人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ユライ・ムラヴェツJr.監督「ウクライナから平和を叫ぶ Peace to You All」を観る ~ ウクライナ側と親ロシア派側 双方からの証言を記録したドキュメンタリー:ユーロスペース

2022年08月15日 07時20分16秒 | 日記

15日(月)。わが家に来てから今日で2773日目を迎え、トランプ前米大統領が大統領退任時に機密文書を持ち出したとされる疑惑に関連して、米連邦捜査局(FBI)がトランプ氏の自宅を捜査したことを巡り、米紙ニューヨークタイムズは13日、トランプ氏の弁護士が今年6月、自宅にある機密文書をすべて政府に返却したとの書面に署名していたと報じたが、FBIはトランプ氏側がこの誓約に反し、機密文書がまだ自宅に残っていたことから強制捜査に踏み切った可能性がある  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     悪智恵の働くトランプのことだから 機密文書をメルカリに出品しようとしてたかも

 

         

 

昨日、渋谷のユーロスペースでユライ・ムラヴェツJr.監督による2016年製作スロバキア映画「ウクライナから平和を叫ぶ Peace to You All」(67分)を観ました

この映画は、2010年から旧ソ連の国々を取材してきたスロバキアの写真家ユライ・ムラヴェツJr.が2015年にウクライナ入りし、親ロシアのドネツク側とウクライナ側の両方の生の声を記録したもので、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻の背景に迫るドキュメンタリーです

2013年9月、当時の親ロシア派のウクライナ大統領・ヤヌコーヴィチが欧州連合との連合契約に署名しなかったことから、親欧米派の野党や大統領の汚職を批判する市民による大規模な反政府デモ(ユーロマイダン)が勃発し、翌年、ヤヌコーヴィチ大統領は国外に逃亡、親欧米派の政権が樹立された その後、ロシアによりクリミア半島が併合され、分離主義勢力によって14年4月にドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立が宣言された 15年4月に分離主義勢力が支配する東部のドネツクに向かったユライ・ムラベツJr.は、人々に取材を敢行する ドネツク側では、戦場に参加した鉱夫と参加しなかった鉱夫、ウクライナ兵にスパイと間違えられて拘束された男性、「プーチンに助けてほしい」と訴える高齢女性などの声を聞く 16年2月、入国禁止ジャーナリストとして登録されたことでドネツクに入れなくなったムラベツは、ウクライナ支配下の村や紛争の最前線マリウポリでウクライナ側の人々への取材を開始し、ウクライナ軍の大佐、手榴弾で手足を失った退役軍人、老女や少女、ホームレスの男性など、幅広い証言を拾い集める ドネツク側とウクライナ側、双方の証言を集め、当時の記憶を辿ることで紛争の本質や、人が戦争を繰り返す理由を問いただしていく

 

     

 

この映画を観ると、今年2月にロシアがウクライナに侵略する8年も前からウクライナの東部地区でウクライナ軍と親ロシア派の間で紛争が続いていたことがハッキリと分かります

ウクライナ側と親ロシア派、双方の様々な立場の人々の証言を聞くと、「誰も戦争を望んでいないし、常に犠牲になっているのは一般市民である」ことがあらためて浮かび上がってきます 市民の立場から言わせれば「いったい何のための、誰のための戦争なのか?」ということです 「なぜ、この戦争が起こったのか?」という問いに、ウクライナ軍の大佐は「歴史を学んでこなかったからだ」と答えます しかし、どこの国にも自国の「歴史」の授業はあるでしょう。問題はどういう教え方をするかです。一つの出来事は見方によって事実は異なりますが、真実は一つです なぜ戦争が起こったのかは「確かに事実としての歴史を学んだが、真実の歴史に学んでこなかった」からではないかと思います

この映画がドキュメンタリーとして説得力を持っているのは、ウクライナ側と親ロシア派の双方の住民から平等に「声」を聞いているところです これが片方だけの声だけなら「プロパガンダ」に過ぎません 異なる立場の意見を取材し報道するーこれがジャーナリズムの根本精神です

ところで、この映画を観終わって頭に浮かんだ疑問は、ロシアがウクライナに侵略する前にゼレンスキー大統領が「国内問題」として東部地区の紛争を終わらせることが出来なかったのか、ということです

しかし、これは実際には難しかったようです この日(14日)の朝日朝刊「The  GLOBE」が「プーチン  戦争への道」という特集を組んでいますが、概要次のように書かれています

「2019年12月9日、4か国首脳会議(フランス、ドイツ、ウクライナ、ロシア)がパリで開かれた この会議は2014年に始まったウクライナ東部の紛争の和平プロセスについて話し合うものだが、この時初めて、半年前に大統領に就任したゼレンスキーがプーチンと顔を合わせた。ゼレンスキーはロシア語を話す地域(クリビーリフ)の出身であることから、ウクライナ語ではなくわざわざロシア語でプーチンに話し合いを仕向け、ロシア側が突き付けた条件を丸のみにした しかし、ゼレンスキーの対話路線はプーチンを動かすことはできず、首脳会議では兵力引き離しや4か月後の会議の再開には応じなかった 7か月後に完全停戦の措置が決まったが、プーチンは翌21年に軍をウクライナ国境に集結させ、米国に、ウクライナを北大西洋条約機構(NATO)に加盟させないと確約するよう要求を突き付けた そして今年、侵攻前日の2月23日夜、ゼレンスキーは演説でプーチンに電話協議を申し入れたが拒否されたと明かした

この時、プーチンは「ウクライナは1991年のソ連崩壊で歴史の必然性なく独立し、欧米の手先となってロシアに脅威をもたらしている」という強迫観念で頭がいっぱいになっていたのです

ロシアの武力侵略によりウクライナから国外に避難した国民は1000万人を超えると言われ、国内避難民も数百万人になると言われています まさか21世紀にこのような戦争犯罪が起ころうとは誰が予想できたでしょうか    いったいいつこの戦争は終わるのか・・・残念ながら、歴史に学ばない人間がトップにいる限り終わらないように思います

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