人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

筒井康隆著「笑うな」を読む ~ シニカルでシュールなショートショート34連発

2024年04月28日 06時34分15秒 | 日記

28日(日)。26日(金)まで続いたMETライブを挟んだ10日間連続コンサートが一段落したので、昨日は午前中にマンション管理組合の理事会に出席した以外は、予習CDを聴きながら本を読んで大人しく過ごしました 疲れがたまっているのが分かります コンサートのない日はホッとします なんだかんだ言ってもコンサートのある日は緊張しているのだと思います

ということで、わが家に来てから今日で3393日目を迎え、ロシアのオンラインメディア「ピョルストカ」は26日、ウクライナ侵略に従軍した後に帰還した元兵士が、殺人や傷害致死事件、交通事故などにより過去2年間で少なくとも市民ら107人を死亡させたと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ウクライナでは兵士として人を殺し ロシアに戻るも その習慣が抜けない憐れな種族

 

         

 

筒井康隆著「笑うな」(新潮文庫)を読み終わりました 筒井康隆は1934年大阪市生まれ。1992年「朝のガスパール」で日本SF大賞を受賞したほか、数々の文学賞を受賞

本署は昭和50年(1975年)9月に徳間書店から刊行されたものを、1980年に文庫化した34編からなるショートショート集です

 

     

 

表題作の「笑うな」は、タイム・マシンを発明して、直前に起こった出来事を眺めるというストーリーです

「傷ついたのは誰の心」は、目の前で妻と性交する制服警察官と会話する夫というシュールな状況設定により、三者の心理を追究した芥川龍之介「藪の中」的な物語です

「最初の混線」は、電話機が日本に導入された当初の時代にしか通用しないストーリーですが、発想が冴えています

「ブルドッグ」は夫婦で室内で飼っているブルドッグが何故か大阪弁を話し、妻を口説きにかかるというシュールな話です

他の作品も含めて、いずれの作品も筒井康隆らしいシニカルでシュールに満ちたストーリーで、思わずニヤリとすることもしばしばでした 1話1話が短いので、隙間時間に読むことも出来るのでお薦めします

 

     

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セバスティアン・ヴァイグレ ✕ ロザンネ・フィリッペンス ✕ 読売日響でブラームス「大学祝典序曲」、コルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲」、ベートーヴェン「交響曲第4番」を聴く

2024年04月27日 00時18分50秒 | 日記

27日(土)。わが家に来てから今日で3392日目を迎え、米連邦最高裁は25日、2020年大統領選の結果を覆そうとしたとしてトランプ前大統領らが起訴された事件で、トランプ氏が大統領在任中の公的な行為は刑事責任を免れるという免責特権を主張していることに関して口頭弁論を開いたが、トランプ氏が主張する「絶対的な免責」については懐疑的な発言が相次いだ一方、保守派の判事らは一部免責を認める考えをにじませた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     保守派の判事たちは 明らかに”もしトラ”に備えて忖度してるのは ミエミエだよね

     

         

 

昨日、夕食に「鶏肉の山賊焼き」「生野菜サラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 「山賊焼き」はカレー味がピリッと利いて美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで読売日響「第671回 名曲シリーズ」を聴きました プログラムは①ブラームス「大学祝典序曲 作品80」、②コルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」、ベートーヴェン「交響曲第4番 変ロ長調 作品60」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=ロザンネ・フィリッペンス、指揮=セバスティアン・ヴァイグレです

 

     

 

新シーズンの「名曲シリーズ」第1回目の公演です。今回から席替えをしました 今まで前過ぎたので、5列程度後方の席に移りました。ただ通路側でないのが悔しいところです

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び コンマスは林悠介、隣は戸原直というダブルトップ態勢を敷きます。第2ヴァイオリンのトップには久しぶりに首席の瀧村依里の姿が見られます 育休明けですね。おかえりなさい

1曲目はブラームス「大学祝典序曲 作品80」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)がドイツ(現ポーランド)のブレスラウ大学から名誉博士号を贈られた返礼として1880年に作曲、1881年1月4日にブレスラウで初演されました

ヴァイグレの指揮で演奏に入りますが、重心の低いドイツ的な演奏が続きました 演奏を聴きながら、今からン十年前の高校時代に聴いていた旺文社提供「大学受験講座」を思い出しました この曲の「新入生の歌」の主題が講座のテーマ音楽になっていたのです ろくに勉強しなかったため1年浪人したアホなあの頃が懐かしい

2曲目はコルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」です この曲はオーストリア出身で「モーツアルトの再来」と称賛されたエーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルト(1897-1957)が1945年に作曲、1947年2月15日にセントルイスで初演されました 第1楽章「モデラート・ノビレ」、第2楽章「ロマンス」、第3楽章「アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります コルンゴルトはユダヤ系だったため、ナチスの手を逃れて1934年にアメリカに渡り、ハリウッドで数多くの映画音楽を作曲しました。その影響がこの協奏曲にも反映されています

ヴァイオリン独奏のロザンネ・フィリッペンスは1986年オランダ・アムステルダム生まれ。フライブルク国際コンクールなどで優勝している実力者です

オケは12型に縮小し、ハープとチェレスタがステージ下手にスタンバイします

ヴァイグレの指揮で第1楽章が開始されますが、冒頭から独奏ヴァイオリンが甘美なテーマを流麗に奏でます 終盤における超絶技巧によるカデンツァは見事でした 第2楽章は独奏ヴァイオリンの高音のヴィブラートが美しく響きました 第3楽章ではゴージャスな読響サウンドに支えられながら、フィリッペンスは技巧を凝らした自由自在な演奏によりエネルギッシュな演奏を展開しました

満場の拍手とブラボーに、フィリッペンスはエネスク「ルーマニアの様式による歌」を超絶技巧で演奏、再び大きな拍手に包まれました

ところで、コルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲」といえば忘れられない思い出があります

今からン十年前の独身時代に、神保町のヤマハ・フルート教室に1年間通っていたのですが、同じクラスにW大学大学院在学中のO君がいました 私より8歳くらい年下でしたが何故か気が合い、横浜にある彼の自宅に遊びに行くことになりました そこで彼のレコード・コレクションを見させてもらったのですが、驚いたことに私の持っているレコード(当時は500枚程度)と同じレコードが1枚もなかったのです 私は多くのクラシック・ファンと同様、ベートーヴェン、モーツアルト、ブラームス・・・といった古典派やロマン派を中心とするレコードがほとんどだったのに対し、O君はイギリスやその周辺国の作曲家がほとんどだったのです アーノルド・バックスに至っては「交響曲第5番」のスコアまで持っていました その中の1枚に下のレコードがあり、そこで初めてコルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲」を聴いたのです

 

     

 

このレコード・ジャケットの写真は灯台のサーチライトだと思いますが、コルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲」というと、あの時初めて聴いた感動とともに、この写真を思い出します その翌日、さっそくO君に教えてもらった神保町の「バイロイト」という輸入レコードショップ(今はない)に行って買い求めました 2000枚まで集めたレコードは、ステレオ・アンプと物々交換で500枚を手放したので、現在1500枚が手元にありますが、いずれ何らかの理由で売却することになったとしても、この1枚だけは売らないと思います

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第4番 変ロ長調 作品60」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1806年に作曲,1807年3月にウィーンのロブコヴィッツ侯爵邸で私的に演奏、同年11月15日にウィーンで公開初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

オケは再び14型に戻ります

ヴァイグレの指揮で第1楽章に入ります ゆったりした序奏部からアレグロに移ると、快速テンポで演奏が展開しますが、ファゴットがいい仕事をしています また、金子亜未のオーボエ、フリスト・ドブリノヴのフルートが素晴らしい 第2楽章では金子平のクラリネットが冴えています 弦楽器を中心に重心の低い演奏が繰り広げられます 第3楽章では中間部のトリオにおける木管楽器の牧歌的な演奏が素晴らしい 第4楽章ではスピード感溢れる演奏が展開し、ユーモアさえ感じる明るく楽し気な曲想でフィナーレを飾りました

