人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

萩原麻未ピアノ・リサイタルを聴く~ショパン/リスト「6つのポーランドの歌」,リスト「愛の夢第3番」,同「パガニーニによる大練習曲~第2~第6番」,シューマン「謝肉祭」他

2017年11月30日 08時17分40秒 | 日記

30日(木),わが家に来てから今日で1156日目を迎え,北朝鮮が29日午前3時18分ごろ弾道ミサイルを発射し 青森県から約250キロ西部の日本海に落下した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       北朝鮮がミサイルを発射すると株価が上がる 君たちはナメラレているんじゃね?

 

                                           

 

昨日,夕食に「豚丼」「生野菜と生ハムのサラダ」「イワシ団子とエノキダケのスープ」「マグロの山掛け」を作りました 昨夕は娘が外食だったので息子の希望を入れました

 

     

 

                                           

 

昨夕,浜離宮朝日ホールで「萩原麻未ピアノ・リサイタル」を聴きました プログラムは①ショパン/リスト「6つのポーランドの歌」,②リスト「愛の夢 第3番」,③リスト「パガニーニによる大練習曲」より第2番「オクターブ」,第3番「ラ  カンパネラ」,第4番「アルペジオ」,第5番「狩り」,第6番「主題と変奏」,④台信遼「秋霖抄」,⑤シューマン「謝肉祭」です

萩原麻未は広島出身,第27回パルマドーロ国際コンクールで史上最年少の13歳で第1位を獲得.2010年第65回ジュネーヴ国際コンクール(ピアノ部門)で日本人で初めて優勝 年によって第1位を出さないこの伝統あるコンクールで8年ぶりの優勝となりました パリ国立高等音楽院,モーツアルテウム音楽院を経て,現在日本とフランスを中心に活躍しています

 

     

 

自席は1階3列14番,センターブロック右から2つ目です.会場は満席近い入りです

1曲目はショパン作曲・リスト編曲「6つのポーランドの歌」です この曲はショパンの歌曲をリストがピアノ用に編曲したものです.萩原麻未が14歳で開いた故郷広島での初リサイタルで演奏した記念すべき作品とのことです この曲は①乙女の願い ②春 ③指環 ④バッカナール ⑤私のいとしい人 ⑥帰郷の 6曲から成ります

萩原麻未が白のエレガントな衣装で登場,ピアノに向かいます 初めて耳にするこの曲は,1曲目の「乙女の願い」はマズルカ風,2曲目の「春」と3曲目の「指環」がワルツ風,4曲目の「バッカナール」がポロネーズ風,5曲目の「私のいとしい人」がノクターン風,6曲目の「帰郷」がエチュードの「木枯らし」風といった感じの曲想でした 彼女の演奏で聴くショパンは,リストの編曲の力が大きいこともあって,最初からピアノのために書かれた曲のように聴くことができました

2曲目は,リストが1850年に作曲した あまりにも有名な「愛の夢 第3番」です 萩原麻未が なぜあまり弾きそうにない超有名曲を あえてこの位置に据えたかと言えば,前の曲と次の曲との間奏曲的な意味合いを持たせたからです 彼女はこういう甘い超有名曲でも手を抜きません ゆったりと演奏を始め,次第に音が立ち上がってきてクライマックスを迎え,再びゆったりとしたメロディーに戻ります.短いながら一つの物語を聴いているような感じがします

会場いっぱい拍手が起こりますが,彼女は座ったまま聴衆に一礼し 次の曲に備えます 何故なら,この曲は「間奏曲」だからです

プログラム前半の最後はリストの「パガニーニによる大練習曲」から第2番「オクターブ」,第3番「ラ  カンパネラ」,第4番「アルペジオ」,第5番「狩り」,第6番「主題と変奏」です よく知られているように,リストは1832年(当時21歳)にイタリアの奇才パガニーニの演奏を聴いて衝撃を受け,6曲から成る「パガニーニによる超絶技巧練習曲」を作曲,さらに大幅に手を加えた改訂版「パガニーニによる大練習曲」を出版したのでした 5曲とも超絶技巧曲ですが,萩原麻未は何の苦もなく表情豊かに演奏します 「ラ  カンパネラ」では今まで聴いたことがない高音部での強打があり強く印象に残りました こういう演奏は初めてです.この曲のあと,会場のそこかしこで拍手が起こりましたが,自然な拍手だったので非難は出来ません 圧巻だったのは最後の「主題と変奏」です.音の強弱の妙,音色の変化・・・圧倒されました


     


プログラム後半の1曲目は台信遼「秋霖抄」です 作曲者はパリ音楽院時代の萩原麻未の友人とのことで,この曲は2013年に完成しました.タイトルの意味は秋の初めにシトシトと降る長雨のことで,連綿と続く雨音をイメージして作曲したとのことです 会場の照明が暗転し,ピアニストだけにスポットライトが当てられ,静かに演奏が始まります.初めて聴く曲なので緊張します 「長雨」をイメージしながら聴きました

演奏後,会場にいた作曲者本人(元気な青年!)がステージに呼ばれ,お互いを讃え合いましたが,とても微笑ましい光景でした

プログラムの最後はシューマンの初期の傑作「謝肉祭」です この曲は21曲から成るピアノ小品集です.キリスト教の四旬節に入る前の3~8日間に行われる謝肉祭の賑やかな様子を描いたもので,①前口上 ②ピエロ ③アルルカン(道化役者) ④高貴なワルツ ⑤オイゼビウス ⑥フロレスタン ⑦コケット ⑧返事 ⑨蝶々 ⑩踊る文字 ⑪キアリーナ ⑫ショパン ⑬エストレラ ⑭再会 ⑮パンタロンとコロンビーヌ ⑯ワルツ・アルマンド ⑰間奏曲(パガニーニ) ⑱告白 ⑲プロムナード ⑳休憩 ㉑フィリシテ人と闘う「ダヴィッド同盟」の行進ーから成ります

1曲目の「前口上」は,萩原麻未の「これが私の謝肉祭です」という宣言のように聴きました 彼女の演奏は力強いですが,がなり立てることはありません すべての曲が説得力をもって迫ってきます 最後の「フィリシテ人と闘う『ダヴィッド同盟』の行進」の真摯で迫力ある演奏には圧倒されました

会場いっぱい拍手とブラボーが飛び交う中,アンコールとしてショパンの「コントルダンス」を,鳴りやまない拍手にショパンの「子犬のワルツ」を,それでも鳴りやまない拍手にドビュッシーの「月の光」を演奏し,聴衆のクールダウンを図りました

その日の演奏が良かったかどうかの判断材料として,私は「もう一度聴きたいか?」という基準を持っています その点から言えば,この日の萩原麻未のリサイタルは「是非もう一度聴きたい」コンサートでした さらに言えば,次に聴く時は別の作曲家の作品も聴きたいと思いました これは誰にも当てはまることではなく,数少ないアーティストの一人が萩原麻未です

 

     

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ヴィルサラーゼ+アトリウム弦楽四重奏団でモーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番」,ショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲」,シューマン「ピアノ五重奏曲」他を聴く~紀尾井ホール

2017年11月29日 07時50分11秒 | 日記

29日(水).わが家に来てから今日で1155日目を迎え,大相撲の横綱 日馬富士が平幕 貴ノ岩に暴行したとされる問題で,日本相撲協会の八角理事長が28日,スポーツ庁の鈴木大地長官を訪ね,問題の謝罪と 協会による調査状況について報告した というニュースを見て当事者の胸の内を語るモコタロです

 

     

       長官:四角四面な調査はダメよ  理事長:調査に死角はありません 私は八角ですが

 

                                           

 

