人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

リチャード・リンクレイター監督、ケイト・ブランシェット主演「バーナデット ママは行方不明」を観る ~ 夫と娘の前からこつ然と消え、一人南極に向かった女性の物語

2024年01月31日 06時13分41秒 | 日記

31日(水)。月末になったので、恒例により1月の3つの目標の実績をご報告します ①クラシック・コンサート=14回(今夜の公演を含む)、②映画鑑賞=10本、③読書=4冊でした ①はこのほか公開リハーサルを1度見学しました。毎月のペースはこんなものだと思います

ということで、わが家に来てから今日で3304日目を迎え、上川陽子外相は30日の記者会見で、自民党の麻生太郎副総裁が28日の講演で上川氏の容姿を「そんなに美しい方とは言わない」などと言及したことについて、「さまざまなご意見や声があることは承知しているが、どのような声もありがたく受け止めている」と述べたが、直接論評することはなかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     過去の失言を反省しない麻生副総裁の無能ぶりに比べて 上川外相は大人の対応だね 

     

         

 

昨日、夕食に「鯵の塩焼き」「豚汁」を作り、「鯵の刺身」と一緒にいただきました 鯵は大学時代の友人S君が送ってくれたものですが、これが最後の一尾です

 

     

     

         

 

昨日、早稲田松竹でリチャード・リンクレイター監督による2019年製作アメリカ映画「バーナデット ママは行方不明」(108分)を観ました

シアトルに暮らす専業主婦バーナデット(ケイト・ブランシェット)は、一流ⅠT企業に勤める夫エルジー(ビリー・クラダップ)や親友のような関係の愛娘ビー(エマ・ネルソン)に囲まれ、幸せな毎日を送っているかにみえた しかし彼女は極度の人間嫌いで、隣人やママ友たちと上手く付き合うことができない 外出も苦手で、買い物や家事やスケジュール管理は、メールで依頼できる”バーチャル秘書”に任せっぱなしだった そんなある日、娘のビーが学校で優秀な成績を修めたので、以前からの約束通り、一家で南極へ旅行することになった ところが、出発前に突然バーナデットは、家族の前からこつ然と姿を消し、南極へ向かう ビーとエルジーはバーナデットの捜索に乗り出すが、その過程で彼女の過去を知ることになる かつて天才建築家として活躍しながらも夢を諦めた過去を持つバーナデットは、現在の退屈な毎日に息苦しさを募らせており、本心は建築の仕事がしたかったのだった

 

     

 

【以下ネタバレ注意】

この映画は、マリア・センプルのベストセラー小説「バーナデットを探せ!」を実写映画化したヒューマンコメディです

ストーリーは、精神に異常をきたしたと疑われ 入院を勧められたバーナデットが、それを回避するため南極に旅立ち、それを追う形でビーとエルジーが南極に向かい、現地で再会するが、バーナデットは交渉の末に南極基地の設計を任せられ夢を叶えるというものです

とにかく、バーナデットを演じるブランシェットが強烈です ”バーチャル秘書”を相手にスマホに音声入力する言葉の量とスピードは半端なく、エネルギッシュに動き回ります 「これが人間嫌い?」と言いたくなるほどの行動力です ブランシェットが他の女優と異なる大きな特徴は、あの低音の魅力ではないかと思います

かつて抱いていた夢を結婚等によって諦めた女性が、一念発起してトンデモナイ行動に移り、最後には過去の夢を実現するーというストーリーは、同じような境遇にある人々の共感を得ると思います しかし、現実的な問題として考えてみると、誰もが過去の夢を実現できるかといえばそう甘いものではなく、バーナデットのように過去に特定の分野で活躍し、認められていた実績がある者に限るということだと思います 南極行きは楽しそうですが、難局が待ち構えていると考えておいた方が良いと言えるかもしれません

 

     

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マーティン・スコセッシ監督「アリスの恋」を観る ~ 再び歌手になるため小学生の息子と故郷モンタレーを目指す35歳の女性のロードムービー / 間もなく手術から1年

2024年01月30日 03時19分20秒 | 日記

30日(火)。何気に「去年の今頃 何をしていたかなぁ」と思い1年前の手帳を見たら、1月31日(火)に都立O病院で新型コロナのPCR検査、2月2日(木)にO病院に入院、3日(金)に鼡径ヘルニア手術(左側)、5日(土)に退院ーとありました 「あれからもう1年が経ったのか」と月日の流れの速さを感じます もちろん、この間もブログは書き続けていました 5日にはN響定期公演がありましたが、さすがに退院当日ということで大事を取って出かけませんでした しかし、その翌週は4回コンサートを聴いています もう立派な病気です

ということで、わが家に来てから今日で3303日目を迎え、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日、月面着陸に成功後、電源オフになっていた月探査機SLIMが、太陽電池パネルの発電が出来るようになり、約9日ぶりに再起動し月面探査を再開した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自民党の裏金問題・能登の地震と暗いニュースが続く中  貴重な明るいニュースだ

 

         

 

昨日、夕食に「鶏のクリームシチュー」と「生野菜サラダ」を作りました 寒い日はカレーやシチューが食べたくなります

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でマーティン・スコセッシ監督による1974年製作アメリカ映画「アリスの恋」(113分)を観ました

娘時代には歌手を目指したアリス(エレン・バースティン)も、すでに35歳。粗野な夫に頼りきり、こましゃくれた小学生の息子トミー(アルフレッド・ルッター)と平凡な生活を送っている しかし、夫の事故死をきっかけに、アリスは再び歌手を目指すことを決心し、トミーを連れて故郷モンタレ―を目指して旅立った おんぼろ車での長距離移動はたちまち金が底をつき、途中の町で職を探すアリス 歌手と名乗ってバーを巡るが働き口は見つからない ようやく雇われたバーで言い寄る男とすぐに懇意になるアリスだが、この男はドメスティック・バイオレンスで妻をいたぶる危険人物だった トミーと町を逃げ出し、男に頼る自分の性格を反省するアリス 次に立ち寄った町ではウエイトレスの仕事しか見つからなかった 店の常連で離婚歴のある牧場主デヴィッド(クリス・クリストファーソン)はアリスに好意を抱き、息子のトミーにも優しく接してくれた しかし、男には頼るまいと心に決めたアリスはなかなかデヴィッドと打ち解けられない そんな中、ギターの教え方をめぐってトミーが反抗したことからデヴィッドはトミーを叩いてしまう アリスにとって暴力は許せないことだった しかし、どうしてもアリスが諦めきれないデヴィッドは彼女の働くレストランに出向いて、公衆の面前で反省の気持ち彼女に伝え 結婚を申し込む

 

     

 

この映画は、スコセッシ監督による日本で初めて公開された作品で、エレン・バースティンの依頼により撮った映画です 「この映画はかなり前に一度観たことがある」と思い出したのは、アリスの働く大衆レストランで、ウエイトレスが料理を客席に配膳するのに、配膳先を間違えて何度も配っては取り下げ、また配っては取り下げて客を呆れさせるシーンです

