人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

萩原麻未(ピアノ)と三ツ橋敬子(指揮)でシューマン「ピアノ協奏曲」を聴く~東響特別コンサート

2011年11月30日 06時55分06秒 | 日記

30日(水).昨夕,埼玉県川口駅前の「リリア・ホール」に初めて行きました.新橋駅から京浜東北線で川口駅まで30分弱でしょうか 赤羽の次が川口だったのですね.案外近いです. 「リリア・ホール」は川口駅の西口を出るとすぐ前のビルの1階にありました.ホールは1,200人位入りそうですが,オーケストラが演奏する時は前の10列を舞台として使用しているようで,自席は1階22列20番で中央通路側でしたが,前から数えると10列目でした

午後7時から東京交響楽団特別演奏会を聴きました.プログラムは①モーツアルト「歌劇:劇場支配人」序曲,②シューマン「ピアノ協奏曲イ短調」(ピアノ:萩原麻未),③ブラームス「交響曲第1番ハ短調」の3曲で,指揮は三ツ橋敬子.待望のコンサートです

この日のコンマスは大谷康子さん.サントリーホールやオペラシティホールでなくても大谷さんをコンマスに据えるということは,東響も手を抜いていないということです

1曲目のモーツアルト「劇場支配人」序曲が始まりました.この曲はモーツアルトが30歳のときに皇帝ヨーゼフ2世の要請により作曲されたものです.三ツ橋敬子の指揮はひと言でいうと”華麗”です.「右手でテンポを取って,左手で音楽に表情付けをしている」という印象を受けます.あくまでも優雅に,やわらかく音楽を進めます.5分もかからない曲ですが,彼女の指揮を見ていたらすごく長く感じました

さて,いよいよピアノがセンターに運ばれてきて,シューマンの「ピアノ協奏曲イ短調」の始まりです.シューマンが35歳のときに完成した唯一のピアノ協奏曲で,3楽章から成りますが,第2楽章と第3楽章が休みなしで演奏されます.初演はクララ・シューマンの独奏でした

ソリストの萩原麻未が白いドレスで登場します.指揮の三ツ橋は背の低さをカバーするためかハイヒールを履いているのですが,萩原の方が頭ひとつ高い感じで,萩原がとても大きく見えます.でも,萩原は中高生がそのまま大人になったような感じで,幼ささえ感じさせます.しかし,いったんシューマンのコンチェルトが始まると,獲物を追いかける雌豹のように変貌します.ものすごい集中力を感じます 私はこの協奏曲の第3楽章が大好きで,いろいろな演奏家のCDや生演奏で聴いてきました.今回の三ツ橋+萩原の組み合わせを聴くのが夢でしたが,期待通りの演奏でした 萩原の弾くロマン派のコンチェルトは素晴らしいです

三ツ橋敬子のブラームスの第1交響曲は,9月22日に東京シティフィルと演奏したのを聴いて,引き締まったいい演奏だったので,東京交響楽団ではどうか,と期待していました.第1楽章の冒頭,ティンパニの連打が始まると会場の空気が一変し,緊張感が漂います.三ツ橋は引き締まった音楽作りで,オーケストラを前に前にドライブします この曲は,演奏家が熱演するように出来ているみたいで,特に第1楽章と第4楽章は弦楽器も管・打楽器も力一杯の精力を傾けて懸命に演奏します

三ツ橋は,モーツアルトの時と違って,右手も左手も関係なく身体全体を使ってブラームスの大曲に取り組んでいます.金管楽器がちょっぴり残念なところもありましたが,細かいところは無視することにしましょう.演奏のあら捜しは楽しみを半減させるだけです.素晴らしいコンサートだったと思います

 

 

             

 

〔追伸〕

けさマンションの外階段に出て,北の方角を見渡すと,ありました!夕べコンサートを聴いた「リリア・ホール」の入ったビルが!上が三角形に尖がっているのですぐにわかりました.豊島区巣鴨と埼玉県川口市は案外近い所にあることを発見しました

 

 

 

 

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映画「カルテット!」を観る~記者クラブ試写会

2011年11月29日 06時49分00秒 | 日記

29日(火).昨日から当ビルのエントランス・ホールにクリスマス・イルミネーションを飾りました。

 

           

 

昨夕,記者クラブの試写会で三村順一監督「カルテット!」を観ました 映画のチラシに「被災地・浦安から生まれた,家族の絆と再生の物語」とあります.映画上映前に,エグゼクティブ・プロデューサーの柳内光子さん,監督の三村順一さんからあいさつがありました.

