共同通信が2013年12月19日に配信したニュース
要約
ドイツのマックスプランク進化人類学研究所などのチームが、2010年にロシアのシベリアの洞窟から出土した、5万年前の足指の骨からDNAを採取。ゲノム解読により、ネアンデルタール人女性と特定。
DNA解析の結果、この女性の両親は、親戚関係のような近縁とみられることが分かったと、19日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。チームは「ネアンデルタール人は集団が小さく、近親での関係が一般的だったのかもしれない」と指摘している。
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これは後追い記事を待つか、英文を探そうと考えた。検索してみると、日本語翻訳記事が結構たくさん見つかった。その中で、「親戚関係」が具体的に書かれているもの(AFP BBNEWS)があり、以下のようにまとめられていた。
『この女性の両親が、父親が違うきょうだい、もしくは二重いとこ、おじとめい、おばとおい、祖父と孫娘、祖母と孫息子といった、近縁関係にあることが明らかになった。』
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二重いとことはこんな関係である。
男A・男B兄弟、女a・女b姉妹が存在する。ABとabには血縁関係がない。Aa、Bbにそれぞれ子どもが生まれたとする。それぞれをAa2、Bb2とする。この二人は「二重いとこ」である。今回DNA解析で判明した女性の両親は、このAa2とBb2の可能性があるいうこと。これ以外でも、例示されたもののどの組み合わせにしても、かなり近親婚である。ただし、ネアンデルタール人は、「成長スピードはホモサピエンスより速かった。ただし寿命、性的成熟に至る年齢などは、はっきりとしない。」とされているとはいえ、青文字の組み合わせは、可能性は低いのではないか。
もちろんただ一つのサンプルで、「ネアンデルタール人=近親婚」と一般化できない。しかしながら人口が少なく、広いヨーロッパに点在して生活していた彼らネアンデルタール人たちの絶滅原因の一つとして、遺伝子の多様性を欠いたことがあげられる、その可能性があると、示唆しているようだ。