全英連参加者のブログ

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9年制「小中一貫校」…文科省が検討

2005-11-14 05:21:30 | 気になる 教育行政

 ものごとが上手くいかないときは、システムをいじりたくなるし、その必要も実際あるのだろう。問題はいじり方である。システムをいじることはソフトウエアの変更である。このソフトウエアは往々にして、頭がいいとされる人が頭の中だけで考えることになる。こんな場合、理想は絵に描いたモチになる可能性がある。
 学校で働くものは悪い習慣だが、僕らは現場を見過ぎてしまい、俯瞰的なものの見方ができにくくなることがある。また、理想を追い求める傾向の強い現場教師は、現実から上滑りする。ガラスに張り付いたハエのように前に進もうとするが前に進めないとも言われることがある。

 とるべきはその中程。そんなことを考える。

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 読売新聞によれば、『現行の「6/3制」は、今の子の心身の発達に十分に対応できていない』という指摘があるそうだ。
 …いつの、どのシステムと比較しての話しなのかは書いていない。

 『実現すれば小学校高学年への「教科担任制」導入や、小・中を通じた継続的な生活指導が可能になる』ともある。中教審の義務教育改革の答申案にも『「創設の可能性について検討が必要」と明記されており』とある。

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 利点とされることはどこにあるのかな。
 文科省想定の義務教育学校は、小学生と中学生が同じ校舎で学ぶ「9年一体型」だそうだ。

 教師が9年間を通じて児童生徒の発達段階に応じた生活指導を行う。現行の小学校高学年段階から教科担任制を導入し、より専門的な立場から教科指導をする。

 設置は全国一律ではなく、各自治体の判断で弾力的に行える制度を目指す。
 …各自治体の判断はお金で決まる。ない袖は振れないのである。。。

 創設が正式決定すれば、「学校教育法の改正」などに乗り出す方針である。
 …教員免許法の改正も必要だ。

 文科省幹部は「少子化に伴う学校統合という副次的な効果も期待できる」と話している。
 統合でもしなければできないと思う。ただ、小学校に中学校を合併するにしても、その逆にしても、一カ所にまとめるのはなかなかむずかしいぞ。
 …そもそもこれが真のねらいじゃないのか。
 通常小学校区(学区)が二つに、中学校がひとつあるくらいの配置である。9年間一貫教育云々としても、現在の中学校を基準に、小学校を統合すると、小学1年生に今の最大倍の通学時間を強いるのは厳しくないか。その逆に小学校区を基準に中学校をその上にのせるとなると、文科省の言う「少子化に伴う学校統合。。。」は絵に描いたモチである。
 学校の教室の規格だって小中では異なる。トイレ、水飲み場、下駄箱、図書館の本の選定。。。戦後60年、両者は別のものとして育ってきた。それをただくっつければいいものではない。そもそも竹に木を接ぐようなことにならないか。

 文科省の調査によると、「9年制小中一貫校の創設」に関して保護者の意見は、いいか悪いかわからないが一番多い。

 30.6%が「賛成」、18.9%が「反対」、39.5%が「どちらとも言えない」(=賛成でも反対でもない)

 たかだか3割が賛成だからといって突っ走ると、あとで大変なことになるかもしれない。
 大事なのは場所を統合することじゃなくて、学習指導などが連続することにあると思う。となれば、学校をくっつけるのではなくて、先生を動かす方が安上がりでは?
 また、現在でも小規模自治体の公立学校は、「〇〇〇村立小中学校」などがある。これは文科省が考えていることとは違うものだとは思うが、これらの学校の実態を調査し、新しいことを使用とするときの情報を可能な限り集めて分析するべきである。これらの学校や都市圏の小規模自治体をパイロット地区(特区でも可)指定して実際に教育活動を行ってもらう必要があると思う。

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 頭のいい人の頭の中にあるものを、形あるものにする。一斉に変えることができないのであれば、現在あるサンプルや実験可能な方法で実践してみなければならないだろう。
 ソフトウエアの変更は充分準備が必要だ。
 読売新聞ウェブサイト(10月18日)を読んで、心配性の高校教師が考えました。

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