人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「東響ニューイヤーコンサート2020」のチケットを入手~こうもり序曲、ベートーヴェン「皇帝」、ドヴォルザーク「新世界より」 / 「響きの森クラシック・シリーズ2020-2021シーズン」会員継続へ

2019年09月30日 07時16分45秒 | 日記

30日(月)。早いもので9月も今日で終わりです 今年も残すところ92日となりました。何なんでしょうか、この時の流れの速さは

ということで、わが家に来てから今日で1827日目を迎え、トランプ米大統領が今秋の国連総会の外交日程を終えて、ニューヨークからワシントンへ26日に戻ったが、本来の目的である国際協調はなおざりに、来年の大統領選での再選をめざし、米国民にアピールする姿勢が際立った というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       昔:モーレツからビューティフルへ 今:アメリカ第一からトランプ第一へ

    

         

 

来年1月5日(日)午後2時からサントリーホールで開かれる東京交響楽団の「ニューイヤーコンサート2020」のチケットを入手しました 毎年「フェスタサマーミューザ」のコンサートでご一緒する神奈川県在住のS氏に27日の新日本フィルのコンサートでお会いした際、チケットを買ったものの都合が悪くなったので、日程の都合がつけば譲りたいとのお申し出があり、実費で引き受けたものです プログラムは①ヨハン・シュトラウスⅡ:喜歌劇「もうもり」序曲、②ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73 ”皇帝”」、ドヴォルザーク「交響曲第9番ホ短調作品95”新世界より”」です ②のピアノ独奏は小山実稚恵、指揮は秋山和慶です 指揮者が秋山さんでなかったら、お断りしていたかもしれません

 

     

 

文京シビックホールを運営する公益財団法人文京アカデミーから「響きの森クラシック・シリーズ2020-2021 セット券発売のご案内」が届きました このシリーズは東京フィルハーモニーによる年4回のコンサート・シリーズです 現在、私はこのシリーズのS席会員(1階センターブロック左通路側)ですが、毎年更新してきました。今回も同じ席で更新手続きをします

新シーズンは「オール・ベートーヴェン・プログラム」で、交響曲第5番、第6番、第7番、第9番、ヴァイオリン協奏曲、エグモント序曲が取り上げられており、指揮は全てコバケンこと小林研一郎です ソリストは戸澤采紀(Vn)、小林亜矢乃(P)、小山実稚恵(同)、小林沙羅(Sp)、清水華澄(Ms)、西村悟(Tn)、大西宇宙(Br)といった錚々たる顔ぶれです これでS席=18000円、A席=15000円、B席=13000円という料金設定は良心的だと思います

このコンサート・シリーズは毎回満席状態ですが、次シーズンは早めにチケットが売り切れる可能性があると思います 今後の発売日程は現会員の意向を10月15日までに聞いて、12月1日に文京区民先行発売をして(1日のみ)、その後、一般の発売となるようですが、詳細は分かりません 興味のある方はシビック・チケット(03-5803-1111)に問い合わせてください

 

     

 

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文京シビック「夜クラシック第24回コンサート」のチケットを取る~萩原麻未、辻彩奈、横坂源ほかによるシューベルト「ピアノ五重奏曲”ます”」ほか / 相場英雄著「トップリーグ2」を読む

2019年09月29日 07時27分58秒 | 日記

29日(日)。昨日、埼玉県S市の曹洞宗・J寺で母の七回忌と父の十七回忌を済ませました 本来、父の十七回忌は2021年なのですが、母の法要に合わせて一緒にやることにしました。山形から息子が深夜バスで駆けつけ、幼児2人を含めて12人の内輪の集まりでした。無事に法要も墓参りも済ませて一段落です それにつけても、月日の流れの速さを感じる昨今です

ということで、わが家に来てから今日で1826日目を迎え、ラグビー・ワールドカップ日本大会1次リーグA組で、世界ランキング9位の日本は 優勝候補の同2位のアイルランドを19-12で破り、2連勝で勝ち点9とし、悲願の8強への道を開いた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      こうなったら最終ゴールを目指して みんなでスクラム組んで レッツ・トライ!

 

         

 

来年1月17日(金)午後7時半から開かれる文京シビックホール主催「夜クラシック第24回コンサート」のチケットを取りました プログラムは①ドビュッシー「月の光」、②エルンスト「シューベルト『魔王』の主題による大奇想曲」、③バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」よりプレリュード、④シューベルト「弦楽三重奏曲第1番変ロ長調D.471」、⑤同「ピアノ五重奏曲イ長調”ます”D.667」です 演奏は、ピアノ=萩原麻未、ヴァイオリン=辻彩奈、ヴィオラ=安達真理、チェロ=横坂源、コントラバス=加藤雄太です

 

     

     

 

         

 

相場英雄著「トップリーグ2 アフターアワーズ」(ハルキ文庫)を読み終わりました 相場英雄は1967年新潟県生まれ。1989年に時事通信社に入社。2005年に「デフォルト  債務不履行」で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー 2012年、BSE問題をテーマにした「震える牛」がベストセラーになる

この小説は9月14日付のtoraブログでご紹介した「トップリーグ」の「その後の物語」が書かれています 「トップリーグ」とは、総理大臣や官房長官などに食い込んだ ごく一部の記者を指します

 

     

 

大和新聞の政治部で阪官房長官のトップリーグとして活躍していた松岡直樹は、事件のあった5年後、史上最年少で「大和新聞」の特別編集委員になり、総理番のトップリーグとなっていた 一方、大手出版社の「週刊新時代」でスクープを連発し、危うく命を取り止めた酒井祐治は、京都で小さな学習塾を開いていた ある日、酒井のもとに元同僚の大畑康恵が突然現れ、「5年前の酒井さんの仇討ちをします」と宣言した   5年前、松岡は酒井、大畑と協力して政界疑惑事件「クラスター事件」に関する大スクープを報道する直前までいったが、松岡の保身により、結果として二人を裏切ることになったのだった

大畑の怒りは大きく、松岡の勤務する「大和新聞」に入社した大学の後輩・灰原美樹を取り込み松岡の失脚を目論んでいた 優秀な灰原はたちまち松岡の後任として阪官房長官のトップリーグとして政界の暗部に潜り込む。そうした中、若くして亡くなった松岡の父親が大物政治家の秘書をしており、同じ政治家・森山の先輩秘書が現在の阪官房長官だったことが判明する そして父親の死因が交通事故として処理されていたものが、実は殺人だった疑惑が出てくる 松岡は父親の恨みを晴らすため、政界と対峙することを決意し、5年前と同様、酒井、大畑と組むことになる

前作「トップリーグ」の結末はどっちつかずで欲求不満が残る形で読了したのですが、本作の結末でやっとスッキリした気分になりました

この2つの小説を読んで思うのは、新聞社(放送、通信社も)の政治部に所属する記者は、政権にどっぷりと浸かっているため、「真実を書きたくとも書けない」というジレンマに置かれている、ということです 政権に不利になることを書けば反感を持たれ、取材拒否にあったり無視されたりと”仕事にならない”状況に追い込まれてしまうということです したがって、持っているネタをいつ記事として書くかのタイミングを図りつつ、取材源である政権幹部と接触することになります それには高度な判断能力が必要とされるでしょう。このような実態は、筆者の相場氏が実際に時事通信社で取材活動をしていたことからこそ書けることです

