人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

過剰なダイエットに反対!~浅田次郎著「ま,いっか」を読む

2012年05月31日 06時57分40秒 | 日記

31日(木).はやいものでもう今日で5月も終わり.来週からは半そでにしようかと思います 会社で「もうすぐ夏だね」と言ったら「その前に梅雨があるけどね」と切り返されました.そんなこととはツユ知らず・・・・・・

昨夕は仕事の打ち合わせでテナントT社のO社長,マネジャーのSさん,当方はE部長と私とでHCビル地下のKで飲みました ほぼ同業者であるO社長はさすがに近隣のビル事情に詳しく,頷くところ多々ありました Sさんはどう見ても30代前半の素敵な女性ですが,とても2人のお子さんをお持ちのようには見えません.同じ業界のR社でバリバリ働いていてT社に移られたとのことですが,その手腕を買われて現在の重要な地位にいらっしゃるようにお見受けしました 話をしていればそれくらいのことは分かります

何時か忘れましたが,社長と別れて3人でPCビル地下のOに移ってまた飲みました ここでは仕事を離れて四方山話をしました.映画の話になったので,手帳に書いてある「これまで観た映画」リストをお見せすると「最近ではどんな映画が印象に残りましたか?」と訊かれたので「ヒミズ」を挙げました 飯田橋のギンレイホールの会員だと言うと,T社にも会員がいらっしゃるとのことでした.同じホールで同じ映画を観たことがあったかも知れません Sさんがいつの間にか手帳の別のページを見ているので,あわてて回収しました.給与明細をはじめ機密事項が書かれているのです すごく楽しかったのでSさんとまた飲みに行きたいと思いました.今度は社長抜きで

 

  閑話休題  

 

浅田次郎著「ま,いっか」(集英社文庫)を読み終わりました 著者の浅田次郎は1951年東京都生まれ.97年「鉄道員(ぽっぽや)」で直木賞を受賞したほか,多くの文学賞を受賞しています

16歳で家出をしてから親元には帰らず読書に明け暮れた青春時代の思い出,自衛隊勤務時代の思い出,現代の美人たちへの忠告,デパート勤務時代の思い出・・・・・などなど,多方面にわたる話題を取り上げた軽妙洒脱なエッセイ集です

文体は江戸っ子の語り口です.おもしろい視点だなと思ったのは「丸文字の起源」の表題のエッセイの中にある,日本語の縦書き,横書きに関する主張です

「必然的な経緯ではあるが,横書きの不具合に気づいている人は少ない.日本語はそもそも漢字も平仮名も,縦に書くようにできているのである.漢字と仮名で構成している限り,実は横書きは書法的にはありえず,すなわち”昔の人は横書きを右から書いた”というのは誤解で,”一字一行の縦書き”が正しい」

これは”目からうろこ”でした また,「自衛官は傘をささない」という記述にも驚きました

「今はどうか知らぬが,昭和46年の時点では古今東西,軍人は傘をさしてはならなかった.では雨の日の外出はどうするのかというと,これも古今東西の常識として雨衣を着るのである」「そういえばお巡りさんが傘をさしている姿というのも,みかけたことがない」

そういえばそうですね 

それから,現代の女性は痩せることに腐心しているが,太ってもいないのに痩せようとしている女性に対しては「何の魅力も感じない」と言っています.これには同感します 

折しも27日の朝日の天声人語は「世界的ファッション誌”ヴォーグ”が,痩せすぎたモデルは使わないと宣言した.誌上にあふれる”偏った体型”に憧れ,過激なダイエットに走る読者がいるためだ.日本版は月曜発売の7月号から,健康美を尊ぶ新方針で編集されている」と書いています

天声人語は「肥満は万病の元だが,痩せすぎも総身をむしばむ.食べたいのに食べられず,太りたくても太れぬ人がいるのに,あえてガリガリを目指す修業はなんとも美しくない」と結んでいます.まったくその通りだと思います

 

          

 

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批評家の役割について~丸谷才一氏「吉田秀和さんを悼む」

2012年05月30日 06時50分24秒 | 日記

5月30日(水).昨夕はコンサートも飲み会もなく,久々にまっすぐ家に帰れました 帰りがけに何気にバスの車体を見ると Non step bus と書かれていました.お年寄りや身障者の人が乗りやすいようにステップのないバスですね さて,ここでいきなり問題です これを一文字変えるだけで特急バスにしてください 優しすぎたかな?答えはこのブログの最後に・・・・・

 

  閑話休題  

 

昨日の朝日夕刊の文芸・批評欄に作家・丸谷才一氏が「われわれは彼によって創られた 吉田秀和さんを悼む」と題する文章を書いています

「批評家は2つのことをしなければならない.第一にすぐれた批評文を書くこと.そして第二に文化的風土を準備すること.この2つをおこなって,はじめて完全な批評家となる.・・・・・吉田秀和はこの両面を備えていた たとえば桐朋学園音楽科一つとっても,彼の存在がなければ,小澤征爾も東京カルテットも今井信子も高橋悠治も中村紘子も,あのような花やかな成果をあげられたかどうか疑わしい・・・・とにかく文章がうまかった.内容があって新味のある意見,知的で清新で論理的な文章を,情理兼ね備わった形で書くことにかけては,近代日本の評論家中,随一だったのではないか・・・・われわれクラシック音楽の愛好者は彼によって創られた