満場の拍手とブラボーが飛び交うなか、カーテンコールが繰り返されました 読響常任指揮者として6シーズン目を迎えたセバスティアン・ヴァイグレによる第1回目の「名曲シリーズ」は、”ドイツ・オーストリア系”の正統派プログラムで攻めましたが、順調なスタートを切ったと言えるでしょう

 

     

 

本日、toraブログのトータル閲覧数が870万 P V を、トータル訪問者数が280万 I Pを超えました(トータル閲覧数 8,701,992 PV ,トータル訪問者数 2,801,134 IP)。また、gooブログ全体における本日のランキングは3,183,641ブログ中238位でした これもひとえに普段からご訪問いただいている読者の皆さまのお陰と感謝しております これからも1日も休むことなく根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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クリストフ・エッシェンバッハ ✕ キアン・ソルター二 ✕ NHK交響楽団でシューマン「ゲノヴェーヴァ 序曲」「チェロ協奏曲」「交響曲第2番」を聴く~N響4月度Bプロ定期公演

2024年04月26日 00時01分06秒 | 日記

26日(金)。わが家に来てから今日で3391日目を迎え、2020年の米大統領選を巡って、西部アリゾナ州でのトランプ前大統領(共和党)の敗北を不当に覆そうとしたとして、同州の大番審は23日、トランプ氏の顧問弁護士だったジュリアーニ元ニューヨーク市長やメドウズ元大統領首席補佐官ら計18人を詐欺や文書偽造などの罪で同州の裁判所に起訴した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプ陣営は全米各地で違法行為をやっていたから 起訴がいつまでも続くよね

 

         

 

昨日、夕食に「麻婆茄子」「生野菜サラダ」「大根の味噌汁」を作りました 麻婆茄子は久しぶりに作りましたが、美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールでNHK交響楽団「4月度Bプロ定期公演」を聴きました プログラムはロベルト・シューマン①歌劇「ゲノヴェーヴァ」序曲、②チェロ協奏曲 イ短調 作品129、③交響曲第2番 ハ長調 作品61です 演奏は②のチェロ独奏=キアン・ソルター二、指揮=クリストフ・エッシェンバッハです

クリストフ・エッシェンバッハはピアニストからキャリアをスタートさせ、1970年代から徐々に指揮に重心を移しました ドイツ放送交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団、パリ管弦楽団などで要職を務めました。今年84歳になります

 

     

 

オケは16型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります コンマスは郷古廉、隣は川崎洋介といったダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はシューマン:歌劇「ゲノヴェーヴァ」序曲です この曲はロベルト・シューマン(1810-1856)がフランスの聖女ゲノヴェーヴァの伝説によるヘッベルとティークの戯曲を基に1847年から49年にかけて作曲したオペラの序曲です

弦楽器を中心に演奏される”悲劇”の物語を聴く限り、歌劇の序曲というよりは演奏会用序曲のような完結したドラマを感じました

2曲目は「チェロ協奏曲 イ短調 作品129」です この曲は1850年に作曲、1867年にライプツィヒで初演されたと言われています 第1楽章「速すぎず」、第2楽章「ゆっくりと」、第3楽章「極めて生き生きと」の3楽章から成りますが、切れ目なく続けて演奏されます この曲は特定のチェリストを想定して作曲したものではなく、自発的に書いたところが大きな特徴です

チェロ独奏のキアン・ソルター二はペルシア人の音楽一家のもと、オーストリアのブレゲンツに生まれる スイスのバーゼル音楽院で研鑽を積む。ダニエル・バレンボイム率いるウェスト・イースタン・ディヴィン管弦楽団で首席チェロを務めた

オケは14型に縮小し、エッシェンバッハの指揮で演奏に入ります 艶のある独奏チェロがオーケストラに溶け込み、美しいハーモニーを奏でます ソルター二は確かな技巧の裏付けのもと、ロマン溢れる演奏を繰り広げました 欲を言えばもう少しインパクトが欲しいと思いましたが、ない物ねだりですね

満場の拍手にソルターニはペルシア民謡「シーラーズの娘」を、チェロの辻本玲と中実穂の助演のもと鮮やかに演奏し、聴衆を黙らせました

 

     

 

プログラム後半は「交響曲第2番 ハ長調 作品61」です この曲は1845年から翌46年にかけて作曲、1846年11月5日にメンデルスゾーン指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団により初演されました 第1楽章「ソステヌート・アッサイ ~ アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ ~ トリオⅠ,Ⅱ」、第3楽章「アダージョ・エスプレッシーヴォ」、第4楽章「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

オケは再び16型に拡大し、コンマスが川崎洋介、隣が郷古廉に交替します

エッシェンバッハの指揮で第1楽章に入ります 冒頭の金管によるファンファーレが印象的です 後半に入るとかなり速いテンポで演奏され、弦楽器を中心に渾身の演奏が繰り広げられます 第2楽章は、ひと言で言えば”一気呵成”に突っ走ります さて、この日の公演は第3楽章「アダージョ・エスプレッシーヴォ」が白眉でした エッシェンバッハはかなりテンポを落とし、弦楽器にテーマを歌わせます このテーマがオーボエに受け継がれるところは何とも言えない寂寥感を感じます 吉村結実のオーボエが素晴らしい また、伊藤圭のクラリネット、神田寛明のフルートも良く歌います 今井仁志のホルンも素晴らしい アタッカ気味に入った第4楽章は、まるで”勝利の音楽”のように溌溂とした輝かしい音楽が展開します コンマスの2人が躍動感あふれる演奏を繰り広げます 特に川崎は演奏の勢いで立ち上がってしまうのではないか、と思うほど身体を前後に大きく揺らし、渾身の演奏を展開しています なるほどこれがジュリアード音楽院仕込みの演奏か、と納得しました 管楽器が咆哮し、ティンパニが炸裂し、弦楽器が渾身の演奏を展開し、スケールの大きな演奏でフィナーレを飾りました

満場の拍手とブラボーのなかカーテンコールが繰り返され、この日が今年の定期公演最終日となるエッシェンバッハに、楽員を代表してヴァイオリン奏者から花束が贈呈されました

 

     

     

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「芸劇ブランチコンサート 100% ヴィオラの日」を聴く ~ ベートーヴェン「3つのヴィオラのためのトリオ」、エネスコ「演奏会用小品」他:佐々木亮、鈴木康浩、中恵菜、清水和音

2024年04月25日 00時56分21秒 | 日記

25日(木)。昨日の日経朝刊によると、指揮者の山田和樹氏がベルリン・フィルを指揮することが決まったとのことです 記事を超略すると次の通りです

「ベルリン・フィルは23日、2025年6月の定期公演に指揮者の山田和樹氏(45)を起用すると発表した 日本人指揮者の定期公演出演は、楽団と関係が深かった小澤征爾氏の2016年以来。新たな起用は2011年5月の佐渡裕氏に次ぐ 山田氏の出演は来年6月12~14日の3日間で、演目は サン=サーンス『交響曲第3番”オルガン付き”』や、武満徹『ウォーター・ドリーミング』など   3月の公演では、日本人ヴァイオリニスト HIMARI さん(12)がソリストを務めることも公表した  HIMARIさんは3月20~22日に、ズービン・メータ氏の指揮で、ヴィエニャフスキ『ヴァイオリン協奏曲第1番』を弾く

