人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

コンサートのカーテンコール時の写真撮影について ~ 都響も解禁していた! / 辻村深月著「傲慢と善良」を読む ~ 結婚式を前に失踪した女性と婚約者の苦悩を描く

2023年06月30日 00時01分03秒 | 日記

30日(金)。月末を迎えたので、6月の3つの目標の達成状況をご報告します ①クラシック・コンサート=17回(本日のオペラ公演を含む)、②映画鑑賞=8本、③読書=4冊でした ①はこのほか、東京シティ・フィルと新日本フィルの公開リハーサルを見学しました

ところで、つい先日「都響っていつからカーテンコール時の写真撮影が可能になったの?」というツイートを見ました そこには都響プログラム冊子に掲載の「コンサートをお楽しみいただくために」の写真が貼られていました 写真にある通り(  )内に「終演後のカーテンコール時のみ写真の撮影が可能です」と書かれています 私も思いました。いつから撮影可能になったの?と どうやら都響としては、積極的に写メしてほしいというスタンスを取っていないように思えます

 

     

     

 

その点、カーテンコール時の写真撮影を日本のオーケストラで初めて解禁したNHK交響楽団は、プログラム冊子の裏表紙で下の写真のような説明を加えています さらにコンサート当日も開演前と休憩時間に「カーテンコール時の撮影が可能です。SNS等で拡散してください」と積極的にPRしています

 

     

 

また、東京交響楽団もプログラム冊子で下の写真のように「カーテンコール時の撮影について」注意事項を掲げています

 

     

 

さらに、新日本フィルでは「カーテンコール時の写真撮影OK」のチラシをプログラム冊子に挟み込んでPRしています あとは日本フィルが「撮影可」としているようですが、私は定期会員ではないので情報がありません。悪しからず こうして比べてみると、解禁していないよりはマシとは言えるものの、都響の消極的な姿勢が目立ちます 「撮影可能」があまり知られていない中で撮影したら、周囲から「あの人、マナー違反している」と勘違いされないだろうか?  都響はそこまで考えているだろうか  次の都響定期公演は9月です。覚悟をもってトライしてみようかと思います。忘れていなければ

ということで、わが家に来てから今日で3090日目を迎え、米共和党のマッカーシー下院議長は28日までに、来年の大統領選の共和党候補者指名争いでリードするトランプ前大統領が「最強の候補だ」と保守系メディアに語ったが、直前にテレビ番組で「最も強い候補か問われれば、答えが分からない」と述べていたのを、トランプ支持者から批判されて態度を一転させた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     限りなく犯罪者に近いトランプを 持ち上げざるを得ない共和党の 情けなさの象徴だ

 

         

 

昨日の夕食は「焼き肉」にしました 牛ロースと牛ミスジです🥩 野菜の付き合わせをワンプレートに盛り付けました アスパラガスは素揚げにしましたが、とても美味しかったです ビールはサッポロCLASSICですが、基本的に北海道限定で年2回の限定販売なので、なかなか手に入りません

 

     

 

         

 

辻村深月著「傲慢と善良」(朝日文庫)を読み終わりました   辻村深月(つじむら みづき)は1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒。2004年に「冷たい校舎の時は止まる」で第21回メフィスト賞を受賞し作家デビュー 2011年「ツナグ」で第32回吉川英治文学新人賞、12年「鍵のない夢を見る」で第147回直木賞、18年「かがみの孤城」で第15回本屋大賞を受賞しました

物語は、突然失踪した婚約者の坂庭真実を探し求める西澤架(かける)の視点で描かれる第1部と、真実の視点で描かれる第2部で構成されています

父親の急逝により会社を継いだ架は、30代前半の頃に付き合っていた女性からフラれた過去があります 架は結婚を迫る相手に応えることが出来なかったのです 30代後半になり、一人で生きていくことに不安を覚えた架は婚活を始めることになります 切迫感から選んだのはフラれた彼女を100点とすれば70点の真実でした 結婚式を前に失踪した真実に何があったのか? 架は彼女が30歳を超えるまで暮らしていた群馬県前橋市へ向かいます 真実の両親、真実の姉、真実がかつて利用していた結婚相談所の代表者、その相談所を通じて会ったものの真実から交際を断った2名の男性・・・架はそうした次々と会って、真相の究明に当たります そうした中で、架は自分が知らない真実を発見します 一方、失踪した真実は、仙台で東日本大震災の後始末に関連するするボランティアの仕事を見つけ、そこで働いていました 真実は様々な過去を持つ人々との触れ合いを通じて自分を見つめ直します 果たして、架は真実と再会し失踪の本当の理由を知ることができるのでしょうか

 

     

 

真実がかつて利用していた結婚相談所「縁結び 小野里」の代表・小野里夫人の言葉が、本書のテーマになっていることが分かります 小野里夫人はイギリスの作家ジェーン・オースティンの小説「高慢と偏見」を「究極の結婚小説である」と持論を述べ、架に次のように語ります

「当時は恋愛するにも身分が大きく関係していました 身分の高い男性がプライドを捨てられなかったり、けれど、女性の側にも相手への偏見があったり それぞれの中にある高慢と偏見のせいで、恋愛や結婚がなかなかうまくいかない。英語だと、高慢は、つまりプライドということになりますね 対して、現代の結婚がうまくいかない理由は、『傲慢さと善良さ』にあるような気がします。現代の日本は、目に見える身分差別はもうないですけれど、一人一人が自分の価値観に重きを置き過ぎていて、皆さん傲慢です その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらうことが多すぎて、”自分がない”ということになってしまう 傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう、不思議な時代なのだと思います その善良さは、過ぎれば、世間知らずとか、無知ということになるのかもしれないですね

本書は解説を含めて500ページにもなる長編小説です 架と真実、それぞれが「傲慢と善良」を併せ持ちながら生きています しかし、これは他人事ではなく、本書を読んでいる読者一人ひとりにも共通することなのです 読みながら、グサッグサッと突き刺さります 結婚や恋愛に悩んでいる方に特にお薦めします

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アレクサンダー・ソディ ✕ 反田恭平 ✕ 読売日響でラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」、チャイコフスキー「交響曲第4番」を聴く~読響「第663回名曲シリーズ」