千葉県浦安市は,東京ディズニーランドがあることで有名ですが,平成23年度に市制30周年を迎えたとのことです.その記念として浦安市で撮影を進めてきたときに東日本大震災が発生,市域の86%が液状化被害を受けたといいます そうしたことを乗り越えて,復興を願う市民の気持ちを作品に吹き込みこの映画を完成させたとのことです

ヴァイオリンの才能を持ち将来を有望視されている中学生・長江開は,音大出身の両親,高校生の姉と浦安市で暮らしています.家族でクラシックを演奏する一家でしたが,両親は生活のため音楽を諦め,さらに父・直樹はリストラに合い,姉・美咲は弟にコンプレックスを持ち音楽から離れて不良グループに・・・・といった具合に,一家は崩壊寸前になります 元通りの生活を取り戻したいと願う開は,父=ピアノ、母・ひろみ=チェロ、姉=フルート、弟=ヴァイオリンの家族カルテットを結成して家族の絆を取り戻すべく奮闘します さて,長江一家の行方は・・・・といった物語です.

題名が「カルテット!」ですから,クラシック音楽が使われています 中学生の開が先生の個人レッスンを受けているときに演奏される美しい曲はマスネ「タイスの瞑想曲」,音大生時代にピアノを習っていた直樹が,放置されていたピアノで弾くのはパッヘルベル「カノン」,次に個人レッスンで開が弾いていたのがメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」,そして開,直樹,ひろみの3人で演奏されるのがバッハ「G線上のアリア」,直樹の伴奏で開が軽快に弾くのがモンティ「チャールダッシュ」です

開は秋山和慶指揮の大学オーケストラに選抜されますが,リハーサル風景では本物の秋山氏が指揮をし第79回日本音楽コンクールヴァイオリン部門第1位の山根一仁がチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」の最終楽章を弾きます.これは迫力のある演奏です

そして,プッチーニ「トゥーランドット」から”誰も寝てはならぬ”とフォーレ「シシリエンヌ」がピアノ,フルート,ヴァイオリンで奏でられます.ひろみが広場でコンサートのPRのために弾くのはバッハ「無伴奏チェロ組曲」の”プレリュード”です

さて,秋山和慶指揮大学オーケストラの演奏会と長江一家の出演するクリスマス・コンサートが重なってしまいます.先生から「自分の音を見つけなさい」と言われて悩んでいた開は,最後に自分自身の音を見出します.大学オケの演奏会を抜け出して,クリスマス・コンサート会場に駆けつけた開を加えて一家4人が演奏するのは,直樹の編曲によるサン=サーンスの「動物の謝肉祭」から”白鳥”です この曲が,長江一家の”現在の”集大成です

演技では,開を演じた高杉真宙のヴァイオリンを弾いているときの白目と,姉の美咲を演じた剛力彩芽の”あの不良少女役の演技,マジやばくね”という迫真の演技力が忘れられません この人,自身もフルートをたしなんでいるということで,なかなかな人のようです

父・直樹に細川茂樹,母・ひろみに鶴田真由,開の先生に田中美里,ライブハウス支配人にサンプラザなかのくん,ひろみの父に上條恒彦,母に由紀さおり(今なぜか,彼女の歌が世界でリバイバル・ヒット中!)がそれぞれ扮しています.そして,忘れてはならないのは,被災した市民を含めて700人以上のエキストラが参加したということです.映画ですから,話の進行に強引なところもありますが,音楽を十分に楽しめる映画としてお薦めします

 

            

 

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今日はベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番”皇帝”」初演の日

2011年11月28日 06時34分44秒 | 日記

28日(月).昨日は予定どおり家で休養しました.午前中はベートーヴェンを聴きながらクリームシチューを作りました.野菜を切ったり,炒めたり,煮込んだりする作業は,いつの間にか神経が集中していて時間が経つのを忘れます.料理を作るのはクリエーティブで良いですね

午後は今週のコンサートの予習です.今週聴くのは,ブラームス「交響曲第1番」,同「弦楽六重奏曲第1番」,シューマン「ピアノ協奏曲」,シューベルト「交響曲第3番」,ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」,ドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲」,ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」,モーツアルト「劇場支配人」序曲,フランツ・シュミット「交響曲第2番」,バッハ/シェーンベルク「プレリュードとフーガ」,J.シュトラウスⅡ「オペレッタ:こうもり」ですが,普段あまり聴く機会がないシューベルト「交響曲第3番」(ミシェル・ハラス指揮ブタペスト・フェイローニ管弦楽団),ドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲」(ピアノ:ファルナディ,バリリ弦楽四重奏団),ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」(ピアノ:サンソン・フランソワ,アンドレ・クリュイタンス指揮コンセルヴァトワール管弦楽団)を中心に聴きました 残念ながらフランツ・シュミットの交響曲はCDを持っていないので,ぶっつけ本番で聴くことになります

 

        

 

ところで今日はベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第5番」が初演された日です 1808年から翌年にかけて作曲されたこの曲は,ルドルフ大公に献呈され,1811年11月28日(今日からちょうど200年前!)にライプツィヒのゲヴァントハウスで初演されました 独奏者は地元のオルガニスト,ヨハン・フリードリヒ・シュナイダーという人でした

