彦四郎の中国生活

中国滞在記

週末の公園にダンス・舞踏が歌声が響く12月21日、冬至の前夜❷日本より違った豊かさをもつ中国社会

2019-12-22 14:01:42 | 滞在記

 100人余りの「歌声広場」に集まっている人たちの表情は、心から歌を歌う姿が印象的だ。

 この「歌声」のグループたちから別の場所に行くと、別の歌声広場が行われていた。ここは人数は20~30人あまりと多くないが、大きなスクリーンに歌詞や映像を映し、男性たち7〜8人が並べられたスタンドマイクに歌声を響かせる。音楽はカラオケに合わせ、バンドはいない。スクリーン前では50代前半の女性たち3人が歌に合わせて踊っていた。別の場所では若い10人ほどの男女が、テンポの速い曲に合わせてキレのいいステップ舞踏を行っていた。

 20人ほどの人たちが広場舞をしているところでは、扇を使った舞踊を年輩の女性たちがしていた。さらに、他の場所では、150人以上の人々が輪を作って「歌声広場」をしていた。

  ここも生演奏バンドだった。ここの歌声広場は革命歌などは少なく、どちらかというと中国の大衆が好むもう一方の叙情的な大衆歌が多く歌われていた。

 30分ほど公園にいて、公園入口に戻る途中、見事なムードステップで踊る男女たちのグループも。公園入口は明るいので、ここでバトミントンの羽根の大きいものを足で蹴ってパスし合うものをやっている人たちも。この日の夜、この公園に来て、舞踏や広場舞、歌声広場をしていたグループは20ほど。

 午後9時ころ、まだ中国の都市は明かりが煌々としていた。バスを乗り継いで、アパートに戻ったのは午後10時すぎ。少しビールを久しぶりに飲み、ベットの上であっという間の眠りに落ちた。

 中国の人々の暮らしは、人と一緒に「生活を楽しもう」という感が、日本と比べてとても強い。団地内でも、人々のつながりが日本よりとても強く、老人は老人で数人がいつも同じ場所に腰をおろし、集まって、日がな一日を過ごしたりしている。日本と違った生活・暮らしの豊かさというもの、人々どうしのつながりをもち生活を楽しむというところは、日本よりかなり豊かという印象がある社会だ。「民(たみ)が主(あるじ)となる」民主はなくても、それはそれで、お上(かみ)の政治は政治としてあまり関わらず、生活・人生をより楽しむという長い長い激動の歴史を生きる中国民族14億人の人々がここにある。

 

 

 


週末の公園にダンス・舞踏が、歌声が響く12月21日、冬至の前夜❶―福州日本企業会忘年会例会

2019-12-22 13:09:13 | 滞在記

 明日は冬至という12月21日(土)、恒例の福建省福州日本企業会忘年会例会が、市内のホテルで午後6時から開催されるので参加した。開催時間まで30分ほどあったので、ホテルに隣接している「福州温泉公園」に行ってみた。「中国建国70周年」のモニュメントが公園入り口にライトアップされている。

 公園内にはさらに大きな「70周年」モニュメントが置かれていた。この公園はヤシの大木が多い。6時前に公園からホテル会場に到着した。クリスマスも近づき、ホテルの1階ロビーには大きなクリスマスツリーが置かれていた。

 6時から企業会忘年会が始まった。「福建省福州外商投資企業会」(省政府公的機関)の中国人たちも6人来ていて挨拶。通訳は・私もよく知っている中国人の王言傑さん(日本企業会副会長)が。この日の忘年会例会には約130人ほどが参加していた。閩江大学や福建師範大学の教え子たちが、通訳・翻訳業務などで就職している日本企業などの何社かの人たちと乾杯や挨拶を交わした。

 忘年会定例の出し物「モライエバンド」の歌と演奏が、今年も行われた。6曲を披露していたが、中島美嘉の「雪の華」がよかった。曲に合わせてクリスマス衣装を着た日本人駐在員や日本式クラブ(飲食店)の中国人女性たちも何人か踊ったり歌ったりしていた。

 中国の日系企業は日本の正月と中国の正月(春節)に合わせて、12月30日~1月5日までの1週間と、1月25日(今年の場合は。春節開始日は毎年変わる。)から1週間が休みとなる企業が多い。日本人駐在員たちは2回とも日本に一時帰国する人もいれば、春節時期だけ帰国する人もいる。駐在員たちの中国在任期間は、3年~4年の人が最も多い。 

 忘年会恒例の「大抽選会」が全員に商品が当たるイベントがあり、8時半ころに「1本締め」で忘年会はお開きとなった。ホテルのロビーでは、クリスマス各種ソングがピアノで演奏されていた。

 ホテルを出ると、公園から歌声や舞踏やダンスの音楽が聞こえてきたので、つられるように公園に足を向けた。「70周年モニュメント」が闇の中で赤く美しい。見事なステップのダンスを演舞している男女のグループ、普通の広場舞をしている女性たち。