昨日,夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜とワカメと生ハムのサラダ」を作りました 「ビーフシチュー」は息子のリクエストです

 

     

 

                                           

 

昨夕,紀尾井ホールでエリソ・ヴィルサラーゼ&アトリウム弦楽四重奏団のコンサートを聴きました 紀尾井ホールのロビーもクリスマス・モードです

 

     

 

当日のプログラムは①モーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478」,②ショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲ト短調」,③シューベルト「弦楽四重奏曲第12番ハ短調”四重奏断章”」,④シューマン「ピアノ五重奏曲変ホ長調」です

エリソ・ヴィルサラーゼはジョージア(旧グルジア)生まれ.モスクワでヤコフ・ザーク,ゲンリフ・ネイガウスから指導を受け,20歳のときチャイコフスキー国際コンクールで第3位入賞,24歳のときにシューマン国際コンクールで優勝を果たしています 優れた教育者としても知られており,モスクワ音楽院,ミュンヘン音楽大学の常任教授を務めるほか,主要な国際音楽コンクールの審査員にしばしば招かれています

アトリウム弦楽四重奏団は2000年サンクトペテルブルグ音楽院に学ぶ4人で結成され,卒業後はアルバン・ベルク四重奏団やフェルメール・クァルテットなどから指導を受けました.2003年に世界的権威のヴィグモアホール(旧ロンドン)国際弦楽四重奏コンクール第1位,聴衆賞を獲得しています.メンバーは,第1ヴァイオリン=ボリス・プロツィン,第2ヴァイオリン=アントン・イリューニン,ヴィオラ=ドミトリー・ピツルコ,チェロ=アンナ・ゴレロヴァです

 

     

 

自席は1階14列4番,左ブロック右から2つ目です.会場はほぼ満席状態です

1曲目はモーツアルト「ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478」です この曲は1785年10月16日に完成した作曲者29歳の時の作品です 第1楽章「アレグロ」,第2楽章「アンダンテ」,第3楽章「ロンド:アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります

ヴィルサラーゼがアトリウム弦楽四重奏団のうち3人と共に登場します.さっそく第1楽章の運命的な第1主題の演奏に入ります ヴィルサラーゼのピアノは何のてらいもない自然体の演奏に聴こえます 黒の衣裳に身を包まれた彼女の演奏姿を見ていると,作曲者に対する畏敬の念を抱きながら真摯に作品に対峙していることが窺えます とくに第2楽章「アンダンテ」はゆったりとしたテンポにより慈しむように演奏しました これはアトリウムSQの3人の奏者にも共通しています.これほどじっくり味わうモーツアルトも珍しいでしょう

2曲目はショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲ト短調」です この曲は1940年夏に着手され9月14日に完成,11月23日にモスクワ音楽院小ホールでショスタコーヴィチのピアノ,ベートーヴェン弦楽四重奏団による演奏で初演され,1941年にはスターリン賞を受賞しました 第1楽章「前奏曲」,第2楽章「フーガ」,第3楽章「スケルツォ」,第4楽章「間奏曲」,第5楽章「終曲」の5楽章から成りますが,第1楽章と第2楽章,第4楽章と第5楽章は続けて演奏されます

第2ヴァイオリンのアントン・イリューニンが加わったアトリウムSQの4人とヴィルサラーゼが登場し,配置に着きます

この曲は第1楽章冒頭のピアノの強打に始まる短調特有の力強い音楽と,第3楽章「スケルツォ」における底抜けの明るさの対比が強く印象に残る作品ですが,この日聴いたヴィルサラーゼ+アトリウム弦楽四重奏団による演奏は,全体的に極めて抑制された繊細な音楽であることを教えてくれました ヴィルサラーゼのピアノが素晴らしいのはもちろんですが,特に印象に残ったのは第4楽章「間奏曲」におけるアンナ・ゴレロヴァによるチェロのピッツィカートです ピッツィカートだけであれほど音楽的に語る演奏は珍しいと思います


     

 

プログラム後半の1曲目はシューベルト「弦楽四重奏曲第12番ハ短調”四重奏断章”」です この曲は1820年に作曲されましたが,1つの楽章だけ残されているため「断章」と名付けられています

アトリウム弦楽四重奏団のメンバーが配置に着き演奏に入ります.冒頭,第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロへと緊迫感に満ちた第1主題が受け継がれていきますが,この曲全体の緊張感に満ちた曲想を凝縮したような音楽です 短いながらもシューベルトが充実していた頃の作品の魅力に溢れています

最後の曲はシューマン「ピアノ五重奏曲変ホ長調」です この曲は1842年に作曲され,翌43年にライプツィヒ・ゲヴァントハウスで初演されました 第1楽章「アレグロ・ブリランテ」,第2楽章「イン・モード・ドゥナ・マルチア,ウン・ポコ・ラルガメンテ」,第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」,第4楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

第1楽章が力強く輝かしい演奏で開始されます この曲はヴィルサラーゼのピアノ主導で進められますが,プログラム前半で抑制していた潜在力を惜しみなく発揮した演奏とでも言えるでしょうか ヴィルサラーゼのピアノは特別目立ったところがないように思えますが,自信と確信に満ちた演奏であることが窺えます アトリウムSQのメンバーも第1ヴァイオリンとチェロを中心に溌剌とした演奏を展開しました

会場いっぱいの拍手とブラボーが飛び交う中,カーテンコールが繰り返されましたが,アンコールはありませんでした.充実のプログラム.アンコールはあり得ません

 

     

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サイモン・ラトル語る / 沢田研二+田中裕子+池脇千鶴出演「大阪物語」,沢田研二+田中裕子ゲスト出演「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」を観る~ヨハン・シュトラウスⅡ世「春の声」も流れる

2017年11月28日 08時11分26秒 | 日記

28日(火).昨日の朝日夕刊 文化欄に,23~25日に東京と川崎でベルリン・フィルを指揮したサイモン・ラトルのインタビュー記事が載っていました  同氏は2018年8月で同楽団の芸術監督を退きますが,「楽団の可能性をあらゆる方面に拡大することが仕事だった」と語っています 2009年から始めたコンサート映像の配信「デジタル・コンサートホール」は,オーケストラ界の先駆け的存在と言われています 二度と聞きたくない言葉は「クラシック音楽はエリート層のためのもの」というもので,「クラシック音楽はすべての人のためにある.皆さんが『クラシック音楽病』にかかっていただき,治ることがないことを祈ります」と語っています.ラトルは17年から故国イギリスでロンドン交響楽団の音楽監督に就任しますが,「サントリーホールやミューザ川崎シンフォニーホールのような素晴らしい音楽ホールをロンドンでも作るべきだ」と思いを語っています

言われてみれば,ロンドンにはすぐに思い浮かぶ音響の良いホールがないような気がします

ということで,わが家に来てから今日で1154日目を迎え,大相撲九州場所で通算40度目の優勝を果たした横綱白鵬が表彰式のインタビューで,横綱日馬富士による暴行問題について触れ「力士の代表としておわびしたい」「日馬富士関と貴ノ岩関を再び土俵に上げてあげたいと思う」と発言した上で 観客に万歳三唱を呼びかけた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「力士の代表としておわびしたい」は分かるけど 万歳三唱は何がめでたいのか?