記事を補足すると、沖澤のどかが2022年3月に、急病で降板した芸術監督のキリル・ペトレンコの代役でベルリン・フィルを指揮しています

山田和樹は現在、英バーミンガム市交響楽団の首席指揮者兼アーティスティックアドバイザー、モナコのモンテカルロ・フィルの芸術監督兼音楽監督を務めています 一方、HIMARI は数々の国際コンクールで第1位を獲得、2022年から米カーティス音楽院で大学生に交じって学びながら、国内外の楽団と共演を重ねています

山田氏の客演はある程度予想がつきましたが、HIMARIのベルリン・フィルへのソリスト・デビューは意外でした 彼女の演奏は2度聴きましたが、五嶋みどり以来の天才だと思います 五嶋みどりが MIDORI と名乗ったのを意識して、吉村妃鞠が HIMARI と名乗るようになったことは容易に想像がつきます

ということで、わが家に来てから今日で3390日目を迎え、ドナルド・トランプ前米大統領が不倫相手への「口止め料」の支払いを巡って業務記録に虚偽記載をした罪に問われている裁判で、米誌ナショナル・エンクワイアラーの元発行人デイヴィッド・ベッカー氏が23日証人として出廷し、2016年大統領選挙の時期にトランプ前大統領や当時の顧問弁護士マイケル・コーエン氏と協力し、トランプ前大統領の評判を落とす記事を抑え込んだと証言、そうした行為を「友人間の取り決め」だったと説明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプは 正直者のお友達と「友人間の取り決め」したことを 後悔してんじゃね

 

         

 

昨日、夕食に「鶏肉のガリチー煮&スパゲティ」を作りました 何回食べても飽きない味で、とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで「芸劇ブランチコンサート 第47回:100%  ヴィオラの日」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「3つのヴィオラのためのトリオ 作品87」、②ショスタコーヴィチ「2つのヴィオラとピアノのための5つの小品」より「前奏曲・ガヴォット・ワルツ 作品97d」、③エネスコ「演奏会用小品」、④ヴュータン「無伴奏ヴィオラのためのカプリッチョ」、⑤同「エレジー 作品30」、⑥クライスラー「愛の喜び」です   演奏はヴィオラ=佐々木亮(N響首席)、鈴木康浩(読響ソロ・ヴィオラ)、中恵菜(新日本フィル首席)、ピアノ=清水和音です

日本を代表するオーケストラの首席クラスのヴィオラ奏者3人が一堂に会することは滅多にないことです 清水氏が声をかけたのでしょうが、良く集めましたね

 

     

 

1曲目はベートーヴェン「3つのヴィオラのためのトリオ 作品87」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が作曲した「2つのオーボエとイングリッシュホルンのためのトリオ 作品87」が原曲です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「メヌエット:アレグロ・モルト ~ スケルツォ」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります

左から佐々木(第1)、中、鈴木という並びですが、中は白を基調とした銀のラメ入りのエレガントな衣装を身にまとっています この人は華がありますね 第1楽章はソフトなタッチで優美な演奏が展開し、第2楽章は美しい旋律が奏でられます 第3楽章では躍動感あふれる演奏が繰り広げられ、第4楽章では愉悦感に満ちた音楽が軽快に演奏されます ヴィオラだけ3本でどんな演奏になるのか、と思っていましたが、ヴィオラ特有の温かみのある音色が魅力的で、ノーブルなアンサンブルが展開しました

2曲目はショスタコーヴィチ「2つのヴィオラとピアノのための5つの小品」より「前奏曲・ガヴォット・ワルツ 作品97d」です この作品の原曲は「2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品」です 第1曲「前奏曲」、第2曲「ガヴォット」、第3曲「ワルツ」の3曲から成ります ドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)は交響曲やオペラの他に、映画音楽や劇音楽も書いていますが、「前奏曲」は1955年製作の映画「馬あぶ」、「ガヴォット」は1934年製作の劇「人間喜劇」、「ワルツ」は1933~34年製作の映画「司祭と下男バルドの物語」に含まれた楽曲です

演奏は中が第1、佐々木が第2で、清水のピアノが支えます 「前奏曲」は憂いを帯びた旋律が印象的です 「ガヴォット」は楽し気な作品です 「ワルツ」はどこか哀しみを帯びた曲想で、アンビバレントな魅力を感じます いずれもノーブルな演奏が印象的でした

3曲目はエネスコ「演奏会用小品」です この曲はジョルジュ・エネスコ(1881-1955)が1906年に作曲したヴィオラとピアノのための作品です 鈴木と清水の演奏ですが、前半はノスタルジーを感じさせる曲想が奏でられますが、後半に入るとテンポを上げ、技巧を駆使した情熱的な演奏が繰り広げられました

 

     

 

4曲目はヴュータン「無伴奏ヴィオラのためのカプリッチョ」です この曲はアンリ・ヴュ―タン(1820-1881)が晩年に書いた作品です 中は、脳卒中による半身麻痺の状態にあった作曲家の悲しみを表すかのように抒情的な演奏を展開しました

5曲目はヴュ―タン「エレジー作品30」です この曲は1854頃に書かれたヴィオラとピアノのための作品です 佐々木と清水の演奏ですが、タイトル通り哀愁に満ちた音楽が奏でられました

6曲目はクライスラー「愛の喜び」(2つのヴィオラとピアノ版)です この曲はフリッツ・クライスラー(1875-1962)が作曲したヴァイオリンとピアノのための作品ですが、今回はヴィオラ2本とピアノにより演奏されます 佐々木と鈴木により、お馴染みの弾むようなメロディーが演奏されますが、いつもヴァイオリンで聴いているのとは一味違った演奏が楽しめました

 

     

 

ところで、いつものように演奏の合間に清水とゲストによるトークがありましたが、今回は3人に「ヴィオラを弾くようになったきっかけ」を尋ねていました

最初に清水が、「ヴィオラ奏者の多くは、最初ヴァイオリンを弾いていて、途中で諦めてヴィオラに転向するケースが多い ヴァイオリンのための作品は多いが、ビオラのための作品は少ない ヴァイオリンは演奏が難しいが、ヴィオラは簡単だ」と持論を展開し、3人に尋ねました

鈴木は「小学生の頃からヴァイオリンとヴィオラの両方を弾いていたが、チェロの音色に魅力を感じ、ヴァイオリンよりも音程の低いヴィオラに魅力を感じるようになった」旨を、中は「高校1年からヴィオラを弾くようになったが、最初のうちは嫌だった しかし室内楽を演奏していくうちにヴィオラが好きになった」旨を語りました 面白かったのは佐々木の話です。「ヴァイオリンを学ぶためにジュリアード音楽院に留学した時、師事する先生から『明日、演奏会でヴィオラを弾いてくれ。楽器は楽器屋に行けば売ってるから』と言われ、楽器屋に行ってヴィオラを求めて、初めてヴィオラを演奏したが、その時すっかりヴィオラの音色に魅了され、自分はこれだと思った」と語っていました さらにヴィオラ奏者の性格について尋ねられた佐々木は、「今回のプログラムで2曲ファースト・ヴィオラを弾くが、他の2人に『どうぞファーストを弾いてください』と声をかけたら、2人は『いえいえ、佐々木さんが弾いてください』と遠慮されました」と語りました これを受けて清水は「そうなんです。ヴィオリストは控えめな人が多いんです これがヴァイオリンだとそうはいきません 『是非ファーストを弾かせてください』となります ヴァイオリンはファーストが花形ですから 弦楽四重奏団は とかく第1ヴァイオリンとチェロの仲が悪いんです 2人の言い争いになると、たいてい第2ヴァイオリンとヴィオラは黙っています ヴィオリストはそういう控えめな人が多いんです。私はヴィオリストが大好きです」と語っていました

