<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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ミュージカル映画「LA LA LAND」鑑賞した。
物語はもちろんよく出来ているし、美術の色彩感覚も凄いし、カメラワークはどうやっと撮ったのか分からない驚きの部分も少なくなく、ジーン・ケリーの巴里のアメリカ人を彷彿させるエンディングの画面づくりも映画ファンにはたまらないものがった。
つまり凄い映画だった。
この「LA LA LAND」を鑑賞したあくる日に、梅田のBillboard大阪でクリストファー・クロスの日本公演へ出かけた。
クリストファー・クロスというと映画「ミスター・アーサー」で歌った「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」でアカデミー主題曲賞を受賞したシンガーソングライターだ。
毎年この時期に来日して大阪と東京でライブをしているという日本贔屓だ。
元々高い声質で透き通るような歌い方が魅力的だったが、やはり40年近く前と異なり声質が少し劣化していて、前半「声が出てないな〜」と少し残念だったが、ソロでギターの弾き語りを始めたころから調子が出てきたらしく最後は大いに盛り上がりなのであった。

歌手の声は年齢とともに大きく左右されるな、と考えながら帰宅している途中、一緒にライブに行った娘が、
「やっぱり向こうの人は歌がうまいな〜」
と言った。
やっとのことで受験が終わりそうな高校生の娘が息抜き第一号で出かけたイベントだった。
娘は子供の頃から祖父母と一緒にいる時間が長かったために演歌やフォークには詳しいがJ-POPにはほとんど興味がないみたいで話題にすることが殆ど無い。
ちなみにお気に入りのシンガーは松任谷由実だ。
そんなこともあって昔や外国の歌には興味を持っている。
最近は英語の聞き取りにも力を入れていたので、クリストファー・クロスの歌詞もかなり聞き取れたらしくご機嫌であった。
LALA LANDといいクリストファー・クロスといい、世界品質のエンタテイメントの高品質に感動していたのであった。
そんな中、

「J-POPの歌って何を言っているのか分からへんし、下手やと思う。お父さん、昔から下手な歌手は多いん?」

と訊いてきたので、

「昔も下手な歌手は少なくなかったで。」

と答えた。
私は浅田美代子や大場久美子を思い出したのだ。
せっかくなので帰宅してからユーチューブで彼女たちの下手くそな歌を娘に見せ聞かせしてみようということになった。
で、帰宅後、彼女たちの歌を聞いた娘が、

「え、上手やん」

と言った。
驚きであった。
巷に溢れるJ-POPの歌品質を標準とした場合、昔の浅田美代子や大場久美子の歌唱力は音痴ではなかったのだ。
しかもそれを私自身が感じたのだ。
浅田美代子の「赤い風船」を聴いて、
「え......こんなはずではなかったんや、け、ど」
となってしまったのだ。
浅田美代子や大場久美子などの歌は当時子供であった私が聴いても衝撃的なくらい下手くそなのであった。

それを「普通やん」と思うこの感覚はなんなのか。

歌手のクオリティは慣れで変わるのだと初めて知った瞬間であった。

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