2023年06月29日 00時18分25秒 | 日記

29日(木)。わが家に来てから今日で3089日目を迎え、ウクライナで活動する国連の人権監視団は27日、昨年2月にウクライナに侵攻を開始して以来、ロシア軍が800人以上の民間人を恣意的に拘束し、うち77人を処刑したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     人権感覚ゼロのロシア軍にとっては ウクライナの軍人も民間人も同じなんじゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「真鯛の塩焼き」「生野菜サラダ」「冷奴」「豚汁」を作り、「鯵のタタキ」と一緒にいただきました 「真鯛~」は柔らかくて美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで読売日響「第663回名曲シリーズ」を聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30」、②チャイコフスキー「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」です 演奏は①のピアノ独奏=反田恭平、指揮=アレクサンダー・ソディです

指揮をとるアレクサンダー・ソディはイギリス・オックスフォード生まれ。王立音楽院とケンブリッジ大学を卒業 ハンブルク国立歌劇場カペルマイスター、クラーゲンフルト市立劇場首席指揮者、マンハイム国立劇場音楽総監督を歴任。欧米を中心に活躍しています

 

     

 

反田恭平人気か、会場はかなり埋まっています

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び。コンマスは長原幸太、隣は林悠介というダブルコンマス態勢を敷きます

1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1909年に作曲、同年ニューヨークで初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」、第2楽章「間奏曲:アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:アラ・ブレーヴェ」の3楽章から成ります 

ピアノ独奏の反田恭平はモスクワ音楽院、ショパン音楽大学で学び、ウィーンでは指揮を学んでいます。2021年のショパン国際コンクールで第2位に入賞。ピアニストとして活躍する傍らで、自身が設立したジャパン・ナショナル・オーケストラで全国ツアーを開催しています

アレクサンダー・ソディの指揮で第1楽章に入り、オーケストラに乗って独奏ピアノが淡々と第1主題を奏でます 私はこの曲が大好きなので、冒頭の音楽を聴くといつもワクワクします この楽章での聴きどころはカデンツァです 反田の演奏は強靭にして繊細、流麗にしてメリハリの利いた演奏です 自席から彼の両手の動きが良く見えるのですが、確かなテクニックの裏付けのもと、何の迷いもなく演奏に集中している姿が頼もしく清々しく感じます 第2楽章では冒頭の金子亜未の哀愁に満ちたオーボエが素晴らしい オーケストラのサポートを受けて、反田はロマンティシズム溢れる演奏を力強く展開します 第3楽章では、独奏ピアノがリズミカルな第1主題を奏で、次いで、オーケストラのスケールの大きな演奏に乗ってアグレッシブな演奏を繰り広げます そして、オケの総奏とともに圧倒的なフィナーレを迎えました

唖然とするほどのパフォーマンスに、会場のそこかしこからブラボーがかかり、満場の拍手が反田を包み込みます 圧倒的にすごい演奏でした

反田はアンコールにショパン「ラルゴ」を感慨深く演奏、聴衆のクールダウンを図りました

話は変わりますが、私がラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」を聴くと必ず思い出すのはピアノスト、デイヴィッド・ヘルフゴット(1947~)の半生を描いた映画「シャイン」です ヘルフゴットは統合失調感情障害に陥り、思うようにピアノが弾けません そんな彼が取り組んだのがラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」だったのです

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1877年から翌78年にかけて作曲、1878年2月22日にモスクワで初演されました 「わが最良の友に」という献辞がありますが、これは大富豪の未亡人メック夫人を指しています メック夫人はチャイコフスキーに膨大な経済支援を施しましたが、手紙のやり取りだけで一度もチャイコフスキーに会うことはありませんでした メック夫人て凄いと思いませんか? チャイコフスキーの天才を見抜いていたのですね

この曲は第1楽章「アンダンテ・ソステヌート ~ モデラート・コン・アニマ」、第2楽章「アンダンティーノ・イン・モード・ディ・カンツォーナ」、第3楽章「スケルツォ:ピッツィカート・オスティナート」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

アレクサンダー・ソディの指揮で第1楽章に入り、冒頭「運命の動機」のファンファーレが金管によって華々しく演奏されます まるでチャイコフスキーの結婚の失敗を跳ねのけるような、爽快な演奏です 第2楽章では冒頭の金子亜未の寂寥感に満ちたオーボエが素晴らしい また、井上俊次のファゴットが聞かせてくれます さらに倉田優のフルート、中館壮志のクラリネットも素晴らしい 第3楽章では弦楽セクションによるピッツィカートによる演奏が楽しい そして第4楽章では陽気な主題が現れ、冒頭の「運命の動機」を打ち消すように音楽が展開し、オーケストラの総力を挙げての高速演奏で輝かしいフィナーレを飾りました ソディは読響のゴージャスなサウンドを鳴らし切りました

人によっては「オーケストラを無暗に大音量で鳴らした爆演に過ぎない」と評するかもしれませんが、いいじゃありませんか 大音量のシャワーを浴びて気分がスッキリしたとすれば、聴いた甲斐があったというものです クラシックはもっと気軽に聴いていいと思います

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尾高忠明 ✕ 亀井聖矢 ✕ 東京フィルで尾高惇忠「オーケストラのための”イマージュ”」、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、同「交響曲第1番」を聴く

2023年06月28日 00時30分14秒 | 日記

28日(水)。わが家に来てから今日で3088日目を迎え、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者、プリゴジン氏による反乱を受け、ロシアのプーチン大統領が26日夜、国民に向けに約5分間のテレビ演説を行い、反乱の失敗を強調し、西側諸国などがロシア国内の「仲間殺し」の試みに加担したと主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ウクライナ国民を多数殺したワグネルに 西欧諸国が加担するわけないだろうが!

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました ビーフシチューは今回久しぶりに牛ブロック肉ではなく牛バラ肉を使いました。甘みがあって美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京フィル「第987回サントリー定期シリーズ」を聴きました プログラムは①尾高惇忠「オーケストラのための”イマージュ”」、②ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」、③同「交響曲第1番 ニ短調 作品13」です 演奏は②のピアノ独奏=亀井聖矢、指揮=尾高忠明です

 

     

 

亀井聖矢人気のせいか、会場はいつもより女性客が多いように思います

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東京フィルの並び。コンマスは近藤薫です

1曲目は尾高惇忠「オーケストラのための”イマージュ”」です この曲は尾高忠明の兄・尾高惇忠(おだか あつただ:1944-2021)が1981年の「民音現代作曲音楽祭」のために作曲した作品です 翌1982年には父・尚忠の功績を記念して創設された「尾高賞」に本作が選ばれましたが、初演を演奏したのは尾高忠明指揮東京フィルでした 個人的には、身内の者が作曲した作品を定期演奏会で取り上げるのってどうなのよ?と思いますが、身内の者でなければ取り上げないからという葛藤があるように感じます 尾高氏に限らず、指揮者って自分で作曲した作品や身内の作品を演奏してみたいものなのでしょうね 1980年代には、こういう無調風の現代音楽が流行ったなあと懐かしく聴きました

2曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1900年から翌01年にかけて作曲、1901年に初演されました よく知られているように、ラフマニノフは1897年の「交響曲第1番」が大失敗に終わり、ノイローゼ気味になって、1900年前半の数か月にわたり精神科医ニコライ・ダーリのもとで睡眠療法を受けますが、これが功を奏し改善します その年に手がけたのが「ピアノ協奏曲第2番」で、ラフマニノフ自身のピアノ独奏による初演は大成功を収めました そもそも「交響曲第1番」が大失敗に終わったのは、林昌英氏のプログラム・ノートによると、「ペテルブルクとモスクワの音楽界の確執が一因だった可能性がはるかに高い。有り体に言えば、”ライバル都市に移って調子に乗っている若造が、挨拶もなしにペテルブルクに乗り込んでくる”という構図になってしまった」ということらしいです。ちなみにラフマニノフは幼少期からペテルブルク音楽院に入って学びましたが、指導法が合わず、12歳でモスクワ音楽院に移りピアノと作曲を学んでいます。この曲は第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の亀井聖矢は2001年生まれ。2022年のロン=ティボー国際音楽コンクールで第1位、併せて「聴衆賞」「評論家賞」を受賞しています

亀井のピアノ・ソロにより第1楽章が開始されます 続くオーケストラによる重厚なテーマはいつ聴いても素晴らしい 「これぞ、ラフマニノフ」と言いたくなります 第2楽章では、ロマンティシズムの極致をいく詩情豊かな亀井のピアノが会場を満たします 第3楽章では、中盤でテンポアップして協奏曲から競争曲に移るかのようなピアノとオケとの丁々発止のやり取りがスリリングで聴き応えがありました フィナーレでは、尾高 ✕ 東京フィルのダイナミックな演奏に乗せて、亀井は腰を浮かせてピアノを強打し、力強くも華やかな演奏を繰り広げました

ブラボーと拍手の嵐、そして1階前方の女性客を中心とするスタンディングオベーションが見られました アンコールはありませんでした。見識です

休憩時間には女性トイレに長蛇の列ができました

 

     

 

プログラム後半はラフマニノフ「交響曲第1番 ニ短調 作品13」です この曲は1895年に作曲、1897年3月27日にペテルブルクでグラズノフの指揮で初演されました 前述のとおり大失敗に終わりました 第1楽章「グレイブ~アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アレグロ・アニマート」、第3楽章「ラルゲット」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

この曲は5日前の6月22日にジャナンドレア・ノセダ指揮NHK交響楽団で聴いたばかりなので、否が応でも聴き比べることになります

結論から先に言います 同じ曲なのに全く違う曲に聴こえました 演奏を聴き終わって振り返ってみると、ノセダ指揮による演奏は、速めのテンポで容赦なくグングン進み、聴衆を置いていく感じがして、「これでは初演が失敗したのも無理はない」と思ったたのに対し、尾高指揮による演奏は、比較的緩めのテンポで演奏され、適度な間を置いて次に進むように感じ、「これなら初演が成功したかもしれない」と思いました その顕著な例が第4楽章フィナーレでした タムタム(銅鑼)の一打の後、同じメロディーがアグレッシブかつ執拗に繰り返されラフマニノフの意欲が前面に押し出されますが、ノセダは息もつけないほど超高速テンポで駆け抜けたのに対し、尾高は納得のいくテンポ設定で繰り返して曲を閉じました

同じ曲なのに違う指揮者・オーケストラで聴くと全く違う印象を受ける こういうところにもクラシック音楽を聴く醍醐味があります

カーテンコールが繰り返されますが、尾高は拍手を制し、マイクなしで次のように聴衆に語りかけました

「尾高家としては、今日、兄・尾高惇忠の作品を演奏してくれた東京フィルの皆さんに感謝申し上げたい 実は父・尾高尚忠の命日は1951年2月16日で、兄・惇忠の命日は2021年2月16日で、同じ日でした このサントリーホールで兄の作品を演奏できることは本当に幸せです サントリーホールはサントリー社長の佐治敬三さんのひと言で建設が決まりました それは(カラヤンの助言を受けてパイプオルガン付きのホールを建設し)、カラヤンを呼んで杮落し公演をやるためでした 残念ながらカラヤンは来日できず(注:風邪のため)、代わりに小澤(征爾)さんが(ベルリン・フィルを)指揮しました ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」を初めて指揮した時のピアニストは中村紘子さんでした。今から約50年前のことです 私も、もう歳なので井上道義に倣って、そろそろ引退しようかと考えています」(会場

周知の通り、尾高氏と桐朋学園時代の同期生・井上道義氏は2024年12月末をもって指揮活動からの引退を表明しています さて、尾高氏はどうするのでしょうか? まだまだ元気いっぱい活躍してくれそうです

 

     

 

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マルク・ミンコフスキ ✕ 東京都交響楽団でブルックナー「交響曲第5番 変ロ長調 WAB.105」を聴く ~ 都響第978回定期演奏会Bシリーズ

2023年06月27日 00時04分55秒 | 日記

27日(火)。わが家に来てから今日で3087日目を迎え、ロシアの有力紙「コメルサント」は26日、捜査関係者の情報として、武装ほう起したプリゴジン氏への容疑は取り消されてはおらず、捜査は続いていると報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     KGB出身のプーチンが 国家反逆罪のプリゴジンを 簡単に許すとは思えないけどね

 

         

 

昨日、夕食に「ホウレンソウと豚肉の甘辛卵とじ」「生野菜とアボカドのサラダ」「白舞茸の味噌汁」を作りました 「ホウレンソウ~」は新聞の「料理メモ」のレシピで初めて作りましたが、何とか美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京都交響楽団の「第978回定期演奏会Bシリーズ」を聴きました プログラムはブルックナー「交響曲第5番 変ロ長調 WAB.105」(ノヴァーク版)です 指揮はマルク・ミンコフスキです

マルク・ミンコフスキは、最近ではボルドー国立歌劇場総監督、ザルツブルク・モーツアルト週間の芸術監督、オーケストラ・アンサンブル金沢の芸術監督を歴任。1982年にミュジシャン・デュ・ルーヴルを立ち上げ、2011年にレ・マジェール音楽祭を設立しました

 

     

 

N響と同様、都響でも補聴器によるハウリング問題が深刻で、当日配布のプログラム冊子に下の「協力依頼」が挟み込まれていました    とくにこの日の公演は休憩時間がないこともあって、このような措置を講じたのかもしれません 当然、演奏直前のアナウンスでも注意を呼び掛けていました