私もヴァイオリンよりヴィオラが好きだし、ソプラノよりメゾ・ソプラノの方が好きです

 

 

     

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METライブビューイングでヴェルディ「運命の力」を観る ~ リーゼ・ダーヴィドセン、ブライアン・ジェイド、イーゴル・ゴロヴァテンコにブラボー! / 朝日・吉田純子さんの新聞記者の文章術4

2024年04月24日 02時09分24秒 | 日記

24日(水)。3回で終わりかと思っていたら第4回がありました 朝日新聞社編集委員・吉田純子さんによる朝刊のコラム「新聞記者の文章術 『音楽』を書くこと」が昨日4回目を迎えました 吉田さんはその中で、「吹奏楽や合唱のコンクールの全国大会で毎秋、当日の総評を書いている。翌日の朝刊に載せるのはかなりしんどい仕事だが、子供たちの中にほんの少しでも『真摯に磨き上げた表現は、知らない人の心にもちゃんと届く』という自信の種を贈ることができたらと、一言一言を真剣に選んでいる」「舞台に立つ人にプロもアマもない 誰もが等しく音楽家として敬意を払われるべきだ」と書いています

そして、4回目の文章術として「賞などの権威ではなく、自分の心を常に価値判断の礎とする」を挙げています 人はどうしても「〇〇コンクールで優勝」とか「〇〇コンクールで審査員特別賞を受賞」とか、権威の象徴としての”賞”に引っ張られて演奏を判断しがちです 確かにそうした演奏は素晴らしいかもしれないが、受賞を逃した演奏の中にも印象に残るものが少なからずあるはずだ、ということだと思います

しかし、吉田さんの「賞などの権威ではなく、自分の心を常に価値判断の礎とする」という言葉は、「言うは易く行うは難し」です 心構えとしては全くその通りにすべきだと思いますが、そうすることが出来るためにはそれなりの知識・能力がなければなりません 好き嫌いだけを判断基準の礎とするのなら簡単です。しかし、それでは説得力がありません 個人的には、1つでも多くの演奏を聴いて感性を磨き、”耳を鍛える”ことによって自分の心(自分自身の判断基準)を確立する以外に方法はないのではないか、と思います

ということで、わが家に来てから今日で3389日目を迎え、「頂き女子りりちゃん」の名前でSNSで活動し、男性3人から計約1億5千万円をだまし取ったとして詐欺などの罪に問われた渡辺真衣被告(25)の判決公判が22日、名古屋地裁であり、大村陽一裁判長は「意中のホストらの売り上げに貢献するために犯行に及び、刑事責任は相当重い」などとして、懲役9年・罰金800万円の判決を言い渡した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     裏金がっぽり「頂き議員あべはちゃん」には  懲役も罰金も科せられないわけね?

 

         

 

昨日、夕食に「シャケのアクアパッツァ」を作りました 本当はタラにしたかったのですが、品切れだったのでシャケで手を打ちました シャケは小ぶりだったので2切れで1人前です ヘルシーで美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ヴェルディ「運命の力」を観ました これは今年3月7日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演はレオノーラ=リーゼ・ダーヴィドセン、ドン・アルヴァ―ロ=ブライアン・ジェイド、ドン・カルロ=イーゴル・ゴロヴァテンコ、プレツィオジッラ=ユディット・クタージ、メリトーネ修道士=パトリック・カルフィッツィ、カラトラーヴァ伯爵/修道院長(2役)=ソロマン・ハワード。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=ヤニック・ネゼ=セガン、演出=マリウシュ・トレリンスキです

 

     

     

「運命の力」はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)がリヴァス公爵サーヴェドラによる戯曲「ドン・アルヴァ―ロ、あるいは運命の力」を基に書いたフランチェスコ・マリア・ピアーヴェの台本により、1861年から翌62年にかけて作曲、1862年11月10日にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で初演された全4幕から成るオペラです

18世記半ば(本演出では戦時下の現代)。ヴァルガス家の令嬢レオノーラは敵方のドン・アルヴァ―ロと恋に落ち、駆け落ちを計画するが、レオノーラの父親に見つかってしまう もみ合ううちにアルヴァ―ロの拳銃が暴発し、父親は絶命する 恋人たちは逃避行の途中で離ればなれになり、レオノーラは修道院の奥の洞窟に身を隠し、アルヴァ―ロは軍隊に入る レオノーラの兄ドン・カルロは、父の仇として2人を追う。カルロとの決闘を逃れたアルヴァ―ロは修道院に入るが、そこはなんとレオノーラが隠れ住む場所だった カルロに追い詰められた2人はついに再会を果たすが、レオノーラは兄カルロの手によって殺される 一人残されたアルヴァ―ロは悲嘆にくれる

 

     

 

本作はMETで30年ぶりとなる新演出による「運命の力」の上演です 演出のマリウシュ・トレリンスキは1962年ポーランド・ワルシャワ生まれ。映画監督の出身で、1996年以降はオペラの演出も手掛け、2008年からポーランド国立歌劇場芸術監督を務めています 新国立劇場22ー23シーズン開幕公演「ボリス・ゴドゥノフ」の演出も手掛け、演劇的な解釈で話題を呼んだことは記憶に新しいところです

ヤニック・ネゼ=セガンの指揮で「序曲」がドラマティックに演奏されますが、その間、トレリンスキは回り舞台を有効に使い、歌手陣を動かします 父親を裏切ってまで恋人と駆け落ちしようとするレオノーラの苦悩を、リーゼ・ダーヴィドセンが本人に成り切った演技力で表現します そしてそのまま第1幕に移行します この辺の流れのつくり方は見事です

トレリンスキは映画監督出身の演出らしく、各幕の冒頭では、車窓を雨が流れ落ちるシーン、ヘリコプターが飛び交うシーン、銃を肩にかけた兵士が歩くシーン、森の中で鳥たちが鳴くシーン、廃墟のシーンなどが映像で流れるのが印象的です これらの映像は「戦争」、具体的には「ウクライナ戦争」を意識していることが窺えます

レオノーラ役のリーゼ・ダーヴィドセンは1987年ノルウェー生まれのソプラノです デンマーク王立音楽院等で学び、2015年にプラシド・ドミンゴ主宰「オペラリア」など国際コンクールで優勝を重ねました 最近ではMETライブ「ばらの騎士」の元帥夫人を歌い好評を博しました ドラマティックな歌唱とともに、繊細な表現も兼ね備えた表現力は魅力的で、演技力も抜群です

ドン・アルヴァ―ロ役のブライアン・ジェイドはニューヨーク出身のテノールです ドミンゴ主宰「オペラリア」で第2位入賞を果たしています 声量がありムリなく高音が伸びる歌唱が魅力的です

ドン・カルロ役のイーゴル・ゴロヴァテンコは1980年ロシア生まれのバリトンです モスクワ合唱芸術アカデミーで学び、数々のコンクールで上位入賞しています 特に弱音でも美しく聴かせることのできる歌唱が印象的です

プレツィオジッラ役のユディット・クタージはルーマニア系ハンガリー人のメゾ・ソプラノです チューリヒ歌劇場で研鑽を積みました 力強い歌唱で低音の魅力を発揮しました 

メリトーネ修道士役のパトリック・カルフィッツィは1974年ニューヨーク州生まれのバスバリトンです 米カトリック大学とイェール大学で学び、METには1999年以来400回以上出演しています 本作ではどちらかと言えば”悪役”を歌いましたが、魅力のある声質で、演技力が並外れていました