ベートーヴェンの中期,特に1803年からの約6年間は”傑作の森”と呼ばれています.交響曲第3番”英雄”,同第5番”運命”,同第6番”田園”,オペラ「フィデリオ」,ヴァイオリン協奏曲,ヴァイオリン・ソナタ”クロイツェル”,ピアノ・ソナタ「熱情」「ワルトシュタイン」,そしてピアノ協奏曲第4番と第5番等々,数え切れないほどの傑作を残しています

第5番”皇帝”は第1楽章の冒頭を独奏ピアノのカデンツァで開始しています.この手法は第4番の協奏曲の冒頭部分をさらに一歩進めたものです CDは10種類ぐらいもっていますが,ダニエル・バレンボイムのピアノ,オットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団のCDが,この曲が全ピアノ協奏曲の中の”皇帝”であることを認識させる堂々たる演奏です

それにしても,コンサートのチラシ,とくに外来オーケストラのチラシを見て思うのは,なんでピアノ協奏曲といえばベートーヴェンの「皇帝」で,ヴァイオリン協奏曲といえばメンデルスゾーンの「ホ短調」(いわゆるメン・コン)なのでしょうか 個人的には,両曲とも名曲中の名曲であることを認めたうえで,よほどソリストに魅力がない限り”皇帝”とメン・コンのチケットは買わないようにしています.プロコフィエフやバルトークのピアノ協奏曲やサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲など,もっと取り上げても良いのではないかと思います

 

    

 

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第一生命ホール10周年記念ガラ・コンサートを聴く~「モーツアルトの顔」展を観る

2011年11月27日 09時08分57秒 | 日記

27日(日).昨日,晴海の第一生命ホールの10周年記念ガラ・コンサートを聴きに行ってきました 第一生命がザルツブルクのモーツアルト住家の修復を支援した縁もあり,コンサートのテーマを「モーツアルトに寄せて」としています.言葉どおりオール・モーツアルト・プログラムです

第一生命ホールは初めてです.地下鉄大江戸線「勝どき」駅で下車,晴海通り沿いに歩き,黎明橋の隣の動く歩道で朝霞運河を渡ると,左側一帯に晴海トリトンスクエアが広がります.その中のビルの4階にホールがあります

ホールの一角で国際モーツアルテウム財団コレクション「モーツアルトの顔」展を開催していたので,コンサート前に列に並んで見ました クラヴィーア・ソナタK.331”トルコ行進曲つき”第3楽章の一部の自筆譜,きらきら星変奏曲K.265の自筆譜が飾られていましたが,「モーツアルトの楽譜には修正の跡がない」と言われているのが,目の前で証明されました 音符のひとつひとつが丁寧に書かれていてすごく見易いのです.壁面には大礼服のモーツアルト,レオポルト・モーツアルト(父),アンナ・マリア・モーツアルト(母),宮廷服のマリア・アンナ・モーツアルト(姉),モーツアルト一家,コンスタンツェ・モーツアルト(妻)の肖像画が飾られていました.中でも注目は今回が日本初公開の「クラヴィーアに向かうモーツアルト」です.小林秀雄が「モォツアルト」の中で紹介して有名になりました.宮廷俳優で,モーツアルトの妻コンスタンツェの姉アロイジアの夫ヨーゼフ・ランゲが1789年に描いた未完の油絵です.小林秀雄が指摘しているようにモーツアルトはどこを見ているのか虚ろな目をしています

一番驚いたのはモーツアルトの遺髪です.モーツアルト死後,コンスタンツェが再婚したデンマークの外交官ニッセンの「モーツアルト伝」に掲載された石版画に添えられています.彼の遺髪だと照明するフランチェスコ・カルマニョーラの1841年5月25日という署名があります.目の前に飾られた遺髪は茶色でした.しかし,これって信じていいものかどうか・・・・・・

いずれにしても,今回初めて見るものばかりでモーツルティアンにとってはたまらなく嬉しい企画でした

さて,コンサートです.会場の中に入ると客席は馬蹄形をしています.こういう造りは珍しいのではないかと思います.自席は2階L2ー40番です.会場の左側後方から舞台を見下ろす形です.

プログラムは前半が次の4曲です.①「ああ,お母さんに聞いて」による12の変奏曲(きらきら星変奏曲)K.265 ピアノ=仲道郁代,②フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285 フルート=工藤重典,ヴァイオリン=堀米ゆず子,ヴィオラ=川崎和憲,チェロ=山崎伸子,③ピアノ・ソナタイ長調K.331「トルコ行進曲つき」 ピアノ=清水和音,④歌劇「後宮からの誘拐」K.384よりアリア「どんな拷問が待ち受けていようと」 ソプラノ=佐藤美枝子,ピアノ=泉博子.

