人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

吉野耕平監督 ✕ 吉岡里帆 主演「ハケンアニメ」を観る ~ 天才監督に挑む新人監督のアニメ作品の覇権を目指す物語

2022年10月31日 07時00分35秒 | 日記

31日(月)。月日の流れは速いもので、今日で10月も終わり。今年もあと2か月を残すのみとなりました 月末を迎えたのでいつものように10月の3つの目標の達成状況をご報告します ①クラシック・コンサート=13回、②映画鑑賞=8本、③読書=6冊でした    ①コンサートは風邪のため東響定期(23日)が聴けなかったのが残念でした

ということで、わが家に来てから今日で2850日目を迎え、米シンクタンク戦争研究所は28日、ウクライナに侵攻するロシアが、ウクライナ東部ドネツク州での戦果を誇張している可能性が高いとの分析を公表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     太平洋戦争で戦った日本がそうだった  結果がどうなったかは歴史が証明している

 

         

 

早稲田松竹で吉野耕作監督による2022年製作映画「ハケンアニメ」(128分)を観ました この映画は辻村深月の同名小説を映画化した作品です。同じクールの中で制作された多くのアニメの中で、一番成功したものに贈られる言葉「覇権」を取ろうと働く、アニメ制作現場を舞台としています

地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ新人監督・斎藤瞳(吉岡里帆)は、デビュー作で憧れの天才監督・王子千晴(中村倫也)と業界の覇権をかけて争うことになる 王子は過去にメガヒット作品を生み出したものの、その過剰なほどのこだわりと我がままぶりが災いして降板が続いていた プロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)は、そんな王子を8年ぶりに監督復帰させるため大勝負に出る 一方、瞳はクセ者だが敏腕プロデューサーの行城理(柄本佑)や個性的な仲間たちとともに、アニメ界の頂点を目指して奮闘する

 

     

 

観る前、私はてっきりアニメ業界で働く派遣社員の物語と勘違いしていました しかし、派遣社員ではないにしても、アニメ業界で働く人たちがいかに多種多様な仕事に携わっているかが良く分かる作品です また、アニメの覇権を争うのは監督対監督であると同時にプロデューサー対プロデューサーでもあることも良く分かります 新人監督・斎藤瞳役の吉岡里帆は、最初は頼りない新人監督だったのが、行城の厳しい”教育”によって人心を掴み頼もしい監督に成長していく過程を見事に演じていました 彼女を支える”影の主役”のプロデューサー・行城を演じた柄本がとても”いい味”を出していました

世界に誇るアニメ制作の現場の裏側をちょっぴり垣間見たような気がします

 

     

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米澤穂信著「Iの悲劇」を読む ~ Iターンプロジェクト担当の市役所職員が直面した過疎地の実情と悲劇

2022年10月30日 07時08分08秒 | 日記

30日(日)。昨日は午後1時からマンションの管理組合理事会があったので理事長として出席しました いよいよ大規模修繕工事の検討に入っていくので、通常1時間で終わる会議が2時間半もかかってしまいました 理事会には出ても出なくても自由だと勘違いしている大馬鹿理事は今回も欠席でした どこにもいますよね、こういう権利は主張するが義務を果たさない人間が

ところで、昨日朝 元の職場の上司U氏から、S氏の御母堂が亡くなり18時から西東京市の自宅で通夜なので一緒に出席しないか、とメールが入ったので、西武新宿線T駅で待ち合わせをして出席しました 自宅ということですが、ン十年ぶりの訪問なので行き方が分かりません 仕方なくタクシーで行くことにしました。通夜はごく内輪の14人程度のこじんまりしたものでした S氏の妹さん2人も見えていました。上の妹さんは70年代にNHK-TVで放映されていた「お笑いオンステージ」の「減点パパ」のコーナーで三波伸介さんのアシスタントを務めていた久美子さんです お互いにマスクをしていることもあって、一見誰だか分からないほどでしたが、お元気そうでした 故人は99歳で天に召されたとのことで、大往生でした

ということで、わが家に来てから今日で2849日目を迎え、米政府系放送局のラジオ自由アジアによると、中国のチベット自治区で新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンに反発する大規模な抗議活動が起きたが、少数民族への監視や管理が厳しいチベットでデモが発生するのは異例である  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     習近平政権のことだ 暴力警察を使って排除するんだろうが 怒りのマグマは溜まる

 

          

 

米澤穂信著「Iの悲劇」(文春文庫)を読み終わりました 米澤穂信は1978年 岐阜県生まれ。2001年「氷菓」で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー 2011年「折れた竜骨」で第64回日本推理作家協会賞、14年「満願」で第27回山本周五郎賞、2021年「黒牢城」で第12回山田風太郎賞と第166回直木賞をダブル受賞した

無人になって6年が経過した山間の集落「蓑石」を再生させるプロジェクトが市長の肝いりで始動することになった 市役所の「甦り課」で移住者たちの支援を担当することになった万願寺邦和だったが、課長の西野秀嗣も新人の観山遊香も まるでやる気がない しかも、蓑石に集まった新住民たちは、次々とトラブルに巻き込まれ、一人また一人と蓑石を去っていく いったい何故こういう事態になったのか?  万願寺は頭を抱えるが、人・物・金のすべてが足りない市役所には万願寺の想像も及ばない政治的な事情が隠されていた

 

     

 

タイトル「Iの悲劇」のIとは、都市から地方への移住を意味する「Iターン」のIです 限界集落となり、その果てに一人も住民がいなくなった「死んだ村」にⅠターン組を移住させて村を復活されるという大それたプロジェクトです 移住者の中には、人付き合いが苦手なので人口の少ない土地に行けば煩わしさがないだろう、という考えでやってくる人もいます。しかし、周囲に人が住んでいないのだからいいだろうと大音響の音楽を流したり、ラジコンヘリを飛ばして騒音を撒き散らす者が出てきたりして、なかなか思うようにいきません そこにトラブルが発生し「甦り課」の出番になります。しかし、物事は順調にいくとは限りません せっかく移住してきたのに、何故か村を出て行かざるを得ない状況に追い込まれて、自分から村を出ていくことになります その裏には「人・物・金のすべてが足りない」のに、実績がほしい一心で新たな移住計画を立て、推進しようとする市長の暴走をどこかで止めなければ市の財政が破綻してしまうという思惑があります 最初は市役所のお仕事小説かな、と思っていましたが、本筋はミステリーです 万願寺と雄山や西野課長との会話には、米澤特有のユーモアが漂っています 400ページを超える大書ですが、読み始めたら止まらない面白さです お薦めします

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鈴木秀美 ✕ 東京シティ・フィルでハイドン「交響曲第12番」「交響曲第92番"オックスフォード”」、ベートーヴェン「交響曲第7番」を聴く ~ まさかのアンコール?

