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クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

アルゲリッチ秋の公演キャンセル~新国立オペラ出演のキザールも

2011年09月30日 17時58分31秒 | 日記

30日(金)その2.今日の朝日朝刊「案内広告欄」に「マルタ・アルゲリッチ来日中止のお知らせ」(KAJIMOTO)と「キーシン・バースデー・コンサート”曲目変更”」(ジャパン・アーツ)のお知らせが載っていました.

前者は10月15日すみだトリフォニーホール,10月19,20日紀尾井ホールでの公演に出演が予定されていたマルタ・アルゲリッチが”健康上の理由により”来日が不可能になった,という内容 後者は10月10日サントリーホールの表記公演に出演予定のアルゲリッチが来日不可能になったため曲目を変更するという内容.いずれも払い戻しには応じるとのことです


アルゲリッチは昨年11月に新日本フィルと共演したショパンとシューマンのピアノ協奏曲のライブ録音CD(下の写真左)の印税収入を被災者支援のために寄付するなど,日本に対して理解のあるアーティストです.福島原発を恐れて来日中止を決断したのではないと思います.本当に健康上の理由なのでしょう 彼女には昔から”キャンセル魔”のあだ名が付いているくらいなので,ある程度のリスクを見込んでチケットを買った人も少なくないかもしれませんね

幸か不幸か,上記のチケットは買っていませんでした.と言うよりも,前売り開始日に紀尾井ホールでの室内楽のチケットを買いに行ったのですが,すでに売り切れていたのです 今となってはチケットを買った人に同情します.ほとんどの人がアルゲリッチを聴くために買ったのだと思いますので.

「ああ,かわいそうに」と思っている矢先に,新国立劇場からハガキが・・・・・・嫌な予感を抱いて文面を見ると「2011/2012シーズン オペラ「イル・トロヴァトーレ」出演者変更のお知らせ」とあります.キター レオノーラ役のキザールが,9月4日から来日して稽古に参加していたが,その後の体調不良により出演できなくなった,というのです 代わってグルジア生まれのタマール・イヴェーリが出演するとのこと.彼女は2009年に新国立オペラのヴェルディ「オテロ」公演でデズデーモナを歌ったのを聴いています.かなりいい印象を持っているので期待したいと思います.ただ,キザールを聴くのは初めてだったので,今回聴けないのはやっぱり残念です

      

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今日はモーツアルトの歌劇「魔笛」初演の日

2011年09月30日 06時30分44秒 | 日記

30日(金).早いもので9月も今日で終わり。今月は結局14回コンサートに通いました。はっきり言って身体がしんどいです どうしてこう無節操に予定を入れてしまうんでしょうかねぇ。我ながら呆れてしまいます。ただ、聴きたいコンサートって結構続いたりするんですよ。もちろん言い訳ですけどね

 閑話休題 

昨日、ビル管理者の集まりで、桜田門の警視庁本部を見学しました。警視庁は東京都公安委員会の管理下にある組織です。ビデオで警視庁の組織や活動を観た後、110番通報を受信する「通信指令センター」をガラス越しに見学しました 300人の交代制で受信しているとのことで、見学した時は50人位の担当者がスタンバイ、受信していました

パネルにこの一両日の110番通報件数が表示されていましたが、前日の本部での受信は3714件、この日の受信は1927件(午後3時頃現在)になっていました。多摩での受信を含めると前日は5000件弱にも達していました 案内係の女性の説明によると、通報の3分の1は家庭内トラブルの相談など、事件・事故とは関係のない内容だとのことでした。警察も暇ではありません。やたら110番通報をするのはお互いに避けましょう. 警視庁の見学は申し込めばだれでも出来ます.興味のある向きはホームページをご覧になってください.