 

     

 

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置。コンマスは矢部達哉です

ブルックナー「交響曲第5番 変ロ長調 WAB.105」はアントン・ブルックナー(1824-1896)が1875年から翌78年にかけて作曲、1894年4月9日にフランツ・シャルクの指揮で初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アダージョ ~ アレグロ・モデラート」の4楽章から成ります

ミンコフスキの指揮で第1楽章がチェロ、コントラバスにより神秘的に開始されますが、突然オケの総奏が鳴り響き、金管の重厚なファンファーレが会場の空気を震わせます このような本格的な序奏を持つのはブルックナーの交響曲の中で第5番だけです 次いでヴィオラとチェロによる流麗な第1主題が奏でられますが、この演奏が素晴らしい 第2楽章で印象に残るのは、弦楽セクションによる大河の流れを感じさせる雄大なスケールの演奏です ブルックナーの神への祈りを込めた渾身の演奏が展開します ミンコフスキは間断なく第3楽章に入ります。この楽章ではヴァイオリン・セクションを左右に分ける対抗配置の効果が絶大でした 第1ヴァイオリンの流麗な演奏も素晴らしいが、第2ヴァイオリンのピッツィカートも美しい

そして、第4楽章に入ります。この冒頭の音楽について寺西基之氏がプログラム・ノートに「第1楽章第1主題、第2楽章第1主題が断片的に回想されるのだが、そのたびにフィナーレ主題がそれを遮る(これは明らかにベートーヴェンの交響曲第9番の終楽章にヒントを得たものだろう)」と書いていて、「なるほど」と思いました ヨッフムのCDで予習した時には漠然と聴いていましたが、よく耳を傾けて聴くと全くその通りです プログラム・ノートはこういうことを教えてくれるので、音楽素人の私にはすごく勉強になります そのフィナーレ主題(第1主題)がチェロ ⇒ ヴィオラ ⇒ ヴァイオリンへとフーガで繋がっていくところは素晴らしいと思います ホルン、トロンボーン、テューバ、トランペットといった金管のコラールも重厚感があり 素晴らしい 終盤近くではクラリネットとオーボエがベルアップ奏法を見せていて、「ベルアップはマーラーの専売特許じゃないんだな」と独り言ちました この時初めて、クラリネットに元新日本フィル首席の重松希巳江さんが客演していることに気が付きました この楽章はかなり速いテンポでアグレッシブに進みましたが、その勢いのままフィナーレに突入し、弦楽器、管楽器、ティンパニ総動員により圧倒的な音の大伽藍を築き上げました

満場の拍手にミンコフスキは、最初にコントラバスを立たせ、次いでチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンの順番に立たせ、その後管・打楽器を立たせましたが、気持ちはよく分かります 磨き抜かれた”都響の弦楽器”の伝統は受け継がれています 全身に音のシャワーを浴びた聴きごたえのある素晴らしいコンサートでした こういう音楽はイヤホンでちまちま聴くべきものではありません ちっとも曲の良さが解らないと思います。ブルックナーやマーラーは生演奏で聴くことに醍醐味があります

 

     

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「チャイコフスキーコンクール ~ 威信回復狙うロシア」~朝日の記事から / 「アジア・ユース・オーケストラ東京公演2023」のチケットを取る / 中山七里著「隣はシリアルキラー」を読む

2023年06月26日 06時51分53秒 | 日記

26日(月)。一昨日の朝日新聞朝刊第2面(総合2)の「時時刻刻」コーナーに「コンクール  威信回復狙うロシア  『チャイコフスキー国際』23か国から236人 戦時下 欧米8割減、中国6倍」という見出しの記事が載っていました 超略すると次の通りです

「19日に始まったチャイコフスキー国際コンクールには、日本や欧米を含めた23か国から236人が参加したが、前回2019年に比べて、欧米からの参加者は約8割減った 一方で、中国からは6倍となるなど、大幅に様変わりした 中国からは48人が参加、半数以上を占めるロシアに次ぐ人数となった 日米欧など『非友好国』は38人で前回の3分の1となり、ウクライナ侵攻後の世界の対立関係を象徴するような構成となっている ウクライナ侵攻で生じた孤立回避のため、ロシアは音楽の力を使って『威信回復』を狙う ロシアではソ連時代から、国威を高めるためのプロパガンダに、音楽の力を使ってきた。今回のチャイコフスキー国際も、プーチン氏が掲げるロシアの『威信回復』を国内外にアピールするための重要なイベントだ 同コンクールの組織委員長であるワレリー・ゲルギエフ氏は開幕に合わせたメッセージで開催の重要性を訴えたが、プーチン氏にもチャイコフスキー国際の意義を強調していた。プーチン氏は今回の参加者らに『この伝説的なコンクールはかつてのように音楽界の主要なイベントと考えられている』との電報を送った 一連の発言からは、プーチン政権が音楽を前面に出して侵攻への批判をかわす狙いが透けて見える

同じコーナーの中で、同社編集委員の吉田純子さんは、概要次のように書いています

「新時代の才能を探し、各国の国際コンクールに足を運ぶ音楽マネジャーたちが、今回は相次いで現地入りを断念している ロシアという国そのものが主催者だけに、果たして『政治とは無関係』と言い切ることができるのか 音楽業界からはそんな葛藤の声が聞こえてくる。『メディアは今回、結果を含めて一切報じるべきでない』と言う音楽家もいる コンクールの多くがオンラインで公開されるようになり、審査員気分のコメントがSNSを飛び交う 音楽ジャーナリストの林田直樹さんは、従来のコンクールが『巨大なプロパガンダと権威主義を礎に発展してきた』ものの、『現在は多くの人を音楽の多様性に気づかせるポジティブな機会を提供している だからこそ、参加した若者が責められるようなことがあってはならない』と指摘する」

この記事を読んで思うのは、現在の特異な世界情勢の中で、参加者たちはどのような気持ちで参加を決めたのか、ということです 「政治と芸術は別物だ」と割り切った若者もいるだろうし、「今回は参加者が大幅に減るだろう。上位入賞を狙える最高のチャンスだ」と考えた若者もいるでしょう いずれにしても、自己の責任において参加したからには上位入賞を目指して普段の練習の成果を発揮すべきだと思うし、林田氏の指摘のように「参加者が責められるようなことがあってはならない」と思います

WEBサイト「OMTOMO マガジン」によると、日本からの参加者は以下の7名となっています

〇ヴァイオリン部門(5名)

 Takamori  Arai  Kokoro  Imagawa   Eugene Kawai   Issei  Kurihara   Lisa  Yasuda

〇ピアノ部門(2名)

 Koki  Kuroiwa       Marcel  Tadokoro

ということで、わが家に来てから今日で3086日目を迎え、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏は24日、声明を出し、「我々はモスクワの200キロ手前まで来た。ロシアの血が流される責任を理解し、隊列の向きを変える」と述べたが、ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介したとみられる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プリゴジンの政治駆け引きは失敗したみたいだね 結局 権力の前に腰砕けじゃね?

