昨日のブログを読んだ知り合いから、佐賀のがばいじいちゃんのもう少しくわしいことを
知りたい、とのショートメールをもらった。昨年の秋まで二年にわたり、月一で「気骨のすし会」
をやってくれたけど、今年の一月に突然召されたので、精しいことは知らなかった。
ただ鮨会が終わった後、カウンターで「鍋島」を飲んでいるとき、この酒の故郷がぼくの故郷、
といっていた。そして、その界隈には酒蔵がずらっと並んでいて、観光スポットのようになっている、
という話を思い出した。鍋島の酒蔵のあるところは、「肥前浜宿」といって、古(いにしえ)の酒蔵の
建物が並んでいて、通称「酒蔵通り」と呼ばれている。なびではなく、長崎の空港から、きまぐれドライブを
していたら、そこにたどりついた。きっと、じいちゃんがよんでくれたんだろう。
温泉と温泉湯豆腐で有名な嬉野(うれしの)には「東一」(あずまいち)という、鍋島とおなじように、
全国区の酒がある。小城羊羹で有名な小城(おぎ)にも、「七田」という銘酒がある。
近頃の酒はワイングラスに入れて、「これうんちくパーチク」とボリボリしながら飲む輩が多い。あの酒オタク
たちに、「地酒は、その土地で飲みなさい」と、いってあげたい。そんな勉強をしたいまじめな左党がいたら、
押上にある「押上文庫」をおすすめする。
東一は、あの湯豆腐で飲むのが最高やし、むつごろうが遊んでいる有明海の横にある鍋島には、むつごろうや、
クチゾコの煮つけや、ガンツケという蟹のアンチョビなんかがいい。酒の上級者コースになるけど、小城羊羹を
食べながら、七田を飲むと、天国が近くなりそうだけど、極楽至極である。そして、この地方の料理にかかせないのが、
「皮くじら」とよばれる、くじらの皮。
今年は有田焼が生まれて400年の節目でもある。ワイングラスでぼりぼりみたいなみっともないことはやめて、
唐津焼きの「皮くじら」のぐいのみかなんかで、一献やりたいものだ。くどいけど、押上文庫には、もってかえりたくなる
「皮くじら」や「まだら唐津」がそろっている。
なつき君の新拠点「くちのつ巷珈琲焙煎所」にも、彼がそばを習いにきたころさしあげた「皮くじら」のそばちょこ
が置いてあった。もちろん、久保忠廣さんの作である。明日はそこで「からゆき蕎麦倶楽部」の幕開け式がある。
歴史的な一ページにきっとなるに違いない。