”2つのこと”のうち「批評文を書くこと」だけの批評家は掃いて捨てるほど存在します 中には年間何回もコンサートを聴きに行っていないのに,りっぱな批評文を書いている人もいるかもしれません もう10年以上前のことだったと思いますが,ある高名な音楽評論家が年末の回顧に「今年は90数回コンサートに通った」と書いていました.その年に110回以上コンサートに通った私は,プロの評論家でも生演奏を聴くのが100回にも満たないのか,大したことないなと思いました ”問題は回数じゃない.内容だよ”とおっしゃるかも知れませんが,プロだったらより多くナマで演奏を聴いて,”取り上げるに値する演奏”を書くべきだと思います 私はプロではありませんので,聴いたすべての演奏会を取り上げて,書きたいことを書きます

  

  も一度閑話休題  

 

10月6日(土)午後3時からすみだトりフォニーホールで開かれる「オール・アバウト・ハインツ・ホリガー」公演のチケットを買いました 曲目は①シューマン「交響曲第2番」,②モーツアルト「オーボエ協奏曲ハ長調K.314],③ホリガー「音のかけら」,④ラヴェル「ラ・ヴァルス」の4曲.指揮とオーボエをホリガーが担当し,新日本フィルが演奏します

これは,第一にホリガーによるモーツアルトのオーボエ協奏曲を聴きたくて買ったようなものです 指揮者としてのホリガーはまったくの未知数です もちろん作曲家としてのホリガーも ただ,シューマンの交響曲第2番の指揮は案外面白いのではないか,と期待しています

 

          

 

〔冒頭のクイズの答え〕

 Non stop bus  やっぱり簡単でしたね.正解者には賞賛の嵐の詰め合わせセットをお贈りします

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「脂ののったビーフステーキのような音楽」・・・・音楽評論家・吉田秀和氏逝く

2012年05月29日 06時52分09秒 | 日記

29日(火)。昨夕、記者クラブ会員総会・懇親会があったので出席しました 懇親会の冒頭、今年度の日本記者クラブ賞の贈賞式があり、本賞として「三陸被災者ルポ」の毎日新聞・萩尾記者が、特別賞として福島第一原発水素爆発の瞬間を撮影した福島中央テレビ報道制作局と、手書きの壁新聞を発行した石巻日日(ひび)新聞がそれぞれ受賞しました 授賞に当たってクラブ理事長があいさつで述べたとおり,3者の受賞に共通しているのは「現場を重視する報道への原点がえり」です.3者とも現場に居なければできなかった報道です このうち石巻日日新聞は、昨年3.11の東日本大震災を受けて輪転機が使用不要となる中、3月12日から6日間、手書きの壁新聞を発行して、被災者に身近な震災の状況を伝えました。当ビル1階ホールでも昨年5月下旬に壁新聞現物を展示し来館者にご覧いただきました。初日の12日付の壁新聞は現在、米ワシントンンのニュースの総合博物館「ニュージアム」に”歴史的な新聞”として展示されています

懇親会では約1時間ほどビール ワイン を飲みながら懇談して,S監査役,E部長と地下のOに移りました.するとS建設の巨漢F氏とS冷熱の某氏が飲んでいたのでジョインしました.底なしのF氏が酎ハイを飲んでいて日本酒を飲まなかったにも関わらず,途中からS冷熱の営業担当者が加わったこともあって,1升瓶があっという間に空いてしまったので,新しい「きりんざん」をキープして飲みました いつものようにバカ言って飲んでいたので何時に解散したのかまったく覚えていません

 

                 

 

  閑話休題  

 

昨日の朝日朝刊第1面に「吉田秀和さん死去 98歳 音楽批評を確立」という記事が載りました 音楽評論家の死亡記事が全国紙の第1面を飾るのは極めて異例のことです 彼の死は日本のクラシック音楽界の中で、それほど大きなニュース・バリューがあるという証左です。記事は次のように書いています。

「日本で初めて本格的なクラシック音楽批評の方法を確立した音楽評論家で、文化勲章受章者の吉田秀和さんが、22日午後9時、急性心不全のため神奈川県鎌倉市の自宅で死去した。98歳だった。1971年から本紙文化面の「音楽展望」の執筆を続けてきた。東京都生まれ。東京帝国大学仏文科卒業後、雑誌に連載した「モーツアルト」で評論活動を開始。技術論や人間論に偏した先行世代の批評に反発し、芸術独自の立場から音楽をとらえる「自立した音楽批評」を生み出した。美術、演劇、文学など幅広い知識に裏打ちされた魅力的な表現で支持を得、音楽界に多大な影響力を持った」

主にLPからCDの時代にかけてクラシック音楽を聴いてきたわれわれの世代にとって、吉田秀和氏の音楽評論は、ある意味”バイブル”的な存在でした 朝日の「音楽展望」は、時にまったく音楽とは関係ないテーマを取り上げ「何が音楽展望だ!」と反発を覚えたことを覚えています

彼の評論の中で忘れられない表現があります 今から20年以上前のことだったと思いますが、ヘルベルト・フォン・カラヤンがベルリン・フィルを指揮してドイツ・グラモフォンに入れたモーツアルトの「ディヴェルティメント第15番K.287」のアダージョを評して「脂ののったビーフステーキのような”演奏と書いたのです

まさにぴったりの表現でした。あっさりしているのではなく、分厚いステーキのような重みのあるこってりした演奏だったのです ”抽象的な事象を誰にも分かりやすい言葉で表現すること”こそ評論家の役割ではないかと思っている私は、これほど簡潔で的を得た表現に出会ったことがありませんでした こういう表現方法こそ私の目標だと言っても過言ではありません

