マレーシア航空B777-200がタイ湾の入口付近で消息を絶った。
機体は未だ見つかっていないが、その周囲の情報はいくつか出現し、かなりミステリアスな様相を呈してきた。
まるで映画のような展開なのだ。
この遭難に関わるミステリーはざっと以下のようになる。
・遭難機からの緊急連絡が一切ないまま突然機影が消えた。
・飛行機は巡航飛行中であった。
・遭難機種は無事故記録が20年近く続いたB777である。
・飛行機には身元不明の乗客が少なくとも2名いた。
そもそも巡航飛行中の飛行機はなかなか事故を起こすことがない。
巡航飛行中に事故を興した事例としては、新聞でも報道されているように2009年6月にエールフランスのA330型旅客機が大西洋のど真ん中で墜落したケースと、2002年5月に飛行中に空中分解を興した台湾の中華航空B747の事例があるケースがある。
一方は機器の故障であり、もう一方は機齢22年という老朽機だったということが理由の事故なのであった。
今回の事故は何がミステリアスかというと、B777という昨年操縦の下手っぴな韓国人パイロットがサンフランシスコで着陸に失敗するまで人身事故記録0だった稀代の安全性能を誇った機種の事故であった、というところだ。
航空機は開発の新しいものほど事故が起きにくいという統計があり、B777はまさにその統計の生き証人なのであった。
最近のB787も故障やトラブルを頻発させているが、墜落までには至っていない。
これは新しい技術のものが搭乗した時に発生する初期トラブルの一種ではないか、と楽観主義者の私などは考えている。
二十数年前に新大阪東京間で新幹線のぞみ号が走り始めた時も、300系車両はボルトの脱落やカバーの外れなどトラブルが頻発し、新聞やテレビで叩かれたものであった。
それが飛行機にも当てはまるのではないか思えるのが、昨日もホノルルに緊急着陸したJALのB787の事例なのだろうと思う。
そのB777が突如としてレーダーから消え去ったとういうのは、それだけでミステリアスなのだ。
この謎に拍車をかけているのが盗難パスポートで乗り込んだ乗客が少なくとも2人いたことだ。
このパスポート盗難はバンコクで発生したものだそうで、バンコクでは決して珍しくもなんともない事件なのだが、それを使った乗客がどうも一緒に航空券を購入し、乗り込んだらしいというところにミステリーの要素を大きくしているといえる。
折しも同機の目的地が北京であったこともミステリーをさらに大きくしている。
最近の中国では天安門広場でのビラまき、毛沢東肖像画へのペンキなどの小さなものから昆明駅での多数殺傷テロ事件、相次ぐチベットでの焼身自殺による抗議など、反政府活動が活発化しつつある。
そこへ全国人民代表会議の最終日を控えていたところへ発生したのが、今回の遭難事故であったため、
「すわ、これは中国版9.11の未遂事件か」
との疑いが駆け巡っている。
B777-200だからこそ呼びこむ様々な憶測。
間もなく現地は三回目の夜明けを迎えようとしている。
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