2022年10月29日 07時03分49秒 | 日記

29日(土)。わが家に来てから今日で2848日目を迎え、ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、ロシア国内の治安が不安定になっており、26日未明にはモスクワ中心部にある政府与党「統一ロシア」本部の窓に火炎瓶が投げ込まれ、ウクライナに隣接するベルゴロド州では24日に鉄道火災があったが、英国防省は26日、ロシア国内の反戦組織の犯行と指摘した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     内憂外患を絵にかいたようなプーチン政権は追い詰められている 崩壊は時間の問題

 

         

 

昨日は、夕食に「ポーク・スープカレー」を作りました 素揚げのナス、パプリカ、レンコン、アスパラをトッピングしました とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第355回 定期演奏会」を聴きました プログラムは①ハイドン「交響曲第12番 ホ長調、②同「交響曲第92番ト長調 "オックスフォード”」、③ベートーヴェン「交響曲第7番 イ長調 作品92」です 指揮は鈴木秀美です

 

     

 

1曲目はハイドン「交響曲第12番 ホ長調」です この曲はフランツ・ヨゼフ・ハイドン(1732ー1809)がハンガリーの大貴族エステルハージ家の副学長だった1763年に作曲しました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:プレスト」の3楽章から成ります

オケは弦楽奏者11人と管楽器5人という小編成です とはいえ、これが当時のオケの標準サイズだったと思われます。コンマスは戸澤哲夫です

鈴木秀美の指揮で演奏に入ります 楽器が少ないせいか透明感のある見通しの良い演奏が続きます 全体としてメリハリの効いた明快な演奏でした

弦楽器が12型に拡大し、管楽器も増員されます 弦は左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置を採ります

2曲目はハイドン「交響曲第92番ト長調 "オックスフォード”」です この曲はハイドンが1789年に作曲した作品です 1791年にザロモンの招きでロンドンに渡ったハイドンが、オックスフォード大学から名誉博士の称号を授与された際、記念演奏会でこの曲を自らの指揮したことから「オックスフォード」の呼び名があります 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・スピリトーソ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「メヌエット・エ・トリオ:アレグレット」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります

鈴木 ✕ シティ・フィルはこの曲でも歯切れの良いメリハリのある演奏を展開します    フルート、オーボエといった木管楽器、そしてホルンが冴えています    楽器が増えた分、厚みのある充実した響きが会場を満たしました    全体的にハイドンらしい晴朗で溌溂とした演奏でした

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第7番 イ長調 作品92」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1811年から翌12年にかけて作曲、1813年にウィーン大学講堂で初演されました 第1楽章「ポーコ・ソステヌート:ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「プレスト」、第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」の4楽章から成ります

鈴木の指揮で演奏に入ります     この曲でもフルート、オーボエを中心に木管群が素晴らしい演奏を繰り広げます   弦楽器は切れ味鋭い演奏を展開、固いマレットで打ち込まれるティンパニが心地よいリズムを刻み演奏を引き締めます 全楽章を通じてリズムが強調されるこの曲を、ワーグナーは「舞踏の神化」と形容しましたが、鈴木 ✕ シティ・フィルは軽快なテンポ設定によりメリハリをつけて躍動感あふれる演奏を展開しました

熱狂的な拍手のなか、カーテンコールが繰り返されます 何度目かのカーテンコールの際、鈴木はいきなり指揮台に上りオケの方に向き直りました 「まさか、アンコールか 」と思った瞬間、タクトが振り降ろされ、オケから  「ジャ~ン」という大きな音が出ました すると、鈴木は客席の方に向き直り、”これでおしまい”とばかりに一礼しました ステージも客席も大爆笑です 私はこれまで数千回 コンサートを聴いてきましたが、これほど短いアンコール(フェイント・アンコール)は初めてです それにしても、いきなり鈴木氏がタクトを振り降ろした時、オケの皆さんはいったい何を演奏するつもりだったんだろうか 私には7番の第1楽章冒頭の音のように聴こえましたが・・・。場の雰囲気からは事前に打ち合わせがあったようには見えませんでしたが、実際はどうだったんでしょうか ハイドンが得意の鈴木氏はユーモアもハイドンを見倣ったのかもしれません

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ブロムシュテット ✕ ムストネン ✕ NHK交響楽団でグリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調」、ニルセン「交響曲第3番”広がり”」を聴く

2022年10月28日 07時01分28秒 | 日記

28日(金)。わが家に来てから今日で2847日目を迎え、ジャンピエール米大統領報道官は26日の記者会見で、イランの風紀警察に拘束された女性の死亡事件に抗議するデモを巡り「ロシア政府がデモ鎮圧の方法についてイラン政府に助言している可能性があると懸念している」と述べたというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     現在ロシアが輸出できるのは プーチン政権お得意の 暴力によるデモ鎮圧技術だけ

     

         

 

昨日、夕食に「宮崎牛焼き肉と牛タン塩焼き」「生野菜サラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 牛肉は柔らかくて美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールでNHK交響楽団10月Bプロ定期公演(2日目)を聴きました プログラムは①グリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調」、②ニルセン「交響曲第3番」です 演奏は①のピアノ独奏=オリ・ムストネン、指揮=ヘルベルト・ブロムシュテットです

 

     

 

この日もサントリーホールは結構な客入りです 95歳のブロムシュテット、人気者ですね

オケは12型で左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置、コンマスは白井圭です

ソリストのムストネンに腕を支えられてブロムシュテットが指揮台に向かいます

1曲目はグリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調」です この曲はエドワルド・グリーグ(1843ー1907)が1868年に作曲、1869年にコペンハーゲンで初演されました 第1楽章「アレグロ・モルト・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モデラート・モルト・エ・マルカート」の3楽章から成ります

ピアノ独奏のオリ・ムストネンはフィンランド・ヘルシンキ生まれ。ピアニストとして、作曲家として、そして指揮者として活躍しています ステージ中央のピアノ椅子を見てちょっと驚きます 普通のピアノ椅子より座面がかなり高い位置にあります グレン・グールドとは真逆の高さです しかも、彼は譜面を見て演奏します。今ではかえって珍しい光景です

ブロムシュテットが指揮台上の椅子に座り、演奏に入ります 冒頭からピアノ独奏が入ってきますが、切れ味の鋭さを感じます ムストネンの演奏を聴いていると、まるでチェンバロを弾いているように感じます 跳ねるように弾く、と言えば良いでしょうか こういう弾き方を見たのは初めてですが、そのスタイルが切れ味の鋭さに繋がっているのかもしれないと思いました

満場の拍手にムストネンは、ヘンデル「調子の良い鍛冶屋」を高速テンポで鮮やかに演奏、再び大きな拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はニルセン「交響曲第3番”広がり”」です この曲はカール・オーギュスト・ニルセン(1865ー1931)が1910年から翌11年にかけて作曲、1912年にコペンハーゲンで初演されました 第1楽章「アレグロ・エスパンシーヴォ」、第2楽章「アンダンテ・パストラーレ」、第3楽章「アレグレット・ウン・ポーコ」、第4楽章「終曲:アレグロ」の4楽章から成ります 「広がり」という副題は第1楽章の「アレグロ・エスパンシーヴォ」に由来します

