人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

コジ・ファン・トゥッテ再び

2011年05月31日 19時39分11秒 | 日記
31日(火).きのう風邪で休んだので,今日は今週の初出勤でした.すぐ前の席のAさんに「日曜は雨で寒い中オペラを観に行って風邪を引いて,月曜は家で寝ていたんですよ」と言うと,「日曜は私も新国立劇場で”コジ・ファン・トゥッテ”を観たんですよ」という返事です.彼女は時々オペラを観に行くと言っていたので,こんなこともあろうかとも思いましたが,まさか同じ時間に同じ会場で観ていたとは驚きました.Aさんはオペラはもちろんのこと,むしろ歌舞伎の方がお好きなようで,現在,歌舞伎座が立て直し工事で閉鎖されているので残念がっているようです.また,毎週定期的にフラメンコを習っているという行動派でもあります.

Aさんは「あの新演出は舞台設定を現代に置き換えていたので,どうも違和感がありましたねそれに最後はハッピーエンドに終わると思っていたのにそうでもなかったので,いまひとつ気持ちがしっくりいかなかったですね」とのことでした.私の考えは昨日のブログに書いたとおりですが,”最後がハッピーエンドに終わる~”という部分については,次のように言いました.
「最後に,罠にはめられた男女2組のカップルと”賭け”を仕掛けたドン・アルフォンソ,それを手助けしたデスピーナの6人が登場して”もとにサヤに収まって良かった,良かった”でフィナーレになるが,この演出では5人の登場人物がドン・アルフォンソを罵りながらバラバラに去っていく中,アルフォンソだけが首をかしげたまま舞台に残される.ここが,この演出の特徴のひとつではないか.アルフォンソは確かに賭けに勝って”女はみんなこうしたもの”と勝利宣言したかもしれないが,結局はだれからも相手にされなくなってしまった

個人的には新国立劇場で以前観た(同じ演出で2回)このオペラの演出と比べると,あえて条件設定を現代のキャンプ場に置き換えて,モーツアルト特有の軽快なテンポ感を活かしたストーリー展開を行った今回の新演出は,成功裏に終わったのではないかと思います

  



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懲りない男

2011年05月30日 20時10分26秒 | 日記
30日(月)その2.今日は風邪気味なので家で体を休めることにしました.夕べ寒気がして37.9度あったので早めに寝ました.原因ははっきりしています.先週木曜日から土曜日の同窓会まで飲み会が続いたのに加えて,日曜日には雨の中,3時間のオペラを観に行ったためです.体を休めることなく1週間を過ごしたことが疲れの蓄積に繋がったのです

今月に限らず,来月も土・日を含めて12回のコンサートの予定が入っています.「あなたは,懲りないからねぇ」と言われますが,自分でも懲りない男だと思います.今日はブログを2本書いた以外は近所に買い物に出かけたくらいで,CDをBGMに佐藤正午のエッセイを読んだいました.

聴いたCDは来月のコンサートやオペラの予習で,ブラームス「バイオリン・ソナタ」,ベルディ「ドン・カルロ」,ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」,プッチーニ「マダム・バタフライ」などです.本当はBGMをかけて本など読まずにぐっすり眠った方がいいのはわかっているのですが,それが出来ない性分なのですね.時間がもったいない.本当に懲りない男だと思います.とは言うものの,今夜も早めに寝たいと思います



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女はみんなこうしたもの~新国立オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」を新演出で観る

2011年05月30日 14時28分45秒 | 日記
30日(月).昨日午後,初台の新国立劇場(オペラパレス)でモーツアルトのオペラ「コジ・ファン・トゥッテ(女はみんなこうしたもの)」を観ました.今回が新演出ということで期待して出かけました.

大震災の影響で指揮者と3人の歌手が来日できなくなり,代演での公演になりました.指揮はスペイン生まれのマルティネス,フィオルディリージ(ソプラノ)=ボルシ,ドラベッラ(メゾソプラノ)=ピーニ,フェルランド(テノール)=ウォーレン,グリエルモ(バリトン)=エレート,アルフォンソ(バリトン)=トレーケル,デスピーナ(ソプラノ)=オールという布陣.演出はイタリア生まれのミキエレット.