[写真は警視庁のパンフレットから”通信指令センター”]

              

  再び、閑話休題  

今日はモーツアルトの歌劇「魔笛」が作曲者自身の指揮によって初演された日です.今からちょうど220年前の1791年9月30日のこと.モーツアルトはこの年の12月5日に死去していますので今年は没後220年ということになります

モーツアルト最後の歌劇である「魔笛」はモーツアルトの友人で台本作者のシカネーダーの依頼によって作曲されました.当時シカネーダーはウィーンで劇場を経営していて,そこで上演するために依頼したものです.初演ではシカネーダーがパパゲーノに扮し,モーツアルトの義妹(妻コンスタンツェの妹)ヨゼファ・ホーファーが夜の女王を歌いました。 映画「アマデウス」ではモーツアルトが指揮をしながらチェンバロも弾いていました

コロラチューラ・ソプラノで歌われる「夜の女王のアリア」は大好きです。かつてはエディタ・グルベローヴァが一世を風靡しました。最近では映画「メト・オペラ・ライブビューイング」で観た2006年のメトロポリタン歌劇場の「魔笛」で歌っていたソプラノ歌手が、迫真の演技力とともに印象に残っています 日本では新国立劇場で歌った安井陽子さんが無理のない気持ちの良い歌唱を聴かせてくれました

お勧めCDはオットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア・オーケストラによる1964年の録音です.タミーノ=ニコライ・ゲッダ,パミーナ=グンドラ・ヤノヴィッツ,パパゲーノ=ワルター・ベリー,夜の女王=ルチア・ポップ,ザラストロ=ゴットロープ・フリックといった錚々たるメンバーです オット―・クレンぺラーという指揮者はベートーヴェン、ブラームス、マーラーなどの交響曲を指揮してもいいし、魔笛のようなオペラを指揮してもいいし、古今の名協奏曲の伴奏をつけてもいいし、何をやっても素晴らしい演奏を聴かせてくれます

   

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映画「フェア・ゲーム」を観る~ナオミ・ワッツ&ショーン・ペン主演~アメリカの光と影

2011年09月29日 06時46分30秒 | 日記

29日(木)その2.昨夕,記者クラブの試写会でダグ・リーマン監督「フェア・ゲーム」を観ました.アメリカの始めたイラク戦争を止めようとした女性CIA職員のドキュメンタリー・タッチの映画です.試写会で配布されたパンフを参考にこの映画の概要とストーリーを紹介します

2007年10月に,アメリカで一冊の本が出版され大きな話題を呼びました 「Fair Game:How a Top CIA Agent Was Betrayed by Her Own Government(格好の標的:CIAのトップエージェントは,いかにして国家に裏切られたか)」という本です.これは実在する元CIA女性エージェ ント:ヴァレリー・プレイムが,政府との戦いを綴った回顧録です.この回顧録を中心に,周りの人物への入念な取材に基づいて作られたのがこの「フェア・ ゲーム」です

9.11の同時多発テロ以降,アメリカ合衆国は世論をも巻き込み,イラク共和国が大量破壊兵器を保持し,悪の枢軸のひとつであるとしていた.だが,CIAの女性秘密諜報員ヴァレリー・プレイムは,潜入操作の末,イラクに核開発計画がないことを突き止める.その一方,ヴァレリーの夫で,元ニジュール大使のジョー・ウィルソンも,国務省の依頼で同様の調査結果を得ていた.しかし,ブッシュ政権はヴァレリー夫妻の報告を無視し,2003年3月20日,遂に,イラクへ宣戦布告する ジョーは,”真実”を世間に公表するためにニューヨークタイムズ紙に自らの調査報告を寄稿し,一躍,論争を巻き起こす.すると,政府の報復により,ワシントンの名のあるジャーナリストたちに,ヴァレリーがCIAの秘密諜報員である情報がリークされる.たちまち世間からの批判を一斉に浴び,ヴァレリーは幼い双子の子どもたちを抱えながら孤立無援に陥る しかし,夫とともに,強い意志を持って国家権力に立ち向かうことを決心する.情報漏えいを指示したのはなんとチェイニー副大統領の主席補佐官のルイス・リビーだった.CIAエージェントの身分暴露は国益を損なうとしてアメリカでは重罪である.彼は起訴され,2007年3月に有罪の判決が下される.そこに至るまで,歴史のうねりに巻き込まれながらも,最後までイラク戦争を止めようとした女性:ヴァレリー・プライムの命を懸け,己の信じる”正義”と”愛”を貫いた戦いの物語である

