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先月、写真フィルムの名門米国コダック社が倒産した。
最近のニュースによると、会社再生のためにデジタルカメラ部門も解散するようで、倒産後の処理も苦渋に満ちたものになっているようだ。

私は大学の時に映像を専攻していた関係でコダックのフィルムは馴染み深い。
もともと高校生になるまでは他の一般ユーザーと同様にフジのフィルムを使っていたのだが、私のゼミの先生が、

「フィルムはイーストマンです。(フジはダメです、の反語)」

とばかりに黄色のパッケージの信者だったので、必然的に実習、作品作りにコダックのエクタクロームだとかコダクロームといったフィルムを多用するようになった。
なお、プロはこのときに「コダック」とは呼ばずに「イーストマン」と呼ぶことを知った。
先生の影響は馬鹿に出来ず、単純にフジのファンだった私も、

「なるほど、フジより発色がいいですね」

などとと分かっているのか分かっていないのか、というようないっちょ前のセリフを私も吐いていたのだが、確かにコダックの仕上がりはフジとは一線を画していたように記憶する。

フジがそんなのだからサクラカラー(コニカミノルタ)のフィルムは論外で、買ったことも使ったこともなかった。
そういう無縁ユーザーが多かったと見えて、サクラカラーはコニカカラーとブランドを変えても販売向上に繋がらなかったと見えて、早々に姿を消してしまったのだった。

ちょうど「イーストマンがいいです」なんて先生がおっしゃっていた頃に、ソニーがマビカを発表した。
「マビカ」
それは3.5インチフロッピーディスクに記憶するという当時としてはビックリするようなデジカメなのであった。
当時のソニーは井深大さんも盛田昭夫さんも現役で、そらもう今日のアップルのように輝く会社だった。が、そのソニーはどこへ行ってしまんたんだろう、というのは余談。

「銀塩フィルムに使用する感光剤の主原料臭化銀の資源があと数年で枯渇します。その代用を開発しなければなりません。」

と、私の先生はよくおっしゃっていた。
そこにデジカメの登場は、感光剤資源の問題を一挙に解決するものだったが、当時は鈍感な私立芸大の私はそのことにちっとも気づかなかった。
気づかなかったばかりか、

「マビカなんてビデオカメラのマガイモンちゃうんかな」

と思ったくらいだった。

ともあれ、臭化銀が枯渇する前に写真フィルムは超マイナーな存在になり、コダック社もフィルムメーカーとしての姿に終焉を迎えたというわけだ。

コダック、サクラ、フジ。

残ったフジも「写真」を社名から削除したのは記憶に新しい。
写真フィルムは過去のものになっていたのに、それにこだわったノスタルジーが会社を潰した原因に違いない。

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