モーツアルトのダ・ポンテの台本に基づく「ダ・ポンテ3部作」は第1作が「フィガロの結婚」,第2作が「ドン・ジョバンニ」,そして最後が「コジ・ファン・トゥッテ」です.物語は「哲学者ドン・アルフォンソは”貞淑な女性などいない”とうそぶいて若者2人と賭けをする.男2人に異国の男に変装させて,それぞれ別の恋人(姉妹)に言い寄って口説き落とすことができるか,できないか.結局,女性2人は口説き落とされてしまう.そしてアルフォンソは”女はみんなこうしたもの”と歌いあげる」

さて,今回の見ものは演出です.舞台設定は現代のキャンプ場です.3つの場面の「回り舞台」を展開させてテンポよく進行していきます.1つは「キャンピング・アルフォンソ」というキャンプ場管理小屋,1つはキャンピング・カーのある広場,1つは水を張った池のある庭の3つです.

個人的にはオペラで時代設定を現代に置き換えたりすることには感心しないのですが,今回の演出は納得することができました.舞台の時代・場所などの条件設定を中途半端に抽象化するよりも,今回のように思い切って現代にし,しかも若者が集まりそうなキャンプ場に設定することによって,モーツアルト特有のテンポ感がよく出ていたのではないか,と思います.6人のソリストたちは歌はもちろん素晴らしく,演技力もなかなかなものでした.男たちが,庭の池でズボンを脱ぎ始めた時など,私の後ろの座席の紳士が”困ったものだねぇ”と奥様に語りかけていたのが印象的でした.

女性からは「女はみんなこうしたもの」と言うけれど「男はみんなこうしたもの,ではないか」という言い分があるでしょうし,「人間はみんなこうしたものだ」という主張もあるでしょう.モーツアルトにとってはどれも同じことなのでしょう.「いろいろあったけど,最後はみんな許しましょう」と,悪人は一人もいないのです.

ベートーベンは音楽評論家にあてた手紙に「私は”ドン・ジョバンニ”や”コジ・ファン・トゥッテ」のようなオペラは作曲できないでしょう.こうしたものに嫌悪感を覚えるからです私にはこのような題材を選ぶことはありえません.私には軽薄すぎます」と批判しています.”ドン・ジョバンニ”はあらゆる女性に対するドン・ジョバンニの征服欲が描かれ,”コジ・ファン・トゥッテ”は女性の愛情の誠実さと堅さを試すという物語です.ワーグナーも,モーツアルトのこのオペラを批判しているらしいのですが,人妻を横取りした人に彼のオペラを批判する権利があるのか,非常に疑問です

終演後の鳴り止まない拍手は,今回,原発問題を抱える日本に代演で来て歌ってくれた歌手陣へのお礼と,演出面でモーツアルトのオペラに新たな光を当ててくれた演出家への賛辞が含まれていたように思います.

  

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イル・トロバトーレを観る~METオペラ・ライブビューイング

2011年05月29日 10時26分22秒 | 日記
29日(日)その2.昨日,新宿ピカデリーでMETオペラ・ライブビューイング=ベルディ「イル・トロバトーレ」を観ました.ことし4月30日の公演を映画化したものです.トロバトーレとは”吟遊詩人”のこと.

”リゴレット””椿姫”とともにドラマチックなメロディあふれるベルディ中期の代表作です.レオノーラを愛し,火花を散らす2人の男,マンリーコとルーナ伯爵の数奇な運命とは?サスペンスのような筋だてで,あっと驚くラストまで一気に展開していきます.

「マンリーコ」をテノールのアルバレス,「レオノーラ」をソプラノのラドバノフスキー,「ルーナ伯爵」をバリトンのホボロストフスキー,「アズチェーナ」をメゾソプラノのザジックが歌い,指揮はアルミリアート,演出はマクビガーです.

あの天下のシャリアピンは言ったそうです.「”トロバトーレ”を上演するのは簡単だ.4人の歌手を確保するだけでいい」と.もちろん4人の中には彼自身が含まれていますが,その4人を確保することがいかに困難かという話です.このオペラは主人公が4人いるので,それぞれ最高級の歌手をそろえないと上演できないのです.

