<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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和食が世界遺産に登録されてから、全世界的に和食ブームなんだそうだ。
アメリカや東南アジアなど元々日本文化が入っていくのが早かったところはかなり以前から寿司屋やラーメン屋、牛丼屋などが普通にあったりするので「何を今更」という感がないこともない。
ただやはりヨーロッパや中国なんかでは日本文化の浸透が前記の地域と比べるとまだまだだったこともあり、現在一気にブレイクしているというのが実情なのだろう。

尤も和食ブームが広がると様々な影響が日本にも及んでくる。
良いことばかりではなく、悪いことも少なくない。

例えば「マグロの刺し身は美味い」ということを他国、とりわけ倫理観ゼロのC国に伝えてしまったためにマグロの乱獲が発生。
価格は上昇するは、ワシントン条約で保護されるなんて話は出てくるわで大いに迷惑だ。
なにしろブロードウェイ・ミュージカルの「ブック・オブ・モルモン」では「日本へ行きなさ〜〜い」と指示されたモルモン教徒の若い宣教師が「マグロだ!刺し身だ!」と言って喜ぶシーンがあったりするぐらいだ。

で、この和食ブームに乗っかって需要が増えているのが日本酒。
和食の蛋白で素材中心で、どちらかというと海産物の多い食事には日本酒が合う。
畢竟、海外でも日本酒の需要が増えてくるのは当たり前かもしれない。

しかも日本酒はワインと同じく繊細なアルコール飲料だ。
素材である米の質はもちろん、精米度や温度管理、水などにも味は大きな影響を受ける。
地域性も大きく物語がある。
今年の○○県の△△という酒蔵の純米酒は美味い。
なんていう具合に。
まるでワイン文化とそっくりである。

とは言え、日本酒の需要は劇的に改善されることはない。
ビールや焼酎に圧されて中小の酒蔵さんはもとより大手といえども、どうやって販売量を増やすのか苦心惨憺しているとこだ。
私の地元大阪には酒蔵が17社ほどあるのだが、1社を除き経営は決して楽ではないということを聴いている。
除外された1社はサントリーなので世界が違うし。

そんな国内市場を尻目に和食ブームの影響で日本酒の需要が全世界的に増えつつあるようだ。
ベトナムでビジネスコンサルをしている知人の話によると一升瓶1万円も2万円もするような酒が普通に消費されているという。
経済発展著しいベトナムとはいえ、国民の月収にも匹敵するような価格の酒を惜しげもなく購入するのはどういうことか。
そのあたりはベトナムのローカル経済ルールがあるようなのだが、それはまた別の話題。
フランスでは日本酒をライスワインとして普及させようと言う試みがあり、しかもそれなりのステータスをすでに得ているという。

ところで日本酒の英語表記がなかなかオカシイ。
Japanese Sake。
日経のグローバル欄でもJapanese sakeと表記されているので、多分正しいだろうし、私も外国人と英語で会話する時は清酒のことを無意識に「Japanese sake」と話す。
でもよくよく考えてみると、これっておかしくないか。
酒はsakeであって日本酒だからJapanese sakeというのは「なんのこっちゃ?」とならないのだろうか。

確かに私もJapanese sakeと話した後に「Japanese traditional liquor」と付加えることがある。
酒など知らない人に「sake」と言っても伝わらないだろうし、そこへ「Japanese」を付けたところで「日本のなんやらわからんもん」となることは間違いなく、まったくもって無意味だ。

日本酒ブームでの英語の呼び方。
Japansese sake以外になにかないのか。
最近の小さな疑問なのだ。


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