人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ラース・フォン・トリアー監督「ハウス・ジャック・ビルト」、ジョーダン・ピール監督「アス」を観る ~ グレン・グールドの弾くバッハ「パルティータ第2番」、ヴィヴァルディ「四季」も流れる

2020年01月31日 07時47分48秒 | 日記

31日(金)。今日は英国が欧州連合(EU)から離脱する記念すべき日です 2020年1月も今日で終わりですね 月日の流れは速いもので、今年も残すところあと335日になりました

ということで、わが家に来てから今日で1949日目を迎え、CNNテレビは29日、ホワイトハウスが「ウクライナ疑惑」の真相に言及すると報じられているボルトン前大統領補佐官の著作について書簡を送り、出版を差し止める意向を示していると報じた というニューを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     アメリカはいつから自由の国から不自由の国になったんだ? トランプ政権からか

     

         

 

昨日、夕食に「肉じゃが」を作りました お酒は日本酒です

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「ハウス・ジャック・ビルト」と「アス」の2本立てを観ました

「ハウス・ジャック・ビルト」はラース・フォン・トリアー監督・脚本による2018年デンマーク・フランス・ドイツ・スウェーデン合作映画(152分)です

1970年代の米ワシントン州。建築家になる夢を持つハンサムな独身の技師ジャック(マット・ディロン)は、あるきっかけからアートを創作するように殺人に没頭する ”ジャックの家”を建てるまでの12年間の殺人が5つのエピソードを通じて描かれる

 

     

 

この作品は米国映画協会の審査(日本で言えば映倫みたいなものか)により全米公開時には本編の一部がカットされましたが、今回、日本では完全ノーカット版での上映が実現しました

理性と狂気を併せ持つシリアルキラーのジャックの葛藤と欲望を過激なまでの描写で描いた作品ですが、ラストは「ドン・ジョバンニの地獄落ち」と同じです 本人は殺人をアートの様に見ていますが、最後は神の審判が下されるのです

ところで、この映画では何度かカナダのピアニスト、グレン・グールドがバッハ「パルティータ第2番」の第1曲「シンフォニア」と第6曲「カプリッチョ」を弾くシーンがモノクロ映像で流されます 奇才グールドはコートを着たまま、低い椅子(高さ約30センチ)に腰かけて鼻歌を歌いながら気分良さそうにバッハを弾いています よく知られているように、グレン・グールド(1932-1982)は1955年に録音したバッハ「ゴルトベルク変奏曲」で衝撃のデビューを果たしますが、その後「演奏の一回性」に疑問を抱くようになり、1964年にコンサート活動から引退してしまいます それ以降は録音を中心に活動し、1981年には2度目の「ゴルトベルク変奏曲」を録音しました 写真の上が1955年盤、下が1981年盤です。個人的な感想を言えば、私は1955年盤の歯切れの良い演奏の方が好きです

 

     

     

 

また、第3話では、ジャックが逃げ惑う母親と子ども2人を銃で撃つ衝撃的なシーンが映し出されますが、ここでテーマ音楽のように流れるのはヴィヴァルディ「四季」(正確には「和声とインベンションの試み」と題する12曲から成るヴァイオリン協奏曲集)の協奏曲第3番「秋」の第3楽章「アレグロ」です 「四季」には各曲に音楽の内容を表す「ソネット」という14行の短詩が付いていますが、「秋」の第3楽章には次のような「ソネット」が付けられています

「夜が明けるのを待って、狩人たちは森に出かけて行きます。獣は必死に逃げ惑い、銃声と犬のほえ声が乱れ、力尽きた獣は倒れます」

つまり、狩人=ジャックで獣=母子です 第3話のラストシーンでは、ジャックが撃ち殺した無数のカラスとともに、母子3人の死体がまるでアートのごとく整然と並べられており、背景で「秋」のあまりにも明るく軽快なメロディーが流れています この衝撃的な殺人を扱った第3話などは、真っ先に「米国映画協会」の審査に引っかかったのではないかと想像できます

どんなタブーにも挑戦していくのがラース・フォン・トリアー監督の信条なのでしょうか

 

         

「アス」はジョーダン・ピール監督・製作・脚本による2018年アメリカ映画(116分)です

アデレード(ルピタ・ニョンゴ)は夫のケイブ、娘のゾーラ、息子のジェイソンと共に夏休みを過ごすため、幼少期に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪ねる 早速、友人たちと一緒にビーチへ行くが、不気味な偶然に見舞われたことで、過去の原因不明で未解決なトラウマがフラッシュバックする やがてアデレードは、家族の身にも恐ろしい出来事が起こるという妄想を強め、夫のケイブにすぐに帰りたいと言う その夜、家の前に自分たちとそっくりな”わたしたち”がやってくる

 

     

 

ホラーでありサスペンスでありスリラーです 自分たちにソックリな家族が突然目の前に現れたら、それはビックリします しかも、彼らはこちらを憎んでいるらしく攻撃してくる 「同じ顔を持ったあなたたちは何不自由なく幸福に暮らしている。その反面、私たちは不幸のどん底にいる。こんな不公平なことが許されるのか」と

”彼ら”に追い詰められたアデレードは、「ここを捨てて、メキシコに逃げよう」と訴えますが、夫のケイブは「ここにいるのが一番安全だ」と言って動こうとしません 一家が住んでいるのはアメリカです。様々な理由から、メキシコからアメリカに逃げるというのなら理解できます。しかし、アメリカからメキシコに逃げようと言うのです。これは何を意味しているのでしょうか つまり、アメリカほど危険な国はないと言っているのではないか アス(Us)というのは後ろにAを付けるとUSAになりますね

一番怖いのはラストです アデレードの幼少時の”事件”が振り返られ、本当は何があったのかが明らかになるシーンです いつの日か、アメリカは”彼ら”に乗っ取られるのではないか、と心配になってきます

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伊藤恵 ✕ 徳永二男 ✕ 向山佳絵子でシューベルト「ピアノ三重奏曲 第1番」、チャイコフスキー「ピアノ三重奏曲 ”偉大な芸術家の思い出に”」を聴く~都民芸術フェスティバル2020

2020年01月30日 07時21分19秒 | 日記

30日(木)。わが家に来てから今日で1948日目を迎え、トランプ米大統領の「ウクライナ疑惑」を巡る米上院の弾劾裁判で、疑惑の詳細を知る立場にいたボルトン前大統領補佐官が著作で「トランプ氏は、ウクライナの軍事支援の凍結解除を、バイデン前米副大統領への調査の取引条件にしていた」と明かす予定であることが報道されたのを受け、共和党のロムニー議員は27日、記者団に対してボルトン氏の証言を聞くべきだとしたうえで「他の共和党議員が賛同する可能性が高まっている」と説明した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     共和党にも良心を持った議員が他にもいるだろう  4人が賛成すれば召喚されるよ

 

         

 

昨日、夕食に「麻婆茄子」を作りました 挽肉の代わりに豚バラ肉を使っています。久しぶりに作りましたが、美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夕、東京文化会館小ホールで都民芸術フェスティバル2020~室内楽・シリーズN.19「偉大な芸術家の思い出に」を聴きました プログラムは①シューベルト「ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調  作品99  D.898 」、チャイコフスキー「ピアノ三重奏曲 イ短調 作品50  ”偉大な芸術家の思い出に” 」です 演奏はピアノ=伊藤恵(藝大教授)、ヴァイオリン=徳永二男 (元N響・コンマス)、チェロ=向山佳絵子(元N響・首席)です

 

     

 

自席はH列30番、右ブロック左から2つ目です。会場はほぼ満席です。出演者の顔ぶれとプログラムを見れば納得できます

1曲目はシューベルト「ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調  作品99  D.898 」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1828年に作曲した作品です 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・ウン・ポコ・モッソ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「ロンド:アレグロ・ヴィヴァーチェ~プレスト」の4楽章から成ります

日本のクラシック音楽界をリードする3人の演奏者は、晩年とは言え31歳の若さで生涯を終えたシューベルトの作品を、説得力を持って演奏しました とくに第2楽章の冒頭、ピアノに乗ってチェロからヴァイオリンへと受け継がれる部分が素晴らしく、思わず聴き惚れてしまいました シューベルトは何故か悲しい

