナ礼拝堂を訪れた際に、門外不出とされたアレグリの「ミゼレーレ」(9声部の合唱曲)を聴き、全てを暗記し、外に出てから楽譜に正確に書き写したというエピソードのことを言っています モーツアルトの天才性を語るときに しばしば引用されます

②「ところで彼(イエローサブマリンの少年)は今、どんな本を読んでいるんだろう?」 。「ドミトリー・ショスタコーヴィチの書簡集です」と添田さんは即座に答えた。「愉しそうな本だ」。添田さんはそれに対して意見は述べなかった。眉をほんの少し寄せただけだった 彼女は言葉でよりは表情や仕草で、より多くを語る女性なのだ」(118 ~ 119ページ)

⇒ 「シュスタコ―ヴィチの書簡集ですか・・・とても愉しそうには思えませんけど」という添田さんの表情が思い浮かびます

③「添田さんは軽やかな音を立てながら、私のデスクの上にそれらのカップと皿(紅茶とブルーベリー・マフィン)と砂糖壺を並べた。おかげで普段はがらんとして殺風景な部屋にも、昼下がりのサロンのような優雅で穏やかな雰囲気が生まれた。モーツアルトのピアノ四重奏曲が似合いそうな情景だ」(134ページ)

⇒ モーツァルトの「ピアノ四重奏曲」には「第1番ト短調K.478」(1785年)と「第2番変ホ長調K.493」(1786年)と2曲あります 著者はどちらのどの楽章を頭に描いていたのだろうか? 「サロンのような優雅で穏やかな雰囲気」という表現から推測するに、第1番であれば第2楽章「アンダンテ」、第2番であれば やはり第2楽章の「ラルゲット」ではないかと思います ー と考えたところで、村上春樹著「古くて素敵なクラシック・レコードたち」(2021年6月・文藝春秋社刊)を思い出しました これは村上氏が所有するクラシックレコードの中から個人的に好きな486枚を選んで写真入りで紹介している書籍です

さっそくモーツアルトの「ピアノ四重奏曲」を探してみると、「第1番 ト短調」だけが紹介されていました    解説で村上氏は「第1番はト短調なので、どうしてもこちらの方に目が行ってしまうことになる。モーツアルトのト短調ものに僕は目が無いのだ」と書いています   ここで彼は4種類のレコードを紹介しています。①クリフォード・カーゾン(P)+アマデウス・クァルテット、②ピーター・ゼルキン(P)+アレクサンダー・シュナイダー他、③アルトゥール・ルービンシュタイン(P)+ガルネリ四重奏団、④遠山恵子(p)+ウィーン四重奏団の4枚です  

村上氏は「街とその不確かな壁」の「あとがき」の中で、「この小説を書き始めたのはコロナ・ウィルスが本格的に猛威を振るい始めた2020年3月初めで、3年近くかけて完成させた」旨 書いているので、2021年刊行の「古くて素敵なクラシック・レコードたち」はちょうど時期が重なります したがって、上記のレコードのいずれかの演奏を念頭に置いて「昼下がりのサロンのような優雅で穏やかな雰囲気が生まれた」と書いたのではないか、と推測します まあ、本当のところは著者にしか分かりませんが

④”私”がコーヒーショップで働く女性を初めて食事に誘った時のシーン

「夕方までの時間を送った。ラジオをつけると、FM放送でイ・ムジチ合奏団の演奏するヴィヴァルディの『ヴィオラ・ダモーレのための協奏曲』がかかっていたので、それを聴くともなく聴いていた ラジオの解説者が曲の合間に語っていた。『アントニオ・ヴィヴァルディは1678年にヴェネチアに生まれ、その生涯に600を超える数の曲を作曲しました 当時は作曲家として人気を博し、また名ヴァイオリン奏者としても華やかに活躍していたのですが、その後長い歳月まったく顧みられることなく、忘れ去られた過去の人となってしまいました しかし1950年代に再評価の機運が高まり、とりわけ協奏曲集《四季》の楽譜が出版されて人気を呼んだことで、死後200年以上を経て、一挙にその名を広く世界に知られるようになりました』。私はその音楽を聴きながら、200年以上忘れ去られることについて考えてみた。200年は長い歳月だ 『まったく顧みられることなく、忘れ去られた』200年。200年後に何が起こるかなんて、もちろん誰にもわからない。というか、2日後に何が起こるかも」(173~174ページ)