私がスコセッシ監督と聞いて頭に浮かぶのはロバート・デ・ニーロ主演「タクシー・ドライバー」(1976年)、レオナルド・ディカプリオ主演「シャッター・アイランド」(2009年)、そしてロバート・デ・ニーロ主演「アイリッシュマン」(2019年・Netflixオリジナル)の3作です ある意味シビアな内容のこの3作と比べると、極めて異色でハートウォーミングでチャーミングな作品です 何より主演のエレン・バースティンが輝いています 歌手としてクラブでピアノの弾き語りをする姿も、ウエイトレスとして大衆レストランで働く姿も生き生きとして魅力に溢れています その一方で、生意気な小学生の息子トミーとの丁々発止のやり取りが可笑しい 一番笑ってしまったのは、アリスが歌手として売り込むために新調した衣装を着てドアをノックすると、トミーがドアを開けますが、アリスが「ダイアナ・ロス!」と言ってポーズをとると、トミーは無視してドアを閉めてしまうシーンです 「フン、何がダイアナロスだ」といった感じです トミー役のアルフレッド・ルッターが本当に可笑しい

本作では、アリスが何曲かピアノの弾き語りでバラード調の歌を歌いますが、彼女が本当に弾いているのだろうか? いずれにしても、私には1曲も分からなかったのが残念です

 

     

 

本日、toraブログのトータル閲覧数が850万 P V を、トータル訪問者数が270万 I P を超えました( 8,500,469 PV , 2,700,571 IP : 3,178,558 ブログ中 237位 )。これもひとえに普段からご訪問くださっている読者の皆さまのお陰と感謝申し上げます    これからも1日も休まず根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

 

     

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「レコードを聴こう」 ~ 日経「REVIVE 2月号」から / 誉田哲也著「もう、聞こえない」を読む ~ 見知らぬ男を殴り殺した女性の耳元で囁き続けるのは誰か?

2024年01月29日 06時43分31秒 | 日記

29日(月)。先週はコンサートや映画で毎日のように出かけていましたが、昨日は午前中にマンション管理組合の理事会に出席し、午後に池袋で買い物をしたくらいで、久しぶりにゆったりと過ごしました こういう日がないと緊張感が抜けません とはいうものの読書だけは1日1冊は読み切れないので毎日のように読んでいます

ところで、日本経済新聞に月1回挟み込まれてくるタブロイド判「REVIVE」2月号のタイトルは「レコードを聴こう」でした ピーター・バラカン氏(1951年ロンドン生まれ)がレコードの魅力や楽しみ方を紹介しています。彼は次のように語っています

「片面およそ20分。一度針を落としたら気に入らない曲があったとしてもいちいち針を上げてまた落としてと面倒 だからその面が終わるまでは聴こうという気持ちになるんだけど、この20分というのが集中できていいと思うんです つまりは音楽ときちんと向き合える。それがレコードの魅力なのだと思います

ここでいう20分というのは、バラカンさんが聴いているのは主にロックやフォークだからだと思います クラシックの場合は片面30分が普通だと思います ただ「一度針を落としたら ~ いちいち針を上げてまた落としてと面倒」というのはジャンルを問わずその通りだと思います   その点がCDと全く異なるところです

「音楽と向き合う」ということでいえば、私がレコードを聴くときの”儀式”として、まずレコードの埃をエタノールで拭き取ってから針を落とします それから少しずつボリュームを上げていきます そして、左右のスピーカーを結ぶ線を底辺とする二等辺三角形の頂点の位置に座って聴きます CDを聴く時はこういう面倒な儀式はやりません その意味では、私にとってレコードは単なるモノではありません

当該記事の一角に「レコードの歴史とミニトリビア」が掲載されています 超略すると次の通りです

「レコードが誕生したのは約150年前の1877年(明治10年)。トーマス・エジソンが作った 錫箔を巻き付けた円筒形のもの エジソンが最初にそのレコードに録音したのは『メリーさんのひつじ』だった 現在の円盤レコードの生みの親はエミール・ベルリナーで、蓄音機の分野では生涯エジソンと競ったライバルだった 日本で初めてレコードが販売されたのは1903年(明治36年)。最盛期は1980年(昭和55年)で、生産額は約1812臆円、1982年(昭和57年)のCD登場以降生産額は減少し、2010年(平成22年)には約1億7000万円まで落ち込んだ その後、コロナ禍あたりからアナログブームが再燃し、2022年(令和4年)には約43億円にまで増加した このブームで特徴的なのは、コロナ禍で久々にレコードを聴こうと思い出したアナログ第1世代の回帰組とは別に、Z世代の興味が高まっていること デジタルネーティブと呼ばれる彼らはレコードをセットし、針を落とすという手間をかけて音楽を聴くことが楽しいという

最近、レコードはすっかりご無沙汰しています 久々に聴いてみようかな

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3302日目を迎え、米大統領選の共和党候補者指名争いで独走するトランプ前大統領(77)は、本選を見据えて副大統領候補選びを本格化させているが、女性や非白人を選ぶとの見方があり、候補と目される政治家は集会に駆けつけ、アピールに余念がない  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプの副大統領候補の条件は「絶対服従」だから 誰がやっても同じじゃね?

 

         

 

誉田哲也著「もう、聞こえない」(幻冬舎文庫)を読み終わりました 誉田哲也(ほんだ てつや)は1969年東京都生まれ。2002年に「妖の華」で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞しデビュー 2003年に「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。著書に「姫川玲子」シリーズ、「武士道」シリーズ、「ジウ」シリーズなど枚挙にいとまがない

「週刊誌の編集者・中西雪実は傷害致死容疑で逮捕されたが、罪を認め聴取に応じるものの、動機や被害者との関係については多くを語らない さらに聴取の際、突然「声が、聞こえるんです」と訳の分からないことを言いだす 警視庁捜査一課の刑事・武脇元は「精神鑑定が必要な案件か?」と疑い始めるが、辛抱強く聴取を進める 一方、雪実が殴り殺した被害者男性の身元は何の手掛かりもないことから、いったい2人はどういう繋がりで出会い、雪実が男性を殺すに至ったのか、謎が深まるばかりだった そんな時、浮上したのは14年前の未解決殺人事件だった。2つの事件を繋げたのは、他界した一人の女性だった

 

     

 

〔以下ネタバレ注意〕

本書は2020年8月に幻冬舎から刊行され、23年10月に文庫化されたものです

読み始めた時は、これまでの誉田作品のような警察小説かと思っていました しかし、雪実の耳元で囁くのが すでに殺されて死んでいる女性(雪実の仕事の前任者)であり、死者が雪実に過去の真相を解明してほしいとの思いから”憑りついている”ことが分かると、これまでの誉田作品にはない「ゴースト・ストーリー」だな、と思いました ただ、他の「幽霊小説」と異なるのは、幽霊があくまでも「言葉」を重視し「言霊(ことだま)」として存在していることです

誉田作品はシビアな描写が少なくないものの、どこかユーモアを感じさせるのが特徴です 本作では、事件が解決したあと、雪実が幽霊とまるで友だちのようになって、持ちつ持たれつの関係になっているところです 本書のタイトルは「もう、聞こえない」ですが、その意味では「まだ、聞こえる」の方が相応しいと思います

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高関健 ✕ 目等貴士 ✕ 東京シティ・フィルでカーゲル「ティンパニとオーケストラのための協奏曲」、R.シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」「ドン・ファン」他を聴く

2024年01月28日 00時01分01秒 | 日記

28日(日)。わが家に来てから今日で3301日目を迎え、トランプ前米大統領が女性作家のジーン・キャロル氏に対する性的暴行を否定し、名誉を毀損したとして損害賠償を求められた訴訟で、米ニューヨークの連邦地裁の陪審は26日、トランプ氏に総額8330万ドル(約123臆円)の支払いを命じる評決を下したが、トランプ氏は陪審の評決について自身のSNS(交流サイト)トゥルース・ソーシャルに「まったくばかげている!評決には同意しないし、私と共和党を標的にしたバイデン指令の魔女狩りは上訴するつもりだ」と投稿した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自分を被害者に見立てて同情を煽り 選挙資金を集めるのはトランプの得意な手法だ