「トップリーグ」はWOWOWで連続ドラマとして放映されるそうです。私は観ませんが、エンターテインメントとしては最高に面白いと思います さて、あなたは読んでから観ますか、それとも観てから読みますか

 

昨日、モコタロがわが家に来てからちょうど満5年を迎えました これを計算すると365日✕5年=1825日目となります しかし、昨日のブログには「わが家に来てから1680日目を迎えた」と書いています 過去のいつかの時点で間違えて そのまま踏襲してきたものと思われます 今さら5年前まで遡って調べる時間も価値もありませんので、本日から本来の数値に修正して表示することにしました

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ミシェル・プラッソン ✕ 小松亮太 ✕ 新日本フィルでピアソラ「バンドネオン協奏曲」、ベルリオーズ「幻想交響曲」他を聴く / ルビー・シリーズ事前レクチャーを聴く

2019年09月28日 07時37分45秒 | 日記

28日(土)。わが家に来てから今日で1680日目を迎え、トランプ米大統領が25日の安倍晋三首相との会談で、自ら韓国の話題に触れ「最近、韓国は北朝鮮からも連絡がないみたいだ。信頼されていないんじゃないか」と発言していたことが分かった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      トランプ大統領こそ 世界の誰からも信頼されていないんじゃないかと思うけど

     

         

 

昨日、夕食に「牛タン塩焼き+中落ちカルビ焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「卵スープ」を作りました たまに焼肉系を食べたくなりますね

 

     

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルのルビー(アフタヌーン・コンサート・シリーズ)第25回演奏会を聴きました プログラムは①シャブリエ:狂詩曲「スペイン」、②ピアソラ「バンドネオン協奏曲」、③ベルリオーズ「幻想交響曲 作品14」です ②のバンドネオン独奏=小松亮太、指揮=ミシェル・プラッソンです

午後2時開演の本公演に先立って、同日午前11時からホールの近くの東武ホテルレバント東京6階チャペルで開かれた小室敬幸氏による「レクチャー」(1時間・500円)に参加しましたが、本番を聴くうえで非常に参考になりました

 

     

 

自席は1階センターブロック左通路側ですが、前方の左右ブロックや後方の席に空きが目立ちます 数年前にこのシリーズの会員だった時は満席近い状態でした。どうしたことでしょうか 翌土曜日の公演もこんな感じなのでしょうか

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び。コンマスは豊嶋泰嗣氏です いつものように、第2ヴァイオリンの篠原英和氏と松崎千鶴さんを確認しました

1曲目はシャブリエ:狂詩曲「スペイン」です   この曲はエマニュエル・シャブリエ(1841‐1894)が1882年7月~12月に夫婦でスペイン旅行をしたときの印象をもとに1883年に作曲した作品です

1933年10月2日生まれということなので、もうすぐ満86歳を迎えるプラッソンが ゆったりした足取りで指揮台に向かいます さすがに86歳という年齢を感じさせます ところが、タクトを振り下ろした途端、矍鑠とした指揮ぶりで オケから溌剌とした音楽を引き出します こういう人を本当の巨匠というのでしょう プラッソンはフランス人の観たスペインの印象を色彩感豊かに描き出しました

オケが一旦引き上げ、ステージ上に収音マイクが林立します 舞台左手にはピアノとハープがスタンバイし、ティンパニ、大太鼓、トライアングル、ギロが入り、あとは弦楽5部という編成になります

2曲目はピアソラ「バンドネオン協奏曲」です この曲はアストロ・ピアソラ(1921-1992)が1979年に、ブエノスアイレス州立銀行からの委嘱により作曲した作品です 第1楽章「アレグロ・マルカート」、第2楽章「モデラート」、第3楽章「プレスト~メランコリーコ・フィナーレ」の3楽章から成ります

ギンギラギンにさりげないメタリックな衣装の小松亮太氏がバンドネオンを抱えて登場、プラッソンの脇にスタンバイします 第1楽章はバンドネオンによる独特のリズムが心地よく響きます 第2楽章ではバンドネオンと豊嶋氏のヴァイオリン・ソロとハープによる静謐なアンサンブルが美しく響きました 第3楽章は一転、独特の疾走感を伴ってバンドネオンが奏でられ、フィナーレは決然と締められます 素晴らしい演奏でした プラッソンは座っての指揮でしたが、右に左に向きを変えながら適格な指示を出し、ソリストをしっかりサポートしているのが印象に残りました


     


プログラム後半はベルリオーズ「幻想交響曲 作品14」です この曲はエクトール・ベルリオーズ(1803-1869)が1830年に作曲(1831年に改訂)した作品です イギリスのシェイクスピア劇場の女優ハリエット・スミッソンに対する作曲者の熱烈な思慕を標題音楽として表現したものです

第1楽章「夢と情熱」、第2楽章「舞踏会」、第3楽章「野の風景」、第4楽章「断頭台への行進」、第5楽章「魔女の夜会の夢」の5楽章から成ります

プラッソンの指揮はとても86歳を迎える人とは思えない精力的なもので、若々しささえ感じます 第2楽章「舞踏会」は優雅そのものです 第3楽章「野の風景」では、オーボエ首席の古部賢一氏が席を離れ、2階バルコニーのセンター左サイドに移動し、オケにいるコーラングレの森明子さんとの間で”対話”を繰り広げましたが、この演奏が素晴らしかった 第4楽章「断頭台への行進」ではファゴット首席の河村幹子さんの小気味の良い演奏が印象に残りました 第5楽章「魔女の夜会の夢」では、管弦楽により不気味な雰囲気が良く表現されていました

本番前の「レクチャー」で小室敬幸氏が「醜い魔女たちの夜会のあと、最後に明るく終わる『幻想交響曲』は、ほぼコメディーです」という解説をしていましたが、演奏を聴きながら「そう言われてみればその通りだな」と納得する自分がいました

今回初めて「レクチャー」を聴いてから本番に臨むという方法を取りましたが、今回のレクチャーが期待以上に良かったので、次回以降もこの方法を採ろうと思います

余談ですが、9月のプログラム冊子に首席ヴィオラ奏者の井上典子さんが8月末で退団したというニュースが出ていました 新日本フィルには2016年に入団したので、まだ3年くらいしか経っていません 「今後はフランスへ活動拠点を移し、11月には定期演奏会ジェイドにも出演予定です」とあります。別のニュースソースによると、フランスのメッス国立管弦楽団の首席ヴィオラ奏者に就任したようです メッスのオケって、ひょっとしてプラッソンがその昔 音楽監督を務めていたオケではないだろうか? オーボエ首席の金子亜未さんの読響への移籍といい、今回の井上典子さんのフランスのオケへの移籍といい、優れた人材の流出が目立ちます 大丈夫か、新日本フィル

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エルデーディ弦楽四重奏団の公演チケットを取る ~ ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第11番」他 / フランク・デュポスク監督「パリ、嘘つきな恋」を観る ~ ヴェルディ「運命の力」序曲なども流れる

2019年09月27日 07時22分50秒 | 日記

27日(金)。わが家に来てから今日で1679日目を迎え、10月末の欧州連合(EU)離脱を前に、英国のジョンソン首相が5週間の議会閉鎖を試みたのは「違憲で無効」とする24日の最高裁の決定を受け、英議会が25日に再開されたが、議場に立ったジョンソン氏は「国家的な論争をしている時に、本質的な政治の問題について意見した最高裁は間違っている」と述べ、司法の判断を批判した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     三権分立を唱えたジョン・ロックを生んだ英国でそんなこと言ってて良いのか?