このオペラは次から次へと4人の主人公がドラマチックなアリアを歌っていくので,楽しい驚きの連続です.”凄い”の一言.”オペラの中のオペラ”と言ってもいいような魅力的なメロディーにあふれています.演出も,舞台も最高です.

インタビューの中で,劇場支配人のピーター・ゲルプが「予定通り6月には日本公演を挙行する.日本の皆さんには楽しみにしていてほしい」とあいさつし,最後に日本語で「ガンバロウ ニッポン」とメッセージを述べました.プッチーニ「ラ・ボエーム」,ベルディ「ドン・カルロ」,ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」を観に行きますが,いまから楽しみです



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同窓会~あの頃君も若かった

2011年05月29日 08時21分44秒 | 日記
29日(日).昨日の同窓会(高校3年のクラス会)には先生を含めて16人が出席しました.幹事なので1時間早めに会場に行き,”同窓会永久事務局長”のS君,前回幹事のT君と会の進行について打ち合わせをしました.会費を出さなければ・・・と,上着のポケットを見ると何と財布がない あせって探しに戻ったら,親切な人がちょうどお店に届けてくれているところでした 日本人って親切だよな・・とあらためて感心しました.

当時担任のY先生は高校に赴任したとき若く,われわれより9歳年上にすぎませんでした.いつも下駄を履いてバンカラ風に歩いていたイメージがあります.あいさつの中で「今日欠席しているK君については,私の指導が不十分だったために,中退することになってしまった.本当に申し訳ないことをしたと思っている」と話されました.

実はそのk君には1週間以上前に,出欠の確認の電話をしたとき,40年ぶり位に話をしたのです.名前を名乗ると,”中学のときの同級だっけ?”と言うので”中学も高校も一緒だったよ”と答え,”ハガキ届いてるよね?”と訊くと”実は目がよく見えないんだ”と言います.どういう事情なのか詳細を聞くことはしませんでしたが,生きていることが確認できただけでも良かったと思いました

会場のあちこちで,あの頃の話で盛り上がりました.M君が”あの頃S(私のこと)は学生運動を主導してたよな”と言うので”とんでもない.ただ文化祭の仮装行列で何人かを集めてヘルメットを被って角材を片手に行進したのは,確かに自分が主導していたけどね”と答えました.ベトコン(ベトナム民族解放戦線)に引っ掛けて「ジャパコン(日本民族解放戦線)」という名前をでっち上げて横断幕を作って行進しました.その時の集合写真が残っています.われわれのときは,卒業アルバムを作らなかったので,その写真くらいしか残っていません.

当時,生徒会の役員でありながら早朝に校門で「所高はこれでいいのか!?」というアジびらを配って生徒会指導K教員に捕まってビラを没収されたこともありました.これまた生徒会の役員でありながら校内弁論大会に出場して「生徒会の傾向と対策」というテーマで熱弁を振るって,得点では優勝だったのに制限時間を1分オーバーしたため2位になってしまったこともありました.いわゆる内部批判だったのでT生徒会長にとっては”この裏切者めが”という気持ちだったに違いありません.後に彼の結婚式に呼ばれ友人代表としてあいさつしたとき,”あの時は若気の至りで申し訳ないことをした”と謝罪しました.彼は笑って許してくれました

出欠はがきに近況を書いてくれた人の分をコピーして配ったのですが,端っこにシレっと自分のブログのPRを載せておきました.それを見たY先生が大笑いして,皆にエピソードを紹介してくれました.
「当時,学級日誌というのがあって,毎日当番がその日にあったことなどを書くことになっていたが,S君が毎日書いていて,それが面白くて教員の間でも回し読みして楽しんでいた

先生の見立ては,あの頃の私の”書く”という行動が今のブログを”書く”ことに繋がっているのではないか,ということのようでした.年はとってもやる事は変わらない・・ということでしょうか

先生にはお土産にホカロンではなくてマカロンをお持ち帰りいただいて,3時間ほどで1次会を切り上げました.2次会には3人を除いて参加したのですが,会場探しが大変でした 金曜でもない土曜の夜なのに,どこもいっぱいで13人が入れる店がなかなか見つからないのです.やっと白木屋に入って落ち着きました.私は翌日のオペラがあるので10時半ごろには引き上げたのですが,約半数は残って3次会をやっていました.ご参加の皆様お疲れ様でした.またお会いするのを楽しみにしています