主演のヴァレリー・プライムをナオミ・ワッツが演じます.ダグ・リーマン監督は,ヴァレリー役にはナオミ・ワッツが適任と考えていたといいます.「脚本をナオミに送って,最初の10ページを読んで感想を教えてほしいといったんだ.彼女はすぐに連絡をくれた.気に入ったと」.そして夫ジョー役にショーン・ペンを勧めたのはナオミ・ワッツだったとのこと.ナオミ・ワッツは,実際のCIA職員が受ける諜報活動と特殊部隊の訓練に参加して,徹底した役作りに挑んだといいます.迫真の演技でした

この映画を観て考えることは,アメリカ合衆国という国の”大罪”と”自由あるいは寛容”ということです.確たる証拠もないのに大国の正義を振りかざして”事実”をでっち上げて突っ走る”大罪”と,それを暴く人たちの行動を映画化することを許す”自由度”というものを感じます.いわばアメリカの光と影です

この映画は10月29日(土)からTOHOシネマズ六本木ヒルズでロードショー公開されます

 

           

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今日はモーツアルト「クラリネット五重奏曲イ長調K.581」が完成した日

2011年09月29日 06時09分01秒 | 日記

29日(木).昨日午後、仕事中に娘からメールが入りました。「今日のお風呂はイチゴ風呂です!とっておいてください!」という内容です。がお湯にプカプカ浮かんでいるシーンが思い浮かんで,どうしても理解できないので「イチゴ風呂って、本物のイチゴを入れるわけ?」と訊き返しましたが、しばし返信がありません 夜,記者クラブの試写会を観終わってからメールをチェックすると,娘の返信が入っていました.「んな勿体ない!入浴剤です!」 .安心してメールを返しておきました.「だよね」  ただ,このお風呂は1回しか入れません.なぜならだからです・・・・・・???・・・・・・イチゴ一絵(一期一会)なんちゃって 

ところで,今日はモーツアルトが「クラリネット五重奏曲イ長調K.581」を完成させた日です.1789年9月29日のことでした.この曲はモーツアルトの友人であるアントン・シュタードラーというクラリネット奏者の委嘱によって作曲されました モーツアルト研究家の石井宏さんによると,このシュタードラーという男は芸術面では極めて優れていたようですが,経済観念に乏しいモーツアルトから多額の借金をして踏み倒していたそうです.それでもモーツアルトは彼と仲が良かったといいます

この曲は4つの楽章から出来ていますが,「クラリネットを一つのパートとして持つ室内楽」という内容にとどまらず,クラリネット対弦楽四重奏という”協奏曲的な”内容になっているのが大きな特徴です とくに第2楽章の天国的な美しさは何と表現したらよいのか,言葉が思いつきません 彼の「クラリネット協奏曲イ長調K.622」とともに音楽史に残るクラリネットの不滅の名曲です.

お勧めCDはいろいろありますが,ここで紹介するのは女性クラリネット奏者ザビーネ・マイヤーとフィルハーモニア・クヮルテット・ベルリンによる1982年6月に当時の西ベルリンで録音された演奏です.ザビーネ・マイヤーはベルリン・フィルの常任指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンが団員にする,しないでオーケストラと揉めた優秀なクラリネット奏者です.フィルハーモニア・クヮルテット・ベルリンはベルリン・フィルのメンバーによって結成された弦楽四重奏団です.協奏曲的な雰囲気がよく伝わってきます

    

 

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凄いピアニストのデビュー!萩原麻未~高野麗音とのデュオ・コンサートを聴く

2011年09月28日 06時47分41秒 | 日記

28日(水).昨夕,紀尾井ホールで萩原麻未(ピアノ)と高野麗音(ハープ)のデュオ・コンサートを聴いてきました 萩原麻未は広島県出身で5歳からピアノを始めました.2010年にパリ国立高等音楽院修士課程を首席で卒業し,同年ジュネーヴ国際コンクールで日本人として初めて優勝しました.高野麗音は10歳からハープを始めました.東京芸大を経て同じく2010年に同音楽院修士課程を首席で修了しました.2人はパリ国立高等音楽院の同期生ということになります

プログラムのうちハープ・ソロは①ドビュッシー「アラベスク第1番」,②ヒンデミット「ソナタ」,③フォーレ「即興曲」,④サンカン「主題と変奏」で,ピアノ・ソロは①フォーレ「ノクターン第1番」,②スクリャービン「ピアノ・ソナタ第4番」,③ドビュッシー「喜びの島」,④サン=サーンス「トッカータ」,デュオは①プーランク「シテール島への船出」,②ラヴェル「鐘が鳴るなかで~耳で聴く風景より」,③台信遼「Stray Light for harp and piano」,④ラヴェル「ラ・ヴァルス」です.

