MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

Facebookはこちらです。

問題な日本語など

2007年02月06日 | 雑想

■「ひと言ご挨拶を申し上げます」のように、自分側の行為について「ご」を付けるのはおかしいか、おかしくないか?<答>(このような形で)自分自身がへりくだる謙譲語は、その動作を受ける相手を高めることになるので、広く使われている問題のない言い方です。…うーん、そうなのか。敬語は難しい。じゃあ「ひと言挨拶を申し上げます」もいいのだろうか。これは北原保雄編著『続弾 問題な日本語』(大修館書店)に出てくる。この他『問題な日本語』と『かなり役立つ日本語ドリル』も一緒に買ってしまった。「全然いい」「っていうか」「私って…じゃないですか」「みたいな」「きもい、きしょい、うざい」「二個上の先輩」「これってどうよ」のような用例について解説した本で、類書は多いが、このシリーズがいいのは、いのうえさきこの挿絵(挿マンガ)がついているためだ。『おおまかに生まれた女』など持っているが、徐々に面白さが増してきているようだ。「お茶をいれる。」という四コマは、「湯飲みにお茶を 淹れる?入れる?」「それもそうだが なんで茶を飲むのに「湯飲み」なのかっ!」「なんで飯を食うのに「茶碗」なのかっ!」と来て、四コマ目なんか「Do you know me?」ですから。

話がずれてしまったが、先日口頭試問をした修士論文の中に、敬語とポライトネスを結びつけたものがあり、それを読んでいて橋本治の『ちゃんと話すための敬語の本』(ちくまプリマー新書)を思い出したのだった。その修士論文では滝浦真人の『日本の敬語論』を柱のひとつにしていたのだが、そこで理論的な核になっている「距離」については橋本治の方が滝浦より先に書いているのだ(半年ほど早い)。橋本の本はちょっと変なところもあるが面白いと思う。たとえば、う○こ座りをしている青木さやかみたいなのに「何見てんだよ!」と言われたらどうするか。橋本は「何ですか?」と敬語を使え、距離を取れと言う。いわばリスク管理としての敬語論だ。
(*しかしダッシュで逃げる方がいいかもしれない。)