 

         

 

昨日、夕食に「肉野菜炒め」と「中華スープ」を作りました 肉野菜炒めは久しぶりに作りましたが、何とか美味しく出来ました

 

     

 

         

 

来年2月2日(日)午後2時から第一生命ホールで開かれる「エルデーディ弦楽四重奏団 ~ベートーヴェン充実の中期とモーツアルト純化の晩年Ⅱ~」の公演チケットを取りました   プログラムは①ドホナーニ「弦楽四重奏曲第3番イ短調作品33」、②モーツアルト「弦楽四重奏曲第22番変ロ長調K.589 ”プロイセン王第2番”」、③ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第11番ヘ短調作品95”セリオーソ”」です

 

     

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールでフランク・デュボスク監督・脚本・主演による2018年フランス映画「パリ、嘘つきな恋」(108分)を観ました

ジョスラン(フランク・デュボスク)はパリの大手シューズ代理店で働くビジネスマン イケメンで金持ちなので女性にモテるが、恋愛に求めるのは一時的な楽しさだけ、という軽薄な男 ある日、ひょんなことからジョスランが車椅子に乗っていると、偶然美しい女性ジュリーと遭遇する 彼女の気を引くために「自分は車椅子生活だ」と、とっさに嘘をついてしまう すっかり信じたジュリーが彼に紹介したのは姉のフロランス(アレクサンドラ・ラミー)だった。車椅子生活を送りながらもヴァイオリニストとして世界中を飛び回り、快活でユーモア溢れるフロランスと出会い、ジョスランは本気で恋に落ちる 2人はデートを重ねお互いに惹かれていくが、ジョスランは本当のことは打ち明けない。一方、フロランスも彼に出会った時から隠し事があった さて、二人の恋の行方はいかに

 

     

 

監督・脚本のうえ主演を務めたフランク・デュポスクはフランスの人気コメディアンとのこと それだけに”笑いのツボ”を心得ています ただ、フロランスが車椅子でパラリンピック並みのテニスをするシーンがありますが、プロのヴァイオリニストは怖くてあそこまではやらないでしょう

フロランスがヴァイオリニストだと知ったジョスランが、彼女を知るためグーグルに「クラシック」「ヴァイオリン」と打ち込んでエンターキーを押すと、なぜかバッハ「ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調BWV1041」の第1楽章「アレグロ・モデラート」が流れてきます ほんの10秒ほどそれを聴いたフロランスはノート・パソコンを閉じて こう言います。「ピーターと狼だろ」。ここで、館内はドット笑い声が起こるはずですが、ここは普通の映画館。一人静かに苦笑しました

ジョスランがコンサートに出演するという情報を得たフロランスは、偶然を装ってコンサート会場に車椅子で駆けつけますが、その時に流れたのはヴェルディのオペラ「運命の力」序曲です 先行きの分からない二人の運命を切り開くかのように決然と鳴り響きます 次にステージに車椅子のフロランスが現われ、オケをバックにヴァイオリンのソロを弾きます。曲はアルビノーニの「アダージョ」です そこまでは良いのですが、途中が省略され、フィナーレは何故かメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」の第3楽章の終曲で盛り上がって曲を閉じました まったく正反対の曲想じゃん ここで私は、再び一人静かに苦笑しました 一流のフランス人コメディアンの一流のジョークと受け止めることにしておきました

正直に言って、思っていたよりもずっと面白い映画でした

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「芸劇ブランチコンサート 名曲リサイタル・サロン 阪田知樹」でリスト「ラ・カンパネッラ」「リゴレット・パラフレーズ」他を聴く / 有楽町スバル座10月閉館へ / ドミンゴのセクハラの行方は?

2019年09月26日 07時20分10秒 | 日記

26日(木)。昨日の朝日朝刊に「都心の名物館  終幕 有楽町スバル座、老朽化で来月20日」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、

「有楽町の映画館『有楽町スバル座』(1スクリーン、270席)が10月20日で閉館することになった 老朽化が理由。10月5日~20日は「スバル座の輝き」と題して、過去の上映作品などをラインアップにしたメモリアル上映を催す 1966年開館の同劇場は「イージー・ライダー」「アメリカン・グラフィティ」「ダウンタウン物語」など洋画の話題作を提供し、近年はシネコンでは見られないようなアート系の作品を中心に上映してきた メモリアル上映は当日券1000円。「イージー・ライダー」を皮切りに、ジョン・ウェインの「駅馬車」やチャプリンの「モダン・タイムス」、「小さな恋のメロディ」まで多彩な作品が楽しめる 問い合わせはスバル座(03-3212-2826)へ」

スバル座では何度か映画を観ましたが、2012年1月に観た「善き人」がブログに残っていたので、読み返して 内容を思い出しました 1930年代のヒトラー政権下のドイツで不本意ながらナチ党に入党せざるを得なくなった大学教授の苦悩を描いた作品でした この映画ではマーラーの「交響曲第1番」の第3楽章が印象的に使われていました 興味のある方は2012年1月10日付toraブログをご覧ください

有楽町スバル座のような個性的で小さな映画館が無くなって 大型のシネコンばかりが増えていくのは、時代の流れとはいえ寂しい限りです

ということで、わが家に来てから今日で1678日目を迎え、米野党・民主党のペロシ下院議長は24日、トランプ大統領が民主党のバイデン前副大統領に関連する調査を推進するようウクライナ政府に圧力をかけた疑惑の真相を政権が隠蔽していると判断し、大統領の弾劾に関する正式な調査を開始すると表明した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      トランプは着々とニクソン元大統領の道を歩みつつある 弾劾の前に辞任したけど

     

         

 

昨日、夕食に「筑前煮」と「トマトとレタスの卵スープ」を作りました 正直に告白すると「筑前煮」は2人の先生のレシピを混ぜて作ったので具材が多くなり、先行きが不安でしたが、何とか美味しく出来ました ちなみに材料は鶏肉、人参、里芋、こんにゃく、レンコン、ゴボウ、シイタケ、インゲンです

 

     

     

 

         

 

昨日の朝日夕刊に「ドミンゴ氏 今後METで公演せず セクハラ疑惑報道受け『辞退申し出た』」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、

「ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)は24日、セクハラ疑惑が報じられた世界的なオペラ歌手プラシド・ドミンゴ氏(78)が今後同歌劇場の公演に出演しないと明らかにした ドミンゴ氏は25日の『マクベス』に出演予定だった。ドミンゴ氏については、AP通信が8月、30人以上の関係者に取材した結果として、1980年代後半から練習などを口実に歌手やダンサーを自室に引き入れ、性的行為を求めていたと報じていた ドミンゴ氏は『疑惑は強く否定するが、私の出演により同僚たちの足を引っ張ることになるとの思いに至り、出演辞退を申し出た』との声明を発表した。また、将来的にも同歌劇場の公演に出ないことも示唆した