 

                     

 

昨日,夕食に「麻婆茄子」「生野菜と海老のサラダ」「海老ダンゴ,シメジ,チンゲン菜のスープ」を作りました 「麻婆茄子」は豚バラ肉で作りましたが,若干豆板醤を入れ過ぎたかも知れません

 

     

 

                     

 

昨日,池袋の新文芸坐で沢田研二デビュー50周年記念映画「大阪物語」と「男はつらいよ  花も嵐も寅次郎」の2本立てを観ました いつもより女性客が多いように思います.かつて「ジュリー」と騒いでいた人たちでしょうか (批判しているわけではありません

「大阪物語」は市川準監督による1999年制作映画(119分)です

 

     

 

中学2年の若菜(池脇千鶴)の両親は,はる美&りゅう介という売れない夫婦漫才師をやっている 二人の漫才は「皆さん,ようこそお出でくださいました」「頼みもせんと」で始まるマンネリそのもので,若菜と弟の一郎は両親のマネをして近所の人たちを喜ばせていた 貧しいながらも一家4人で幸福な生活を送っていたが,隆介(沢田研二)が妙子という20歳も年下の女性を妊娠させてしまう これまで夫の浮気を大目にみてきた春美(田中裕子)だったが,ついに堪忍袋の緒が切れて離婚する決意をする しかし生活のためコンビの解消はせず漫才を続ける.ある日,隆介は春美たちのもとから失踪してしまう 春美がまったく動かない中,若菜は隆介あてに届いたハガキなどを頼りに隆介を探す旅に出る

この映画は,池脇千鶴の映画初出演作品です しっかり者の中学生の等身大の姿を演じています その後,彼女が出演した映画を何本か観たことがありますが,その都度,「いくつになっても変わらないなぁ」と感心します

「ジュリー」こと沢田研二が,女にだらしない中年男をいい味を出して演じています しっかり者の妻・春美を演じた田中裕子の演技力には舌を巻きます どーしようもない男と一緒になってしまったという後悔と,それでもこの男なしでは生きてはいけないという弱さを併せ持った子持ちの女性を見事に演じています

この作品は関西テレビ開局40周年を記念して制作されただけに,吉本興業の漫才師をはじめ大阪の芸能人を総動員して「大阪賛歌」をぶち上げているかのようです 会話がすべて大阪弁というところも良かったと思います

 

                     

 

「男はつらいよ  花も嵐も寅次郎」は山田洋二監督による1982年制作映画(106分)です 先日のブログでもご紹介しましたが,主題歌をはじめ音楽を山本直純が担当しています

 

     

 

大分県の湯平温泉で物売りをする寅は,馴染みの湯平荘に宿泊する 夜,寅が宿の親父・勝三と酒を飲んでいると,三郎(沢田研二)という青年が現れ,かつてこの宿で母親が女中をしていたが,その母親が1か月前に病死し,遺骨を埋葬するためにこの地にやって来たという 勝三は美しかったその女中を覚えており,親孝行な青年に感心した寅は,昔の知り合いを集め湯平荘で供養をしてやることになる そこで,投宿していた蛍子(田中裕子)らと知り合いになるが,三郎は蛍子に一目ぼれする しかし,口下手な彼はプロポーズに失敗してしまう.三郎の車で柴又に帰った寅は若い二人のために一肌脱ぐことになる

この頃の田中裕子は本当に初々しく,どことなくほわっとした柔らかい雰囲気に包まれていて,それでいてしっかりしている,そんな感じがします この頃から演技力は抜群です 動物飼育員の三郎を演じた沢田研二は,いかにも口下手な好青年を演じています この二人はこの作品がキッカケとなり結婚することになります(沢田は2度目)「いよっ 色男 結構毛だらけ 猫灰だらけ・・・よくやるねぇ」と,寅さんなら言ったかも知れません

旅先で美人と出会って一目ぼれし,後日その女性が柴又を訪れ,寅さんといい線をいくかと思いきや,その女性には別に好きな男がいて,寅さんは再び旅に出て行くという「男はつらいよ」シリーズほどワン・パターンのマンネリ映画もないでしょう でも,お客は寅さんの恋の行方が分かっているのに また観に行って「あ~,また振られちゃったぁ~」と同情したりするのです.自分のことは棚に上げて

この映画ではウィンナ・ワルツが何曲か流れていましたが,一番印象的に使われていたのは,車の運転をしている三郎が 蛍子が一人だと思って「駅まで送りますよ」と声をかけると,友達も出てきて,そうかと思っていると寅さんまで出てきて,結局4人乗りで出発する時に威勢よく流れる ヨハン・シュトラウスⅡ世のワルツ「春の声」です

「男はつらいよ」シリーズでは毎回のようにクラシック音楽が使われていますが,これは監督の山田洋二氏の好みでしょうか,あるいは音楽担当の山本直純氏の選曲によるものでしょうか いずれにしても,いつも選曲のセンスの良さに感心させられます

 

     

     

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メル・ギブソン監督「ハクソー・リッジ」を観る~武器を持たずに戦場に赴き 何人もの命を救った若き兵士の実話

2017年11月27日 07時58分44秒 | 日記

27日(月).昨日は息子の学生時代最後の誕生日でした.いつもよりワンランク上の寿司でお祝いしました 娘は仕事で遅くなるのでケーキは娘が帰ってから,ということでFRENCH POUND HOUSEで買ってきたイチゴ・ケーキをいただきました 写メしたもののインスタ映えしないので省略します

ということで,わが家に来てから今日で1153日目を迎え,前地方創生相の山本幸三・自民党衆院議員が,北九州市で23日に開かれた三原朝彦衆院議員の「政経セミナー」のあいさつで,三原氏のアフリカ各国との交流や支援活動に触れ「何であんな黒いのが好きなのか」と発言していたというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                    そのジョーク 世界レベルでは ブラックじゃすまないと思う 痴呆創生症じゃね?

 

                     

 

神楽坂の「ギンレイホール」で観損ない,池袋の「新文芸坐」でも観逃し,やっと昨日,早稲田松竹でメル・ギブソン監督による「ハクソー・リッジ」を観ることができました これは2016年アメリカ・オーストラリア映画(139分)で,「ハクソー」はのこぎり,「リッジ」は崖を意味し,第二次世界大戦の激戦地・沖縄の前田高地を指します 断崖絶壁がのこぎりの歯のように険しかったことから,アメリカ軍が「ハクソー・リッジ」と呼んだとのことです.この映画は沖縄戦で75人の命を救った米軍衛生兵デズモンド・ドスの実話に基づいています

 

     

 

「人を殺してはならない」という宗教的な信念を持つデズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は,志願して入隊した軍隊でもその意志を貫こうとして上官や同僚たちから疎まれ,ついに軍法会議にかけられてしまう かつて軍人だった父親や妻ドロシー(テリーサ・パーマー)に助けられ,武器を持たずに戦場へ赴くことが許される 激戦地ハクソー・リッジでの戦闘に衛生兵として参加することになったデズモンドは,負傷した仲間たちが取り残されているのを見て,たった一人で戦場に留まり,敵味方の分け隔てなく兵士の治療をして命を救う

 

     

 

アメリカらしいなと思ったのは,第二次世界大戦中にも関わらず,訓練でも戦地でも「武器には触らない」という信念の若者を参加させたという事実です 日本だったら「非国民」のレッテルを貼られ,戦地に派遣される前に潰されていることでしょう この映画の最後に,生前のデズモンド本人や彼に救われた兵士たちが出演し インタビューに応えていますが,デズモンドは厳しい戦線の中「もう一人,もう一人」と75人を救っていったと言います  自分の命を顧みない勇敢な行為に,終戦後,良心的兵役拒否者としてはアメリカ史上初めて名誉勲章が授与されたそうですが,これもまたアメリカらしい話だと思います

戦争の相手が日本兵だというところが,見ている日本人としては若干面白くない部分がありますが,事実だから仕方ありません 感動の実話,観て良かったと思いました

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「秋山和慶のスポーツと音楽」公演を聴く~サティ「スポーツと気晴らし」,マルティヌー「ハーフ・タイム」,オネゲル「ラグビー」ほか~東響オペラシティシリーズ第101回定期演奏会

2017年11月26日 07時55分50秒 | 日記

26日(日).わが家に来てから今日で1152日目を迎え,イメージ悪化で集客難航という理由で トランプ米大統領の名前を冠したホテルやマンションから「トランプ」の文字を外す動きが広がっている というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これほど国の内外から嫌われた大統領も珍しいね それでも支持率は下がらない!

