31日(木).月日の流れは速いもので8月も今日で終わりです わが家に来てから今日で1065日目を迎え,麻生太郎副総理兼財務相が30日,派閥の研修会の講演で「ヒトラーは,いくら動機が正しくてもダメ」と発言したことについて,「ヒトラーを例示としてあげたことは不適切であり撤回したい」とコメントした というニュースを見て 記者と麻生氏のやり取りを想像するモコタロです
記者「誤解を招くことは言わない方が良くね?」 麻生「そんなこと知っとら~」
昨日,夕食にカワハギを焼いて,「マグロの漬け丼」「生野菜サラダ」「冷奴」を作りました カワハギは千葉県勝浦市在住の大学時代の友人S君が送ってくれたものです.持つべきものは友だちです 「漬け丼」はマグロのほかシャケも漬けました よろしかったでしょうか
昨日,池袋の東京芸術劇場コンサートホールで「芸劇ブランチコンサート 清水和音ピアノ・リサイタル」を聴きました 「ピアノ小品 名曲大全集」と題したコンサートで,プログラムは①ラフマニノフ「前奏曲”鐘”」,②ドヴォルザーク「ユーモレスク」,③チャイコフスキー「感傷的なワルツ」,④メンデルスゾーン「無言歌集」より春の歌,⑤ショパン「幻想即興曲」,⑥ドビュッシー「夢」,⑦ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」,⑧プロコフィエフ「3つのオレンジへの恋」より行進曲,⑨スクリャービン「詩曲」,⑩リスト「超絶技巧練習曲集第11番”夕べの調べ”」という,いわば「アンコール・ピース」特集のような選曲です
自席は2階A列3番,左ブロック左通路側席です.この席もこの回で最後,秋からは1階に移ります 約2000席の会場は9割以上が埋まっているでしょうか.このコンサートは主催者側も驚くほどよく入ります 約1時間のコンサートで2,200円の料金設定が成功しているのだと思います
清水和音氏が登場,1曲目のラフマニノフ「前奏曲”鐘”」の演奏に入ります この曲はちょうど1週間前に上原彩子さんの演奏で聴いたばかりです.清水氏らしくパワフルな演奏でした 演奏後,ナビゲーターの八塩圭子さんが登場,曲目の紹介に入りました.八塩さんが
「この曲はアイス・スケートの浅田真央さんが使用して有名になりましたね」
と問いかけると,清水氏は,
「そうですか.私はアイス・スケートを見ないので分かりませんが,スケートにはこの暗いラフマニノフの音楽は合わないと思いますけどね. イメージとしては夜の音楽ですから すみません,朝から暗い音楽を聴かせてしまって」
と答えていました.アイス・スケートには合わないというのは同感です これから演奏する3曲について清水氏は次のように解説しました
「作曲家というと,誰もがピアノが得意だと思われがちですが,必ずしもそうではありません ラフマニノフはピアノの名手でしたが,次に演奏するドヴォルザークはピアノを弾いたことがないんじゃないかと思います 曲を弾いてみると分かります.チャイコフスキーもあまりピアノは弾かなかったようです.また,作曲家のリヒャルト・シュトラウスも得意ではなかったようです」
そして,ドヴォルザーク「ユーモレスク」,チャイコフスキー「感傷的なワルツ」,メンデルスゾーン「無言歌集」から「春の歌」を続けて演奏しました 八塩さんが
「清水さんは4歳の時に次に演奏するショパンの『幻想即興曲』を演奏されたそうですね」
とマイクを向けると,
「そうですけど,そういう人はピアニストには沢山います 私の場合は,ルービンシュタインの弾いたレコードを聴いてこの曲が気に入って弾きました でも今ではほとんど弾きません.なんか すごい恥ずかしくなるんですよ」
と答えていました.そして幻想即興曲の演奏に入りました あまりにも通俗的な名曲ということで避けられているようで,私も生演奏で聴くのは本当に久しぶりでした
次いでフランスの作曲家ドビュッシー「夢」とラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」を続けて演奏しました 清水氏の解説によると,ラヴェルは「亡き王女のためのパヴァーヌ」を最初にピアノで作曲し,後で管弦楽用に編曲していますが,この作品を駄作だと考えていたとのことです 一方,次に演奏するプロコフィエフの場合は,先に管弦楽曲を作曲して,後でピアノ曲に編曲したそうです これは楽譜を売るためという意図があったようです なおピアノ用のスコアの方が複雑になっていて演奏が難しいそうです また,プロコフィエフは日本にも来たことがあり,その時の様子を日記に書いているそうです.彼はラフマニノフが嫌いだったそうです
解説のあと,プロコフィエフ「3つのオレンジへの恋」より行進曲,スクリャービン「詩曲」,リスト「超絶技巧練習曲集第11番”夕べの調べ”」を続けて演奏しました
1時間で10曲の小品を聴いたわけですが,さすがはプロと思ったのは,曲から曲への音色の変化です とくに,ショパンからドビュッシーに移った時は,一気にフランスの音色に変わりました
昨年の第1回から今回の第9回までナビゲーターを務められた八塩圭子さんは,秋から大学で教鞭をとる関係で今回で引退となるとのことです 楽しい進行役ありがとうございました
「オール読物」9月号が第157回直木賞受賞者・佐藤正午さんを特集しています 賞を受賞した長編小説「月の満ち欠け」の選評と抄録,自伝エッセイ,映画監督・竹下昌男氏との記念対談を掲載しています
巻頭に,佐藤正午さんが生活の拠点としている長崎県佐世保市内で写された写真が掲載されています 佐世保競輪場(正午さんらしい),行きつけのコーヒー専門店とマスター,スナックとママが正午さん本人とともに紹介されています.正午さんはポーズを取って写っています 正午さんは普段,こういう人たちを相手に呑んでいるのね,という感じです
選評は浅田次郎,伊集院静,北方謙三,林真理子,桐野夏生,宮部みゆき,東野圭吾,宮城谷昌光,高村薫の各選考委員がコメントしていますが,とくに印象に残ったのは浅田次郎氏の次のような選評です
「・・・こうして候補作を顧みると,やはり受賞作のみが読者を意識した,プロフェッショナルの小説であると感じた つまり受賞に至らなかった4作品は自己表現の軛(くびき)を免れてはおらず,受賞作ばかりが明らかに,読者本位の小説なのである.作家が愛される必要はない.作品が愛されればよい」
中でも印象に残ったのは「読者を意識した,プロフェッショナルの小説」「読者本位の小説」という言葉です
次に受賞作「月の満ち欠け」の最初の何ページ分かが抄録されています 「オール読物」のページにして30ページ程度です.その後は「あらすじ」だけが紹介されています 小説の冒頭30ページ分を読み終わって,「このまま止めたら中途半端になって,読んだことにならない」という気持ちがだんだん強くなってきました 抄録を読んで単行本を買うことになれば「オール読物」の発行元・文芸春秋社ではなく,「月の満ち欠け」の発行元・岩波書店(佐藤正午さんの小説が岩波書店から出版される意外性)が儲かることになります 私はまだ,正午さんの長編大作「鳩の撃退法(上・下)」も買っていません.まだ文庫化されていないからです こうなると,文庫・新書派の私だけれど 例外としてどっちも単行本で買わざるを得ないか・・・・と迷ってしまいます このブログでもご紹介した通り つい先日,新たに5冊の文庫本と新書を買ったばかりだし,ますます迷ってしまいます