全英連参加者のブログ

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これはまずくないか。

2013-12-04 04:05:13 | 気になる 大学研究

 例の東北地方への医学部(医学科)設置の件、気になるニュースがある。河北新報ウェブサイトに先月30日付け記事として出ていたものである。一部引用する。


医学部新設で地域医療の崩壊懸念
既存学部「誰が責任取る」

  焦点は「医師の引き抜き」になる。国の要件では医学部は専任教員だけでも最低147人が必要。新設を働き掛けてきた東北市長会(会長・奥山恵美子仙台市長)は10月、東北の医師引き抜きを禁じるよう国に求める特別決議をした。
 文科省は有識者会議による審査段階では、大学設置審の際に必要な教員名簿の提出までは求めない方針。ただ、「公募だけでなく、どの大学から計画的な協力が得られるかなど一定のめどは示してもらう」(医学教育課)とし、人材確保策の提示を求める考えだ。


 この記事では専任教員が147人必要とある。医者として現場経験が当然あり、大学で教えることができるような経歴(研究実績)もある人がこれだけ必要となる。すごい人数である。でも、一番気になったのは赤字にした部分ある。

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 有識者会議とは、2日のエントリ「本当なのか、医学部新設」にもあるが、通常の「大学設置・学校法人審議会」における審査を受ける前の、いわば「事前審査」を担当する会議である。ここに設置構想を提出する段階では、教員名簿の提出までは求めないということだ。カリキュラムに、担当者がきちんと書けなくてもいいと言うことなのか。

 こ・れ・は、、、おかしいのではないか?

 通常の大学設置認可の場合、完成年度までの各教科科目担当者について、担当者に欠員・未決定が1人でもあると、認可されても「留意事項」に相当細かく指摘されるものだ。
 有識者会議での審査後、数年かけての認可申請提出ならば、これでもいい。しかし、最短スケジュールでは、平成26年5月に新設構想提出締め切り、6月に1校の構想採択、8月に文部科学大臣が申請認可である。この間2ヶ月である。その後で設置認可申請の審査。そして10月に設置認可(の予定)なのである。あくまで最短だが、これが可能ならば、事前審査の段階で教学スタッフをそろえさせるべきである。できないで、その後数ヶ月で、寄せ集めて発足する医学部なんてダメだ。むちゃくちゃである。

 昨年田中真紀子前文部科学大臣が、大学設置認可審査について「問題提起」をした。そのやり方は絶対間違いだが、問題提起はした。大学・学部学科設置認可審査は、厳密に、淡々と、落ち着いて行うべきことである。誰が教えるかという重要事項がはっきしできないのに、有識者会議による審査なんて、ありえない。許すべきではない。

 やっぱり前のめりだ。医者を作るのだ。その視点が少しでもぼやける可能性は、つぶすべきである。


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