 

                                           

 

昨日,初台の東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団のオペラシティシリーズ第101回演奏会「秋山和慶の『スポーツと音楽』」を聴きました ホールロビーでは恒例の 假屋崎省吾氏製作によるクリスマスツリーがお出迎えです

 

     

 

コンサートのプログラムは①ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲,②シベリウス「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」,③オッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」序曲,④サティ「スポーツと気晴らし」,⑤マルティヌー「ハーフ・タイム」,⑥オネゲル:交響的運動第2番「ラグビー」です  ②のヴァイオリン独奏は佐藤玲果,指揮は秋山和慶です

 

     

 

オケはいつもの編成で,ヴァイオリン・セクションが左サイドに固まります.コンマスは今や東響の顔となった水谷晃です

1曲目はロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲です このオペラはロッシーニが1829年に作曲した最後の歌劇で,1307年オーストリアの圧政下にあったスイスの独立運動を巡り,ウィリアム・テルや仲間たちの奮闘を描いたものです 序曲は「プレリュード」「嵐」「静寂」「フィナーレ:スイス軍の行進」の4部から成ります

ロマンス・グレイの秋山和慶氏が登場,さっそく演奏に入ります.冒頭,チェロの独奏から入りますが,首席の伊藤文嗣氏の演奏が素晴らしく,少し遅れて加わった川井真由美さんとのコンビネーションがまた素晴らしかった 「スイス軍の行進」は金管楽器の勇ましいファンファーレで開始され,勝利のうちに曲が閉じられます

2曲目はシベリウス「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」です この曲はシベリウス(1865-1957)が1903から1904年にかけて作曲した唯一のヴァイオリン協奏曲です シベリウスはヘルシンキ音楽院時代にヴァイオリンを専攻していたこともあり,ヴァイオリンの演奏効果を知り尽くした技巧的でシンフォニックな曲想が特徴です 第1楽章「アレグロ・モデラート」,第2楽章「アダージョ・ディ・モルト」,第3楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏は,ミューザ・ソリストオーディション合格者で東京藝大付属音楽高校3年在学中の佐藤玲果さんです 水色の鮮やかな衣装の佐藤さんが登場するとステージが一気に華やかになります 秋山氏のタクトで演奏が開始されます.第3楽章冒頭をはじめ,引っかかりを感じた部分も何カ所かありましたが,全体的には慎重な演奏で,聴かせどころはきちんと歌わせていました まだまだこれからです.頑張って欲しいと思います


     


プログラム後半の1曲目はオッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」序曲です この曲はジャック・オッフェンバック(1819-1880)が1858年に作曲したオペレッタ(喜歌劇)の序曲,分かり易く言うと,「カステラ1番,電話は2番」で有名なあの曲ですが,滅多に聴く機会がありません 正式には「地獄のオルフェ」という題名で,当時人気のあったギリシア神話「オルフェウスとエウリディーチェ」の物語を題材としています

曲の前半は穏やかな曲想の音楽ですが,中盤からガラッと変わりお祭り騒ぎになります 冒頭,吉野亜希菜さんのクラリネット・ソロ,次いで荒木奏美さんのオーボエ・ソロが印象的なフレーズを奏でますが,これが素晴らしい 次いで,伊藤文嗣氏のチェロのソロがまたまた素晴らしい.極めつけはコンマス・水谷晃氏による流麗なソロです

中盤の「フレンチ・カンカン・ミュージック」に入ってからは,管楽器も弦楽器も打楽器も「イケイケ・ドンドン」で,会場はパリの「にわかムーランルージュ」に変貌しました

後半2曲目はサティ「スポーツと気晴らし」です エリック・サティ(1866-1925)の作品には変わったタイトルの音楽が多いことで知られています この作品は,装飾画家シャルル・マルタンの20枚の絵に添えられたピアノ小曲集で,序曲を入れて全21曲から成りますが,サティの死後,トーマス・ケネディが14曲を抜粋し,順番を入れ替えてオーケストラ用に編曲しました

演奏されるのは順番に①序(食欲をそそらないコラール) ②狩り ③カーニバル ④ゴルフ ⑤競馬 ⑥海水浴 ⑦イタリア喜劇 ⑧目隠し鬼 ⑨ヨット遊び ⑩ウォーター・シュート ⑪タンゴ ⑫いちゃつき ⑬魚釣り ⑭ピクニックです ほとんど1曲が1分にも満たない短さです

曲を聴く限り,題名からは想像できない音楽ばかりです 14曲をシャッフルして,もう一度聴いて曲名を当てるというクイズがあったら,当たるのは「タンゴ」ぐらいなものでしょう 面白かったのは,4番目に演奏した「ゴルフ」です.打楽器奏者がステージ左後方で,ゴルフクラブに見立てた長い棒を持ってスウィングし,どうやら池ポチャでもやったらしく 曲の終わりに棒を真っ二つに折って悔しがるというパフォーマンスを見せ,笑いを誘いました 人をおちょくったようなサティの音楽に相応しい演出でした

次はマルティヌー「ハーフ・タイム」です この曲はサッカー・ファンだったチェコの作曲家ボフスラフ・マルティヌー(1890-1959)が1924年に作曲した作品です サッカーのハーフ・タイム中の観衆の喧騒やサッカー選手の身体の動き,陣形の美しさなどを表現しようとしたものと言われています

管弦楽総動員のこの曲を聴く限り,当時パリの気鋭の作曲家・ストラヴィンスキーの影響をもろに受けています  三大バレエの「ペトルーシュカ」や「春の祭典」によく似たリズム,和音がそこかしこに現れます  その意味では賑やかで面白い曲でしたが,「ハーフ・タイム」はどこへ,といった感じがしないでもありませんでした

最後の曲はオネゲルの「交響的運動第2番『ラグビー』」です  この曲はアルテュール・オネゲル(1892-1955)が1928年に作曲した作品です オネゲルというと機関車をテーマにした「パシフィック2.3.1」を思い起こしますが,これは「交響的運動第1番『パシフィック2.3.1』」で,その第2番が『ラグビー』なのです しかし,この曲はラグビーの試合の様子を描いたものではなく,楕円形ボールの描く予想外の軌跡や,プレイヤーたちのぶつかり合う力や活気などに着目し,その動きを音楽で表現しようとしたものだと言われています

そういう風に解説に書かれてあっても,聴いている限り「ラグビー」を思い起こすことが出来ません 聴く側はどうしても標題に囚われて「ラグビー」の観戦を思い描いてしまうからでしょう いずれにしても,金管楽器炸裂の賑やかな作品でした

アンコールは「ただいまから,紅白玉入れを始めます 紅組も白組も用意はいいですかぁ~」のアナウンスとともに運動会で流される曲としてお馴染みのカバレフスキーの組曲「道化師」から「ギャロップ」でした

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無料コンサートのご案内~東京藝大・山本正治教授退任記念演奏会(3月21日) / 柚月裕子著「孤狼の血」を読む~一匹狼の刑事の孤高の戦いを描く

2017年11月25日 08時06分32秒 | 日記

25日(土).最近,1週間があっという間に過ぎてしまいます.もう土曜日かという感じです 昨日は昼間からお呼ばれして日本酒や焼酎を呑んでいたので 夜はヘロヘロでした 昼間のお酒は効きますね  

ということで,わが家に来てから今日で1151日目を迎え,23日午後11時半頃 秋田県の船舶係留施設周辺で国籍不明の男性8人が発見され「北朝鮮から漁のために来たが,船が故障して漂着した.北朝鮮に帰りたい」と話しているというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     せっかく日本に漂着したのに 亡命しないで北朝鮮に帰りたいなんて・・ 工作員? 