 

         

 

昨日、ティアラこうとうで東京シティ・フィル「第76回ティアラこうとう定期演奏会」を聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第32番 ト長調 K.318」、②カーゲル「ティンパニとオーケストラのための協奏曲」、③R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン 作品20」、④同:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 作品28」です 演奏は②のティンパニ独奏=目等貴士、指揮=高関健です

本公演はチケット完売です

 

     

 

オケは12型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び 2曲目の準備の関係で、ヴィオラ・セクションの手前に3対(6台)のティンパニが設置されています コンマスは特別客演コンサートマスター・荒井英治です

1曲目はモーツアルト「交響曲第32番 ト長調 K.318」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1779年にザルツブルクで作曲した作品です 第1楽章「アレグロ・スピリトーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「テンポ・プリモ」の3楽章から成りますが、切れ目なく演奏されます 捉え方によっては単一楽章の交響曲ですが、この曲の原題は「シンフォニア」で「序曲」を表します 高関 ✕ シティ・フィルの軽快な演奏を聴く限り、曲想としては「急ー緩ー急」による「オペラの序曲」そのものです

2曲目はカーゲル「ティンパニとオーケストラのための協奏曲」です この曲はアルゼンチン出身の作曲家マウリッツィオ・カーゲル(1931-2008)が1985年に作曲した単一楽章の作品です プレトークで高関氏が「最後に何かが起こります それを目当てにお越しになった人もいると思いますが、それを除いても、曲そのものが面白い作品です」と語っていましたが、いったい何が起こるのか、と聴衆は興味津々です

ティンパニの目等貴士(もくひと たかし:東京藝大大学院修了)が6台のティンパニを前にしてスタンバイします

高関の指揮でオーケストラの演奏から入りますが、1980年代に流行っていたリゲティやシュトックハウゼンなどのような”現代音楽”が展開し、目等のティンパニが入ってきます マレット(バチ)でティンパニを直接叩くのではなく、指でスナップを利かせてバチを弾いて音を出します それ以降は、様々なマレットを持ち替えながら多彩な音色を繰り出し、同時に足でペダルを踏んで各ティンパニの音程を変えていきます ある時は素手で叩いて音を出します 「超絶技巧ここに極まれり」といった孤立無援・孤軍奮闘の難曲への挑戦が展開します この間、私は6つのティンパニのうち一番左手の6番目のティンパニだけ使用していないことに気が付きました 終盤になると目等は大きなメガホンを持ってティンパニに声を共鳴させ、マレットでソフトに叩きます その後、高速演奏による鮮やかなカデンツァを繰り広げたかと思ったら、目等は6番目のティンパニに頭から突っ込んで鼓面を破り動かなくなりました 高関が心配そうに目等のところに行って、上半身がティンパニの中に埋没している目等を救い出しました 会場は大きな拍手でヤンヤヤンヤの大喝さいです まさかティンパニストがティンパニに頭を突っ込んで曲が終わるなんて誰が考えたでしょうか もちろん、6番目のティンパニだけは演奏されず、鼓面は皮や樹脂の代わりに紙が張ってあり 破け易くなっていたのは言うまでもありません

「冗談音楽」の代名詞とも言える「ホフナング音楽祭」で真っ先に取り上げられそうな作品ですが、時代的にカーゲルの作品の方がずっと後なので出来ません

満場の拍手の中、何度もカーテンコールが繰り返され、目等が満場の拍手を浴びました

 

     

           目等氏が頭を突っ込んで鼓面が破けたティンパニ

 

プログラム後半の1曲目はR.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン 作品20」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)がハンガリー生まれの詩人ニコラウス・レーナウの叙事詩に基づいて1887年から88年にかけて作曲、1889年にワイマルで初演されました この曲における「ドン・ファン」は単なる女たらしではなく、理想の女性を追い求めながらも見出すことが出来ず、絶望の果てに死を選ぶという悲劇的なキャラクターとして描かれています その点、「カタログの歌」で有名なモーツアルトの「ドン・ジョバン二」とは違います

この曲は、前日の公開リハーサルで小間切れながら聴いているので、その時の様子を思い出しながら聴くことになりました

高関の指揮で演奏に入りますが、冒頭から厚みのある弦楽器を中心に迫力のある演奏が展開し、もの凄い風圧が押し寄せてきます 木管楽器群が素晴らしい また、谷あかねを中心とするホルンが冴え渡っています 荒井コンマスのソロも素晴らしかった    高関 ✕ シティ・フィルは速めのテンポにより集中力に満ちた引き締まった演奏を繰り広げました

 

     

 

最後の曲は、R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 作品28」です この曲は1894年から95年にかけて作曲、1895年にケルンで初演されました 「ティル・オイレンシュピーゲル」は14世紀ドイツに実在したとも、架空の人物とも言われる伝説的ならず者です

この曲で思い出すのは、初めてこの曲をライブで聴いたヘルベルト・ブロムシュテット指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のコンサートです 当時はまだドイツ統一前で、東ドイツの楽団であるこのオケは独特の音色を持っていました この時の演奏を聴いてすっかりスターツカペレ・ドレスデンが好きになり、その後 何度かコンサートを聴きに行ったものです さて、思い出したのは、場内アナウンスで「次の曲はヨハン・シュトラウスの『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』です」とアナウンスしたことです    えっマジか?と思いました 当時は今では考えられないこんな単純なミスもあったのです

さて演奏です。この曲でも谷あかねのホルンが素晴らしい この人、もう首席にしてもいいと思います あわせて、トロンボーン、トランペット、テューバの輝かしい演奏が冴えています また、クラリネット、オーボエをはじめとする木管楽器群も揃って冴えた演奏を繰り広げました また、弦楽セクションは切れ味鋭い演奏を展開しました

全体を通して、高関は緩急自在のテンポにより、シティ・フィルの持てる力を存分に引き出し、楽員総力を挙げてのスケールの大きな演奏を繰り広げました

 

     

 

     

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高関健 ✕ 東京シティ・フィル「ティアラこうとう定期演奏会」公開リハーサルを見学する / 読響から「2024年度定期会員券」届く / 今日はモーツアルトの誕生日

2024年01月27日 00時37分30秒 | 日記

27日(土)。今日はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1.27~1791.12.5)の268回目の誕生日です 記念すべき日なので、愛聴盤を2枚聴くことにします 1枚目は「ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488」他で、演奏はピアノ=マウリツィオ・ポリーニ、カール・ベーム指揮ウィーン・フィルの演奏(1976年4月、ウィーンでの録音)です

 

     

 

2枚目は「ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466」他で、演奏はピアノ=クララ・ハスキル、イゴール・マルケヴィチ指揮コンセール・ラムルー管弦楽団による演奏(1960年11月、パリでの録音)です

 

     

 

2枚ともピアノ協奏曲になりましたが、私にとってモーツアルトと言えば「ピアノ協奏曲」であり「オペラ」です ポリーニにしてもハスキルにしても神がかり的な演奏で、聴いていると背筋が寒くなるほどの感動を覚えます

ということで、わが家に来てから今日で3300日目を迎え、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで逮捕された衆院議員・池田佳隆容疑者(57=自民党を除名処分)の一部の秘書が東京地検特捜部の調べに、強制捜査前に池田容疑者の指示で、事務所のパソコンをドライバーで壊したという趣旨の供述をしていることが分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     パソコンを破壊したことによって  国民からの信頼を破壊したね  議員辞職しかない