⇒ 前述の「古くて素敵なクラシック・レコードたち」には「ヴィオラ・ダモーレ協奏曲集」のレコードが3種類紹介されていますが、作品番号までは紹介されていません 放送から流れていたのがこの3枚のどれかであるのか、まったく別の演奏者によるものであるのかも不明です ところで、ヴィヴァルディの音楽って、どの曲を聴いてもヴィヴァルディと分かるDNAがあるような気がします

⑤「洗濯が終わると、庭の物干しに洗濯物を干した。それから、FMラジオでアレクサンドル・ボロディンの弦楽四重奏曲を聴きながら、何枚かのシャツとシーツにアイロンをかけた シーツにアイロンをかけるには時間がかかる ラジオの解説者は、当時のロシアではボロディンは音楽家としてよりは化学者として広く知られ、また尊敬もされていたと語っていた しかし私の聴くところ、その弦楽四重奏曲には化学者らしいところはまったく感じとれなかった 滑らかな旋律と、優しいハーモニー・・・・そういうのがあるいは化学的な要素と言えるのかもしれないけど」「私のクラシック音楽に関するかなり乏しい知識によれば、アレクサンドル・ボロディンはいわゆる『ロシア五人組』の一人であったはずだ。あとは誰だっけ? ムソルグスキー、それからリムスキー=コルサコフ・・・そのあとが思い出せない」(255 ~ 256ページ)。このあと「ねえ、ロシア五人組のことは知ってる?」「いいえ、知らないわ。それって、なにか政治に関連したことかしら? アナーキストのグループとか」という会話が続く(261ページ)

⇒ ここで言っているボロディンの弦楽四重奏曲とはボロディンが1881年に作曲した「弦楽四重奏曲第2番 ニ長調」のことで、「滑らかな旋律と、優しいハーモニー」というのは第3楽章「ノットゥルノ(夜想曲)」のことを指しています 静謐な音楽というのはこういう音楽を指すのでしょう

また、「ロシア五人組」はバラキレフを中心に19世紀後半のロシアで民族主義的な芸術音楽の創造を目指した作曲家集団です メンバーは以下の通りです

ミリイ・バラキレフ(1837~1910)、ツェーザリ・キュイ(1835~1918)、モデスト・ムソルグスキー(1839~1881)、アレクサンドル・ボロディン(1833~1887)、ニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844~1908)。

話は変わりますが、この小説では「影」が重要な要素として登場します 「影」ということで頭に思い浮かべたのはジャック・オッフェンバック(1819-1880)が作曲し1881年月2月10日にパリのオペラ=コミック座で初演されたオペラ「ホフマン物語」です 詩人ホフマンが、歌う人形のオランピア、瀕死の歌姫アントニア、ヴェネツィアの娼婦ジュリエッタに次々と恋に落ちるが、何れも破綻したという失恋話を語り、現在の恋人・歌姫ステラにも失恋してしまうというストーリーです このうち第4幕「ベネツィア:ジュリエッタ」は、悪魔のシュレミールが娼婦ジュリエッタに、ホフマンを誘惑して彼の「影」を奪うよう命令し、見事に成功する。悪魔に「影」を奪われたホフマンは息を引き取る ー という内容です ただし、ここで言う「影」とは鏡に映った「鏡像」のことを指しています

さて、「街とその不確かな壁」における「影」とはどんなものなのか

第1部第8話(上巻58ページ)には次のように書かれています

「そう、その世界では人はみんな影を連れて生きていた。ぼくも『きみ』も自分の影をひとつずつ持っていた ぼくはきみの影のことをよく覚えている。人気(ひとけ)のない初夏の路上できみがぼくの影を踏み、ぼくがきみの影を踏んだことを覚えている。子どもの頃によくやった影踏み遊びだ

