人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

尾高忠明 ✕ 新日本フィルによるR.シュトラウス「英雄の生涯」の公開リハーサルを見学する ~ 大管弦楽によるスケールの大きなゴージャスなサウンド

2022年09月30日 07時17分10秒 | 日記

30日(金)。昨日 29日は日中国交正常化から50年を迎えました そこで最初に、最近の日中問題について取り上げたいと思います 東京では朝晩は だいぶ涼しくなりましたが、日中はまだ暑さが残ってますね

さて、月末を迎えたので、恒例により9月の3つの目標の達成状況をご報告します ①クラシック・コンサート=11回、②映画鑑賞=11本、③読書=5冊でした ①については、他にオケの公開リハーサル2回、オペラのゲネプロ1回(本日)見学しました また②については、他にNetflixで「工作 黒金星(ブラックビーナス)と呼ばれた男」を観ました こうしてみると、9月も毎日、3つの目標のうちどれかをやっていたことになります

ということで、わが家に来てから今日で2819日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は、自発的に投降した軍人に最長で10年の懲役刑を科す法改正を承認したが、動員令の発令で混乱が広がる中、軍の規律を引き締める狙いがあるとみられる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これじゃあ ますます徴兵拒否したくなる  プーチンは国民など何とも思っていない

 

         

 

昨日、夕食に2週間に1度のローテにより「鶏の唐揚げ」を作りました 本当は金曜日なのですが、オペラのゲネプロの終了時間の関係で1日繰り上げました

 

     

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「第644回定期演奏会」の公開リハーサルを見学しました 本公演は10月1日(土)トリフォニーホール、同3日(月)サントリーホールで開かれます 本番のプログラムは①リヒャルト・シュトラウス「セレナード変ホ長調」、②同「4つの最後の歌」(ソプラノ=ユリアーネ・バンゼ)、③同:交響詩「英雄の生涯」です この日は交響詩「英雄の生涯」のリハーサルのみ公開されました   念のため、最近ちまたで起きた「Auの障害」でも、「英雄(ひでお)の生涯」でもありませんので誤解のないように

新日本フィルの「公開リハーサル」は賛助会員・維持会員など1年間に1万円以上の寄付をしている会員を対象に実施していますが、今回については私も会員になっている「すみだクラシックへの扉シリーズ」定期会員を対象に公開されました その狙いについてパトロネージュ部の登原さんに聞いてみたら、①年間1万円以上の寄付をしていただければ、今回のような公開リハーサルが年間6~8回程度聴けることを知ってもらうこと、②今回初めての試みとして「扉シリーズ」公演でなく「定期演奏会」のリハーサルの案内を出したのは、違うシリーズの公演のリハーサルを聴いてもらい、本番を聴いてみたいとチケット購入に繋がれば嬉しい、ということでした なお、この日のリハーサルへの来場者は10月1日と3日の公演のチケットが3割引きで購入できる(合言葉が必要)とのこと 年間1万円で公開リハーサルが6~8回聴けるのは大きなメリットです また、寄付金は税額控除の対象となります。皆さんも1口いかがでしょうか

 

     

 

R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」はリヒャルト・シュトラウス(1864ー1949)が1898年に作曲、1899年3月3日にフランクフルトで作曲者自身の指揮により初演されました 第1曲「英雄」(第1主題部)、第2曲「英雄の敵」(スケルツォ)、第3曲「英雄の妻」(第2主題部)、第4曲「英雄の戦場」(展開部)、第5曲「英雄の業績」(展開と再現)、第6曲「英雄の引退と完成」(終結部)の6曲から成ります

オケは14型で弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び ステージ下手にはハープ2台とチェレスタがスタンバイ、クラリネットのトップには元新日本フィル首席で東京藝大教授も務めた山本正治氏がスタンバイしています ホルン9本は壮観です コンマスは崔文洙です

白のTシャツに黒のパンツ、スニーカーというラフなスタイルの尾高忠明氏が指揮台に上りリハーサルに入ります

第1曲から入ると思っていたら、第2曲「英雄の敵」から入りました スケルツォ風の音楽で、やかましい批評家たちのおしゃべりをフルート等が皮肉って演奏します それ以降、演奏しては止め、指示を出しては演奏し、ということをかなり細かく繰り返しました 休憩を挟んで、リハーサルを進め、最後に第1曲「英雄」を仕上げました 「メリハリをつけて演奏するように」という趣旨の指示が印象に残りました リハーサル中の尾高氏の言葉を拾ってみると、「リヒャルト・シュトラウスって守銭奴だったって知ってます?」「(英雄の業績では)過去のシュトラウスの作品を思い浮かべることが出来るように」「バナナマンのオカッパ頭の方」・・・すべての指示を聞き取れないのが残念ですが、作曲者のエピソードなどを披歴することを通してオケのメンバーをリラックスさせ、うまく”乗せて”リハーサルを進めていく姿勢が、尾高氏らしいと思いました 全体を通して、リヒャルト・シュトラウスらしい大管弦楽によるスケールの大きい演奏が展開し、ゴージャスなサウンドが楽しめました 個人的には森明子さんのコーラングレと崔コンマスのヴァイオリン・ソロが心に沁みました 今回の公開リハーサルを聴いて、やっぱり「英雄の生涯」は生演奏で聴かなければ本当の良さは解らない と思いました

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ケネス・プラナー監督「ベルファスト」を観る ~ 監督の故郷ベルファストへのノスタルジーと愛が詰まった作品:平和な日常生活は一瞬にして戦場と化すことを教えてくれる

2022年09月29日 07時03分37秒 | 日記

29日(木)。わが家に来てから今日で2818日目を迎え、ウクライナ東部、南部の計4地域の親ロシア派勢力は27日、「ロシアへの編入」を問う「住民投票」の開票を終え、9割超の圧倒的多数がロシア編入に同意したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     投票率が明らかでないので信用できない  明らかにしてもそれ自体が信用できない

 

         

 

昨日、夕食に「五目炊き込みご飯」「ちぎり厚揚げと豚バラの和風炒め」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「ジャガイモの味噌汁」を作りました 「炊き込みご飯」には「ちぎり~」が良く合います

 

     

 

         

 

早稲田松竹でケネス・プラナー監督による2021年製作イギリス映画「ベルファスト」(モノクロ&カラー、98分)を観ました

北アイルランド・ベルファストで生まれ育ったバディ(ジュード・ヒル)は家族と友だちに囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごしていた しかし、1969年8月15日、プロテスタントの武装集団がカトリック住民への攻撃を始め、バディの穏やかな世界は突如として悪夢へと変わってしまう 住民すべてが顔なじみで、まるで一つの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断されていく 暴力と隣り合わせの日々のなか、バディと家族たちは故郷を離れるか否かの決断を迫られる