     

         

 

昨日、夕食に「鶏肉のガリチー煮・スパゲティー添え」を作りました スパゲティ―の量が多いのでどっちがメインか分からなくなりますが、どっちも美味しいです

 

     

 

         

 

読売日響から「2024年度会員券」等が届きました 封筒に同封されていたのは①2024年度チケット(定期演奏会&名曲シリーズ:各10回分)、②読響会員証、③2024年度パンフレット、④特典CD引換券(2枚)、⑤チケットホルダー(2枚)です 特典CDはA・Bの2種類用意されるのでちょうどいい しかし、チケットホルダーは溜まる一方で困っています 手元にある未使用のチケットホルダーを数えて見たら、読響、N響、新国立オペラ、東京芸術劇場の合計で22枚もありました 私は普段、チケットは今月分だけを財布に入れて携帯しているのでチケットホルダーは使用しません 来月以降のチケットを保管するためだけに使用している(半年ごとに1枚の割合)ので、せいぜい4枚もあれば事足りるのです まあ、古いのを捨てて新しいのを使えばいいのですが、チケットホルダーはそう簡単に古びませんから、なかなか捨てられません

 

     

 

         

 

昨日正午からティアラこうとう大ホールで、東京シティ・フィル「第76回ティアラこうとう定期演奏会」公開リハーサルを見学しました

曲目はリヒャルト・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン 作品20」です 指揮はシティ・フィル常任指揮者・高関健です

 

     

 

交響詩「ドン・ファン」はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)がレーナウの詩に基づいて1887年から翌88年にかけて作曲、1889年にワイマルで初演されました

 

     

 

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものシティ・フィルの並び コンマスはシティ・フィル特別客演コンサートマスター荒井英治です

カジュアルな服装の高関健が指揮台に上り さっそく演奏に入ります    冒頭から弦楽セクションを中心とする切れ味鋭い迫力のある音が迫ってきます   高関は演奏を途中で止め、弦楽を中心に修正点を伝え、再び演奏に戻り、しばらくしてまた演奏を止め、別のセクションに修正点を指摘します その都度、演奏者たちは楽譜に鉛筆でメモを書き入れます ほぼ1時間にわたりこの繰り返しでリハーサルが行われ、「ドン・ファン」全体をおさらいしました 見学していて感じたのは、高関は相当細かい指示を出していたということです この細かさがシティ・フィルの実力を一気に引き上げた原動力になっているのだな と思うと同時に、”オーケストラ・ビルダー”高関健の仕事ぶりを垣間見たように思いました

本番は本日午後3時からティアラこうとう大ホールで、下の写真のチラシに記載のプログラムにより開かれますが、幸いチケットは完売です 今日の本公演が楽しみです

 

     

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トゥガン・ソヒエフ ✕ 郷古廉 ✕ 村上淳一郎 ✕ NHK交響楽団でモーツアルト「VnとVaのための協奏交響曲」、ベートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」を聴く

2024年01月26日 00時07分27秒 | 日記

26日(金)。昨日の朝7時半頃、1階のメールボックスに朝刊を取りに行くと、ちょうど中年男性が全てのボックスにチラシを投函しているところでした 今住んでいるマンションはオートロックで、入口の立て看に「許可なくチラシ等の配布は固くお断りします」と書かれています 数年前、管理組合の理事長をしていた時、チラシを配布している若者を発見し、「誰の許可を取って配布しているんだ!」と問い詰めて止めさせたことがあります 現在私は副理事長ですが、今回は「この人にも生活がある。好き好んでやっているわけではないだろう」と思い、黙認しました 新聞と一緒に数枚のチラシを回収して部屋に戻ってよく見たら「募集 ポスティングスタッフ」というチラシが混じっていました

 

     

 

よく見ると「給与 完全出来高制」となっています これなら誰だって1枚でも多くのチラシを配りたいと思うはずです 朝の7時半は管理人が不在の時間帯なので、それを狙って配布していたのだと思いますが、ちょうど出勤の時間帯に重なるので、入居者に出逢う可能性が極めて高いと言えます もっと早朝にするとか、工夫した方がよいと思います・・・って、不法行為を助けてどうする

ということで、わが家に来てから今日で3299日目を迎え、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は23,24両日に開かれた党政治局拡大会議で「地方人民に食料など初歩的な生活必需品さえ満足に提供できずにいるのは、深刻な政治的問題だ」と不満をあらわにし、担当部署や幹部らを叱責した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       北朝鮮ではトップがミサイルに金を使い  部下は中抜きして私服を肥やしてるのか

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」と「ブナピーの味噌汁」を作りました 肉の下に敷いてあるのはカイワレです。さっぱりして豚肉にピッタリです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールでNHK交響楽団「第2003回 定期演奏会」(Bプロ2日目)を聴きました    プログラムは①モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364」、ベートーヴェン「交響曲第3番 変ホ長調 作品55 ”英雄”」です 出演は ①のヴァイオリン独奏=郷古廉、ヴィオラ独奏=村上淳一郎、指揮=トゥガン・ソヒエフです

指揮を執るトゥガン・ソヒエフは1977年北オセチア共和国(ロシア)のウラジカフカス生まれ サンクトペテルブルク音楽院で指揮をイリヤ・ムーシンとユーリ・テミルカノフに学ぶ 2008年からトゥールーズ・キャピトル劇場管弦楽団音楽監督、2012年から16年までベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者を兼任、2014年からはモスクワのボリショイ劇場音楽監督を務めた

 

     

 

オケは8型の小編成で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び。コンマスは藤江扶紀です 彼女は2018年からトゥールーズ・キャピトル劇場管弦楽団のコ・コンサートマスターを務めているので、ソヒエフ繋がりで客演したのだと思われます

1曲目はモーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364」です。この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1779年頃に作曲しました 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の郷古廉は1993年生まれ。2013年にティボール・ヴァルガ・シオン国際ヴァイオリン・コンクール優勝ならびに聴衆賞・現代曲賞を受賞 2023年4月からN響ゲスト・コンサートマスターを務める

村上淳一郎は桐朋学園大学卒業後、文化庁新進芸術家海外派遣員としてイタリア、フィレンツェに留学 トリエステ国際コンクール第1位。ヴィットリオ・グイ国際音楽コンクール第1位。ケルンWDR交響楽団ソロ・ヴィオリストとして活躍。2021年10月からN響首席ヴィオラ奏者を務める

ソヒエフと共に郷古と村上が登場し、さっそく第1楽章に入ります 2人のソリストを中心に歌心に満ちた演奏が繰り広げられます オーボエの吉村結実と池田昭子の演奏がソリストを盛り立てます 第2楽章はこの曲の白眉です 悲しさ・哀しさを音にするとこういう音楽になるのではないか、と思うほど悲しみを湛えたやるせない音楽です この曲が完成した前年の1778年に、モーツアルトの就職活動のための旅行に同行した母親がパリで亡くなったことがこの楽章に影を落としています 終盤における2人のカデンツァは弱音が美しく響き、モーツアルトの無念さ・やるせなさを表していました 第3楽章は一転、郷古と村上の掛け合いが、また2人とオケとの掛け合いが楽しく、愉悦感に満ちた演奏が展開しました ソフィエフ ✕ N響の面々は軽快な演奏でソリスト2人を支えました

満場の拍手に2人はアンコールに、モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第2番 変ロ長調 K.424」から第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」を優雅に演奏、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