 

         

 

8月30日(水)19時から東京オペラシティコンサートホールで開かれる「アジア・ユース・オーケストラ東京公演2023」のチケットをイープラス経由で取りました プログラムは①グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲、②ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」(1919年版)、③マーラー「交響曲第4番ト長調」です 演奏は③のソプラノ独唱=リデイア・ツウチャア、指揮=ジョセフ・バスティアンです

「アジア・ユース・オーケストラ公演」はコロナ禍で中止されていたので、4年ぶりの再開です 日本を含むアジア諸国の100名の若者たちの真摯な演奏に毎回感動を覚えてきました 本当は31日(木)の公演も聴きたいのですが、読響名曲シリーズと重なっているので諦めました

 

     

     

     

         

 

中山七里著「隣はシリアルキラー」(集英社文庫)を読み終わりました 中山七里は1961年、岐阜県生まれ。2009年「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、小説家デビュー 音楽を題材にした「岬洋介」シリーズを筆頭に、時事問題をテーマとした社会派小説まで幅広く手掛けており、驚くべき多作活動は「中山七里は七人いる」と言われています

 

     

 

東京都大田区にあるメッキ加工工場で働く神足友哉(こうたり ともや)は真夏の深夜、隣室から聞こえてくるシャワーの音で目が覚める 会社の独身寮は安普請でトイレやシャワーなどの生活音が駄々洩れ状態である 隣人は中国からの外国人技能実習生・徐浩然(スーハオラン)。この日はいつものシャワーの音に加え、何かを斬り落として洗い流すような乱暴な音が聞こえてくる 神足は徐が浴室で返り血を浴びながら、悦びの表情を浮かべながら死体の解体に勤しんでいる姿を想像してしまう それから間もなく、近所で女性の遺体の一部が発見されたこと、さらに数日前から工場の近くで若い女性が行方不明になっていることから現実味がを帯びてくる 気になった神足は真夜中に部屋から出た徐を尾行することにする すると徐は衝撃的な場面を目撃してしまい、やはり徐は連続バラバラ殺人事件の犯人、危険なシリアルキラーであると確信する

一方、神足は徐を警察に告発しようにも、身元を明かせない過去を抱えていた そんな中、神足が思いを寄せている同じ職場で働く紗穂里の身に危険が迫る 神足は彼女を救うべく行動に移る ところが、とんでもないどんでん返しが待っていた

 

     

 

小説の冒頭から、隣人が殺人犯に間違いないと思わせる描写が展開しますが、そこは「どんでん返しの中山七里」です。そう単純には行きません 一つだけ疑問に思うのは、神足が匿名で警察に電話して「隣人が怪しい」と徐浩然の名前を挙げて通報したのに、警察がすぐに家宅捜査をしなかったことです 早めに家宅捜査が進むとストーリーが短くなってしまうので、長引かせたのかもしれませんが、読んでいて違和感がありました

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ミケーレ・マリオッティ ✕ 萩原麻未 ✕ 東京交響楽団でモーツアルト「ピアノ協奏曲第21番」、シューベルト「交響曲第8番”ザ・グレイト”」を聴く

2023年06月25日 00時02分22秒 | 日記

25日(日)。わが家に来てから今日で3085日目を迎え、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者のエフゲニー・プリゴジン氏は23日夜、SNSに投稿した動画などで、ロシア軍の攻撃で多くのワグネル戦闘員が死亡したと主張、「軍幹部の悪事を止めなければならない。抵抗する者は破滅させる」として、ロシア軍への武装蜂起を宣言した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシア軍はウクライナ軍とワグネルを敵に回して大変だね  自業自得だと思うけど

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京交響楽団「第711回定期演奏会」を聴きました プログラムは①モーツアルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」、シューベルト「交響曲第8番 ハ長調 D944”ザ・グレイト”」です 出演は①のピアノ独奏=萩原麻未、指揮=ミケーレ・マリオッティです

ミケーレ・マリオッティはイタリア・ペーザロ生まれ。2005年にサレルノでオペラ・デビューし、2008年にボローニャ歌劇場首席指揮者に就任。2022年11月にローマ歌劇場音楽監督に就任しました ダニエル・ルスティオー二、アンドレア・バッティストーニとともに「イタリア若手指揮者三羽がらす」と称されています

 

     

 

オケは10型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東響の並び コンマスはグレブ・ニキティンです

1曲目はモーツアルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1785年に完成、3月10日にブルク劇場で初演されました 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の萩原麻未は2010年第65回ジュネーヴ国際コンクール・ピアノ部門で日本人として初めて優勝しました パリ国立高等音楽院及び音楽院修士課程修了、モーツアルテウム音楽院を卒業。現在、ソリスト、室内楽奏者として活躍する傍らで、東京藝大常勤講師として後進の指導にもあたっています

萩原がダークブルーのエレガントな衣装で登場、ピアノに向かいます この人にはブルーが良く似合います マリオッティの指揮で第1楽章が軽快に開始されます しばらくして萩原のピアノがソフトなタッチで軽やかに入ってきます 荒絵理子のオーボエ、東京シティ・フィルから移籍した竹山愛のフルートがよく歌い、ソリストに華を添えます マリオッティはそっとソリストに寄り添い、現代に息づくモーツアルトを表現します カデンツァは見事でしたが、誰のだろうか? 第2楽章で萩原は、一音一音を慈しむように丁寧に演奏、モーツアルトのロマンティシズムを優しく醸し出しました 第3楽章冒頭、萩原の高速で激しい開始にはビックリしました その後も速めのテンポによるオケとの丁々発止のやり取りによって、愉悦感に満ちた演奏が展開します

ところで、この曲の第2楽章でいつも思い出すのは、「007」の1シーンです タイトル名は忘れましたが、スペクターの親分が猫を抱きながらこの曲を聴いているシーンがありました 悪人でもモーツアルトの音楽を愛するのだということを知らしめていて印象的でした もっとも、ヒトラーだってベートーヴェンやワーグナーの音楽を愛していたわけで、善人だろうが悪人だろうが、芸術を愛する気持ちには変わりはないということです スペクターとヒトラーの違いは、ヒトラーは音楽を政治利用したということです

