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興行映画というのはどんな人でも自分で好きな作品は作れないんだ。
たとえ出来上がった作品が素晴らしいものになるとしても簡単には許されない世界に違いない。
と、今回スピルバーグが監督した「ウェスト・サイド・ストーリー」を観てつくづく感じたものなのであった。

スティーブン・スピルバーグは小学生の時にテレビで見た「激突!」以来、ほとんどの作品を見てきた。
当然のことながらテレビシリーズ「コロンボ 構想の死角」ももちろん小池朝雄の吹替版を見ているのだ。

「ジョーズ」から「インディ・ジョーンズ」シリーズの頃はスピルバーグは大ヒットメーカーで製作側や投資側からは絶大な信頼のある監督だったはず。
ところが「ミュージカルを作りたい」という欲求を叶えてくれる機会がまったく訪れない。
自分で金を出して作ればいいじゃないか、と思うこともないが、映画とてそれはビジネス。
個人の欲求で作って失敗できない世界でもあるので簡単にはいかなかったのだろう。

「きみは出来損ないのミュージカル監督だ」
とスピルバーグに言ったのはジョージ・ルーカスだそうで(パンフレットより)、「1941」「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」で一部分だけミュージカルみたいなシーンを撮っては「ミュージカル作りたい」というスピルバーグはからかわれていたのだ。

ということで映画監督になって50年。
若き天才も老境に入ってやっとのことでメガホンを取れたミュージカルが「ウエストサイド物語」のリメーク版だった。

リメークと言ってもそこはスピルバーグ。
ロバート・ワイズ版とは一味違った魅力が炸裂した素晴らしいミュージカル映画に仕上がっていた。
若きダンサー(俳優)陣はもちろん、歌、踊り、カメラワーク、映像美。
どれをとっても従来のスピルバーグ作品に遜色ない魅力満載で予告編を含めた3時間近い上映時間はあっという間に過ぎ去ってしまったのであった。

結末を知っている映画なので、正直のところ最初は観に行くかどうか少々迷ったのも事実。
私は基本的に悲劇で終わるストーリーは好きではないので躊躇したのだが、それでも劇場に足を運んだのはミュージカルが好きなこともあるけれども、それを老境に入った若き天才スピルバーグがどう調理したのか大いに気になったからだった。

この映画、ビデオで観るよりもまずは劇場で。
あの大画面、素晴らしい音響のある環境下でバーンスタインの名曲の数々をスピルバーグの演出で見ることが最も重要だと思う。
そんな映画なのであった。



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