人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

オーケストラの楽団員数 / チャン・ジーウン監督「Blue Island 憂鬱乃島」を観る ~ 香港で自由を求めて闘った人々の姿を描いたドキュメンタリー:ユーロスペース

2022年08月14日 07時01分40秒 | 日記

14日(日)。在京を中心とする各オーケストラはいつ創立され、何人の楽団員がいるのか? 「フェスタサマーミューザ」に参加したオーケストラのプログラムに掲載された「出演者プロフィール」を元に調べてみました 楽団員が多い順に次の通りです

①東京フィルハーモニー  1911年創立:160人

②NHK交響楽団      1926年創立:114人

③読売日本交響楽団    1962年創立:100人

④東京都交響楽団     1964年創立: 94人

⑤新日本フィルハーモニー 1972年創立: 90人

⑥東京交響楽団      1946年創立: 83人

⑦日本フィルハーモニー  1956年創立: 80人

⑧大阪フィルハーモニー  1947年創立: 64人

⑨神奈川フィルハーモニー 1970年創立: 61人

⑩東京シティ・フィル   1975年創立: 60人

上記の通り、楽団員数が最も多いのは東京フィルハーモニーの160人ですが、これは2001年に「新星日本交響楽団」と合併したことにより一気に拡大したものです 東京フィルは「新国立オペラ」のオーケストラ・ピットに入りますが、同じ日に別の会場でコンサートを開いていることもあります これは160人の楽団員が2つに分かれて出演しているから可能なのです

なお、楽団員数が少ないからといって、演奏水準が低いかと言えば、決してそうではありません ここ数年の東京シティ・フィルの躍進ぶりがそれを証明しています

ということで、わが家に来てから今日で2772日目を迎え、米フロリダ州の連邦地裁は12日、連邦捜査局(FBI)がトランプ前大統領の自宅を捜査した際の、捜査令状と押収品リストを開示したが、「トップシークレット(最高機密)」を含む11組の機密文書などが押収され、特に防衛機密に関わる文書に司法当局が関心を寄せていたことが判明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     防衛に関する最高機密文書を私物化するなど 大統領がやることではない 恥を知れ!

     

         

 

昨日、渋谷のユーロスペースでチャン・ジーウン監督による2022年製作 香港・日本合作映画「Blue Island 憂鬱乃島」(97分)を観ました   

この映画は香港市民の自由が急速に縮小していく中で、時代を超えて自由を守るために闘う人々の姿をドキュメンタリーと再現ドラマによって鮮明に描き出した作品です

中国は20世紀後半には文化大革命(1966~1976)、六七暴動(1967)、天安門事件(1989)と、世界に大きな波紋を広げた様々な事件に遭遇してきました   その後、1997年7月1日、香港は英国から中国へ返還されましたが、「一国二制度」のもと「50年不変」とされた高度な自治の約束は踏みにじられていきます これに対し、2014年には香港の若者たちが自由を求めて立ち上がり「雨傘運動」を展開しました そして、2019年6月には「逃亡犯条例改正案の完全撤回」「普通選挙の導入」を求める大規模デモが繰り広げられました しかし、中国・習近平政権の支配下にある香港傀儡政権は市民を暴力で押さえつけ、権力に逆らうものは牢屋にぶち込む政策を取りました

 

     

 

この映画は、①天安門事件を経験して脱獄兵と自認する林、②文化大革命を逃れ恋人と共に命がけで海を渡り香港に辿り着いた陳、③反権力から経済人へ転身した石という、異なる時代を生きた実在の3人の人物を中心に、自由を守るために闘った人々の記憶をドキュメンタリーと再現ドラマによって丁寧に描いています

この映画に登場する人物の何人もの人々(学生、教師、議員、ユーチューバー等々)が、現実の世界で有罪判決を受け、ある者は現在も投獄され、自由を奪われています ある者は警官への暴力だったり、ある者は政府への批判的言動だったりしますが、とにかく政権に逆らう者は暴力で従わせ牢屋にぶち込むというのが中国傀儡政権である香港政府のやり方です 映画はその本質を捉えています

この映画を観て一番印象的だったのは、暴動罪で逮捕・起訴された社会福祉学科の学生レイモンド・ヤンを主役とする再現ドラマです 最初のシーンは英国支配下の香港で、反政府的な態度を取って尋問を受けるヤンに対し、英国側の人物が「英国に逆らわず、英国人として生きよ」と言うと、彼は「自分は中国を愛している。自分は中国人だ」と答えます その次のシーンは中国傀儡政権下の香港で、反政府的な態度を取って尋問を受けるヤンに対し、政府側の人物が「中国に逆らわず、中国人として生きよ」と言うと、彼は「私は香港を愛している。私は香港人だ」と答えます これを観て、現在の多くの香港市民は中国人というよりも香港人として生きることに誇りを持っているのだな、と思いました

また、別のシーンで、「どこまでも信念を貫いて、香港を捨てず ずっと留まることが出来るか?」と問いかけられて、返事がないまま画面が切り替わる場面がありますが、これも印象的です   この日(13日)の朝日朝刊 国際面に「香港の人口 減少幅が最大 1年で12万人 ~ 統制強化 移民が急増」という見出しの記事が載っていました    記事を要約すると次の通りです

「香港政府が11日に発表した統計によると、6月末時点の人口は729万1600人で、1年前から約12万人(1.6%)減少した 1997年の英国から中国への返還以来、最大の人口減となった 中国共産党の統制強化で、移民が急増したことが響いた 香港では2020年に「香港国家安全維持法」が施行され、当局による言論弾圧や民主派の逮捕が続いた 人口は香港返還時の約650万人から増え続けていたが、19年の750万人をピークに減少に転じた。今年6月末までの3年間の合計では約21万6千人減少した

この傾向はまだまだ続くのではないか、と懸念されます

中国の習近平国家主席は、「偉大なる中華民族の復興」を最大目標として、強国・覇権主義路線をひた走っています アメリカを中心とする民主主義よりも中国の社会主義の方が優れているというイデオロギーを前面に出して、政治・経済・軍事等のあらゆる面で世界一を目指しています それが時に日本をはじめ周辺諸国との摩擦を引き起こしています 香港の次は台湾が危ないというのは世界の共通認識です 「大国」を装う「中国」はどこへ向かうのか・・・香港をテーマにした本作を観ながら、そんなことを思いました

本作は多くの人々のクラウドファンディングにより製作されています エンドロールで協力者の名前が流れますが、日本人の名前が本名であったりニックネームだったりするのに対し、香港人と思われる人たちの多くが「無名」という表記で出てくるのが印象的です 間違いなく本作は中国本土でも香港でも上映されないであろうことは容易に想像できますが、それでも「匿名」にしなければならない事情があるということに恐ろしさを感じます

エンドロールが終わって、席を立とうとしたら、スクリーンにチャン・ジーウン監督が映し出され、この映画が上映されるまでの経緯を語り、製作に協力してくれた日本の人々へのお礼を述べ、最後に「この映画が香港で上映されることはないと思うが、日本では一人でも多くの人に観てほしい」と訴えました この映画を観たからといって、香港に自由な社会が戻るわけではありませんが、現在香港が置かれている現状を知ることは同じアジアに暮らす日本のわれわれにとって意義のあることだと思います 一人でも多くの人に観てほしい映画です。お薦めします

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