その後どうなっているんだろうと気にかけていた動向でしたが、やっと続報が出ました「30人以上の関係者の取材に基づく報道」ということからすれば、否定のしようがないでしょう METは、前芸術監督のジェイムズ・レヴァインが やはりセクハラ疑惑でMETとの契約と打ち切られたので、これで大物が二人METから追い出されたことになります

ところで、来年1月にドミンゴと METの看板ソプラノ歌手ルネ・フレミングのジョイント・コンサートが予定されていますが、「METと直接関係ないから」ということで予定通り挙行するんでしょうね 5000人収容の東京国際フォーラムでSS席35000円、S席28000円~D席7000円、2000人収容のサントリーホールでSS席45000円、S席38000円~P席10000円・・・・どう思います? 私は何があっても絶対行きません お金ないし

 

     

 

         

 

昨日、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで、「芸劇ブランチコンサート 名曲リサイタル・サロン 第3回 阪田知樹」を聴きました プログラムは①リスト「愛の夢第3番」、②同「ラ・カンパネッラ」、③シューマン(リスト編)「献呈」、④リスト「リゴレット・パラフレーズ」、⑤シューベルト「4つの即興曲D.899/Op.90」です

ソリストの阪田知樹は1993年名古屋市生まれ。東京藝大を経て、ハノーファー音楽演劇メディア大学ソリスト課程ピアノ科修士課程に在籍中 19歳で第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで最年少入賞を果たし、2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール第1位、併せて6つの特別賞を受賞し、コンクール史上アジア人男性として初の優勝を果たした

 

     

 

会場はいつものように1階席はほぼ満席、2階席も結構埋まっています

ステージに現れた阪田知樹氏は思ったより背が高くスマートな感じがします

1曲目はリスト「愛の夢第3番」です この曲はフランツ・リスト(1811-1886)が1845年に作曲した作品です 椅子に座るとすぐに弾き始めた阪田氏の演奏はロマンティックで なおかつ知的な印象を受けました

2曲目は「ラ・カンパネッラ」です この曲は、パガニーニの「ヴァイオリン協奏曲第2番」第3楽章のテーマをもとに書いた作品で、イタリアの教会の鐘(カンパネッラ)の音が表現されています 日本では、フジコヘミングの演奏で話題になりましたね 阪田氏の演奏はこの曲でも知的な印象を受けますが、技巧は完璧で、特に高音部での強い打鍵の連打が印象的でした

ここでナビゲーターの八塩圭子さんのインタビューが挟まれます インタビューによると、阪田氏は朝が苦手だそうですが、この日は11時の公演のため5時から5時半頃起きたそうです リストの曲を初めて演奏したのは12歳の時で、その時は『リストは解らない作曲家』だと思ったそうです 解らないからこそ勉強してマスターしていき、リスト国際コンクールで優勝するまでに至ったとのこと そのリストのコンクールの時は、聴衆はもちろんのこと、2階席の審査員までもがスタンディング・オベーションで歓迎してくれたので驚きつつも嬉しかったそうです 結構早口で話すので、八塩さんが「ドイツ語でも、そんな感じでお話しになるんですか?」と訊くと、「ええ、ドイツ語でも英語でも、こんな感じです 友人からは『おまえ、よくしゃべるなあ』とよく言われます」と答えていました   八塩さんが言われた通り、頭の回転が速いのだと思います


     


3曲目はシューマン(リスト編)「献呈」です この曲はシューマンの歌曲集「ミルテの花」(1840年)の第1曲「献呈」のピアノ編曲版です この曲をピアノ版で初めて聴いたのは数年前の松田華音さんのリサイタルでしたが、背筋が寒くなるほどの感動を覚えました この日の阪田氏の演奏も同様で、じわじわっと感動が押し寄せてきました 素晴らしい演奏と相まって この曲の持つ魅力が大きいのだと思います

4曲目はリストの「リゴレット・パラフレーズ」です この曲はリストが、ヴェルディのオペラ「リゴレット」の第3幕の重唱「美しい恋の乙女よ」をモチーフとして、1859年にピアノ演奏用に技巧を凝らして作曲、同年ハンス・フォン・ビューローによって初演された作品です これは楽しい演奏でした オペラを知っていると楽しみが倍増します 相当の超絶技巧曲ですが、阪田氏は何の苦もなく高速演奏でクリアします

ここで再びインタビュータイムとなり、阪田氏のプライベートな生活について質問が出されました それによると、彼は現在ドイツのハノーファーに住んでいるが、当地は勉強するには良い環境のところで、放し飼いの動物園が有名だそうです 阪田氏は作曲も手掛けるとのことで、「いつ作曲するのか?」という質問に「いろいろ試してみた結果、真夜中の1時半から4時頃が一番はかどることが分かった」そうです

最後はシューベルト「4つの即興曲D.899/Op.90」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が晩年の1827年頃に作曲したと言われている作品です 第1曲=ハ短調、第2曲=変ホ長調、第3曲=変ト長調、第4曲=変イ長調の4曲から成ります 阪田氏はそれぞれが曲想がまったく異なる4曲をニュアンス豊かに弾き分け、晩年のシューベルト像を浮き彫りにしました それにしても、シューベルトは31歳で死去しているので、晩年とはいえまだまだ若かったのでした

満場の拍手に阪田氏は、ラフマニノフ「楽興の時」から第5番を余裕の表情で演奏、再度大きな拍手に包まれました 素晴らしいピアニストです

 

     

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「クァルテット・エクセルシオ ✕ タレイア・クァルテット」(3/15)のチケットを取る / バート・レイトン監督「アメリカン・アニマルズ」を観る ~ 大学生が起こした豪華本窃盗事件

2019年09月25日 07時19分03秒 | 日記

25日(水)。わが家に来てから今日で1677日目を迎え、地球温暖化の防止を目指す国連気候行動サミットが23日、ニューヨークの国連総会議場で開かれたが、各国政府代表者を前に 16歳のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが「あなたたちは私の夢を、子ども時代を、空っぽな言葉で奪ってきた。苦しんでいる人たちがいる。死にゆく人たちがいる。生態系は破壊され、多くの種の絶滅が始まっている。あなたたちはお金の話や、終わりなき経済成長のおとぎ話ばかり。子どもたちはあなたたちの裏切りに気づき始めている。もしあなたたちが私たちを見捨てる道を選ぶなら、私はこう言う。絶対に許さないと」と批判した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       彼女の発言から各国代表者やトランプ大統領が学ぶべき格言「老いては子に従え」

 

         

 

ここ数日、一時帰京した息子が夕食を作ってくれていたので、久しぶりに料理をしました わが家(というより私)の定番「野菜と挽肉のドライカレー」です いつもの材料に黄パプリカを加えて彩を鮮やかにしました

 

     

 

         

 

