<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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独裁者の末路は悲惨だ。
第三帝国のヒトラーは連合軍に追い詰められて愛人と拳銃自殺。
ルーマニアのチャウセスクは捉えられて裁判もなく夫婦で銃殺刑。
サダム・フセインはどう見ても理不尽な裁判で絞首刑。
そしてカダフィ大佐はというと、自国民でさえない外国軍に殺される、というなんともまあ、お気の毒な最後を遂げた。

また、同じ独裁者でも結構人気があって最後まで天命を全うした人も少なくない。
これもまた事実。
たとえば、スターリンや毛沢東、金日成は人気があったというより死ぬまで人々に忠誠を誓わせた強力な独裁者だが、例えばスペインのフランコ、キューバのカストロ委員長、などは独裁者だが,前者と比べるとちょっと変わった人たちだ。

独裁者というのは一般的に「悪い人」と思われている。
そりゃそうであろう。
何万人、何十万人の命を奪うことも少なくなく、独裁者登場後の人民の被害は歴史を見ればいかに悲惨かがよくわかる。

ところが時と場合によってはその独裁者が実はその地域に於ける政治文化の改革につながっていたというものが少なくない。
例えばサダム・フセイン。
この人はイラクを数十年にわたって一族で支配したとんでも大統領だったのだが、その反面、西側主要国に習ってイスラムオンリーの世界から開放し、宗教の自由を認め、女性の教育を積極的に推し進めた。
フセイン政権の閣僚にキリスト教徒がいたことがなによりの証拠でもある。

同じようなことがリビアにも言えたそうで、そのあたりは情報の欠如から私たちが多くを知らないややこしい部分になっている。

高山正之の偏見自在シリーズは、そのような「もしかして、それはホントに正しいの?」という一般的な常識を独自の視点で論破していく痛快コラムだ。
この人のコラムには毒があり、好き嫌いはその毒が体に合っているのか合っていないのかに左右されるようだが、私にはピッタリで知的好奇心が刺激されることが多い。
ミャンマーの旧都ヤンゴンのシェダゴンパゴダ。
黄金に輝くその仏塔の近くにあるイスラムモスクには「RED FORT」と書かれた墓地がある。
かのインドムガール帝国の最後皇帝の墓がそれなのだが、この歴史的に重要なスポットはミャンマー唯一のガイドブック「地球の歩き方」にも、現地の旅行サイトにも書かれていない、

私はこのような場所があることを高山正之のコラムから知り、現地に赴いた時にはさっそくその場所を探し出し、訪問したものであった。

高山正之のコラムは、このように歴史の常識に埋もれてしまっている真実にスポットを当て、現代社会の問題点を鋭く突いているのが特長で、それが最大の魅力なのだ。
異見偏在「日本よ、カダフィ大佐に学べ」(新潮社)は、欧米的価値観がある意味絶対だ、と勘違いしている日本人に冷水を浴びせるお馴染み痛快なコラム集なのであった。


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