特筆すべきは、メトロポリタン歌劇場合唱団のコーラスです 特に、第2幕第3場(修道院の礼拝堂)で、レオノーラが修道院の裏山へ向かう時に、僧たちがレオノーラのために祈る合唱は心に迫ってきました 幕間のインタビューでMET合唱指揮のD.パルンボが合唱団を指導するシーンが映し出されましたが、作品に応じてイタリア語、ドイツ語、フランス語・・・と歌い分けなければならない宿命を抱えながら、いかにその曲の神髄をコーラスで表現するかを語っていて、この人は凄い人だなとあらためて思いました

最後に、ヤニック・ネゼ=セガン指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団による素晴らしい演奏を取り上げないわけにはいきません 終始、歌手に寄り添いつつ、レオノーラの苦悩を、ドン・アルヴァ―ロの愛を、ドン・カルロの復讐心を見事に表現していました

どうでもいいことですが、最後のカーテンコールで指揮者のヤニック・ネゼ=セガンがステージに上がり、歌手たちと共に拍手に応えましたが、両脇のリーゼ・ダーヴィドセンとブライアン・ジェイドに挟まれた彼は、まるで大人に挟まれた子どものように背が低く小柄だったので驚きました この小柄な男からあの力強い演奏が導かれるのかと思い、再び 驚きました

METライブビューイング:ヴェルディ「運命の力」の上映は、2回の休憩、歌手へのインタビュー等を含めて4時間15分です この作品に限って「腰痛の敵=ヴェルディ」です

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新日本フィル「室内楽シリーズ 三重奏で紡ぐ室内楽の魅力 ~ 藤田麻理絵プロデュース編」を聴く ~ ブラームス「ホルン三重奏曲」、バルトーク「コントラスツ」他

2024年04月23日 00時20分50秒 | 日記

23日(火)。わが家に来てから今日で3388日目を迎え、フィンランドは昨年、ロシア経由でシリアやソマリアからの難民申請者が大量に押しかけたことに対応し、「ロシアが移民を送り込んで武器に使った」として、ロシアとの国境にある陸路の検問所を全て閉鎖したが、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は19日、ロシアの企てからフィンランドを守るため、EUが東方の国境警備に助力すると表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     覇権主義国ロシアは 領土拡張のためなら手段を選ばない  EUとして当然の措置だろ

 

         

 

昨日、夕食に「アスパラ、ベーコン、ジャガイモ炒め」「生野菜サラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました アスパラは熱を通しやすい細めのを選びました 美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、すみだトリフォニーホール(小)で新日本フィル「室内楽シリーズ 三重奏で紡ぐ室内楽の魅力 ~ 藤田麻理絵プロデュース編」を聴きました プログラムは①グスタフ・イェナー「クラリネット、ホルン、ピアノのための三重奏曲  変ホ長調」、②バルトーク「コントラスツ Sz.111,BB116」、③ブラームス「ホルン三重奏曲 変ホ長調 作品40」です 演奏はホル=藤田麻理絵、ヴァイオリン=田村安紗美、クラリネット=太田友香、ピアノ=松本望です

藤田麻理絵は武蔵野音大卒。日本ホルン協会主催第1回ホルンコンクール2位入賞 2015~16年にアフィニス文化財団の海外研修員としスイスのバーゼル音楽院に留学 現在、新日本フィルのホルン奏者を務める一方、バッハ・コレギウム・ジャパン等でナチュラルホルン奏者として活躍中

田村安紗美は東京藝大卒。藝大在学中に新日本フィルに入団。文化庁新進芸術家海外留学制度の研修員として、ドイツのフライブルク音楽院に派遣され研鑽を積む 現在、新日本フィル第2ヴァイオリン奏者

太田友香は昭和音大を首席で卒業 第78回と第81回日本音楽コンクール・クラリネット部門第3位入賞、第30回日本音楽コンクール・クラリネット部門第2位入賞 2007年から東京佼成ウインドオーケストラでクラリネット奏者を務めた後、新日本フィルに入団、現在首席クラリネット奏者を務める

松本望は東京藝大・大学院修士課程作曲専攻修了。パリ国立高等音楽院ピアノ伴奏科を首席で卒業 2007年のリヨン国際室内楽コンクール(ヴァイオリンとピアノのデュオ)と2009年のマリア・カナルス国際音楽コンクール・ピアノトリオ部門で第1位受賞

 

     

 

自席は7列16番、右端です

1曲目はグスタフ・イェナー「クラリネット、ホルン、ピアノのための三重奏曲  変ホ長調」です この曲はグスタフ・イェナー(1865-1920)が1900年に出版した作品です 音楽評論家・鉢村優氏のプログラム・ノートによると、イェナーはドイツ生まれでブラームス唯一の弟子とのことです ブラームスに弟子がいたなんて初めて知りました 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「スケルツォ:プレスト」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

左から藤田、松本、太田の並びで演奏に入ります 「この曲は、ブラームスの死後に発見された習作です」と言われて聴いたら、信じてしまうのではないか、と思うほどブラームスによく似た曲想です 特に第3楽章「スケルツォ」などは「そのまんま東」じゃなくて、「そのまんまブラームス」といった風情の曲想です 3人の演奏が素晴らしいだけに「ブラームスと比べ、やはり 何かが足りない」と思ってしまいます

2曲目はバルトーク「コントラスツ Sz.111,BB116」です この曲はベラ・バルトーク(1881-1945)がアメリカに移住する前の1938年に作曲、1939年にニューヨークで初演されました 前述の鉢村氏の解説によると、バルトークの友人で同じくハンガリー出身のヴァイオリニスト、ヨゼフ・シゲティは、”スイング・ジャズの王様"と呼ばれたアメリカのクラリネット奏者ベニー・グッドマンと親しかったことから、2人は、バルトークがピアノを弾いて3人で演奏できる作品を委嘱したとのことです    第1楽章「リクルーティング・ダンス」、第2楽章「リラクゼーション」、第3楽章「ファスト・ダンス」の3楽章から成ります

第1楽章は、田村のヴァイオリンによるピッツィカートと松本のピアノの打鍵に乗せて、太田のクラリネットがハンガリー軍人の踊り「ヴェルブンコシュ」の主題をアグレッシブに演奏します 末尾の太田によるカデンツァは、超絶技巧を駆使した激しい演奏で、聴衆を唖然とさせました ゆったりしたメロディーの第2楽章を経て、第3楽章に入ると、極めて速いテンポで演奏が進められ、田村は途中でヴァイオリンを別の楽器に変え、太田も別のクラリネットにマウスピースを付け替えて演奏しました ピアノの松本が2人を追い込むように仕掛けるので、スリリングなまでの演奏が展開しました

 

     

 

プログラム後半はブラームス「ホルン三重奏曲 変ホ長調 作品40」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1865年に作曲、同年カールスルーエで初演されました 第1楽章「アンダンテ」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ」、第3楽章「アダージョ・メスト」、第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります

開演前のプレトークで、仕掛け人の藤田は「この曲は新日本フィルに入団して間もない20代の頃に1度演奏したが、それから13年経ち30代になった今、違う演奏ができるのではないかと思う この曲は40代になっても、50代になっても演奏したい大切な作品である」旨 語りましたが、果たしてどんな演奏になるか、興味が湧きます

全体を聴いた印象は、藤田のホルンは「丸みを帯びたふくよかな演奏」だと感じました そういえば、彼女は以前に増して貫禄が出てきたように思います その貫禄が音として現れた演奏と言えば良いでしょうか 田村のヴァイオリンは音色が美しく、技巧的にも素晴らしかったです 松本のピアノは、この曲を含めて3曲とも、時に他の演奏者を支え、時に自ら主張しながら、素晴らしい演奏を繰り広げました この人、相当の実力者だと思います

