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先週、パナソニックがVHS方式のビデオデッキの生産を終了することを発表した。
ソニーのベータ方式に遅れること約10年。テープ式録画システムの勝者は、寿命でも勝利を収めたというわけだ。

ところで、今後VHS方式で録りためたコレクションはどうなってしまうのだろうか。
正直に告白すると、私はビデオデッキではベータ方式派で、初めて買った(正しくは買ってもらった)ビデオデッキはベータ方式で、追加の2台目も買い替えの3台目もベータマックス方式のソニーのデッキを購入した。
従ってコレクションの多くはベータ方式であり、今やかろうじて生き残っているベータプロのデッキが動かなくなると、これらのコレクションは一切合切見ることができなくなるのだ。

コレクションには貴重なものも少なくない。

朝日放送で放送されていた枝雀寄席。
NHK特集シルクロード。
日曜洋画劇場と月曜ロードショー。
谷啓とうつみ宮土理が吹き替えをしている「スヌーピーとチャーリー・ブラウン」
阪神タイガース21年ぶりの優勝決定試合(阪神vsヤクルト)
阪神タイガース初日本一決定試合(阪神vs西武)
スペースシャトル初飛行のニュース特番
マペット・ショー
などなど。

このうち日曜洋画劇場と月曜ロードショーは淀川長治と荻昌弘の解説部分だけをiMacに取り込みオリジナルDVDを作成。自分だけのコレクションにしている。
今や洋画劇場といえば解説も何もなく、味も無いが、当時の淀川節の魅力と、荻昌弘のアカデミックな解説には今聞いても勉強になる部分が少なくない。
またマペットショーは全話を日本語吹き替え版でDVDにダビングし、これもまた自分だけのコレクションにしている。
マペットショーはアメリカでは人気シリーズで何年も続いたが日本ではたった15話放送されただけ。それでもゲストは大物が多く、例えば第一回目はエルトン・ジョン、五回目はシャルル・アズナブール、何回目か忘れたがピーター・セラーズ、さらにポール・ウィリアムズやキャンディス・バーゲンなんかが登場していたのであった。
吹き替え陣も豪華絢爛。
山田康雄、天地総子、熊倉一雄、納谷悟朗、神山卓三、永井一郎、滝口順平、羽佐間道夫などが担当。
ちなみにゲストのエルトン・ジョンは富山敬、シャルル・アズナブールは藤村有弘と今は亡き人たちの声も楽しめる。

このように、貴重なコレクションはデッキが生産終了されると見ることができなくなり、いくらテープがあっても宝の持ち腐れと化してしまう。
ベータマックスでこれだけの被害なのだから、VHSだとその被害規模も大きく、対象となる人も少なくないに違いない。

私の場合はVHSデッキを購入してからというもの、大したものは録画しておらず、見られなくなると悲しいものにNHKドラマ「大地の子」があるものの、それとていざとなると近所のTSUTAYAでDVDを借りてきて見ることができる。
VHS生産終了のショックはベータマックスほどではないのだ。

ということで、VHSテープのコレクションを大量に所持されている方はDVDまたはHDDへのダビングを急がなければならないのだ。
パナソニックやソニーは自社のデッキをもっている人たちを対象に、ダビング用のDVD-Rくらい無償配布していただきたいと思う、今日この頃なのであった。

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