 

                     

 

昼間からお酒を飲み過ぎた,とは言え,夕食を作ることをサケることはできません.サー モン題だ!と悩んだ末に思い付いたのがサケのバター焼きでした 

ということで,昨日は夕食に「鮭のバター焼き」「生野菜と生ハムのサラダ」「マグロの山掛け」「豚汁」を作りました 「鮭~」は息子にとっては1切れでは足りないので2切れです

 

     

 

                     

 

来年3月21日(水・祝)午後2時から東京藝大奏楽堂で「東京藝大音楽学部教授・山本正治 退任記念演奏会」が開かれます 出演者の顔ぶれを見ると錚々たるメンバーです 入場無料ですが,事前に「往復はがき」か「メール」での申し込みが必要です 申し込み方法は下のチラシの通りです 私は「東京・春・音楽祭」のコンサートとダブるため行けませんが,当日は祝日なので時間がある方はお出かけになってみてはいかがでしょうか

 

     

     

 

                     

 

柚月裕子著「孤狼の血」(角川文庫)を読み終わりました 柚月裕子は1968年岩手県生まれ.2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビュー 13年に「検事の本懐」で第15回大藪春彦賞を,16年にこの「孤狼の血」で第69回日本推理作家協会賞を受賞しています

 

     

 

舞台は昭和63年の広島.所轄の呉原東署の捜査二課に配属された新人の日岡秀一は,やくざとの癒着を噂される刑事・大上章吾とコンビを組むことになった 違法行為とも思われる強引な捜査手法を繰り返す一匹狼のような大上に戸惑いを感じながらも,日岡は何とか食いついていく やがて金融会社社員失踪事件を皮切りに,暴力団同士の抗争が勃発する 双方の衝突を食い止めるため大上は大胆な秘策を打ち出すが,事は大上の思い通りには進まず,彼は事件に巻き込まれ行方不明になり,その後 死体が発見される 身の危険を感じていた大上は,前もって日岡にあてた ある物を大上の懇意の女性に預けていた それは警察内部の”裏事情”を綴ったノートだった ここから大上の一匹狼の血を受け継いだ日岡の戦いが始まる

文中の刑事・大上章吾には「しょうご」とフリガナが振ってあるのに大上には振っていません つまりこの本のタイトル「孤狼の血」の狼(おおかみ)に掛けて大上(おおかみ)と読ませようというわけです

柚木裕子の作品は「臨床真理」「最後の証人」「検事の本懐」「検事の死命」「蟻の菜園~アントガーデン」と一通り読んできましたが,この作品はやくざの抗争がらみという設定からか,リアリティがあり,面白くてページをめくる手が止まりませんでした 柚月氏は,この作品は深作欣二監督の「仁義なき戦い」なくしてはあり得なかった,と語っているそうですが,ビデオでの作品の鑑賞のほか,様々な資料で警察とやくざの世界を良く調べていると感じます さらに,柚木裕子は新作を発表するたびに”読ませる力”が進化していると思います

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東京藝大ウィンドオーケストラでホルスト「吹奏楽のための第1組曲」,マーラー/中村克己編「交響曲第5番」を聴く / ディミトリ・ホロストフスキー氏の死を悼む

2017年11月24日 08時04分39秒 | 日記

24日(金).昨日の朝日朝刊の死亡欄を見て「えっ」と声を上げてしまいました METライブビューイングでもお馴染みのロシアのバリトン歌手ディミトリ・ホロストフスキー氏が22日にロンドンの自宅で死去したという内容でした 今年5月下旬に上映されたMETライブビューイング,チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」(4月22日上演)で,タチヤーナ役のアンナ・ネトレプコを相手にオネーギンを歌う予定でしたが,「健康上の理由」で降板し,ペーター・マッテイが代演を果たしたのでした 

ホロストフスキーで忘れられないのは,2011年6月10日のメトロポリタン歌劇場来日公演のヴェルディ「ドン・カルロ」におけるロドリーゴ役の雄姿と,2015年10月のMETライブビューイング,ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」におけるルーナ伯爵役のカッコよさです

2011年6月のMET来日公演は,プッチーニ「ラ・ボエーム」,ヴェルディ「ドン・カルロ」,ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」の3公演すべて観ましたが,3か月前の東日本大震災に伴う東京電力 福島原発事故の影響で,アンナ・ネトレプコ,オルガ・ボロディナ,ヨナス・カウフマン,ジョセフ・カレーヤなど,スター級の歌手が次々と来日を見合わせる中で,ホロストフスキーは来日して素晴らしいバリトンを聴かせてくれ,感激したものです 

故人の冥福を心よりお祈りいたします

 

     

 

     

 

ということで,わが家に来てから今日で1150日目を迎え,東京ディズニーランドで重さ10キロの着ぐるみに入って手を振るなどし 腕が激痛に悩まされた女性に労働災害が認められた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                 ねえ 実はキミも 中に誰か入ってアルバイトしてるんじゃないの? 腕痛くね?

 

                                           

 

昨日,夕食に「鶏のトマト煮」「生野菜と生ハムのサラダ」「湯豆腐」を作りました 「鶏~」は娘のリクエストです.何度か作ったので味が安定してきました

 

     

 

                                           

 

昨日,東京藝大奏楽堂で,東京藝大ウィンドオーケストラ第84回定期演奏会を聴きました プログラムは①グスタフ・ホルスト「吹奏楽のための第1組曲」,②グスタフ・マーラー/中村克己編「交響曲第5番」です 指揮は今回最後の指揮をとる山本正治教授です

 

     

 

全自由席です.1階18列34番,右ブロック右から3つ目の席を押さえました 会場は9割近く埋まっているでしょうか

1曲目はグスタフ・ホルスト(1874-1934)が1909年に作曲した「吹奏楽のための第1組曲」です  プログラム冊子の解説によると「吹奏楽ファンで知らない人はいない名曲」とのことですが,私は初めて聴きました 第1楽章「シャコンヌ」,第2楽章「間奏曲」,第3楽章「マーチ」の3楽章から成ります

管楽奏者たちと,なぜかコントラバスが2人スタンバイします コンマスはクラリネットの男子学生です.吹奏楽なので編成が独特です.大雑把に言うと,ヴァイオリンの位置にはクラリネットが,ヴィオラ,チェロの位置にはサクソフォンとチューバがスタンバイします.もちろん本来の金管楽器は正面後方にスタンバイします

この曲は12~13分程度の短い曲なので,あれよと言う間に終わってしまい,鑑賞している余裕がありませんでした ホルストの代名詞的な名曲「惑星」とはだいぶ趣が異なる曲想だと思いました

 

     

 

プログラム後半はマーラーの「交響曲第5番」を聖徳大学准教授・中村克己氏が編曲した版で演奏します この曲の第4楽章「アダージェット」はルキーノ・ヴィスコンティ監督映画「ベニスに死す」(1971年)でテーマ・ミュージックのように使われ話題になりました ステージの左サイドにハープが2台,右サイドにコントラバスが8挺,後方には打楽器群が並びます