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「ピアノ三重奏曲 イ短調 作品50  ”偉大な芸術家の思い出に”」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が、1881年にパリで急死した恩師のニコライ・ルビンシテインの追悼のために1881年から翌82年にかけて作曲した作品です 2つの楽章から成ります。第1楽章は「ペッソ・エレジアーコ」、第2楽章は「12の変奏曲と終曲」から成ります

第1楽章では、チェロの、ヴァイオリンの、そしてピアノの、悲しみを湛えた音楽が胸に迫ります チャイコフスキーの恩師への追悼の心が伝わってきます 第2楽章の「変奏曲」ではチェロが朗々と奏でる「ワルツ」が素晴らしく、それを受け継ぐヴァイオリンとピアノがまた素晴らしい 悲しみの音楽の中の一時の慰めのようです そしてコーダで第1楽章の悲しみを湛えた音楽が再現され、静かに曲を閉じます

この曲を聴いてあらためて思うのは、チャイコフスキーは屈指のメロディーメーカーである、ということです

満場の拍手に徳永氏が「昨日は雨でしたが、今日はすっかり良い天気になりました 女性のお二人は晴れ女なんですね アンコールに、今演奏したチャイコフスキーの曲の『ワルツ』の部分を演奏します」と言って、演奏に入りました。ここは大好きなので、得した気分です

この日の演奏は3人とも素晴らしかったですが、中でもチェロの向山佳絵子の演奏は胸を打ちました

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ポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」を観る ~ スリルとサスペンスに溢れた 第72回カンヌ国際映画祭「最高賞」パルムドール受賞作 : TOHOシネマズ新宿

2020年01月29日 07時22分57秒 | 日記

29日(水)。昨日の日経夕刊 文化面にクラシック・コンサート評が載っていました 音楽評論家E氏が1月度N響定期演奏会(1月11日、12日。エッシェンバッハ指揮によるマーラー「交響曲第2番”復活”」)について批評を書いているのですが、内容はともかく、コンサートが終わってから16日も経った今ごろになって 批評を載せてどういう意味があるんだろうか? と考えてしまいました もっとも、当該コラムで取り上げられないコンサートの方が圧倒的に多いわけですから、批評の対象として取り上げられること自体に意義があると言えなくもないかもしれません しかし、それにしても遅すぎると思います。どうせ載せるなら公演終了後せめて1週間以内に掲載して欲しいと思います   新聞は日刊紙であって「音楽の友」のような月刊誌ではないんですから

ということで、わが家に来てから今日で1947日目を迎え、トランプ米大統領は27日、ホワイトハウスで記者団に対し、政権が策定してきたイスラエルとパレスチナの中東和平案を東部時間28日正午に公表すると明らかにしたが、和平案はイスラエルに有利な内容とみられており、パレスチナが受け入れる可能性は低い というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大統領選の点数稼ぎはいいから ボルトン氏を弾劾裁判に召喚するようにしてくれ

 

         

 

昨日の夕食は、大学時代の友人で千葉県勝浦市在住のS君が送ってくれた大ぶりのサバを塩焼きにして、タコの山掛けを作りました サバは脂がのってとても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、TOHOシネマズ新宿でポン・ジュノ監督による2019年製作「パラサイト  半地下の家族」(韓国・132分)を観ました 第72回カンヌ国際映画祭「最高賞」パルムドール受賞作です

父ギデク、母チュンスク、息子ギウ、娘ギジョンのキム一家4人は全員が失業中で、狭く薄汚れた半地下のアパートでその日暮らしの貧しい生活を送っていた 水圧の関係で、家の中で一番高いところにあるのがトイレ。そこまで上らないと携帯の電波も入らないという悲惨な生活だった ある日、長男ギウが友人ミニョクの紹介でIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ、娘ダへの英語の家庭教師として雇われることになる そして妹のギジョンも兄に続いて息子ダソンの絵の教師として豪邸に入り込む。次にギジョンがお抱え運転手に罠を仕掛けてキム氏に解雇させ、その後釜に父ギテクを送り込む そして、大ベテランの家政婦ムングァンが桃のアレルギーであることを突き止め、それを利用して彼女が結核だとパク夫人に思い込ませて彼女を追い出し、その後釜に母チュンスクを送り込む かくして4人は、パク夫妻に同じ家族であることを気付かれないまま ”就職”することに成功する 息子ダソンの誕生日にパク一家がキャンプのため外出中、キム一家は大豪邸を勝手に使い、計画が巧くいったと飲み食いして喜んでいるところに解雇された家政婦ムングァンが訪ねてきて、忘れ物をしたので取りに来たと言う 仕方なく屋敷に入れると、パク夫妻の前にこの豪邸に住んでいた建築家が作ったという秘密の地下室に入っていった。そこには、借金取りから身を隠すため、ムングァンの夫が隠れ住んでいた この出会いから、半地下生活のキム一家と豪邸暮らしのパク一家の運命は大きく転換し、とんでもない悲劇に突き進んで行く

 

     

 

パラサイト(parasite)とは「寄生動・植物」「居候(いそうろう)」という意味です 親のすねをかじりながら親元で暮らす独身者のことを「パラサイト・シングル」と呼びます

さて、キム夫妻は新しく家に”就職”してきた4人が同じ家族だと気が付きませんが、息子のダソンだけは「同じ匂いがする」と言い、ただ一人感付いています また、キャンプに出かけたキム一家が予定より早く家に戻ってくることになり、宴会をやっていた4人は慌てて隠れるのですが、彼らが同じリビングにいるのを知らないキム氏は妻に「ギテクは優秀な運転手だが、切り干し大根か布巾の匂いがする」と訴えます ポン・ジュノ監督は、韓国の階級社会を”匂い”で象徴させたのではないかと思います その後、パク夫妻が寝落ちた隙に母チュンスクを除く3人は大豪邸から逃げ出します。3人は大雨の降る中を半地下のアパートに向かうのですが、カメラは階段の上から下へ滝のように流れ落ちる雨水を映し出します この水は、高台の高級住宅地から下方の安アパートへ流れ落ちることはあっても、その逆はないこと映像で示しています 厳しい受験競争を経て一流企業に就職できる一握りの「勝ち組」になれなければ、一生を「負け組」として底辺社会で生きなければならない階級社会の中では、上流から下流へ落ちることはあっても、下流から上流に登ることは不可能に近いことを象徴しているかのようです つまり、半地下生活の”匂い”は生涯消えないのです 半地下のアパートは浸水して生活できなくなり、彼らは避難所となった体育館で過ごすことになりますが、こういうことも高台の高級住宅地では考えられないでしょう

この映画を観終わって頭に浮かんだのは、是枝裕和監督による2018年製作映画「万引き家族」です 「パラサイト」の前年の第71回カンヌ国際映画祭「最高賞」パルムドール受賞作です

「万引き家族」は東京下町に暮らす柴田治、妻・信代、息子・祥太、信代の妹・亜紀、治の母・初枝、そして新たに家族になったユリの6人の物語です 一家は初枝の年金と、治と祥太の万引きによって生計を立てています 社会の底辺で暮らす貧しい人々を描いた作品ということでは、「パラサイト」と共通しています 2つの作品の大きな相違点は、主人公一家が「パラサイト」は本物の家族なのに対し、「万引き家族」は血縁関係のない疑似家族だったことが最後に判るということです

昨年、NHKのニュース番組で是枝裕和監督とポン・ジュノ監督の短い対談が放映されました その時、是枝監督が「『パラサイト』を作った時、格差社会などの社会問題をテーマにしようと思いましたか?」と訊くと、ポン・ジュノ監督は「そういう意識では撮っていません。ただ現実をあるがままに撮りたかっただけです」と語っていました。これには是枝監督も同感の思いを語っていました

「社会性を持った映画」とか 難しいことを考えないで気楽に楽しめる映画です とくに秘密の地下室が発見されるシーンからは、先が読めないスリルとサスペンスに溢れたストーリー展開で、ワクワクドキドキします 最近観た中で一番面白かった映画です。お薦めします

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紀尾井ホール室内管弦楽団によるアンサンブル6「音楽の冗談~少年モーツアルトから壮年モーツアルトへ」を聴く ~ モーツアルトの誕生日=1月27日にちなんで

2020年01月28日 07時49分21秒 | 日記

28日(火)。わが家に来てから今日で1946日目を迎え、トランプ米大統領のウクライナ疑惑を巡り、ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)が近く出版する著作で、トランプ氏がウクライナ向けの軍事支援再開の条件にバイデン前副大統領の不正疑惑に関する調査をあげたと記していることが明らかになった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプは閣僚が気に入らないといすぐにクビにするから 後でしっぺ返しに遭う

