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指導要録

2006-03-10 04:26:25 | 教師の仕事 2005

Youroku_1 指導要録を書く季節が近づいている。
 これは、法律などの規定では、「児童・生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を記録し、その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿となるもの」である。
 何が書いてあるか、取り扱いも含めてあまり知られていない。

 春休み、27日以降、指導要録のまとめ作業期間になる。
 どんな組織でも、それが民間企業でも、公共企業体でも監査というものがある。学校も事務室の会計監査、教学部門の監査の一環である指導課訪問、公文書一般の監査指導である管理指導など、年に何回も監査等がある。数日前に教頭に聞いたところ、平成18年度は5月の連休明けに管理指導が予定されている。それまでに担任は指導要録を記入し、教務担当の検査を受け、間違いなどを修正し、最終的に校長の認め印をもらわなければならない。
 担任としての記入は年度内に完了する。転勤してしまう人もいるから、これはいわれなくてもMUSTである。新年度になり教務担当の検査が新学期早々にある。その後校長の認め印をもらう頃には大体4月は終わっている。その間授業もある。かなり忙しいことになる。

 指導要録はその監査の対象になるものである。それだけ重要な表簿(記録文書)である。

*****

 さて、指導要録。どんな表簿だろう。
 指導要録は2部構成になっている。一つめは学籍に関する記録で、次の項目が記録される。

 ①学級、整理番号
 ②児童・生徒の氏名、生年月日、性別、現住所
 ③保護者の氏名、現住所
 ④入学前の経歴
 ⑤入学・編入学等
 ⑥転入学の記録
 ⑦転学・退学等
 ⑧卒業(の年月日)
 ⑨進学先・就職先等
 ⑩学校名及び所在地
 ⑪校長氏名[印]・学級担任者氏名[印]

 学籍に関する記録は、卒業後20年間保存。
 現行法規では全日制課程を3年間で卒業した場合(18歳で卒業した場合)、その卒業年次の学生が39歳の誕生日を迎えた時(丸20年目の年度末の次の年度の誕生日)には指導要録そのものはすでに処分されていることになる。もちろん卒業の事実を証明することはできるが、20年も経てば、②⑧以外は実際問題として必要な情報ではない。逆に学校がもっていること自体問題かもしれない情報である。その情報でさえも、法律等の規則上20年の保存義務しかない。(参照:学校教育法施行規則第15条②)
 …ということは、20年たってしまえば、〇〇高校卒業の証明そのものが「法律上」はできないのが、日本の法体系である。(すごいでしょ!!!)

 二つめは指導に関する記録で、次の項目が記録される。

 ①各教科の学習の記録
 ②観点別学習状況
 ③評定(成績ですね)
 ④総合的な学習の時間の記録
 ⑤特別活動の記録
 ⑥行動の記録
 ⑦総合所見及び指導上参考となる諸事項
 ⑧出欠の記録

 指導に関する記録は、卒業後5年間保存。
 現行法規では全日制課程を3年間で卒業した場合(18歳で卒業した場合)、その卒業年次の学生が24歳の誕生日を迎えた時(丸5年目の年度末の次の年度の誕生日)には成績証明書の発行は、物理的にも、規則上もきない。
 …つまり、5年経ったらもう学生時代の成績は証明されないことになる。5年経ったら、自分は学生時代オール5だったぞと言っても、誰も証明してくれないし、逆に否定もできないことになる。

*****

 20年経過すると、法律等の規則上は卒業の記録も個別学校には保存義務がなくなる。でも卒業を証明できると書いた。これは埼玉県の県立高等学校は、国の定めた法律等を補完する埼玉県の個別条例により、卒業関係の記録の保存が義務づけているからである。(公立学校:小中も同じである。公立高校も設置者の条例で決められている)
 埼玉県の場合、埼玉県立高等学校管理規則というものがあり、その中で保存すべき表簿が決められている。他の都道府県でも大体同じだろう。

 第26条
 学校は、学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第15条に規定する表簿のほか、次に掲げる第2欄の表簿を備え、それぞれ第3欄に定める期間保存しなければならない。
   番号-表簿の種類-保存期間…表簿の種類が第2欄、保存期間が第3欄

 1-学校沿革誌-永久
 2-卒業(修了)証書授与台帳-永久
 3-旧職員の名簿及び履歴書綴-永久
 4-学校要覧-5年
 5-公文書綴-別に定める期間
 6-統計表綴(学校教員統計調査規則、学校基本調査規則、学校保健統計調査規則)-5年
 7-教育指導計画書綴-5年
 8-職員の任免その他の進退に関する文書綴-5年
 9-職員調査表-5年
 10-職員旅行命令簿-3年
 11-願書、届書綴-3年
 12-職員会議録-3年
 13-日宿直日誌-3年

 埼玉県の県立高等学校にとって、もっとも大事な表簿は、上の123である。
 1は、学校設置前から毎年毎年の出来事(施設改変、管理職の人事異動、行事等)を記録するもの。
 2は、すべての卒業生の卒業の年度(年月日)、課程・科名、氏名を記録したものであるから、名前を忘れてでもいない限り、これにより卒業を証明できる。
 3は、その学校で一度でも勤務したものの履歴書、転出した場合はその写しである。去年東京都で無免許教員事件が起きたが、教員免許の写しもこれに含まれる。

 これらの表簿は通常、校舎の一番構造上丈夫なとこの耐火金庫に入れられている。戦争にでもなり、ミサイル攻撃で直撃でもされない限り大丈夫である。

 この条例には第2項から第4項がある。

 2 前項の表簿中第4号及び第9号は、毎年5月1日現在で作製したものを同月末日までに教育委員会に報告しなければならない。
 3 表簿の様式で必要なものは教育委員会が別に定める。
 4 学校が廃止された場合、第1項に規定する表簿は、教育委員会が保存する。

 学校が廃止されても記録は残るわけだ。
 生徒でも、職員でも一度でも学校と縁ができたら、卒業・転勤・退職などの記録は残る。永久保存表簿は学校の歴史そのものなのだ。
 勤務校の卒業式も終わった。平成17年度卒業生も学校の「歴史」の一部分になった。。。

 さあ、テストだ評価だ学期末だぁ~

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