オケは16型に拡大し、管楽器群の下手サイドにはソプラノ盛田麻央が、上手サイドにはバリトンの青山貴がスタンバイします

ブロムシュテットの指揮で演奏に入ります 作曲者は第1楽章について「広い世界に向けて放出されるエネルギーと人生肯定」という言葉で表現していますが、エネルギーに満ちた曲想で、とくに金管楽器群の輝かしい演奏が光りました また、フルートの甲斐雅之、オーボエの青山聖樹の演奏が冴えていました 第2楽章については「自然界の平和と静けさの描写で、入り込んでくるのは鳥などの声のみである」という言葉で表現していますが、特に弦楽合奏による渾身の演奏が北欧の冷たい空気感を醸し出していたのが印象的でした この楽章ではソプラノとバリトンが「あ~」という母音唱法でオケに加わりますが、アダムとイブを表しているのだろうか 第4楽章は「労働と健全な日常生活への賛歌」という言葉で表現していますが、再び金管楽器群の輝かしい演奏と弦楽合奏の渾身の演奏を中心に人生賛歌を歌い上げました

満場の拍手がブロムシュテットとN響のメンバーを包みます ブロムシュテットにとってこの日が今シーズン最後の公演ということで、終演後、楽団員を代表してコントラバスの矢内陽子さんから花束が贈られました 矍鑠たる姿勢に、来年も来日してN響を振ってくれることを確信しました

 

     

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ショパン・コンクールでの使用により追い風となっている国産の最高級ピアノ ~ 日経の記事から / 東京都交響楽団2023年度シーズン定期会員座席変更手続きをする

2022年10月27日 07時03分01秒 | 日記

27日(木)。昨日は東京都交響楽団の「2023年度シーズン定期会員継続(変更・追加)手続き」解禁日だったので、午前10時ジャストに都響WEBチケットにアクセスしました 今回はラッキーなことにすぐに繋がり、Bシリーズを継続したまま現在の座席(通路から3つ目)から3列前の通路側席に変更しました 私は通路側席にこだわります 理由は①狭い座席スペースを通って席に辿り着くのが煩わしいこと、②休憩時間にトイレの長蛇の列に並ばずに済むようすぐに退席できること、③片方に人がいないので圧迫感がないことーの3つです 逆に通路側席のデメリットを強いて挙げるとすれば、奥の席に入る客の少なくない人が「前を失礼します」のひと言もなくズカズカと割り込んでいくのが不愉快になることぐらいです

ということで、わが家に来てから今日で2846日目を迎え、ロシアで2月のウクライナ侵攻後、戦闘機や爆撃機の墜落が相次いでおり、少なくとも11機が戦闘以外で墜落した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアのことだ  古い機体、低能力のパイロット、点検ミスの3点セットが原因か

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました いつもは隔週金曜日に作っているのですが、今週は木・金と連続コンサートがあるので2日間繰り上げました 栗原はるみ先生の「旨味醤油」がよく浸み込んでとても美味しかったです まだ薬を飲んでいる関係でビールは我慢です

 

     

 

         

 

25日付の日経朝刊に「最高級ピアノ  追い風に乗って」という見出しの記事が載っていました    超略すると次の通りです

「国内楽器大手2社が最高級グランドピアノの販売に力を入れている ヤマハは最上位機種 CFX を12年ぶりに刷新。河合楽器製造所も10月から最上位機種 SK-EX の一般販売を始めた いずれも価格は2310万円と高額だが、国際大会での高まる評価や足元の円安を追い風に、国内外のホールでの買い替え需要を狙う さらに個人の富裕層も開拓していく考えだ。コンサートなどで使われる最高級ピアノは一般に「フルコンサートグランドピアノ」と呼ばれる 奥行きは約2.8メートルと平均的な家庭用グランドピアノより1メートルほど長い 中心価額帯が100万~300万円の一般の家庭用と比べ、けた違いに高額だ 両社には国内外から追い風が吹いている。若手の登竜門とされ、世界中の音楽関係者が注目する『ショパン国際ピアノコンクール』では、ヤマハが2015年、河合楽器が2021年にそれぞれ複数の入賞者に使われた 世界的な評価も高まり、主要なコンサートで主力となっている米スタインウェイ社を追う好機となっている

2310万円ですか・・・ため息が出ますね 

ちなみに、2021年の第18回ショパン・コンクールの入賞者と使用ピアノは次の通りです

1位:ブルース・リウ ⇒ ファツィオリ

2位:反田恭平 ⇒ スタインウェイ

   アレクサンデル・ガジェヴ ⇒ カワイ

3位:マルティン・ガルシア・ガルシア ⇒ ファツィオリ

4位:小林愛実 ⇒ スタインウェイ

   ヤクブ・クシュリク ⇒ スタインウェイ

5位:レオノラ・アルメリー二 ⇒ ファツィオリ

6位:J・J・ジュン・リー・ブイ ⇒ カワイ

こうして見ると、イタリアの新興ピアノメーカー「ファツィオリ」(1981年創業)の躍進が目立ちます 王者スタインウェイを追うのはヤマハ、カワイだけでないようです さて、その5年後の”ピアノメーカーの”ショパン・コンクールはどうなっているでしょうか

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シルヴァン・カンブルラン ✕ 成田達輝 ✕ 本條秀慈郎 ✕ 読売日響でドビュッシー「遊戯」「イベリア」、一柳慧「Vnと三味線のための二重協奏曲」(世界初演)、ヴァレーズ「アルカナ」を聴く

2022年10月26日 07時06分55秒 | 日記

26日(水)。わが家に来てから今日で2845日目を迎え、米国で家禽の鳥インフルエンザH5NI亜型の感染が広まり、10月時点で約4800万羽が鳥インフルエンザに感染、七面鳥や卵などの価格が高騰している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     11月の感謝祭は七面鳥は我慢して五面鳥くらいにしたら そんな鳥いない? 御免

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」と「ジャガイモの味噌汁」を作りました トンテキは若干焼き過ぎて硬めになってしまったのが反省材料です

 

     

 

         

 

いつまでも風邪に付き合っている暇はありません 平熱に戻り咳も出ず喉も痛くないので、コンサート通いに復帰しました

昨夜、サントリーホールで読売日響第622回定期演奏会を聴きました プログラムは①ドビュッシー「遊戯」、②一柳慧「ヴァイオリンと三味線のための二重協奏曲」(世界初演)、③ドビュッシー「イベリア」、④ヴァレーズ「アルカナ」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=成田達輝、三味線=本條秀慈郎、指揮=シルヴァン・カンブルランです

カンブルランは1948年フランス・アミアン生まれ。2010年から9年間、読響常任指揮者を務め、古典から現代まで幅広いレパートリーを演奏し、読響の評価を高めた 19年4月から桂冠指揮者を務める。現在、ハンブルク響の首席指揮者を務める

 

     

 

3年半ぶりのカンブルランです 半分が現代曲というプログラミングのせいか、指揮者がカンブルランの割には客入りは芳しくありません

演奏に先立って、今月7日に逝去された一柳慧氏を追悼し、指揮者・ソリストを含めた出演者全員と聴衆で黙祷を捧げました

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び。コンマスは長原幸太、その隣は小森谷巧といったダブルコンマス態勢を敷きます