休憩時間にロビーでプログラムを読んでいたら、ホール1階5扉近くの通路で井上道義氏を発見しました 彼はN響2月度Aプロ定期公演でショスタコーヴィチを指揮するので、N響の演奏の様子を見に来たのでしょうか 顔色も良く元気そうだったので安心しました。2月度定期が楽しみです

さて、プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第3番 変ホ長調 作品55 ”英雄”」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1802年から04年にかけて作曲、1805年4月7日にウィーンでベートーヴェンの指揮による初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「葬送行進曲:アダージョ・アッサイ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ ~ トリオ」、第4楽章「終曲:アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

この曲が作曲された1804年に自筆譜に記載されたのは「ボナパルト」でした 世界の改革者としてのナポレオン・ボナパルトを意識して付けたものです。しかし、フランスのナポレオンの侵攻によって祖国である神聖ローマ帝国の滅亡を目の当たりにしたことから、「シンフォニア・エロイカ ある偉大な人物の思い出を記念して」と書き直しています

オケは14型に拡大し、管楽器が増員され、ティンパニが加わります

ソヒエフの指揮で長い第1楽章に入ります この楽章に限らず吉村結実のオーボエ、甲斐雅之のフルートが冴え渡ります 弦楽セクションの渾身の演奏を中心に推進力に満ちた演奏が展開します 第2楽章は葬送行進曲ですが、この楽章も長い 私はこの曲を聴くと昭和天皇崩御の日(1989年1月7日)とそれから1か月ほどの”時代”を思い出します NHK教育テレビはN響の演奏するベートーヴェンの「葬送行進曲」を朝から晩まで流し、”自粛”の大義名分のもと、民放テレビからはコマーシャルが消え、代わりに公共広告機構のCMが繰り返し流されました 音と色彩を失った時代でした

この楽章ではオーボエの吉村結実が抒情的な演奏を繰り広げていました 第3楽章のスケルツォは大好きな音楽で、聴くたびに楽しみにしています ベートーヴェンはこの曲で、管楽器がすべて各2本(2管編成)のところをホルンだけ3本と指定しています この楽章の中間部でホルン三重奏(トリオ)が繰り広げられますが、これがこの楽章のハイライトになっているのです

ところが、このトリオが私の耳には入ってきませんでした この有名なトリオの印象的なメロディーは3度くらい出てきますが、1度も”引っかからなかった”のです 演奏自体が平板で起伏のないものだったため印象に残らなかったのか、あるいは、この楽章だけ私の集中力が極度に落ちて聴き逃したのか、まったく分かりませんが、この楽章が終わってから「あれ?」と思いました 「自分は本当にトリオを聴いたんだろうか?」と、首をかしげました 私はこれまで何回「英雄」を聴いてきたか数え切れませんが、こんな経験をしたのは今回が初めてです いよいよ焼きが回ってきたか・・・と不安になってきました そういうことなので、第4楽章はそのことで頭がいっぱいになって正常な精神状態で聴くことが出来ませんでした

後で冷静になって考えてみると、ソヒエフの指揮はそれなりにメリハリもあり各楽器もよく鳴っていたので、やっぱり自分の集中力が落ちていたのではないか、と思います 3日連続コンサートの最終日は、さすがにきついものがある、ということでしょうか

 

        

     

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新国立オペラでチャイコフスキー「エウゲニー・オネーギン」初日公演を観る ~ エカテリーナ・シウリーナ、ユーリ・ユルチュク、ヴィクトル・アンティペンコ、アレクサンドル・ツィムバリュクにブラビー!

2024年01月25日 01時22分54秒 | 日記

25日(木)。わが家に来てから今日で3298日目を迎え、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、安倍派(清和政策研究会)に所属する杉田水脈衆院議員(比例・中国)は、政治資金収支報告書に不記載があったと自身のブログで明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     黙ってればバレないと思っていたんじゃね? どこにもタレコミの水脈はあるんだぜ

 

         

 

昨日、夕食に「エビの豚肉巻き」を作りました この日は午後6時半からオペラを観る関係で、いつもは4時から夕食作りを始めるのを3時半に繰り上げました 夕食後、開場時間の5時45分には会場に着いて、プログラム冊子を購入して開演前に読めるだけ読んでおくため、早めに準備をしておく必要があるからです 久しぶりに作りましたが、美味しくできました

 

     

 

         

 

昨夜、新国立劇場「オペラパレス」でチャイコフスキーの歌劇「エウゲニー・オネーギン」を観ました 出演は タチヤーナ=エカテリーナ・シウリ―ナ、オネーギン=ユーリ・ユルチュク、レンスキー=ヴィクトル・アンティペンコ、オリガ=アンナ・ゴリャチョーワ、グレーミン公爵=アレクサンドル・ツィムバリュク、ラーリナ=郷家暁子、フィリッピエヴナ=橋爪ゆか、ザレツキー=ヴィタリ・ユシュマノフ、トリケ=升島唯博、隊長=成田眞。管弦楽=東京交響楽団、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=ヴァレンティン・ウリューピン、演出=ドミトリー・ベルトマンです

 

     

 

「エウゲニー・オネーギン」はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)がプーシキンの同名の韻文小説に基づきシロフスキ―とともに台本を作成し、1877年5月から78年2月にかけて作曲した全3幕7場から成るオペラで、1879年3月17日にモスクワでニコライ・ルビンシテイン指揮、モスクワ・マールイ劇場で学生発表会の形で初演されました

物語の舞台は19世紀ロシア。田舎の地主ラ―リン家の娘タチヤーナは、妹オリガの恋人レンスキーが連れてきた貴族オネーギンに強く惹かれる 募る思いを手紙に託すものの、オネーギンは「自分自身をコントロールする術を学びなさい」と相手にしない ラーリン家で開かれた舞踏会でオネーギンはオリガとばかり踊るため、レンスキーの嫉妬を買い、決闘にまで発展する レンスキーを殺害したオネーギンは自責の念から放浪の旅に出る 数年後、今や公爵夫人となったタチヤーナの前に旅から戻ってきたオネーギンが現れ、以前とは逆に熱い恋心を打ち明けるが、タチヤーナは「愛しています」と告げると去っていき、オネーギンは「何と惨めな運命よ」と絶望して幕となる

 

     

 

私が新国立オペラ「エウゲニー・オネーギン」をドミトリー・ベルトマンの演出で観るのは2019年10月に次いで今回が2度目です 新国立オペラのオーケストラ・ピットに入るのは、通常は東京フィルですが、1月~3月は東京交響楽団が入ります

タチヤーナ役のエカテリーナ・シウリ―ナはロシア出身のソプラノです 第1幕第2場の「手紙の場面」の圧倒的な歌唱には、なかなか拍手とブラボーが止みませんでした

オネーギン役のユーリ・ユルチュクはウクライナ・キーウ出身のバリトンです 背丈もあり貴族オネーギンにピッタリの風貌で、歌唱もバリトンの魅力たっぷりでした

レンスキー役のヴィクトル・アンティペンコはロシア・サンクトペテルブルク生まれのテノールです 第2幕第2場における、幸福な過去を回想するアリアには、盛大な拍手とブラボーが飛び交いました

オリガ役のアンナ・ゴリャチョーワはロシア出身のメゾ・ソプラノです オリガの年齢設定の割には低音の魅力が前面に出て大人びていましたが、歌唱力は抜群でした

グレーミン公爵役のアレクサンドル・ツィムバリュクはウクライナ出身のバスです 第3幕第1場において「愛は年齢を超える」というアリアを低音の魅力たっぷりに歌い上げ、満場の拍手とブラボーを浴びました