来年3月15日(日)午後2時から第一生命ホールで開かれる「クァルテット・エクセルシオ ✕ タレイア・クァルテット」の公演チケットを取りました プログラムは①ドヴォルザーク「弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 作品96 ”アメリカ”」、②ヤナーチェク「弦楽四重奏曲 第2番 ”ないしょの手紙”」、③ゲーゼ「弦楽八重奏曲 ヘ長調 作品17」です 演奏は①クァルテット・エクセルシオ、②タレイア・クァルテット、③エクセルシオ+タレイア合同です

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でバート・レイトン監督・脚本による2018年アメリカ・イギリス合作映画「アメリカン・アニマルズ」(116分)を観ました

ケンタッキー州で退屈な大学生活を送るウォーレン(エバン・ピーターズ)とスペンサー(バリー・コーガン)は、くだらない日常を打破し、特別な人間になりたいと焦がれていた ある日、2人は大学図書館に保管されている時価1200万ドル(約12億円)を超えるオーデュボンの巨大な画集「アメリカの鳥類」を盗み出す計画を思い付く 2人の友人でFBIを目指す秀才エリック(ジャレッド・アブラハムソン)、すでに実業家として成功を収めていたチャールズ(ブレイク・ジェナー)に声をかけ、4人は「オーシャンズ11」などの犯罪映画を参考に作戦を練る 作戦決行当日、特殊メイクで老人の姿に変装した4人は、図書館へと足を踏み入れる

 

     

 

この映画は2004年に4人の大学生が時価1200万ドル(約12億円)のビンテージ本を狙った窃盗事件を映画化したものです 

冒頭、「この映画は事実に基づく物語ではなく、事実の物語である」というスーパーが流れます それを裏付けるかのように、映画には7年間の服役を終え、大人になった本物の4人が登場し、事件を振り返って当時の様子を語ります リーダー役は破天荒なウォーレンで、臆病なアーティストのスペンサーが悩みながらも話に乗り、内気なインテリのエリックと短気な筋肉オタクのチャールズが引き込まれて窃盗を実行に移すというストーリーです

夜は警報装置が作動し、すぐに捕まる恐れが強いことから昼間に老人に変装したうえ堂々と図書館に押し入るわけですが、特別展示室にいるべき司書がなぜかその時4人もいたので、一度は決行を諦めることになります しかし、その時点で、他のメンバーはしり込みするのに、ウォーレンだけは「それでは、いつまで経っても変われない」として、仲間を説得し、実行役2人、逃走車のドライバー、見張り役と役割分担を決め直して今度は変装なしで再度実行に移します 2度目は女性司書を縛り上げるまでは良かったものの、逃走時に失敗し、3点盗むべきところを2点しか盗めず、肝心の「アメリカの鳥類」は入手することが出来ませんでした 彼らは入手した2冊を競売会社に持ち込みますが、連絡先の電話番号をスペンサーのケータイの番号にしたため、そこから足が付いて全員が逮捕されてしまいます

4人ともしっかりしているようで、どうも詰めが甘いようです 窃盗の方法にしてもしかり、盗んだ後の売却方法にしてもしかり 結局4人は有罪判決を受けて7年間も刑務所暮らしを余儀なくされてしまいます 平凡な毎日を打破し、特別な人間になりたいという彼らの野望は、確かに「犯罪者」という特別な人間にはなったものの、それは彼らが望んだ姿ではありませんでした

そう簡単に「オーシャンズ11」のようには窃盗は成功しないものです。悪事はいつかはバレて罰が下されるのです   かくして彼らは画集「アメリカの鳥類」の略奪に失敗し「アメリカの動物」に収録されてしまったわけですが、「それにしても・・・」と思うのは、よくも4人とも映画に出演して過去の傷に向き合ったな、ということです

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新国立劇場「オペラトーク『エウゲニ・オネーギン』」を聴講する ~ ロシア・オペラのオーソリティー 一柳富美子さんと演出家ドミトリー・ベルトマン氏のトークは最高に面白かった!

2019年09月24日 07時10分55秒 | 日記

24日(火)。わが家に来てから今日で1676日目を迎え、受動喫煙対策はがん予防に欠かせないが、その目標値は国のがん対策の指針には盛り込まれなかった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ご主人さまは 歩行喫煙をしている者を見ると 張り倒したくなると常々言っている

 

         

 

昨日は、私が初台に外出中、息子が山形に帰る前に夕食を作っておいてくれました 「チンジャオロース」「豚ニラ玉」「チンゲン菜の温サラダ」「中華スープ」です。どれも美味しく、息子には敵わないと思いました

 

     

 

         

 

昨日午前11時半から新国立劇場オペラパレスのホワイエで「オペラトーク『エウゲニ・オネーギン』」を聴講しました これは新国立オペラ2019-2020シーズンの開幕を飾るチャイコフスキー「エウゲニ・オネーギン」の公演を前に、ロシア音楽の専門家と演出家による解説とカバー歌手による演奏によって、このオペラの理解を深めようという企画です 出演は今回のオペラを演出するドミトリー・ベルトマン、司会・解説・通訳=一柳富美子、ソプラノ=橋爪ゆか、テノール=内山信吾、ピアノ伴奏=石坂宏という面々です

 

     

 

ホワイエの座席は全席自由なので、最前列の右サイドを取りました。ちょっと右過ぎました

最初に司会進行役の一柳富美子さんから「エウゲニ・オネーギン」のペラ1枚(表・裏)のレジュメに基づき、このオペラの聴きどころの解説がありました 時間が限られていることから、一柳さんは”立て板に水の如く”早口でこのオペラの魅力を語りましたが、東京外国語大学卒業、東京藝術大学大学院修了という経歴を背景に、ロシア・オペラと声楽に造詣が深いところを披瀝しました

最初にこのオペラのポイントとして①主役はタチヤーナか、オネーギンか?、②19世紀ロシアの貴族社会が凝縮している、③作曲の動機は何か?、④プーシキンの詩的世界を音楽にしたもの、⑤今回の演出の特徴 ー について概要以下のように解説しました

①については、プーシキンの韻文小説「エウゲニ・オネーギン」のうちオネーギンや周囲の人々を描写した部分をチャイコフスキーはカットしてオペラ化しているので、タチヤーナが前面に出ているように思われるが、全編を通して登場するのはオネーギンであることなどから、主役はあくまでオネーギンである

②については、一例として、オペラの中にオネーギンとレンスキーの決闘場面が出てくるが、当時の決闘は同じ階級同士でないとできなかったし、介錯人についても同様だった オネーギンとレンスキーは同じ貴族階級だった。また、当時は、何かトラブルがあるとすぐに決闘になったが、なかなか弾が当たらなかった。プーシキンも何度も決闘していた

③については、「歌手のラヴロースカヤが提案した」とか、「トルストイが勧めた」とか、「結婚相手のミリュコーヴァに同情したから」とか、「ヒロインのタチアーナに共感を覚えたから」とか、いろいろ説があるが、どれも根拠がないデタラメである チャイコフスキーは西洋音楽一辺倒だったロシアのオペラ界に、自国のオペラを作って一石を投じたいと思っていた節がある また、チャイコフスキーは一家そろってオネーギンが好きだったことから、作曲するなら「オネーギン」を題材にしたいと思ったのではないか