マーラーは南オーストリアのヴェルタ―湖畔の別荘で1901年の夏休みに作曲を開始しましたが,同年11月にマーラー(当時41歳)は23歳のアルマ・シンドラーと出会い,12月にはスピード婚約,翌1902年3月には超スピード結婚しています いわば,マーラーの人生で一番幸福な時期に作られたのがこの曲と言えるでしょう

それなのに,第1楽章は「葬送行進曲」です マーラーの頭の中はどういう状態なのでしょうか 冒頭トランペットがソロでファンファーレを高らかに歌い上げますが,これが葬列の開始の合図です.男子学生が吹きましたが,素晴らしい演奏でした 弦楽器の役割を果たすクラリネットではない本来のクラリネットは,時にベルアップ奏法を見せます 山本教授はマーラーの指示にこだわっているようです.第2楽章では,コントラバスとチューバによる嵐のような音楽から開始されますが,これを聴くと,やっぱり管楽器だけでなく弦楽器も必要な部分があるのだな,と感じます この楽章では,ワグネル・チューバの演奏が優れていました

第3楽章では,ホルンの学生が指揮者のそばでソロを吹きます この曲はまるでホルン協奏曲のような趣があるので,山本教授はあえてホルンをフィーチャーしたのでしょう このホルンも素晴らしかった さて,この曲のハイライト,第4楽章「アダージェット」です ハープにのってフルートがメロディーを奏でます 次いでサクソフォンとクラリネットを中心にこれを受け継いでいきますが,編曲者・中村氏が一番苦労したのがこの楽章ではないか,と想像します 弦楽器の弱音の魅力をどの楽器で引き出せるか,ということです.なるほどサクソフォンか と感心しましたが,やっぱり弦楽器の魅力にはどうしても勝てません 「吹奏楽」による編曲版だということを忘れずに聴かないと欲求不満が残ります しかし,演奏自体は素晴らしいものがありました 最後の第5楽章は,ベートーヴェンで言えば「苦悩を通しての歓喜」の「歓喜」に当たるフィナーレです この楽章でも管楽器だけでなく,コントラバスと打楽器が演奏に加わることがだいぶ助けになっています やっぱり,マーラーの交響曲は管弦楽でないとその良さがストレートに伝わってこないのだと思います それでも,フィナーレは熱狂に満ちた熱演で,聴衆を興奮の坩堝に巻き込みました

山本氏+藝大ウィンドオーケストラは満場の拍手に応え,マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から「間奏曲」を抒情性豊かに演奏し,クールダウンを図りました

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小倉喜久子「ベートーヴェン,シューマン,ショパンが愛したピアノたち」を聴く~ヴァルター,シュトライヒャ―,プレイエルの3台のフォルテピアノを堪能する

2017年11月23日 07時51分12秒 | 日記

23日(木・祝).わが家に来てから今日で1149日目を迎え,東芝が米ニューヨーク市の繁華街「タイムズスクエア」の著名ビルで実施していた広告活動を2018年前半で打ち切ると決め,フジテレビ系人気アニメ「サザエさん」,TBS系の看板番組「日曜劇場」のスポンサーも来年3月をもって降板すると決定した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       「ひかるひかる東芝 まわるまわる東芝」は首が回らなくなっちゃったんだね

 

                                           

 

昨日,夕食に「豚バラこんにゃく」「生野菜とタコのサラダ」「えびダンゴ,シメジ,チンゲン菜のスープ」を作りました 「豚バラ~」は凄く美味しくできました

 

     

 

                                           

 

昨夕,北とぴあ さくらホールで「ベートーヴェン,シューマン,ショパンが愛したピアノたち~3台のフォルテピアノで聴く贅沢な夜」公演を聴きました プログラムは①モーツアルト「フランスの歌『ああ,お母さま聴いてちょうだい』による12の変奏曲K.265」,②ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ『月光』」,③シューベルト「ます」「セレナード」「音楽によせて」,④メンデルスゾーン「歌の翼に」「春の想い」,⑤シューマン「献呈」「僕は夢の中で泣いた」「ぼくの美しい星」,⑥同「パピヨン」,⑦ショパン「ピアノ・ソナタ第2番『葬送』」です フォルテピアノの演奏家として有名な小倉喜久子さんが,ヴァルター,シュトライヒャ―,プレイエルを弾き分け,③~⑤は小倉さんの伴奏でテノールのルーファス・ミュラーが歌います

 

     

 

会場の「北とぴあ さくらホール」は巣鴨の自宅から都電で4つ目の王子駅で降りて徒歩2分.ドア・ツゥー・ドアで20数分です 文京シビックホールと同じくらい,わが家から最も近いコンサート・ホールかも知れません

自席は1階I列16番,左ブロック右から2つ目です.会場はほぼ満席です 在京オケの定期演奏会とはまったく違う聴衆だと直感します おそらく北区を中心とする地元の皆さんだと思われますが,これはある意味素晴らしいことです

ステージ上には3台のフォルテピアノが並んでいます(下のチラシ参照).中央には最初に弾くヴァルター製のフォルテピアノがスタンバイします

小倉さんが登場し,最初にモーツアルト「フランスの歌『ああ,お母さま聞いてちょうだい』による12の変奏曲K.265」(いわゆる「キラキラ星変奏曲」)を演奏します 1795年製のヴァルターのレプリカ(復元楽器)による演奏ですが,音としてはチェンバロに近い音色です 演奏後,ヴァルターはモーツアルトやベートーヴェンに支持された18世紀末のウィーンで最も人気のあったピアノフォルテで,軽いタッチが特徴である旨を説明します

次いで,膝レバーにより音色を変化させる「モデラート」を使用する曲として,ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ『月光』」を演奏します 「モデラート」による奏法は弦とハンマーの間に薄い布を挟み込むことによってソフトな音色になります そのような解説を聴いてから演奏を聴くと,私のような素人はなるほどと思います

次にフォルテピアノが1845年製のシュトライヒャ―(本物)に代わり,ドイツ系イギリス人のテノール歌手,ルーファス・ミュラーを迎えて歌曲が歌われます プログラム冊子掲載のプロフィールによると,バッハの宗教曲などで絶賛されているテノール歌手のようです まさにイギリス紳士といった風情のミュラーが歌うのは,シューベルト「ます」「セレナード」「音楽によせて」,メンデルスゾーン「歌の翼に」「春の想い」,シューマン「献呈」「僕は夢の中で泣いた」「ぼくの美しい星」です 後半に至って高音部が若干苦しいところもありましたが,全体的には説得力のある歌唱でした

小倉さんの説明によると,シュトライヒャ―は19世紀のウィーンを代表するピアノ製作者で,ドイツ・ロマン派の作曲家=シューベルト,メンデルスゾーン,シューマンなどと深い関係があったとのことです

 

     

 

プログラム後半は楽器がプレイエルに代わり,最初にシューマンの「パピヨン」が演奏されます この曲は1829~32年に作曲された12曲の小品から成る作品です プレイエルになると音色が現代のピアノに近くなっています

最後にプレイエルでショパン「ピアノ・ソナタ第2番『葬送』」が演奏されました この曲を聴きながら,ショパンはこういう音色で作曲したんだな,と思いました

アンコールは,再度ルーファス・ミュラーを迎え,ショパンの女弟子ポーリーヌ・ヴィアルドがショパンのマズルカを編曲した「愛の嘆き」を,次いでシューベルトの「アヴェ・マリア」を歌い喝さいを浴びました

この日の公演は,一種のレクチャー・コンサートでしたが,こういう企画はもっとやって欲しいと思います

 

     

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METライブビューイング:ベッリーニ「ノルマ」を観る~ラドヴァノフスキーのノルマ,ディドナートのアダルジーザ,カレーヤのポッリオーネにブラボー! / 二期会「ノルマ」のチケットを取る

2017年11月22日 08時07分23秒 | 日記

22日(水).わが家に来てから今日で1148日目を迎え,トランプ米大統領が20日,北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定すると発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                    ミサイル実験を繰り返す北朝鮮はテロ支援国家よりテロ国家と呼んだ方がよくね?