この中で最も良かったのは②フルート四重奏曲です.これぞモーツアルトと言いたくなるような,胸のすく演奏.とくに第2楽章の憂いに満ちた”陰”から第3楽章の底抜けに明るい”陽”に急展開するところ まさに”われわれが哀しみに浸っている中で,いつの間にかわれわれを置き去りにして,モーツアルトは笑っている”ような印象を受けます.フルートの工藤重典はもちろん素晴らしいのですが,堀米ゆず子のヴァイオリンが光っていました.そして全体のアンサンブルは最高でした

コロラチューラ・ソプラノの佐藤美枝子は,ヒロインのコンスタンツェが太守の脅しにもめげず,毅然として立ち向かう姿勢を見事に歌い上げていました.個人的な印象かもしれませんが,ピアノ・ソロで演奏した①と③はどうもしっくりときませんでした

後半は次の4曲です.①ヴァイオリンとピアノのためのソナタホ短調K.304 ヴァイオリン=矢部達哉,ピアノ=横山幸雄,②幻想曲ニ短調K.397 ピアノ=児玉桃,③ヴァイオリンとピアノのためのソナタ変ロ長調K.378 ヴァイオリン=堀米ゆず子,ピアノ=児玉桃,④ピアノ三重奏曲ホ長調K.542 ピアノ=仲道郁代,ヴァイオリン=川久保賜紀,チェロ=長谷川陽子.

後半は,すべてが素晴らしい演奏でした.東京都交響楽団のソロ・コンサートマスター矢部達哉,1980年エリーザベト王妃国際音楽コンクール優勝者・堀米ゆず子のヴァイオリンは肩の力を抜いた,しかし説得力のある演奏でした

最後のピアノ三重奏曲は滅多に演奏される機会がないのですが,今回初めて生で聴けて感激しました 仲道郁代は,前半とは打って変わって絶好調の様相で他の二人をリードしていました.一番若い川久保賜紀は美しいヴァイオリンを奏でていました.落ち着いている長谷川陽子は低音部をしっかり支えてお姉さんぶりを発揮していました

 

         

 

午後2時開演のコンサートが終わったのは4時半でした.6時半からの息子の誕生祝い夕食会まで,たっぷり時間があるので晴海から銀座6丁目まで歩くことにしました勝鬨橋を渡って築地を抜け銀座4丁目交差点を過ぎて数奇屋通りに入りました.この通りに面したレストランS・Tに着いたのは5時20分くらいでした.まだ時間があるので,近くのドトール・コーヒーに入りました.ここでは何とBGMにモーツアルトのピアノ曲が流れていたのです ドトールでクラシックを聴くとは”想定外”でした.コンサートのチラシを見ながら約1時間ほど時間潰しをしてレストランS・Tに入ると,そこでは何とモーツアルトの”グランパルティータ”が流れていました 1日中モーツアルトづくめです.6時半ジャストに家族が揃ったので個室に案内してもらいました.

娘がこのレストランでウエブ・デザインなどのアルバイトをしていることもあってか,食事の前にケーキが運ばれてきて写真を撮りました.お店のサービスということでした その後,ワインで乾杯しましたが,息子は初めてアルコールを飲みました.半分くらい飲んで残したので私が残りを飲み干しました.途中,社長の妹さんがお見えになり,レストラン特製のフルーツケーキをプレゼントしてくださいました.食事はフルコースで,どれもが美味しくて,ケーキ類は食べられないので持ち帰ることにしました

 

         

 

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日曜日の過ごし方~週5回のコンサートを控えて

2011年11月26日 06時52分58秒 | 日記

26日(土).昨日,会社帰りに新宿に向かったのですが,途中で引き返しました 明日の日曜日に新宿ピカデリーでMETライブビューイング,ワーグナー「ジークフリート」を観るため指定席を取るつもりだったのです.でも手帳で今週末から来週にかけての日程をもう一度確認して,止めることにしたのです

今日は午後,第一生命ホール10周年記念コンサート,夕方から娘の勤める銀座のレストランで息子の誕生祝い夕食会があります(大学2年生の息子は今日20歳になりました).来週は,月曜日=記者クラブ試写会「カルテット!」,火曜日=東響特別コンサート(三ツ橋敬子指揮,萩原麻未ピアノ),水曜日=新日本フィル室内楽シリーズ,木曜日=新国立オペラでJ.シュトラウスⅡ「喜歌劇こうもり」,金曜日のみ予定なし,土曜日=午後2時から新日本フィル第486回定期演奏会,6時から第595回東響定期演奏会のはしごとなっています.今のところ予定の入っていない金曜日だって,ウェーバーではないですが”への勧誘”が無きにしもあらずで,油断大敵・火が忙膨です