吉田秀和氏は,私にとって、クラシック音楽(とくにモーツアルト)を聴く上で神様のような存在だった小林秀雄氏に次いで最も頼りとする評論家でした。謹んで故人の冥福をお祈りします

 

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聴衆総立ち!~ウィーン・フォルクスオパーでレハール「メリーウィドウ」を観る

2012年05月28日 07時00分11秒 | 日記

28日(月)。昨日、東京文化会館でウィーン・フォルクスオパーによるレハールのオペレッタ「メリー・ウィドウ」を観ました キャストはミルコ・ツェータにアンドレアス・ダウム,ヴァランシェンヌにマルティナ・ドラーク,ハンナ・グラヴァリにアレクサンドラ・ラインプレヒト,ダニロ・ダニロヴィッチにモルテン・フランク・ラ―セン,カミーユ・ド・ロションにヴィンセント・シルマッハ―,カスカーダ子爵にミヒャエル・ハヴリチェク,ラウル・ド・サン・ブリオシュにロマン・マルティン,ボグダノヴィッチにヨアヒム・モーザー,シルヴィアーヌにリディア・ぺスキ,クロモウにライムント・マリア・ナティエスタ,オルガにベアーテ・リッター,プリチッチにハインツ・ズ―ラ―ダ,プラスコヴィアにスーリエ・ジラルディ,ニェーグシュにロベルト・マイヤーという面々で,エンリコ・ドヴィコ指揮ウィーン・フォルクスオパー管弦楽団,ウィーン・フォルクスオパー合唱団,ウィーン国立バレエ団です.このうち何人かは13日の「こうもり」で聴いています

 

          

 

会場はほぼ満員,自席は1階27列21番で,後方ながら通路側です.ストーリーは次のとおりです

騎兵少尉のダニロ伯爵は,貧しい所領管理人の娘ハンナと相思相愛の仲でしたが,伯父から相続権を剥奪すると脅迫され,ダニロは身分違いの恋を諦めます ハンナはボンデヴェドロ国の銀行家である富豪のグラヴァリと結婚しますが,結婚の数日後に夫が急逝して未亡人となります その後,予備士官となったダニロは,ボンデヴェドロ公使館の書記官としてパリに赴任します.新たな任務に満足できないダニロは,夜ごと高級クラブ「マキシム」に出かけて酒と女たちで気を紛らわせています そんなダニロとハンナは反発しあいながら,お互いに惹かれあい,最後はハッピーエンドを迎えます

 

          

 

ハンナ役のラインプレヒトは伸びのあるソプラノで,第2幕の「ヴィリアの歌」を心情豊かに歌い上げていました 演技ができるソプラノです.ヴァランシェンヌ役のドラークは「こうもり」でイーダを歌ったソプラノですが,このオペレッタの行方を担う重要な役割を美しく演じました 第3幕パリの「マキシム」でウィーン国立バレエ団とともに踊るシーンがあるのですが,「こうもり」の時も見せてくれたバレエの実力を如何なく発揮し,見事に踊っていました この人はクラシック・バレエの心得があります.あとは,出番は少なかったものの,オルガ役を演じたベアーテ・リッターは「こうもり」でアデーレを演じていたソプラノですが,魅力的な歌を聴かせてくれました

男性陣ではダニロ役を歌ったラ―センが歌も演技も体当たりで取り組んでいて好感が持てました 第3幕でのハンナとのデュエット「メリー・ウィドウのワルツ」はなかなか聴かせてくれました.また,カミーユ・ド・ロション役のシルマッハ―は「こうもり」でアルフレート役を演じたテノールですが,無理のない発声による気持ちの良い声で聴衆を魅了しました この人は名前によらず東洋人的な顔つきをしています.

そして「こうもり」ではセリフのみの出場(フロッシュ)だったウィーン・フォルクスオパー監督のロベルト・マイヤーが,このオペレッタでは歌も歌うニェーグシュを演じていました 歌もなかなかのものですが,この人は身のこなしが柔軟で,自転車で登場したりして会場を和ませていました

第3幕フィナーレなどは会場の聴衆も手拍子でこの舞台に参加し,いっしょに楽しんでいました 何回かカーテンコールがあって,歌手陣,コーラス,バレエ団が登場し声援に応えていましたが,指揮者のドヴィコも舞台上にいるのに,急にまたフィナーレの音楽が鳴り始めました みな「おやっ?」と思って指揮台を見ると,何とニェーグシュを歌ったマイヤー監督が,いつの間にか舞台から下りてタクトを持って指揮をしているのです あまりの堂々たる指揮ぶりに会場はヤンヤの喝さいでした オーケストラの団員もプロ並みの指揮ぶりに驚いている様子でした

大きな拍手とブラボーの中,何回か幕が開き幕が下りて,あぁこれで最後かと思っていると,また幕が開き,上から「 SAYONARA  See you again 」と書かれたネオンサインが下りてきてピカピカ光っていました 舞台上の出演者が手を振ってあいさつをすれば,会場の聴衆も総立ちになって,あるものは拍手を,ある者は手を振って別れを惜しんでいました こんな感動的なフィナーレは本当に久しぶりです しばらく「メリー・ウィドウのワルツ」のメロディーが頭を離れそうもありません

この公演は,私の今年聴いた,あるいはこれから聴くクラシック・コンサートの中でベスト3に入るのではないかという予感がします

 

