<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



千葉にある丸善石油化学の工場が東日本大震災で被災して操業できなくなっている、というニュースを読んだのはもう一ヶ月ほど前。
このため一番困っているのは印刷業者だそうで、なんでもこの会社、日本国内のインク用原料を100%担っていたという。
もはや日本の印刷物はこの工場が復旧するまで、クオリティの高いまともなものは印刷できない状態になっているとか。

「この地震で、意外な事実がたくさん分かってきて、そのことにもとても興味がありますよね」

と得意先のYさん。

一時期、日立の工場が被災してしまい電車のモーターブラシが生産できないので西日本の鉄道が間引き運転しなければならなくなる、というニュースが流れた。
えらいこっちゃ、電車の本数も減らされるで、といささか地震とは直接関係ないと思っていた近畿中国の人たちもびっくりしたかもわからない。
かくいう私もびっくりしたものだ。
実際は部品はなんとかなったみたいで、当面の列車運行には支障はない、ということで一安心した。
とこが、同様の被害は、モーターブラシやインク原料にとどまらないらしい。

実はこれに似た「一社一品運動のできそこない」のようなことは世の中にたくさんある。
例えば木製家具に使う国産のパーチクルボードは石巻のメーカーがほど一社で生産していたために、全滅。
したがって、国産材料の家具の製造が困難になっている上に、輸入物の材料も品薄の状態になっている。
また、電源トランスに使用する石油製品も被災地域の一社で製造。
このため電気製品のトランスが生産できなくなっているので、これも品薄状態。
この他、電線の一部や、被災地域ではなくても業務用のエアコン(関西地方が主なメーカー集積地)が品切れしていたりで、大変な事態になっている。

そんなこんなで「6月からはデザイン雑誌やファッション雑誌のクオリティーが落ちます」なんてことも伝えられており、

「お、いよいよ電子書籍の時代かな」

と、震災に後押しされるように電子書籍が益々一般化していくのではないかとの雰囲気が漂いだしている。

新聞記事によると、アメリカのアマゾンでは電子書籍の販売が紙の本の売上を追い抜いたという。
日本は「著作権がうんたらかんたら」「著者の権利がうんたらかんたら」「出版社の権利がうんたらかんたら」「新聞社や放送局の権利がうんたらかんたら」と、利権むさぼる大日本印刷や凸版印刷、書籍取次会社を中心とする、大企業の都合に左右されている関係もあり、電子書籍の進捗が今ひとつだ。

インターネット白書2010年度版には確か電子ブックのすでに読んでいる人の比率は3%以下。
読んでみたい、という前向きな人を含めても30%に届かなかったと記憶している。

そこに今回のインク不足が手伝って日本の出版業態はどうなるのか、気になるところ。

ところで、私は仕事では電子ブックを推奨してることになっている。
というのも私の会社では広報誌やカタログなどの印刷物の制作は私の担当で、「費用削減」を意識しているうちに、やはり電子ブックは経費削減に非常に有効なのでお気に入りだ。
印刷費用と流通費用の必要ないカタログの制作は、写真撮影やコピー作成などを含む編集費用だけを考えればいいわけで、従来の印刷物の1/3以下に抑えることができる。
これはなかなか魅力的だ。

それでも、実際に書籍を読むとなると電子ブックはいささか使いにくい、というのが現状でもある。

なんといっても電子端末が必要で、持ち運びが一冊の本と比較すると持ちにくいことが多い。
iPadにしろキンドルにしろガラパゴスにしろ、片手でもってパラパラすることができないのも気に入らない。
それに、電池が必要だし落とすと壊れる、というリスク付き。

私は時々電車の中で居眠りしてしまい、持っている本をバサっと床に落として目覚めることがあるけれども、これも本だから拾えば良いものの、もしiPadやガラパゴスだったら修理費用が発生するかもわからない。

まず、電子書籍はグラビア雑誌から、というのが流れだろう。
文芸作品を読むには、まだまだという感じがするのが現状だ。

電子書籍販売数が紙の本上回る アマゾン、米のサイト(朝日新聞) - goo ニュース

-----------------------------------------------------------------------

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 「天国はお伽... 私の記憶は絶... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。