この予定をこなすのに,前日の日曜日に休憩を含めて6時間近くかかるワーグナーの楽劇の映画を座りっぱなしで観るのは,かなりしんどいことで,身体がもたないと判断しました ”毎日が日曜日”ならばいざ知らず,仕事をこなしながら聴きにいくわけですから,週に1度は身体を休めることが肝心です.ベッドで横になって本を読みながらCDを聴いて来週のコンサートの予習をすることにします それにしても予習のために聴くべき曲が多いなぁ

 

 閑話休題 

 

作日,真梨幸子著「殺人鬼フジコの衝動」(徳間文庫)を読み終わりました 少なくとも15人を惨殺した殺人鬼フジコの物語ですが,本の帯に書かれているように「あとがき」まで読まないと真相がわかりません.途中で”何でこうも簡単に人を殺してしまうのか”とうんざりすることもしばしばでしたが,面白くて一気に読んでしまいました

 

               

 

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今日は「きよしこの夜」の作曲者グルーヴァーの誕生日

2011年11月25日 06時48分18秒 | 日記

25日(金).昨夕は、いつも飲んでいる地下の串焼きRの店長が交代したことから、同店のアルバイトMさんを含め有志4人でH元店長の送別会を開こうと,隣のビルのS屋を予約していたのですが、H氏から「次の仕事にありついたので出席出来なくなった」と連絡がありました。お店をキャンセルするのも面倒なので、元店長抜きで,”Mさんを励ます会”に切り替えて飲むことにしました  2時間ほど飲んでいるうちに,いつの間にか「六本木に行って歌おう!」という暗黙の合意が形成されていて,10数分後にはカラオケ・スナックOのカウンターに座っていました.お酒の勢いって恐いです そこで,それぞれが持ち歌を披露し,疲労しました・・・・ サムッ 今回は点数表示なしで歌いましたが,いつも通りS監査役は90点越え間違いなしの”エンターティナー”ならぬ”演歌テナー”ぶりを発揮,E部長は得意の加山雄三などを披露していました.Mさんはかわいらしい声で,若いにもかかわらず美空ひばりなど”昭和の歌”を歌っていました.私はいつもの歌をいつものように”せりふ”を付けて歌いました(せりふのない歌です).今回の特徴はMさんとのデュエットを求めて争奪戦が展開したことです 結局10時過ぎまで飲んで歌っていたので,六本木の方が滞在時間が長くなってしましましたいつものパターンですが・・・・・・

家に帰ってお風呂に入ろうとすると、風呂掃除をしたのか、何と水が抜かれていました。これが本当のカラオケ!・・・・・・・あっ,いまの水に流してください  例によって頭がガンガンしますが,今日も仕事あるし・・・・サラリーマンはつらいね

というわけで、1ヵ月後は早くもクリスマスですね.今日はクリスマス・キャロル「きよしこの夜」の作曲者フランツ・クサヴァー・グルーヴァーの誕生日(1787年11月25日)です。   ・・・・・・・あの、それクローバーね。いま言ってるのはグル―ヴァ―だから

グルーヴァーはオーストリアの作曲家で,オルガン奏者でした.オーベルンドルフの聖ニコラス教会の合唱指揮者を務めていたときに,助祭のヨーゼフ・モーアから,彼の詩に曲をつけるよう依頼されました.グルーヴァーによって即座に作曲されたこの曲は,その夜のミサに、たまたま壊れていたオルガンに代わって,ギターの伴奏で歌われたと言われています

そういえば昔、NHK・TVの”名曲アルバム”でこの曲が取り上げられたことがあって、神父のような服を着た人がギターを抱えているシーンが映し出されていたような記憶があります。あれがグル―ヴァーだったのでしょうか

モーアによってドイツ語で書かれた「きよしこの夜」の歌詞は,今では世界中の300以上の国々の言語に訳されていると言われており、この点では”世界一”かも知れません

 

        〔再び新国立劇場のクリスマスツリーの登場〕

           

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ドヴォルザークのオペラ「ルサルカ」を観る~新国立オペラ

2011年11月24日 06時42分41秒 | 日記

24日(木).昨日,初台の新国立劇場でドヴォルザークのオペラ「ルサルカ」を観ました 劇場を入ったロビーにはクリスマス・ツリーが飾られていました.

 

            

 

「ルサルカ」は題名こそ知ってはいたものの,知名度が低いこともあってCDを持っていません.したがって,全く予習なしで,生の公演を聴くことになりました

「ルサルカ」は,アンデルセンの「人魚姫」やフーケの「ウンディーネ」をもとに書かれた作品で,あらすじは次の通りです

ヴォドニク(水の精)の娘ルサルカは人間の王子に恋をし,イェジババ(魔法使い)に頼んで美しい声と引き換えに人間の姿に変えてもらう.ルサルカと王子は結ばれるが,やがて王子は外国の公女に心を移す.怒った水の精は王子を呪いにかける.魔性使いはルサルカに王子の命を奪えば元の姿に戻れると言うが,ルサルカは拒絶.自分の罪に気づいた王子はルサルカに許しを乞う.ルサルカは自分が口づけをすれば命はないと告げるが,王子は安らぎを求めて口づけを懇願,ルサルカは彼に死の接吻をする.