          

 

〔追伸〕

さて,昨日のグログに書いた「まさか」がありました.東京文化会館の1階27列21番の私の席のすぐ前の席に「ブラボー」の代わりに「ボー」と叫ぶ某氏(ボー氏)がいたのです 前日と同じチェックのシャツを着ていたのですぐに分かりました.歌手の歌声に「ボー」を連発していました ボーさん,シャツは洗濯しましょうね.私はこれから座席を選択することにします

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レンメルト(メゾ・ソプラノ)でマーラー「大地の歌」を聴く~東響第600回定期演奏会

2012年05月27日 07時17分20秒 | 日記

 

27日(日)。昨日,午後1時から10階ホールで記者クラブ主催によるハーバード大学教授マイケル・サンデル教授の話を聴きました サンデル教授が最近書かれた「それをお金で買いますか:市場主義の限界」を中心に,主に会場からの質問に答える形で進められました.会場は新聞記者,放送記者,新聞・放送のOB,学生などの記者クラブ会員約130名が参加しました

司会者の話によると,サンデル教授はこの日,日本に着いたばかりで,この後来週月曜日に東京国際フォーラムで開かれる5000人を対象に特別講義を行うとのことでした

質疑では,最近の日本を取り巻く状況を反映して「3.11後の瓦礫処理を他の地方自治体が受け入れ拒否していることについて,これは正義か?不正義か?」「瓦礫処理をどうすべきか?」などの問題提起が出されました

瓦礫処理に関連してサンデル教授はスイスの実例を挙げて「スイスでは原子力発電所があるが,原子力発電の廃棄物をどうするかの世論調査を実施した.それを自分の住む町で受け入れるか,という質問に51%の人が受け入れると答えた さらに,受け入れたら補償金を支払うという条件を付したらどうするか,と質問したところ,受け入れるとしたのは25%に減ってしまった 人々は共同責任として受け入れると考えていたが,お金が絡むことによって,逆に原発の廃棄物は危険が大きいと疑いを持つようになったのではないか.家族の方が大事だと考えるようになったのではないか」と説明していました

おもしろいと思ったのは,司会者がサンデル教授の著書「それをお金で買いますか:市場主義の限界」の中で触れている「パトカーに広告を載せることをどう考えるか」という問題提起を取り上げた時です 司会者は「パトカーに広告を載せることによって,その収入が治安を維持することに役立つならば,マクドナルドのMマークがパトカーの車体に描かれても許されるのではないか 問題は,公の機関の威厳が損なわれるかどうかが線引きの基準になるのではないか」と発言しました.サンデル教授も「まさに公の威厳が保たれるかどうかが基準になると思う」と答えていました.さらに,「教育の分野(学校や教科書か?)に広告を持ち込んではいけない」と主張していました

身近な例では,私の住むマンションの近くを都電が走っていますが,ほぼ2台に1台の割合で車体に企業や学校の広告が描かれています.都電は東京都が運営しているので公の機関が広告を取っているわけですが,見た目は美しくないと思うものの,東京都の威厳が損なわれるとまでは思いません それよりも都も経営努力をしていると考えます.ただ,パトカーにマックのMマークが付いていたら抵抗が強いと思います

サンデル教授は来週月曜日(5月28日)午後7時から東京国際フォーラムで特別講義「ここから,はじまる 民主主義の逆襲」と題する特別講義をします.入場無料ですが,聴講券が必要とのこと.問い合わせ先は神田の早川書房とのことです

 

           

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第600回定期演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第35番”ハフナ―”」、②マーラー「大地の歌」の2曲。メゾ・ソプラノはドイツ出身のビルギッド・レンメルト、テノールはハンガリー出身のイシュトヴァーン・コヴァ―チハ―ズィ、指揮は常任指揮者ロベール・スダ―ンです

最初のモーツアルトの「ハフナー交響曲」は1782年7月に,ザルツブルクの市長の息子ジークムント・ハフナーが貴族爵位を授与されるにあたって作曲した曲ですが,当時モーツアルトは多忙の身で,7月29日の爵位授与式には間に合いませんでした

オーケストラは約50人の小規模編成です.指揮者のスダーンはタクトを持たず,指揮台も置きません.軽快なテンポで音楽が進みます.フルートとオーボエが心地よく響き,ティンパ二の乾いた音が曲にアクセントを与えます.スダーンのモーツアルトは素晴らしいです

2曲目のマーラー「大地の歌」は,9番目の交響曲に当たる曲ですが,マーラーは第9のジンクスからこの曲には交響曲第9番とは名づけず「大地の歌」という名前を付けました 6つの楽章からなりますが,奇数楽章をテノールが,偶数楽章をメゾ・ソプラノが歌います

フル・オーケストラがスタンバイする中,スダーンとともにテノールのイシュトヴァーン・コヴァーチハーズィとメゾ・ソプラノのビルギット・レンメルトが登場します.驚いたのはロゼワイン・レッドのドレスに身を包まれたレンメルトがかなり大柄だったことです 指揮台に上がったスダーンと頭の位置が同じ高さなのです

スダーンの両手の合図で第1楽章「大地の哀しみに寄せる酒の歌」が始まります.テノールがオーケストラと音の大きさを張り合います 明るい曲想にも関わらず最後のフレーズは”生は暗く,死もまた暗い”です レンメルトは第2楽章「秋に寂しきもの」を美しいオーボエとフルートに支えられながらしみじみと孤独を歌い上げます