つまり、著者は「影」を「物体や人などが、光の進行を遮る結果、壁や地面にできる暗い領域のこと」(英語で言えば shadow )と捉えていることが分かります

しかし、本書の中では「影」が本人から分離して「壁」の反対側の世界で「生きている」ことを考えると、「黒い影」よりも「鏡に映った絵姿 = 鏡像」とした方が分かり易い、あるいは説得力を持つのではないかと思いますが、どうでしょうか

上・下巻合計で870ページを超える長編小説ですが、これまで読んだ村上作品と比べて読み易く、あっという間に読了したことを付け加えておきます

         

今日はサントリーホール「ブルーローズ」で開かれる サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン「プレシャス1pm  Vol.2」を聴きに行きます

   

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セバスティアン・ヴァイグレ ✕ 反田恭平 ✕ 読売日響でプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第1番」「交響曲第1番」、R.シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」他を聴く

2025年06月19日 00時05分27秒 | 日記

19日(木)。わが家に来てから今日で1810日目を迎え、定額を投資することで米国の永住資格と就労資格を取得できる世界の富裕層向けのビザ制度「トランプ・ゴールドカード」の申請を希望する事前登録者数が7万人近くに達したとハワード・ラトニック米商務長官が明かした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

   

   トランプ政権が どっちを見て政治をしているのかが よく分かる  金持ち大歓迎だもんね

         

昨夜、サントリーホールで読売日響「第649回定期演奏会」を聴きました プログラムは①プロコフィエフ「交響曲第1番 ニ長調 作品25 ”古典”」、②同「ピアノ協奏曲第1番 変二長調 作品10」、③R.シュトラウス「ブルレスケ  ニ短調」、④同:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 作品28」です 演奏は②と③のピアノ独奏=反田恭平、指揮は2019年から読響常任指揮者を務め、今シーズンで7年目を迎えるセバスティアン・ヴァイグレです

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び コンマスは日下紗矢子、隣は戸原直という2トップ態勢を敷きます

1曲目はプロコフィエフ「交響曲第1番 ニ長調 作品25 ”古典”」です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)が1916年から17年にかけて作曲、1918年4月21日にペトログラードで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ガヴォット:ノン・トロッポ・アレグロ」、第4楽章「フィナーレ:モルト・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります ハイドンを意識して書かれたことから”古典”という愛称で呼ばれています

ヴァイグレの指揮で第1楽章に入りますが、古典的なスタイルなのにどこかチャーミングな曲想が現れ、思わずニヤリとしてしまいます ヴァイグレはメリハリのある指揮ぶりで小気味よいテンポで演奏を進めます 第2楽章では、中間部でのファゴットの演奏がどこかユーモラスで、ここでもニヤリとしてしまいます 第3楽章は古典派の交響曲では「メヌエット」になるところが、プロコフィエフはあえてフランス風の「ガヴォット」を持ってきます 第4楽章は冒頭から高速テンポによる溌溂とした演奏が展開します フルートのフリスト・ドブリノヴ、クラリネットの中館壮志、オーボエの荒木奏美の演奏が冴え渡ります 全体的に引き締まった素晴らしい演奏でした

2曲目はプロコフィエフ:「ピアノ協奏曲第1番 変二長調 作品10」です この曲は1911年から12年にかけて作曲、1912年7月25日にモスクワで初演されました 単一楽章の曲で、アレグロ・ブリオーソ ~ アンダンテ・アッサイ ~ アレグロ・スケルツァンドという流れで演奏されます

ピアノ独奏の反田恭平は2021年のショパン国際ピアノコンクール第2位 自ら創設した「ジャパン・ナショナル・オーケストラ」で全国ツアーを開催し、指揮者&ピアニストとして演奏活動を展開しています

ヴァイグレの指揮で演奏に入り、反田の力強いピアノが会場に響き渡ります 反田のピアノは明快そのものです 打鍵が強いのだと思いますが、見た目は力を入れて弾いているようには思えません 中間部のアンダンテ部分では弦楽合奏の美しいアンサンブルがソリストの演奏に華を添えました その後アレグロ部に入ると独奏ピアノがアイロニカルな曲想を奏でたかと思うと、高速演奏で疾走したりしてどんどん形を変えていきます 高速演奏による技巧的なカデンツァは見事でした