当初コンサート・チラシではフォーレのノクターンは「第4番」になっていたので,そのつもりで予習をしていたのですが,プログラムを見て初めて「第1番」に代わっていることに気が付きました.はっきり言って間に合いません

最初はハープでドビュッシーの「アラベスク第1番」.高野麗音はブルーのシルクっぽいドレス,胸で黒のリボンを結び後ろに流した衣装で登場.随分緊張している様子です この曲はピアノ音楽の世界に新たな地平を切り開いたと言われる曲です.彼女のハープで聴くと,まるでハープのために作曲されたように感じます

次はピアノでフォーレの「ノクターン第1番」.萩原麻未は白のキラキラ輝くドレスで登場.高野と違って,笑顔でリラックスした表情です.瞑想的な曲想を描いていきます

3曲目はデュオでプーランクの「シテール島への船出」.ヴァトーの絵画からタイトルを取った曲で,映画音楽の中から2台のピアノのために編曲された小品です.楽しい”船出”にふさわしい弾むような曲想を,いかにも楽しそうに演奏します.聴いている方も楽しい気分になります.

4曲目もデュオでラヴェルの「鐘が鳴るなかで~耳で聴く風景より」.2台のピアノのための曲で,音によってイメージの描写を試みた若きラヴェルの意欲作です.ピアノとハープによって鐘の音が聴こえます

5曲目はピアノでスクリャービンの「ピアノ・ソナタ第4番」.ゆったりした序奏に次いでテンポ・アップしたテーマが奏でられます.この曲での萩原麻未の演奏を何と表現したらいいのか.”ジャズのような”,”作曲者が乗り移っているような”圧倒的なスピードと迫力です

前半の部最後はハープでヒンデミットの「ソナタ」.ナチス政権から逃れ1939年に亡命先のスイスで作曲されました.この曲が終わって,やっと高野の顔に安堵の表情が見られました

後半最初の曲は台信遼(だいのぶ・りょう)の「Stray Light for harp and piano」.タイトルは光学の用語「迷光」から採られているとのこと.この公演のスポンサーの委嘱により作曲され,今回が初演とのことでした.光の乱反射を音楽で表現したような,と言ったらいいのでしょうか.デュオでは高野がこちらの正面を向くので足使いがよく見えます.まさに”白鳥の水かき”のごとく,かなり頻繁にペダルを踏んだり離したりしています.ハーピストって大変だなあ,と同情してしまいます 演奏後,若き作曲者が舞台上に呼ばれ拍手に応えていました.

2曲目はハープでフォーレの「即興曲」.高野も大分落ち着いてきた様子で,軽やかに,ときに力強く演奏します.次いで3曲目もハープでサンカン「主題と変奏」.サンカンは20世紀フランスの作曲家とのこと.ハープでなければ表現できない演奏法で効果を狙います.

4曲目はピアノでドビュッシーの「喜びの島」.18世紀の画家ヴァトーの「シテール島への巡礼」に着想を得て作曲されたと言われています.萩原麻未は色彩感に満ちた曲想を自由自在に表現します

5曲目もピアノでサン=サーンスの「トッカータ」.ピアノ協奏曲第5番の終楽章に基づく曲で,技巧的にも相当難しいと言われる曲です.萩原麻未は,息もつかせないスピードで,力強く弾ききります.時速300キロといった感じでしょうか.単なる技術が優れているといったレベルでなく,きちんとした音楽として耳に届きます.この点が並みのピアニストと違うところでしょう

最後はデュオでラヴェル「ラ・ヴァルス」.つまり「ワルツ」です.最初は低音部の渦巻きから,徐々にワルツのメロディーが浮かび上がり,熱狂的な踊りになって,最後は圧倒的な集結部になだれ込みます.