閑話休題。この曲は有名な割には滅多にライブで聴く機会がないので、今回は貴重なチャンスでしたが、私にとっては理想的な演奏でした 萩原麻未はラヴェルも良いし、プロコフィエフの良いし、モーツアルトも良いし、何を弾いても素晴らしいピアニストです

萩原はアンコールにJ.S.バッハ/グノー「アヴェ・マリア」をどこまでも静かにどこまでも優しく演奏し、聴衆を黙らせました

 

     

 

上の写真は2013年10月11日の「エル・システマ」公演の際に購入したCDのジャケット(見開き)です 右側(表面)の左上の金色の太字サインが萩原さんのもので、下の黒字が指揮者のサインです 左側(裏面)はその1か月後の11月6日の公演の際にいただいたサインです この時、すでに彼女の大ファンでした

 

     

 

プログラム後半はシューベルト「交響曲第8番 ハ長調 D944”ザ・グレイト”」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1825年から26年にかけて作曲、1838年にシューベルトの兄のところにあった自筆譜がシューマンによって発見され、翌39年3月21日にメンデルスゾーンの指揮で初演されました 同じハ長調の交響曲第6番と区別して「グレイト(大きなハ長調交響曲)」と呼ばれています 第1楽章「アンダンテ ~ アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ) ~ トリオ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

弦楽器が14型に拡大し、マリオッティの指揮で第1楽章がホルンの独奏で開始されますが、この冒頭の演奏を聴くたびに「ああ、シューベルトの長い旅が始まったなぁ」とため息が出ます 演奏時間にして約50分ですが、どの楽章もおなじメロディーの繰り返しで、演奏する側も聴く側もよくも飽きないものだ、と感心します 「グレイト」って曲の長さと繰り返しの多さのグレイトではないか、とさえ思ってしまいます

演奏は、オペラ指揮者マリオッティの面目躍如といったもので、木管や弦楽器を中心によく歌わせていました 特に第2楽章における荒絵理子のオーボエは冴え渡っていました また、第4楽章における弦楽器の渾身の演奏は特筆に値します

好みの問題かもしれませんが、この日の演奏はモーツアルトの方が圧倒的に素晴らしかったと思います 個人的には、マリオッティはオペラや協奏曲の方が向いているように思います

東響の思う壺ですが、カーテンコールを写メしましたので アップしておきます

 

     

     

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新交響楽団「第262回演奏会」のチケットを取る ~ 伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」他 / フラン・クランツ監督「対峙」を観る ~ 高校銃乱射事件の加害者と被害者の両親同士の会話をリアルに描く

2023年06月24日 05時33分34秒 | 日記

24日(土)。新交響楽団から7月17日(月・祝)午後2時から東京芸術劇場コンサートホールで開かれる「第262回演奏会」の案内が届いたので、予約を入れました プログラムは①トゥリーナ「幻想的舞曲集」、②伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」、③ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」全曲です 指揮は中田延亮です。この公演は新響とも関係の深い伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」狙いです

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3084日目を迎え、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が、東京都多摩市内で取得した約6300平方メートルの土地に研修施設の建築を計画していることがわかり、阿部裕行市長は21日、同連合に対し 解体や造成を含めた一切の建築行為をしないように求める申し入れを行った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     信者から金を巻き上げる方法や 団体名を隠して信者を獲得するノウハウの研修か?

 

         

 

昨日の夕食はお中元で届いた「押し寿司」にしました 冷凍の寿司をレンジで2分チンするだけです。とても美味しかったです

 

     

     

 

         

 

早稲田松竹でフラン・クランツ監督による2021年製作アメリカ映画「対峙」(111分)を観ました

アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が勃発した 多くの同級生が殺され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った それから6年、いまだ息子の死を受け入れられないペリー夫妻(ジェイとゲイル)は、セラピストの勧めで加害者の両親(リチャードとリンダ)と会って話をすることを決意する 場所は教会の奥の小さな個室で立会人もなく4人は顔を合わせる。「お元気でしたか?」と、古い知り合い同士のような挨拶をぎこちなく交す4人だったが、遂にペリー夫人・ゲイルの「息子さんについて何もかも話してください」という言葉をきっかけに、お互いの本音が飛び交い、感情的になっていく 果たして両家は理解し合えるのか

 

     

 

【以下、ネタバレ注意】

この映画は、ほぼ全編が密室における4人の会話だけで進行しますが、まるで事件の当事者である家族同士が本音をぶつけ合っているようなリアリティに満ちています 最初は被害者の母ゲイル(マーサ・プリンプトン)が感情的になっていて、それを夫のジェイ(ジェイソン・アイザックス)が「冷静に話そう」となだめていますが、話が進んでいくにつれて今度はジェイが感情的になって、ゲイルがなだめることになります 一方、加害者側の父リチャード(リード・バーニー)は一貫して「今さら問題を蒸し返しても、子どもたちの命は戻らない。息子について話せというが何を話せばいいんだ」という紋切り型の態度を示しています 妻のリンダ(アン・ダウド)は二度と元に戻れない状況にもどかしさを感じながらどう話せばいいか戸惑っています そして、お互いに言いたいことを言った後で、ゲイルはペリー夫妻に「あなた方を許します」と言います リチャードが先に退出した後、リンダはペリー夫妻に「息子が怖かった。シューティング・ゲームに夢中になっていたのを注意すると暴力を振るうようになった 夫リチャードは毎日仕事で帰りが遅く、息子に対峙するのは私だけだった。母親として何もできなかった その結果、あの事件が起きてしまった。どうか、気が済むまで私を殴ってください」と伝えます。その時初めて、ペリー夫妻はリンダを許したのです その時、2階から聖歌隊の歌う聖歌が聴こえてきます それを聴いた3人は感動を覚えます

この映画の原題は「MASS」(ミサ)です。ミサはカトリック教会の感謝の祭儀で、そこで歌われるのがミサ曲です その意味で、この映画の舞台は「教会」内部の部屋でなければならないことが分かります 聖歌を聴いた時に初めて3人の「憎しみの心」が浄化されたと言えるかもしれません

この映画では加害者側の少年も被害者側の少年も死亡しているという設定になっていますが、これが被害者側の少年が死亡し、加害者側の少年が生きていたら、ストーリーとして成り立たないだろうと思います

 