満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されましたが、ソリスト・アンコールはありませんでした。見識です

プログラム後半の1曲目はR.シュトラウス「ブルレスケ  ニ短調」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1885年から86年にかけて作曲、1890年6月21日にアイゼナハで初演されたピアノとオーケストラのための作品です 「ブルレスケ」とは「冗談」といった意味です

この曲はティンパニとピアノ、オケとピアノ、オケとティンパニとの間で掛け合いが展開しますが、この曲でも反田のピアノは明快で、確かな技巧の裏付けのもと、力強くも美しい演奏を繰り広げました    また、岡田全弘のティンパニの演奏が熟練の域に達していました ヴァイグレ ✕ 読響はソリストを引き立て、スケールの大きな演奏を展開しました

最後の曲はR.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 作品28」です この曲は1894年から95年にかけて作曲、1895年11月5日にケルンで初演されました

弦楽器が16型に拡大し、管・打楽器が増員され、フルオーケストラ態勢になります

この曲は弦楽器により「むかしむかし、一人のいたずら者がいました」というテーマが奏でられ、次いでホルンがティルのテーマを吹きますが、松坂隼のホルンが素晴らしかった そして、次々とティルのいたずらが展開することになりますが、木管楽器群が大活躍します フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、イングリッシュホルンなどが妙技を披露します これに金管楽器の咆哮と、打楽器群の強打と、弦楽器群の鋭い切れ味の演奏が加わり大騒動を演出します しかし、最後にティルは絞首刑台上でこと切れます

1961年ベルリン生まれのヴァイグレにとってリヒャルト・シュトラウスは得意中の得意のピースです 自由なテンポ設定、メリハリの利いた演奏により、R.シュトラウスの管弦楽の醍醐味を味わわせてくれました

演奏を聴きながら、私が初めてこの曲を聴いた時のことを思い出していました 80年代初め頃だったと思いますが、ヘルベルト・ブロムシュテット指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の演奏で聴きました ベルリンの壁崩壊前の旧・東ドイツのオケは独特の音色(特に弦楽器)を持っていて、すっかり魅了されました 今となっては懐かしい思い出です

さて、コンサートでは満場の拍手とブラボーの嵐の中、カーテンコールが繰り返されました

  

  

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「エリーナ・ガランチャ メゾソプラノ リサイタル2025」を聴く ~ ビゼー「カルメン」、サン=サーンス「サムソンとデリラ」、ベルリオーズ「ファウストの劫罰」等からアリアの数々

2025年06月18日 00時08分37秒 | 日記

18日(水)。わが家に来てから今日で3809日目を迎え、「米国を再び偉大に(MAGA)」に似た、トランプ政権にまつわる4文字の造語がインターネットを中心に広がっている  というニュースを見てその造語を解説するモコタロです

MAGA(Make  America  Go  Away)つまり「アメリカよ去れ」です  有名なTACO 同様よろしくね!

         

昨夜、東京オペラシティコンサートホールで「エリーナ・ガランチャ  メゾソプラノリサイタル2025」を聴きました プログラムは以下の通りです

①ブラームス「愛のまこと」「秘めごと」「ああ、帰り道がわかるなら」「昔の恋」「五月の夜」「永遠の愛について」

②ベルリオーズ:劇的物語「ファウストの劫罰」より「燃える恋の思いに」

③サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」より「あなたの声で心は開く」

④グノー:歌劇「サバの女王」より「身分がなくても偉大な方」

⑤チャイコフスキー:歌劇「オルレアンの少女」より「さようなら、故郷の丘」

⑥ラフマニノフ「信じないでほしい、恋人よ」「夢」「おお、悲しまないで」「春のせせらぎ」

⑦ルぺルト・チャピ:サルスエラ「エル・バルキレロ」より「とても深いとき」

⑧ビゼー:歌劇「カルメン」より「ハバネラ」

⑨サルスエラ:「セベデオの娘たち」より「とらわれし人の歌(私が愛を捧げたあの人のことを思うたび)」

なお、②と③の間にピアノ独奏によりメンデルスゾーン「作品19b」第1番 ホ長調「アンダンテ・コン・モート」が、同じく⑥と⑦の間にピアノ独奏によりシューマン「アラベスク  ハ長調 作品18」が演奏されます ⑤チャイコフスキーまでが前半、⑥ラフマニノフ以降が後半です