 

     

 

この映画は、北アイルランドのベルファスト出身のケネス・プラナーが自身の幼少期を投影した自伝的作品です

冒頭の1969年8月15日のベルファストの町のシーンが強烈です 戦争ごっこをしていたバディの目の前でプロテスタントの武装集団が投げつけた火炎瓶が炎上し、暴徒たちが襲い掛かってきます 何が起きたのか理解できないバディは唖然としてボーッと突っ立っているしかありません 母親に引っ張られてかろうじて家に逃げ込んで難を逃れます 戦争ごっこでは誰も傷つきませんが、本当の戦争は人が死にます。バディはいきなりそういう世界に放り込まれることになります

このシーンを見てすぐに思い浮かべたのは今年2月24日のロシアによるウクライナ攻撃です 「プーチンは武力攻撃してこないだろう」と高を括っていたウクライナ国民にとっては「まさか」のミサイル攻撃だったと思います しかも、当初は東部地域だけ攻撃すると思われていたのに、首都キーウにも同時に攻撃を仕掛けてきたのは想定外だったと思われます こうして平和な日常生活は一瞬にして戦場と化すことを「ウクライナ戦争」が、そして「ベルファスト」が教えてくれます

本作はパーシャル・カラーを使用しています 全体の基調はモノクロ映像ですが、バディたちが映画館で観る「チキチキバンバン」などはカラー映像になっていて、後で強く印象に残ります

映画のラストでは、バディは両親・兄とともにベルファストを離れることになりますが、祖母は一人残ることになります ベルファストで生まれ育った祖母にとっては、この地を離れることは死ぬのと同じことなのでしょう 一方、両親も本当は馴染みのあるベルファストに留まりたいが、子供たちの命と将来を考えると、この地を離れるのがベストの選択だと判断したのでしょう 残された時間がどれだけあるか、また、守らなければならない人がいるかどうかによって、今後の人生の選択肢が変わってくることを暗示しているように思います

この映画は第94回アカデミー賞で作品賞、監督賞等7部門にノミネートされ、脚本賞を受賞しました ケネス・プラナー監督の故郷ベルファストへのノスタルジーと愛が詰まった作品です

 

     

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シアン・へダー監督「コーダ あいのうた」を観る ~ 聾唖の両親と兄を家族に持ち自分だけが耳が聞こえる女子高生ルビーの青春の光と影

2022年09月28日 07時01分53秒 | 日記

28日(水)。わが家に来てから今日で2817日目を迎え、東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、広告大手の大広がスポンサー契約を仲介できるよう便宜を図った見返りに賄賂を受け取った疑いが強まったとして、東京地検特捜部は27日、大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(電通OB)を受託収賄容疑で再逮捕する方針を固めたが、逮捕はAOKI、KADOKAWA関連に次いで3度目であるというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     電通や電通OBと縁が切れない五輪・パラリンピックの招致は もう止めるべきだな

 

         

 

昨日、夕食に「ホッケの塩焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「大根の味噌汁」を作りました   ホッケは脂が乗っていてとても美味しかったです

 

     

 

         

 

早稲田松竹でシアン・へダー監督による2021年製作アメリカ映画「コーダ  あいのうた」(112分)を観ました

自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる 陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から”通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた 新学期になり、ルビーはちょっと気になるフランクと同じ合唱クラブを選択する やがて顧問のV先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門バークリー音楽大学の受験を強く勧めるが、ルビーの歌声が聞こえない両親は家業の方が大事だと大反対する 学校の秋のコンサートがあり、家族が見守る中、ルビーがフランクとデュエット曲を歌うと、ある人は熱心に耳を傾け、ある人は微笑み、ある人は涙を浮かべていた 娘の歌が多くの人たちの心を動かしていることを気配で感じた父は、一大決心をする 翌朝家族全員でルビーの音大受験のため車で会場に駆けつける 遅刻して最後の受験者になったルビーは、普段着のままで、審査会場に残っていたV先生の伴奏でジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」を歌い、合格を勝ち取る

 

     

 

この映画は、審査会場でルビーが歌うシーンがハイライトです 審査会場は一般の人は入場できませんが、ルビーの両親は内緒で2階席に入り込んで様子を窺います ルビーはV先生のピアノ伴奏で「青春の光と影」を歌い出しますが、歌い出しに納得できなかったV先生はワザと伴奏を間違えてやり直します その真意を理解したルビーは今度は気合を入れて歌い出します そして、2階席に忍び込んでいた両親を見つけると、彼らのために手話をしながら歌い続けます このシーンにはジーンときました

この映画の原題は「Coda」です 「Child  of  Deaf  Adults」の略語で「聾唖の親を持つ子ども」という意味で、まさに主人公のルビーのことを指しています しかし、「Coda」にはもう一つの意味があります 音楽記号の「CODA」で、楽曲や楽章の終わり、曲中の大段落の締めを表します そこから転じて「新たな章の始まり」という意味もあります。その意味では、この映画は「聾唖の親を持つルビーの過去の人生への決別と新たな人生の始まり」をテーマにした作品と言えるでしょう

本作は2022年・第94回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞の3部門にノミネートされ、同3部門を受賞しました ルビーの父親フランク役を演じたトロイ・コッツァーは男性のろう者の俳優で初めてオスカー受賞者になりました この父親、ぶっ飛んでました

 

     

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METライブビューイング・アンコールでドヴォルザーク「ルサルカ」を観る ~ 優れた歌唱力と神秘性を漂わせた演技力のクリスティーヌ・オポライスにブラボー!

2022年09月27日 07時03分12秒 | 日記

27日(火)。わが家に来てから今日で2816日目を迎え、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻の兵員補充のため、「部分的動員」を発令した21日以降、ロシア各地で徴兵事務所への放火が相次いでいると、ロシアの独立系メディア「メデゥーサ」が25日伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     徴兵候補者名簿を焼けば徴兵を免れるかもしれないからね 誰だって放火したくなる

 

         

 

昨日の夕食は「サーロインステーキ」を焼きました 野菜類はお皿に乗せてワンプレートにしました。あとは里芋の味噌汁です 娘が朝早くから出勤しているのでスタミナをつけなければなりません そのため、どうしても肉料理が多くなってしまいます

 

     

     

         

 

昨日、東銀座の東劇でMETライブビューイング・アンコール上映、ドヴォルザーク「ルサルカ」を観ました これは2017年2月25日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストはルサルカ=クリスティーヌ・オポライス、イェジババ=ジェイミー・バートン、水の精ヴォドニク=エリック・オーウェンズ、王子=ブランドン・ジョヴァノヴィッチ、外国の女王=カタリーナ・ダライマン。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=マーク・エルダー、演出=メアリー・ジマーマンです