1曲目はドビュッシー「遊戯」です この曲はクロード・ドビュッシー(1862ー1918)が1912年から翌13年にかけて作曲、1913年5月15日にパリのシャトレ劇場でピエール・モントゥーの指揮で初演されたバレエ音楽です バレエの内容は、テニスコートを舞台にした若者3人の恋の遊戯を描いたたわいのないものです しかし、実際に演奏を聴いてみると、とても”恋の遊戯”が想像できません 正直に言えば「色彩感溢れる音楽ではあるが、捉えどころのない音楽」です そうは言うものの、いつも聴いているドビュッシーとはちょっと趣向が違い、スケールの大きさを感じました しかし、この曲の2週間後には同じ会場で同じ指揮者によりストラヴィンスキー「春の祭典」が初演され、世紀の大スキャンダルを巻き起こしたこともあって、影の薄い存在になってしまったようです やはり「遊戯」は「祭典」には敵わないようです

管楽奏者が引き揚げ、舞台上には打楽器と弦楽器(12型)が上がります

2曲目は一柳慧「ヴァイオリンと三味線のための二重協奏曲」です この曲は一柳慧(1933ー2022)」が2021年から翌22年にかけて作曲、この日世界初演されました この曲は2つの楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の成田達輝はロン=ティボー国際コンクールとエリザベート王妃国際コンクールで第2位となり注目を集めました 三味線の本條秀慈郎は桐朋学園短期大学部卒。ACCフェローによりニューヨークへ留学。蜷川幸雄や一柳慧から絶賛されました

カンブルランの指揮で第1楽章の演奏に入ります 冒頭は成田の独奏ヴァイオリンの弱音の独白で始まり、三味線が加わり、次第にオケと連動して演奏されていきます 西洋楽器のヴァイオリンと東洋楽器の三味線が巧妙に絡み合う魅力は何とも言えません 第2楽章は冒頭、ヴィオラとチェロにより執拗に反復される音型に独奏ヴァイオリンと三味線が絡み合い、音楽が展開します 成田の切れ味鋭いヴァイオリンと本條の見事なバチさばきのやり取りが素晴らしい オケとのやり取りも見事で力強いフィナーレを飾りました

満場の拍手に2人のソリストは、一柳慧「Farewell  to  the  Summer  Light」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半の第1曲目はドビュッシー「イベリア」です この曲はドビュッシーが1905年から08年にかけて作曲した「管弦楽のための映像」全3曲のうちの第2曲です 「街より道より」「夜の香り」「祭りの朝」の3曲から成ります

カンブルランの指揮で演奏に入りますが、全体的にオーボエ首席の金子亜未とクラリネット首席の中館壮志の元 新日本フィル・コンビの演奏が際立っていました 管楽器も弦楽器も明るく賑やかなイメージのあるスペインの雰囲気をカラフルに表現していました

最後の曲はヴァレーズ「アルカナ」です この曲はエドガー・ヴァレーズ(1883ー1965)が1925年から27年にかけて作曲、1927年4月8日にレオポルド・ストコフスキーの指揮でフィラデルフィアで初演されました 「アルカナ」というのは、ルネサンス期の錬金術師パラケルススの著作からの引用で、ラテン語で「奥義・秘儀」といった意味を持っています

カンブルランの指揮で演奏に入ります 冒頭の激しい音楽を聴いて、「これはストラヴィンスキーの『火の鳥』の『魔王カスチェイの踊り』のテーマのパクリではないか」と思いました。 そんなことアルカナ? いや、あるんです それに続くのは「ロシアが攻めてきたか?」と思うほどの「暴力」「爆発」「悲鳴」「騒音」といった言葉を連想させる大音響の音楽です これが絶え間なく続くので、恐怖を感じるほどです 初演はさんざんだったようですが、分かるような気がします しかし、10分くらい聴いていると、ある一定の秩序を感じるようになります。これが不思議です 目で見て興味深かったのは、カンブルランの指揮ぶりです 変拍子に次ぐ変拍子を、千手観音のように忙しく両手を動かして正確に振り分けるその姿を見て、2017年11月にサントリーホールで指揮したメシアン「アッシジの聖フランチェスコ」の超人的な指揮ぶりを思い出しました 今回の「アルカナ」でもその指揮ぶりは健在でした やっぱり、カンブルランは素晴らしいし、読響は彼に全幅の信頼を寄せ、全力投球で演奏していました

 

     

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天高く馬肥ゆる秋 / 土井義晴著「一汁一菜でよいという提案」を読む ~ 「ご飯と具だくさん味噌汁。それでいい」という画期的な和食の提案

2022年10月25日 07時07分02秒 | 日記

25日(火)。2,3日前のお天気番組で「天高く馬肥ゆる秋」という言葉を紹介していました 今さら解説するまでもなく「秋は空気も澄んでいて、空も高く感じられ、馬も肥えるような収穫の季節でもある」という意味で使われています 私は小学生の頃、これを「天高く馬越える秋」と思い込んで「秋になると馬が空高く飛んでいく」と解釈していました 馬が空を飛ぶわけないじゃんと思いながらも長い間、そう勘違いしていました 馬繋がりで思い出したのは、50年以上も前に星飛雄馬が主人公となって活躍したテレビアニメ「巨人の星」の主題歌です    アニメ主題歌「行け行け!飛雄馬」は「思い込んだら 試練の道を 行くが男の ド根性~」で始まります 数年前に読んだ ある人のエッセイに次のようなことが書かれていました

「主人公の星飛雄馬が、円筒型のコンクリートの塊のような物体を引いてグランドを均している映像をバックに、『おもいこんだら しれんのみちを~』と流れてきたので、てっきりあの物体(実は土を固めるローラー)が『コンダラ』で、『重いコンダラ  試練の道を~』だと思っていた

これを読んで、映像からすればそういう解釈もアリかな、と笑いながら納得しました 「巨人の星」と言えば、厳しい父親・星一徹を思い出します 姉の明子があまりの練習の厳しさに弟の飛雄馬を庇ったりすると、すぐに怒り出して「ちゃぶ台返し」をします 「ちゃぶ台返し」を広辞苑で引くと「星一徹の得意技」と出てきます。嘘です

ということで、わが家に来てから今日で2844日目を迎え、ロシアのショイグ国防相は23日、フランス、トルコ、英国の国防相と相次いで電話協議し、「ウクライナ政府が『汚い爆弾』を使用する可能性」について懸念を伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自国に”汚い爆弾”を使用するバカがどこにいるか! 見え透いた嘘ばかりがロシアだ

 

         

 

昨日の夕食は、風邪が治り切っていない私に代わり、娘が「煮込みうどん」を作ってくれました 身体が温まりました

 

     

 

         

 

土井義晴著「一汁一菜でよいという提案」(新潮文庫)を読み終わりました 土井義晴氏は1957年 大阪生まれ。芦屋大学教育学部卒。スイス、フランス、大阪で料理を修行し、土井勝料理学校講師を経て、1992年「おいしいもの研究所」を設立。十文字学園女子大学特別招聘教授、甲子園大学客員教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員などを務め、NHK「きょうの料理」などに出演する。著書に「くらしのための料理学」など多数

 

     

 

私は月曜から金曜まで週5回夕食作りをしていますが、日ごろから思っているのは「毎日の献立を考えるのがめんどくさい」ということです 私だけでなく、料理を作る多くの人が同じように考えているのではないかと思います 一旦メニューが決まってしまえば あとは作るだけなので、必要な食材を買ってきて、娘の帰宅時間に合わせて料理が出来上がるように作ればよいのです