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ストレスについて

2011年05月28日 08時10分40秒 | 日記
28日(土).今日は午前から午後にかけて新宿ピカデリーでMETオペラ・ライブビューイング「イル・トロバトーレ」を観て,所沢に行って高校の時の同窓会(クラス会)に出席する.当時50人いたクラスはすでに1割の5人が死亡,連絡がつかない行方不明者が数人いる.今日の出席は先生を含めて17人の予定である.2次会,3次会・・・幹事なので憂うつだなあ

今日のために,ここ数日の過ごし方を気をつけよう,というつもりだったが,そうはいかなかった.木曜日はE部長と地下の串焼きRで”1時間だけ”ということで飲んだが,結局2時間,昨日の金曜日は同じE部長と地下の焼き鳥Оで”30分だけ”ということで飲みはじめたが,結局3時間飲み続けてしまった.どうしてこう意志が弱いのか・・・反省しきりである E部長と飲むとエンドーレスになってしまう.途中で時計を見ないのがいけないのか.

彼は総務・経理の責任者をしているが,決算が終わりこれから税務申告などが控えている.とくに経理はお金を扱っているので相当のストレスをかかえる.自分自身も前の法人で経理の仕事を10年以上やったことがあるので,彼のストレスはよく理解できる もちろん経理の実務は数人でやるが,責任となると経理責任者が負うことになる.

「そういえば,経理で決算をやっているときに,急に呼吸が出来なくなって倒れそうになったことがあったよ」と言うと,彼も「かなり前のことだけど,息が苦しくなって倒れたことがあるな・・・」と答えていた.そういう時には,ときに飲んでストレス解消したいこともあるし,そうしなければまた倒れてしまう. まあ,これは酒飲みの言い訳だが

明日は午後早々モーツアルトのオペラ「コジ・ファン・トッテ」を観に行く.きょうこそ飲み過ぎないようにしないと3時間寝てしまうことになる.気をつけよっと
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平田真希子さんのピアノ・リサイタルへのお誘い

2011年05月27日 07時04分31秒 | 日記
27日(金).きのう仕事が終わるころ,ビルに入居されている法律事務所のKさんがお見えになり,平田真希子さんという方のピアノ・リサイタルのチラシとプログラムを下さいました.

平田真希子さんは,幼少のころKさんのご自宅近くにお住まいで,小さい頃からピアノを習っていたとのことで,今はアメリカに在住,毎年リサイタルを開くため日本に帰国(?)するということでした.プロフィールを見ると「ジュリアード音楽院プレカレッジ卒.南米,北米,ヨーロッパ,日本で演奏旅行.ボリビア国立交響楽団はじめ12以上のオーケストラと共演.今年はチャリティーコンサートで日本の被災地への義援金を2万ドル以上集めた.日本でのコンサートは今年で11年目になる」とありました.表立って目立たないけれど相当の実力者ではないかと思います

プログラムによると,第1部がJ.S.バッハの「ゴールドベルグ変奏曲」,第2部がフランツ・リストの「ソナタ ロ短調」という意欲的な選曲になっています.相当の自信と実力がないとこういうプログラムは組めないのではないかと思います.横浜と東京で同じプログラムにより演奏するということです.

Kさんは5月22日に横浜で開かれたコンサートを聴きに行かれて,”バッハは聴いていて眠くなってしまったけれど,リストは凄い迫力で目が覚めた”とおっしゃっていました.バッハの「ゴールドベルグ変奏曲」は”不眠症に悩む伯爵が,眠れぬ夜の慰みにお抱え鍵盤奏者のゴールドベルグに弾かせるために委嘱した”というエピソードがあるので,”眠くなって正解ですよ”とお話ししました.

