<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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百科事典ビジネスというのがあって、
「全集揃えて知的に行こう」
というのかどうかは知らないが、我が家にも平凡社大百科事典があってすっかり骨董品の領域である。
私が子供の頃に両親が無理をして月賦で購入したと思われる全36巻プラス索引と地図という構成で、しかも1976年ごろまでだろうか年鑑も毎年1冊の割合で発行していた。
かなりの体積をとる書籍で、印象は重厚である。
正直今では1年に一度使うかどうかわからない辞典になっているし、今時何かを調べるというとインターネットを使うので場所だけをとるかなりの厄介者でもある。
しかし親が若い時に将来を託す気持ちで息子のためをと思って購入してくれた百科事典はそう簡単に捨てるわけにもいかず保管されている。
幸いなことに書棚が丈夫だったので21年前の阪神大震災でも多くの書籍が雪崩をうって外へ飛び出したのに対し、百科事典はどんと構えていて私の家に君臨しているのだ。

百科事典は場所を食う。
高い。
でも、書店にとっては大きなビジネスになったようで他にもタイムライフの図鑑関係が我が家にはまだある。
尤も、このうちタイムライフのライフ写真年間は子供の頃はそう凄いものという感覚がまったくなかったのだが、長じて歳を重ねるごとにライフ誌の写真に度肝を抜かれ「時代を切り抜くことの大切さ」をひしひしと感じているのだ。
フォトジャーナリズムに興味を持ってから眺めるライフ写真年間は重要なコレクションになっている。

この辞典ビジネスを今も続けるのがディアゴスティーニ。
毎月1回か2回、シリーズの冊子や付録を出版する会社で毎回興味深い企画を打ち出してくる。
あるときは恐竜。
またあるときはスタートレック。
そしてまたあるときは自動車の模型。
と言った具合にそれこそ沢山の企画を打ち出しては最初だけ話題をさらっているのだ。

このディアゴスティー二の企画はだいたい最初の「創刊号」なるものは980円で売られている。
皆に興味をもってもらうために特別価格で販売している。
そしてこの特別価格の意味はもう一つあり、このシリーズが通しで毎回1000円程度で購入できるものと思い込ませることだ。
シリーズはだいたい50回ぐらいは続くわけで、
「あ、だいたい全部揃えると5万円ってとこか」
と油断をすると、2巻目からは1冊1980円とか2980円になってしまうので、完成させるには10万円以上の貧乏学生、貧乏サラリーマンには膨大な金額になる。
気がついた時は途方も無いビジネスに乗せられている自分に気がついて愕然とすることになるのだ。

そもそも私はこのディアゴスティーニのシリーズを全巻揃えたり、模型を完成させた人に会ったことは1度しか無い。
それは私の実の伯父で、何かの挨拶の時に伯父宅を訪れると、
「ええもん見せてやるけん、待ちおれおよ」
とニヤニヤもったいぶって話す。
ちなみに伯父は岡山県出身で大阪生活が長いにも関わらず身内が揃うと大阪生まれ大阪育ちの私にまで岡山弁で話をするのだ。
で、待つこと30秒。
伯父が敬々しく持ってきたのは真っ赤なランボルギーニの模型なのであった。
「も~、10万円以上かかったんよ。あほや~いうとるのに」
というのは伯母のコメントなのであった。
伯母は大分育ちで大阪生活が長いのだが、伯父と夫婦になってしまったために関西弁と岡山弁と大分弁が綯交ぜになる独特のイントネーションで話してくれるのであった。
そのランボルギーニ。
よくよく見ると細かいところまで再現されており、ドアは開くわ、ライトは点くわで凄い模型なのであった。
でも、これって十数万円すると思ったらタミヤかどこかの模型を買って自分で電飾や改造を施したほうがいいものができそうな気もして複雑な気持ちになってしまったのであった。
定年退職してフリーの身の上だからこそできる技なのであった。

最近サンダーバード2号のシリーズがディアゴスティーニからリリースされてそのランボルギーニを思い出した。
このサンダーバード2号を完成させるにはそれこそ20万円近くのお金がかかりそうで、いくら今井のサンダーバード2号が大好きな私でも、これには手をだすことはなかなか難しい。
そんなこんなで大きな疑問が復活した。

ディアゴスティーニの完成率は何%なのだろうかと。

そういう統計があったら見てみたいものだ。

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