そんな時、書店で本書に出会いました 本の帯に「ご飯と具だくさんの味噌汁。それでいい」とあります しかし、それだけの結論のはずが、200ページ以上もあります これは一筋縄ではいかないな、と思いながら読み始めました

本書は2016年6月にグラフィック社から刊行された単行本を文庫化したものです

土井先生はまず「一汁一菜」を次のように定義します

「『一汁一菜』とはご飯を中心とした汁と菜(おかず)。その原点を『ご飯、味噌汁、漬物』とする食事の形です

そして、次のように提案します

「毎日3食、ずっと食べ続けたとしても、元気で健康でいられる伝統的な和食の型が一汁一菜です 毎日、毎食、一汁一菜でやろうと決めてください 考えることはいらないのです。これは、献立以前のことです。準備に十分も掛かりません。5分も掛けなくとも作れる汁もあります 歯を磨いたり、お風呂に入ったり、洗濯をしたり、部屋を掃除するのと同じ、食事を毎日繰り返す日常の仕事の一つにするのです 『それでいいの?』とおそらく皆さんは疑われるでしょうが、それでいいのです 私たちは、ずっとこうした食事をしてきたのです

そして「ご飯と味噌汁のすごいところは、毎日食べても食べ飽きないことです」と続けます。たしかに、あらためてそう言われてみると全く飽きません

さらに、「買い物をする ⇒ 下ごしらえをする ⇒ 調理する ⇒ 料理を並べる ⇒ 食べる ⇒ 片付けする」という一連の行動を「食事」というと説明します これは「片付け」してはじめて食事が完結するということを意味しています 土井先生は本書の巻頭言に「いちばん大切なのは、一生懸命、生活すること。一生懸命したことは、いちばん純粋なことであり、純粋であることは、もっとも美しく、尊いことです」と書かれていますが、食事の一連の行為は「一生懸命、生活すること」の一環であるのだということでしょう

また「贅と慎ましさのバランス」として、「ハレ」と「ケ」の概念について解説します

「日本には『ハレ』と『ケ』という概念があります ハレは特別な状態、祭り事。ケは日常です。日常の家庭料理は、いわばケの食事なのです。手間を掛けないでよいそのケの料理に対して、ハレにはハレの料理があります そもそも両者の違いは『人間のために作る料理』と『神様のために作る料理』という区別です。それは考え方も作り方も正反対になるものです

そして、「神様のために作る料理(ハレ)は時間や手間暇を惜しまず彩り良く美しく作る」のに対し、「日常の家庭料理(ケ)は手を掛けないで作る」ものであると説明します

土井先生は、

「和食の一汁一菜を食事のスタイルとして、家庭料理を作ってください。汁飯香なら作れます きれいに整えて慎ましく暮らせば、心身は敏感になって、かつ、穏やかになります 余裕のある日には、季節のおかずを作ってください。料理する幸せがわかるでしょう。食べる人の笑顔が見られます

とも書いています この文章のポイントは「余裕のある日には、季節のおかずを作ってください」です つまり、先生は「普段忙しくて料理を作る余裕がない」という人たちを中心に据えて、「一汁一菜でよいという提案」をしているのです ここを勘違いすると先生の本来の趣旨は伝わらないと思います

単身世帯だったら良いでしょう。あるいは年寄り夫婦だけの家庭だったら良いかもしれません しかし、育ち盛りの子供を抱える親が、毎日「一汁一菜」の食事しか作らなかったら、子供は満足できるでしょうか? きっと「肉が食べたい」と言うでしょう 「肉も味噌汁に入れてしまえばよい」という解決策もあるかもしれませんが、量的な面でどうでしょうか? その意味では、「一汁一菜」は最低限の献立だと考えるべきで、時間的に余裕のある人はプラス1品を考えるべきだと思います

本書では「一汁一菜の実践」として「具だくさん味噌汁」を紹介しています。土井先生の作った味噌汁がカラー写真入りで紹介されています ブロッコリーとベーコンと人参などが一緒に入っている味噌汁があるかと思えば、トマトが中心の味噌汁、ピーマンを丸ごと入れた味噌汁、ごぼうとメザシを中心とした味噌汁、カボチャとキュウリ中心の味噌汁など、バラエティに富んでいます それらを見ていると、具は何も入れても良いのだというメッセージが伝わってきます さらに、「自分だけのものなら 見た目は悪くても美味しく食べられる」としています

本書を通じて伝わってくるのは一生懸命 和食の「一汁一菜」の良さを解ってもらおうとする土井先生の熱意と、忙しく働きながら料理をしている人たちに対する優しさです 普段から料理を作っている人たち、これから料理を始めてみようかと考えている人たちにお薦めします

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藤田真央インタビュー ~ 日経の記事より / ジョナサン・ノット ✕ 東京交響楽団でブルックナー「交響曲第2番」他を聴かざるの記 ~ 行けなくなったチケットの生かし方

2022年10月24日 07時00分12秒 | 日記

24日(月)。昨日の朝、体温を測ったら36.4度で、やっと平熱にもどりました しかし、相変わらず喉が痛く 咳も出るし 身体がだるい感じがします 実はこの日 午後2時からサントリーホールで開かれる東京交響楽団「第705回定期演奏会」を聴きに行く予定があったのです プログラムは①シェーンベルク「5つの管弦楽曲 作品16」、②ウェーベルン「パッサカリア」、③ブルックナー「交響曲第2番 ハ短調」で、指揮はジョナサン・ノットです シェーンベルクもウェーベルンも全く興味がありませんが、ブルックナーの第2番は初めて聴く曲なので楽しみにしていました しかし、今週は読響定期、NHK Bプロ定期、東京シティ・フィル定期が控えていることを考えると、せっかく平熱に戻ったのにコンサートに出かけることによって、また発熱したら今週の公演が全滅になるおそれがあるので、泣く泣く諦めることにしました    ノット ✕ 東響のブルックナー  さぞかし引き締まった素晴らしい演奏だったろうな~  聴きたかったな~

 

     

 

ところで、行けなくなったチケットを無駄にしないために、東京フィルでは定期演奏会チケットの「寄付」制度があります これは行けなくなったチケットを「留学生招待シート」「”とどけ心に”特別招待シート」として活用するものです 東響を含めて他のオーケストラには同様の制度はないようですが、とても良い制度だと思います 欧米諸国では、行けなくなったチケットは代わりに行ける人に譲り、とにかく座席を埋めるのが文化だと、どこかで読んだ記憶があります もっとも、今回の私のように当日になって行けなくなったと連絡しても、オケの事務局側としては対応できない可能性が大きいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2843日目を迎え、中国共産党の第20回党大会の22日、習近平総書記の隣席にいた胡錦涛前総書記が閉幕を待たずに会場から立ち去ったが、体調不良にも見える一方、会場係に連れ出されたようにも見えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国のことだから何が起こっても不思議じゃないけど  どちらかが一芝居打ったか

 

         

 