     

         

 

昨日は寒かったので、夕食は「昆布だし鍋」にしました 材料は鶏もも肉、タラ、白菜、シメジ、シイタケ、長ネギ、豆腐、昆布だし鍋の素「極鍋」です。とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夕、紀尾井ホールで紀尾井ホール室内管弦楽団によるアンサンブル6「音楽の冗談~少年モーツアルトから壮年モーツアルトへ」を聴きました オール・モーツアルト・プログラムで、①交響曲ヘ長調K.19a、②交響曲ト長調K.45a「旧ランバッハ」、③交響曲ニ長調K.32「カリマティアス・ムジクム」、④6つのコントラダンスK.462、⑤2つのメヌエットとコントルダンスK.463、⑥音楽の冗談K.522です 演奏はヴァイオリン=影山裕子、鎌田泉(日本フィル・ゲスト コンマス)、寺岡有紀子、戸原直(藝大フィル・コンマス)、山本千鶴(東京シンフォニエッタ・コンマス)、ヴィオラ=中村智香子、森口恭子(読響)、チェロ=丸山泰雄、コントラバス=池松宏(都響・首席)、オーボエ=広田智之(都響・首席)、森枝繭子、ファゴット=水谷上総(N響・首席)、ホルン=丸山勉(日本フィル・客員首席)、和田博史(都響)、チェンバロ=長久真実子(客演)です

 

     

 

プログラム前半はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1.27-1791.12.5)の35年の生涯のうち、9歳から13歳頃に作曲された3つの交響曲が、後半は20代後半と壮年期に作曲された3つの作品が演奏されます

最初はフル・メンバーの登場です 指揮者を置かないオケのリード役、第1ヴァイオリンは藝大フィルハーモニア管弦楽団のコンマス・戸原直が務めます 女性陣は色とりどりの衣装が鮮やかです

1曲目は交響曲ヘ長調K.19aです この曲は1765年(9歳)の作品と言われています。第1楽章「アレグロ・アッサイ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

戸原の合図で第1楽章に入ります。第1印象は、演奏の素晴らしさに加えて音が良く響くホールだな、ということです これまで何回かこのホールで聴きましたが、あらためてそのことを感じました 弦楽器と管楽器の音のブレンドが円熟したウィスキーのようです 特に素晴らしいと思ったのは、戸原直のヴァイオリンとヴィオラの中村智香子、森口恭子の二人、そしてオーボエの広田智之、森枝繭子の二人です とても楽しい演奏でした

2曲目は交響曲ト長調K.45a「旧ランバッハ」です この曲は1923年にオーストリアの高地ランバッハの修道院でパート譜が発見されました これには「1769年1月4日。作曲者寄贈」と記入されているとのことで、13歳の時の作品ということになります 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります この曲でも管楽器と弦楽器のアンサンブルが見事です

3曲目は交響曲ニ長調K.32「カリマティアス・ムジクム」です これは「寄せ集めの音楽」という意味です。1766年(10歳)にオランダのデン・ハーグ滞在時に作曲されました 管弦楽のための18の短い楽章から成ります。この日は18楽章のうち4つの楽章を抜き出して交響曲として演奏しました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「パストレッラ」、第4楽章「アレグロ」です 思ったより個々の楽章が短く、あっという間に終わってしまいました

以上の3曲はコンサートで取り上げられる機会がほとんどないので、貴重な体験でした CDは持っていますが、やっぱり生演奏で聴くと格別です

 

     

 

プログラム後半の1曲目は「6つのコントラダンスK.462」です この曲は1784年1月(28歳)に作曲されたと考えれています。続けて演奏される「2つのメヌエットとコントルダンスK.463」は1783年末から1784年初頭に作曲されたと考えられています この2曲ではヴィオラの二人が外れます。この曲でもオーボエが素晴らしい演奏を展開していました

最後の曲は「音楽の冗談K.522」です この曲は1787年(31歳)に作曲されました モーツアルト自ら「音楽の冗談」と名付けたこの曲は、下手な作曲家や演奏家を真似して酷いフレーズを入れたり、音程を外して演奏させたりして、聴き手を笑わせるような内容になっています この曲ではオーボエが外れます。第1楽章「アレグロ」、第2楽章「メヌエット」、第3楽章「アダージョ・カンタービレ」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります

戸原のリードで第1楽章に入りますが、武骨なメロディーが延々と続きます 第2楽章では肝心の主部でホルンが調子っぱずれの音を出し、弦楽奏者から白い目で見られます 第3楽章では第1ヴァイオリンが装飾付きのメロディーを奏でます 中盤で戸原がおもむろに立ち上がってステージ中央に行き、そこでカデンツァを演奏するのですが、最後に到達する高音域で調子っぱずれの音を出します そして、チェロ奏者に説得されて自席に戻ります 第4楽章は途中でフーガが演奏されますが、締まりがなく同じメロディーが繰り返されます トドメはフィナーレです。各奏者がまったく異なる調の和音を大きな音で出し、ハチャメチャな響きの中で曲が終わります

さて、この曲を演奏するにあたって重要なことがあります それは、曲のタイトルは「冗談音楽」ですが、真面目に演奏することです 音を外して笑いを取ると言っても、演奏者は楽譜通りに演奏しているのです 演奏する側が真面目にやればやるほど音楽は面白くなるのです 笑いながら演奏していたら聴衆はシラケます これは喜劇的なオペラでもそうです。歌手側が真面目に歌い演じるほど喜劇性が高まります そういう意味で、この日の演奏は真面目で冗談が通じました

演奏終了後、戸原氏が「今日は雪が降るかもしれない天候の中、ようこそおいでくださいました アンコールに交響曲ニ長調K.32『カリマティアス・ムジクム』のうち第6曲目の『アレグレット』を演奏します」とアナウンスし、演奏に入りました そして、満場の拍手の中、コンサートが終了しました。外は雨でした

モーツアルトの誕生日の1月27日に、滅多に聴けない彼の曲が聴けたのでラッキーでした

ところで、予習するため「音楽の冗談」のCDを探したのですが、とうとう発見できませんでした 所有する4000枚のCDのうち約700枚がモーツアルトですが、ジャンル別に並べてあるつもりなのに、たったの1枚が見つかりませんでした あるいは、もともと持っていなかったのだろうか・・・・冗談だろう

 

     

 

toraブログのトータル閲覧数が530万ページビューを達成しました(5,301,620 PV。トータル訪問者数は1,404,047 IP)。これもひとえに普段からご覧いただいている読者の皆さまのお陰と感謝申し上げます これからも毎日休むことなく根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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飯森範親 ✕ 角田祐子 ✕東京交響楽団 でラッヘマン「マルシェ・ファタール」、アイネム「ダントンの死 管弦楽組曲」、リーム「道、リュシール」、R.シュトラウス「家庭交響曲」を聴く

2020年01月27日 07時18分06秒 | 日記

27日(月)。マンションの高層階用エレベーターのリニューアル工事が終わり、やっと楽になりました 1月6日から25日までの工事期間中、1階から5階までは低層階用のエレベーターで上がり、内廊下を通って高層階側の外に出て、非常階段を上がらなければなりませんでした 自宅は9階なので4階分上がるだけで済んだのですが、最上階=14階の住人は9階分も徒歩で上がらなければならないので大変だったと思います そもそも、エレベーターの籠に閉じ込められた事故が2回続けて起こったのがリニューアル工事のキッカケでしたが、27年間もリニューアルしてこなかったので事故も起こるでしょう マンション管理会社の担当者によると「エレベーター2020年問題」というのがあって、今年エレベーターのリニューアル工事が集中するので、申し込んでもすぐには来てくれないとのことでした 1月中に終わって良かったです

ということで、わが家に来てから今日で1945日目を迎え、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の拡大で、中国の旅行会社を統括する中国旅行協会は25日、中国政府の要求に基づき、国外旅行を含む全ての団体ツアー旅行から一時禁止とすることを決めた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

           

             だれか回転を一時禁止にしてくれね?