キャストは,ルサルカ=オルガ・グリャコヴァ,イェジババ=ビルギット・レンメルト,王子=ペーター・ベルガー,ヴォドニク(水の精)=ミッシャ・シェロミアンスキー,外国の公女=ブリギッテ・ピンターほか.指揮はチェコ出身で,スロヴァキア国立劇場の首席指揮者を務めるヤロスラフ・キズリング,オーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団.演出はポール・カランです.

ルサルカ役のロシア出身オルガ・グリャコヴァは,どこかで見たことがあると思ったら,新国立オペラのプッチーニ「蝶々夫人」でタイトルロールを歌った人でした その時は演技力を備えたすばらしいソプラノだと思いました.

プログラムの解説によると,第1幕の舞台は森に囲まれた湖となっていますが,大きな月が出ている中,ヒロインのルサルカが家の中でくつろいでいるシーンで始まりました.それから,回想シーンのような形で舞台転換があり,森の中の湖になりました.

グリャコヴァは高音はもちろんのこと,低音もよく通る素晴らしいソプラノです.第2幕の前半は”人間”になったため声が出ない役になったのですが,そこは持ち前の演技力でカバーしていました

魔法使い役のドイツ出身レンメルト(メゾ・ソプラノ),外国の公女役のオーストリア出身ピンター(ソプラノ)とも存在感のある力強い歌声を聴かせてくれました 男性陣で光っていたのがスロヴァキア出身の王子役ベルガーでした.よく通るテノールを会場一杯響かせていました

ドヴォルザークの音楽は,時にワーグナーを思わせる鳴り方をします.プログラムに収録されている内藤久子さんの「作品ノート」を読むと,「オペラ”ルサルカ”を通して,登場人物の異質性を特徴づける幾つかの旋律は”悪魔とカーチャ”よりももっと挑戦的にワーグナーの風格を具えているドヴォルザークがワーグナーの楽劇”トリスタンとイゾルデ”や”ニーベルングの指環”を学んだことはよく知られているが,そうしたオペラの輝きは,まず想像力に富むオーケストレーションに見事に表現されている」と書かれています.”新世界交響曲”や”チェロ協奏曲”の作曲者ドヴォルザークとワーグナーの結びつきは想像しにくいのですが,今回初めて知りました

さて,物語は第3幕の終盤でルサルカが王子にキスをして,王子は息絶えることになっているのですが,この舞台では,王子は起き上がって舞台奥に去っていきます.舞台転換があり,第1幕冒頭の月夜のルサルカの家が現われ,彼女が家に入って,幕が降ります

これについて,演出家のポール・カランは「プロダクション・ノート」で次のように語っています

「エンディングは他と異なるバージョンです.ルサルカは最後に身勝手でない決断をする.誰か大切な人のためにした決断.つまり王子を殺さないという決断です.自己犠牲であり,それが成熟するということなのです.最後にルサルカが王子にキスをすると,子どもじみた夢,身勝手な夢が一瞬のうちに消え,そこから最初に戻る.幕明けは彼女の家から始まりますが,再びその場面に戻る.そうした再生の周期は多くの女性に起こり,同時に男性にも起こる.少女はさまざまな経験をして成熟して,また新たな旅に出る.それが人生の旅なのです」

言うまでもなく,演出家は原作や台本を読み,音楽を聴いたうえで演出を施すわけですが,このオペラでは,最後に死ぬべき人間を生かしておいていいのか,という疑問が残ります.今回の公演の演出は音楽に悪影響を与えるものではありませんでしたが,何年後かに,このオペラを思い出すとき,真実と事実の区分けができなくなってしまうのではないかと心配します

とは言うものの,今回のプレミエ公演は舞台も美しく,歌手も粒ぞろいで大成功だったのではないかと思います

 

 

                    

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まだまだ続く福島原発による来日キャンセル~アグネス・バルツァ,新国立オペラ「こうもり」出演せず

2011年11月23日 08時42分03秒 | 日記

23日(水・祝).昨夕は,午後6時からの記者クラブの試写会,アラン・レネ監督「風にそよぐ草」を観る予定だったのですが,”30分だけ”というE部長の誘いに地下0で飲みました この店の名物「牡蠣の串焼き」が美味しくて,生ビール片手にあっという間に30分が経過,こうなるとどうでもよくなって,試写会は諦めて新潟の銘酒「きりんざん」をしたたか飲みました この”方針転換の速さ”には,われながら「風にそよぐ草」のような生き方だと呆れました

