先週金曜日勤務校はマラソン大会だった。
レース中生徒の貴重品を先生たちが預かり、本部で管理する。走り終わって、順次生徒が本部で受け取ることになっている。レースが全部終わり、受け持ちクラスの生徒のお財布が一つ残った。
マラソン大会は学校とはずいぶん離れた場所・河川敷の公園を本部、周辺道路をレースコースに実施である。普段ならば自転車通学の生徒でも、最寄りのJR駅まで電車で来て、会場まで歩くことになる。勤務校は自転車通学が、半端でなく多い学校なので、マラソン大会の時は、ほとんどが電車か路線バスを使う。つまり現金がいるのである。
財布を忘れ、駅までかバス停まで行けば、お金がないことに気づくだろう。だからそのうち戻ってくると思い、待つこと90分。結局戻ってこなかった。まあ、PASMOでも持っていれば、チャージしてあれば、家には帰れたかと思い、持ち主を他の先生立ち会いの下で確認、ひとまず僕が預かることにした。
家で、持ち主に電話。
「もしもし、私〇〇クンの担任の全英連参加者と言います。
「あっ、先生自分です。
「あのね、〇〇クン、わすれものしたでしょ。
「はい。
「いつ気づいたの?
「駅で気がつきました。
「....?
「大丈夫と思って、そのまま帰りました。
「...あのねぇ。
「すみません。
「担任は、〇〇クンを待ったんだぜ。
「すみません。ありがとうございました。
こういうとき、ありがとうとか、ごめんなさいが言えるのは、人としていいことだ。
「月曜日まで預かるからね。
「お願いします。
「で、君ど~やって帰ったの。PASMO?
「部活の先輩がいたので、お金借りました。
マラソン大会。いろんなことが起きるのだ。ジャージを忘れていったものがいた。まあ、こんなのは毎年のことである。走りつかれて着替えたあと、ぼ~ッとしてしまうのは、わかる。でも、今年は運動靴が集合場所のグランドに、ちゃんとそろえておいてあった。自殺の名所じゃあるまいに... ねえ。それから、今年は、近所の保育園の子どもたちが、会場にお散歩に来ていて、かわいい声援を送ってくれた。3年生が声援に応え、子どもの前で手を振って、つまずいていた。長距離を走っていて、予定外のこと(走る以外の動作)をすると、つかれているから危ないのだ。彼は一つ学習しただろう。きっと。。。
でも、まあ大きな事故もなく終わった。よかった。
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実際に起きたことに基づくフィクションです。