長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

残月

2011-03-05 08:31:58 | Weblog
昨日は初めて、箏と三弦のライブだった。
芸大時代の同級生、秋山恵子さんと、樋口美佐子さん
が、着物を着て、万歳(お正月の祝い唄)やみだれなどを
演奏してくれた。

秋山さんは、昨年の晩秋のころ、末期がんのお父さんを近くの
病院に救急車で運んだ後に、天真庵にきて珈琲を飲まれた。
その時に、ピアノを弾きながら、「来年の3月4日が父の誕生日
なので、その日に演奏会をやらせてください」ということになり、
昨日を迎えた。元気な時は、向島で遊んだというお父さんが、
結んでくれた不思議な縁であり、宴である。

休憩の後、秋山さんが、そんな話をした後に、地歌の名曲「残月」
を三弦を弾きながら、歌ってくれた。

作者・峰崎勾当(みねざき こうとう)が、大阪に住んでいた門人の娘さんが夭死したのを悼んで作曲されたものらしい。内田百の小説にもそれを題材にした『残月』がある。

♪磯邊の松に葉隠れて 沖の方へと入る月の
光や夢の世を早う
覚めて真如の明らけき
月の都に住むやらん
今はつてだにおぼろ夜の
月日ばかりは廻り来て

今朝、ウォンさんの「ムーントーク」を聴きながら蕎麦を
打っていたら、昨日の演奏会の残り香が、残月みたいな
やわらい光みたいなものになって感じられた。
みんな淡い光に照らされながら橋を渡って、この世とあの世を
なんども往復していくのだろう。

今日は「エリカ庵」
えりさんとりかさんがやってきて、こりこりになった体を
ほぐしてくれる。
エリさんの妹さんは、名にしおう都一中節の名人だ。
1度、天真庵で演奏会をやってもらいたいと、ひそかに
思っている。

25日には、「リコーダーとギターの夕べ」がある。
演奏:富川勝智(ギター)・高橋明日香(リコーダー) 19時開場 19時半開演 ¥4,000(お酒・肴・蕎麦・珈琲 付き)