第3楽章のテノールによる「若さについて」は,何年も前にサントリーがウィスキーのコマーシャルで使い話題になった曲です.テノールがテンション高く歌い上げます

第4楽章「美しさについて」をレンメルトがしっとりと歌います ここで気が付いたのは,コヴァーチハーズィが譜面からほとんど目を上げないのに対して,レンメルトは会場を右から左まで見渡しながら,一人一人に語りかけるように歌っていたことです

第5楽章「春に酔える男」をテノールが歌い,第6楽章「告別」に入ります.荒絵理子のオーボエが冒頭を飾ります.この人の演奏はいつ聴いても素晴らしいと思います レンメルトはここでも圧倒的な存在感で,会場を見渡しながら余裕の表情で「告別」を歌い上げます

この曲は2人の独唱者が優れていないと成り立ちませんが,この日の演奏は最高のキャストで,最高のパフォーマンスでした まさに拍手鳴り止まずの状態でした

 

           

 

〔追伸〕

14日のブログで,13日にウィーン・フォルクスオパーの公演の時に隣の席に座っていた中年男性が,東響サントリー定期の近くの席の人ではないか,と書きましたが,間違いありませんでした この日も「ブラボー」という掛け声が「ブラ」が外れて「ボー」に聴こえました 私の2つ後ろの席が定位置の”ノーブラ”某氏の顔は確かにあの日の人でした 実は今日,東京文化会館にウィーン・フォルクスオパーの「メリー・ウィドウ」を観に行くのですが,まさか,またノーブラ氏が隣の席では・・・・・・・

それで思い出しましたが,2日前の阪神-ソフトバンク戦を終えて和田監督が「マートンの調子が上がってきたので,あとはブラが上がってくればいいのだが」というコメントをしていました ブラとはブラゼルのことですが,いつかテレビの阪神戦で観客席が映し出されたのを観ていてら「ファミリー・マートン」はまだご愛嬌で許せるのですが,「天使のブラ」というパネルが掲げられていて唖然としました 「あんた,トリンプかワコールの回し者かい?」と突っ込みを入れたくなりました.ブラゼルが日本語を理解してこれを見たら気が抜けるだろうな,と思いました いずれにしても,今の阪神は胸ではなく戦力の”底上げ”が必要ですね

         

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32年の実績を残して黒沼ユリ子音楽院閉鎖へ

2012年05月26日 06時52分45秒 | 日記

26日(土)。昨夕、消火器操作訓練の反省会ということで地下のRで警備関係T社のN部長、防災センター隊員、当社のS監査役、E部長、T君、K君らと飲みました その後,有志でHCビル地下のKに流れ,またまた飲みました その後,都営三田線グループのS隊長,I隊員,T隊員と神保町で降り3次会に流れました ここでは7月4日に開かれる丸の内消防署主催「自衛消防訓練審査会」に出場するI隊員とT隊員を激励しました.この2人はH隊員と3人で昨年の審査会で5位に入賞しています.丸の内消防署管内で5位は全国で5位と同じことです.今年は新人のK君を加えて審査会に臨みます.現在,警備の仕事を続けながら7月4日に向けて自主訓練に取り組んでいます.PCビルのテナントの皆さん,彼らを応援してあげてください

 

  閑話休題  

 

24日の日経朝刊に「黒沼さん運営 音楽院閉鎖へ メキシコ、来月末に」という小さな記事が載りました。記事によると、

メキシコ在住の世界的ヴァイオリニスト、黒沼ユリ子さん(71)が、同国で運営している音楽院「アカデミア・ユリコ・クロヌマ」を6月末に閉鎖する。社会情勢変化などで生徒数が激減、役割を終えたとして、1980年創設以来32年の歴史に幕を下ろす 黒沼さんは60年のプラハ現代音楽演奏コンクールで1位になるなど国際的に活躍、メキシコに永住を決め、弦楽器専門の音楽院を設立した。延べ1000人以上の生徒にヴァイオリンを教えた。120人程度いた生徒数は6分の1に減少していた

何年前か忘れましたが、同じ日経の文化面に、その音楽院の現況を黒沼さんが書かれていたのを思い出しました。その時は異国にあって大変なご苦労をされているのだな と思いました。6月7日には記者クラブ主催で黒沼さんを囲む会が開かれ、32年間の歩みとこの間のメキシコや世界の変化について思いを語ることになっています。黒沼さん、長い間お疲れ様でした

今日は,午後”ハーバード白熱教室”で有名なマイケル・サンデル教授の講演会を聞いて,夕方サントリーホールで東京交響楽団の定期コンサートを聴いてきます.休んでる暇ないなぁ

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東京藝大学生オーケストラでショスタコーヴィチの「第5交響曲」を聴く

2012年05月25日 06時38分06秒 | 日記

25日(金)。昨夕、東京藝大奏楽堂で東京芸術大学・学生オーケストラによる第46回定期演奏会を聴くため上野に行きました 上野駅の公園口を出て,東京文化会館のわきの道を通り抜け,噴水広場に出ると随分景色が様変わりしていました パークサイド・カフェとスターバックスが広場を鋏むように店を構えています 噴水も威勢よく吹き上がっていました

会場の東京芸術大学の構内にある奏楽堂に着くと,全自由席とあって長蛇の列が出来ていました それでも,後方ながら1階23列25番の通路側席が取れました 会場は8~9割の入りといったところ.学生オーケストラの演奏ということもあって,若い聴衆が多いようです.コンマスは女子学生です

この日のプログラムは①モーツアルト「交響曲第32番ト長調K.318」、②ハイドン「トランペット協奏曲変ホ長調」、③ショスタコーヴィチ「交響曲第5番ニ短調”革命”」の3曲。指揮は尾高忠明(東京芸大教授)。トランペットは東京芸大准教授の栃本浩規です.