④については、オペラのほとんどの部分が、四脚弱強格(1行に4つのアクセントがある)を反映して、プーシキンの原詩を使用している歌の箇所は全てアウフタクト(休符)で始まっている 四脚なので拍子もすべてゆったりした二拍子系である。したがって、原詩の引用以外の部分は、単調さを避けるため全て三拍子系である

⑤については、あくまでオネーギンにスポットを当てた演出になっており、極めて演劇性の強い演出になっている

以上の話は具体性があって説得力がありました 次にプーシキンの原詩による登場人物について次のように解説しました

タチヤーナは多感な文学少女だが、第1幕第1場で16,7歳、第3幕で19歳くらい。したがって、この間3年も経っていないし、まだ若い エウゲニ・オネーギンは悩める知的青年だが、同じく23,4歳⇒26歳くらい レンスキーは詩人でオーリガの婚約者だが、18歳くらい。いわば高校生 タチヤーナの妹オーリガは14,5歳くらい。言ってみれば中学生 以上の関係性から言えるのは、最初にタチヤーナがオネーギンに愛を告白したのに、オネーギンが冷たくあしらったのは、大人が中高生の申し出を断るようなもので、礼儀として当たり前の対応だと言える

この解説には大いに納得しました 続いて、今回のオペラ公演の演出を担当するドミトリー・ベルトマン氏を迎え、一柳さんが通訳をしてトークに入りました ベルトマン氏はモスクワ生まれ。ロシア舞台芸術アカデミーでオペラ演出を学び、1990年、23歳の時にモスクワでヘリコン・オペラを創立、間もなくロシアで有名なオペラカンパニーの一つの地位を確立しました

一杯ひっかけてきたような赤ら顔のベルトマン氏は話し方も酔っぱらい気味でしたが(失礼!  地顔?)、話は非常に面白く、親しみやすい人間性を感じました 彼は開口一番「新国立のスタッフは素晴らしい さらに合唱は本当に素晴らしい 正確なロシア語で歌っている」と述べ、次いでヘリコン・オペラを創立した当時の思い出話を中心に語りました とくに面白かったのは、「最初の頃、あるオペラを上演した時、初日は満席になった(つまり、家族、親戚、友人その他)が、翌日は激減、3日目は「今日、一人でもお客が来たら やらなきゃならないのかな」と話していると、一人の男が階段を降りてきた。何とそれは(世界的なピアニスト)スヴャトスラフ・リヒテルだった 今では リヒテル一人のためにオペラを上演したことを誇りに思っている」というエピソードです そうした面白いエピソードをいろいろ披露していたため時間が押してしまい、一柳さんが「あと2分でエフゲニ・オネーギンの演出の話をしなければならなくなりました」と宣言すると、会場からドットと笑いが起こりました

ベルトマン氏は、「これまでエフゲニー・オネーギンの演出は8回手掛けてきましたが、8回とも異なる演出でした 今回の演出は、ロシアの演出家スタニスラフスキーの1922年の演出をモチーフに現代的な視点からアプロ―チしたものです 歌手が歌って演技しているというよりも、生きた人間が歌って演じているというように、映画を観ているような感覚で鑑賞して欲しいと思います 悲しい場面ばかりでなく、可笑しい場面もありますから、そういう場面では声を出して笑って下さい」と語り、軽々と2分を超過しました

大きな拍手に送られてベルトマン氏が退席したあと、一柳さんが「このトークが始まる1時間ほど前に本人と打ち合わせをしたのですが、まったく別の話になってしまいました」と告白するや、会場は大爆笑でした

続いて、ピアノ伴奏=石坂宏(新国立劇場オペラ音楽ヘッドコーチ)により、タチヤーナ役カヴァー歌手のソプラノ橋爪ゆかさん(二期会)が第1幕第2場の「手紙の場面 たとえこの身は死に至るとも」を、続いてレンスキー役カヴァー歌手のテノール内山信吾さん(東京オペラ・プロデュース)が第2幕第2場のレンスキーのアリア「どこへ過ぎ去りしか」をそれぞれ表情豊かにドラマティックに歌い上げ、満場の拍手を浴びました

新国立劇場のオペラトークに参加したのは今回が初めてでしたが、こんなに面白いとは思ってもみませんでした 特に今回は一柳富美子さんの存在が大きかったと思います。一柳さんは今回、歌手陣へのロシア語による歌唱の指導や字幕も担当されているとのこと。米原真理ばりの大活躍です お茶もケーキも出ませんが、1500円は絶対に安いです 次回から毎回参加したいと思いました 10月1日の「エウゲニ・オネーギン」の初日公演が楽しみです

 

     

     

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バッハ・コレギウム・ジャパンで「狩のカンタータ」「結婚カンタータ」他を聴く~第134回定期演奏会 / 沖澤のどかさん、ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝~日本人で10人目の快挙!

2019年09月23日 07時22分42秒 | 日記

23日(月・祝)。わが家に来てから今日で1675日目を迎え、複数の米メディアは20日、トランプ大統領が7月にウクライナのゼレンスキー大統領に対し、同国の国営ガス会社で役員を務めたバイデン前米副大統領の息子に関する疑惑を調べるよう求めていた疑いがあると報じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自分のことを調査されればフェイクだとわめき 政敵を貶めるためには何でもやる

 

         

 

各種報道によると、フランス東部ブザンソンで21日、第56回ブザンソン国際指揮者コンクールの決勝が行われ、青森県三沢市出身の沖澤のどかさん(32=ベルリン在住)が優勝し、観客とオーケストラがそれぞれ選ぶ「聴衆賞」と「オーケストラ賞」も合わせて受賞しました 同コンクールにおいて日本人としては、1959年に小澤征爾氏が初優勝して以来、10人目の優勝となりました 沖澤さんは幼少期からピアノやチェロを習い、東京藝大指揮科に現役で入学、同大学院修士課程を修了し、ドイツのハンス・アイスラ―音楽大学で学びました 昨年の東京国際指揮者コンクールの指揮部門で女性として初めて第1位を獲得しました

 なお、東京二期会のツイッターによると、沖澤さんは2020年11月の東京二期会「メリーウィドー」で指揮をとるとのこと また、東響2019-2020シーズンのラインアップよると、2021年1月30日(土)の「名曲全集」でベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲作品61」(Vn:米元響子)と同「ピアノ協奏曲第6番作品61a」(P:北村朋幹)を振る予定になっています 後者はヴァイオリン協奏曲のピアノ編曲版ではなかったでしょうか?  面白い企画だと思います 沖澤のどか、なかなかやりますね

なお、ブザンソン国際指揮者コンクールにおける日本人の優勝者は次の通りです

1959年(第 9 回) 小澤征爾

1982年(第32回) 松尾葉子

1989年(第39回) 佐渡 裕

1990年(第40回) 沼尻竜典

1993年(第43回) 曽我大介

1995年(第44回) 阪 哲郎

2001年(第47回) 下野竜也

2009年(第51回) 山田和樹

2011年(第52回) 垣内悠希

2019年(第56回) 沖澤のどか

(注)1993年まで毎年実施。それ以降は隔年実施。

 

         

 

昨日も息子が夕食を作ってくれました 「鶏のうまいうまい焼き」「春巻き」「チンゲン菜と玉ねぎの味噌汁」です 「鶏の~」は文字通りうまいうまいでした

 