アンコールに応えて演奏したのはラベルの「マ・メール・ロワ」から「パゴダの女王レドロネット」でした.リラックスして演奏していました

今回初めて萩原麻未のピアノのソロを聴きましたが,彼女は天性のリズム感を持っているのではないか,力を入れるべきところを心得ているのではないかと思いました.テニスをやったことがある人は分かると思いますが,普段はラケットを持つ手に力を入れないものです.いざボールを打つ瞬間にグリップを握って打ち返すのです.彼女の演奏は,そうしたことを自然に発揮出来ているように思います

そう思ったこともあって,萩原麻未のピアノ・リサイタルのチケットを買いました。11月17日・紀尾井ホールです。ソロのリサイタルとしては日本デビューになるのではないかと思います。プログラムは①ハイドン「ピアノ・ソナタニ長調Hob.XV1-33」②べリオ「5つの変奏曲」③ラフマニノフ「コレルリの主題による変奏曲op.42」④シューマン「アラベスクop.18」⑤シューマン「謝肉祭op.9」です。古典派から現代曲まで幅広い選曲です。楽しみがまた増えました

       

          

 

 

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六本木「ケントス」で歌ったAcologyのCDジャケットの話

2011年09月27日 12時49分53秒 | 日記

27日(火)その2.9月18日に六本木のライブ・ハウス「ケントス」で、「ながつきみ隊」の一員として娘Lがピンク・レディの「ペッパー警部」を歌ったことを翌日のブログで書きましたその時に、前半に出場した5人のグループ AcologyがCDを出して売っていたと書きましたが、何を隠そう彼らの最新CDジャケットをデザインしたのが娘です  後で聞かされました

当日、「Rush」、「Friday」,「夜は短し歩けよ乙女」などを歌いましたが、これらの曲も収録されています。

デザインに当たって娘は「Rush」の曲をイメージして描いたと言っています。写真左はCD表面、右が裏面です。裏面にはデザイナーとして娘Lの名前が載っています。娘の記念すべきCDジャケット・デビューです  これを機会に活躍の場が広がると親としても嬉しいです

      

 

 

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トーマス・マン「ベニスに死す」を読む~ヴィスコンティの映画は 10月1日からロードショー

2011年09月27日 06時16分37秒 | 日記

27日(火).今週に入って急に涼しくなりました.考えてみれば今週の土曜日はもう10月 昨日は半袖でしたが,今日は長袖で出勤しようと思います.

トーマス・マンの「ベニスに死す」(集英社文庫)を読み終わりました この小説はイタリアの名匠ルキーノ・ヴィスコンティが映画化して有名になりました.この映画ではグスタフ・マーラーの交響曲第5番第4楽章「アダージェット」が全編を通して通奏低音のように流れていました

物語は「第一次世界大戦前のある年の初夏,作家グスタフ・アッシェンバッハは静養に訪れたベニスでポーランド人の少年と出会い,その美しさに魅入られるまま,コレラが伝染中の街にとどまって命を落とす」というものです

「午前中の困難で危険な,いままさに極度の慎重と周到,意志の強烈と正確を要求する創作によって過度に昂奮していた彼は自分の内面の生産的な創作衝動,キケローが雄弁の実質をなすものとしたあの”精神の不断の運動”の名残りを昼食後にも鎮めることができなかったばかりか,彼の精力がしだいに消耗されていくいま,日中にいちどはどうしても必要な,心の重圧を軽減してくれる午睡に身を委ねることもできなかった」

これは小説の冒頭5行目からの文章ですが,この長さでワン・センテンスです 小説はこの調子で続きますが,いったい何を言いたいのかさっぱり分かりません. 翻訳のし方にも問題があるのかも知れませんが,限度があるでしょう.文庫本で136ページと短い小説なので,あっという間に読み終わってしまいますが,正直しんどかったです 映画を観た方がよほど分かりやすいと思います.

巻末の「解説」でドイツ文学者の池内紀さんがおもしろいエピソードを書いています.