 

                    

 

1曲目のモーツアルト「交響曲第32番ト長調K.318」はマンハイムーパリの大旅行からザルツブルクに帰ってきた後の1779年4月26日に完成しました

尾高忠明のタクトが振り下ろされ,威勢のいい音楽が奏でられます 3つの楽章が切れ目なく演奏されますが,明らかにオペラの序曲と思われる曲想です.尾高は”これぞモーツアルト”という適切なテンポで音楽を進めます

この曲が終わり,管楽器を中心にメンバーの入れ替えがあったとき,会場の3列目位の天上から吊るされた集音マイクが左右に大きく揺れました.さては地震か と思ったのですが,足元に揺れは感じません.この奏楽堂は残響時間を調整するため天上の上げ下げを調節できるようになっています.その操作をやったのかも知れません

2曲目のハイドンのトランペット協奏曲は,1796年にトランペット奏者アントン・ヴァイディンガーのために作曲したもので,1800年3月28日に,彼のソロで初演されました トランペット協奏曲と言えばハイドンと言われるほどの”代名詞的”な曲です

トランペットのソロを吹く栃本浩規は東京フィル,NHK交響楽団などで活躍した人で,今年4月から東京芸大准教授に就任しました

この曲も軽快なテンポで開始され,トランペットが気持ちよさそうにメロディーを奏でます 第2楽章の途中,やや不安定な部分もありましたが,細かいところは抜きにして十分楽しませてもらいました

ショスタコーヴィチは,1936年に共産党機関紙「プラウダ」紙上で「ブルジョワ的,形式主義的だ」,「芸術は社会主義リアリズムに沿って作らなければならない」と批判されます 彼は翌年,「苦悩を克服して歓喜へ至る」というベートーヴェン的な伝統に則った曲想により第5交響曲を作曲します.大衆に分かりやすい音楽により彼は名誉挽回をはかります

尾高のタクトにより第1楽章冒頭,低弦の唸りが響き渡ります.チェロ,コントラバスセクションは底力があります 第2楽章の冒頭でもその能力が発揮されます.管楽器も素晴らしいパフォーマンスです

私は3人の奏者に注目してトライアングルを描くように観ていました まず,髪をポニーテールにしているコンマス,メンバー表によると石田紗樹さん.第2楽章のソロが冴えていました 次はチェロの首席の女性.この人もポニーテールです.指揮者の真ん前に座って演奏しているので自然に目に入ります.安定感があり表情も豊かです もう一人は一番後ろの真ん中で構えるティンパ二の女性です.とくに第4楽章フィナーレの連打は”見もの聴きもの”でした.立ち上がると背丈は低いのですが,その演奏は胸がすくような気持ちの良いものでした

かつて,宇宿允人(うすきまさと)が存命中,フロイデ・フィルを率いていましたが,ティンパ二は斉藤さんという女性でした.この人の演奏を観て聴いてから,「ティンパには女性の方が断然いい」と思うようになりました

尾高は学生オーケストラの潜在能力を最大限に引き出して,聴衆に作曲家のメッセージを伝えてくれました 素晴らしい指揮者です.彼は新国立劇場のオペラ部門の芸術監督を務めていますが,人間的にも素晴らしい人だと思います

この日の演奏会は大成功でした.曲の魅力もありますが,何より演奏が素晴らしかったです これで入場料1,500円です.信じられないほどコスト・パフォーマンスが高いコンサートです.学生オーケストラを馬鹿にしてはいけません.プロではない彼らは真摯に楽譜に向き合います.機会があれば,是非また聴きに出かけたいと思います         

6月~7月の間,東京芸大のコンサートは次のようなものがあります.良い音楽を割安で聴くチャンスです.お薦めします

(1)6月21日(木)19時開演.芸大フィルハーモニア演奏会①ラフマニノフ「パガニーニの主題による変奏曲」,②同「交響曲第2番」尾高忠明指揮.江口玲ピアノ.全自由席3,000円.

 

                    

 

(2)6月30日(土)15時開演.芸大チェンバーオーケストラ演奏会①バッハ「ブランデンブルク協奏曲第3番」,②同「2つのヴァイオリンのための協奏曲」,③メンデルスゾーン「弦楽のための交響曲第9番」,スーク「弦楽のためのセレナード」.ヴァイオリン独奏:玉井菜採,松原勝也.全自由席1,500円.

 

                    

 

(3)7月5日(木)19時開演.芸大ウインドオーケストラ公演①ワーグナー「タンホイザー序曲」,②ウェーバー「クラリネット協奏曲第2番」ほか.クラリネット:ベルリンフィル首席クラリネット奏者・フックス.入場無料.