エリーナ・ガランチャは1976年9月16日 ラトビア生まれのメゾソプラノです   ラトビア音楽アカデミーで研鑽を積む。1999年、ヘルシンキのミリアム・ヘリン国際声楽コンクールで優勝、マイニンゲン州立劇場でプロのキャリアを開始した  2003年にマスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」ローラでウィーン国立歌劇場にデビューした。同年ザルツブルク音楽祭でニコラウス・アーノンクール指揮によるモーツアルト「皇帝ティートの慈悲」でアンニオを歌い、国際的な活躍が始まった。2008年1月、米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場にロッシーニ「セビリアの理髪師」ロジーナでデビューを飾り、2010年には同劇場でビゼー「カルメン」タイトルロールを歌い絶賛された

ピアノ伴奏は1977年バイエルン州生まれのマティアス・シュルツです 2017年から2024年までベルリンのウンター・デン・リンデン国立歌劇場の総支配人を、2025/26シーズンからチューリッヒ歌劇場の総支配人を任命されています

自席は1階8列23番、右ブロック左通路側です かなり前方の席なのでガランチャの顔の表情が良く見える位置にあります 会場は満席です

私がエリーナ・ガランチャ をライブで聴くのはコロナ禍で延期になった2022年6月28日のリサイタル(トリフォニーホール)以来、今回が2回目です 翌6月29日付のtoraブログで振り返ってみたら、今回のプログラムは前回と曲目も曲順もほとんど(9割方)同じであることが分かりました まあ、当方としてはガランチャの歌がライブで聴けるだけで狂喜乱舞なので、何でもOKなわけですが

ガランチャは、上が白、下が黒のシックなコスチュームで登場、マティアス・シュルツのピアノ伴奏によりブラームスの歌曲から入ります 「これ、これ、これこそがガランチャの声だ」と感激しました 歌曲もいいのですが、やはりガランチャの魅力はオペラのアリアにあります ベルリオーズの劇的物語「ファウストの劫罰」より「燃える恋の思いに」、サン=サーンスの歌劇「サムソンとデリラ」より「あなたの声で心は開く」、グノーの歌劇「サバの女王」より「身分がなくても偉大な方」では、卓越したヴォイスコントロールにより、強靭かつ美しい歌唱で歌い上げ、聴衆を圧倒しました

プログラム後半に入るとガランチャは、シルバーのラメ入りのエレガントな衣装に”お色直し”して登場、チャイコフスキー:歌劇「オルレアンの少女」より「さようなら、故郷の丘」をドラマティックに歌い上げました ガランチャの場合は歌唱そのものがドラマになっています あのマリア・カラスがそうでした 一番聴衆が湧いたのは、予想通り「カルメン」のハバネラです 現代最高のカルメンと言っても過言ではないでしょう 最後のサルスエラでは、身体をゆっくり左回りに回転させながらコロラトゥーラを長く伸ばして歌い、聴衆を歓喜させました

文字通り満場の拍手とブラボーの嵐の中、カーテンコールが繰り返されました 18:30開演の正規プログラムが終わったのは20:20でした 鳴り止まない拍手にガランチャは、結局4曲アンコールを歌いましたが、3曲目の「ジャン二・スキッキ」のラウレッタのアリア「私のお父さん」を歌い終わると1階から3階までスタンディングオベーションが起こりました もちろん私も立ち上がり、大きな拍手を送りました 終演は20:45でした。なぜ19時開演でなく18時30分なのかがよく分かりました やっぱり、ガランチャは凄い と再認識したリサイタルでした

         

今日はサントリーホールに読売日響「第649回 定期演奏会」を聴きに行きます

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証券口座のオンライン追加認証設定手続き / 有吉佐和子「青い壺」、村田沙耶香「信仰」、中山七里「能面刑事の死闘」、安壇美緒「ラブカは静かに弓を持つ」、香坂鮪「どうせそろそろ死ぬんだし」他を買う