最終楽章では、3人は集中力に満ちたアグレッシブな演奏を展開し、圧巻のフィナーレを飾りました

会場いっぱいの拍手に、太田を含めた4人が選んだアンコール曲はブラームス「ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調 作品60」から第3楽章「アンダンテ」でした    オリジナルはピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロによって演奏されます    藤田麻理絵とその一行は、チェロ・パートをホルンが、ヴィオラ・パートをクラリネットが吹くというスタイルです    藤田のホルンの「丸みを帯びたふくよかな演奏」を他の3人がそっと寄り添って支える、素晴らしい演奏でした

事務局に確認したらカーテンコール時の写メはOKということだったので、記念に撮影しました

 

     

     

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DSCH弦楽四重奏団でショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第4番、第5番、第6番」を聴く ~ 崔文洙、ビルマン聡平、安達真理、植木昭雄

2024年04月22日 00時04分36秒 | 日記

22日(月)。わが家に来てから今日で3387日目を迎え、中国の銀行が3月以降、相次いでロシアとの貿易決済を停止しているが、ウクライナ侵攻を継続するロシアへの包囲網を強めたい米国の圧力が背景にあり、中ロの貿易にも影響が出ている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     強奪誘拐破壊主義国家ロシアと 同じ穴の貉と見られたくなければ 仕方ないと思う

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホール(小)でDSCH弦楽四重奏団によるショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲全曲演奏プロジェクト」第2回演奏会を聴きました DSCH弦楽四重奏団は2021年5月に結成された弦楽四重奏団で、メンバーはヴァイオリン=崔文洙、ビルマン聡平、ヴィオラ=安達真理、チェロ=植木昭雄という顔ぶれです プログラムはショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲」①第4番ニ長調作品83,②第5番変ロ長調作品92,③第6番ト長調作品101です

 

     

     

崔文洙は東京生まれ。桐朋学園大学ディプロマコースを経て1988年ソヴィエト国立モスクワ音楽院に留学 1994年同音楽院を首席で卒業。同大学大学院終了後、1997年に帰国し同年、小澤征爾氏に認められ新日本フィルのコンサートマスターに就任 2000年から同楽団ソロ・コンサートマスターを務める。2009年から大阪フィルの首席コンサートマスターに就任、2019年から同楽団ソロ・コンサートマスターを務め、両楽団のコンマスを兼任している

ビルマン聡平は東京藝大卒。スイスのローザンヌ高等音楽院・大学院修了。現在、新日本フィル第2ヴァイオリン首席奏者を務める

安達真理は桐朋学園大学卒。ウィーン国立音楽大学室内科を経てローザンヌ高等音楽院ソリスト修士課程修了 2013年からインスブルック交響楽団で副首席奏者を2年間務める 現在、日本フィルのヴィオラ客演首席奏者を務める

植木昭雄は6歳よりチェロを始める。桐朋学園大学、リヨン国立高等音楽院、インディアナ大学でチェロを学ぶ 日本音楽コンクール・チェロ部門入選。現在、オーケストラ・アンサンブル金沢首席チェロ奏者を務める

 

     

 

自席は8列16番、右端です

1曲目はショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第4番 ニ長調 作品83」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)が1949年に作曲、スターリンの死後の1953年12月3日にモスクワで初演されました 第1楽章「アレグレット」、第2楽章「アンダンティーノ」、第3楽章「アレグレット」、第4楽章「アレグレット」の4楽章から成ります 初演まで間が空いているのは、終楽章にユダヤ音楽の要素を導入して、反ユダヤ政策を強めていた当局に抵抗する姿勢をみせていたためです

2曲目は「弦楽四重奏曲第5番 変ロ長調 作品92」です この曲は1952年に作曲、1953年11月13日にモスクワで初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「モデラート ~ アレグレット ~ アンダンテ」の3楽章から成りますが、続けて演奏されます

休憩後の最後の曲は「弦楽四重奏曲第6番 ト長調 作品101」です この曲は1956年に作曲、同年10月7日にレニングラードで初演されました 第1楽章「アレグレット」、第2楽章「モデラート・コン・モート」、第3楽章「レント」、第4楽章「アレグレット」の4楽章から成ります

 

     

 

4人は左から崔、ビルマン、植木、安達という並びで演奏します

いずれの曲も、終始モスクワ音楽院仕込みの実力者・崔文洙のリードで展開しますが、とにかく一人一人の技巧が優れているので聴きごたえがあります その上、崔とビルマンは新日本フィルのメンバーで、植木と安達はしばしば新日本フィルの定期公演に客演した実績があるので、ほとんど仲間内と言ってもよいほど気心が知れています 4人の緻密なアンサンブルが見事です

3曲を聴き終わって感じたのは、どこか明るい雰囲気です 第6番こそ作曲者の再婚の年に書かれたので明るいのは当然と言えますが、第4番と第5番はスターリン体制下で書かれたのにも関わらず、明るさを感じさせるのが意外です それは3曲とも”長調”で書かれているという共通点があることが一番の理由だと思いますが、ショスタコーヴィチ特有の”アイロニーの発露”であるかもしれないと思いました

会場いっぱいの拍手に4人は、アンコールにショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第8番 ハ短調 作品110」より第5楽章「ラルゴ」を緻密なアンサンブルで演奏し、聴衆のクールダウンを図りました

演奏後、崔氏から「次回、第3回演奏会は来年5月25日に開催するので、お運びください」というアナウンスがありました もちろん行きます

 

     

 

17日(水)から始まった、METライブビューイング「運命の力」を挟んだ10日間連続コンサートは、前半の5日間6公演が終わりました ハードスケジュールの中で、特に土曜日の新日本フィルと東響のハシゴはしんどかった その夜の睡眠時間が5時間弱だったので 身体が疲れていて、今回のショスタコーヴィチ公演は集中力を維持するのが大変でした

ということで、後半戦初日の今日もトリフォニーホール(小)に行きます 新日本フィル「室内楽シリーズ ~ 藤田麻理絵プロデュース編」を聴きます

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サカリ・オラモ ✕ アヌ・コムシ ✕ 東京交響楽団でシベリウス:交響詩「ルオンノタル」、ドヴォルザーク「交響曲第8番」、サーリアホ「サーリコスキ歌曲集」他を聴く

2024年04月21日 01時06分21秒 | 日記

21日(日)その2。「その1」で新日本フィル「第655回定期演奏会」について書きました モコタロはそちらに出演しています 是非ご訪問ください

昨日、午後6時から東京交響楽団「第719回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ラウタヴァーラ「カントゥス・アルクティクス」(鳥とオーケストラのための協奏曲)作品61、②サーリアホ「サーリコスキ歌曲集(管弦楽版)」日本初演、③シベリウス:交響詩「ルオンノタル」作品70、④ドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です 演奏は②③のソプラノ独唱=アヌ・コムシ、指揮=サカリ・オラモです

サカリ・オラモはフィンランド出身。BBC交響楽団首席指揮者、ロイヤル・ストックホルム・フィル桂冠指揮者、フィンランド放送響名誉指揮者を務めている かつてフィンランド放送響でコンマスを務めており、ヴァイオリニストでもある

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東響の並び。コンマスは小林壱成です なお、4月1日からコンマスの役職名が変わりました ブレブ・ニキティンと小林壱成が第1コンサートマスターに、田尻順がコンサートマスタ―になりました

1曲目はラウタヴァーラ「カントゥス・アルクティクス(鳥とオーケストラのための協奏曲)作品61」です この曲はフィンランドの作曲家、エイノユハ二・ラウタヴァーラ(1928-2016)が1972年に、オウル大学の博士号授与式のために書いた作品です 第1楽章「湿原」、第2楽章「メランコリー」、第3楽章「渡る白鳥」の3楽章から成ります