 

     

 

オペラ「ルサルカ」はアントニン・ドヴォルザーク(1841ー1904)がチェコの有名な詩人で劇作家のヤロスラフ・クヴァビルの台本を基に1900年に作曲、1901年3月31日にプラハ国民劇場で初演されました

神秘的な湖の畔で森の精たちが歌っている 水の精ルサルカが、年老いた水の精に人間の王子に恋をしたと打ち明ける 老人は魔法使いに相談するようアドヴァイスする 魔法使いイェジババは「人間の姿になる代わりに、愛の証を得るまでは口がきけなくなり、王子に裏切られた時は破滅する」と忠告する それでもルサルカは人間になることを選ぶ 森の奥で王子は美しいルサルカを見つけて魅了され、お城に連れ帰る(以上第1幕)

宮殿の庭で森番と皿洗いが噂話をしている それによると、王子と不思議な娘の結婚準備が行われているものの、王子はすでに外国の王女に心を移しつつあるという 王子とルサルカが登場すると、王子は口のきけないルサルカに不満を示し、そこに現れた外国の王女と広間へと去る 絶望したルサルカは、心配して様子を見にきた年老いた水の精に哀しみを訴える 王子と王女が現れ、抱き合っているのを目にしたルサルカは、そこに倒れてしまう 怒った年老いた水の精はルサルカを水中に連れ去る(以上第2幕)。

湖畔で哀しみにくれるルサルカを見たイェジババは、王子の命を奪えば呪いが消えると諭し短剣を渡す しかしルサルカはそれを捨ててしまう 森番と皿洗いが重病に侵された王子を心配している 湖の畔に王子が現れ、ルサルカも姿を見せる。ルサルカは「私が口づけをすれば生きることはできない」と忠告するが、死を望む王子は口づけを願う ルサルカは死の口づけをし、2人は湖に沈む(以上第3幕)

 

     

 

METライブビューイングの「ルサルカ」と言えばルネ・フレミングがタイトルロールを歌った2014年2月の公演が強烈に印象に残っています 優れた歌唱力に加え神秘性を漂わせた美しい容姿でなければならないルサルカは人を選びます ラトヴィア出身のクリスティーヌ・オポライスはその要件を満たすのか、というのが最大の関心事です ラトヴィア出身といえば、「サムソンとデリラ」のデリラを歌ったエリーナ・ガランチャもラトヴィア出身です 優秀な人材を輩出していますね

第1幕冒頭の場面は森の精と水の精の戯れですが、ワーグナーの「ラインの黄金」の冒頭シーンを想起させます ドヴォルザークはワーグナーの影響を受けていたと言われていますが、こういうところに表れています その後、ハープの美しい音楽に乗って登場したオポライスは美しく神秘的で”水の精”ルサルカそのものです そして、大きな満月を背景に、長い旋律のアリア「月に寄せる歌」を抒情的に歌い上げます 何と美しく透明感のある歌唱だろうか 第2幕では一転して、冒頭からルサルカは口がきけないシーンが続きます 幕間のインタビューで「第2幕では歌や台詞がないシーンが続きますが、どうやって取り組みますか?」と訊かれ、オポライスは「前半25分間くらいはまったく声を出しませんが、ただ立っているわけにはいきません ”背中の演技”を含めてルサルカの心情を観衆に伝えなければなりません 演技だけでルサルカの心を態度で表す必要があります。難しいですがやりがいがあります」と答えていました その通り、オポライスの”背中”にはルサルカの悲しみや憎しみが滲み出ていました

イェジババを歌い演じたジェイミー・バートンは魔女が”はまり役”です 水の精ヴォドニクを歌い演じたエリック・オーウェンズは深みのあるバスで、存在感を示していました

本ライブビューイングは休憩・インタビュー等を含めてトータル3時間54分でしたが、まったく飽きることなく最後まで鑑賞することが出来ました METの水準の高さをあらためて感じる公演でした

 

     

 

これで3日連続でMETライブビューイング・アンコールを鑑賞しましたが、「2022ー2023シーズン」は11月25日から来年7月20日まで全10演目が上映されます モーツアルト「ドン・ジョバンニ」「魔笛」、R.シュトラウス「ばらの騎士」、ヴェルディ「椿姫」、ワーグナー「ローエングリン」、ヴェルディ「ファルスタッフ」といったお馴染みの演目に加え、ケルビーニ「メデア」、ジョルダーノ「フェドーラ」、ケヴィン・プッツ「めぐりあう時間たち」、テレンス・ブランチャード「チャンピオン」といったMET初演、新演出のチャレンジングな演目が上映されます ロシアのウクライナ侵攻や原油高などの影響で航空運賃や燃油サーチャージが高騰していることに加え、円安が止まらないことから、海外の主要なオペラ劇場の引っ越し公演が期待できなくなった現在、METライブビューイングはますます一流のオペラを鑑賞する貴重な手段となりつつあります

 

     

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ナタリー・デセイ ✕ フアン・ディエゴ・フローレスによるドニゼッティ「連帯の娘」を観る ~ METライブビューイング・アンコール:史上最強のコンビによるパフォーマンス

2022年09月26日 07時15分13秒 | 日記

26日(月)。わが家に来てから今日で2815日目を迎え、ロシアのラブロフ外相は国連総会で演説し、「ヨーロッパを服従させたアングロサクソン国々にとって、ウクライナは対ロシア戦争の消耗品に過ぎないことは明確だ」と西側諸国を批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「部分的動員令」で召集されたロシア国民は 対ウクライナ戦争の消耗品に過ぎない

 

         

 

昨日、東銀座の東劇でMETライブビューイング・アンコール上映、ドニゼッティ「連帯の娘」を観ました これは2008年4月26日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストはマリー(連帯の娘)=ナタリー・デセイ、トニオ=フアン・ディエゴ・フローレス、シュルピス=アレッサンドロ・コルベッリ、ベルケンフィールド侯爵夫人=フェリシティ・パーマー、指揮=マルコ・アルミリアート、演出=ロラン・ペリーです

 

     

 

「連帯の娘」はガエターノ・ドニゼッティ(1797ー1848)が1840年に作曲、同年2月11日にパリのオペラ・コミック座で初演された前2幕のオペラです この作品は歌以外の台詞とともに進行するフランス語によるオペラで、「オペラ・コミック」と呼ばれます

