MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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講演会終わる

2009年02月16日 | 通訳・翻訳研究

15日の講演会は予想以上にたくさんの人が来てくれた。史上最低記録を作るのではないかと恐れていたが、通訳・翻訳「理論」(だけ)の話にもかかわらず、通訳学会の例会より多かった(というか例会が少なすぎるのだが)。友人、知人の皆さん、立教の院生の皆さん、通訳をしてくれた外語の院生の皆さん、どうもありがとうございました。学内での懇親会の後は近くのイタリア料理店での内輪の打ち上げで盛り上がる。

同時通訳の説明にPPTのアニメーション機能を初めて使ってみたのだが、今日になって効果(開始、終了など)を「同時」に設定できることに気づいた。gifアニメなど使わなくても、工夫すればもうちょっといいものが作れるかも知れない。

『日本の科学者』と言う雑誌(出している日本科学者会議というのは共産党系の団体らしい)の1983年12月号に、「文学研究と翻訳の諸問題」という小特集がある。2本の論文のうちひとつは文学の読みを扱っているので、実際には八木浩「翻訳・通訳学の確立のために」という論文1本だけ。もっぱらKapp, Vokler (1974) Probleme von Theorie und Praxis in der Ausbildung zum Ubersetzer und Dolmetscher (Quelle & Meyer)を種本にして、主にドイツ語圏の研究を紹介している。中心になっているのは通訳の方である。(この本は編著で、セレスコビッチなども寄稿しているようだが、ドイツ語文献の引用が多いPochhacker (2004)にも引用されていない。)論文の内容は資料的価値しかないが、当時大阪外国語大学で同時通訳研究会をやっていたらしい。内容的には、逐次通訳を逐語訳、同時通訳を即時通訳と言ってみたり、時代を考えてもちょっと首をひねるような表現もある。というのも、浅野・福井の本や『通訳』(日本放送出版協会)、西山千さんの『通訳術』などはすでにあったし、この論文の2年前の1981年にはアルクから『通訳事典』が、翌1982年には『通訳事典2』が、1983年には『通訳事典3』が刊行されているからだ。しかし1983年にこういう文章が書かれていたことは記憶に留めておいていいだろう。筆者の八木浩さんは当時大阪外国語大学教授で、1986年に若くして亡くなっている。

『通訳事典』の発行年度を調べるために国会図書館で検索したら、国会図書館には『通訳事典2002』しかないことが判明した。これはまずかろう。僕のところには一応全部そろっていると思うが、今となっては貴重な資料になってしまった。国会図書館検索の副産物として、榎本淳一(2008)『唐王朝と古代日本』(吉川弘文館)という本に「遣唐使と通訳」という章があることがわかった。