彦四郎の中国生活

中国滞在記

「総合日語4」―2回生の授業より―

2015-04-11 08:30:57 | 滞在記

 桜前線が北上を続けている中、「寒の戻り」が報道されている日本。ここ亜熱帯地方の福州でも「寒の戻り」の最中だ。連日の35度を上回る「真夏日」が一週間続いた後、ここ4~5日は一転して「雨の冬日」が続いている。最高気温14度・最低気温10度となっていて、一夜にして最高気温の差が20度もあったので体調を崩した。4月7日(火)の朝から始まった腹痛と下痢が2日間続いた。「下痢止め」の薬を服用しながら授業に臨んだ2日間だった。
  授業の合間の休み時間に、3階の渡り廊下で欧米の教師と簡単な雑談をすることもある。アメリカ人(青い服)とイギリス人(オレンジの服)だ。フレンドリーなアメリカ人は、いつも笑顔で挨拶をしてくる。彼は、「中国の女性と結婚し子供もいるが、残念ながら離婚した。」と以前話していた。今は新しい恋人がいるようだ。イギリス人とは最近になってフランクに簡単な会話をするようになった。彼も独身だが、中国人の恋人があるようだ。彼らの国は中国から遠いので、1年に1度くらいしか母国に帰らないようだ。「ママに元気な様子を見せに1回だけ帰る。」と話していた。
 キャンパス内には、数少ないがイスラム圏からの留学生たちの姿もあった。中国の各大学では、中国政府の国策(アフリカ・イスラム諸国との交易重視)もあって、アフリカ・イスラム諸国からの留学生が近年増加している。

 今の2回生(40人在籍・20人ずつの2クラス)は、私が2013年の9月に初めて中国の大学に赴任した時、新入生だった。あれから1年と7か月が経った。日本語を初めて「あいうえお」から学習する学生がほとんどだったが、今では簡単な「日常会話」程度はできてきている。10段階ある日本語会話能力の「中級の下」ぐらいかな。階段の四段目くらいである。「総合日語1~総合日語5」の授業があって、1・2は1回生、3・4は2回生、5は3回生の前期というプログラムになっている。
 同じ教科書内容を、中国人教師が各課の前半部分を担当し、後半部分を私が担当する。後半部分は、「実践会話」が中心だが、私の場合は「文法事項」もかなり重視しながらの授業を組み立てている。また、授業を通じて「日本事情」に言及することも多い。

 先週の「日語4」の授業は、「勧誘表現」が学習内容の中心だった。会話実践練習の一環として「大学の新入生に対する、クラブ・サークル・同好会などの勧誘」活動を模擬的に行った。「カンフーの声」・「スケット団―学内生活支援―」・「コスプレサークル」・「ダンスサークル」・「LOL倶楽部」・「アニメサークル」・「旅行研究会―あなたの旅行はここから始まる―」・「日本文化研究会」・「演劇部」・「映画鑑賞サークル」・「料理協会」・「日本語協会」・「ネットゲームクラブ」・「バトミントン社」・「法律協会」・「剣道同好会」・「太鼓サークル」・「小栗旬 ♡ 研究社」・「ヒップホップダンス」・「料理サークル」などの各団体からの「勧誘表現」を用いての活動が行われた。

 各団体が「勧誘」を行った後、新入生に模した2回生たちから4~5人の質問を受ける。そこでまた、会話のやり取りが始まるので、かなりの会話を「勧誘する方も、聞いている方も」することになっていた。

 外国語学部の授業が行われている建物の3階の廊下に、「日語専業」(日本語学科)の活動の写真が貼られていた。2013年の11月と12月に行われた「日本文化研究会主催の茶道・寿司体験」と「2回生日本語演劇発表会」の時の写真だった。私の姿も写真に写っていた。茶道の演示をする写真などだった。懐かしい……。












公園の池で泳ぎ始める若者も―気温35度の真夏日が続いて1週間―

2015-04-06 10:41:05 | 滞在記

 大学の藤棚が満開を迎えた。昨日、日曜日の朝に、中国語のCDを聞きながら、宿舎近くの河川公園を散歩していると「ショウブ」の花が咲いていた。暑い真夏日が1週間以上続いている。気温は連日・最低22度から最高35度となり、外に出ると汗が流れてくる。暑さにとても弱いので、今の日本の気温が恋しい。まるで、「梅雨なのに雨がまったくない、日本の6月下旬」みたいだ。