山の向こうから砲声が聴こえてきて、村人や旅の途中のベルケンフィールド侯爵夫人が様子を窺っていると、フランス軍21連隊がシュルピス軍曹に率いられてやってくる その中には、孤児として連隊の兵士たちに可愛がられて育った人気者マリーがいた 物思いに耽るマリーは、軍曹に「命を助けてくれたトニオという若者に恋をしている」と告白する。シュルピスは「おまえが結婚できるのは この連隊の一員のみだ」と忠告する そこにマリーの後を追ってきたトニオがスパイ容疑で連行されてくるが、彼女のとりなしで自由になり連隊に加わることになる 宴でマリーは『連隊の娘』を歌う しかし、その後、侯爵夫人の行方不明の姪がマリーであることが判明し、彼女との結婚を期待するトニオの想いとは裏腹に、夫人はマリーを家に連れ帰ることを決意する 皆に惜しまれながら、マリーは連隊から去っていく(以上第1幕)

数か月後、マリーは貴族相手の縁談のため花嫁修業中の身となっている 軍曹だったシュルピスは執事として仕えていた しかし、マリーは馴染めない生活に連隊を懐かしがる そこに将校に昇進したトニオが連隊兵士たちとともにやってきて結婚を申し込むが、侯爵夫人は認めようとしない 実はマリーは侯爵夫人の姪ではなく娘だったのだ そのまま婚礼の準備が進むとトニオと兵士がなだれ込んできて、自分たちの『連帯の娘』マリーを救いに来たと明かすと、その場は大混乱に陥る マリーは自分の身の上を正直に語り、連隊の兵士へ感謝を捧げると、その真摯な姿に侯爵夫人は感動し、トニオとの結婚を許して、めでたく幕が下りる(以上第2幕)

     

     

 

ヒロインのマリーを歌い演じたナタリー・デセイが凄い フランス・リヨン生まれのリリック・ソプラノ及びコロラトゥーラ・ソプラノですが、女優からソプラノ歌手に転身しただけあって、まさに「歌う女優」の貫禄です 軍隊の中で育ったオテンバ娘をコミカルで軽快な動きで歌い演じました その一方、第1幕終盤での連隊と別れを惜しむ歌などは、感情表現が素晴らしく胸に迫るものがありました 幕間のインタビューでルネ・フレミングから「特に第1幕はほとんど出ずっぱりで歌と演技をこなさなければならないけど、一番大変なのはどういうところ?」と訊かれ、「息継ぎです 息を継ぐ間もないほど忙しく、どこで息を継いだらいいのかと、目が回るほどです」と答えていました。この時、彼女は43歳でしたが、とても信じられない身体能力だと思いました

彼女に勝るとも劣らないパフォーマンスを見せたのがトニーを歌い演じたフアン・ディエゴ・フローレスです ペルー出身のテノールですが、1996年のロッシーニ・フェスティバルでプロデビューしました レパートリーはロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニなどのベルカント・オペラが中心です 本公演当時35歳の絶頂期でしたが、あのルチアーノ・パヴァロティが歌って世界に彼の名を轟かせたトニオのハイC9連発を、何の苦もなく歌っているかのように思わせ、その圧倒的なパフォーマンスに拍手がなかなか鳴りやみませんでした 彼もコミカルな演技が素晴らしく、デセイとのコンビネーションがピッタリでした

フローレスは2011年9月のボローニャ歌劇場来日公演でベッリーニ「清教徒」アルトゥーロを歌う予定でしたが、「声帯を痛めたため」としてキャンセルとなり、アントニーノ・シラクーザが代役を務めました はっきり言ってこれにはガッカリしました METライブビューイングで彼の並外れた超高音アリアを聴いていたので、9月24日のチケットを取って、ずっと楽しみにしていたのです フローレスは今年も来日しリサイタルを開きましたが、その時のことがあるのでチケットは取りませんでした

 

     

     

 

シュルピス軍曹を歌い演じたアレッサンドロ・コルベッリと、ベルケンフィールド侯爵夫人を歌い演じたフェリシティ・パーマーは、ともにコミカルな動きが印象的でした 幕間のインタビューで「コミカルな役柄を演じるときに気を付けていることは何ですか?」と訊かれ、二人とも「笑わせようとしないことです 真面目に演技することで可笑しい雰囲気が伝わるのがベストです」と答えていました 二流喜劇役者や三流お笑い芸人に聞かせてやりたい台詞です

ロラン・ペリーの演出もとても良かった 第1幕ではマリーにたくさんの兵士のシャツにアイロンをかけながら歌わせたり、第2幕ではマリーが貴族と結婚しないようにトニーが戦車に乗って館に押しかけたりと、目で見て楽しい演出に徹していました

METライブビューイングの「連帯の娘」はこの後、2019年にもマリー=プレティ・イェンデ、トニオ=ハヴィエル・マカレナにより上演・上映されましたが、アンコール上映には2008年の本公演が選ばれています デセイ ✕ フローレスを超える「連帯の娘」は今後もしばらくは出ない”史上最強のコンビ”であることを物語っています

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METライブビューイング・アンコールでガランチャ ✕ アラーニャのサン=サーンス「サムソンとデリラ」を観る ~ ガランチャの魅惑的なアリアに”落ちない”男はいない!

2022年09月25日 07時01分02秒 | 日記

25日(日)。わが家に来てから今日で2814日目を迎えウクライナでの人権状況を調べていた国際的な専門家による独立調査委員会は23日、「ウクライナでロシア兵による戦争犯罪が行われた」と結論づける報告書を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     兵士と民間人の区別なく拷問、処刑、虐待を繰り返していた 責任者は名を名乗れ!

 

         

 

昨日午前10時半から、東銀座の東劇でMETライブビューイング・アンコール上映、サン=サーンス「サムソンとデリラ」を観ました 台風が静岡県に上陸するという危機的状況の中、傘を持って出かけました

本公演の上映は2018年10月20日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストはデリラ=エリーナ・ガランチャ、サムソン=ロベルト・アラーニャ、大祭司=ロラン・ナウリ、ヘブライの長老=ディミトリ・ベロセルスキー、ガザの太守アビメレク=イルビン・アズィゾフ。管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・同合唱団、指揮=マーク・エルダー、演出=ダルコ・トレズニヤックです

 

     

 

オペラ「サムソンとデリラ」はカミーユ・サン=サーンス(1835ー1921)が1868年から76年にかけて作曲、1877年にドイツのワイマール大公歌劇場でドイツ語により初演されました サン=サーンスは当時42歳でしたが、ワイマール歌劇場の元音楽監督はフランツ・リストで、当時の音楽界に大きな影響力を持ち、サン=サーンスの芸術活動のサポーターでもありました

このオペラの題材は旧約聖書に伝えられる英雄サムソンの物語です ストーリーは「パレスチナのガザ。ペリシテ人の支配に抵抗するヘブライ人の先頭に立ったサムソンは、ペリシテ人の舞姫デリラの誘惑にかかり、欺かれて盲目にされ捕らわれるが、最後に怪力を振り絞ってダゴンの宮殿の柱を倒し、居合わせたペリシテ人もろとも自らも命を絶つ」というものです

