夜車山(よやま)の準備が始まった。
用意される提灯は365個(一年を表す)
昼間の喧騒に満ちた御城下にも、
日は西に傾きしばらく静寂の時をむかえる。
手際よく提灯に灯が入り、
車山は不夜城の様相を呈する。
お囃子の音が一段と高まり、
いよいよ夜車山の巡行が始まった。
桜舞う今宵祭りの夢舞台。
提灯の灯りに夜桜が映える。
手子の掛け声とともに、
車山は提灯を揺らしながら向きを変える。
金襦袢は華やかに、
蝋燭の灯に浮かび上がる手子のシルエットが美しい。
試楽祭の夜車山は神社前と駅前に分かれ、
市街地を巡行の後、
それぞれの町内へ帰ってゆく。
三層構造の巨大な車山が纏う提灯は曳山祭りの至宝である。
2016年4月 愛知県犬山市