サカリ・オラモの指揮で演奏に入りますが、タイトル通り 協奏曲のソリストは「鳥の鳴き声」です フルートのソロから始まりますが、竹山愛の演奏が素晴らしい その後は、録音された様々な鳥の鳴き声が流れ、管弦楽との協奏を展開します もちろん初めて聴きましたが、メロディーもきちんとしていて楽しく聴きました

2曲目はサーリアホ「サーリコスキ歌曲集(管弦楽版)」の日本初演です この曲はフィンランドの作曲家、カイヤ・サーリアホ(1952-2023)が2013年から20年にかけて作曲したソプラノと管弦楽のための作品です テキストとして、ペンッティ・サーリコスキの詩集「地域」(1973年著)から、人生と自然についての個人的な感興が描かれた5つの詩が用いられています 第1番「自然の顔」、第2番「それぞれのこれ」、第3番「すべてこれは」、第4番「私の中の鳥と蛇が」、第5番「霧を抜けて」の5曲です

ソプラノ独唱のアヌ・コムシはフィンランドを代表するソプラノで、意欲的に現代音楽に取り組んでいます

カラフルな衣装で登場したアヌ・コムシがステージ中央でスタンバイし、サカリ・オラモの指揮で演奏に入ります アヌ・コムシは強靭でクリアな歌唱で変幻自在に歌い上げ、聴衆を黙らせました 時に空気を切り裂くような高音の鋭い歌唱によって会場の空気を一変させ、息の長い旋律をものともせず美しく歌い上げます こういうタイプのソプラノは初めて聴きましたが、圧倒されました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はシベリウス:交響詩「ルオンノタル」作品70です この曲はジャン・シベリウス(1865-1957)が1913年にフィンランドの花形オペラ歌手アイノ・アクテの委嘱により作曲したソプラノとオーケストラのための交響詩です 「ルオンノタル」とはフィンランドの民族的叙事詩「カレヴァラ」に登場する大気の精の名です

ソプラノのアヌ・コムシがマリン・ブルーの衣装に”お色直し”して登場、サカリ・オラモの指揮で演奏に入ります アヌ・コムシは、この曲でも抜群のブレスコントロールにより、透明感のある美しい声で息の長い旋律を見事に歌い上げました

最後の曲はドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1889年8月から11月にかけて作曲、1890年2月2日にプラハで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ ~ モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

サカリ・オラモの指揮で第1楽章が開始されますが、かなり速いテンポでサクサクと進められます この曲でも竹山愛のフルートが素晴らしい 第2楽章の演奏を聴いているうちに、シベリウスの交響曲を聴いているような錯覚に陥りました この指揮者特有の歌い回しや間の取り方があるのです それと同時に、この楽章と1曲目の「カントゥス・アルクティクス(鳥とオーケストラのための協奏曲)」との親和性を感じました 第3楽章では弦楽合奏のアンサンブルが美しく、オーボエも素晴らしい演奏を繰り広げました 第4楽章ではトランペット、ホルン、トロンボーン、テューバといった金管楽器がよく鳴り響き、弦を中心に推進力に満ちた演奏を繰り広げ、圧倒的なフィナーレを迎えました

サカリ・オラモはメリハリの利いた指揮ぶりでアグレッシブな演奏を東響から引き出しました

会場いっぱいの拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

 

     

     

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佐渡裕 ✕ 小林紗羅 ✕ 林美智子 ✕ ウエンツ瑛士 ✕ One Voiceちば ✕ 新日本フィルでメンデルスゾーン:劇付随音楽「夏の夜の夢」、ベートーヴェン「交響曲第2番」を聴く

2024年04月21日 00時06分42秒 | 日記

21日(日)その1。わが家に来てから今日で3386日目を迎え、米共和党議員らは、ワシントン近郊の「ワシントン・ダレス国際空港」を「トランプ国際空港」に改める法案を提出したが、一方の民主党はフロリダ州マイアミの刑務所「マイアミ連邦矯正施設」を「トランプ連邦矯正施設」に変更する法案を提出した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプ国際空港は日本語で言えば花札国際空港と同じじゃね? やめた方がいいな

 

         

 

昨日、午後2時からすみだトリフォニーホールで新日本フィル「第655回 定期演奏会」を、午後6時からサントリーホールで東京交響楽団「第719回 定期演奏会」を聴きました 私は新日本フィル「サントリー定期会員」ですが、前夜、東京シティ・フィル定期公演とダブっていたため、この日のトリフォニー定期に振り替えました ここでは新日本フィルのコンサートについて書きます

プログラムは①ベートーヴェン「交響曲第2番 ニ長調 作品36」、②メンデルスゾーン:劇付随音楽「夏の夜の夢」作品61です 演奏は②のソプラノ独唱=小林紗羅、メゾ・ソプラノ独唱=林美智子、妖精パック=ウエンツ瑛士、児童合唱=One Voiceちば、指揮=佐渡裕です

振り替え後のチケットをもらいにホール入口の受付に行ったら、パトロネージュ部にいるはずの登原さんが出迎えてくれたのでビックリしました 今月からチケットボックス部に異動になったとのことでした これまで必ずしも体調が万全ではなかったので、この異動によって少しでも改善すれば良いと思います 振り替え後の席は1階11列20番、センターブロック11列目のど真ん中です。振り替えだと通路側がなかなか確保できないのでしょう しかもこの日はほぼ満席状態だったのでなおさらです。しかし、このど真ん中の席が最後に功を奏しました

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び コンマスは崔文洙、隣は伝田正秀というダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はベートーヴェン「交響曲第2番ニ長調作品36」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1801年から翌02年にかけて作曲、1803年にアン・デア・ウィーン劇場で初演されました 第1楽章「アダージョ・モルト ~ アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「アレグロ・モルト」の4楽章から成ります この曲の大きな特徴は、第3楽章に「メヌエット」でなく「スケルツォ」を置いたところです

佐渡の指揮で第1楽章の演奏に入ります 予想通り、冒頭の序奏はガツンと入りました ベートーヴェンはこうでなくてはいけません アレグロに移ると推進力に満ちた演奏が展開します フルートが素晴らしい 第2楽章では弦楽セクションの美しいアンサンブルが際立ちました 第3楽章ではオーボエ、ファゴットが冴えています 第4楽章に入ると、切れ味鋭い弦楽合奏と、タイミングよく打ち込まれるティンパニが心地よいリズムを刻みました

私は、ベートーヴェンの交響曲の演奏に関しては、音が多少ずれようが、濁ろうが、元気すぎるほどの演奏がちょうど良いと思っています 常に革新的な音楽を書いてきたベートーヴェンのことを考えれば、ベートーヴェン自身が振ったとしたらこんな演奏になるのではないか、と思うような演奏が望ましいと思います この日の佐渡 ✕ 新日本フィルの演奏はそんな演奏でした

 

     

 

プログラム後半はメンデルスゾーン:劇付随音楽「夏の夜の夢」作品61です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)が1842年に作曲、1843年にポツダムで初演されました この日演奏されたのは①序曲、②第1曲「スケルツォ」、③第3曲「合唱付きの歌」、④第5曲「間奏曲」、⑤第7曲「夜想曲」、⑥第9曲「結婚行進曲」、⑦第11曲「ベルガモ風道化の踊り」、⑧フィナーレです なお、「序曲」はメンデルスゾーンが17歳時の1826年に作曲したものです

ソプラノ独唱の小林沙羅は東京藝大・大学院修了、ウィーンとローマで研鑽を積む 2012年ブルガリア国立歌劇場「ジャン二・スキッキ」ラウレッタ、「愛の妙薬」アディーナで欧州デビュー メゾ・ソプラノ独唱の林美智子は東京音大卒、新国立オペラ研修所第1期修了。文化庁派遣芸術家在外研修員としてミュンヘンに留学。2003年国際ミトロプーロス声楽コンクール最高位入賞