映画の中でもフランス映画は好きな方で,とくにフランソワ・トリュフォーなどが好きです.アラン・レネは昨年,渋谷の「ユーロスペース」で「去年マリエンバードで」を観ましたが,意味がさっぱりわかりませんでした.レネ監督は黒澤明監督の影響を受けて「去年マリエンバードで」を制作したらしいのですが,黒澤明がどれも”わかりやすくておもしろい”のに,レネは”言語明瞭意味不明”的な感じがしました そういう意味で,最近彼の映画はどう変わったのか,あるいは,変わらないのかを観てみたかったのです.しかし,「アラン・レネ」も「きりんざん」には勝てませんでした.押し出してきりんざんの勝ち ”映画”を話題に2時間飲みましたが,現時点で年間100本の目標にほど遠いことを告白しました.夕べの映画が48本目だったのです

家に帰るとメールボックスに新国立劇場からハガキが届いていました.「2011-2012シーズン オペラ”こうもり”出演者変更のお知らせ」とあります.それによると,「12月1日にオルロフスキー公爵役で出演を予定していたアグネス・バルツァは,大震災後の原子力災害による自身の健康への懸念から,現在の日本に滞在することが困難であると決断を下したため出演できなくなりました.代わってエドナ・プロホニクが出演いたします」とありました

アグネス・バルツァといえば,カラヤンに認められてケルビーノ,オクタヴィアン等「ズボン役」で活躍し,ビゼーの「カルメン」のタイトルロールで一世を風靡したメゾ・ソプラノです.ホセ・カレーラスとの共演でも話題を振りまきました.ただ,1944年生まれと言いますから現在67歳.それを思うと,理由はともあれ後進に道を譲るのが賢明とも思います

後任のエドナ・プロホニクは,イスラエル生まれの期待の新星ということで,今回の公演の指揮者ダン・エッティンガーが推薦したとのことです.オルロフスキー役を得意としているということなので期待したいと思います.彼女にとっては日本の音楽界で認められるチャンスです.実際に聴いてみなければ分かりませんが,この交代が良い方向に進展することを祈ります

それにしても,福島の原発事故が完全に収拾するまではこうした交代劇が続くのでしょうが,被災者の皆さんの心中はお察しするものの,いったいいつまで?と言いたくなります

 

          

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数が合わない?~モーツアルト「ドン・ジョバンニ」のレポレロ「カタログの歌」

2011年11月22日 07時00分14秒 | 日記

22日(火).昨日に続いてドン・ジョバンニの話題です.石戸谷結子さんの「マエストロに乾杯」を引き続き読んでいます.なにしろ470ページの大書なのでなかなか読み終わりません

バリトンのトマス・アレンとのインタビューで石戸谷さんは「数がどうしても合わないんです 彼がものにした女の数が.レポレロの台詞では,一度は1800人と言っていて,”カタログの歌”では歌に沿って合計すると2065人.どっちが本当でしょう?」と訊ねています.すると,アレンは「たぶん,2000人以上です.2065人? じゃ,そっちが正しい」と答えています

レポレロは「カタログの歌」で「イタリアでは640人,ドイツでは231人,フランスでは100人,トルコでは91人,おまけにスペインでは1003人」と歌っています.合計すると確かに2065人になります 石戸谷さんって暇人28号?

それにしても,なぜ誰が聞いても矛盾していると分かるようなことを歌わせるのでしょうか モーツアルトは台本に曲を付けただけですから,仕掛け人は台本作者ダ・ポンテでしょう

ロレンツォ・ダ・ポンテ(1749年3月10日~1838年8月1日)はイタリアの詩人,台本作家です.彼はモーツアルトの3大オペラの台本を書きました.1786年「フィガロの結婚」(原作はボーマルシェ),1787年「ドン・ジョバンニ」(台本にはカサノヴァも協力),1790年「コジ・ファン・トゥッテ」です.彼はヴェネチア,ウィーン,ロンドン,ニューヨークと渡り歩いて生涯を送ったようです.ヴェネチア時代には放蕩生活を送っていたといいますから,ある意味,ドン・ジョバンニはダ・ポンテその人であったのかも知れません

突然ですが,ここで問題です.3日間だけドン・ジョバンニと結婚していたのは誰でしょうか.次の中から選んでください.モーツアルト・ファンの方には簡単すぎて申し訳ありません

1.ドンナ・アンナ

2.ドンナ・コンナ

3.ドンナ・エルヴィーラ

4.ドン・キホーテ

5.ドン・ガバチョ

6.ドン・ドン・サカバ

 

    空き時間を利用してここでCDコレクションの紹介です

 

   モラルト指揮ウィーン交響楽団     ミトロプーロス指揮ウイーンフィル

       

 