 

         

 

3月26日(木)午後7時から東京文化会館小ホールで開かれる「東京春祭ディスカバリー・シリーズ  Vol.7 ~ ジャコモ・プッチーニ」のチケットを取りました 公式パンフレット冊子にも公式サイトにも「出演者・曲目は決定後。公式サイトに掲載いたします」と書かれていますが、一般発売開始日の1月26日(日)午前10時になっても内容が明らかになっていません 随分いい加減だと思います しかし、すでに日程表に予定を入れており、内容如何に関わらず聴くことにしているので 予定通りチケット(A席:2500円)を取りました

 

     

 

         

 

ミューザ川崎で年4回開かれる「モーツアルト・マチネ」の2020年度のチケットを取りました 東京交響楽団がモーツアルトの作品を中心に演奏します 日程は次の通りです

第41回 2020年5月23日(土)モーツアルト①交響曲第25番、②交響曲第29番、③グラスハーモニカのためのアダージョとロンド。指揮=井上道義。

第42回  〃 8月22日(土)モーツアルト①2つのヴァイオリンのためのコンチェルト―ネK.190、②ヴァイオリン協奏曲第5番。ヴァイオリン=大谷康子、水谷晃。

第43回  〃 11月21日(土)①リゲティ「ラミフィケーション」、②ハイドン「トランペット協奏曲」、③モーツアルト「交響曲第38番K.504」。②のトランペット=佐藤友紀、指揮=ジョナサン・ノット。

第44回2021年3月6日(土)①モーツアルト「ピアノ協奏曲第23番K.488」ほか。指揮・ピアノ=小菅優。

時間はいずれも午前11時から12時10分です 小菅優さんの弾き振りは今回が3回目です

 

     

 

         

 

25日(土)午後6時からサントリーホールで東京交響楽団の第677回定期演奏会を聴きました プログラムは①ラッヘマン「マルシェ・ファタール」、②アイネム「ダントンの死」管弦楽組曲作品 6a(日本初演)、③リーム「道、リュシール」(日本初演)、④R.シュトラウス「家庭交響曲 作品53」です ③のソプラノ独唱=角田祐子、指揮=飯森範親です

文京シビックホールをあとにして地下鉄南北線で六本木一丁目まで行き、サントリーホールに着いたのは開演20分前の午後5時40分。文京シビックからサントリーホールまでdoor-to-doorで25分でした 会場を見渡すと、いつもの定期演奏会よりも空席が目立ちます まあ、この日のプログラムを見れば理解できるというものです 前半はクラシック好きの人でもあまり聞いたことのない名前の作曲家の作品群、後半が誇大妄想作曲家の作品なのですから そういうこともあってでしょう。開演にあたり、指揮者の飯森氏とソプラノの角田さんがステージに登場し、短いプレトークが開かれました 飯森氏は開口一番「難しい曲ばかり並べたな、とお思いかもしれませんが、そうではないことをお話しします」と語り、個々の作品について簡単に説明しました。角田さんも「このプログラムは集客を狙った対極にあるもので、素晴らしい企画だと思います」とフォローしました

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東響の並び。コンマスはグレブ・二キティンです

1曲目はラッヘマン「マルシェ・ファタール」です   この曲はヘルムート・ラッヘマン(1935~)が2017年にピアノ版を作曲、翌2018年にオーケストラ版を完成させました    長木誠司氏のプログラム・ノートによると、「マルシェ・ファタール」とは「命がけのマーチ」という意味で、「ちゃんと聴かれてこなかった行進曲をいかに聴かれる形にするかが最大のテーマ」とのことです

飯森の指揮で演奏に入りますが、まさに軍楽隊が演奏するマーチそのものといった曲想です    終盤で、まるで行進曲を流すレコードが針跳びを起こしたかのように、同じフレーズを繰り返す場面がありますが、指揮者はステージから客席の方に降り、しばらく座って音楽を聴いています こういうのを一般的に「職場放棄(サボタージュ)」と言いますが、これは作曲者の意図によるものです 曲の最後も、飯森氏が上を向いてピロピロ笛を吹いて終わらせるところは人をおちょくっています これも作曲者の意図です 冗談音楽で有名なホフナング音楽祭で演奏されそうな曲だと思います ひと言でいえば「真面目な演奏によるグロテスクな軍隊行進曲」でした

2曲目はアイネム「ダントンの死~管弦楽組曲作品 6a」です この曲はオーストリアの作曲家ゴットフリート・フォン・アイネム(1918-1996)が1946年に作曲したオペラの管弦楽版です 小宮正安氏のプログラム・ノートによると、「ダントンの死」は19世紀ドイツの革命詩人ゲオルク・ビュヒナーが1835年に書いた4幕物の戯曲を2幕にしたオペラで、フランス革命の立役者ジョルジュ・ダントンが、宿敵マクシミリアン・ロベスピエールによって裁判にかけられ、死刑に処せられるという内容です 全体は第1曲「プレスト」、第2曲「モルト・ソステヌート」、第3曲「フランス軍の速い行進曲のテンポで」、第4曲「モルト・アレグロ」の4つの部分から構成されています

飯森氏の指揮で演奏に入りますが、ジャズ風の音楽あり、悲痛な音楽あり、行進曲ありの多様な音楽が展開し、なかなか興味深い曲でした

次のリーム「道、リュシール」は同じ「ダントンの死」を基に作曲されているため、続けて演奏されました この曲はヴォルフガング・リーム(1952-)が2011年に作曲した作品で、「ダントンの死」の最終場面をテクストにしている「ソプラノとオーケストラのための情景」です リームがテクストにしたのは最後の2つの場面「道」と「革命広場」(第4幕第8、9場)です。ダントンの同僚カミーユ・デムーランの妻リュシールが、夫の死刑を見て狂気に陥っている様子が描かれています

ソプラノの角田祐子が登場し指揮台の傍らにスタンバイします 角田祐子は大阪音楽大学、京都市立芸術大学大学院、ベルリン芸術大学等を経て、2002年にフランス・エクサンプロバンス音楽祭でオペラデビュー ハノーファー州立歌劇場、シュトゥットガルト州立歌劇場のソリストを歴任。2016年10月ドイツ連邦共和国から宮廷歌手の称号を授与されています 東響とは2018年にツィンマーマンのオペラ「白いバラ」で共演し大きな反響を呼びました

角田祐子は、飯森✕東響のバックのもと、断頭台を前にしたリュシールの悲痛な叫びを、抑揚のある美しくも力のある歌唱で見事に歌い上げました

 

     

 

プログラム後半はR.シュトラウス「家庭交響曲 作品53」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1902年から1903年にかけて作曲、1904年に作曲者の指揮によりニューヨークで初演されました

この作品は作曲者自身の家庭=穏やかな夫(リヒャルト)、世話好きの妻(パウリ―ネ)、息子(フランツ)の様子を描いた作品です 夫婦は息子を巡って教育論を戦わせ、息子が寝静まった後は愛を交わし合い、朝の7時を告げる時計の音とともに息子が起き出し、夫婦は息子について口論を始める・・といった物語を音楽として描いています

最初にはっきり言っておきますが、自分の過去の作品を誇示したり(英雄交響曲)、自分の家族の生活を恥も外聞もなく音楽化したり(家庭交響曲)する自己顕示欲旺盛で誇大妄想的な作品は好きではありません リヒャルト・シュトラウスは「どんなものでも音楽にしてみせる」と豪語していたと言われていますが、そんなことしなくてもいい、と言いたくなります しかし、そんな私でもオペラ「ばらの騎士」だけは大好きです これは理屈抜きで楽しく素晴らしい作品です

「家庭交響曲」は、個々の楽器の名人芸が聴けるというメリットがありますが、演奏が良ければ良いほど、この曲にうんざりしてきます そういう意味では、この日の東響の演奏は良い演奏でした オーボエ、フルート、クラリネット、ファゴットといった木管楽器群を筆頭に、トランペット、ホルン、トロンボーンといった管楽器群、渾身の演奏をした弦楽器群、キレのある演奏をした打楽器群、それぞれが素晴らしいパフォーマンスを見せていました

ここでハタと気が付いたのですが、東京交響楽団は前日の24日夜、新国立劇場でオーケストラ・ピットに入って「ラ・ボエーム」を演奏していました その翌日の25日に定期公演で現代ものと大曲を演奏し、その翌日の26日(昨日)には再び新国立オペラで演奏するというハード・スケジュールです 楽員の皆さん、大変ですね。ご同情申し上げます 東響って人使いが荒いですね。でも、演奏レヴェルはどんどん高まっています

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バッティストー二 ✕ 木下美穂子 ✕ 清水華澄 ✕ 小原啓楼 ✕ 東京フィルによる「響きの森 ニューイヤー・コンサート 2020」を聴く~文京シビックホール

2020年01月26日 07時26分07秒 | 日記

26日(日)。わが家に来てから今日で1944日目を迎え、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは24日までに、自身が呼びかける脱化石燃料の取り組みに関してムニューシン米財務長官が「大学で経済を勉強してから説明にきてもらいたい」と突き放したのに対し、ツイッターで「学位は必要ない」と反論した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大学の経済学は世の中の役に立っているのか? 歴史に学ぶ智恵こそ必要じゃね? 