 宿舎のある大学の旧キャンパスの樹木の一部は、黄色い葉を落とした後に赤い花を咲かせている。サッカーボールを大切そうに持っている子供がいたので、「我们一起踢足球吧」と言いながら、サッカーボールのパスをした。ハイビスカスの花も咲き始めている4月5日の朝。

 宿舎に一日いるのも暇なので、午後2時ごろからバスを乗り継いで、市内にある「温泉公園」に久しぶりに行ってみた。3時前に公園に着いた。公園の正面入り口は、ローマ風の門がある。暑いので、噴水が少し涼しさを感じさせる。

 公園内の奥に行くと、水連の花が咲いていた。森の中に入っていくと「桜の木々にサクランボ」を見つけた。少し食べてみた。おいしい。ちょつと「桜見」ができたような気がして、心が落ち着く。卯の花が満開となっていて、匂いが漂っていた。

 さらに公園の奥にいくと、森の中の雰囲気。「寿山石」という赤っぽい石の大きな工芸や石像などがいたるところに置かれている。この福州は「石の工芸」が盛んな町でもある。

 水辺のある森の中で、水を求めるたくさんの人がいた。あまり美しくない池の中で泳いでいる若者たちがいた。まあ、こんな水の中でよく泳ぐものだと感心してしまった。それぼと、暑い日々なので、泳ぎたい気持ちはよくわかる。

 4月3日の夜、中国でも「皆既日食」が見られた。新聞掲示版にこのことがニュースとして掲載されていた。私も3日の皆既日食を見た。月が欠けていき、月が完全に欠けた後に、だんだんオレンジっぽい月が再び現れてきていた。夕方の5時ころ、公園の近くで「吉野家」を見つけたので、夕食に「豚どんぶり」を注文した。おいしかった。

 宿舎近くのバス停で下車すると、パイナップルが売っていた。3個10元(約200円)。パイナップルは「皮をむく」のが大変だが、中国では、上手に皮をむいたものが売られている。3個買った。イノシシの毛がついた肉が路上で売られていた。
 暑い一日だったが、明日も暑いだろうな。こんな日々が10月下旬まで続くので、私にとっては忍耐がいる。緯度的には、尖閣列島や沖縄の那覇とほぼ同じなのだが、福州のほうがかなり蒸し暑い。




福州日本企業会―in 福州Sheraton Hotel (福州中庚喜来登酒店)―

2015-04-02 15:13:40 | 滞在記

  3月28日(土)に、初めて「福州日本企業会」という組織の定例会に参加した。昨年の7月まで福建師範大学の教員だった目黒先生(現在、寧夏自治区北方民族大学)が、この組織のことを教えてくれ、紹介もしてもらった。大学の日本語学科の学生の多くが、「日本系企業」への就職を希望している。日本企業会の日本人の知り合いを作り、少しでも人脈ができたらいいなぁと思っている。学生達にも企業を紹介できるからだ。
 (※中国の大学では、日本の大学のように進路・就職の斡旋・援助活動をほとんどしない。学生は、自力で就職活動や大学院進学や留学活動をしなければならない。中国人教員も、進路に対して関わりを持とうとしない実態がある。)

 宿舎からバスに乗って30分あまりで、会場の「福州シェラトンホテル」に着いた。すごく大きくで立派な超豪華ホテルだった。福州市内には、五つ星ホテルが6つほどあるが、それらをはるかに超える「超五つ星」ホテルだった。受付開始まで30分ほど時間があるので、外に出て庭などを散策した。閩江(びんこう)の大河の向こうには福州市内で最も高い鼓山が見えた。頂上にはレーダー施設が設置されている。白い魁浦大橋や福州港がある馬尾地区が望めた。庭には「シャガ」の花が咲き、「アジサイ」が咲いていた。日本では5月下旬から6月下旬にかけて咲くアジサイがここでは咲き終わろうとしていた。

 受付を終えて、会場の部屋に入った。12人掛けの丸いテーブルが12、130人余りの参加者があった。日本大使館「広州総領事」の鈴木氏の挨拶やホテル支配人の挨拶、「福建省外国機構服務中心(センター)」の中国福建省政府の挨拶などがあった。鈴木氏は、学生が日本に「留学」する場合の日本国受け入れ「ビザ」発給の責任者なので、挨拶に行き名刺交換などをしておいた。学生側に何か困った事態があったら連絡したいからだ。