     ベーム指揮ウィーンフィル       クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管

       

 

   ジュリーニ指揮トリノ歌劇場菅      フリッチャイ指揮ベルリン放送管

       

 

   

答えは,言うまでもなく「3.ドンナ・エルヴィーラ」です どうでもいいことですが,「6.ドン・ドン・サカバ」というのは,新築前の飯野ビルの地下にあった飲み屋の愛称で,お客が入ると,入り口にある太鼓を「ドン・ドン」と鳴らしたことから名付けられたものです.漢字で書くと「呑々酒場」か ちなみに,お酒を飲んで早めに酔っ払うことを「呑序盤に」といいます

 

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METライブビューイングでモーツアルト「ドン・ジョバンニ」を観る~たった1日の物語

2011年11月21日 06時13分18秒 | 日記

21日(月).昨日,新宿ピカデリーでMETライブビューイング,モーツアルト「ドン・ジョバンニ」を観てきました キャストはドン・ジョバンニ=マリウシュ・クヴィエチェン,ドンナ・アンナ=マリーナ・レベッカ,レポレロ=ルカ・ピザローニ,ドンナ・エルヴィーラ=バルバラ・フリットリ,ドン・オッターヴィオ=ラモン・ヴァルガス,マゼット=ジョシュア・ブルーム,ツェルリーナ=モイツァ・エルドマンというメンバー,指揮は体調不良のジェームス・レヴァインに変わって,最近メト・オペラの首席指揮者に就任したファビオ・ルイージです.この公演は今年10月29日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたものです

ルイージがオーケストラ・ピットに入ります.彼の前にはチェンバロが置かれています.叙唱(話し言葉の自然なリズムやアクセントを模した歌唱様式)のときに指揮者自身が弾くようです

ルイージがタクトを振り下ろして「序曲」が始まります モーツアルトはこの序曲を,お酒を飲み,コンスタンツェとおしゃべりしながら,たったの一晩で書き上げたと言われています.とても信じられません.この序曲に3時間にも及ぶオペラのエッセンスが盛り込まれています

レポレロが登場してアリアを歌い,次いでドン・ジョバンニとドンナ・アンナが現れて三重唱になりますが,私はこの部分がこのオペラの中で一番好きです.この躍動感!何回聴いてもワクワクします クヴィエチェンのドン・ジョバンニは,インタビューでルイジが語っていたように,精力的な”男”を感じさせる一方で気品があります

幕間のインタビューで,クヴィエチェンは最初にドン・ジョバンニを歌ったのは9年前に東京で小澤征爾の指揮で歌ったときで,人生経験を重ねるに連れてドン・ジョバンニの役作りも変わってきたと語っていました そして,この公演の2週間前に腰を痛めて手術をし,奇跡的に治してカムバックしたと語っていました.普通のオペラのヒーローだったら,立って歌えばいいでしょうが,ドン・ジョバンニは歌って,踊って,演技をして,とにかく舞台を右に左に動き回らなければならないので,体力勝負の側面があります.彼は手術をしたことが信じられないほど精力的に歌い,動き回りました.これこそプロでしょう

クヴィエチェンのドン・ジョバンニとピザローニのレポレロのコンビは抜群の相性で,丁々発止のやり取りでストーリーが展開していきます.ドンナ・アンナ役のレベッカはこの役が初めてとのことでしたが,なかなかどうして素晴らしいソプラノを聴かせてくれました

ドン・オッターヴィオ役のラモン・ヴァルガスは堂々たるテノールで,会場を圧倒していました.ドン・オッターヴィオは政治家志望というアライサの説は採らなかったようです.ドンナ・エルヴィーラ役のフリットリはインタビューに答えて「ドンナ・アンナよりも,ドンナ・エルヴィーラの方が,動きまわるので好き」と語っていました.その言葉どおり役柄を楽しんでいたように見えました

若手コンビのマゼット役のブルームとツェルリーナ役のエルドマンは新鮮な初々しい感じで良かったと思います.とくにエルドマンはモーツアルトのオペラには向いているかも知れないと思います.例えば「フィガロの結婚」のスザンナを歌わせたらピッタリのような気がします

ヴァルガスがインタビューで語っていたのですが,このオペラは丸1日(24時間)の物語であることを,われわれは忘れがちです.もっと長い時間が流れていると思い込んでいますが,1日目には騎士長が死に,翌日にはドン・ジョバンニが死んでいます これは「フィガロの結婚」も同じで,丸1日の物語です.正式には「フィガロの結婚,または狂おしき1日」(フランス語でラ・フォール・ジュルネ)です

私はこれまで,モーツアルトのオペラで一番好きなのは「フィガロの結婚」で,次が「魔笛」,そして3番目が「ドン・ジョバンニ」という順番でしたが,いまは「ドン・ジョバンニ」が一番です

 

         

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