2025年06月17日 00時01分51秒 | 日記

17日(火)。大手証券会社を中心にID・パスワードを盗んだ第三者による不正アクセス・不正取引が多発していることを受けて、先週、証券会社Dから「オンライン追加認証設定依頼」のハガキが届きました これは自分の取引口座にログインする際、ログイン追加認証の設定手続きをしておかないと自分の口座にアクセスできなくなり、オンライン取引も出来なくなるというものです 追加認証手続きをすると、ログイン時に 登録メルアドあてに「ワンタイムパスワード」が送信されるので、それを入力したうえでアクセスするというものです 追加認証の設定方法について不明な点があったので、先週D社の「ログインサポート専用ダイヤル」あてに何度も電話を入れたのですが、まったくつながりませんでした 毎日 問い合わせが殺到していることが予想されますが、いつまでも放っておくわけにもいかないので、私の口座を所管しているD社池袋支店に連絡し、何とか疑問をクリアしました 試しにログインしてみたら「ワンタイムパスワード入力」欄が表示されたので、登録メルアドに着信していた「ワンタイムパスワード」を入力したら、自分の口座にアクセスできました

「ID・パスワードを盗んだ第三者による不正アクセス・不正取引」ということで思い出しました オーケストラ各団体やコンサートホールにおけるチケット代金の「クレジットカード決済」における「3Dセキュア2.0」(本人確認認証システム)の導入です 支払い方法で「クレジット決済」を選択すると、登録メルアドに臨時の「本人確認認証パスワード」が送られてきます それを入力して初めて決済が完了するというシステムです

いずれにしても、詐欺師=人間のクズは次々と新しい手口で他人の資産を搾取しようと仕掛けてくるので、こういう面倒な手続きが追加されるようになります 悪いヤツらは早く逮捕して刑務所にぶち込んで、二度と出さないでほしいと思います

ということで、わが家に来てから今日で3808日目を迎え、トランプ米大統領が昨年、様々な事業を通じて得た所得が6億ドル(約866億4931万円)に達したことが明らかになったが、仮想通貨、不動産、ライセンス事業などの多様な収益源から相当な所得を得ていたと地元メディアが報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

          

     

     トランプ政権は政策として仮想通貨を推奨してる 利益誘導だな

         

昨日、夕食に「ビーフカレー」「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」を作りました ビーフカレーは今回、牛肉の切り落としを使いましたが、美味しかったです

         

手元の本が残り2冊になったので、いつも通りジュンク堂書店池袋本店で文庫本を8冊購入しました

1冊目は有吉佐和子著「青い壺」(文春文庫)です なぜ昭和51年に出版された本書が今、読まれているのでしょうか? 解明したいと思います

2冊目は村田沙耶香著「信仰」(文春文庫)です 「コンビニ人間」の著者によるカルトの話らしいです。面白そうです

3冊目は中山七里著「能面刑事の死闘」(光文社文庫)です 「中山七里は七人いる」と言われる多作ミステリー作家の文庫最新刊です

4冊目は道尾秀介著「いけないⅡ」(文春文庫)です 体験的ミステリー第2段弾です

5冊目は安壇美緒著「ラブカは静かに弓を持つ」(集英社文庫)です タイトルにある「弓」はチェロの弓だそうです 興味を引かれます

6冊目は香坂鮪著「どうせそろそろ死ぬんだし」(宝島社文庫)です 第23回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作とのことです。タイトルもいいですね

7冊目は佐藤厚志著「荒地の家族」(新潮文庫)です 芥川賞受賞作です。どういうところが評価されたのでしょうか。興味があります

8冊目は松下龍之介著「一次元の挿し木」(宝島社文庫)です 第23回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。初出の時は大きな話題になりましたね

いずれも、現在読んでいる村上春樹著「街とその不確かな壁」(上・下)を読み終わり次第、片っ端から読んでtoraブログでご紹介してまいります

         

今日から1週間後の24日(火)まで、19日を除いて7日連続コンサートです。第1日目の今夜は「エリーナ・ガランチャ メゾソプラノ・リサイタル」です

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