 100人ほどの人たちが輪をつくって、その真ん中に指揮をしている年輩女性が。「歌声広場」にたくさんの人が集まって歌声を響かせていた。歌詞は、スクリーンに映し出されている。中国共産党と革命、戦いを賛歌する歌が続いた。また、叙情的な中国の歌も歌われていた。

 演奏はカラオケではなく、バンドによる生演奏だ。

 

 


地球環境、異常気象が顕著に―TIMES誌「今年の人にグレタ」―グレタとトランプ・小泉進次郎

2019-12-22 11:34:41 | 滞在記

 今年の6月から11月下旬までにかけての6カ月間の間に、東シナ海や西太平洋(日本列島の南)には30個もの台風が襲来した。中国福建省での暮らしも2013年9月以降7年目となっているが、中国の東シナ海沿岸でも、今年ほど台風襲来が多かった年はない。そして、12月に入っても、フィリピンから南シナ海を経て中国南部やベトナムに上陸する台風が2つあった。とりわけ日本の関東地方に上陸した超大型台風19号の被害は大きかった。

 東シナ海台風シーズンの5カ月間、私は7月上旬・8月下旬・10月上旬・11月上旬の4回、福建省福州空港-関西空港間を東シナ海海上を飛行機で往復した。4回とも、台風襲来による飛行機の欠航を心配しっぱなしだった。7月上旬~11月上旬までの4カ月間は、実に週に2つの台風が東シナ海から中国や韓国や日本に来ていたからだ。異常なほどの台風の発生と襲来の年だった。中国でも台風による被害が特に今年は相次いだ。今年、地球温暖化による被害で世界で最も大きかったのは「日本」と発表もされた。さもありなんと思う。

 台風の異常なほどの発生と大型化の原因は、二酸化炭素(co2)による地球温暖化にともなう、気温上昇と海水温上昇によるものである。日本のテレビ報道では、「このまま地球環境が推移すると、地球温暖化で21世紀末までに0.3~4.8℃上昇」と予想されていると報道されていた。

 広大な中国の国土。中国の北西部には「黄土高原」や「砂漠」が広がっていて、オアシスの都市が点在している。2017年6月に、中国北西部の寧夏回族自治区の省都・銀川に行った。街の近くを流れる黄河。この黄河周辺には緑地が広がるが、黄河から20kmほど離れると広大な「黄土高原」や「砂漠」が広がる。銀川から北京に近い山西省の省都・太原まで1時間半あまり、この黄土高原上を飛行機で飛んだ。延々と続く黄土高原の茶色。太原の上空付近に来てようやく緑地が見えてきた。

 今年の9月の中国の新聞報道では、東シナ海沿岸の省での台風被害の増大とともに、「黄土高原」や「砂漠」地域にまばらに緑地ができ始めてきているという報道があった。これは、異常気象・気候変動の影響で、これらの地域での降水量が増加し始めたためだと報道されていた。1億5千年前から6千8百万前までの時代、中国北西部やモンゴルゴビ砂漠には緑地や森が多く、恐竜が闊歩していた時代だった。気温が21世紀末までに4.8℃上昇すれば、海の周辺は水没面積が広がり、中国北西部やゴビ砂漠は緑地が広がってくるという可能性は現実味を帯び始めてきている。

 今年の9月、アメリカのニューヨークで、「国連気候行動サミット」が開催された。ここで、スウェーデンの環境活動家・グレタさんが、「私たち人類は滅亡しかかっているというのに、あなたたちが話すのは金のこと、永遠の経済成長というおとぎ話ばかりだ」と怒りを込めてスピーチし、世界的な反響を呼んだ。その後、世界各国で、若者を中心に「気候変動危機」を訴える集会やデモが相次ぎ大きなうねりともなった。

 12月上旬からスペインの首都・マドリードで開催された「第25回国連気候変動枠組み締結国際会議」(COP25)。これについて日本のテレビ報道では、「小泉環境相に世界が逆風」「安倍サン、安倍サン 石炭ヤメロ、COP25 日本批判高まる」「化石賞に続き石炭賞までも日本に」という報道が。CO2排出の多い石炭火力発電所を増加させ続けている日本政府に対する世界の目が厳しくなってきている。日本はもはや世界の環境への取り組み先進国ではなく、残念ながら逆行する国と見られる国になってきているようだ。

 これらの環境への取り組みに関しては、アメリカのトランプという人は、2015年に締結されたパリ協定(地球温暖化防止の枠組み)から脱退し、世界から批判を浴びたが、平然としている。「一、二に金・金・金、3・4がなくて、自国ファースト・金・金・金」の人だ。世界の人権問題などについても基本的に関心がない。今回のCOP25の会場では、アメリカの俳優・ハリソンフォード氏(77歳)が「大統領を変えなければ、政府はそうし続けるだろう」とトランプ大統領の環境問題への姿勢を批判した。