児童合唱「One Voiceちば」のメンバー約50人がオケの後方左右にスタンバイします その真ん中にソリストの小林紗羅と林美智子が並んで控えます

佐渡裕が指揮台に上がると、ステージの照明が落とされ、正面のパイプオルガンに青と緑の照明が当たり、森の雰囲気を醸し出します 楽員は譜面台の手元灯で楽譜を見て演奏します すると、パック役のウエンツ瑛士が登場、前口上を述べ、妖精王オーベロンになった佐渡に王冠を被せます パックが”事の次第”をオーベロンに尋ねると、王冠を被った佐渡オーベロンは「キンシチョウ」とひと言(分かりますね。このホールは錦糸町にあります)。するとウエンツ・パックが”通訳”して物語を長々と語り、さらに訊くとオーベロンは「キンシチョウチョウ」とひと言 するとパックは再び長々と通訳して物語を語ります このやり取りは聴衆にバカ受けです このあと、ウエンツ・パックは曲と曲の間に会場のそこかしこから神出鬼没に表れてはスポットライトを浴び、ストーリーを語っては消えていきます 越後屋、おぬしも悪よのう って、間違えた ウエンツ、おぬしもなかなか役者やのう って、本物の役者だし訳者だった

出番は圧倒的に少なかったけれど、小林紗羅と林美智子のソロは素晴らしかった 小林紗羅の歌声は独特なので目を瞑っても彼女の声だと分かります 「One Voiceちば」の合唱もとても良かった 肝心のオーケストラも、ワクワクドキドキのストーリーに沿った素晴らしい演奏を展開しました

新シーズン第1回目の定期演奏会は、歌とオーケストラ演奏と芝居の総合力を結集したパフォーマンスにより大成功に終わったと言っても良いでしょう

ど真ん中の席だったので、正面から写メすることが出来ました 登原さん、ありがとう

 

     

     

 

満場の拍手とブラボーが飛び交い カーテンコールが終わったのは4時10分を過ぎていました この後、地下鉄を乗り継いでサントリーホールに向かいました 6時からの東京交響楽団「第719回 定期演奏会」の模様は「その2」に書きますので、是非ご訪問くださいましまし

 

     

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高関健 ✕ 南紫音 ✕ 東京シティ・フィルでシマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、R.シュトラウス「ばらの騎士」第1幕・第2幕から序奏とワルツ集、ベートーヴェン「交響曲第3番」を聴く

2024年04月20日 00時20分19秒 | 日記

20日(土)。わが家に来てから今日で3385日目を迎え、トランプ前米大統領が不倫の口止め料を不正に会計処理したとされる事件の3日目の後半が18日、ニューヨーク州の裁判所で開かれ、トランプ氏も出廷したが、公判終了後、報道陣に対して「(本来なら11月の大統領選に向けて)各地で選挙運動をしているはずだった。だが、終日私はここにいて非常に不公平な裁判をやっている」と主張、法廷内の寒さにも言及し「もう何日も朝から凍えるような部屋の中に座り続けている」と訴えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     有罪で収監されたら もっと寒い思いをするから 今のうちに慣れといた方がいいぜ

 

         

 

昨日、夕食に「サーロインステーキ」を焼きました あとは十五穀米とシメジの味噌汁です 栄養を摂って体力つけないとコンサート10連戦は乗り越えられませんから

 

     

 

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートーホールで東京シティ・フィル「第369回 定期演奏会」を聴きました プログラムは①R.シュトラウス「ばらの騎士」第1幕・第2幕から序奏とワルツ集、②シマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番 作品35」、③ベートーヴェン「交響曲第3番 変ホ長調 作品55 ”英雄”」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=南紫音、指揮=高関健です

この日は同じ時間帯に新日本フィル「第655回定期演奏会」と本公演がダブっていたので、新日本フィルを今日の公演に振り替えました このため今日は14時からの新日本フィルと18時からの東京交響楽団のハシゴとなってしまいました チケットを無駄にしないためにはこれしか方法がありません

 

     

 

本番前のプレトークで高関氏から、「4月から10年目のシーズンを迎えるが、2027年3月まで常任指揮者を務める」旨が発表され、会場から大きな拍手が送られました

自席は前年度と同じ1階センターブロック右通路側です

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置をとります コンマスは戸澤哲夫です。チェロのトップには4月からクァルテット・エクセルシオのチェリスト・大友肇が首席としてスタンバイします

1曲目はR.シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」作品59の第1幕・第2幕より序奏とワルツ集です このオペラはリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)がホーフマンスタールの台本により1909年から10年にかけて作曲、1911年にドレスデンで初演されました 1944年に作曲者本人が編曲し「序奏とワルツ集」としました

高関の指揮で演奏に入りますが、冒頭からホルンを中心に甘美でウィーン情緒溢れる旋律が奏でられます 後半は「ばらの騎士」を離れた曲想も聴かれますが、リヒャルト・シュトラウスらしい濃厚なロマンティシズムは失われていません 私は演奏を聴きながら、第3幕でマリアンデル(実はオクタビアン)がオックス男爵の要求を拒否して「ナイン、ナイン♬」と歌うシーンを思い浮かべていました

2曲目はシマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番 作品35」です この曲はポーランドの作曲家、カロル・シマノフスキ(1882-1937)が1916年に作曲、ロシア革命を経た1922年11月にワルシャワで初演された単一楽章の作品です

ヴァイオリン独奏の南紫音は2005年、ロン=ティボー国際コンクール第2位及びセサム賞を受賞 2015年にはハノーファー国際ヴァイオリン・コンクールで第2位入賞

ステージ下手にはハープが2台、チェレスタ、ピアノがスタンバイします

濃紺のエレガントな衣装の南紫音が登場し、高関の指揮で演奏に入ります 冒頭のピアノが絡むヴィヴァーチェ・アッサイの音楽を聴いたら、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」を思い起こしました 南はエキゾチックな旋律を超絶技巧で演奏しますが、ヴィブラートをかけた高音がとても美しく響きます アンダンティーノに移ると、独奏ヴァイオリンが良く歌います 随所で、コルンゴルトの「ヴァイオリン協奏曲」の世界に似ているな、と思いました 再びヴィヴァーチェに入ると、南は何かに憑りつかれたようにアグレッシブな演奏を繰り広げます 南は作曲者の友人でヴァイオリン奏者のパヴェウ・コハインスキ作によるカデンツァを、確かな技巧の裏付けのもと、鮮やかに演奏しました

高関健 ✕ 東京シティ・フィルの堅実なサポートのもと、南紫音は素晴らしい演奏を展開しました。満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第3番 変ホ長調 作品55 ”英雄”」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1803年から04年にかけて作曲、1804年にウィーンのロブコヴィッツ侯爵邸で私的に演奏され、1805年にアン・デア・ウィーン劇場で公開初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「葬送行進曲:アダージョ・アッサイ」、第3楽章「スケルツァンド:アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モルト ~ アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

高関の指揮で第1楽章に入りますが、高関は快速テンポで演奏を進めます ホルンが素晴らしい演奏を展開します 第2楽章ではオーボエ、フルート、クラリネット、ファゴットといった木管楽器が素晴らしい演奏を繰り広げます 第3楽章ではホルンのトリオが聴きごたえがありました 第4楽章では弦楽器の渾身の演奏が光ります ヴァイオリンが左右に分かれる「対抗配置」が有効に機能し、両者の対話が楽しく聴けました ここぞ という箇所で打ち込まれるティンパニが心地よいリズムを刻みました

胸のすくような素晴らしい演奏に大きな拍手とブラボーが送られる中、カーテンコールが繰り返されました 笑顔の楽員たちを見たら、自信と誇りに満ちているように感じました

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