昨日の日経朝刊総合面の「このヒト」欄でピアニスト藤田真央が取り上げられていました 瀬崎久見子編集委員のインタビュー記事の概要は次の通りです

「新型コロナウイルス下で人気が沸騰した23歳のピアニスト。2019年のチャイコフスキー国際コンクール第2位で世界的に注目を集めた 今年は欧州のいくつもの音楽祭やオーケストラに招かれ、10月にモーツアルトのピアノ・ソナタ全集で世界デビューした 『子どものころの憧れは(20世紀の名ピアニスト)ホロヴィッツ』。ニコニコと楽しそうに話す 演奏もその表情に似て柔らかで、日本人が苦手なはずの豊かな表現力をものにしている 海外からは『変幻自在の即興』『曲に輝きを与える』などと驚かれている 今春、拠点をベルリンに移した。『アルバムの編集作業で自分の演奏を久しぶりに耳にしたら、なんていいモーツアルトだろうと聞き入ってしまった このアルバム、自分でも買うと思います』。相当な自信と強いメンタルの持ち主だ

藤田真央で思い出すのは2019年10月公開映画「蜜蜂と遠雷」(石川慶監督)です この作品は、史上初の直木賞と本屋大賞をダブル受賞した恩田陸の同名小説を映画化した音楽ドラマで、国際ピアノコンクールを舞台に、4人の天才ピアニストたちの戦いや成長を描いています 栄伝亜夜(松岡菜優)、高島明石(松坂桃季)、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)、風間塵(鈴鹿央士)が4人のピアニストを演じていますが、実際の演奏はプロが弾いています それぞれ河村尚子、福間洸太朗、金子三勇士、藤田真央です このうち藤田真央が実際に弾く風間塵は、パリで行われたオーディションに突如現れ、先ごろ亡くなった世界最高峰のピアニストからの推薦状を持っている天才的なピアニストという設定になっています 藤田の演奏は天才ピアニスト風間塵のイメージにぴったりだなと感心したのを覚えています

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「2023都民芸術フェスティバル」ラインナップ発表 / 角田光代著「しあわせのねだん」を読む ~ 私たちは お金を使う時、品物といっしょに 何か別のものを確実に手に入れている

2022年10月23日 07時03分26秒 | 日記

23日(日)。風邪を引きました 一昨日の朝から喉が痛く、37.3度の微熱が続いていました ワクチン4回打ってるし、まさかコロナじゃあるめえと勝手に判断、昨日午前中 行きつけのクリニックに行きました    すると、熱を測った後で、「発熱・風邪症状があるときは受診前に電話でご連絡ください」と注意されてしまいました    そりゃそうだよな、と深く反省しました    幸い単なる風邪で、調剤薬局で10日分の薬を処方されました それにしても10日分は多過ぎね?と思ったので、薬剤師から「先生からとくに言われたことはありますか?」と聞かれたとき、「症状が改善したら途中で服用を止めても良いと言われました」と嫌味を言っておきました 通じただろうか そういうわけで、昨日も一昨日に続いて家で音楽を聴きながら読書しておとなしく過ごしました

ということで、わが家に来てから今日で2842日目を迎え、北京で開かれている第20回中国共産党大会は22日、新たな中央委員を選出し、党規約の改正案を採択して閉幕するが、習近平総書記が異例の3期目を迎えるのは確実な情勢で、権威をさらに強める文言が党規約に盛り込まれる見通しである  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     44日で政権を放り出した英国のトラス首相を見倣って 3期目は遠慮したらどーよ

 

         

 

「2023  都民芸術フェスティバル」のラインナップが発表されました

【オーケストラ・シリーズ】は以下の8公演です

Ⅰ。1月27日(金)19時開演。米田覚士指揮読売日本交響楽団=①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」(P:若林顕)、②チャイコフスキー「交響曲第4番」

Ⅱ。2月6日(月)19時開演。坂入健司郎指揮日本フィル=①ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」(Vc:北村陽)、②同「交響曲第8番」

Ⅲ。2月7日(火)19時開演。三ツ橋敬子指揮東京フィル=①メンデルスゾーン:序曲「美しいメルジーネの物語」、②同「ヴァイオリン協奏曲」(Vn:岡本誠司)、③同「交響曲第4番」

Ⅳ。2月14日(火)14時開演。石崎真弥奈指揮東京交響楽団=①ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、②ショパン「ピアノ協奏曲第2番」(P:亀井聖矢)、③ベートーヴェン「交響曲第7番」

Ⅴ。2月22日(水)14時開演。藤岡幸夫指揮東京シティ・フィル=①ヴェルディ「運命の力」序曲、②プッチーニ「蝶々夫人」~ある晴れた日に、「マノン・レスコー」~第3幕への間奏曲、「トゥーランドット」~お聞きください王子様、③ヴェルディ「椿姫」前奏曲、同「不思議だわ~花から花へ」(以上Sp:小林沙羅)、シューベルト「交響曲第8番」

Ⅵ。2月28日(火)19時開演。角田鋼亮指揮新日本フィル=①チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」~ポロネーズ、②同「ヴァイオリン協奏曲」(Vn:服部百音)、③シベリウス「交響曲第2番」

Ⅶ。3月7日(火)19時開演。梅田俊明指揮NHK交響楽団=①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」(P:吉川隆弘)、②同「交響曲第3番」

Ⅷ。3月9日(木)19時開演。和田一樹指揮東京都交響楽団=①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番」(P:小山実稚恵)、②同「交響曲第5番」

上記の通り、いずれもポピュリズムの極致をいく大衆迎合名曲路線のプログラミングですが、これは東京都の助成金を得て定期公演の通常料金より約半額程度の低料金で一人でも多くの人にクラシックコンサートを聴いてもらおうという趣旨なので、どうしてもこういう内容になります 一方、クラシック界ではあまり知られていない若手の指揮者やソリスト(米田覚士、吉川隆弘など)にとっては、在京オーケストラを指揮したり演奏したりする大きなチャンスになります

会場はいずれも池袋の東京芸術劇場コンサートホールです。チケット代は全席指定 A席:4000円、B席:3000円、C席2000円(学生は各1000円引き)で12月7日午前10時発売開始です    8公演セット券は28000円+送料520円で、11月10日午前10時発売開始です

私の場合は、3公演が他のコンサートとダブっているので、セット券は買いません

【室内楽シリーズ】は次の3公演です

Ⅰ。1月26日(木)19時開演。横坂源(VC)、津田裕也(P)=①ドビュッシー「チェロ・ソナタ」、②コダーイ「チェロとピアノのためのソナチネ」、③シューマン「幻想小曲集」、④ラフマニノフ「チェロ・ソナタ」

Ⅱ。2月9日(木)19時開演。神尾真由子(Vn)、萩原麻未(P)=①シンディング:組曲「古い様式で」、②グリーグ「ヴァイオリン・ソナタ第3番」、③エルガー「愛のあいさつ」、④クライスラー「愛の悲しみ」「中国の太鼓」、④ラフマニノフ「ヴォカリーズ」、⑤リムスキー・コルサコフ「熊蜂の飛行」、⑥マスネ「タイスの瞑想曲」、⑦サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」

Ⅲ。3月1日(水)19時開演。瀬尾久仁&加藤一郎=①ブラームス「ワルツ集作品39」より1,2,11,14,15(連弾)、②レーガー「モーツアルトの主題による変奏曲とフーガ」(2台ピアノ):中井恒仁&武田美和子=①レーガー「イントロダクションとパッサカリア」、②ラフマニノフ「組曲第2番」(2台ピアノ)