このライブビューイングは過去に一度観ていますが、どうしてもガランチャのメゾソプラノを聴きたくて、Kiriokaさんをお誘いしました

 

     

 

聴きどころはデリラがサムソンを誘惑するアリアです 「春は目覚めて」(第1幕終盤)、「恋よ!弱い私に力を貸して」(第2幕冒頭)、「あなたの声に私の心は開く」(第2幕3場)です 

ガランチャは今年6月28日(火)すみだトリフォニーホールで開かれたリサイタルでも「あなたの声に私の心は開く」を歌いましたが、ガランチャのセクシーで魅惑的なアリアに”落ちない”男はいないでしょう Kiriokaさんの指摘の通り、ガランチャは歌唱力の素晴らしさはもちろんのこと、演技力が半端ありません。デリラに成り切っています

サムソン役のロベルト・アラーニャは何を歌っても合格点のMETの看板テノールですが、力強い歌唱に加え演技力も素晴らしかった

大祭司役のロラン・ナウリとヘブライの長老役のディミトリ・ベロセルスキーの歌唱力も申し分ありませんでした

特筆すべきはメトロポリタン歌劇場合唱団の迫力のあるコーラスです またバレエが素晴らしかった マーク・エルダー指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団は歌手に寄り添いつつオーケストラ自らが歌い、サン=サーンスのエキゾチックな世界を見事に描き出していました

午後1時50分ごろ上映が終了しましたが、外に出ると雨が降っていなかったので、これ幸いに歌舞伎座近くのパブ「82」で生ビールを片手に音楽談義をしてから帰途につきました

ガランチャがまた来日したら、絶対に聴きに行きます

 

     

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オーケストラ来日コスト上昇 = 円安影響 ⇒ 招へい激減も ~ 日経の記事から / 伊坂幸太郎著「クジラアタマの王様」を読む ~ 夢の世界の出来事が現実の世界を左右する

2022年09月24日 07時00分48秒 | 日記

24日(土)。昨日、台風が近づく不穏な天気の中、埼玉県S市の菩提寺に墓参りに行ってきました 春にもお盆にも行けなかったので久しぶりです。帰りに寄った実家の飼い猫「ミラ」(体重7キロのミラクルデブ)と久ぶりに対面しましたが、かなりスリムになったようです 朝は寝ている人間を起こしに来て、夜は早く寝ろと催促するそうです    妹夫婦の家では もはや”ヌシ"的存在になっている様子です 幸いにも、墓参りも行き帰りの道中も雨に降られることがありませんでした 普段の心がけが・・・みなまで言うまい

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2813日目を迎え、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻を巡り部分動員令を出して以降、ビザなしで入れる隣国モンゴルにロシアから入国する人々が急増している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     誰だって独裁者プーチンの犠牲になって死にたくないからね 朝青龍が待ってるかも

 

         

 

昨日、夕食に「真鯛の塩焼き」「マグロの山掛け」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「豚汁」を作りました 出来るだけ魚を食べるようにしていますが、和食はいいですね

 

     

 

         

 

22日(木)の日経朝刊 文化面に「オーケストラ来日コスト上昇  円安影響、招へい激減も」という見出しによる同社編集委員・瀬崎久見子さんの記事が載っていました リードには、「新型コロナウイルスの影響で、大人数が移動するオーケストラの来日ツアーが困難になって2年半。今秋からいよいよ本格的にツアーが再開するが、円安などを背景に招へい元のコスト負担が重くなっており、今後は不透明だ」とあります 本文の概要は以下の通りです

「9~10月はサイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団、クラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団、11月はアンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団、12月はダニエル・バレンボイム指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団の来日公演が予定されている これほど短期間に大物が大挙して来日することは、コロナ前でもあまりなかった クラシック音楽界が平時に戻りつつある証左といえるが、一方で今年は、戦争の影響などによる物流コストの上昇に円安が加わり、日本の招へい元のやり繰りは苦しい ボストン響を招へいするサントリーホールの白川英伸副支配人は「平時に比べるとコストは1億円増」と予測する 大編成のオーケストラの場合、100人以上の人と楽器が移動するが、ロシアによるウクライナ侵攻や原油高などの影響で、航空運賃や燃油サーチャージは高騰している さらに関係者が口をそろえるのは、航空貨物運賃の値上がりだ。加えて、円安がコストを押し上げる パリ管を招へいするエイベックス・クラシックス・インターナショナルは入場料を当初、2万8000円~1万2000円と発表していたが、チケット発売日が迫る中、3万2000円~1万5000円に値上げした 同社の中島浩之社長は「円安がここまで進むとは想定していなかった」と異例の変更の理由を話す。一方、老舗のジャパン・アーツの二瓶純一社長は、今秋のような一流オケの来日ツアーが『今後、激減するのではないか。大きなスポンサーがつく公演は別として、中小の民間事業者が、今のようなコスト高の中で一流オケを呼び続けるのは無理』と語る さらに、ウクライナ侵攻や、環境問題への関心の高まりから『航空機での移動を減らすことを考える音楽家やオーケストラが増えている』と語る そんな中で、今年のように一流オケが短期間に4団体も来日することが、来年以降も続くかというと疑問なのだ その一方、ドイツのカンマー・フィルのような中規模で個性的なオケや、地方都市の有力オケ、ソロのピアニストやヴァイオリニストの来日は増えるかもしれない 一流オケも、例えばサントリーホールと縁の深いウィーン・フィルなどは、来年以降も来日するはずだ 著名オーケストラの演奏は、今や配信でも聴けるようになった もし来日が減っても、それらとは違う新しい音楽家と出会う機会が増えると前向きにとらえたい

 

     

     

クラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団のチケット代については、最初のチラシと新しいチラシを比べてみて、「これって、ぼろ儲けじゃね」と思ったものですが、ウクライナ戦争や原油高による航空運賃や楽器の輸送運賃の高騰に円安が加わって、とてつもない金額設定になっているのだと分かります 幸か不幸か、私はマケラが都響を振ったショスタコーヴィチ「交響曲第7番”レニングラード」とマーラー「交響曲第6番」の演奏を聴いているので、あえて高額なチケット代を払ってまでパリ管を聴きに行こうとは思いません だいたいにして、D席が15,000円なんて不当以外の何物でもありません 在京を中心に日本のオーケストラの実力が一段と向上している中、ロンドン響、ボストン響、スターツカペレ・ベルリンについても、チケット代に見合った価値(期待値)を見い出すことが出来そうもないので、チケットを取ろうとは思いません 要するに、海外オケの1回のコンサートに在京オケの年間会費の約半分の金額を費やすほどの価値がどれほどあるか、ということです