「1964年,ノーベル賞作家トーマス・マンの死後9年のことだが,ポーランド貴族の末裔でタデウスという人物が,自分は小説「ベニスに死す」のモデルだと名のり出た.ドイツの新聞が大きくとりあげ,すぐさまマン研究家がホーランドへ赴き,入念に調べたところ,古い日記や黄ばんだ写真によって事実だと判明した.少年に虚弱体質を見てとり,長生きしないだろうと予測した小説のくだりはまちがっていた.かつての天使のような美少年は,シワ深い,リューマチ病みの老人になっていた」

現実とは残酷なものです. ヴィスコンティの「ベニスに死す」は10月1日(土)から銀座テアトルシネマで上映されます.この映画が最初に公開されたのは小説が現れてから約60年後の1971年でした.今はその40年後ですから,小説の世界から100年後ということになります.今回はニュープリントでの上映とのこと.万難を排して観に行きたいと思います

   

ところで,今日はフランスの名ヴァイオリニスト,ジャック・ティボー生誕の日です.1880年9月27日のことでした.彼は20世紀前半のフランス最高のヴァイオリニストとして高い評価を得ています.ピアノのマルグリット・ロンの名とともに,世界的な「ロン・ティボー国際コンクール」にその名をとどめています.また,ピアノのコルトーとチェロのカザルスとともに「カザルス・トリオ」を結成し一世を風靡しました.LPかCDで彼らの演奏を持っていたと思うのですが,探すのが面倒なのでやめました

 

 

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バッハ・コレギウム・ジャパン「カンタータ第140番”目覚めよと,われらに呼ばわる声”」を聴く

2011年09月26日 06時14分26秒 | 日記

26日(月).昨日,東京オペラシティ・コンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会を聴いてきました バッハの教会カンタータ全曲シリーズ第61回「ライプツィッヒ時代1730-40年代のカンタータ①」です.

最初に今井奈緒子によるパイプオルガンで①プレトリウス「わが魂よ,いざ主を讃えよ」と②J.S.バッハ「目覚めよと,われらに呼ばわる声BWV.645」が演奏されました プレトリウスは17世紀初頭のプロテスタント教会音楽で重要な位置を占める作曲家だとのことです.バッハの「目覚めよと・・・・」は「コラール・カンタータ第140番」の第4曲”シオンは物見らの歌声を聴く”をそのままオルガンに移し替えたものですが,オルガン曲の演奏の方がポピュラーですね.パイプオルガンの曲を聴くとクリスチャンでもないのに,いつも敬虔な気持ちになります

カンタータの演奏に先立って,指揮の鈴木雅明が登場し,あいさつをします

「このたびの大震災で被災した東北地方は,半年経った現在,新たな困難や問題を抱えている.BCJは被災地支援を続けていきたいと思っている.ロビーで義捐金の依頼をするので協力をお願いしたい」

最初のカンタータは第29番「われらはあなたに感謝します.神よ,あなたに感謝します」です.いつものように.最初にオーケストラのメンバーが拍手の中を入場し,コーラス,そして指揮の鈴木雅明が登場します.コーラスを見ると,16人の背の高さの違いで波のように見えました.舞台左から低い,やや高い,高い,やや低い,低いというように順番に並んでいて4つの波ができているように見えました.この順番は指揮者・鈴木雅明の考えによるものか,あるいは偶然か,分かりません.

もう一つ気が付いたのは,コーラスのメンバーの何人かが替わっているということです.とくに男性は,ソリストを除けば総入れ替えに近いのではないか,と思えるほど新しい顔ぶれが目立ちました.

いつものように鈴木雅明の両手による指揮でカンタータが始まります 第1曲目はどこかで聴いたことがあると思ったら,バッハの無伴奏ヴァイオリン組曲BWV1006の”プレリュード”を編曲したものでした.バッハはよく自分の作った曲を別の曲に編曲したり,転用したりしています.トランペット3本が華やかな音楽づくりに活躍します

ソプラノはハナ・ブラシコヴァ.美しいノン・ビブラートで歌います.カウンター・テナーはロビン・ブレイズ.男性が女性のような高い声を歌ういわゆるカストラートです.テノールはゲルト・テュルク.マタイ受難曲でのエヴァンゲリストは定評があります.バスはペーター・コーイ.同じくイエス・キリストは定評があります.彼らはバッハ・コレギウム・ジャパンのレギュラー的な存在で,ソリストを務めるとともに合唱のメンバーの一人としても活躍します.とにかくこの4人の歌唱力は文句の付けようのない素晴らしさです