会場はいずれも上野の東京文化会館小ホールです。チケット代は全席指定3000円(学生2000円)で、12月7日午前10時発売開始です

私の場合は、1月26日の公演が他のコンサートとダブっています

なお、なぜか「2023都民芸術フェスティバル公式サイト」には公演日時と出演者は掲載されているのに、プログラム内容が書かれていません 毎年のことですが、これほど不思議なことはありません どこが公式サイトかと言いたくなります 全体像は「日本演奏連盟公式ホームページ」の「お知らせ一覧」にある10月20日付「2023都民芸術フェスティバル参加公演曲目・出演者決定!!!!」にクセスしてください

 

         

 

角田光代著「しあわせのねだん」(新潮文庫)を読み終わりました 角田光代は1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。以後、2003年「空中庭園」で婦人公論文芸賞、2005年「対岸の彼女」で直木賞、2007年「八日目の蝉」で中央公論文芸賞など数々の文学賞を受賞しています

 

     

 

本書は2005年5月に晶文社から刊行された単行本を文庫化したエッセイ集です

角田さんは1995年6月から家計簿をつけているそうです 「家計簿をつければおのれの弱点がわかる。どの分野に出費が多過ぎ、どの分野がよけいであるか、たぶん一目でわかる」というのが家計簿をつけ始めたきっかけだったようです そして、「生活費で20代を振り返る時、私の場合の総括としては、『いかに困窮の兆しがあろうと、飲み代だけはけちらなかった』ということになる 30代の後半に近づいた今、思うのは、20代のとき使ったお金がその人の一部を作るのではないか、ということである」と書きます

これはすごくよく分かります 20代の頃は仕事が忙しい割には同僚と良く飲みに行っていました 一見無駄に見える”飲み行為”がその後の自分の人生の基礎を作っていたと思います

意外だったのは角田さんの小説家としての生活サイクルです。彼女は「7時半に起きて、牛乳を飲んで仕事場に行く。8時から仕事を始め、午後5に終える。土日は休み」と、まるでサラリーマンのような生活を維持しているそうです 小説家というと、昼に寝て夜に起きて仕事をする、というイメージがありますが、彼女に関してはそうではないようです。そういう規則正しい生活が数々の文学賞の受賞につながっているのだろうか、と思いました

「ヘフティのチョコレート 3000円」が面白い。36歳にして初めて、彼女が恋人のためにバレンタインデーのチョコを買いに行った時の壮絶な強奪戦を巡るエッセイです

「バレンタインデーのチョコ相場はいくらなのか。この値段は愛の重さに比例するのか、それとも単なる記号か 私とその横に立つ女の隙間に、ベビーカーをぐりぐりと押し込んで若妻が入ってきて、私を押しのけ、『この1000円の、1000円のを3つ!』と叫んでいる ベビーカーの中で子どもは泣いている。1000円を3つか。この若妻は夫とほかの男たちと分け隔てないチョコレートをあげるのだな。思索している私をさらに押しのけ、若い2人の女がきて、試食品のチョコレートを食べあさっている。食べたらさっさといなくなった 元の位置に戻りかけた私をふたたび押しのけ、香水の風呂に入ってきたような女が1000円のチョコレートを買っていく。続けざまに押しのけられたせいで、何かがキレかけた私は弾けるように香水女を突き飛ばし、『この3000円のをください!』と叫んでいた。この2000円の差が私の闘争心なのかもしれなかった

そして、恋人にそのチョコをあげ、自分でも食べて「格別のおいしさがあった。バレンタインデーがあのように血を見る女祭りだとは知らなかった 祭りは参加した方がやっぱり楽しい。来年に向けて体を鍛えよう。チョコレートをむさぼり食いながら私はそう決意した

と前向きな姿勢を見せています

「イララック 1500円」も面白い

「自分でもおそろしくなるくらい、私は短気だ こんなに短気な人間を野放しにしておいていいのか、と思いもする」「むっとしたとき、この怒りはただしいか、じっくり(1時間から3日ぐらい)考えて、『ただしい』と思ったときだけ怒ろう、と決めている

と書いて、最近むっとしたこととして、秋刀魚を買いに行った時のことを書いています

「私の前に母子がいた。7歳くらいの男の子と、母親である。この人たちの買う段になって、男の子が、発泡スチロールの中の秋刀魚を吟味しはじめた くちばしは黄色で、目が濁っていないのが新鮮、とどこかで聞いたのだろう。一生懸命、選んでいる。選びに選んで、『まず、これ』1本をお兄さんに包んでもらう それから2本目を選び始める。長いんだ、これが。ずうーっと、ずうーっと選んで子どもはようやく2本目を選び出した これで終わりかと思いきや、3本目の選択に入る。秋刀魚をやめて空いた肉屋にでも行けばいいのだが、しかしすだちも大根も買って献立準備は万端なのだ。私は辛抱強く待った。しかしなかなか3本目が選びだせない 私の後ろにも秋刀魚目当ての人の列ができる。この時点で、魚屋のお兄さんは長くなりつつある行列に気づいた。それで、やんわりと男の子に言った。「おにいちゃん、あのね、うしろに百人くらい待ってるよ」と、冗談めかして そうそう、うしろのおばさん(私)はおもーいものぶら下げて待ってんだ、と胸の内で賛同した、その時、男の子の母親が言い放ったのである。『いいのよ、そんなもの気にしないで。ゆっくり選びなさい』。短気炸裂である 米袋で母親の頭に殴りかかりたいほどむかついた そんなものってなんだ!焼く前にひと手間かけりゃ秋刀魚なんかどれだっておいしくなるんだ!社会勉強させるなら漁港にでも連れていけ!列作ってまでくちばし黄色とか教えんな!と、私の心は燃えさかる炭状態

その後、やっと自分の秋刀魚を買うことが出来たものの、彼女の怒りは止まりません

「ああいう母親ってどうよ、ああいう教育ってどうよ、ていうか、テレビも秋刀魚の選び方とか言い過ぎるんだよ、太刀魚の選び方とか、鰆の選び方とか言わないくせに、なんで秋刀魚ばっかり、色はどうとか目がどうとか毎年のように言うんだよ、などと、関係のないことまで引きずり出して怒りながら家に帰って、きゃつらのせいでぬるくなったビールを一口すすり、『また怒ってしまった』と、はたと思った

そして、夕食の支度をしながら、「あの時の怒りはただしいのか」と内省を始めます 親しい友人にこの話をしたところ、『イララックって知ってる?  いらいらがすーっとおさまる薬が小林製薬から新発売になったんだけど、それ、買って飲んでみたら?』とアドヴァイスを受けます。その値段が1500円。しかし、彼女の希望は「むかついた私は正しいのか間違っているのかを知ること」であって、薬でむかつくのをおさめることではないのです

角田さんは「あとがき」で次のように書いています

「この1年、いろんなものを買ったり、買うのをあきらめたりした。おこづかい帳をつけるつもりで書き始めたエッセイだが、家計簿と同じく、お金に関しては何の示唆もしてくれない 自分は金遣いが荒いのか否か、使い道は正しいのか否か、1年を終えてもわからない ただ一つ、わかったことがある。私たちはお金を使う時、品物といっしょに、何か別のものを確実に手に入れている、ということだ 大事なのは品物より、そっちの方かもしれない、とも思う

