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現在の日本の学校教育では日露戦争はあまり取り上げられないのだという。
というのも、
「日露戦争は日本の侵略戦争の始まりで、これがアジア侵略につながりやがては破滅を招いた」
から、というのが理由らしい。

世界の人々(ご近所の困った2~3カ国は除く)の認識とは随分と異なる見解ではある。

あのNHKが司馬遼太郎の「坂の上の雲」をドラマ化するといことを初めて耳にした時、私は「まさか」と思った。
青いものでも赤に染めてしまいそうな放送局なので、日露戦争を扱ったドラマは絶対に無理だと思ったのだ。
司馬遼太郎の原作小説は日露戦争を称賛はしていない。
しかし世界史上における生まれたての国「日本」を若さの漲った生き生きとした姿に描いている。
従軍慰安婦の大好きな人や、保守派政治家へのインタビューねじ曲げ大好きの人が一杯のNHKにはあり得ないドラマだと思ったのだ。
それともドラマだけに偏向脚色は簡単なのかも知れない、とも思った。

ところがどっこい、放送開始以来、現在のところ小説のダイジェスト版みたな印象は拭えないものの、内容は偏向されもせずちゃんとした物語になっているので大いに感動しているところだ。
しかもエネルギッシュで近ごろ珍しい良質のドラマだと思う。
少なくともドラマが面白いと感じたのは「ハゲタカ」以来だ。

役者も良い。

主人公を演じる本木雅弘や阿部寛、香川照之などはもちろんのこと、菅野美穂や伊東四郎、高橋英樹などの脇役も輝いている。
いや、このドラマは司馬遼太郎作品だから、すべての登場人物が主人公かもわからない。
もともとNHKは美術にお金をかける放送局だが、見ているだけでこのドラマの美術向け製作費が尋常ではないことがわかる。
ともかくディテールを再現し、あえて「凄い」と言わせない自然さが「小憎らしい」のだ。

自分が愛読している小説やテレビシリーズが映画化されると、とかく文句を付けたくなるのが私の悪い癖だが、今回のドラマはそういう部分がいまのところ少ない。
大河ドラマでは幕末維新を扱うと視聴率が良くないらしいのだが(来年の大河ドラマは主人公がどうみても竜馬に見えそうにない役者が演じているのでセオリー通りコケると思われる)この「坂の上の雲」は別格かも分からない、

ただ難点は、最終回を見るのは2年後。
3年越しのドラマになるということで、その間にホントに出演者が死んでしまったりしないかどうかいささか心配だ。
が、それだけ製作に力が入ったドラマは近年ないだけに、これからも大いに期待したいところだ。

なお、私はちゃんとNHKの受信料を支払っている。(ケーブルテレビの団体割引で)


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