日本人歌手陣もフィリッピエヴナ役の橋爪ゆかをはじめ大健闘でした

新国立劇場合唱団はいつも通り素晴らしいコーラスとパフォーマンスで楽しませてくれました

特筆すべきはヴァレンティン・ウリューピン指揮東京交響楽団の演奏です 歌手に寄り添いつつ、タチヤーナの複雑な心情を、オネーギンの苦悩を見事に音として表現していました

 

     

 

本公演を鑑賞するに当たり、開演前にプログラム冊子(1200円)を購入して読んでおいたのですが、ロシアの芸術に造詣の深い一柳富美子さんによる「作品ノート」が作品を理解するうえで大いに役立ちました 「基本データ」「主人公の人物像」「抒情的情景の難しさ」「原詩と音楽」「決闘について」「登場人物紹介」「聴きどころ」に分けて解説していますが、私はこれほど分かりやすく懇切丁寧に解説している「作品ノート」を読んだことがありません 中でも分かりやすかったのは「主人公の人物像」です 一柳さんは次のように書いています

「登場人物たちの年齢を日本風に例えれば、第1幕ではオネーギンが大卒社会人、レンスキーが高校3年生、タチヤーナは女子高生、オリガに至っては中学生なので、話題や思考が嚙み合わないのは当然である オネーギンが上から目線でタチヤーナを窘めたのも、宴会でオリガと踊ったオネーギンに下心など微塵もなかったことも、レンスキーが焼きもちを焼きまくったのも、その短気をオネーギンは全く取り合おうとしなかったもの、全て腑に落ちる (略)オネーギンは決して冷酷無情な男性ではなく、むしろ第1幕では恋愛に暴走するタチヤーナにブレーキをかけ、第2幕では貴族の不名誉である決闘放棄を断行してでも血気にはやるレンスキーを止めようとした、懐の深い人物なのである

登場人物の年齢をそのまま現在の日本に当てはめることは出来ませんが、当時のロシアの社会の実情を踏まえてオペラを捉えることは重要なことだと思います

もう一つ、非常に参考になったのは東京外国語大学名誉教授・沼野恭子さんによる「タチヤーナの恋文」という文章です そこには私が疑問に思っていた回答が書かれていました

「それにしても、タチヤ―ナはいまだにオネーギンを愛しているのに、なぜ彼をきっぱり拒絶したのだろうか 以前にふられたことへの復讐だろうか。それとも、妹のフィアンセを決闘で倒した殺人者だからか。道ならぬ恋への畏れ、倫理的な理由からだろうか。でも、社会的な規範(注:女性から男性に手紙を出すことは常識外だった)を破ってまで恋文を書いた女性である もっと主体的な意思が働いていたのではないか じつは、オペラには描かれていないのだが、オネーギンが放浪している間に、タチヤーナは彼の屋敷に行って彼の読んだ本を読み、余白に残されたメモや記号から『男の正体』を見抜いていた

沼野さんはこの後、オネーギンが愛読していた蔵書を明かにします それを読んだタチヤーナは、オネーギンが「物語詩」の主人公を気取っているに過ぎないと喝破します それで彼女は彼を愛しているが、ともに生きていくことは出来ないと結論づけることになるという訳です その蔵書は何か?・・・1200円を投資してプログラム冊子を入手してください 身銭を切らない知識はモノになりません

大きな拍手の中カーテンコールが繰り返されます 終演は当初予定の21時35分を10分ほど過ぎていました 熱狂的な拍手とブラボーを聴く限り、初日公演は大成功に終わったと言えるでしょう

 

     

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ミハイル・プレトニョフ ✕ マルティン・ガルシア・ガルシア ✕ 東京フィルでグリーグ「ピアノ協奏曲」、シベリウス:組曲「カレリア」、「交響曲第2番」を聴く

2024年01月24日 00時12分17秒 | 日記

24日(水)。昨日の日経夕刊のコラム「プロムナード」にエッセイストの酒井順子さんが「『終活』の反対語は?」という文章を寄せていました 彼女は次のように書いています

「”初めての終活”をどのようにスタートさせようかと思いを巡らせていた時、私の脳裏に同時に浮んできたのは、『生活』という言葉だった 人生の終わりに向けて行う諸活動が『終活』であるならば、その反対語はもしかすると『生きるための活動』である『生活』なのかもしれないなあ、と 『生活』という言葉についてじっくり考えたことがない私だが、それはまた、”生み出すための活動”でもあるのかもしれない

これを読んで私は「なるほど」と思いました しかし、現在の時点で私は『終活』をやっている暇はありません ただ、「いつぶっ倒れてもいいように、後悔しない人生を送ろう」と思いながら毎日『生活』しています

ということで、わが家に来てから今日で3297日目を迎え、国連安全保障理事会は22日、ウクライナ侵攻を巡る緊急会合を開いたが、開催を要請したロシアのラブロフ外相は、欧米によるウクライナへの武器供与が「平和的解決を阻んでいる」と訴えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「平和的解決を阻んでいる」のは 北朝鮮からロシアへの 大量の武器供与じゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「茄子と鶏肉の炒めもの」「生野菜サラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 「茄子と~」は豆板醤が少し入っているので ピリ辛で美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京フィル「第994回 サントリー定期シリーズ」公演を聴きました プログラムは①シベリウス:組曲「カレリア」、②グリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調 作品16」、③シベリウス「交響曲第2番 ニ長調 作品43」です 演奏は、②のピアノ独奏=マルティン・ガルシア・ガルシア、指揮=ミハイル・プレトニョフです

ミハイル・プレトニョフは1957年ロシア生まれ。1978年チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で優勝 1990年にロシア・ナショナル管弦楽団を設立。創設者・芸術監督として世界有数のオーケストラに育て上げる 2015年4月から東京フィル特別客演指揮者。2022年には新たにラフマニノフ国際管弦楽団を創設

 

     

 

東京フィルは1月から新シーズンに入りました 他の在京オケで1月からスタートを切るところはなく、多くは4月からの開始です 自席も1階前方から後方の通路側席に移りました。今度の方がステージが見やすく聴きやすいです

オケは14型で左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります コンマスは依田真宣です

1曲目はシベリウス:組曲「カレリア」です この曲はジャン・シベリウス(1865-1957)が1893年に、ヘルシンキ大学のヴィーブリ学生協会の依頼により作曲した舞台劇「カレリア」の付随音楽から3つの情景をコンサート用に改編したものです 第1曲「間奏曲」、第2曲「バラード」、第3曲「行進曲風に」の3曲です

プレトニョフの指揮で演奏に入りますが、第1曲は聴いていてワクワクする曲想です 高橋臣宣のホルンが素晴らしい 第2曲は弦楽セクションによる抒情的なアンサンブルが美しい また、低弦のピッツィカートに乗せて奏でられるイングリッシュ・ホルンが印象的です 第3曲は金管のファンファーレが輝かしく響き、溌溂とした演奏が続きます 胸のすくような素晴らしい演奏でした

2曲目はグリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調 作品16」です この曲はエドヴァルド・グリーグ(1843-1907)が1868年に作曲、1869年4月3日にコペンハーゲンで初演され、1906年から07年にかけて改訂されました 第1楽章「アレグロ・モルト・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モデラート・モルト・エ・マルカート ~ クアジ・プレスト ~ アンダンテ・マエストーソ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の マルティン・ガルシア・ガルシアは1996年スペインのヒホン生まれの28歳 レイナ・ソフィア音楽学校を卒業、ソフィア王妃から最優秀学生賞を授与される 2021年クリーブランド国際ピアノコンクールで優勝、同年第18回ショパン国際ピアノコンクールで第3位と最優秀協奏曲特別賞を受賞

