彦四郎の中国生活

中国滞在記

ついに起きてしまったか‥➊

2024-09-22 17:49:19 | 滞在記

 9月18日(水)、福建省の省都・福州市はこの日も積乱雲がみられ、日中の気温は37~38度まで上がっていた。うだるような、湿気も強烈な暑さが続いていたこの日。アパートに戻り、34度となっていた室温をクーラーで下げ、午後4時頃にパソコンでYahoo Japan!を閲覧すると、「速報 中国広東省深圳で日本人学校男児(10歳) 母親の目前で襲撃され緊急治療」のニュース報道がとびこんできた。「ついに再び起きてしまったか‥」と暗澹(あんたん)たる気持ちになった。

 アパートの窓から見える夕焼けの空。茜(あかね)色が美しくもあったが、事件を知り気持ちは重かった。(中国では、インターネットでYahoo Japan!のニュースサイトは閲覧できる。しかし、2015年頃から「検索」はブロックされている。)

 この日の夕方以降から、日本のテレビ報道でのこの事件報道を、Yahoo Japn!のサイトから見る。広東省広州の日本総領事館は、18日午後4時、そして夜の8時になった時点でも手術が続いていると明らかにした。(※深圳は香港と広東省の省都・広州の中間にある大都市で、中国のシリコンバレーとも呼ばれ、中国の通信IT・ハイテク大企業であるファーウェイや電気自動車のBYDの本社などもあり、日本企業も多く進出している。中国各地から出稼ぎにきている人たちも多く居住する。日本人は約3600人ほどが駐在員やその家族などとして暮らしている。)

 報道によると、18日午前8時頃(日本時間午前9時頃)、深圳日本人学校近く(正門から200mほどの地点)で、母親とともに通学途中の同校の男子児童(10歳)が男に刃物で刺され負傷し、緊急治療を受けているとのこと。地元警察当局は犯行に及んだ男(44歳)を現場で拘束したとも報じられていた。手術によって命に別条がないという報道を待ちながら眠りについた。

 19日(木)早朝3時に起床(いつもの起床時間)、午前4時頃(日本時間午前5時頃)から、Yahoo Japan!を閲覧し始めると、日本のテレビ報道では「登校中に刺された日本人男児死亡」「男児(10)腹部刺され死亡」の報道‥。とても大きな衝撃・ショックを受けた。事件が起きた昨日は、中国では満州事変の始まりである「1931年9月18日・柳条湖事件」(満州鉄道爆破事件を日本軍が行い、これは中国軍のしわざとして軍事行動を起こした)で日本が本格的に中国東北部(満州)を侵略し始めた日であり、中国では「国辱(こくじょく)」の日でもあったと報道もされていた。

 重い気持ちを引きずりながら、午前5時45分頃アパートを出てバス停に向かう。午前7時30分頃に大学正門近くのバス停に着き大学構内の研究室へ。そして、8時30分からの1時間目の3回生の「時事日本語」の授業ため教室に向かった。この日の授業の最初に、この深圳での事件について、そして日本人学校の10歳の子どもが今朝亡くなったことを学生たちに話した。しかし、学生たちはほとんどがこの事件について知らないようだった。中国国内ではほぼこの事件の報道がされていないようだった。(※報道規制がされているようだった。)

 その日の午前中の授業を終え、午後4時頃アパートに戻り、パソコンでYahoo Japan!の記事や、日本のテレビ報道を閲覧する。「男児死亡 (中国)日本人社会に衝撃」「一部メディアが事件について事件について報じるも 児童の死亡は現時点で伝えず」「6月蘇州での日本人親子襲撃事件についての(犯行動機などの)詳細は(いまだ)不明のまま」「岸田総理、中国側に一刻も早い事実関係の説明を強く求めるよう指示」「大使館・日本企業・日本人学校などの関係者による緊急会合を開く 北京・上海」などの報道。

 事件のあった18日から、中国のさまざまなインターネットサイト(パソコンやスマホでの)でこの事件について閲覧するが、この事件についての記事を見つけるのはとても難しかった。報道規制のためかと思うが、ようやく19日になって膨大なネット記事、ニュースの中から2~3見つけることができるようになり始めた。中国外交部林剣報道官の、この事件に関する18日の会見のもようなど‥。「計画的な事件か偶発的な事件か?」との記者団の質問には、林剣報道官は「現在捜査中です。引き続き、在中国外国人の安全確保のための対策を講じていく」との回答にとどまっていた。

 事件が起きてから今日で5日間余りが経過した。中国で11年以上を暮らしていて、日本人だから近在の人や通勤途中のバスの中などでヘイト的な嫌な目に会ったということは今までにはなかった。むしろ、いつもよく行く店の人や同じアパートの人などは親切に接してくれている人たちもいるのだが‥。しかし、今回の事件は、私にもこたえた。いつ同じような目にあうかもしれないという一抹の不安の広がり‥。

 凶行で突然に殺された10歳の男の子。両親を始め祖父母たちが、どんなに大きな悲しみに包まれているかと思うと、私も胸が痛くなる。そして、中国で暮らすことの不安感の増大は、中国在住の約10万人の日本人の人々に共通したものかと思われる。

■深圳日本人学校—2024年4月時点で、小学生216人、中学生57人の合わせて273人が在籍。日本の外務省によると去年の時点で、日本人はおよそ3600人住んでいて、中国では5番目に日本人が多い都市となっている。(※最も多いのは上海市の約3万人)

 

 


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