休憩後の1曲目はカンタータ第112番「主はわが頼もしき羊飼い」です.今度はホルン2本が活躍します.現代のようにバルブがたくさんついているホルンではなく,ただ管がまるまっただけのホルンで,吹き方によって音程を変える演奏困難な楽器です.ここでもソリストたちの歌声は完璧です

最後はバッハのカンタータの中でも一番有名かも知れない「目覚めよと,われらに呼ばわる声BWV140」です.第4曲でテノールが「シオンは物見らの歌声を聞く~」と歌うのですが,この歌の伴奏部分が有名なメロディーです

いつものことですが,ソリストたちが歌う時の伴奏を付ける演奏家たちの素晴らしさは特筆すべきものがあります.バロック・オーボエとオーボエ・ダモーレを演奏する三宮正満の抜群のテクニックと高い音楽性 コンマスの若松夏美のヴァイオリンによるフォロー バロック・チェロの鈴木秀美の通奏低音の素晴らしさ 他のメンバーを含めて一人一人が優れたプロの古楽器音楽集団と言ってもいいでしょう.

鳴り止まないアンコールに応えて,最後に演奏したBWV140のコラール「待望される天の御国の輝かしさゆえ,神に栄光あれ」をもう一度演奏しました.世界に通用するBCJの実力を再確認した演奏会でした.

終演後,ロビーの義捐金箱に,わずかながら協力をさせてもらいました.ガンバレ日本!頑張れ東北!!

                            

 

 

 

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萩原麻未&高野麗音デュオコンサートの予習

2011年09月25日 21時21分45秒 | 日記

25日(日)その2.あさって27日(火)に萩原麻未&高野麗音のデュオコンサートを紀尾井ホールに聴きに行くので,演奏曲目をチェックしました.このうち萩原麻未のピアノ・ソロは3曲で,フォーレ「ノクターン第4番」とドビュッシー「喜びの島」はCDがあるので,午前中,何回か繰り返して聴きました.残る1曲スクリャービンの「ピアノ・ソナタ第4番」は探してもなかったので買うことにしました

午後3時から初台のオペラシティ・コンサートホールで「バッハ・コレギウム・ジャパン」のコンサートがあるので,その前に新宿のタワー・レコードに行くことにしました.

スクリャービンのピアノ・ソナタのCDは何種類かありましたが,”どうせなら全集(10曲)を買った方が将来的にはいいだろう”と思い,アシュケナージによる2枚組を買いました.隣に練習曲のCDが並んでいたので,”練習曲と言えば,町田在住の霧丘朱代(ステージ・ネーム)さんがショパンとともにスクリャービンの練習曲第12番が得意だったなぁ.CDで何曲かは持っているけど全曲はないから,ついでに買っておこうかな”と思って衝動買いしてしまいました.ピアーズ・レーンというピアニストによる演奏でハイペリオン盤です.

いつものようにCDの棚を端からクルージングしていくと,フォーレのところに「Conplete Chamber Music For Storings And Piano」というタイトルの輸入盤CD(5枚組)が1,990円で売っていました ピアノ=ニコラス・アンゲリッシュ,ミシェル・ダルベルトの名前があったので”はずれ”はないだろう,と思い即,買うことにしました

結局,スクリャービンの「ピアノ・ソナタ第4番」1曲を買いに行って,8枚のCDを買ったことになります.”CDは置き場所がないからできるだけ買わないようにしよう”と決心したはずなのに,今年に入ってから60枚以上買っています.もう病気です

[写真左はスクリャービンの練習曲集.右はフォーレの弦楽・ピアノ室内楽曲集]

        

 

 

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ボローニャ歌劇場・べッリー二「清教徒」を観る~シラグーザ,ランカトーレにブラボー!

2011年09月25日 06時53分07秒 | 日記

25日(日)。昨日、東京文化会館でボローニャ歌劇場によるべッリー二「清教徒」を観てきました キャストはアルトゥーロ役=アントニーノ・シラグーザ(フローレスの代役)、エルヴィーラ役=デジレ・ランカト―レ、リッカルド役=ルカ・サルシ(カザーレの代役)、ジョルジュ役=二コラ・ウリヴィエ―リほか.ミケーレ・マリオッティ指揮ボローニャ歌劇場管弦楽団・合唱団.会場は満席.自席は1階23列30番です.