 

                                           

 

昨日,夕食に「ハッシュドビーフ」と「生野菜サラダ」を作りました 8人前作りましたが,一晩で無くなりました めっきり寒くなりました.シチューとかカレーとか,ハッシュドビーフとか,温かい料理が食べたい季節です

 

     

 

                                           

 

昨日,新宿ピカデリーで「METライブビューイング2017-2018」第1作:ベッリーニ「ノルマ」を観ました これは今年10月7日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演は,ノルマ=ソンドラ・ラドヴァノフスキー(ソプラノ),アダルジーザ=ジョイス・ディドナート(メゾソプラノ),ポッリオーネ=ジョセフ・カレーヤ(テノール),オロヴェーゾ=マシュー・ローズ(バス)ほか,管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・同合唱団,指揮=カルロ・リッツィ,演出=デイヴィッド・マクヴィカーです

 

     

 

舞台は紀元前のローマ帝国の支配下にあるガリア地方(現在のフランス).ドルイド教徒たちはローマと戦うことを願っており,ドルイド教徒の長であるオロヴェーゾの娘・巫女ノルマが神託を告げるのを待ちわびている しかしノルマは,密かにローマの将軍ポッリオーネとの間に2人の子どもをもうけており,彼の心が離れてたことを悩んでいる ポッリオーネは,若い巫女のアダルジーザに心を移していた.ポッリオーネから共にローマに行こうと誘われたアダルジーザは悩み,ノルマに相談にやってくる.しかし,巫女が恋愛をすることは禁じられている.相手がポッリオーネとは知らないノルマはアダルジーザを励ますが,そこにポッリオーネが登場する アダルジーザは二人の関係を知って苦しみ,ノルマは激怒する(以上第1幕)

ノルマは2人の息子を殺して自害しようとするが,どうしても出来ない アダルジーザがやってきて,自分は身を引き,ノルマとよりを戻すようポッリオーネを説得すると語る しかし,ポッリオーネがそれを拒否したと知り,ノルマは怒りのあまり聖なるドラを3回打ち鳴らして人々を集め,ローマに宣戦布告する そこに捕らえられたポッリオーネが引っ立てられてくる.ノルマは人々を下がらせ2人きりになると 彼に「アダルジーザを諦めれば命は助ける」と言うが,彼は拒否する そこで,ノルマは「裏切り者の女が分かった」と人々を集め,「それは自分だ」と告白する.そして,息子たちを父・オロヴェーゾに託すと,改心したポッリオーネとともに火刑台へ登っていく(以上第2幕)

 

     

 

イタリア出身の指揮者カルロ・リッツィがオーケストラ・ピットに入り,序曲の演奏に入ります これほどドラマティックで緊張感漲る序曲も珍しいでしょう オペラの序曲の中では最も好きな曲の一つです

幕が開くと,舞台は原始的な自然が支配する森が再現されています.中央には聖なる樫の大木が威厳をもって聳えています ノルマの父・オロヴェーゾと人々の合唱が終わると,いよいよノルマの登場です ノルマが一番最初に歌うのが,この役を80回以上歌っているマリア・カラスをして「すべてのアリアの中で最も難しい」と言わしめた「Casta Diva(清らかな女神)」です フルートによる緩やかなメロディーが先行して演奏されますが,これを聴いて不覚にも涙が出てきました アメリカ出身のソプラノ,ラドヴァノフスキーは慎重に歌に入りますが,ものすごい緊張感が伝わってきます.低音から高音までゆったりしたテンポで 息の長い旋律を歌い上げなければならないのですが,ラドヴァノフスキーは声を微妙にコントロールしながら見事に歌い上げました 言うまでもなく,満場の拍手とブラボーが送られました ラドヴァノフスキーはこのシーンに限らず,抜群のコントロールでアリア,デュエット,三重唱を歌いこなし,最後まで輝きを失いませんでした また,一昨年の「ロベルト・デヴェリュー」の時も感じたのですが,この人は顔の表情でも演技ができる人だとつくづく思いました

アダルジーザを歌ったアメリカ出身のジョイス・デイドナートは,今やMETを代表するベルカント・オペラの第一人者に登り詰めた感がありますが,歌唱力・演技力ともに抜群のパフォーマンスを見せるメゾソプラノです

第1幕フィナーレでは,ノルマとポッリオーネの関係を知って苦しむアダルジーザ,彼女を強引に連れ去ろうとするポッリオーネ(ジョセフ・カレーヤ),彼の不実に激怒するノルマによる三重唱が歌われますが,このオペラの白眉です それぞれの心理状態を見事に表した三重唱でした

幕間のインタビューでラドヴァノフスキーは スーザン・フィリップスの質問に答え,「ノルマは確かに神に仕える巫女ですが,私としては2人の子どもの母親であるという人間的な側面を前面に出して歌い 演じたいと思います」と述べていますが,まさにそのような役作りが垣間見られました

第2幕で一番好きなのは,アダルジーザが「自分は身を引き,ポッリオーネをノルマの元に戻るよう説得する」として,ノルマと女同士の友情を確かめ合う二重唱です ディドナートの歌うアダルジーザは,単なる弱い女性ではなく,自分の意志で神に仕えることを再度決意する強い女性を演じ歌っています

ポッリオーネを歌ったマルタ島出身のジョセフ・カレーヤは,最初は傲慢で優柔不断なダメ男を歌い演じていましたが,最後では改心した まっとうな男を歌い演じ,伸びのあるテノールと相まって その変わり身は見事でした

スコットランド出身のデイヴィッド・マクヴィカーによる新演出は,紀元前の古代の雰囲気を醸し出した自然な舞台作りで好感が持てました

カルロ・リッツィ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団による演奏は,終始緊張感を途切れさせることなく,しっかりと歌手陣をサポートし,時に自らカンタービレを歌い上げていました

このライブビューイング「ノルマ」は,休憩・歌手等へのインタビュー等を含めて3時間27分です 東銀座の東劇ほかで24日(金)まで上映中されます

このライブビューイングを観るに当たって,マリア・カラスがノルマを歌ったCD(トリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団,1954年録音)で予習しておきました

 

     

 

                     

 

映画の帰りに伊勢丹会館地下のプレイガイドで来年3月17日(土)午後5時から開かれる東京二期会の「ノルマ」のチケットを購入してきました 17日と18日のダブル・キャストですが,17日のキャストは,ノルマ=大村博美,アダルジーザ=小泉咏子,ポリオ―ネ=城宏憲,オロヴェーゾ=妻屋秀和,リッカルド・フリッツァ指揮東京フィル,演出=菊池裕美子です

会場が悪名高いオーチャードホールなので,今まで買うか買うまいか悩んでいたのですが,今回METライブビューイングを観て,やっぱり生で観たいと思い,決心しました

 

     

     

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ヴィルサラーゼが語る現代のピアニストの危機 / コンサート評を書くにあたっての私の方針 / 荒木源著「独裁者ですが,なにか?」を読む~言うまでもなく北方面のあの人がモデルです

2017年11月21日 07時52分07秒 | 日記

21日(火).わが家に来てから今日で1147日目を迎え,メルケル独首相が率いるキリスト教民主・社会同盟,自由民主党,緑の党による3党連立協議が決裂した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       次の会談でまとまらなかったら あきらメルケル って言ったのはどこのドイツ?

