
たまたま図書館で手にとって「面白そうだから」ということで借りた一冊。
「日本全国県境の謎」
という新書。
面白かったです。
これほどまでに県境が決められていないところが存在することも知らなかったし、微妙なところは現在でも、例えば昨日までは埼玉県だったけど今日から東京都というように譲渡されてしまう地区もあったりするみたいなので、都府県の境というのはかなり曖昧である、ということも知ることになって驚きなのであった。
そもそも現在の都道府県境は藩政時代の旧国境が基本になっているが、藩というのがややこしく、例えば全く関係のないところに飛び地があったりして、それが維新時に行政区としてどこに割り振るのかややこしく、今に引きずっている地区があるのだ。
昨年の春。
仕事で奈良県の下北山村へ出かけた。
奈良県といってもここの村の最も大きな街は三重県の新宮市というようなところで、"ど"山名の中の村なのだが、聞くところによるとこの村は「大和」「伊勢」「紀州」の3つの文化圏が存在しており、現在もなお、その文化的違いを各地区は引きずっているという。
現在の行政区としては間違いなく奈良県なのだが、一部は旧紀州藩の領域であもあり、紀州藩は支藩を含めて現在の和歌山市から三重県の松阪市までその領域があり、その中に大和の国が存在するだけにかなりややこしい。
しかも現在もなお、奈良県と三重県の県境には和歌山県北山村という和歌山県とは切り離された村が存在するのだ。
近畿ひとつとってもそうなので、全国となるとイヤハヤなのだ。
ともかく北海道の一部は青森県だった、とか、四国は愛媛県と高知県しかなかった、淡路島は徳島県で奥多摩は神奈川県だったというのは序の口。
本書を読むと日本の地理がさらに楽しくなるのは間違いないのだ。