27日(日)。昨日の日経夕刊によると、指揮者の山田和樹氏(46)がベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者兼芸術監督に就任すると所属事務所が発表した 記事によると、任期は2026年秋に始まるシーズンから3年間。山田氏は同楽団と昨年4月と9月に共演したが、『特別な化学反応を感じた
』と語る
山田氏は現在、英バーミンガム市交響楽団の音楽監督、モナコのモンテカルロ・フィル芸術監督兼音楽監督を務めている
6月にはベルリン・フィルの定期公演で指揮を執る
快進撃が続きますね
ということで、わが家に来てから今日で3757日目を迎え、石破茂首相は26日、渋谷区の代々木公園で開かれた連合のメーデー中央大会に出席、トランプ米政権の高関税政策に関し、賃上げの動きに水を差す恐れがあるとの認識を表明し、「日本の労働者を守るため、米政府との交渉に協力に臨みたい」と述べた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
有言実行あるのみ! でも相手が理不尽要求の米国だから したたかさが不可欠だね
昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ベートーヴェン「フィデリオ」を観ました これは今年3月15日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です
キャストはレオノーレ=リーゼ・ダヴィドセン、マルツェリーネ=イン・ファン、フロレスタン=デイヴィッド・バット・フィリップ、ドン・ピツァロ=トマシュ・コニエチュ二、ロッコ=ルネ・パーペ、ジャキーノ=マグヌス・ディートリヒ、ドン・フェルナンド=スティーヴン・ミリング、 管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=スザンヌ・マルッキ、演出=ユルゲン・フリムです
歌劇「フィデリオ」はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1804年から翌05年にかけて作曲(その後2回改訂)した全2幕から成るオペラです
物語の舞台は18世紀末のスペイン ある監獄で牢番を務めるロッコ(ルネ・パーペ)の娘マルツェリーネ(イン・ファン)は、父の助手フィデリオに魅かれていた
しかし、フィデリオの正体はレオノーレ(リーゼ・ダヴィドセン)という女性で、監獄の所長ドン・ピツァロ(トマシュ・コニエチュ二)の悪事を暴こうとして彼に投獄された夫フロレスタン(デイヴィッド・バット・フィリップ)を救い出そうと、男装して監獄で働いていたのだった
そんな中、ピツァロは司法大臣の視察があると知り、悪事を隠蔽しようとフロレスタンを殺そうとするが、彼の前に立ちはだかったのはレオノーレだった
1969年フィンランド生まれの女性指揮者スザンナ・マルッキの指揮で序曲の演奏に入ります オケはヴァイオリンが左右に分かれる対抗配置をとります
この公演では「レオノーレ序曲第3番」が劇中で演奏されないので、貴重な管弦楽曲の演奏となりました
レオノーレ役のリーゼ・ダヴィドセンは1987年ノルウェー生まれのソプラノです デンマーク王立音楽院で学び、2015年にプラシド・ドミンゴ主宰「オペラリア」等で優勝
世界の主要なオペラ劇場で活躍しています
NETのピーター・ゲルブ総裁によると、彼女は本公演後に双子の出産のため産休に入るとのことです
この人はどんな役柄でもそつなくこなしますが、今回も不屈の精神力を持ったレオノーレを美しくも力強い歌唱と、卓越した演技力を発揮し聴衆を魅了しました
マルツェリーネ役のイン・ファンは中国生まれのソプラノです 上海音楽院で音楽博士号、ジュリアード音楽院で修士号を取得
METのリンデマン若手アーティスト育成プログラムに参加。2013年にMETデビューを飾りました
フィデリオを女性とも知らずに恋する乙女を、初々しく歌い演じました
フロレスタン役のデイヴィッド・バット・フィリップは1980年 英サマセット州ウェルズ生まれのテノールです 王立ノーザン音楽大学、王立音楽院、国立オペラ・スタジオ等で学ぶ。2021年にMETデビューしました
よく通る歌唱とともに、正義を貫くフロレスタンを卓越した演技力で演じました
ドン・ピツァロ役のトマシュ・コニエチュ二は1972年ポーランド生まれのバスバリトンです ワルシャワのショパン音楽大学、ドレスデンのカール・マリア・フォン・ウェーバー音楽大学で声楽を学ぶ。2019年にMETデビューを果たしました
声に力があり、本人に成り切った演技力で抜群の存在感を示しました
ロッコ役のルネ・パーペは1964年東ドイツのドレスデン生まれのバスです ドレスデン音楽院で学び、88年にベルリン州立歌劇場にデビューしました
大ベテランの貫禄で余裕の歌唱を披露しました
本公演は第1部=約80分、第2部=約51分で、歌手等へのインタビューや休憩(10分)を含めて合計2時間56分です
序曲の後に繰り広げられる第1部のフィデリオ(=レオノーレ)、マルツェリーネ、ロッコの歌を聴いていて、何ともいえない違和感を感じました それは歌手の問題ではなくベートーヴェンの問題です
モーツアルト、ロッシーニ、あるいはヴェルディやプッチーニ等の美しいメロディー重視のオペラを聴き慣れた耳には、歌詞もメロディーも”硬さ”を感じます
小学校の音楽室に飾られた厳めしいベートーヴェンの肖像画を思い浮かべます
これに関して、幕間のインタビューでルネ・パーペは、「25年前にMETで初めて『フィデリオ』が上演されてから、ずっとロッコ役で出演してきた歌手として『フィデリオ』についてどう思いますか?」との質問に、「実際に歌っていると、ベートーヴェンがオペラを1曲だけ作曲し、交響曲に傾倒したのがよく分かります
ベートーヴェンはベートーヴェンです
」と答えていました
これを聞いた時、「私が考えていたのとまったく同じだ」と思いました
ルネ・パーペの言葉を私なりに解釈すれば、「ベートーヴェンがこのオペラで伝えたかったのは、圧政に抵抗する夫を権力から救い出す妻の究極の愛であり、美しいメロディーで歌うことは二の次だった
『フィデリオ』は自己の思想を表現する手段に過ぎない。ベートーヴェンは自身が歌劇の作曲は向いていないと自覚していた。だから1曲しか作らず、他のジャンルに力を傾けたのだ
」ということです
ところで、オープニングにあたりゲルブ総裁が「『フィデリオ』は自由を求めて暴君に抵抗し投獄された夫を救い出す妻の勇気ある行動を描いているが、現在 起こっている出来事を考えると、今こそこの作品を上演する意味がある」と語っていましたが、これは明らかに”暴君”のように振る舞うトランプ大統領を念頭に置いた発言です
また、指揮者のマルッキも幕間のインタビューで「人は権力を握ると過去の反省もせず、過ちを繰り返すものです
現在の状況は、政治家なりしかるべき人たちの力で改善してもらいたい
」と発言していましたが、これも第2次トランプ政権の横暴を念頭に置いた発言です
芸術に関わる人たちにこのように言わせるトランプ政権には、反省の言葉が存在しないようです