ティンパニの連打に導かれ、オケの総奏とともにガルシアの力強いピアノが入ってきます ガルシアの打鍵はかなり強力のようで、ピアノが良く鳴ります そう思って彼の弾くピアノをよく見るとボディに FAZIOLI と書かれていました 「ファツィオリ」は1981年に創業したイタリアのグランド・ピアノ メーカーです 反田恭平が第2位に入賞した第18回ショパンコンクールで、ガルシアは「ファツィオリ」を弾いて第3位入賞を果たしています 第2楽章におけるクリアで抒情的な演奏、第3楽章における力強く切れ味鋭い演奏を聴くと、どうやらファツィオリはガルシアにとって最良の表現手段のようです ピアニストでもあるプレトニョフの万全のサポートを受けて、ガルシアは思う存分ファツィオリを弾きまくりました

満場の拍手とブラボーが飛び交うなか、カーテンコールが繰り返され、ガルシアはアンコールにアルベニス「ナバーラ」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はシベリウス「交響曲第2番 ニ長調 作品43」です この曲はシベリウスが1901年から1902年にかけて作曲、1902年3月8日にヘルシンキでシベリウスの指揮により初演されました 第1楽章「アレグレット」、第2楽章「テンポ・アンダンテ、マ・ルバート」、第3楽章「ヴィヴァーティッシモ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モデラート」の4楽章から成ります

プレトニョフの指揮で第1楽章に入ります オーボエの加瀬孝宏、クラリネットの万行千秋をはじめ木管楽器が素晴らしい演奏を繰り広げます また、ホルン、トランペット、トロンボーン、テューバといった金管楽器が分厚い演奏を展開します 第2楽章は弦楽セクションの渾身の演奏が印象的です 第3楽章では低弦のピッツィカートに乗せて奏でられるファゴットの演奏が素晴らしい 加瀬孝宏のオーボエが冴え渡ります 第3楽章から第4楽章にかけての大きなうねり、その頂点における金管楽器、とくにトランペットの演奏は鳥肌ものでした 第4楽章はロシアの広大な大地に根差したスケールの大きな演奏が展開し、輝くフィナーレを迎えました

会場いっぱいの拍手とブラボーがプレトニョフと東京フィルの面々に押し寄せます つくづくプレトニョフは良い指揮者だと思いながら会場を後にしました

 

     

 

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東京藝大チェンバー・オケのチケットを取る ~ メンデルスゾーン「弦楽五重奏曲第2番」ほか / ジャファル・パナヒ監督「熊は、いない」を観る ~ イランの閉鎖的な社会を告発した作品

2024年01月23日 00時08分45秒 | 日記

23日(火)。2月18日(日)15時から東京藝大奏楽堂で開かれる「東京藝大チェンバーオーケストラ  第42回定期演奏会」のチケットを取りました プログラムは①メンデルスゾーン「弦楽のためのシンフォニア 第10番 ロ短調」、②ヨーゼフ・ハイドン「交響曲第10番 ニ長調」、③メンデルスゾーン「弦楽五重奏曲第2番 変ロ長調」(弦楽オーケストラ版)です

これは演奏機会の少ないメンデルスゾーンの2曲を聴くために取ったものです 東京藝大チェンバーオーケストラ は2003年に創設され、メンバーは東京藝大音楽学部と大学院音楽研究科に在籍する弦楽器の優秀な学生を軸として、演奏会ごとに管打楽器や鍵盤楽器の学生を加えて多彩な活動を行う室内オーケストラです 今回は指揮者なしで演奏されます

 

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3296日目を迎え、米大統領選の共和党指名候補を目指していたフロリダ州のデサンティス知事(45)が21日、選挙戦から撤退すると表明し、今後トランプ氏を支持すると同時に発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     撤退は賢明な選択だが 何でトランプ支持? 勝ち馬に乗ってるだけとしか思えないね

 

         

 

昨日、夕食に「ポークカレー」と「生野菜サラダ」を作りました もう月曜日=カレーは定着ですね    お酒が映っていませんが、体重が2キロも増えたので、禁酒を復活しました しばらく様子と体重計を見ます

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐でジャファル・パナヒ監督による2022年製作イラン映画「熊はいない」(107分)を観ました

パナヒ監督はトルコで偽造パスポートを使って国外逃亡をしようとしている若い男女を主人公にしたドキュメンタリードラマ映画を撮影するため、イランの国境近くの小さな村からパソコンによるリモートで助監督レザに指示を出す そんな中、都会から引っ越してきた滞在先の村では、古い掟のせいで愛し合うことが許されない恋人たちを巡るトラブルが村を挙げての大事件へと発展し、パナヒ監督も巻き込まれていく

 

     

 

この映画は、政府から映画制作と出国を禁じられながらも、不屈の精神で極秘に映画を撮り続けるイランの巨匠ジャファル・パナヒが監督・脚本・製作・主演を務め、自身を題材にして撮り上げた社会派サスペンスです 2組のカップルが迎える想像を絶する運命を通し、イランに残る抑圧的な社会問題の現状を浮き彫りにし、2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査委員特別賞を受賞しました

私がパナヒ監督の映画を観るのは「人生タクシー」(2015年)、「ある女優の不在」(2018年)に次いで、本作が3作目です。いずれも撮影禁止の中で工夫して撮り上げた傑作です

この映画では、何度か村人から語られる「都会と地方の村とは違う」という言葉が大きなポイントになっています つまり、都会と違い閉鎖的な村では 過去からのしきたりや迷信などが当然のように受け継がれており、誰もそれに疑問を抱かず、そのまま子孫に受け継がれていくという実態です しかし、パナヒ監督は「都会と地方の村」という対比を借りて「自由な国々と閉鎖的なイラン」の対比を描いているように思います 村人たちは「過去からのしきたりや迷信に逆らった行動を起こすと、熊が出てきて襲われる」と言われ、恐怖心から過去からのしきたりや迷信に逆らわないように生活していますが、逆らっても「熊は、いない」のが真実で、恐怖心こそが「熊」なのかもしれないのです

本作はイラン国内では上映されていません パナヒ監督は本作発表後、イラン当局によって収監されました 実は、パナヒ監督は2010年に「イラン国家の安全を脅かした罪」として政府から20年間の映画制作禁止を言い渡されているのです それでも様々な方法で映画撮影を続行、映画を撮ることで政府と闘い続けています

パナヒ監督は本作公式サイト上のメッセージで「日本に何度か行きましたが、日本の皆さんと一緒にこの映画を観て感想を聞きたいと思っています」と語っていますが、それが実現するのはいつのことでしょうか 出国できないにしても、せめてイラン国内で自由に映画が撮れるようになることを祈るばかりです

 

     

 

今日から3日連続で夜のコンサート、その翌日は公開リハーサル、その次の日は本番です 何とか乗り切りらねば

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「トッパンホール・ニューイヤーコンサート」でメンデルスゾーン & ブラームス「ピアノ三重奏曲第1番」他を聴く ~ 日下紗矢子(Vn)、フローリアン・ウーリヒ(P)、遠藤真理(Vc)