シラグーザはシチリア島メッシ―ナの生まれで、1996年ディ・ステファーノ国際コンクールで第1位を獲得。その後は超絶高音を物ともしない輝かしい声で世界の歌劇場で歌い続けています 9月11日にアルベルト・ゼッタ=藤原歌劇団によるロッシーニ「セビリャの理髪師」でアルマヴィーヴァ伯爵を歌ったのを観て、彼だったらフローレスの代役が務まると思ったものです

ランカトーレはシチリア島パレルモの生まれ.1996年,ザルツブルク音楽祭でモーツアルトの「フィガロの結婚」のバルバリーナ役でデビューしました.現在はベッリーニの「夢遊病の娘」「清教徒」,ドニゼッティの「愛の妙薬」「ランメルモールのルチア」「連隊の娘」,ヴェルディの「リゴレット」など,コロラトゥーラ・ソプラノの確実な技術が求めれらる役割を中心に活躍しています.

開演に先立って,ボローニャ歌劇場のエルナーニ総裁が舞台に登場しあいさつをします

「当歌劇場は2013年に創立250年を迎えます.今回の公演は,共に来日する予定で急きょ逝去したサルヴァトーレ・リチートラの霊に捧げます.同時に,このたびの東日本大震災で被災された方々の霊に捧げます.ガンバレ・ニッポン!」

1979年イタリア生まれのミケーレ・マリオッティのタクトが振り下ろされ,第1幕が始まります.このオペラの物語は清教徒と王党派の争いであることから,ピエラッリによる演出は舞台上に高さ9メートルの剣が,争いの象徴として登場します.シンプルな舞台ですが,洗練されていて美しいと思います

シラグーザの演ずるアルトゥーロが,アリア「いとしい乙女よ,貴女に愛を」でエルヴィーラへの熱い想いを歌い上げます シラクーザはテノールの最高音で会場を沸かせます.次いで,エルヴィーラ役のランカトーレが「わたしは愛らしい乙女」を華やかなコロラトゥーラを聴かせます.彼女の声は会場の隅々まで届き,耳の奥まで貫きます

休憩後の第2幕では,エルヴィーラの叔父ジョルジュ役のウルヴィエーリが「ほどけた美しい髪を花で飾り」をゆったりと歌います.そしてエルヴィーラがアルトゥーロに裏切られたと思い錯乱してアリア「あなたの優しいお声が・・・」を歌います.いわゆる”狂乱の場”です.ランカトーレはコロラツゥーラを駆使して歌い上げます そして,最後にジョルジュとリッカルド(清教徒の大佐)の二重唱「ラッパを吹き鳴らせ!」が勇壮に歌われ第2幕が閉じます.この曲を聴くと,”やっぱりベッリーニはたまらないなぁ”と思います

再び休憩後の第3幕では,アルトゥーロとエルヴィーラの二重唱「いらしてください,この胸に」が歌われ,が止みません.最後に「彼女は私に裏切られたと思った」をアルトゥーロ,エルヴィーラ,リッカルド,ジョルジュの四重唱が合唱を伴って歌われ,壮大なフィナーレを迎えます.ソリストの力もありますが,合唱の力も大きいと思います.

このオペラはとくにアルトゥーロとエルヴィーラの2人がポイントですが,今回の公演は現在望みうる最高のキャストだったのではないか,と思います アルトゥーロ役のフローレスが来日出来なくなったのは本当に残念だったのですが,シラグーザは見事にその代役を果たしました.また,ランカトーレは,ただ弱い女性としてのエルヴィーラではなく,芯の通った女性を演じ,しっかりと歌い上げていました.

カーテンコールでは出演者が手をつないで,何度も観客の熱烈なとブラボーの声援に応えていました.彼らも確かな手応えがあったのでしょう.今回の公演は急な出演者変更があったりして,一時はどうなることかと懸念していましたが,結果的には大成功だったと思います

[写真左はプログラムの表紙,右は同・中面]

        

 

 

 

 

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