 

          

 

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今日はベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第9番”クロイツェル”」初演の日♪

2012年05月24日 06時47分55秒 | 日記

24日(木).昨夕は金曜日でもないのにテナントFのIさん,S監査役,E部長と仕事の打ち合わせでHCビル地下のKで飲みました 仕事であれ何であれ2日連続で飲み会はしんどいです。昨夕は2次会には行かなかったものの解散が9時半過ぎだったので,やっぱり疲れるなあ

 

 閑話休題  

 

今日5月24日はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」が初演された日です.1803年のこの日でした

ピアノが主体だった従来のヴァイオリン・ソナタに対して,”あたかも協奏曲のように,合い競って”(ベートーヴェンの言葉)ヴァイオリンが演奏されます この曲が書かれたのは作曲者が32歳の時で,交響曲では第3番「英雄」を作曲していた頃に当たります.彼はヴァイオリン・ソナタを10曲書いていますが,第10番を書くのは第9番”クロイツェル・ソナタ”から10年後のことです

曲名の”クロイツェル”は,献呈されたフランスのヴァイオリニストのルドルフ・クロイツェルに由来しますが,本人は一度もこの曲を演奏することはなかったと言われています

いつもならアルチュール・グリュミオーのヴァイオリン,クララ・ハスキルのピアノによるCDをお薦めするのですが,今日は敢えていつもと違う演奏をご紹介します.ジノ・フランチェスカッティのヴァイオリン,ロベール・カサドシュのピアノによる演奏です.フランス人同士の演奏ということもあってエスプリの利いた自由な演奏です

 

          

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マンネリこそ魅力~向田邦子著「森繁の重役読本」を読む

2012年05月23日 06時45分43秒 | 日記

23日(水).昨夕は,取締役会が終わって一区切りということで,地下のOでS監査役,E部長,K君と軽く打ち上げをしました  7時ごろには解散したのでほぼ予定通りといったところです.例によって何の話をしたのやら覚えておりません 金環日食,東京スカイツリーのオープンと大きな出来事が続いたので,そんなことが話題になったのでしょうね,きっと

 

  閑話休題  

 

向田邦子著「森繁の重役読本」(文春文庫)を読み終わりました この本は、作・向田邦子、朗読・森繁久彌の名コンビで2448回も続いたラジオエッセイの台本から選りすぐりの作品を再編集したものです。向田邦子の実質的な本格デビュー作といってもよい作品です

「森繁の重役読本」は昭和37年3月から44年12月まで,日曜を除く毎朝5分間放送された森繁久彌朗読による連続ラジオエッセイです 放送局と放送時間に移動はあったものの2448回続きました シナリオ台本は散逸しましたが,森繁久彌が大半のシナリオを保存しており,現在は向田邦子の母校である実践女子大学に保存されています

巻末に森繁久彌が小文を寄せていますが,向田邦子の人となりがよく表れているようで面白いです

「1回分の帯ドラマで,200字詰め原稿用紙7枚程度の掌編が8年余り続いた.週に1度10回分ほどを録りだめするのだが,台本のあがりが毎回,収録ぎりぎりになる.しかも大変な悪筆で,字はぐじゃぐじゃ.男みたいな,ひんまがった字でタタッと書いてあり,われわれには読めない文字だった 始終ケンカばかりしていた.「以前,オンエアしたのと同じ趣旨じゃないか」,「そうよ.それでいいのよ.毎回違ったものを書いちゃ駄目なの」-てな調子で,まさに楽しいケンカだった 5分間のラジオ番組というものは,キャラクターがはっきりしていないと良くない.そこから,ある種の”マンネリの魅力”が発生しそれが聴く側を安心させ,固定客を掴むことにつながるのだというのが向田さんの持論なのだ

これを読んで思ったのは映画「男はつらいよ」です.映画におけるマンネリズムの極致といってもいい作品ですが,要は観客が”マンネリ”を求めているのですね また,「字はぐじゃぐじゃ・・・ひんまがった字」のくだりは親近感を感じます 前にいた職場で労働組合の書記長をやっていたときに,”みみずがのたくったような”字で書いた組合ニュースを配っていたら,組合員が「こんなきたねー字,読めねーよ」と文句を言いました.その時,そばにいた”会社側”の総務部長が「ばか者 組合員なら読むように努力しろ」と叱りつけたのです.どっちが敵でどっちが味方なのか分からなくなりました

さて,この本を実際に読んでみると分かりますが,今の時代からみると非常に古いという感じがしますそれはそうでしょう.昭和37年から45年までに書かれたラジオの台本です.一言でいえば「昭和の重役」を描いています.おそらく50代の上場企業の取締役クラスの人で,恰幅が良く,嫁入り前の娘と学生上がりの息子が一人ずついて,家には何人かお手伝いさんがいるーという設定です.今ではちょっと考えられないでしょう

にも関わらず,この本にはかけがえのない魅力が溢れています.一言でいえば文章が素晴らしい 森繁が指摘しているように”男勝り”の文章ですが,日常生活に根差した身近なテーマを取り上げているのに,他人が気が付かないところに目をつけて”切れ味鋭く”料理しています 一例をあげでみましょう.下は「君の名は?」というテーマのシナリオの一部です.

「歳をとると,どうも忘れっぽくなっていかんよ.ウーン,どうも思い出せんなあ,失敬だがキミ,名前は何だっけなあ」

「はあ,田中です・・・・・」

「田中は知ってますよ,ぼくが聞いているのは,名前のほうなの」

「七郎です」

「あ~七郎だったね.田中七郎,田中七郎と・・・・・」

いかがでございます.ただし,このやりかた,2回はいけませんぞ.1回コッキリしか使えませんから,あとは責任を持って名前と顔を覚えること.「君の名は」・・・・これはおひとり様1回限り・・・・・よろしいですな?