ところが,プログラムに演奏者が書いている曲目解説を見ると「”眠れぬ夜のために~委嘱した”というエピソードは現在では事実無根とされている.この曲が出版された当時,ゴールドベルグはまだ14歳だったことや,この時代のこの状況では絶対付けたはずの献辞がない,などがその理由」と書かれていました.遅まきながらバッハ研究の最新事情の一端を知ることが出来ました

「すみだトリフォニー・ホールでのリサイタル,ご都合がよければお聴きになってください」と言われ,1週間ぐらい先のことだな,と思って「スケジュールが空いていたら是非」と答えました.後でチラシをよく見ると28日(土)となっています.1週間先ではなく,今度の土曜日です.スケジュールを確認すると,この日は午前から午後にかけて新宿でMETオペラ・ライブビューイングを観て,その後,高校時代の同窓会に出席(しかも幹事)するため,コンサートに行く時間が取れないことがわかりました

今回は残念ながら聴きに行けませんが,次の機会には是非聴きたいと思います.Kさんにはまた声をかけていただくようお願いしようと思っています.このブログをご覧になっている方で興味のある方は,この公演に行ってみてはいかがでしょうか.長年の経験から,素晴らしい演奏会になる予感がします5月28日(土)午後1時会場,1時半開演.会場は錦糸町(JR北口徒歩3分)の「すみだトリフォニーホール(小ホール)」です.

ところで今日はモーツアルトがホルン協奏曲第2番K417を完成した日です.1783年5月27日のことでした.いま聴いているのは,ホルン=アラン・シビル,クレンペラー指揮フィルハーニア・オーケストラによる演奏(1960年5月録音)です.よき時代のよき演奏です

  
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三島由紀夫をめぐる2つの思い出

2011年05月26日 08時13分14秒 | 日記
26日(木).昨日の日経朝刊・文化面に映画プロデューサー藤井浩明さんが「映画人・三島由紀夫に心酔」というエッセイを寄せています.

ある日三島から,”短編小説「憂国」を映画化したい,自分で出資し,主演,監督,脚本,美術をすべてやるので,映画会社に内緒で手伝ってくれないか”と頼まれた.公開する前に三島から外国の人に見せたいという連絡があり,そこに現れたのは世界的な指揮者レナード・バーンスタインだった.試写の後「なぜ日本の音楽を使わなかったの?」と問われ,しどろもどろで答えた.

あの国粋主義的な三島が自作の映画でなぜ日本の音楽を使わなかったのか,本当に疑問です.バーンスタインといえば,一昨日のブログで紹介した指揮者・佐渡裕は彼の最後のマナ弟子です.

三島由紀夫といえば思い出すことがあります.忘れもしない70年11月25日.当時大学1年生だった私は大宮校舎で心理学の授業を受けていました.授業を聴かずイヤホンでラジオを聴いていたS君が「おい,大変だ!三島由紀夫が自衛隊の市ガ谷駐屯地に乗り込んで隊員にアジ演説して,割腹自殺したらしいぞ」と言います.「外に出よう!」と申し合わせて,われわれは窓から外に飛び出したのです.もちろん教室は1階にありました.バスで大宮駅に向かいました.

われわれの考えはこうでした.
三島由紀夫が自殺 → 三島の本が売れる → 早く買わないと売り切れる → 買えるだけ買っておこう

大宮ステーションビルの本屋で何冊か買い求め,しばらく三島の本ばかり読んでいましたが,今となっては何を読んだのかさっぱり思い出せません ただ,なぜか「午後の曳航」だけは読んだことを覚えています.

「午後の曳航」といえば,何年か前に東京交響楽団がヘンツェのオペラ「午後の曳航」を上演したときに観に行きました.その少し前に,読売日本交響楽団が同じオペラを日本初演したと記憶しています.どちらもいわゆる”演奏会形式”に近い形での上演だったと思います.現代音楽の作曲家の作ったオペラということもあって,耳になかなか馴染めなかったのが残念でした 勉強不足もありますが

三島由紀夫が作った映画,出演した映画,時間があったら観てみたいと思います

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東日本大震災・手書き壁新聞の展示始まる~プレスセンタービル1階ロビー

2011年05月25日 07時03分46秒 | 日記
25日(水).昨日から「3.11大震災被災地新聞を支援する会」主催による「東日本大震災”その時,地元新聞は”」特別展が内幸町のプレスセンタービル1階・玄関ホールで始まりました被災した地域紙の紙面や写真を中心に紹介しています.初日からテナント社員はじめ多くの人々が熱心に見学しています.