 

         

 

昨日、午後3時から文京シビックホールで「響きの森クラシック・シリーズ ニューイヤー・コンサート2020」を、午後6時からサントリーホールで東京交響楽団の第677回定期演奏会を聴きました ここでは「響きの森クラシック・シリーズ ニューイヤー・コンサート2020」について書きます

プログラムは①プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」より「冷たい手を」「私の名はミミ」「愛らしい乙女よ」、②ビゼー:歌劇「カルメン」より「ハバネラ~恋は野の鳥」、③オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」より「舟歌」、④プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」、⑤モーツアルト:歌劇「フィガロの結婚」より「恋とはどんなものかしら」、⑥プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」、⑦チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」、⑧同:大序曲「1812年」です

出演はソプラノ=木下美穂子、メゾソプラノ=清水華澄、テノール=小原啓楼、管弦楽=東京フィル、指揮=東京フィル首席指揮者 アンドレア・バッティスト―二です

木下美穂子は武蔵野音大卒、同大学院修了。第70回日本音楽コンクール第1位など数々の賞に輝いています 20年新国立劇場「ホフマン物語」でアント二アで出演予定とのこと

清水華澄は国立音楽大学卒、同大学院修了。新国立劇場オペラ研修所修了後、イタリアへ留学。東京二期会のオペラ公演を中心に活躍しています 個人的には若手メゾでは第一人者だと思います

小原啓楼は東京藝大卒、同大学院博士号取得。二期会や新国立劇場を中心に数多くのオペラ公演で活躍しています

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東京フィルの編成。コンマスは近藤薫です

最初にソプラノの木下美穂子とテノールの小原啓楼が登場し、プッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」よりロドルフォの「冷たい手を」、ミミの「私の名はミミ」、二人の「愛らしい乙女よ」を続けて歌います これらの歌は前日、新国立オペラで聴いてきたばかりです 二人は情感たっぷりに出会いの戸惑いと喜びを歌い上げました

次にメゾ・ソプラノの清水華澄が登場し、ビゼーの歌劇「カルメン」よりカルメンの「ハバネラ~恋は野の鳥」を、時にコンマスの肩をつついたり、指揮者の背中を指でなぞったりと ”演奏者イジリ”をやりながら挑発的に歌いました この人、キャラが際立ってます

続いて、木下美穂子と清水華澄が登場し、オッフェンバックの歌劇「ホフマン物語」よりジュリエッタとニクラウスによる「舟歌」を美しいデュオで歌い上げました この歌は大好きなので十分堪能しました

次いで木下美穂子がプッチーニの歌劇「蝶々夫人」より蝶々夫人のアリア「ある晴れた日に」をドラマティックに歌い上げました

次に清水華澄がモーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」よりケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」を歌いました 少年の歌というより彼女の場合は大人の歌になります

前半最後はテノールの小原啓楼がプッチーニの歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」をドラマティックに歌い上げました

前半のプログラムが終了したところで、アンコールがありました 「ニューイヤー・コンサート」の定番、ヴェルディ「椿姫」から「乾杯の歌」を3人の歌手が交替で歌いました

歌の合い間の朝岡聡によるインタビューによると、この日のプログラ構成と出場歌手はバッティストー二が決めたそうです 3人の歌唱を聴けば人選は納得できます。3人とも素晴らしいパフォーマンスでした

また、東京フィルは冬の期間を除いて新国立オペラのオーケストラ・ピットに入って演奏しているので、オペラの伴奏はお手のものです

 

     

 

プログラム後半の1曲目はチャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1869年に作曲した初期の作品です 言うまでもなくシェイクスピアの戯曲を基にして作られた作品です

バッティストーニの指揮で曲が開始されますが、幻想的であり、また劇的でもあるこの曲をメリハリを付けたキビキビした音楽作りで進め、ドラマティックに曲を閉じました

最後の曲はチャイコフスキーの大序曲「1812年」です この曲は1880年、モスクワで翌年開かれる予定の産業・芸術博覧会のために、指揮者でピアニストのニコライ・ルビンシテインの依頼で作曲されたイベント音楽です 1812年に大軍を率いてモスクワに攻め入ったナポレオンは、寒さと飢えとロシア軍の反撃により退却を余儀なくされましたが、この曲は この史実を音楽として描いた作品です

ステージ左のせり出しにはバンダ(トランペット4本、トロンボーン4本)のための譜面台が置かれています

バッティストーニの指揮で曲が開始されますが、冒頭のチェロを中心とするロシア聖歌の音楽が実に良い音で響いてきます   戦闘の場面では金管・木管が咆哮し、打楽器が強打され、弦楽器が渾身の演奏を展開しますが、特にホルンが素晴らしい    終盤ではバンダも加わり、鐘や大太鼓が轟く中、オケの総奏により壮麗なクライマックスが築き上げられます 私は、この曲の大太鼓が大砲代わりに派手に鳴らされる箇所を聴きながら、その昔 この曲をLPレコードで聴いている時、本物の大砲が鳴る箇所になるとレコード針が跳んだことを思い出しました とんだ出来事でした

こういう壮大な曲はバッティスト―二は得意中の得意でしょう 時に指揮台の上で跳び上がりながら指揮をとっていました 東京フィルのメンバーは、オケをさかんに煽り立てるバッティスト―二に良くついていっていました

この日の公演は、司会の朝岡聡の言葉を借りれば「前半がオペラのアリア集、後半がチャイコフスキーの管弦楽曲2曲ということで、通常の2倍楽しめるコンサート」だったと言えます

ところで、この「響きの森」は文京シビックホールの主催公演ですが、「ホールが20周年を迎えた記念に」ということで、文京区の地図を模った「文京サブレ」を帰りがけにお土産としていただきました 私も25年ほど前は文京区に住民税を払っていましたが、現在は豊島区です 「豊島サブレ」はないのか

 

     

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新国立オペラでプッチーニ「ラ・ボエーム」を観る ~ ロドルフォのマッテオ・リッピ、ミミのニーノ・マチャイゼ、ムゼッタの辻井亜季穂にブラボー!

2020年01月25日 09時53分33秒 | 日記

25日(土)その2.よい子は「その1」も見てね。モコタロはそちらに出演しています

昨夕、新国立劇場「オペラパレス」でプッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」を観ました キャストは ミミ=ニーノ・マチャイゼ、ロドルフォ=マッテオ・リッピ、マルチェッロ=マリオ・カッシ、ムゼッタ=辻井亜季穂、ショナール=森口賢二、コッリ―ネ=松位浩、ベノア=鹿野由之、アルチンドロ=晴雅彦、パルピニョール=寺田宗永、合唱=新国立劇場合唱団、児童合唱=TOKYO  FM少年合唱団、管弦楽=東京交響楽団、指揮=パオロ・カリニャー二、演出=粟國淳です

 

     

 

舞台はクリスマス・イヴのパリ。若く貧しい芸術家4人が住む屋根裏部屋で詩人ロドルフォが一人で詩を書いていると、同じ建物に住むお針子ミミがロウソクの火をもらいに訪ねてくる。二人はたちまち恋に落ちる。画家マルチェッロも元恋人ムゼッタとよりを戻し、彼らは恋を謳歌する。2月の雪の日、ロドルフォは貧乏な自分の力では胸を患うミミを救うことはできないと考え痛恨の別れを決意する。その数カ月後、ミミが瀕死の状態で屋根裏部屋に運び込まれ、愛するロドルフォの傍らで息を引き取る

 

     

 

私が新国立劇場で粟國淳の演出で「ラ・ボエーム」を観るのは2003年4月、2004年9月、2008年1月、2012年1月、2016年11月に次いで、今回が6回目です これほどのロングランを続ける演出には、それなりの理由があります 一番の見ものは第2幕のクリスマス・イヴで賑わうカルチェ・ラタンのカフェ・モミュスのシーンです 人々の背景の建物があちこちに動きます。スペクタクルで圧巻の演出です これはコンピュータ制御、ではなく、人の手によって動かされているのです

