<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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兵庫県立歴史博物館へ行ってきた。

非常事態宣言下なので他府県への移動は大いに躊躇われたのだが、
ひとつ、兵庫県の状況も大阪府と似たようなもの
ひとつ、移動はマイカー。公共交通を利用しないので人との接触が極力少ない
ひとつ、会期終了が迫っており解除まで待っていると終わってしまう(会期最終日と非常事態宣言終了予定日が同じ)
ということでカミさんを伴って出かけてきたのだ。

兵庫県立歴史博物館は兵庫県といってもロケーションは神戸市ではない。
姫路市にある。
だから大阪府南部の我が家からは結構距離がある。
片道100kmはあると思う。
博物館は姫路市のシンボル姫路城のすぐ近くにあるのだ。
したがってその存在目的は世界遺産であり、かつ現存する天守閣では最大の姫路城を解説することにあるようだ。
常設の展示物は姫路城関連が主流を占めていたのだ。

私にとって姫路城といえば「暴れん坊将軍」の江戸城であり、「007は二度死ぬ」でのMi6に所属する忍者のトレーンングセンターなのだ。
が、私はまだ中に入ったことがない。
このこと、以前にも書いたことがあるように思う。
今回もまた非常事態宣言下ということもあり博物館だけ訪れたらさっさと帰阪することを誓っていたので、またまた訪問せずに終わってしまった。
しかし博物館では姫路城の構造や歴史などを見ることができて、それはそれで価値ありなのであった。
ちなみにフィクションの世界とは言いながらなぜ英国の諜報機関に忍者が所属していたのかはいまもって不明である。

今回この博物館を訪れた目的は「広告と近代のくらし」という展覧会を見るためであった。
戦前の広告の数々が出展されており、デザインやマーケティングを生業の一部とする私にとっては、勉強になると思われる展覧会だからだった。
それだけに「見なければ」という感覚が以前からあり、非常事態を圧して見てきたのだ。

出展品は幕末期の木彫り版画、いわゆる浮世絵と同じ技法で刷られた広告から明治、大正期の百貨店やお菓子メーカーの広告、昭和の前半のフリーペーパーなど。
いずれもアイデアを凝らした現在でも通じそうなデザイン資料の数々だった。

とりわけ百貨店の広告はその次代の流行を捉えていて面白いと同時に、各百貨店の個性の違いをうかがい知ることができて面白かった。
取り上げられている百貨店は三越大阪店、大丸心斎橋本店、阪急百貨店梅田本店などであった。
三越は今は大阪に存在しなくなってしまったが、戦前は北浜でブイブイ言わしていたことがよく分かる気品溢れた広告であった。
心斎橋の大丸もそうだが洒落たイラストレーションが巧みに使われていて、それなりの階級の人々を顧客として持っていることがよく分かる内容だった。

それと比較して阪急は写真を多用。
コンセプトは三越や大丸同様に高いところを目指しているものの、誰にでもわかりやすい現代的なその誌面構成は私鉄ターミナルの百貨店という前者二者との違いが現れていたのではないかと思ったりした。

そういえば一昨年88歳で亡くなった母が、
「昔は阪急百貨店は普段着で買い物に行ける百貨店やったんやで」
と話していたことを思い出した。
若いときに大阪市内に住んでいたときの経験だと思うが、そういうところが阪急の阪急たる特徴だったのであろう。

他にも森永や明治のチョコレートの広告、薬の広告、地元山陽電車などが並び非常に面白かった。
汐留のアドミュージアムでも同様の特集をやっているときもあるが、関西の博物館での開催だけに関西関連のものが多数あり、そのことも魅力的なのであった。

広告は単なるアートではなく、生きた文化と歴史を伴う素敵な芸術なのであった。


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