     

 

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの第134回定期演奏会を聴きました プログラムはJ.S.バッハの①協奏曲イ短調BWV593(ヴィヴァルディ「調和の霊感」第8番に基づく)、②結婚カンタータ「主は私たちを御心に留め」BWV196、③結婚カンタータ「消えるのです 悲しみの影よ」BWV202、④ブランデンブルク協奏曲 第1番 ヘ長調 BWV1046(初期稿)より第1楽章、⑤狩のカンタータ「心躍る狩こそわたしの悦び!」BWV208です 出演は、ソプラノ=ジョアン・ラン、ソフィー・ユンカー、テノール=ザッカリー・ワイルダー、アルト=青木洋也、バス=ドミニク・ヴェルナー、オルガン=鈴木優人、管弦楽=バッハ・コレギウム・ジャパン、指揮=鈴木雅明です

 

     

 

カンタータの定期演奏会としてはいつもより客入りが良いようです 同じカンタータでも教会カンタータでなく世俗カンタータなので親しみを感じるのかも知れません

最初に鈴木優人のオルガン独奏でJ.S.バッハ(1685 -1750 )の「協奏曲 イ短調 BWV593(ヴィヴァルディ「調和の霊感」第8番に基づく)」が演奏されました

聴いていると、なるほどヴィヴァルディらしいメロディーだな、と思います 歌心に満ちた音楽と言ったら良いでしょうか パイプオルガンの音を聴くと、例外なくにわかクリスチャンになります

コンミス若松夏美さん率いる弦楽器10人と鈴木優人の11人がスタンバイし、ユンカー、青木、ワイルダー、ヴェルナーがソリストとして参加して結婚カンタータ「主は私たちを御心に留め」BWV196の演奏に入ります ソリスト4人はBCJ常連の歌手陣なので安定感があります

弦楽器群にオーボエ、ファゴットが加わり、歌手はジョアン・ランが一人で出演し結婚カンタータ「消えるのです 悲しみの影よ」BWV202の演奏に入ります ジョアン・ランはいつものように、ノンヴィブラートでクリアな歌を披露します 彼女の歌を見事にバックアップするのはオーボエの三宮正満の素晴らしい演奏です

プログラム後半は「ブランデンブルク協奏曲 第1番 ヘ長調 BWV1046(初期稿)」の第1楽章から開始されます この演奏ではナチュラルホルンとフラウト・トラヴェルソが各2本入ります 女性ホルンは新日本フィルの藤田麻理絵さんだろうか。フラウト・トラヴェルソはいつもの菅きよみ&前田りり子のコンビではなく男性2人による演奏です。オケは終始愉悦感に満ちたノリノリの演奏でした 

続けて「狩のカンタータ『心躍る狩こそわたしの悦び』BWV208」が演奏されます 終盤の第9曲でアリア「羊は憩いて草を食み」がフラウト・トラヴェルソの二重奏で演奏され、その後ジョアン・ランの独唱で歌われますが、この曲はNHK-FMの「朝のバロック」のオープニング曲として使われています 非常にのどかで良い曲です

この日の演奏は、BCJのコンサートとしては珍しくコーラスが入らない公演でしたが、ソリスト4人の存在感が抜群で聴きごたえがありました

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リオネル・ブランギエ ✕ アリーナ・ポゴストキーナ ✕ 東京交響楽団でブラームス「ヴァイオリン協奏曲」、プロコフィエフ「交響曲第4番」を聴く~第673回定期演奏会

2019年09月22日 07時15分40秒 | 日記

22日(日)。わが家に来てから今日で1694日目を迎え、立憲民主、国民民主両党、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」などが臨時国会前の結成で合意した衆院統一会派の名称が、「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」になったが、これは1947年施行の現憲法下で最長の19文字になる見込みである というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      政党名じゃないからまだ良いけど 野党って本気で一致団結する気があるのか?

 

         

 

昨日は私がコンサートだったので、息子が夕食を作ってくれました 「棒棒鶏」「春巻き」「野菜と卵のスープ」です。どれも美味しく、私には出来ない逸品ぞろいでした

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京交響楽団の第673回定期演奏会を聴きました プログラムは①ブラームス「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77」、②プロコフィエフ「交響曲第4番 ハ長調 作品112」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=アリーナ・ポゴストキーナ、指揮=リオネル・ブランギエです

 

     

 

1曲目はブラームス「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1878年に作曲し1879年1月1日にライプツィヒでヨーゼフ・ヨアヒムの独奏、ブラームスの指揮により初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・ジョコーゾ、マ・ノン・トロッポ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏のアリーナ・ポゴストキーナはサンクトペテルブルク生まれ、ドイツ育ち 2005年シベリウス国際ヴァイオリンコンクールで優勝したほか、他の国際ヴァイオリンコンクールで入賞している実力者です 一方、指揮をとるリオネル・ブランギエは1986年フランスのニース生まれ 2012年に弱冠26歳でチューリヒ・トーンハレ管弦楽団の首席指揮者・音楽監督に就任、2019年シーズンからニースオペラ管の指揮者として活躍しています

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置。コンマスは水谷晃です

黄金色に煌めく鮮やかなドレスのアリーナ・ポゴストキーナが指揮者とともに登場し、さっそく第1楽章に入ります オーケストラの悠然とした序奏に続いてヴァイオリンのソロが入ってきますが、極めて輝かしい音色に耳を奪われます この楽章では、自然で美しいビブラートが生きたカデンツァが見事でした 第2楽章「アダージョ」では、冒頭、オーボエ首席の荒木奏美の演奏が素晴らしく、独奏ヴァイオリンを導きました この楽章は「アダージョ」というよりも「アンダンテ・カンタービレ」と言った方が相応しいのではないか、と思うほど独奏ヴァイオリンが良く歌っていました 第3楽章は一転、ほとばしる情熱とでもいうべき躍動感に満ちた演奏を展開しました

繰り返されるカーテンコールに応え、アリーナ・ポゴストキーナはバッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番」から「ロンド風ガヴォット」をチャーミングに演奏、大きな拍手に包まれました

 

     


休憩時間が終わり、自席に着いて後半の演奏を待っていると、自席の3列前の左の席に私服に着替えたアリーナ・ポゴストキーナが座りました 後半の曲の終演後にサインをもらおうかと思いましたが、CDを買った訳でもないので止めておきました

プログラム後半はプロコフィエフ「交響曲第4番 ハ長調 作品112」です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)がボストン交響楽団創立50周年記念の委嘱作品として1930年に作曲、同年11月14日にパリでセルゲイ・クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団により初演されました その後1947年に改訂され、1950年3月11日にエイドリアン・ボールト指揮BBC交響楽団により放送初演されましたが、演奏会での初演は1957年1月5日にモスクワでロジェストヴェンスキー指揮ソヴィエト国立交響楽団による演奏まで待たなければなりませんでした なお、この曲は自作のバレエ音楽「放蕩息子」の楽想により作曲されたものですが、現在 演奏されているのは1947年の改訂版によるものです