ところで、プログラム冊子に音楽ジャーナリストの井内美香さんが「初演までの紆余曲折」という論考を寄せていますが、その中に次のような記述がありました

「『ラ・ボエーム』は各幕に『幕 atto』という呼称ではなく『絵 quadro』という呼び方が採用されており、それはそれぞれの幕が主人公たちの生活の一部を切り取ったものだ、という意味を持っている それだけにこの作品においては音楽によって各幕に正しい色彩を与えることが重要だったのだ

これを読んで、あらためて曲目解説を注意深く読んでみたら、次のように書かれていました

第1幕 屋根裏部屋で(In soffitta)、第2幕 カルチェラタンにて(Al Qualtiere Latino)、第3幕 アンフェール関門(La Barriera d' Enfer)、第4幕 屋根裏部屋で(In soffitta)

そうだったんですね。初めて理解しました

さて、このオペラの聴きどころはたくさんあります 第1幕では暗闇の中でミミの手を握って歌うロドルフォの「冷たい手を」、それに続いてミミが歌う「私の名はミミ」、第2幕でムゼッタが元恋人の気を引こうと歌う「私が独りで街を行くと」、第3幕のフィナーレでロドルフォとミミが歌う「花の季節に別れましょう」・・・・挙げていったらキリがありません 今回あらためて「プッチーニは凄いな」と思ったのは、第3幕のフィナーレの、マルチェッロとムゼッタが痴話げんかをしている傍らで、ロドルフォとミミが辛い別れの歌を歌うシーンです まったく違う心象風景を同時進行で歌わせてしまうプッチーニの手腕には脱帽です

今回の歌手陣で最も印象に残ったのはロドルフォを歌ったマッテオ・リッピです ジェノヴァ生まれの若手ですが、ミミを歌って一世を風靡したミレッラ・フレー二に師事し、2013年トーティ・ダル・モンテ国際コンクールで優勝、イタリアを中心に頭角を現しています 輝くテノールで、声が良く伸びます。演技力も申し分ありません

ミミを歌ったニーノ・マチャイゼはジョージア出身のソプラノです ミラノ・スカラ座アカデミー修了後、2007年に「連隊の娘」マリー役でスカラ座デビューを果たし、キャリアを積み、現在 世界中のオペラ劇場で歌っています   高音も低音も良く声が通ります。低音部はマリア・カラスの声に似ています

期待以上に素晴らしかったのはムゼッタを歌った辻井亜季穂です 愛知県立芸術大学大学院を首席で修了後、DAAD給付留学生として2011年に渡独、ライプツィヒ音楽演劇大学でマスターの学位を取得、14年から17年までテューリンゲン州立劇場専属歌手を務め、2017年からヴュルツブルク歌劇場専属歌手としてドイツを中心に活躍しています。美声で声に力があります とくに第2幕の「私が独りで街を行くと」は素晴らしい歌唱でした

このほか、マルチェッロを歌ったイタリア出身のバリトン、マリオ・カッシ、ショナールを歌ったバリトンの森口賢二、コッリ―ネを歌ったバスの松位浩も高水準だったと思います とくに松井浩が第4幕で歌ったコッリーネの「古い外套よ、聞いてくれ」は聴きごたえがありました

パオロ・カリニャー二指揮東京交響楽団は、歌手に寄り添いながら 若いボヘミアンたちの心情を自ら歌い上げていました

かくして「ラ・ボエーム」の初日公演は何度もカーテンコールが繰り返され、成功裏に終了しました

 

     

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キース・ロックハート ✕ 小曽根真 ✕ 新日本フィルでガーシュイン「ピアノ協奏曲へ調」、「パリのアメリカ人」、バーンスタイン「オン・ザ・タウン」他を聴く ~ 新日本フィル「ルビー・シリーズ」

2020年01月25日 07時23分58秒 | 日記

25日(土)その1.わが家に来てから今日で1943日目を迎え、トランプ米大統領の「ウクライナ疑惑」をめぐる米上院の弾劾裁判で、検事役の冒頭陳述が始まったが、ワシントン・ポスト紙によるとトランプ氏はツイッターで「圧力はない」などと弾劾関連を中心に、就任以来最多となる142回発信した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自信のない奴ほどジタバタするもんだ  それにしてもトランプってヒマ人じゃね?

     

         

 

昨日、夕食に「牛タン塩焼き」と「生野菜サラダ」を作りました 昨日はコンサートのハシゴだったので娘のために家を出る前に作っておきました

 

     

 

         

 

昨日、午後2時から すみだトリフォニーホールで新日本フィルのルビー(アフタヌーン・シリーズ)第28回演奏会を、午後6時半から新国立劇場「オペラパレス」で新国立オペラ「ラ・ボエーム」を聴きました ここでは新日本フィルのコンサートについて書きます

プログラムは①バーンスタイン「キャンディード」序曲、②ガーシュイン「ピアノ協奏曲へ調」、③バーンスタイン「オン・ザ・タウン」、④ガーシュイン「パリのアメリカ人」です 演奏は②のピアノ独奏=小曽根真、指揮=キース・ロックハートです

同日午前11時からホールの隣のホテルで開かれた「ワンコイン講座」の講師・小室敬幸氏の解説によると、この日取り上げられた二人の作曲家は、ロシア系のユダヤ人の移民=ジョージ・ガーシュインとウクライナ系ロシア人(ユダヤ系)の移民=レナード・バーンスタインということで、共通点があります

キース・ロックハートは「ボストン・ポップス・オーケストラ」の第20代指揮者ですが、「ボストン・ポップス・オーケストラ指揮者」という正式称号が与えられたのは、1930年のアーサー・フィドラー、1980年のジョン・ウィリアムズ(「スター・ウォーズ」でお馴染み)に次いで3人目とのことです ちなみにこのオケは「ボストン交響楽団」がポピュラーな音楽を演奏する時に使う名称です

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び。コンマスは西江王子です いつものように第2ヴァイオリンの篠原英和氏と松崎千鶴さんを確認

1曲目はバーンスタイン「キャンディード」序曲です この曲は作曲家でもあり指揮者でもあり教育家でもあるレナード・バーンスタイン(1918-1990)が作曲、1956年にニューヨークのブロードウェイで初演されたミュージカルの序曲です 物語は主人公のキャンディードが様々な困難を乗り越えて真理へとたどり着き、日々の幸福に気が付くというものです

ロックハートの指揮で演奏に入りますが、いきなりゴージャスなサウンドが会場を満たします まるで”ニュー・ジャパン・ポップス・オーケストラ”に変身したかのようです パンチがありました

2曲目はガーシュイン「ピアノ協奏曲へ調」です この曲はジョージ・ガーシュイン(1898‐1937)が1925年に作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ~アンダンテ・コン・モート」、第3章「アレグロ・アジタート」の3楽章から成ります

ソリストの小曽根真は1983年バークリー音楽大学ジャズ作・編曲科を首席で卒業。同年、米CBSと日本人初のレコード専属契約を結び、アルバム「OZONE」で世界デビュー 2016年には、チック・コリアと日本で初の全国デュオ・ツアーを成功させました 最近はジャズと共にクラシックにも積極的に取り組んでいます ちなみに、「ワンコイン講座」の解説によると、小曽根氏はガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」と「ピアノ協奏曲へ調」が表裏に入ったLPレコードを買って聴いたそうですが、何を勘違いしたか、「ピアノ協奏曲へ調」のことを「ラプソディー・イン・ブルー」と思い込んでいたそうです 世界の小曽根真にして こういうことがあるのですね

ロックハートの指揮で第1楽章に入ります。冒頭のトランペットが素晴らしい 小曽根のピアノは第2楽章のアダージョも良かったですが、何と言っても第3楽章におけるインプロヴィゼーション(即興演奏)は圧巻でした これぞジャズとクラシックの融合です 演奏後、彼はピアノの蓋を閉じて、客席からオケのメンバーが見えるようにしました こういう心遣いはクラシックの演奏家には見られません。こういうところに演奏者の人間性が現われます 演奏ともども素晴らしいパフォーマンスでした

 

     

 