 

     

 

記事の中で、ジャパン・アーツの二瓶社長が「環境問題等への関心の高まりから、航空機での移動を減らすことを考える音楽家やオーケストラが増えている」と語っていますが、ヨーロッパのように陸続きの国だったら陸路(燃料の代わりに電気を使用する交通手段)で移動すれば環境問題をクリアできるでしょうが、100人規模のオーケストラの楽団員を島国・日本に移動させるのに航空機を使用しないで、どうやって移動させることができるのか?  と考えてしまいます 大型客船くらいしか頭に浮かびませんが、船だとしても燃料費はかかるし、おまけに移動時間が航空機よりもかなり長くなるので滞在費等の負担も多くなります そう考えると、日本への移動手段はやはり航空機しかないように思われ、二瓶社長の指摘の通り、海外の”大物”オケの来日公演は激減するのではないかと思います さらにオペラの場合は200人規模の人たちを移動させることになり、より多額の経費がかかることを考えると、海外のオペラ劇場の引っ越し公演は絶望的になるのではないかと危惧します

 

         

 

伊坂幸太郎著「クジラアタマの王様」(新潮文庫)を読み終わりました 伊坂幸太郎は1971年千葉県生まれ。1995年、東北大学法学部卒業。2000年「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー 2004年「アヒルと鴨のコインロッカー」で吉川英治文学新人賞、2008年「ゴールデンスランバー」で本屋大賞と山本周五郎賞、2014年「マリアビートル」で大学読書人大賞など受賞多数

 

     

 

本書は令和元年7月にNHK出版より刊行された単行本を文庫化したものです

主人公の岸は製菓会社の広報部員。身重の妻と二人暮らしの彼は、ある日会社から新製品のマシュマロ菓子に画鋲が混入していたという女性クレーマーへの対応を命じられる 生真面目な岸は居丈高なクレーマー客や横暴な広報部長と向き合いながら懸命にトラブルを解決しようと奮闘努力する 非難の嵐に疲れ果てる岸だったが、女性クレーマーの夫である都議会議員の池野内征爾や、マシュマロ菓子が大好きだという人気ダンサーの小沢ヒジリとの出会いを通して、3人が同じ夢の中で何者かと闘っていることを自覚するようになり、夢の世界と現実の世界が混在してくる 池野内の推測によれば、現実世界と夢の世界はリンクしていて、夢の世界で彼らは 街の広場に陣取るハシビロコウ(嘴が大きい鳥)に討伐対象のモンスターを指示され、それに勝利できれば現実世界でのトラブルを回避でき、負けてしまうとその逆の結果になるのだという しかし、岸たちはあくまでも夢世界のもう一人の自分と紐付いているだけで、自ら闘いに参戦するわけではなく、その結末を夢で見届けることしかできないという かくして3人は夢の世界での闘いぶりに振り回されながら現実の世界を生きていく

本書は第1章「マシュマロとハリネズミ」、第2章「政治家と雷」、第3章「炎とサイコロ」、第4章「マイクロチップと鳥」という流れで物語が展開していきますが、各章のはじめに川口澄子さんの漫画風の挿画が登場し、岸が夢の中で見ているモンスターとの闘いを描いています これがシンプルながら秀逸です

物語の最後に、鳥の「ハシビロコウ」がラテン語の学名で、「クジラアタマの王様」という意味を持っていることが明かされます

440ページにわたる本書を読み終わって思ったのは、パソコンやスマホのロールプレイング・ゲームに熱中している人たちの中には、岸たちのように夢の世界の出来事が現実の生活を左右する現象を経験している人がいるかもしれない、ということです 伊坂幸太郎ならではのユーモアに溢れたエンターテインメント小説です お薦めします

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ファビオ・ルイージ ✕ ジェームズ・エーネス ✕ NHK交響楽団でベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」、ブラームス「交響曲第2番」を聴く ~N響9月度Bプロ

2022年09月23日 07時02分07秒 | 日記

23日(金・祝)。わが家に来てから今日で2812日目を迎え、米ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は21日、トランプ前米大統領一族の中核企業トランプ・オーガニゼーションが、所有不動産の資産価値を偽るなど不正操作して利益を得たとして、トランプ氏と、長女イバンカ氏ら子供3人などを州裁判所に提訴したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     公文書無断持ち出しに 自社の会計不正操作 それでも次期大統領選に立候補する?

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」と「エノキダケの味噌汁」を作りました 野菜はワンプレートに盛り付けてお皿を減らしました

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールでN響9月度Bプロ演奏会(2日目)を聴きました 新シーズン初めてのBプロ公演です。チケットはソルドアウトとのことで、文字通り満席です 自席は1階センターブロックですが最後列に近い席で、しかも通路側が取れませんでした 残念ながらこの席で1年間聴くことになります

プログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」、②ブラームス「交響曲第2番 ニ長調 作品73」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=ジェームズ・エーネス、指揮=ファビオ・ルイージです

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものN響の並び。コンマスはマロさんこと篠崎史紀です

1曲目はベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1806年に作曲、同年12月23日にアン・デア・ウィーン劇場で初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏のジェームズ・エーネスはカナダ生まれ。5歳でヴァイオリンを始め、13歳でモントリオール交響楽団と共演。ジュリアード音楽院で研鑽を積みました

ルイージの指揮によりティンパニの連打で第1楽章が開始されます    独奏ヴァイオリンは弱音ながら音色の美しさが際立っています    演奏は流麗で落ち着いた雰囲気に満ちています   カデンツァが見事です    クライスラーだろうか。第2楽章はさらにそのスタイルが徹底され、ナーバスとも言えるような弱音で演奏されます    ソリストはストラディバリウスが弱音で演奏しても会場の隅々まで十分届くことを信じて弾いているかのようです 弱音だとどうしても聴衆は耳を傾けて聴こうとします。それを考慮に入れて演奏しているのだろうか、とさえ思ってしまいます ルイージはソリスト・ファーストの立場に立って指揮をするので、ソリストの音を消すような大きな音は出しません したがって全体的に抑制の効いた落ち着いた音楽づくりになります かなりテンポを落としてじっくりと聴かせる演奏を展開します 第3楽章に入ると一転、軽快な演奏が続きますが、個人的にはベートーヴェンにはもっとパワーがほしいところです しかし、こういう美麗で落ち着いたベートーヴェンもあっていいでしょう

