<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



神戸空港に毒ついていると、その神戸空港に着陸するらしき青い機体の飛行機の機影が西から東に向かって眼下をゆっくりと飛んでいた。
しかし、この飛行機は神戸空港には着陸しなかった。
神戸空港のずっと上空を飛んでいる飛行機なのであった。
私のほうがかなりの高度を飛んでいたため高さ感覚がよくわからなくなってしまっていた。
飛行機はよくよく見ると大韓航空機で関空に向かって飛行しているのであった。
大阪湾上空は航空路が何層にも重なっている複雑怪奇なエリアだった。

飛行機は神戸空港上空を要北東に向かって飛行していく。
やがて眼下には甲子園球場が見えてきて、続いて大阪空港も見えてきた。
この日、雲ひとつ無い快晴で、かなり遠くまで見渡すことができる。
淀川に沿って北東に進路を変えると京都盆地が見えてきた。
京都の碁盤目状の町並みがよく見える。
御所が見え、二条城が見え、下鴨神社が見える。

比叡山の向こうには琵琶湖が広がっている。
飛行機はたぶん宇治上空を飛行。
瀬田の唐橋。
琵琶湖大橋。
そして近江平野が広がっている。
織田信長の居城があった安土城跡もよく見える。
やがてハゲ山のような伊吹山が見えると、そこからは山並みが続き、次第に険しくなってくる。
ピーチにはANAの「翼の王国」のような機内誌もなければ、地図の表示される液晶ディスプレイもないため、どこを飛んでいるのかわからない。
岐阜県か長野県か富山県か石川県か、このあたりの地理はちっとも覚えていないので、下に道路は見えるものの、どのカタチからどこを飛んでいるのか自分で判断することは難しかったのであった。

結局、数日後、帰宅してから撮影した写真と地図を見比べると岐阜県から富山に抜けたことがわかった。
険しい黒部の山々を飛び越えると、富山市街、高岡市街が望まれ、やがて飛行機は日本海へと出て行ったのであった。

で、座席の狭いことを忘れて景色に夢中になっていたのはここまでて、此処から先は眼下には海原が広がるとともに、それもやがて雲に覆われ、何も見えなくなってしまったのであった。

この瞬間から、ピーチ・アビエーションの狭い座席に息詰まりのようなものを感じ始めたのであった。

つづく

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