 グレタさんもこの会場に来て、「本当に危険なのは、政治家らが数値をいじくったり、環境問題対策に取り組むという"ふり"だけをしていること」と、真剣に取り組もうとしない各国の多くの首脳に対して批判をした。このグレタさんについて、ブラジルのトランプともいよばれているブラジル大統領・ポルソナル氏は、「あんなガキ(グレタ)をマスコミが取り上げるからだ」とぶち上げた。

  そして、日本の環境相・小泉進次郎氏は日本が化石賞や石炭賞の1位という恥ずかしい受賞国となったことについて、「(受賞理由は)具体的対策が盛り込めていないからだが、驚きはないですが、私の発信の効果だと思います」とかの わけのわからないコメントを本人は得意げに、ウケると思ってしていたが、世界の人々の失笑をかっていた。彼は9月の国連サミットでも、「環境問題は 楽しくクールでセクシーに取り組まなければならない」との ずれまくりの失笑発言に続き、日本人としてはとても恥ずかしい思いをさせられる環境相だ。グレタさんの行動や発言について12月、「大人を糾弾するのではなく、全世代を巻き込むような環境問題へのアプローチをするべきだた゛」とこれもまた かなりずれた批判コメントをしていた。

 報道では、「小泉環境相に水俣病患者が落胆 具体策なく"歯切れがよいだけ"の人物」と12月に報道もされていた。日本の環境問題の先駆けともいえる水俣病問題でいまも苦しんでいる水俣病患者救済関する話し合いで、何の具体策も示さない小泉環境相に対する落胆。彼はまさに中身のなにもない、「歯切れのよさだけ男」なのだろう。環境問題に取り組む"ふり"さえもできない人だ。私も彼には落胆させられるというよりも 呆れさせられる。

 2週間あまり開催されていたCOP25は、昨日の12月21日閉会。ブラジルの反対などで、CO2減少への枠組み協定は成立をみることがんかった。そして、アメリカの雑誌「TIMES(タイムス)」誌が毎年特集している「今年 最も話題の人=今年の人」はグレタさんとなった。

 「TIMES」誌の「今年の人」特集は、1920年代より始まっている。初めて「今年の人」に選ばれたのは「あれがあこがれのパリの灯だ」で有名な大西洋横断を始めて飛行機でおこなった飛行家・リンドバーク。アジア人としては、インド人のマハトマ・ガンジーが1920年代に(※イギリスからの独立運動)、1932年には中国の蒋介石中華民国初代総統とその妻、1979年と1985年には中国の鄧小平が2回、1986年にはフィリピンの第11代大統領・マリア・アキノ(※夫が亡命先のアメリカからフィリピンに帰国した際、飛行機のタラップを降りたところマルコス大統領によって暗殺される。反マルコス独裁闘争の中心となり、マルコスやイメルダ夫人は海外亡命。第11代大統領となる。)が「今年の人」に選ばれている。

 2016年には、トランプ新大統領が「今年の人」に。そして2019年は、グレタさんが。つい先日の12月19日、トランプ大統領はツィッターで「落ち着けグレタ、グレタは怒りのコントロールに取り組み、友達と古きよき映画を見に行け」と。これに対して、グレタさんは皮肉を込めて「怒りのコントロールに取り組む10代、今は落ち着いていて、友達と映画を見ている」とツィッターを発信していた。

 今年、日本では、新海誠監督がアニメ映画「天気の子」を発表し、閩江大学日本語学科の学生も映画を見た学生も少なからずいる。環境問題、気候変動問題をテーマとしたアニメ作品だった。今年だけでなく、ここ数年の気候変動による日本の被害は相当なものだった。

 そして、日本の「今年の言葉」。「令和」の「令」という言葉が京都・清水寺で発表され、管主によって書で表現されていた。そして、もう一つのテレビ番組での「今年の言葉」は、ラグビー日本代表の「チーム1」だった。「令」や「チーム1」という言葉が、本当に今年の言葉にふさわしい言葉なのだろうか?  なにか、この言葉も「今年の言葉」としては ずれまくっている印象だ。この言葉を選んだ日本の人々は、現実の大切な問題から目を背けているからだろう。違うだろうと思う。

 日本と日本を取り巻く現実の問題を直視すれば、今年の言葉として「民主」「異常気象」が浮かぶ。言わずもがな、香港や台湾の問題、そして、大型台風の多発という環境問題が抜き差しならぬ時代に突入してきているという現実だ。香港の多くの人々が求めているのは「民(たみ)が主(あるじ)となる民主」、一方、中国大陸では「民(たみ)の主(あるじ)となる民主」。これが、米中間だけでなく、世界的な価値観・文明の衝突となったのが2019年だ。そして、環境・気候変動の大きな影響が顕著になった2019年だった。

 今日12月22日の冬至の日。午前8時から毎日放送で毎週報道されている「サンデーモーニング」報道番組で、コメンテーターの青木さんが、「今年の言葉」について違和感を述べていた。同じように感じている日本人も多いかもしれない。言われてみれば気が付く人も多いのかと思う。