 企業会会長の挨拶や昨年度の活動報告、旧役員の紹介と新役員の承認、今年度の活動方針報告、私を含む新会員の紹介と挨拶などが終わり、懇親会となった。豪華な料理が出されていた。同じテーブルの人や他のテーブルの人などと飲みながら名刺交換をした。10人くらいと名刺交換ができただろうか。日本料理の店や日本的クラブ(飲み屋)の人たちも参加していた。
 福州市の「日系企業数」は、約100社あまりで、日本人企業駐在員は約250人程度いるということを ここで初めて知った。福州に在住している日本人は、約300人ぐらいだろうか。福建省では、厦門市(アモイ市)が最も日本系企業が多く、約150社ほどある。「厦門日本商工会倶楽部」の人によると、厦門在住の日本人は約500人あまりだそうだ。
 途中、トイレに行ったら、「中国に来て以来、最も立派で清潔なトイレ」だった。部屋みたいなトイレだった。トイレの便器は、日本の「TOTO」製品だった。

 現在、中国にある日本の企業数は約2万社だと言われている。工場数や支店などを合わせると何万か所になる数字である。この会社数は、中国での外国企業としては最も多い。外国企業の数は、約13万社あるが、日本企業は16%を占めている。これは、中国人約1000万人の雇用創設となっている。香港や台湾を含めると、かなりの数になるのではないだろうか。
 日本企業が多い省・市は、次のようになっている。①上海市(33.1%)②江蘇省(15.4%)➂広東省(12.9%)④遼寧省(7.7%)⑤北京市(7%)⑥山東省(5.3%)⑦天津市(5%)⑧浙江省(4.1%)⑨福建省(1.8%)⑩河北省(1.3%)。ほとんどが、東シナ海に面した沿海州地方の省・市である。上海などは、5000社以上日本企業があり、約7万人の日本人が住んでいる。福建省は、沿海州の中では最も少ない省だ。
 ちなみに、日本企業が海外進出している国としては、「①中国がダントツに多い。②次にインドネシア➂インド④ベトナム⑤メキシコ⑥韓国⑦タイ⑧アメリカ⑨香港⑩台湾」となっている。最近の新規進出数では、中国、インドネシアとタイの順になっている。また、日本人の海外在住者数のベスト3は、①アメリカ(41万人)②中国(15万人)➂オーストラリア(8万人)である。

 隣のより大きな部屋では、中国人たちの盛大なパーティが開催されていた。ちょっと覗いてみたが、まぁすごいパーティである。熱気むんむんの会場だ。500人あまりはいるだろうか。IT関連企業のパーティだった。ステージで、舞などを演じる人たちが、廊下で最後の練習確認をしていた。

 夕方6時から始まった企業会例会は、9時すぎに「一本締め」で閉会となった。次回は6月に開催される。帰りは、ホテルが用意した「大型送迎バス」に乗って福州の中心にある「五一広場」に向かった。バスが「閩江」の川沿いに走るとき、ネオンをつけた高層住宅がきれいだ。中国はどこの街でもそうだが、夜に大量のネオンをつける。商店だけでなく、住宅にもネオンが点滅する。ものすごく大量の電力使用となっているだろう。
 10時前に「五一広場」に到着した。もう10時だというのに、たくさんの人がいる。土曜日の夜ということもあって1000人くらいいるだろうか。クラッシックダンス、ローラースケート、歌、小太鼓、モダンダンス、太極拳をする人達などが群れていた。
 公共バスに乗って、宿舎に11時頃に戻った。








「アニメ・コスプレ カーニバル」の会場に行ってみた②―日本アニメの人気が依然として高い―

2015-04-01 18:35:14 | 滞在記

 「アニメ・コスプレ会場」を周っていると、中国風アニメやディズニー映画のコスプレをしている人もよく見かけるが、日本アニメのコスプレがとても多い。販売されているグッズも、ほとんどが日本アニメの関連商品だ。閩江大学の学生に聞いてみたら、「アニメは、日本アニメが一番強い人気です。」と言っていた。「南ことり」という日本アニメのコスプレをしている彼女と記念の写真を撮られた。
 日本のアニメといっても、ここ最近の様々なアニメをほとんど知らない私は、販売されているアニメのキャラクターを見ても、「これは誰なのか?」さっぱり分からなかった。

