<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地





東北大学の元学長西澤潤一先生がその著書の中で、
「科学で解決できないことはない。今できなくても、未来には必ず科学が解き明かす」
というようなことをおっしゃっていたのを記憶するが、曖昧なものについてはなかなかそのメカニズムを解明することは今の科学でも困難だ。

その代表格が「宇宙」。

宇宙はどのくらいの大きさがあって、何時生まれて、これからどうなるのか。
という疑問にとどまらず、そもそも「宇宙」って何故存在するの?
というようなことを考え始めると、かなりの確率で「ビョーキ」になってしまいそうなくらい、重大な謎の一つだ。

一方において、身近にも解明の難いものが少なくない。
例えば、
「室内蛍光灯は明るいほど仕事や勉強の効率が上がる。」
という思い込みがあるけれども、これも単なる思い込みで、最近の科学では光はその時に行っているジョブの内容や状況、目的に応じた適切な色温度や明るさがある、ということがわかってきている。
例えば数学の勉強をしているときは白っぽい光が集中でき、国語の勉強をしているときは黄色っぽい光のほうが想像力が働き効果的なのだという。

最近は植物工場の情報が一般にも流れてきているので「光の色」については多くの人々がこれまでの思い込みが明らかな間違いか、間違いに近いものであったことに気づきだしているに違いない。

リチャード・ワイズマン著「その科学が成功を決める」(文春文庫)は、そういったこれまで「それが正しい」と思われていたことを科学的に調査分析し、その結果をレポートした、なかなか興味溢れる科学ノンフィクションであった。

どこの会社でもグループワーキングの大切さや、チームプレーの大切さが説かれ、それがイノベーションの元となる重要な要素であると教育され、実践を要求される。
重要な決定事項も話し合いを重んじる。
それが民主主義社会における企業の役割だ、と説かれるのだ。
とりわけ最近増殖してい「コンサルタント」と呼ばれる人たちには、そういうことを盛んに推し進め、クライアントの同意を得ようと必死になっている人たちが多いが、こういう人たちの説教は話半分がいいんじゃないか、むしろお偉方に不興を買うことの無いように、丁重に追い出すよう働きかけるのが適切ではないかと私は思っていた。
コンサルタントが10人いれば役立つのは1人くらいで、あとはそのコンサルタントの話を聞くぐらいなら、ビジネス系の雑誌や漫画を読んでいる方がよっぽど有効ではないか、と思っていたのだ。

実際、プロジェクトの推進などはグループで出来たものではない。
皆の意見が交錯し、どの人の意見を立てても不興を買いそうで、結論は持ち越し。
なかなかプロジェクトは前に進まず頓挫する。
という、まあ丁度昨年まで四の五の理屈ばかりを並べて結局何もできなかった民主党政権のような状態に陥るのが、オチである。
これに対し、諸説を徹底的に否定し、個人が強力な指導力でグループを引率するプロジェクトはあっという間に結論が出て、出てくる結果も斬新で、気がついてみると、次のプロジェクトにもうかかっている、という極めてポジティブな現象を観察することができる。

その代表格がジョブスが存命中のアップル社ではなかろうか。

本書ではこのように、大勢で同意を得ながら進めることが適切であるというのは伝説にすぎないことを立証した例や、最近の若い人たちの一部がハマっている「自己啓発セミナー」には実はなんのメリットもなく、デメリットの塊であることが科学的に分析されている事例が紹介されていて、実に面白いのだ。

ということで、うちの会社のお偉いさんも、本書を読んで目覚めてくれれば嬉しいと思っている私なのであった。


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