プログラム後半の最初はバーンスタイン「オン・ザ・タウン」です この曲は1944年12月にブロードウェイで幕を開けましたが、450回のロングランになりました 物語は、24時間の休暇を得た水兵たちがニューヨークの街でガールハントを楽しむという内容です この日の演奏は、ロックハートが独自に選んだ7曲を演奏しました 「ミス地下鉄の発表」「ロンリー・タウン:パ・ド・ドゥ」「現実のコニー・アイランド」「サブウェイ・ライド~想像のコニー・アイランド」「グレート・ラヴァ―」「パ・ド・ドウゥ」「タイムズ・スクエア・バレエ(第1幕フィナーレ)です

ロックハートの指揮で演奏に入ります。オーケストラ挙げての御機嫌な演奏です 何回か演奏される西江王子のヴァイオリン・ソロが冴えていました オーボエ、クラリネットを中心とする木管群、アルトサクソフォンの演奏が素晴らしかったです

最後の曲はガーシュイン「パリのアメリカ人」です この曲は1928年12月にウォルター・ダムロッシュ指揮ニューヨーク・フィルにより初演されました ガーシュインは1926年にパリを訪れましたが、その時の刺激と経験が作曲に生かされています

ロックハートの指揮で演奏に入りますが、いかにも一人のアメリカ人がパリの喧噪の中に置かれて、クラクションを鳴らされて右往左往している様子が目に浮かぶようです この曲でも西江王子のヴァイオリン・ソロが冴えていました

満場の拍手にガーシュイン「ストライク・アップ・ザ・バンド」をノリノリで演奏、ホールの音頭を上昇させました

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ベルナルド・ベルトルッチ監督「ラストタンゴ・イン・パリ」を観る ~ 新文芸坐 / 真山仁著「標的」を読む ~ 初の女性総理候補 対 敏腕特捜検事、 二人を追う新聞記者

2020年01月24日 07時20分38秒 | 日記

24日(金)。昨夕、内幸町の日本記者クラブ・レストランで、K氏を囲む懇親会があり 出席しました Kさんは 私が25年間勤めた新聞関係団体NSKに入職した時の直属の上司(国際部主管)でした 私は同部に3年間在籍しましたが、この間、Kさんから仕事のやり方を懇切に教えていただきました。今でも感謝しているのは、英文の手紙の書き方を含めて文章の書き方を徹底的に仕込まれたことです 今こうして他人様に読んでいただくブログを毎日休まず書き続けていられるのも、元をただせば Kさんのご指導のお陰と言っても過言ではありません

この会はKさんが総務部長時代に部下だったU氏(元NPC専務)が音頭をとって始められた会で、ロンドン在住のKさんが帰国するタイミングを見計らって、2017年1月11日(新橋亭)、同12月5日(日本記者クラブ・レストラン)、2018年4月16日(同)、同7月13日(同)、2019年1月10日(同)と開かれ、今回が6回目となります 今回はKさん、U氏、私の3人以外に、私の国際部の先輩Mさん、S氏、広告部の後輩A君、現役職員の0さんの7人が参加しましたが、全6回”皆勤賞”はU氏と私の二人です Kさんの薫陶を受けた”教え子”たちが今でも集まるのは、Kさんの人徳以外の何ものでもありません

会は、赤ワインで乾杯してKさんを囲んで懇談しました  昨年11月に87歳になられたKさんは、前回の会で、ロンドンの家を引き払って日本に帰国したいと話しておられましたが、昨年 娘さんが引っ越ししたロンドンから準急で50分程のドーバー海峡を臨む街(メモしたが、字が酔っていて読み取れない)を訪ねたところ、とても住環境が良いところだったので、いずれ近くに引っ越して1年のうち日本に半年、イギリスに半年というペースで過ごそうと思っていると語っていました    女性参加者2人のうち国際部の先輩Mさんは、髪の毛こそ白髪ですが、いつまでも若く見えます 最近は体力を維持するため週1回トレーニングに通っているそうです。なるほどと思いました もう一人の女性で、いつまでも美人の現役職員のOさんは、Kさんが総務部長を務めていた頃の職場は130人くらいの職員がいたが、現在は83人しかいない、OA化が進み合理化したが、職員はひたすらパソコンに向かって仕事をしているので、昔のような職員間のコミュニケーションを図るのが難しくなっていると話していました 国際部の先輩S氏は、前日 妹夫婦と一緒に大相撲の見学に行ったが、8時間くらい酒を飲んでつまみを食べながら相撲を楽しんだので二日酔いだそうです 普段は犬の散歩で健康維持を図っているとのことでした U氏は昨年春に手術した脚が、埋め込んだ金属を取り除く手術を待つだけになったそうですが、ここ3年は毎年兄弟が死んでいるのであまり良いことがないと語っていました 現在、私の2番目の職場NPCで監査役をしているA君は、運動のためクロスバイクを買ったが、母親が家の中で転び車椅子生活になってしまったので、それどころではなくなったと残念そうに話していました 私からは、いつものように6つの目標とその現状について話しました 6つの目標とは①クラシック・コンサートを年間200回聴く、②映画を年間160本観る、③本を年間65冊読む、④それらをすべてブログに書く、⑤健康維持のため毎日8000歩歩く、⑥毎週月から金までは夕食を作る、というものです いずれも少しの誤差で目標を達成しているが、ブログを書き過ぎて右手が腱鞘炎になってしまったことを併せて話しました 以上の話について複数の方から、せっかくブログを書いているのだから、いずれ本にして出版したらどうか、という提案が出されました しかし、2011年2月から始めたブログはトータルで3385本も書いてきたので、この中から本に収録するブログを選択するのだけでも相当の時間がかかる、とお答えしました あとはS先輩が指摘されていたように、編集者がいないと本にすることは難しいという問題もあります

会は話が弾み3時間近く続きましたが、最後に記念撮影をして解散しました   Kさんはじめ ご参加の皆さま、楽しいひと時を過ごさせていただきました。ありがとうございました またお会いできるのを楽しみにしております

ということで、わが家に来てから今日で1942日目を迎え、国連の特別報告者は22日、米アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏(ワシントン・ポスト紙を所有)の携帯電話へのハッキングにサウジアラビアのムハンマド皇太子が関与した可能性を指摘する報道声明を発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ムハンマド皇太子は 同国のカショギ記者殺害への関与だけに止まらないみたいだ

 

         

 

昨夕は私が 懇親会だったので、娘のために「ビスク鍋」を作りました トマトベースの「ビスク鍋の素」に、キャベツ、シメジ、玉ねぎ、鶏もも肉、ブロッコリ、牛乳を入れて煮込み、上からチーズをかけて食べるのですが、簡単で美味しいです 時間がない時にはお薦めです

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐でベルナルド・ベルトルッチ監督による1972年イタリア・フランス合作映画「ラストタンゴ・イン・パリ」(129分・4Kデジタルリマスター版)を観ました

ある冬の日、中年男のポール(マーロン・ブランド)はアパートの空き室を訪ねてきた若い女性ジャンヌ(マリア・シュナイダー)と偶然出会ったが、衝動的に犯す。その後、二人は何事もなかったように別れる ジャンヌにはTVディレクターのトム(ジャン=ピエール・レオ―)という婚約者がいたが、再び同じ部屋を訪ねポールと逢瀬を重ねてしまう やがて、実はポールの妻が最近自殺したばかりだという暗い過去が明らかにされる ポールはジャンヌを肉体関係だけの相手と考えていたが、次第にポールが中年男のいやらしさを晒すようになるにつれてジャンヌはキレて、ポールを銃殺する

 

     

 

この映画が公開された1970年代前半としては大胆な性描写で世界中に物議を醸し、日本でもゴシップ週刊誌的な話題ばかりが先行しました 残念ながら当時はそれほど映画には興味を持っていなかったので観ていません 表現の自由をうたい文句に「何でもアリ」の現在の映画界の中で、いま初めて4Kデジタルリマスター版でこの作品を観ると、それほど大胆な性描写だと思うシーンはありません 慣れというのは恐ろしいものです。むしろ、マーロン・ブランドの演じた中年男の悲哀を感じました

ところで、この映画では ジャンヌの婚約者でTVディレクターのトム(ジャン=ピエール・レオ―)が、ジャンヌをヒロインとして映画の撮影をするシーンがありますが、トムが首から下げたカセット・テレコからBGMとして流したのはモーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364」の第2楽章「アンダンテ」(ハ短調)でした    憂いに満ちた旋律を聴くと、ジャンヌよりもポールのテーマ音楽とした方が相応しいように思いました

