<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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私の務めている会社は始末屋をモットーとしているため、大阪からは岡山、名古屋、鳥取、福井、などは出張扱いにならない。
困ったことである。
片道300km以内は出張扱いしないというルールが存在するので、出張手当が出ず、外食は完全自腹である。
もっとも、こういう大都市および中小都市はまだいい。
交通網が発達していて鳥取、福井でもバスや在来線の特急で2~3時間で行くことができる。
岡山、名古屋に至っては大阪からは1時間かからず最速45分。
もはや大阪から阪急電車に乗って京都へ行くより時間的には近いという驚くべき地理的特徴がある。

しかし、辺境になるところは大いに困惑することになる。
例えば和歌山県串本町はその代表で、和歌山県は大阪府の隣に位置するのだが、本州最南端の串本へ行こうと思えばJRの在来線特急で大阪駅から4~5時間もかかるのだ。
これはもう、中途半端ではない。
かといって飛行機があるかというと、そんなものはなく、大阪から串本へ行こうと思えば公共交通はJRのみ。
自分で車を運転して行っても、やはり同じぐらい時間がかかってしまうので、あまり日帰りでは行きたくないところではある。

そんなこんなで、出張手当も出ない名古屋へ先週は2往復した。
いつもは東京出張の通過点となり、最近は飛行機での移動が多いので、町並みしか縁がないところなのだが、たまたま名古屋のスタッフを応援する必要が生じたので名古屋へ出向いたのだ。

名古屋といえば、あまり美味しいものがないというのが関西人の一般的な感想だ。
ういろう、手羽先、ひつまぶし、味噌カツ、ランチのような喫茶店のモーニング、などなど。
特徴はどれもこれも「味が濃い」というところで、繊細な味を好む関西人からすると、名古屋の人には申し訳ないと思いながらも、
「ん~、田舎っぽい味やの~~」
となってしまうのだ。
ただ私も現代人なので、濃い味がダメかといえばそうでもなく、例えば前述の中でも手羽先はビールの肴として大好きだし、マクドナルドやポテトチップするのようなものも好んで食べる時がある。

きしめんも、私が名古屋へ出張ると好んで食べる数少ない名古屋名物のひとつだ。

なぜきしめんを好んで食べるのか。
その理由は自分自身でも定かではないが、麺類が好きなので、どこへ行ってもその土地の麺料理を好んで食べることがある種の習慣になっていることは確かである。
四国へ行けば当然うどん。
長崎に行けば当然チャンポンか皿うどん。
博多に行けばとんこつラーメン。
沖縄に行けば沖縄そば。
山陰地方へ行けば出雲そば。
東京へ行き行けば薮そば(燃えてしまいましたが)。
たぶん行ったことはないけど秋田に行けば稲庭うどん。
ベトナムのサイゴンへ行けばフォーガーで。
タイのバンコクではクイッティオ。
そしてミャンマーのヤンゴンではモヒンガーやシャン麺を楽しむ。
従って名古屋できしめんを食べるのは当然ではあるのだ。

で、このきしめん。
名古屋にしては味はあっさり目で麺は平べったいが、そこそこシコシコしていて悪くない。
悪いのは値段が高いことだ。

きしめんはいつも駅そばとして食べるのだが、これが一般的な駅そばと比べるとべら棒に高いという特徴がある。
つまり東京なら富士そばや箱根そば、大阪なら天王寺うどんや阪急そばと比べると格段に高い。
例えば写真の鰹節と小さな揚げの入った、いわゆる素きしめんで390円。
この価格は立ち食いなので、これが椅子のあるお店に行くと600円ほどになる。
東京で立ち食いのかけそばを食べると、一杯だいたい250円程度。高い所で300円。
大阪でかけうどんを食べると安い所で190円。高い所でやはり300円。
こうなるときしめんの390円はずば抜けて高額ということになる。

例えば大阪で600円ということになると、だいたい「きつねうどん」と「おにぎり2個」を食べてもお釣りある。
東京でも、私が時々食べる新橋の立ち食いなら蕎麦とカレーライスを食べることができる。
さぬき饂飩だと、600円もだせばかなり豪華な、例えば海老天、かき揚げ、に大盛り饂飩を堪能できる。鰹節と天かすは無料なので入れ放題。
こうなるとどうして「きしめん」がこうも高いのか。
名古屋へ行く度に疑問が高まってくるのだ。

出張扱いで手当が出ても、出てくる疑問かも分からない。

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