本日、toraブログのトータル閲覧数が795万ページビューを超えました( 7,950,669 PV。トータル訪問者数は 2,469,980 IP )。これもひとえに普段からご訪問下さっている皆さまのお陰と感謝しております これからも根性で毎日書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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ジャナンドレア・ノセダ ✕ 庄司紗矢香 ✕ NHK交響楽団でラフマニノフ「交響曲第1番」、レスピーギ「グレゴリオ風協奏曲」他を聴く

2023年06月23日 00時28分19秒 | 日記

23日(金)その2.昨日、シャルル・デュトワ ✕ 新日本フィルの「幻想交響曲」の公開リハーサル(その1.参照)に次いで、午後7時からサントリーホールでNHK交響楽団6月度Bプログラム2日目公演を聴きました プログラムは①バッハ(レスピーギ編)「3つのコラール」、②レスピーギ「グレゴリオ風協奏曲」、③ラフマニノフ「交響曲第1番ニ短調作品13」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=庄司紗矢香、指揮=ジャナンドレア・ノセダです

ノセダは1964年イタリア・ミラノ生まれ。現在、米国のナショナル交響楽団音楽監督とチューリヒ歌劇場音楽総監督を務めています

 

     

 

N響Bプロ2日目公演は、毎回のように補聴器によるハウリング事件が起こっていることから、開演前や休憩時間のアナウンスは言うまでもなく、ホールのレセプショニスト達が耳のイラストが描かれたボードを掲げて「音の出る機器をお持ちの方はスイッチをお切りください。補聴器を使用している方は正しく装着されているかお確かめください」と注意を呼び掛けていました

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものN響の並び。コンマスは郷古廉です

1曲目はバッハ(レスピーギ編)「3つのコラール」です この曲はJ.S.バッハ(1685-1750)の作曲したコラール前奏曲を、レスピーギがオーケストラ用に編曲したもので、第1曲「きたれ、異教徒の救い主よ」、第2曲「私の魂は主をあがめ」、第3曲「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」の3曲から成ります    第1曲と第3曲は耳馴染みの曲で、大学時代に喫茶店「白十字」でストコフスキーの編曲版で聴いたことがあるような気がします とても良い曲です。懐かしく聴きました

2曲目はレスピーギ「グレゴリオ風協奏曲」です この曲はオットリーノ・レスピーギ(1879-1936)が1921年に作曲、翌1922年にローマで初演された「ヴァイオリン協奏曲」です 第1楽章「アンダンテ・トランクイロ」、第2楽章「アンダンテ・エスプレッシーヴォ・エ・ソステヌート」、第3楽章「終曲(アレルヤ):アレグロ・エネルジコ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の庄司紗矢香は1999年ジェノヴァで開催された「第36回パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクール」で史上最年少で優勝しました

ノセダの指揮で第1楽章が開始され、庄司の独奏ヴァイオリンが入ってきますが、厳かで宗教的な感じがします この楽章に限らず、独奏ヴァイオリンは超絶技巧を発揮するヴィルトゥオーゾ的なものではなく、オケにすっかり溶け込んで演奏している印象を受けます オーボエの吉村結実の演奏が素晴らしい 庄司のカデンツァは聴きごたえがありました 面白かったのは第3楽章でのティンパニと独奏ヴァイオリンの丁々発止のやり取りです。とても楽しく聴けました

満場の拍手に庄司はアンコールに、バルトーク「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ BB124/Sz117」より第3楽章「メロディア」を繊細な表現力で演奏し、再び大きな拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はラフマニノフ「交響曲第1番ニ短調 作品13」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1895年に作曲、1897年3月5日にサンクトペテルブルクでグラズノフの指揮で初演されました 作曲家キュイから厳しい評価を受けるなど、大失敗に終わりました その後総譜が失われ、作曲者の死後、パート譜から復刻された版により1945年10月17日になってやっと再演されました 第1楽章「グラーヴェ ~ アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アレグロ・アニマート」、第3楽章「ラルゲット」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

ノセダの指揮で第1楽章が重低音による序奏で開始され、次いで躍動感溢れるアグレッシブな演奏が展開します 第2楽章を経て、甘美さを感じる第3楽章が演奏されます 第4楽章は冒頭のファンファーレに続き、オケの総力を挙げてのスケールの大きな演奏が繰り広げられます 終盤でタムタム(銅鑼)がゴーンと鳴り響き、これで終わりかと思いきや、再び演奏が続けられ、フィナーレに向けて同じメロディーの執拗な繰り返しが展開、最後に大きな音の塊が客席に押し寄せてきました

ノセダ ✕ N響の熱演にヤンヤヤンヤの喝さいが送られますが、正直言って私は「この曲、名曲だろうか? 失敗に終わったのも分かるような気がする」と不遜にも思ってしまいました ラフマニノフの強い意欲を感じさせる力作だとは思いますが、どうも全体的に荒っぽい印象があります この後の名曲「交響曲第2番」と比べてしまうからそう感じるのかもしれません

この日の公演はノセダの最終公演ということで、楽団員を代表して打楽器奏者の黒田英実さんから花束が贈呈されました

 

     

     

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シャルル・デュトワ ✕ 新日本フィルのベルリオーズ「幻想交響曲」の公開リハーサルを見学する ~ 妥協のない繰り返し演奏、弱音に注力を傾ける

2023年06月23日 00時05分14秒 | 日記

23日(金)その1.わが家に来てから今日で3083日目を迎え、ロシア上院は21日、軍事行動に参加する受刑者の刑罰を免除する法案を採択した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ワグネルが受刑者を集め尽くしたと思ってたよ さすがは犯罪国家ロシアの面目躍如

 

         

 

昨日、夕食に「揚げジャガと鶏肉の炒めもの」「生野菜サラダ」「冷奴」「シメジの味噌汁」を作りました 「揚げジャガ~」は新じゃがを使いますが、柔らかくて美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、午前10時半からすみだトリフォニーホールで新日本フィル「第650回定期演奏会」の公開リハーサルを見学し、午後7時からサントリーホールでNHK交響楽団Bプログラム2日目公演を聴きました ここでは新日本フィルの公開リハーサルについて書きます

新日本フィル「第650回定期演奏会」は24日(土)と25日(日)の2日間開かれます 本番のプログラムは①ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、②ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲(1919年版)、③ベルリオーズ「幻想交響曲」です この日は「幻想交響曲」のリハーサルの一部が公開されました

いつもの公開リハーサルは1階10列目(?)より後ろの席に自由に座ることができるのですが、この日は17列目より後ろの席となり、1階席のほぼ半分が空席となり、見学者は後方の席に詰めました

 

     

 