2024年01月22日 00時04分52秒 | 日記

22日(月)。毎週月曜から金曜までの午前中は、整骨院に行って右手の甲と中指にかけての打撲と腱鞘炎の治療を受けて、池袋まで歩き(約30分)、いつもの喫茶店でコーヒーを飲みながら新聞2紙を読み、(日によっては昼食を取り)夕食用の食材を買ってバスで帰ってくるというのが通常のパターンです 日曜日は整骨院が休診なので、各部屋や廊下に掃除機をかけてから1週間分のシャツにアイロンをかけます その後、しばしモコタロ と戯れてからベッドに行き、次のコンサートで聴く楽曲のCDを聴きながら新聞2紙を読みます   これが休日午前中の通常のパターンです

昨日、アイロンをかけている時、右手の甲と中指に若干痛みを感じました 打撲と腱鞘炎を完治するためには、手指に力が入る作業をやってはいけないということは十分解っているのですが、手指を使わないと料理もアイロンかけもブログを書くこともできません そのため、整骨院通いが永遠に続くことになりますが、それは仕方ないことだと諦めています 中でもこのtoraブログは、2011年2月15日に開設以来、2013年8月に身内の不幸で3日間休んだだけで約13年間 毎日書き続けているので、休むわけにはいきません 「継続は力なり」といいます。このまま続けていけば いつの日かトータル閲覧数 1000万ページビューを達成するでしょう

ということで、わが家に来てから今日で3295日目を迎え、11月の米大統領選に向けて共和党候補指名を争うヘイリー元国連大使(52)は20日、東部ニューハンプシャー州での集会で、トランプ前大統領(77)が高齢過ぎるとして党候補にふさわしくないと訴え、「大統領職の重圧を考慮すると、精神面の健康が疑わしい人物に任せるわけにはいかない」と対決姿勢を鮮明にした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

              「精神面の健康が疑わしい人物」は「自己中のトランプ」と言い換えても通じるね

 

         

 

昨日、トッパンホールで「2024 ニューイヤーコンサート]」を聴きました プログラムは①メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 作品49」、②シューマン「子どもの情景 作品15」、③シューマン「ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 作品105」、④ブラームス「ピアノ三重奏曲第1番 ロ長調 作品8」です   演奏はヴァイオリン=日下紗矢子、チェロ=遠藤真理、ピアノ=フローリアン・ウーリヒです

なお、チェロは当初ペーター・ブルンズの予定でしたが、高熱等の体調不良により来日出来なくなり 急きょ遠藤真理が代役を務めることになりました     日下紗矢子は読売日響の特別客演コンサートマスター、遠藤真理は同じ読響のソロ・チェロなので職場の同僚ということになります 出演者変更に伴い、当初予定されていたシュルホフ「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」は、シューマン「ヴァイオリン・ソナタ第1番イ短調 作品105」に変更となりました

日下紗矢子(くさか さやこ)は東京藝大を首席で卒業後、米・南メソディスト大学、独・フライブルク音楽大学で学ぶ。2000年パガニー二国際ヴァイオリンコンクール第2位など、内外のコンクールで受賞多数 2008年よりベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団第1コンサートマスター、09年よりベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラのリーダーを務める

フローリアン・ウーリヒはデュッセルドルフ生まれ。12歳でリサイタルデビュー ロンドンの王立音楽大学と王立音楽院で学ぶ。世界各国のオーケストラと共演を重ねるとともに、2014年からドレスデン音楽大学のピアノ科教授、19年からはリューベック音楽大学でも教鞭を取る

遠藤真理は東京藝大を首席で卒業。2007年ザルツブルクのモーツアルテウム音楽大学マギスター課程を満場一致の最高点で卒業 第72回日本音楽コンクール第1位、06年プラハの春国際音楽コンクール第3位、08年エンリコマイナルディ国際コンクール第2位など受賞多数

 

     

 

トッパンホールは前日東京フィルを聴いた文京シビックホールから徒歩10分ほどの近くにあります このホールで聴くのは久しぶりです。小雨模様でしたが、ポスターに「完売御礼」の表示が貼り出されていました

1曲目はメンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 作品49」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)が1839年に作曲、同年ライプツィヒで初演されました 第1楽章「モルト・アレグロ・アジタート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モト・トランクイロ」、第3楽章「スケルツォ:レッジェーロ・エ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・アッサイ・アパッショナート」の4楽章から成ります

拍手の中3人の奏者が登場しますが、女性2人は衣装の色を申し合わせたのか、デザインこそ異なるものの黒と銀のステージ衣装で統一しています

遠藤のチェロ独奏によって第1主題が奏でられますが、哀愁漂う演奏が素晴らしい ちょっと気になったのは、雨模様で会場内の湿度が高くて若干暑く、満員の聴衆ということもあって、音がデッドに感じます しかし時間と共に空調も適正に効いてきたようで、気にならなくなりました この曲は大好きなので、理屈抜きで楽しむことにしました それにしてもよく響くホールだな、とあらためて感心しました 3人は絶妙なコンビネーションでほの暗い情熱が溢れたロマンティシズムの極致をいく演奏を繰り広げました

2曲目はシューマン「子どもの情景 作品15」です この曲はロベルト・シューマン(1810-1856)が1838年に作曲したピアノ作品です 前年に密かに婚約したクララへの愛が創作に反映していると言われています 第1曲「見知らぬ国と人々から」、第2曲「不思議なお話」、第3曲「鬼ごっこ」、第4曲「ねだる子ども」、第5曲「満足」、第6曲「重大な出来事」、第7曲「トロイメライ」、第8曲「炉端で」、第9曲「木馬の騎士」、第10曲「むきになって」、第11曲「こわがらせ」、第12曲「眠っている子ども」、第13曲「詩人のお話」の全13曲から成ります

フローリアン・ウーリヒのピアノ独奏で演奏に入ります 1曲1曲が短く、比較的平易に書かれているため、演奏自体は困難には見えませんが、反ってごまかしが利かないかもしれません ウーリヒは1曲1曲を丁寧に音を紡ぎ出し、クララに対するシューマンの愛情を表現しました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はシューマン「ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 作品105」です この曲は1851年9月12日から16日までのわずか5日間で作曲されました 第1楽章「情熱的な表現で」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「生き生きと」の3楽章から成ります

日下のヴァイオリン、ウーリヒのピアノによって演奏に入ります 第1楽章はほとばしる情熱を感じさせる演奏です 第2楽章は優しさを感じます 第3楽章はリズミカルで情熱的な演奏でした

最後の曲はブラームス「ピアノ三重奏曲第1番 ロ長調 作品8」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1853年から54年にかけて作曲、1854年にデュセルドルフで初演され、その後1889年から90年にかけて改訂されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

この曲も大好きな作品なので、理屈抜きで楽しむことにしました 第1楽章はウーリヒのピアノに導かれて遠藤のチェロが悠然と入ってきますが、この抒情的な演奏が素晴らしい その後に入ってくる日下のヴァイオリンも冴えています 美しかったのは第3楽章です。ウーリヒのピアノの神秘的な和音に導かれて、日下のヴァイオリンと遠藤のチェロにより繊細な二重奏が奏でられますが、この演奏が素晴らしい 第4楽章はクールな日下、温かみのある遠藤、包容力のあるウーリヒによる絶妙のコラボレーションにより抒情的かつ情熱的な演奏が展開しました

満場の拍手の中、カーテンコールが繰り返されます 全体を振り返ってみると、遠藤真理の代役は大当たりでした 個人的には3人の中で一番良かったと思います

15時に始まった公演は、この時点で17時を大きく回っていました アンコールはありませんでした。見識です

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