 日本のアニメと言えば、中国人なら誰でも知っていて親しまれているのが、「ドラえもん」。商店などにもそのキャラクターは、多く使われている。また、絶大な人気を持っていたアニメは、宮崎駿監督作品のスタジオジブリのアニメだった。今の中国人の20才代は、彼の作品を絶賛する年代だ。「彼の作った作品には、人間と自然、文明、人間の関係などについての哲学があります。」とある学生が言っていたのが印象的だ。「ワンピース」、「銀魂」、「ナルト」、「バスケットボール関係のアニメ」なども人気が高い。
 2012年までは、「日本のアニメ」をインターネットを通じて視聴する場合、中国語の字幕を見ながら理解していたようだ。画像からは、日本語が流れるので、自然とかたことの日本語を知っている若者も多いようだ。2013年以降、日本のアニメは「中国語吹き替え」が多く作られるようになり、視聴者の数が更に増えてきたといわれている。

 ゲームの世界市場も広がる一方だが、これも7~8年ほど前までは日本の独壇場だった。しかし、現在では「欧米のゲームメーカー」が゛優位に立ってきているようだ。だが、アニメーションに関しては、日本の優位が継続している。
 政治的には、日中の関係はまだまだ冷え込んだままだが、アニメや漫画といったサブカルチャ-人気は日本人の想像をはるかに超え、中国の若者の心をつかんでいるように思われる。昨年12月に北京で数日間開催された「マイコミック園遊会」の会場には、10代~20代を中心に一日に1万5千人が集まっていたようだし、中国・浙江省の杭州で開催されている「中国国際動漫節」(中国最大のアニメ・コスプレイベント)には、数万人が参加しているという。一千万人以上が視聴する最近の人気日本アニメ作品も増えてきているらしい。
 福州のような地方都市でも、このようなイベントが年に何回も開催されているように、中国全国各地で広がるイベントと日本アニメに対する関心は、私の想像も超えている。

 中国での海外テレビドラマの視聴は、ここ数年で韓国ドラマの視聴が日本ドラマの視聴を上回ってきている。歌手などのコンサートは、韓国が日本を凌駕しているのが現状だ。しかし、アニメーションは、日本の独壇場となっている。大規模なアニメ・コスプレイベントは、中国政府の国家事業として位置づけられはじめているようだ。そして、中国共産党の機関紙(新聞)である「人民日報」には、次のような記事が掲載されたことで反響を呼んだ。曰く、「------最近の少年たちは、日本の江戸時代には詳しいが、中国の伝統文化を知らない----。」 中国国内で日本アニメを若者が支持することの広がりに対して、国家的な対応をしていこうというねらいもあり、イベントを国家事業としてあつかっていこうとする現れかと思う。
 なぜ中国で日本のサブカルチャーが支持されるのか。それは「欧米よりも日中両国の文化が近いから。」である。そして、インターネットの普及が大きい。テレビと違い時間を気にせず視聴できる。また、中国では多くのテレビ局の視聴もインターネットでリアル・タイムにできるので、テレビを見るよりインターネットに依存する小・中・高校・大学生が圧倒的に多数である。だから、中国の若者や子供のインターネットや携帯電話器依存は、日本をはるかに上回る深刻な問題も抱えている。
 「コスプレの衣服などは、どこで買うのですか。?」と聞いたら、「インターネット販売で買います。」と言っていた。私の学生たちも、「インターネット販売」をよく利用して買い物をしている。これも、日本のインターネット販売をはるかに超えている。

 午後1時半ごろから、舞台会場で「ステージパフォーマンス」が開催されるようだった。日本では、「世界コスプレコンテスト」などの世界的な規模のイベントが東京・名古屋などで開かれてきた。日本国内参加者だけの「コスプレイベント」の開催も多いようだが、「コスプレ―ヤー」の順位づけは長年タブーとされてきている。これに対して、中国やシンガポール、欧米などのコスプレイベントでは、ステージでパフォーマンス(寸劇などの)をして、優劣順位を決めることが多いらしい。
 今年の春節時期の2月、中国からの観光客が大勢日本に来日した。そして、京都では中国人の和服姿を多く見かけた。この「アニメ・コスプレイベント」に来て、「日本のアニメ人気が影響しているから、和服に憧れる中国人も多いのかな。」と思った。