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び   驚くのはコンマス態勢です。トップがソロ・コンマスの崔文洙、隣がコンマスの西江辰郎、その後ろに特任コンマスの伝田正秀、その隣がアシスタント・コンマスの立上舞といった総動員態勢で臨みます

シャルル・デュトワが上下黒のカジュアルな衣装で登場し、指揮台に上ります 指揮台の右斜め前には直径30センチはありそうな大きな丸時計が置かれています デュトワはこれを見ながらリハーサルを進めるようです 彼は指揮台に置かれた椅子に座って指揮をとります

デュトワの指揮で「幻想交響曲」第1楽章が開始されますが、冒頭からではなく、終盤の音楽から入りました 最初にフル・オーケストラで演奏し、止めて、弦楽セクションだけに演奏を求め、何回か繰り返し、次にチェロセクションだけに演奏を求め、何度か繰り返し、再びフル・オーケストラで合わせます 今度は木管楽器群だけの演奏に移ります。このように各セクションごとに集中的にリハーサルを行いました 結局、第1楽章だけに1時間15分かけました

第2楽章でも同様のやり方でリハーサルが進みましたが、この楽章には25分かけました 第3楽章は森さんのコーラングレと岡さんのオーボエとの対話が美しく響き、当初は順調に進みましたが、この楽章でも第1ヴァイオリンを中心に演奏しては止めて、やり直し、を繰り返しました。この楽章には20分かけました

リハーサルは途中で15分の休憩を挟んで正味2時間を費やしましたが 第3楽章までで、残念ながら第4楽章「断頭台への行進」と第5楽章「サバトの夜の夢」のリハーサルの見学は叶いませんでした

全体を通して感じたのは、①各セクションごとに演奏させて、あとで全体で合わせるスタイルを取り、その際、かなり細かく納得のいくまで繰り返し演奏させ、一切妥協がなかったこと ②とくに第1ヴァイオリンに細かい指示を出し、その際、弱音の表現に注力を傾けていたことです

繰り返しの演奏を通じて、オーケストラの音が磨き上げられていく様が目に浮かぶようでした

幸か不幸か、24日と25日のチケットは予定枚数終了とのことです 素晴らしいコンサートになると思います

(その2.に続きます)

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芸劇ブランチコンサート「楽器編成が変わるピアノ三重奏曲」を聴く ~ グリンカ「悲愴トリオ」、ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲 ”街の歌”」他:伊東裕、伊藤圭、清水和音

2023年06月22日 06時52分10秒 | 日記

22日(木)。わが家に来てから今日で3082日目を迎え、ロシア下院は20日、ロシアで「第2次大戦終結の日」とされてきた9月3日を「軍国主義日本への勝利と第2次大戦終結の日」に名称変更する法案を可決した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     2月24日を 独立国家ウクライナに侵略したロシアの敗北が始まった記念日とする

 

         

 

昨日、夕食に「メカジキの照り焼き」「生野菜とアボカドのサラダ、ナッツ乗せ」「大根の味噌汁」を作り、「鯵のタタキ & 鮪の切り落とし」と一緒に食べました 和食はいいですね

 

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで「芸劇ブランチコンサート 第42回『楽器編成が変わるピアノ三重奏曲』」を聴きました プログラムは①グリンカ「悲愴トリオ  ニ短調」、②ベートーヴェン「『魔笛』の主題による7つの変奏曲  WoO.46」、③同「ピアノ三重奏曲 変ロ長調 作品11”街の歌”」です 演奏はチェロ=伊東裕(都響首席)、クラリネット=伊藤圭(N響首席)、ピアノ=清水和音です

 

     

 

この日も満席近い状況です。約1時間・休憩なしで2400円はリーズナブルです リピーターが圧倒的に多いと思われます

1曲目はグリンカ「悲愴トリオ  ニ短調」です この曲はミハイル・グリンカ(1804-1857)がバチューシコフの詩に霊感を受けて1832年に作曲しました オリジナル編成はクラリネット、ファゴット、ピアノですが、今回はファゴットの代わりにチェロが入ります 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「スケルツォ、ヴィヴァチッシモ」、第3楽章「ラルゴ」、第4楽章「アレグロ・コン・スピーリト」の4楽章から成りますが、続けて演奏されます

初めて聴く曲ですが、悲愴というよりもほの暗いロマンティシズムを感じさせる曲想です 伊藤のクラリネットと伊東のチェロが良く歌います

ここで清水のトークに入りますが、「とにかく今日のゲストの2人は無口でしゃべらないんです トークに出てほしいと頼んでも断られてしまいます」と六口(むくち=口が6つある)な清水が嘆いていました

 

     

 

2曲目はベートーヴェン「『魔笛』の主題による7つの変奏曲  WoO.46」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1801年頃にチェロとピアノ用に作曲しました 主題はモーツアルトの歌劇「魔笛」第1幕で、パミーナとパパゲーノが愛を讃美して歌う二重唱「恋を知るほどの殿方には」です

伊東のチェロが良く歌い、清水のピアノが雄弁に語ります ベートーヴェン得意の変奏曲の魅力を存分に楽しみました

ここで伊東がつかまり、トークに入ります 清水から「伊東君は都響の首席になったわけですが、どうですか? ソロで演奏するのとオケの中で演奏するのとどこが違いますか?」と訊かれ、伊東は「都響の皆さんには優しく接していただいています 現在、葵トリオを中心に演奏していますが、オーケストラの方は、良い曲が沢山あってそれらを演奏するのが楽しいです」と語っていました

 

     

 

最後の曲はベートーヴェン「ピアノ三重奏曲 変ロ長調 作品11”街の歌”」です この曲は1797年に作曲されました ”街の歌”という愛称は、第3楽章の主題が、当時ウィーンで流行していたヴァイグルの歌劇「海賊」の三重唱「仕事の前に」から採られたことから付けられたものです 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット」の3楽章から成ります

第1楽章が力強く開始され、優美な演奏が展開します 第2楽章冒頭は伊東の独奏チェロがほれぼれする深みのある演奏を展開し、伊藤のクラリネットがその雰囲気を引き継ぎます 二人とも素晴らしい つくづくベートーヴェンのアダージョはいいなあ、と思います 第3楽章は主題と9つの変奏とコーダから構成されていますが、当時流行していた”街の歌”が軽快に変奏されながら展開します とても楽しい演奏でした

帰りがけに、ロビー入口の前売り券売り場で10月、12月、来年2月の3公演セット券を購入しました 10月のメンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番」は大好きな曲で、12月のブラームス「ピアノ四重奏曲第3番」、2月のブラームス「ピアノ五重奏曲」も魅力的な曲です 今から楽しみです

 

     

     

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