満場の拍手にエーネスはアンコールにJ.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調BWV.1005」から第3楽章「ラルゴ」を流麗に演奏、再び大きな拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はブラームス「交響曲第2番 ニ長調 作品73」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1877年に作曲、同年12月30日にウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ・ノン・トロッポ ~ リステッソ・テンポ、マ・グラツィオーソ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ、クアジ・アンダンティーノ」、第4楽章「アレグロ・コン・スピーリト」の4楽章から成ります

ブラームスは「交響曲第1番」の初演を終えた翌1877年から毎夏、南オーストリアのヴェルター湖畔にあるペルチャッハで作曲活動をするようになります この曲は、風光明媚なその地で書かれ、歌心に満ちた曲想から「ブラームスの田園交響曲」と呼ばれています

ルイージの指揮で第1楽章が開始されます 冒頭のチェロの演奏からして伸び伸びとしていて、ブラームス独自の中低音の魅力を感じます 吉村結実のオーボエ、神田寛明のフルート、そして今井仁志のホルンが素晴らしい ルイージの指揮も、1曲目の弱音重視スタイルから解放されたかのような伸び伸びとした感じを受けます 全体的に明るい曲想の中で第2楽章には陰りが見えます 第3楽章でもオーボエとフルートの演奏が冴えています 第4楽章ではゆったりしたテンポから徐々にテンポを上げて緊張感を高めていくところが堪りません ルイージは、歌わせるべきところはテンポを落として十分に歌わせ、それからアクセルを踏んで緊張感に満ちた音楽を展開し、フィナーレに突入します。実に爽快な演奏でした

N響コンサートは終演後のカーテンコールの写真撮影が可能になったので、会場のそこかしこでスマホが活躍しました N響の思う壺と思いながらもシャッターを切りました

 

     

     

     

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「ロシアのウクライナ侵攻を非難しているのは世界人口の36%」という衝撃 ~ 日経全面広告から / 道尾秀介著「い け な い」を読む ~ 写真が真相解明のヒントに

2022年09月22日 07時02分50秒 | 日記

22日(木)。わが家に来てから今日で2811日目を迎え、ウクライナ侵攻をめぐりロシアのプーチン大統領は21日に放送された国民向けの演説で、予備兵など一部のロシア国民の動員を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシア兵の死者が際限なく増えている証拠 プーチンはさらに墓穴を掘ろうとしてる

 

         

 

昨日、夕食に「ナスと豚肉の中華風煮込み」「生野菜とアボカドと海老のサラダ」「冷奴」「ジャガイモの味噌汁」を作りました 「ナスと~」は過去の新聞の「料理メモ」を参考にして作りました。今回が初挑戦です ビールはもちろんサッポロCLASSICです なお、当ブログはアフィリエイト広告を採用していませんのでサッポロビールからは1円ももらっていません 悪しからず

 

     

 

         

 

昨日の日経朝刊第32面に日経の全面広告(下の写真)が載っていました タイトルに「ロシアのウクライナ侵攻を非難しているのは、世界人口のわずか36%」とあり、「非難:中立:ロシアに同調」の割合を示す円グラフの下で「分断は、想像以上に進んでいる。どうしてこうなった?」と問いかけています

 

     

 

紙面右下のQRコードを開くと次のような文章が現れます

「世界はいま、米欧などの「西側陣営」と「中国・ロシア陣営」、そして「中立パワー」と呼ばれる、どちらにもくみしない国家群の3極体制に移っています 国際社会での米国の指導力低下などを背景に台頭する、トルコやインドなど「中立パワー」の行動基準は、民主主義の価値よりも自国にとって損か得かです ロシアによるウクライナ侵攻に対する各国の立場の違いは、世界秩序の縮図でもあります

そして、グラフの分析を中心に次のように解説しています

「英誌エコノミストの調査部門EIUによると、ロシアのウクライナ侵略を非難したり、制裁したりしている国々は、西側諸国を中心に世界人口の36%にすぎない(3月30日分析)。32%はインドやブラジル、南アフリカのように中立を決め込む国々。残る32%はロシアの主張を理解するか、支持する中国やイランなどである バイデン米大統領をはじめとする西側リーダーは、世界が対ロシアで結束していると力説する。しかし、実態は逆なのだ

「アジア外交筋によると、ロシアは東南アジアの国々に対し、西側のロシア非難に同調すれば、兵器部品の供給を止めると水面下で脅かしているという 東南アジアにとりロシアは最大の兵器供給国だ。一方、中国は圧力だけでなく、援助や投資といったアメも注ぎ、途上国の取り込みを進める

「主要国は中立パワーを西側に引き寄せ、西側主導の秩序に戻していくことが目標だ それは戦略上、各国が何を必要としているのかを個別に見定め、互いの利益にかなう協力を重ねるしかない

日本政府は「西側諸国」に歩調を合わせてロシアに対し「非難」の立場を取っています。また、新聞・テレビを中心とするマスコミもロシアを非難するスタンスで報道しています 読者・視聴者の立場からすると、世界中の国々がロシアに批判的な態度を取っているように思い込んでしまいがちです しかし、こうしたデータを見ると実態は全く違うことが分かります われわれは、あくまでも 問答無用でウクライナに侵略し破壊と殺人を繰り返すプーチン・ロシアを絶対許さないという立場を採る一方で、必ずしも絶対多数の考え方ではないという事実を意識しながら、報道される内容を吟味しなければならないと思います

 

         

 

道尾秀介著「いけない」(文春文庫)を読み終わりました 道尾秀介は1975年生まれ。2004年「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー 2007年「シャドウ」で本格ミステリ大賞、2009年「カラスの親指」で日本推理作家協会賞、2010年「龍神の雨」で大藪春彦賞、2011年「月と蟹」で直木賞を受賞。著書多数

 

     

 

本書は2019年7月に文藝春秋社から刊行された単行本を文庫化したもので、次の4つの物語から成る連作短編集です

第1章「弓投げの崖を見てはいけない」

第2章「その話を聞かせてはいけない」

第3章「絵の謎に気づいてはいけない」

終 章「街の平和を信じてはいけない」

そして、目次の次ページに「本書のご使用方法」が書かれています

〇まずは各章の物語をじっくりとお楽しみください。

〇各章の最終ページには、ある写真が挿入されています。

〇写真を見ることで、それぞれの”隠された真相”を発見していただければ幸いです。

第1章・・・死んだのは誰か?

第2章・・・なぜ死んだのか?

第3章・・・罪は誰のものか?

終 章・・・????????

