彦四郎の中国生活

中国滞在記

「アニメ・コスプレ カーニバル」の会場に行ってみた②―日本アニメの人気が依然として高い―

2015-04-01 18:35:14 | 滞在記

 「アニメ・コスプレ会場」を周っていると、中国風アニメやディズニー映画のコスプレをしている人もよく見かけるが、日本アニメのコスプレがとても多い。販売されているグッズも、ほとんどが日本アニメの関連商品だ。閩江大学の学生に聞いてみたら、「アニメは、日本アニメが一番強い人気です。」と言っていた。「南ことり」という日本アニメのコスプレをしている彼女と記念の写真を撮られた。
 日本のアニメといっても、ここ最近の様々なアニメをほとんど知らない私は、販売されているアニメのキャラクターを見ても、「これは誰なのか?」さっぱり分からなかった。

 日本のアニメと言えば、中国人なら誰でも知っていて親しまれているのが、「ドラえもん」。商店などにもそのキャラクターは、多く使われている。また、絶大な人気を持っていたアニメは、宮崎駿監督作品のスタジオジブリのアニメだった。今の中国人の20才代は、彼の作品を絶賛する年代だ。「彼の作った作品には、人間と自然、文明、人間の関係などについての哲学があります。」とある学生が言っていたのが印象的だ。「ワンピース」、「銀魂」、「ナルト」、「バスケットボール関係のアニメ」なども人気が高い。
 2012年までは、「日本のアニメ」をインターネットを通じて視聴する場合、中国語の字幕を見ながら理解していたようだ。画像からは、日本語が流れるので、自然とかたことの日本語を知っている若者も多いようだ。2013年以降、日本のアニメは「中国語吹き替え」が多く作られるようになり、視聴者の数が更に増えてきたといわれている。

 ゲームの世界市場も広がる一方だが、これも7~8年ほど前までは日本の独壇場だった。しかし、現在では「欧米のゲームメーカー」が゛優位に立ってきているようだ。だが、アニメーションに関しては、日本の優位が継続している。
 政治的には、日中の関係はまだまだ冷え込んだままだが、アニメや漫画といったサブカルチャ-人気は日本人の想像をはるかに超え、中国の若者の心をつかんでいるように思われる。昨年12月に北京で数日間開催された「マイコミック園遊会」の会場には、10代~20代を中心に一日に1万5千人が集まっていたようだし、中国・浙江省の杭州で開催されている「中国国際動漫節」(中国最大のアニメ・コスプレイベント)には、数万人が参加しているという。一千万人以上が視聴する最近の人気日本アニメ作品も増えてきているらしい。
 福州のような地方都市でも、このようなイベントが年に何回も開催されているように、中国全国各地で広がるイベントと日本アニメに対する関心は、私の想像も超えている。

 中国での海外テレビドラマの視聴は、ここ数年で韓国ドラマの視聴が日本ドラマの視聴を上回ってきている。歌手などのコンサートは、韓国が日本を凌駕しているのが現状だ。しかし、アニメーションは、日本の独壇場となっている。大規模なアニメ・コスプレイベントは、中国政府の国家事業として位置づけられはじめているようだ。そして、中国共産党の機関紙(新聞)である「人民日報」には、次のような記事が掲載されたことで反響を呼んだ。曰く、「------最近の少年たちは、日本の江戸時代には詳しいが、中国の伝統文化を知らない----。」 中国国内で日本アニメを若者が支持することの広がりに対して、国家的な対応をしていこうというねらいもあり、イベントを国家事業としてあつかっていこうとする現れかと思う。
 なぜ中国で日本のサブカルチャーが支持されるのか。それは「欧米よりも日中両国の文化が近いから。」である。そして、インターネットの普及が大きい。テレビと違い時間を気にせず視聴できる。また、中国では多くのテレビ局の視聴もインターネットでリアル・タイムにできるので、テレビを見るよりインターネットに依存する小・中・高校・大学生が圧倒的に多数である。だから、中国の若者や子供のインターネットや携帯電話器依存は、日本をはるかに上回る深刻な問題も抱えている。
 「コスプレの衣服などは、どこで買うのですか。?」と聞いたら、「インターネット販売で買います。」と言っていた。私の学生たちも、「インターネット販売」をよく利用して買い物をしている。これも、日本のインターネット販売をはるかに超えている。

 午後1時半ごろから、舞台会場で「ステージパフォーマンス」が開催されるようだった。日本では、「世界コスプレコンテスト」などの世界的な規模のイベントが東京・名古屋などで開かれてきた。日本国内参加者だけの「コスプレイベント」の開催も多いようだが、「コスプレ―ヤー」の順位づけは長年タブーとされてきている。これに対して、中国やシンガポール、欧米などのコスプレイベントでは、ステージでパフォーマンス(寸劇などの)をして、優劣順位を決めることが多いらしい。
 今年の春節時期の2月、中国からの観光客が大勢日本に来日した。そして、京都では中国人の和服姿を多く見かけた。この「アニメ・コスプレイベント」に来て、「日本のアニメ人気が影響しているから、和服に憧れる中国人も多いのかな。」と思った。