どうですか,こんな調子で続きます.私は向田邦子の文章が好きで,彼女の書いた小説,エッセイはすべて読みました 文章に味があり生き生きとしていて,小気味の良いテンポ感が何とも言えません.彼女の作品を読むようになったきっかけは,娘が実践女子高校に入学したことです(大学こそ美術大学に進みましたが).そのころ集中的に読んだものです.今でも本屋で向田邦子の名前を見ると胸がときめきます

 

           

 

   も一度閑話休題  

 

東京交響楽団から「5月11日 東京オペラシティシリーズ 第67回 出演者キャンセルに伴うチケット代金 半額払い戻しのご案内」が届きました 予定されていたシベリウスのヴァイオリン協奏曲が聴けなかったことによるものです

「今回の演奏会では,ヴァイオリンのヴィルデ・フラングが,本番前のゲネプロ(会場リハーサル)終了後,急に体調を崩し,救急車で病院へ搬送されたため,ヴァイオリン協奏曲の演奏が不可能となり,他2曲だけの演奏会となりました」,「このたびのソリストの出演キャンセルに伴い,チケット代金の半額払い戻しをさせていただきます」

として申込書に氏名,電話番号,振込先銀行口座名を明記して楽団まで返送するよう求めています楽団にとっては半額の払い戻しに加え,返信用の送料も負担しているので大きな損失だと思います心ある人は楽団の窮状を鑑みて払い戻しを請求しないのでしょうが,私としては,戻ってくるお金を,次に買うチケットに投資するため,ありがたく払い戻していただきます

 

          

 

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「楽劇」の創始者~今日5月22日はリヒャルト・ワーグナーの誕生日です♪

2012年05月22日 06時44分52秒 | 日記

22日(火).今日5月22日はリヒャルト・ワーグナーの誕生日です 生まれたのは1813年のこの日でした.つまり来年,生誕200年を迎えるわけですね.ワーグナーほど波乱に満ちた人生を送った音楽家は珍しいでしょう

ゲヴァントハウス演奏会でベートーヴェンの交響曲を聴いて以来音楽に熱中しました.ライプチヒ大学に通学中に作曲理論に精通し,19歳の時に自作が演奏されて作曲家としてのスタートを切りました その後,大学を退き,オペラの合唱長から指揮者になってドイツ各地を巡り,ロシアのリガでオペラ指揮者として2年を過ごしました.26歳でパリに行き,3年間の辛苦の後ドレスデンに戻り,宮廷楽長の地位を得ました 1848年(35歳)革命に参加して逃亡し,スイスを中心に各地を旅して作曲・指揮・評論活動を行い,64年(51歳)バイエルンのルートヴィッヒ王に認められ,晩年はバイロイトに理想の祝祭劇場を建てて自作の上演につとめ,70歳の時ヴェネツィアで療養中に死去しました この間,指揮者ハンス・フォン・ビューローの妻でリストの娘コジマを横取りしたり,ヴェーゼンドンク夫人にチョッカイを出したり,音楽以外の世界でも精力的に活動しました 一般人とは人生のスケールが違うようです

彼はオペラの伝統を破って,音楽,劇,文学を結びつけた総合芸術としての「楽劇」を創始しました その和声語法は調性を崩壊へと導き,20世紀の音楽への道を切り開きました

ワーグナーの歌劇や楽劇をCDで聴くのは気力と体力と時間が求められます.もしCDでワーグナー音楽のエッセンスを聴きたいという方には管弦楽曲集をお薦めします 下に紹介するCDは「リエンツィ序曲」「さまよえるオランダ人序曲」「タンホイザー序曲」「ローエングリン第1幕への前奏曲」「同第3幕への前奏曲」「トリスタンとイゾルデより前奏曲と愛の死」が収録されたCDで,オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団が演奏しています.重心の低い堂々たる演奏です

 

          

 

もし気力,体力,時間がある人で楽劇を観たいという人には,先日のブログでも紹介したMETオペラビューイング「二―ベルングの指環」四部作をお薦めします 8月11日から24日まで東銀座の東劇で上映されます.ハイテクを駆使したルパージュの演出は革命的です

 

          

 

  閑話休題  

 

毎年秋にNHKホールでNHK音楽祭が開かれ内外のオーケストラが演奏しますが,今年はティーレマン指揮ドレスデン国立管弦楽団,ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団,マゼール指揮NHK交響楽団が競演します 昨日5月21日がチケットの発売開始日だったので,会社帰りにチケットぴあに寄ってみました.目当ては10月22日のドレスデン国立管弦楽団のブラームス「交響曲第1番」「同第3番」の公演です

ところが,SS席からD席までチケットぴあの取り扱い分は売り切れというのです.発売初日ですよ  どうしてこういうことになるのでしょうか 発売開始時間の午前10時に電話予約が殺到して即完売になったのでしょうか ドレスデン聴きに行きたいよ~

その代わりと言ってはなんですが,6月30日(土)午後2時からヤマハホールで開かれる藤原歌劇団による「ベッリーニの世界」のチケットを買いました ベッリーニの歌劇「夢遊病の女」他のアリアが藤原歌劇団の若手歌手たちによって歌われます.ソプラノ=清水理恵,宮本彩音,古澤真紀子,メゾ・ソプラノ=吉田郁恵,テノール=曽我雄一,バス=小田桐貴樹,ピアノ伴奏=浅野菜生子といった面々ですが,私はピアニストしか知りません 入場料金は1,500円です.いずれ日本のオペラ界をリードする人たちと信じて,気軽に聴いてこようと思います

 

          

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