上のように各章の謎を解くヒントが書かれています

全体のストーリーは、白沢(はくたく)市と蝦蟇倉(がまくら)市を舞台に、交通事故や新興宗教団体などが絡みつつ謎が提示されていきます

各章の最終ページに掲載された写真を見て、「ああ、なるほどそういうことか」とすぐに解ったのは「第3章」の写真だけです。そこには誰かが万年筆でイラストを描く様子が映し出されていますが、物語を読めばその人物が誰かが解ります 「終章」は手紙の写真ですが、最初は意味が解りませんでした。目を凝らしてよく見ると手紙には何も書かれていないことに気が付きます そこで初めて、「ああ、そういうことか」と理解できました 「第2章」はお婆さんと親族がインタビューに答えているテレビ画面の写真ですが、後ろに少年の姿が映っていることから、少年がヒントになっていることが解ります 今でも全く解らないのは第1章の地図の写真です スーパーとレンタサイクルとゆかり荘が蝦蟇倉市内の地図に落とし込まれていますが、物語の中でどういう意味を持っているのか全く解りません どなたかこの謎が解ける人がいたら教えてほしいくらいです

この小説では、2人の人物がそれぞれ「事の真相」を手紙に託して残したわけですが、1通は破り捨てられ、1通は何も書かれていなかったということで、結局、真相は闇の中に葬り去られたことになります そこが著者の狙いだったように思います

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セバスティアン・ヴァイグレ ✕ ファン・スミ ✕ 大西宇宙 ✕ 新国立劇場合唱団 ✕ 読売日響でブラームス「ドイツ・レクイエム」、ダニエル・シュニーダー「聖ヨハネの黙示録」を聴く

2022年09月21日 07時03分01秒 | 日記

21日(水)。わが家に来てから今日で2810日目を迎え、朝鮮中央通信は20日、金正恩朝鮮労働党総書記が、野党・朝鮮社会民主党のキム・ジョンウン委員長の逝去に際し、霊前に供花を贈ったと伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     北朝鮮が複数政党を認めてることをアピールするためのフェイク政党だ  見え見え!

 

         

 

昨日、夕食に「鮭の西京焼き」「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「冷奴」を作りました コンサート前なのでサッポロCLASSICはありません

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで読売日響「第621回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ダニエル・シュニーダー「聖ヨハネの黙示録」、②ブラームス「ドイツ・レクイエム」です 演奏はソプラノ独唱=ファン・スミ、バリトン独唱=大西宇宙、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=読響常任指揮者 セバスティアン・ヴァイグレです

ファン・スミはソウル出身のソプラノです。ミュンヘン音楽・演劇大学で研鑽を積み、2014年エリザベート王妃国際コンクール優勝など数々のコンクールに入賞しています

大西宇宙は西の空からやって来た宇宙人ではありません おおにし・たかおきと読みます。武蔵野音大・同大学院、ジュリアード音楽院で学び、リチア・アルバネーゼ=プッチーニ国際声楽コンクール等で優勝 シカゴ・リリック・オペラ所属歌手として多くのオペラに出演しました

 

     

 

P席に新国立劇場合唱団の女声30名、男声28名が市松模様でスタンバイ、オーケストラのメンバーが配置に着きます

弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び。コンマスは林雄介。どうやら長原幸太から変更のようです パイプオルガンを使用しますが、オルガニストは2階正面のオルガン席ではなく、1階上手のヴィオラの後方にある「操作卓」で演奏するようです

1曲目はダニエル・シュニーダー「聖ヨハネの黙示録」です この曲は1961年チューリヒ生まれのダニエル・シュニーダーが2000年にアメリカのミルウォーキー交響楽団の委嘱により作曲、2001年2月8日にミルウォーキーで初演された作品で、今回が日本初演になります 澤谷夏樹氏のプログラムノートによると、「聖書の最終巻である預言の書を取り上げ、その内容を一続きのオラトリオとして組み立てた」ものです 詞章の内容に基づき大きく3つの部分に分かれていますが、曲は途切れなく演奏されます

ヴァイグレの指揮で演奏に入りますが、極めてエキセントリックな曲想で面喰います しかし、作曲者のペースに慣れてくると違和感なく受け入れられるのが不思議です ファン・スミは力強くも美しいソプラノです 大西宇宙は声が良く通ります 終盤になると急にラテン音楽のルンバ調になり、「エッ」と驚きました 黙示録にルンバ・・・「この人、何でもありかい」と思いましたが、これなら宗教音楽愛好家は増えるんじゃないか、と思ったりしました 全体を通して新国立劇場合唱団のコーラスが素晴らしく、また、オルガンが通奏低音として終始オーケストラ、ソリスト、合唱を支えていました オルガン奏者は手は一切使わず、足だけで演奏しました(低音部はペダルを足で踏んで演奏するので)。決して手抜きではありません、足からず

この曲は初めて聴きましたが、最初は「変な曲」と思ったものの、聴き終わったらすごくいい曲だと思いました 曲が素晴らしいからか、あるいは演奏者が素晴らしいからか、まあ両方でしょうね

 

     

 

プログラム後半はブラームス「ドイツ・レクイエム」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)がマルティン・ルターのドイツ語訳聖書に基づいて1865年から68年にかけて作曲、1869年2月18日にライプツィヒで全曲が初演されました 第1曲「悲しむ人々は、幸いである」、第2曲「人は皆、草のようで」、第3曲「主よ、知らせてください」、第4曲「万軍の主よ、あなたの住まいは」、第5曲「あなたがたにも、今は苦しみが」、第6曲「地上に永続する都は」、第7曲「主にあって死ぬ人は幸いである」の7曲から成ります

ヴァイグレの指揮で演奏に入りますが、全体を通して聴いた印象は、とにかく合唱が素晴らしい 海外から来日したアーティストたちが驚くという、世界に通用する新国立劇場合唱団のコーラスが圧倒的な迫力で迫ってきます そして、第3曲と第6曲における大西宇宙のバリトン独唱がオーケストラの音を超えて迫ってきます さらに第5曲ではファン・スミの透明感のあるソプラノが、バッハの宗教曲を想起させます また、この曲でも通奏低音のオルガンがしっかりとオーケストラ、ソリスト、合唱を下支えしていました ヴァイグレは並みはずれた統率力で演奏を完結しました

カーテンコールが繰り返されますが、今回つくづく思ったのは常任指揮者はこうでなければならない、ということです 読響の楽団員の演奏姿を見れば、指揮者との信頼関係が完璧に築き上げられていることが分かります

「それにしても・・・」と思うのは、9月だけでもヤナーチェク「グレゴル・ミサ」(大野和士 ✕ 都響)、ヴェルディ「レクイエム」(ルイージ ✕ N響)、そして今回のシュニーダー「聖ヨハネの黙示録」(ヴァイグレ ✕ 読響)、ブラームス「ドイツ・レクイエム」(同)と聴いてきて、どれもが素晴らしいと思ったことです 立て続けに宗教曲を聴いて感動しているオレってヤバくね

この日のコンサート、大型台風に直面しなくてよかったと思いました

 

     

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