 

                     

 

昨日,夕食に「スペアリブ」と「生野菜と生ハムのサラダ」を作りました 「スペアリブ」は豚骨付き肉を塩コショウで焼いたことはありましたが,今回は別のレシピで,酒,味醂,醤油,砂糖,酢,和風だし等で煮込みました レシピには「1~2時間煮込む」と書かれていましたが,1時間と2時間では2倍の違いがあるではありませんか,奧さん あまり悩まずに出した結論は,得意の「中をとって」90分でしたが,結論としては煮汁が無くなるまでということで約80分煮込みました

 

     

 

                     

 

昨日の朝日朝刊に,ジョージア出身のピアニスト,エリソ・ヴィルサラーゼのインタビュー記事(編集委員・吉田純子さん記)が載っていました.超訳すると

「リヒテルのように,音を通じて解釈,様式,自身の人生観を伝えられるピアニストはいなくなってしまった なぜか? 共産主義ではどれだけ働いても収入は同じ.だからこそ,音楽は純粋に自分の人生を確かめ,表現するよすがで在り続けられた 生きることと音楽をすることは同義だった.共産主義の方が良かった,などと言うつもりはない.ただ,資本主義の社会はお金や脚光にしか関心のない演奏家の巣窟になりかねない かつての指揮者やオーケストラは,尊敬できないソリストとは決して共演しなかったが,今は稼げる人なら妥協する こうした不誠実さが音楽市場の質の低下を招いている

コンサート会場の入口で渡されるチラシの束を見ると,「なんで,こんな無名の人が こんな有名なオーケストラをバックに協奏曲を弾くんだ?相当お金を積んだな!?」と思うコンサートが確かにあります 私はそういう匂いのするコンサートには行かないようにしています.時間の無駄ですから

今月28日(火)には紀尾井ホールでヴィルサラーゼのコンサートを聴きます リヒテルから「世界最高のシューマン弾き」と言われた彼女のシューマンもプログラムに含まれています 今から楽しみです

 

     

 

                

 

当ブログのプロフィール欄の「自己紹介」にある通り,私は「クラシック・コンサート鑑賞」「映画鑑賞」「読書」の3つについてそれぞれ目標を設定し,その成果をブログにアップしています したがって,私のブログのタイトルの9割以上は「〇〇を聴く」「〇〇を観る」「〇〇を読む」の3つのパターンで占められています

私はひと様のブログを見る習慣がないので,どなたがどのようなコンサート評を書かれているのか存じ上げませんが,「クラシック・コンサート」を聴いた感想について,私が普段どのような考え(方針)で書いているのかについて下に記してみたいと思います

第一に「誰に向けて書くのか」ということが問題になります 当ブログの登録読者は本日現在1450人ですが,毎日更新されるアクセス情報を見ると,このうち,毎日アクセスしているのは大雑把にその3分の1の約500人位だと思われます 登録読者だけをみても「見ていない人」の方が多いことになります もちろん,登録していない読者がアクセスするケースもあるでしょうが,そのデータはありません もう一つは,前日に私が聴いた「そのコンサート」を聴いた人で当ブログを見ている人は実際には少なく,「聴かなかった人」でブログを見ている人の方が圧倒的に多いのではないかと想像しています

上記のことを踏まえて,私が普段から心がけていることは,実際に「そのコンサート」を聴いた人にも聴かなかった人にも分かるように書くということです 具体的に言えば,まず,演奏される作品を簡単に紹介(作曲年や何楽章か等)した上で,そのコンサートは「お客は多かったのか 少なかったのか」,「演奏中にケータイの着信音を鳴らす不届き者はいなかったかどうか」,「オーケストラの場合は編成はどうか(対向配置か)」,「協奏曲や室内楽で女性奏者が出演する場合,どんな服装だったか」,「複数の楽章がある曲では,間を置くのか,連続して演奏するのか」,さらにオペラの場合は「演出の特徴」など,誰が見ても分かるような”客観的な事実”を基に コンサート全体の雰囲気が分かるように書くようにしています その上で,演奏の内容はどうだったかについて個人的な感想を書きます この場合,同じ演奏でも人によって受け止め方が異なるので表現方法も異なってきます 私のような音楽の基礎も素養のない素人は,せいぜい自分の所有しているCDの演奏と比べてテンポが速いとか遅いとか,特に誰の演奏が良かったとか,音がきれいだとか,色彩感が溢れていたとか,それくらいの表現能力しかありません 日々,表現力の乏しさを自覚するばかりです ただ,一つだけ特に気を付けていることを挙げるとすれば,素人にも分かるほどのひどいミスがあった場合を除き,演奏を酷評しないということです プロの演奏者だって生身の人間ですから ちょっとしたミスは誰にもあるし,ブログを見た人が 酷評された演奏家の演奏を次の機会があった時に聴きたいと思うだろうか? と思うからです ますますクラシック人口が減っていくばかりだと思います.むしろ「褒めて育てる」方がクラシック人口を増やすには良いのではないかと思うのですが,いかがでしょうか

なお,誤解のないようにご説明しておくと「ひと様のブログは見ない」理由は,同じコンサートを聴いた人のブログを見て,自分とまったく正反対の感想が書かれていた場合,自分の方が間違って認識しているのではないかと思い,書こうとする内容を修正してしまう恐れがあるからです.気が小さいものですから 違う感想を持たれた方で意見を言いたい方はコメントを寄せていただくことで意見交換ができると思います 「裸の王様」と言われようが 「餃子の王将」と言われようが,自分の考えを貫くにはそれが一番良い方法だと思っています

 

                     

 

荒木源著「独裁者ですが,なにか?」(小学館文庫)を読み終わりました 荒木源は1964年京都府生まれ.東大文学部仏文科を卒業後,朝日新聞社会部記者を経て,2003年に「骨ん中」でデビュー,話題になった作品に「オケ老人」があります

 

     

 

「独裁者」とは上の写真を見るまでもなく,北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長を皮肉っています この本は,北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を繰り返す中で,小学館文庫のために書き下ろし,今年9月11日に出版された作品です

ペックランド人民党中央委員会委員長・ジョンウィン(金正恩の暗喩)は,日々ミサイル発射実験に勤しんでいた ある日,ヤップランド(日本のこと)から取り寄せたお話しAIロボットが届く.樽のような体形のロボットは「キムティン君」という名前で,慣れ慣れしい口調で語りかけて来た 話し方が誰かに似ていると思ったら,暗殺されたはずの異母兄ジョンナムール(金正男のこと)だった ジョンウィンは不気味だと思いながらも会話を楽しむようになる.ジョンウィンは最高の権力者なのにいつも孤独だった.唯一 心が許せるのは妹のジョンメリー(金ヨジョンのこと)だった.なぜか彼女は大阪弁を話すが,同性愛者だった.彼女は将来を悲観して自殺してしまう ジョンウィンにはいつしかヤップランドからの刺客が近づいていた

内容的には,予想していたほどは面白くなかったというのが正直な感想です ただ,そういうことはあり得るかも と思ったところもありました.ジョンウィンがジョンナムール(キムティン君)に「兄さん,俺はあんたが羨ましかったんだ」と告白するところです.本物の金正恩委員長だって,若くして父親に死なれ,一国の国民を束ねていかなければならない重荷を負わされたことを考えれば,自国や中国からの資金援助で自由に外国を行き来することが出来た兄・金正男は遠望の的だったでしょう ある意味,気の毒な立場です.ストレスだらけの立場に加えて,弾道ミサイル実験を通して交渉に引きずり込みたい相手はメリック(アメリカ)の やり手ビジネスマン,パックドナルド(トランプ)なのですから

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