 

         

 

真山仁著「標的」(文春文庫)を読み終わりました 真山仁は1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科を卒業。中部読売新聞記者、フリーライターを経て、2004年に企業買収を巡る人間ドラマ「ハゲタカ」でデビュー これは2007年にNHKでドラマ化され大きな反響を呼びました いま話題のIR(統合型レジャー)をテーマとした真山氏による「バラ色の未来」を昨年9月8日のブログでご紹介しました

 

     

 

初の女性総理大臣を目指す越村みやびは、ライフワークとしてサービス付き高齢者向け住宅(いわゆるサ高住)の規制強化を目指す法律の制定に執念を燃やしている 東京地検特捜部に みやびをめぐる贈収賄の内部告発がもたらされ、特捜検事・冨永真一は内偵捜査を進める その冨永の動きを暁光新聞記者・神林裕太が追いかける 果たして越村みやびは女性初の総理になれるのか

初の女性首相誕生となるか、と期待される清廉潔白が売りの厚生労働大臣・越村みやび、サ高住に絡んで一儲けしようと企み 越村みやびに3億円の闇献金を渡す実業家・楽田恭平、酒造会社の代表を務めながら妻みやびを陰で支え、みやびに疑念が向けられないように画策する越村俊策・・・「事件の裏に女あり」とはよく言われる言葉ですが、歴史的事実に照らしても「政治の裏に金あり」も真理だと思わせる小説です そして、検察側の正義と報道側の正義のぶつかり合いも読み応えあります 一気読み必至のエンタメ小説です。お薦めします

         

今日は午後2時からトリフォニーホールで「新日本フィル 定期公演」、6時から新国立劇場「オペラパレス」でプッチーニ「ラ・ボエーム」、明日は午後3時から文京シビックホールで東京フィルの「ニューイヤー・コンサート」、6時からサントリーホールで「東京交響楽団 定期公演」があります   2日連続でコンサートのハシゴは体力的にキツイので、明後日に映画を観るかどうかは、その日の朝に判断したいと思います

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小林研一郎 ✕ 周防亮介 ✕ 日本フィルでチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」、ムソルグスキー/ラヴェル編「展覧会の絵」を聴く ~ 2020都民芸術フェスティバル

2020年01月23日 07時22分51秒 | 日記

23日(木)。わが家に来てから今日で1941日目を迎え、立憲民主党と国民民主党は21日、合流協議をいったん打ち切ることで合意した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「決められない野党」のオウンゴールのお陰で 安倍政権が最長記録を更新する!

 

         

 

昨日、夕食に「豚肉と野菜のクリームシチュー」を作りました 寒い日は熱いものが食べたくなりますね

 

     

 

         

 

昨夕、東京芸術劇場コンサートホールで日本フィルのコンサートを聴きました プログラムは①チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」、ムソルグスキー/ラヴェル編:組曲「展覧会の絵」です これは2020都民芸術フェスティバル参加公演、オーケストラ・シリーズ第1弾です 演奏は①のヴァイオリン独奏=周防亮介、指揮=小林研一郎です

ヴァイオリン独奏の周防亮介は1995年京都府生まれ。2016年ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール入賞及び審査員特別賞を受賞しています

 

     

 

自席は2階RBA列23番、右サイドのバルコニー席です。端から2番目だったので席を押さえたら、何とどん詰まりでした またやっちまったと思いましたが、瓢箪から駒でした これについては後で書きます

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び。コンマスはソロ・コンマスの木野雅之です

1曲目はチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840‐1893)がラロの「スペイン交響曲」(実質的なヴァイオリン協奏曲)に刺激を受けて1878年に作曲、最初は 当時の大ヴァイオリニスト、レオポルド・アウアーに捧げるつもりでしたが、演奏不能として拒否されたことから、モスクワ音楽院教授だったアドルフ・ブロツキ―に初演を依頼しました その時の評価は散々でしたが、作品の良さを理解していたブロツキーは演奏旅行のたびに取り上げたため、世に認められるよになりました 当然、チャイコフスキーはこの曲をブロツキーに献呈しました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「カンツォネッタ:アンダンテ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァチッシモ」の3楽章から成ります

ロングヘアに端正な顔立ちの周防亮介がコバケンとともに登場します 知らない人が彼を見たら20代の女性だと思うでしょう

コバケンの指揮で第1楽章の序奏に入ります そして周防亮介のヴァイオリンが入ってきますが、端正にして流麗です それはこの楽章に限ったことではなく、全曲を通して感じました 第2楽章における木管と独奏ヴァイオリンとの対話は素晴らしいものがありました 第3楽章フィナーレでは、独奏ヴァイオリンとオケの丁々発止のやり取りが楽しく聴けました 周防亮介の演奏は期待以上の出来でした 満場の拍手に周防はアンコールにJ.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番」から「サラバンド」を演奏、再び大きな拍手を浴びました

冒頭に、自席が「瓢箪から駒」だったと書きましたが、その理由を書きます 2階RBA列23番はステージ右サイドのコントラバスよりやや客席側の2階バルコニーという位置にありますが、ステージに極めて近いので指揮者やソリストや他の演奏者の顔の表情や細かい仕草まで見ることができ、音も身近で聴くことができるというメリットがあります その意味ではヴァイオリン協奏曲をはじめとするコンチェルトの場合はかなり良い席だと思います 逆に、反対側(ステージ左サイド)の2階RBA列23番だと、ソリストの背中を見ることになる反面、ピアノ協奏曲の場合はピアニストの指使いが見えるというメリットがあります ただ、経験上から言うと、マーラーやブルックナーを中心とするフル・オーケストラ曲は、音の全体的なバランス上、1階センター後方か2階センター前方が良いと思います

 

     

 

プログラム後半はムソルグスキー/ラヴェル編:組曲「展覧会の絵」です この曲はモデスト・ペトロヴィチ・ムソルグスキー(1839‐1881)が、1873年に39歳で死去した友人の画家ヴィクトル・ガルトマンの展覧会が1874年に開かれた時に観て、その時の印象をもとに同年 作曲したピアノ独奏曲です この日演奏されたのは、後にモーリス・ラヴェル(1875‐1937)が管弦楽用に編曲したものです 「プロムナード」「小人」「プロムナード」「古城」「プロムナード」「テュイルリー」「ビドロ」「プロムナード」「卵の殻をつけた雛鳥の踊り」「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」「リモージュの市場」「カタコンブ」「鶏の足の上に建つ小屋(バーバ・ヤーガの小屋)」「キエフの大門」から成ります

コバケンのタクトで「プロムナード」の演奏に入りますが、冒頭のオッタビアーノ・クリストーフォリのトランペットが素晴らしかった 「古城」ではサクソフォンとファゴットの演奏が素晴らしく、「テュイルリー」ではフルートとオーボエが冴えていました 次の「ビドロ」ではチューバとコントラバスが牛の群れの重い動きを表していました 「卵の殻をつけた雛鳥の踊り」ではフルート、オーボエとハープがユーモラスな雛鳥の動きを見事に描写していました

「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」は金持ちと貧しい男の会話を描いていますが、私には次のように聴こえます

代官:おい与作、お主のところは年貢がまだだったな

与作:お代官さま、いましばらくお待ちくだせえ

代官:何を寝言を言っておるか ミスター・ゴーン並みに収監するぞ

与作:それだけはご勘弁くだせえ おらの家には人が入れるような大きな箱はねえもんで

この曲では、オッタビアーノ・クリストーフォリのトランペットが、いかにも卑屈で貧相な男シュミュイレを見事に表していました

「鶏の足の上に建つ小屋(バーバ・ヤーガの小屋)」では、ホルンがベルアップ奏法を見せ、迫力のある音が拡散しました

「キエフの大門」はオケ総動員による渾身の演奏です この迫力は 編曲者ラヴェルの貢献度が大です

満場の拍手とブラボーに、コバケンはオケをセクションごとに立たせます そして、拍手を制して「ちょっと遅くなりましたが、新年のあいさつをさせていただきます」と挨拶したまでは良かったのですが、これで終わりという顔を見せたので、コンマスの木野氏に何やら耳打ちされ、「アンコールを演奏するのを忘れておりました」と告白(会場  爆笑)、「アンコールは静かに、マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲を演奏いたします」とあいさつして演奏に入りました しみじみ良い曲の しみじみ良い演奏でした

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