本書では まずいラーメン屋の話、客の割にはスタッフが少ない食堂の話、見知らぬ女性に1000円を2度もあげた話、買った冷蔵庫が大きすぎて家に入らなかった話、母親の誕生日に温泉旅行をプレゼントした時のエピソード(感動作!)など、面白い話が満載です 180ページほどの薄い本なのですぐに読み終わってしまいます。本書を読んで、金銭感覚を磨いてみてはいかがでしょうか

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小泉悠著「ウクライナ戦争の200日」を読む ~ ロシアの軍事研究者が7人の識者とリアルタイムに語り合ったウクライナ戦争の記録

2022年10月22日 07時08分29秒 | 日記

22日(土)。わが家に来てから今日で2841日目を迎え、山際大志郎経済再生相は21日の閣議後会見で、2019年に「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」トップの韓鶴子総裁と愛知県内で会っていたと明らかにしたが、山際氏と韓氏が一緒に写った集合写真がSNSに出回っていた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     外部から指摘されて初めて認めるような記憶力のなさは閣僚はおろか議員の資格なし

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」と「白菜の味噌汁」を作りました 若干喉が痛いのでビールは止めておきました    風邪を引いたかもしれません

 

     

 

         

 

小泉悠著「ウクライナ戦争の200日」(文春新書)を読み終わりました 小泉悠は1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。未来工学研究所特別研究員、外務省専門分析員、国立国会図書館非常勤調査員などを経て2019年から東京大学先端科学技術研究センター特任助教、2022年から専任講師。ロシアの軍事・安全保障が専門。当ブログでは、「現代ロシアの軍事戦略」(ちくま新書:2021年5月初版発行)をご紹介しました これが2月24日のロシアのウクライナ侵攻前の状況を分析しているのに対し、本書はそれ以降の最新の動向を7人の識者とリアルタイムに語り合い状況分析をしています

 

     

 

本書は次の7章から構成されています 

Ⅰ。ロシアは絶対的に悪なのか(評論家・東浩紀との対談)~ 背後にあるプーチンの世界感、そして今後も残り続ける”ロシア的なもの”とは

Ⅱ。超マニアック戦争論(小説家で元自衛官・砂川文次との対談)~ ロシア相手に、軍事力も遙かに劣るウクライナの善戦はなぜ可能だったのか

Ⅲ。ウクライナ戦争 百日間を振り返る(防衛省防衛研究所防衛政策研究室長・高橋杉雄との対談)~ 5月以降、ロシアはなぜ盛り返したのか。

Ⅳ。ウクライナ戦争の「さらにいくつもの片隅に」(アニメ映画監督・片淵須直との対談)~ 日常と地続きにある戦争を、世界の「中心」と「片隅」から考える

Ⅴ。「独裁」と「戦争」の世界史を語る(漫画家・ヤマザキマリとの対談)~ ネロ、カダフィ、プーチン・・・各国の独裁者の顔を通して語る戦争の世界史

Ⅵ。徹底解説 ウクライナ戦争の戦略と戦術(前掲・高橋杉雄との対談)~ 水、高地、平野をめぐる攻防・・・戦略と戦術に着目して戦争を徹底解説

Ⅶ。ドイツと中国から見るウクライナ戦争(翻訳者マライ・マントライン、ルポライター安田峰俊との鼎談)~ ロシアと関係の深いドイツ、ロシアと隣り合う中国はこの戦争をどう見たか

各章の冒頭に、ロシアのウクライナ侵攻が日誌として掲載されていて、ウクライナ戦争の”現在進行形の歴史”が解りやすくなっているのが本書の大きな特徴です

すべてについてご紹介するわけにもいかないので、私が「なるほど」と思った事柄についていくつかご紹介します

第1章では、東浩紀氏の次の発言に、「そういう考え方もあるか」と思いました 

「現在の日韓関係や日中関係のねじれを考えればわかるように、スラブ世界はこれから長い間、深い相互不信と傷を抱えていくことになるだろうと思います 日本のようにロシアもまた、ウクライナやスラブ諸国から非難され続ける国になる。逆にロシア人は戦争をなんとか正当化するでしょうし、「ブチャの虐殺はなかった」といった歴史修正主義的な主張も出てくるでしょう 日本はそういう歪みを自分たちの経験として知っているはずです、むろん今のロシアに同情する必要はいっさいない。けれども、ロシア人の気持ちがわからない、異質だと切り捨てるのも単純すぎます。日本も昔は異質だった

第2章のゲスト砂川文次氏は元自衛官で対戦車ヘリコプター「AHー1Sコブラ」のパイロットをしていたとのことで、その時の経験を「小隊」(ロシアが北海道に攻めてくるという設定)に生かしたそうです 小泉氏との対談は非常に面白いのですが、何しろマニア対マニアによる対談なので話についていけません

第5章のヤマザキマリさんとの対談は興味深いです イタリア在住のマリさんは、現地では難民問題が大きいと語ります イタリアには中東からもアフリカからも難民が流入して、治安の悪化や失業率の悪化などの問題があり、人道的に(新たにウクライナ難民を)受け入れたくても現実的には難しいと語ります これに関連して、小泉氏は次のように語ります

「私が日本の言論空間でこの戦争に関して発言すると、SNSなどにたくさんの反応があります それを読んで分かるのは左の人も右の人もロシア擁護に熱心なことです 右の人も左の人も日本はアメリカに従属させられていると思っているのです プーチンは公然と、「日本政府がどの程度の主権を持っているのか疑わしい」と発言したことがあります。外国に安全保障を依存するような国は、同盟の盟主から主権を制限された状態にある。つまり、日本はアメリカに逆らえない国ではないかと言っているのです

いわゆる「安保ただ乗り論」ですが、実際には相当な経済的な負担をしているものの、考えさせられます

第7章では、意外にも中国の言論状況が紹介されます 「八九六四『天安門事件』は再び起きるか」で第5回城山三郎賞、第50回大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞した安田峰俊氏は次のように語っています

「中国を見慣れている私がウクライナ戦争の勃発後に逆説的に感じたのは、『ロシアってなんて自由な国なんだ』ということでした テレビのニュースキャスターの後ろで反戦プラカードを掲げた人の映像が流れましたが、中国でCCTBの放送中にそんなことをやるなんて絶対にありえません それに、反戦デモが行われていて、それが鎮圧される様子がちゃんと『映像に移っている』。さらに、告発したジャーナリストが捕まる様子もしっかり映像に撮られ、それが『表に出る』。なんてロシアって自由なんだと つまり、中国がどれだけひどいかという話なのですが

この鼎談は今年7月6日時点なので、ロシアでも多少のデモの自由はあったと思いますが、さすがに現在のロシアでは全国的に言論統制が行われ、国民はロシアに「不都合な真実」は知らされない状況になっています さらに深刻なのは中国の監視社会・言論統制状況です

以上にご紹介したほかにも多くの示唆に富む話が出てきますが、きりがないのでこの辺にしておきます 現在のウクライナ戦争の現況を理解するタイムリーな本です。お薦めします

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