第1楽章「アンダンテ~アレグロ・エロイコ」、第2楽章「アンダンテ・トランクィロ」、第3楽章「モデラート、クァジ・アレグレット」、第4楽章「アレグロ・リソル―ト」の4楽章から成ります

この曲は普段 馴染みがないので、本番を聴くに当たって、ヴァレリー・ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団のCDを何度も聴いて予習したのですが、全体像を把握するまでに至りませんでした

 

     

 

全体を聴いた印象は、交響曲というよりも、バレエ音楽を聴いているような気分でした もちろん、プロコフィエフがこの交響曲の題材にしたのがバレエ音楽「放蕩息子」なので当然といえば当然なのですが、どうも、プロコフィエフの音楽は「舞踏」に結びついているように思えてなりません プロコフィエフは1948年の「ジダーノフ批判」の煽りを受けて、生前 この曲の改訂版の演奏を聴くことが出来ませんでした どんなに悔しかったことでしょう

 

 

toraブログのトータル閲覧数が、一つの大きな目標だった 500万ページビュー を超過しました(5,000,933 PV。トータル訪問者数は1,290,190 IP)。これもひとえに 普段からご覧いただいている読者の皆さまのお陰と感謝いたします これからも1日も休むことなく根性で書き続けて参りますので、今月28日にわが家に来てから満5年を迎えるモコタロともどもよろしくお願いいたします

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セバスティアン・ヴァィグレ ✕ ルドルフ・ブッフビンダー ✕ 読売日響でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」、マーラー「交響曲第5番」を聴く

2019年09月21日 07時25分26秒 | 日記

21日(土)。わが家に来てから今日で1693日目を迎え、4年に一度のラグビー・ワールドカップの日本大会が20日午後7時45分から東京スタジアムで開催されたが、この日行われた初戦「日本対ロシア」で、日本が30対10でロシアを下した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     巨漢ぞろいのロシア艦隊を相手によく頑張ったね でも本当の勝負はこれからだ!

     

         

 

昨夜、息子が東京出張のついでに自宅に帰って来るというので、夕食は「すき焼き」にしました とは言え、夜は私がコンサートのため17時に食事を済ませましたが、娘は21時帰宅、息子は23時帰宅だったので食事の時間はバラバラでした

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで読売日響第625回名曲シリーズを聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58」、②マーラー「交響曲 第5番 嬰ハ短調」です   演奏は①のピアノ独奏=ルドルフ・ブッフビンダー、指揮=読響第10代常任指揮者 セバスティアン・ヴァィグレです

 

     

 

 

1曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1805年から翌06年にかけて作曲し、1807年3月にウィーンのロブコヴィツ侯爵邸で私的初演の後、翌1808年12月22日、アン・デア・ウィーン劇場で、「交響曲第5番”運命”」「第6番”田園”」「合唱幻想曲」他とともに公開初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ソリストを務めるルドルフ・ブッフビンダーは1946年生まれ、ウィーン出身のピアニストで、とくにベートーヴェンを得意としています 今年10月から2020年にかけて、ウィーン楽友協会でベートーヴェンの生誕250年を記念し、5つのピアノ協奏曲を、5つの楽団(ムーティ指揮ウィーン・フィル、ティーレマン指揮ドレスデン国立歌劇場管、ヤンソンス指揮バイエルン放送管、ゲルギエフ指揮ミュンヘン・フィル、ネルソン指揮ゲヴァントハウス管)と共演するとのこと

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び。コンマスは長原幸太です

ブッフビンダーの独奏ピアノで第1楽章が開始されます それまでのピアノ協奏曲は、まずオーケストラの序奏があり、ピアノは女王の如く後から華やかに登場するのが通例でしたが、この曲は冒頭からピアノ独奏で開始されます ソリストの演奏をオーボエ首席候補・金子亜未、フルート首席フリスト・ドブリノブをはじめとする木管楽器群がしっかりと支えます この楽章で聴きどころはカデンツァです ベートーヴェンの作曲したカデンツァは2種類ありますが、この日聴いたそれは、これまで聴いたものとまったく別の曲でした それだけに新鮮で、見事な演奏と相まって この曲の初演を聴いているような錯覚を覚えました 第2楽章は、冒頭の弦楽器と独奏ピアノとの対話が素晴らしく、第2楽章の暗から第3楽章の明への転換も見事でした 第3楽章はピアノ、オケともに躍動感にあふれ、これぞベートーヴェンという堂々たる演奏を展開しました 全体を通してブッフビンダーの独奏を聴いた印象は、まったくブレない演奏だということです

満場の拍手とブラボーに、ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第17番ニ短調”テンペスト”」の第3楽章「アレグレット」を鮮やかに演奏、再び会場いっぱいの拍手を浴びました

 

     

     

プログラム後半はマーラー「交響曲 第5番 嬰ハ短調」です この曲はグスタフ・マーラー(1860-1911)が1901年から翌02年にかけて作曲、1904年10月18日にケルンで初演された作品です 第1楽章「規則正しい歩みで、厳格に、葬列のように」、第2楽章「嵐のように激動して、非常に激烈に」、第3楽章「力強く、速すぎずに」、第4楽章「アダージェット:非常にゆっくりと」、第5楽章「ロンド・フィナーレ:アレグロ」の5楽章から成ります

 

     

 

ヴァィグレの指揮で第1楽章に入ります 冒頭、トランペットのソロで葬送行進曲のファンファーレが演奏されます。ここで躓くと後が辛いですが、見事クリアします この楽章の中間部のトリオに来ると、ヴァィグレはテンポを急激に速め、オケを煽り立てます うねる様な音楽作りに舌を巻きます ホルンはベルアップ奏法を見せます。第3楽章はホルンが大活躍しますが、首席の松坂隼のソロは安定感があり聴きごたえがありました この楽章はホルン協奏曲のような趣があるため、指揮者によっては独奏ホルンを指揮者のそばに置いて、ソロ部分を吹かせる演出をするケースもあります 松坂氏の場合は、あえて前面に出さなくとも巧みな演奏が目立ちます この楽章ではクラリネットもベルアップ奏法を見せました

第4楽章「アダージェット」は弦楽器とハープだけによって演奏される あまりにも有名な音楽ですが、ヴァィグレはたっぷりとしたテンポを取り、マーラーのアルマに対する愛の告白を奏でます この曲と切り離せないのは、ルキノ・ヴィスコンティ監督による映画「ヴェニスに死す」です 映像と音楽がピッタリとマッチした映画の典型的な例と言えるでしょう 言い換えれば、あの映像に他の音楽は使えません。アダージェットが終わるとすぐに第5楽章のロンド・フィナーレに移ります ここに及んで、第1楽章の葬送行進曲で始まった交響曲第5番は、純音楽的な見地から見れば、歓喜の第5楽章で幕を閉じます マーラーは1902年3月にアルマ・シントラ―と結婚、その年の11月には長女マリア・アンナが誕生しています そうしたことを考えれば、この交響曲第5番を作曲した時期(1901~02年)は幸せの絶頂にあったと言えるでしょうし、この曲はベートーヴェンの第5交響曲と同じように、「苦悩から歓喜へ」という流れの中で捉えることができる作品だと思います

この日のヴァィグレ ✕ 読売日響の演奏は、そうした流れに沿った演奏だったと思います

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