宮城県の地元紙「石巻日日(ひび)新聞」は3月11日の大震災で輪転機が水没し,新聞が発行できなくなってしまいました それでも地元住民に「正確な情報を届けたい」として手書きの壁新聞を発行しました.6日間ほど手書きで発行しましたが,そのうち2紙(現物)が会場で展示されています.そのほか,取材中の記者が腕に着けていた腕章が,津波のため流されてよれよれになった現物なども展示されています.まさに地元の新聞記者は命がけで取材に当たっていたことがよくわかります

このビルに入居している日本新聞協会が発行している「新聞協会報」24日発行号でも内容を紹介しています.また,この日,テレビ東京の取材クルーが来て特別展を撮影していきました.夕方のニュース番組で流すとのことでしたが,残念ながら見損なってしまいました この特別展は入場無料で,30日(月)まで開催しています(日曜休館).最寄り駅は地下鉄「霞ヶ関」駅,都営三田線「内幸町」駅,JR「新橋」駅です.

一方,横浜の日本新聞博物館では,「東日本大震災報道写真展」(主催=東北写真記者協会・東京写真記者協会・新聞博物館)を開催中ですが,こちらは6月22日まで見られます.併せて共同通信社・ドイツ通信社合同写真展「歴史と未来を紡いで」が7月31日まで公開されます(月曜休館).最寄り駅は,みなとみらい線「日本大通り」駅3番出口直結,JR関内駅徒歩10分です.こちらは有料です.横浜方面にお住まいの方は散歩がてらご覧になってはいかがでしょうか.

(写真・左は手書きの「石巻日日新聞」現物,右は日本新聞
 博物館の「歴史と未来を紡いで」展ポスター)

  

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佐渡裕,ベルリン・フィルを振る~CD,DVDの印税は震災義援金に

2011年05月24日 08時30分50秒 | 日記
24日(火).佐渡裕が20日から3日間,初めてベルリン・フィルを振り,武満徹「フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム」,ショスタコービチ「交響曲第5番」を指揮しました 朝日の記事によると,武満の曲は日本名で「あなたが時と呼ぶものが私から流れ出る」というもので,打楽器のアンサンブル曲とのことです.

小学校の時の文集に書いたとおり,彼の夢は「指揮者になってベルリン・フィルを振ること」だったそうですから,その夢が実現したことになります.夢を描いて,自分を信じて,それに向かって努力することは大切なことですね.底力がある人はそれを実現します

ショスタコービチの交響曲第5番は「革命」というタイトルが付けられていますが,その名の通り,第1楽章の深い鎮魂のメロディーから最終楽章の豪快なクライマックスまで,一つの物語のようなドラマチックな曲です.終演後は汗だくになりながら「大震災後,音楽家に何ができるか悩んだが,自分が全力で仕事をやりとげることだけはやろうと思った」と語ったそうです.

佐渡裕の演奏は何度か生で聴いたことがあります.ベートーベンの第9交響曲をいっしょに聴いた音大の指揮科を出た友人の言葉が印象に残っています.「あの人の指揮は乱暴です.あれじゃ,楽員がついていくのが大変です」.

彼は「題名のない音楽会」の司会を務めていますので,指揮ぶりを見ることが出来ます.自分自身は最近この番組を見ることはありませんが.ただ,一つ思うことは,彼が演奏会で取り上げるのはドラマチックな曲が多いのではないか,ということです 最後に静かに終わる曲は滅多に演奏しない.ネットを見ていたら”ベートーベンの第6交響曲「田園」は一度も演奏したことがない”と書かれていました.この曲も静かに終わります.

彼は演奏中に指揮棒を折ったことが何度かあるなどエピソードに事欠かない人のようです.よく言えば情熱的な指揮者,悪く言えば乱暴な指揮者,といったところでしょうか.実際に生演奏を観て聴いて判断していただきたいと思います.

今回の演奏はCDとDVDで発売される予定で,佐渡は印税を震災の義援金にあてるとのことです.ひとりの人間として素晴らしいではないですか

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